特許第5911429号(P5911429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911429
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】流体密度の変更による発電の方法
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/02 20060101AFI20160414BHJP
   F03G 3/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F03B17/02
   F03G3/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-547258(P2012-547258)
(86)(22)【出願日】2010年12月29日
(65)【公表番号】特表2013-515913(P2013-515913A)
(43)【公表日】2013年5月9日
(86)【国際出願番号】US2010062322
(87)【国際公開番号】WO2011090739
(87)【国際公開日】20110728
【審査請求日】2013年10月23日
(31)【優先権主張番号】61/290,663
(32)【優先日】2009年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/393,211
(32)【優先日】2010年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/290,671
(32)【優先日】2009年12月29日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512169730
【氏名又は名称】ホッパー エナジー システムズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HOPPER ENERGY SYSTEMS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ドロゼンスキ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ホッパー,レオン
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ジェフリー
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−062808(JP,A)
【文献】 特開平07−075395(JP,A)
【文献】 特開平07−103127(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0271912(US,A1)
【文献】 特開平11−107901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 17/02
F03G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1密度を有する流体の第1部分に第1物体を配置する工程と、
流体の前記第1部分の密度を前記第1物体の密度より低下させ、密度の低下により、第1物体の浮力依存性下方移動を誘発するために流体の前記第1部分に低密度流体を断続的に注入する工程と、
前記第1物体の浮力依存性移動に基づき電力を生成する工程と、を含み、
前記第1物体を流体の前記第1部分に配置する工程が、前記流体の前記第1部分の前記第1物体を第1のポジションに配置する工程を含み、
流体の前記第1部分へ低密度流体を注入する工程が、前記流体の前記第1部分の第2のポジションへの前記第1物体の浮力依存性下方移動を誘発するために低密度流体を注入する工程を含み、
低密度流体の断続的な注入のそれぞれにおいて、低密度流体の注入が終了すると、流体の前記第1部分の密度が前記第1密度へ戻ることを許容することにより、前記第2のポジションから前記第1のポジションへの前記第1物体の浮力依存性上方移動を誘発する工程をさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は2009年12月29日に出願された米国特許仮出願番号61/290,663、2009年12月29日に出願された米国特許仮出願番号61/290,671、2010年10月14日に出願された米国特許仮出願番号61/393,211に優先権を主張するものであり、これら全ての文献は、列挙することで、文献の内容そのものが本明細書で援用されるものとする。
【0002】
〔技術分野〕
ここに開示される発明の主題は発電の方法およびシステムに関するものである。より詳細には、ここに開示される発明の主題は、流体密度の変更に気体を利用した、流体内の密度の変更に基づく発電システムおよび方法に関するものである。
【0003】
〔背景〕
新たな電力の生産方法は、環境、経済、政治的理由により必要とされている。風力、太陽光、潮力などのさまざまな再生可能エネルギー技術は、これらの多くが持つ性質上のデメリットがあるため、世界が抱える現在のエネルギー課題に対する答えにはなっていない。化石燃料を使用する現在の発電形態は、供給量に限りがあったり、環境に影響を及ぼす温室効果ガスが発生したりといった、十分に裏付けられた限界がある。
【0004】
原子力、地熱、水力など非化石燃料エネルギー生産技術もまた、設置場所、高額な資本投資費、環境に及ぼす悪影響などの限界がある。
【0005】
物質形態(固体、液体、気体、またはプラズマ)の中の一つの運動から生じる力学的エネルギーは、発電機や磁気誘導システムなど適切な方法を用いることで電気エネルギーに変換できることが知られている。源となる力学的エネルギーは、一般的に、(1)自然発生している化石燃料または人工のバイオ燃料の燃焼による化学エネルギーの変換、(2)核反応プロセスから得られる熱、または(3)重力、波力、潮力による水の自然の運動から得られる。
【0006】
周知のエネルギー生産源の例として、石炭、石油、天然ガス、シェールなどの化石燃料、人工のバイオ燃料、潮力設計を含む水力ダム、太陽光、風力、地熱、原子力が存在する。
【0007】
総じて、これら各々のエネルギー生産方法にはさまざまなメリットおよびデメリットがある。したがって、それらに関連するメリットを維持しながら、それらのデメリットに対処するエネルギー生産方法が強く望まれている。
【0008】
〔概要〕
本概要は簡略化した概念を選択して紹介するものであり、これらは以下の実施形態に係る詳細な説明においてさらに説明されている。本概要は特許請求の範囲に記載の発明の主題に係る主要な特徴または本質的特徴を特定する意図を持たない。また特許請求の範囲に記載の発明の主題を限定するために用いられることも意図しない。
【0009】
ここに開示されているのは、第1密度を有する流体に配置される物体を備えている装置である。エネルギージェネレータが前記物体に結合されており、前記物体の移動時にエネルギーを生成するよう構成されている。前記流体に気体を注入し、前記流体の密度を前記物体の密度よりも低い第2密度にまで低下させ、それにより前記物体の浮力依存性移動を誘発し、前記エネルギージェネレータによりエネルギーを生成するための気体注入器が設けられている。
【0010】
他の実施形態によると、旋回軸(中心軸)に結合され、流体の中に配置されるよう構成された物体を含む装置が設けられている。発電機(電気ジェネレータ)が前記物体に結合され、前記旋回軸の周りを前記物体が旋回移動するときに発電するよう構成されている。前記流体に気体を注入し、前記流体の密度を前記物体の密度より低下させ、それにより前記旋回軸の周りでの前記物体の旋回移動を誘発し、前記発電機によりエネルギーを生成するために、気体注入器が備えられている。
【0011】
他の実施形態によると、装置が設けられている。前記装置は、旋回軸に結合され流体の第1部分に配置されるよう構成された第1物体を備えている。第2物体が前記旋回軸に結合され、流体の第2部分に配置されるよう構成されている。前記第1物体の運動が前記第2物体に対して対応する運動を付与するように、前記第2物体は前記第1物体に結合されている。発電機が前記旋回軸に結合され、前記第1物体および前記第2物体が前記旋回軸の周りで旋回移動する時に発電するよう構成されている。流体の前記第1部分に気体を注入し、流体の前記第1部分の密度を前記第1物体の密度より低下させ、それにより前記旋回軸の周りでの前記第1物体の旋回移動を誘発し、前記発電機により発電するために、気体注入器が流体の前記第1部分に接続されている。
【0012】
他の実施形態によると、装置が設けられ、等しく間隔を空けて設けられた複数の物体を備えている。各物体は、それぞれが中心軸から延びる支柱によって支えられており、前記物体の少なくとも1つの運動が他の前記物体の少なくとも1つに対応する運動を付与するように、前記中心軸に結合されている。前記物体の少なくとも1つは、初期位置として少なくとも流体の第2部分から分離された流体の第1部分に配置されており、流体の前記第2部分には、他の少なくとも1つの物体が初期位置として配置されている。発電機が前記中心軸に結合され、等しく間隔を空けて設けられた複数の物体が前記中心軸の周りで旋回移動するときに発電するよう構成されている。流体の前記第1部分に気体を注入し、流体の前記第1部分の密度を前記少なくとも1つの物体の密度より低下させ、それにより前記中心軸の周りでの前記少なくとも1つの物体の旋回移動を誘発し、前記発電機により発電するために、気体注入器が備えられている。
【0013】
他の実施形態によると、前記装置は、流体の第1部分と流体の第2部分を隔てる仕切りをさらに備えてもよい。
【0014】
他の実施形態によると、前記仕切りは、物体に前記仕切りを通過させるための開口を有していてもよい。
【0015】
他の実施形態によると、前記エネルギージェネレータは、前記中心軸が相互運動を行う時にエネルギーを生産する。
【0016】
他の実施形態によると、エネルギージェネレータは、発電機である。
【0017】
他の実施形態によると、前記装置には、さらに前記低密度流体注入器と接続した流量計を備えている。
【0018】
他の実施形態によると、前記低密度流体注入器は、気体注入器である。
【0019】
他の実施形態によると、前記気体注入器は、二酸化炭素を注入する。
【0020】
他の実施形態によると、前記低密度流体注入器は、注入された流体を分散し分離するために調節部(バッフル)を有うする。
【0021】
他の実施形態によると、前記エネルギージェネレータは、生成されたエネルギーを貯蓄するために、エネルギー貯蓄装置と接続している。
【0022】
他の実施形態によると、前記エネルギージェネレータは、エネルギー供給網と接続している。
【0023】
他の実施形態によると、装置が設けられている。前記装置は等しく間隔を空けて設けられた複数の物体を備えている。各物体はそれぞれ中心軸から延びる支柱によって支えられており、前記物体の少なくとも1つの運動が他の前記物体の少なくとも1つに対して対応する運動を付与するように、前記中心軸に結合されている。前記物体の少なくとも1つは、初期位置として少なくとも流体の第2部分から分離された流体の第1部分に配置されており、流体の前記第2部分には、他の少なくとも1つの物体が初期位置として配置されている。発電機が前記中心軸に結合され、等しく間隔を空けて設けられた複数の物体が前記中心軸の周りで旋回移動するときに発電するよう構成されている。前記第1部分において前記流体の密度を前記物体の密度より低下させ、それにより前記中心回軸の周りでの前記物体の回転運動を誘発し、前記発電機による発電を行う手段が提供されている。
【0024】
他の実施形態によると、前記流体の密度を低下させる手段は、低密度流体注入、気体注入、および高温流体注入を含む。
【0025】
他の実施形態によると、前記流体の密度を低下させる手段は、流体内において気泡分散を発生させるために表面に対して振動を付与することを含む。
【0026】
他の実施形態によると、装置が設けられており、旋回軸に結合され、流体の中に配置されるよう構成された第1物体を備えている。発電機が前記旋回軸に結合され、前記旋回軸の周りを前記第1物体が旋回移動するときに発電するよう構成されている。前記流体に気体を注入し、前記流体の密度を前記第1物体の密度より低下させ、それにより前記旋回軸の周りでの前記第1物体の旋回移動を誘発し、前記発電機により発電するために、前記流体に接続された気体注入器が備えられている。
【0027】
他の実施形態によると、前記流体は第1部分と第2部分を画定し、前記第1物体が前記流体の前記第1部分に配置される。
【0028】
他の実施形態によると、前記第1物体はレバーの第1端部にて支えられており、前記旋回軸に結合されている。
【0029】
他の実施形態によると、前記装置は前記レバーの第2端部にて支えられている第2物体を備える。前記第2物体は前記流体の前記第2部分に配置されている。
【0030】
他の実施形態によると、前記第1部分と前記第2部分はその間を隔壁によって分離されている。
【0031】
他の実施形態によると、前記旋回軸は、前記隔壁によって支えられている。
【0032】
他の実施形態によると、前記気体注入器は、前記流体に二酸化炭素を注入する。
【0033】
他の実施形態によると、前記気体注入器は、前記流体の前記第1部分に気体を注入する。
【0034】
他の実施形態によると、気体を分離するために前記第1部分にて空気分離機構が取り付けられている。
【0035】
他の実施形態によると、前記第1物体と前記第2物体は概ね偏長回転楕円形に近い。
【0036】
他の実施形態によると、装置が設けられている。前記装置は流体を格納する容器と、前記流体に配置される物体を備えている。発電機が前記物体の移動時に発電するよう構成されている。前記流体に気体を注入し、前記流体の密度を前記物体の密度より低下させ、それにより物体の浮力依存性移動を誘発し、前記発電機により発電するために前記容器と接続された気体注入器が備えられている。
【0037】
他の実施形態によると、前記発電機は、前記物体にケーブルにより結合されている。
【0038】
他の実施形態によると、前記発電機は、前記容器の外部に設置されている。
【0039】
他の実施形態によると、前記装置のいずれであっても、流体源、エネルギー貯蓄装置、またはエネルギー消費装置を含んだエネルギー生産システムの一部になり得る。
【0040】
他の実施形態によると、前記物体は前記流体の本来の密度よりも低い密度を有する。
【0041】
他の実施形態によると、前記発電機は、前記物体の浮力依存性移動時に発電を行うよう構成されたシャフトにより、前記物体と結合されている。
【0042】
他の実施形態によると、前記シャフトはその外側においてねじ部が固定されており、前記物体は、前記シャフトのねじ部を受けるために、内側に貫かれた空洞を有する。
【0043】
他の実施形態によると、前記装置は、発電機に対して回転運動を付与するために前記シャフトに結合されたギヤアッセンブリを備える。
【0044】
他の実施形態によると、前記発電機は、前記物体に取り付けられた少なくとも1つの磁石と、前記容器に取り付けられた少なくとも1つの誘導コイルを備える。
【0045】
他の実施形態によると、前記の少なくとも1つの磁石は、複数の磁石を含み、さらに、前記複数の磁石は物体の周りに間隔を空けて連続して配置される。
【0046】
他の実施形態によると、前記の少なくとも1つの誘導コイルは、前記容器の長さに沿って取り付けられる。
【0047】
他の実施形態によると、前記発電機は、前記容器に取り付けられている少なくとも1つの磁石と、前記物体に取り付けられている少なくとも1つの誘導コイルとを含む。
【0048】
他の実施形態によると、前記の少なくとも1つの磁石は、複数の磁石を含み、さらに前記複数の磁石は、前記容器の周りを、間隔を空けて連続して配置される。
【0049】
他の実施形態によると、前記の少なくとも1つの誘導コイルは、前記物体の長さに沿って取り付けられている。
【0050】
他の実施形態によると、流体内にエネルギー発生装置が設けられている。前記装置は、概ねパラボラ状をしており、旋回軸の周りを旋回運動するよう構成されたパネルにより相互接続された、放射状に間隔をあけて設けられた複数のパドルを備えている。各パドルは、全体的に前面を凹面部、背面を凸面部と規定する。低密度流体を前記パネルの半分の前記前面の凹面部に注入し、それにより各パドルの前記前面の凹面部周辺の前記流体の密度を低減し、前記旋回軸の周りで前記パネルの浮力依存性移動を付与するために、連続して間隔が空けられたパドル間の中間に、低密度流体注入器が固定されている。
【0051】
他の実施形態によると、エネルギーの生成方法が提供される。前記方法は第1密度を有する流体内に物体を配置することを含む。前記物体は、前記物体の移動時に発電するよう構成されたエネルギージェネレータと係合している。前記方法はまた、前記流体内における前記物体の浮力依存性移動を付与し、前記エネルギージェネレータによる発電を行うために前記流体の密度を低減させることと、前記エネルギージェネレータにより生成されたエネルギーを回収することを含む。
【0052】
他の実施形態によると、エネルギーの生成方法が提供される。前記方法は、第1密度を有する流体の第1部分に第1物体を提供すること、流体の前記第1部分の密度を第1物体の密度より低下させ、それにより、反応した第1物体の浮力依存性移動を誘発するために流体の前記第1部分に低密度流体を注入すること、および前記第1物体の浮力依存性移動に基づきエネルギーを生成することを含む。
【0053】
他の実施形態によると、流体の第1部分に第1物体を配置することは、流体の前記第1部分において前記第1物体を第1ポジションに配置することを含む。
【0054】
他の実施形態によると、前記流体の前記第1部分へ低密度流体を注入することは、流体の前記第1部分において、前記第一物体の第2ポジションへの浮力依存性移動を誘発するために、低密度流体を注入することを含む。
【0055】
他の実施形態によると、前記方法は第2ポジションから第1ポジションへの第1物体の浮力依存性移動を誘発するために、流体の前記第1部分の密度を第1密度に戻すことを許容すること、またさらに第2ポジションから第1ポジションへと第1物体が移動する時にエネルギーを生成することを含めることを、さらに含んでもよい。
【0056】
〔図面の簡単な説明〕
前述の概要は、後述の好ましい実施形態の詳細な説明と同様、添付の図面とあわせて読まれるとより理解が深まる。説明にあたって、図面には例示的な実施形態が示されているが、ここに開示された発明は、開示された特定の方法および手段に限定されるものではない。
【0057】
図1は、本明細書に開示された方法に従って実施され得る1またはそれ以上のステップを示したフローチャートを表わしている。
【0058】
図2は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムの概略図を表わしている。
【0059】
図3は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムを表わしている。
【0060】
図4は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムを表わしている。
【0061】
図5は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わしている。
【0062】
図6は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わしている。
【0063】
図7は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わしている。
【0064】
図8は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わしている。
【0065】
図9は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に準じたエネルギー発生装置を表わしている。そして、
図10は、本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に準じたエネルギー発生装置を表わしている。
【0066】
〔詳細な説明〕
ここに開示されている発明は、法的要件を満たすために特別に説明されているものである。しかし、説明そのものは、本特許の範囲を限定するものではない。むしろ発明者らは、特許請求の範囲に記載の発明が、他の既存または将来の技術とともに、本書に記載されたものと類似する別のステップまたは要素を含んだ他の方法でも具現され得るよう、鋭意検討を行った。加えて、用いられた方法の異なる態様を内包するためにここで「ステップ」という用語が使われることがあるが、その用語は個別のステップの順序が明確に記述されていない限り、またそのような場合を除き、ここに開示されているさまざまなステップの中で、特定の順序を意味していると解釈されるべきではない。
【0067】
ここでは、浮力依存性移動をエネルギーに変換する方法、装置、およびシステムが提供される。1またはそれ以上の実施形態において、流体中に配置した物体の浮力依存性移動をエネルギーに変換するために、ここに開示された主題に係る方法、装置、およびシステムが提供されている。物体の浮力依存性移動をエネルギーに変換する方法100に係る1またはそれ以上のステップを記載したフローチャートを、図1に示す。方法100は、流体中における物体の浮力依存性移動を付与するために流体の密度を変更するステップ(110)を含んでおり、物体が一般に下向き方向に移動し始めるよう、当該流体の密度が物体の密度よりも低くなるように変更される。物体は、複数ある物体の中の最初の1つまたは独立型の物体であってもよく、流体の第1部分に設置することができる。ここに開示されている方法の実施については、ここに同様に開示されているさまざまなシステムおよび装置に関して考察され得るであろうし、その中で、物体の浮力依存性移動を付与するために液体密度を変更する一態様として、低密度流体注入が参考となり得る。流体の第1部分への低密度流体注入は、液体密度を変更する態様の一例であるが、他の方法および態様は等しく適用可能であり、ここで開示されているさまざまなシステムおよび装置に組み込まれるように意図されている。例として液体密度の変更は、流体の一部に対する温度変化の付与、流体に対する固体または半固体物質の注入、または流体の一部に対する振動の付与、を含んでもよい。
【0068】
その後、流体中における物体の浮力依存性移動に基づき、エネルギーが生成される(120)。その後、流体密度は、当該流体の本来の密度へ戻されてもよい(130)。このように本来の密度へ戻ることについては、例えば気泡のような低密度流体の泡を周辺環境へ逃がすこと、もしくは別のシステムまたは装置による何らかのアクションに反応することで実現されてもよい。そして、流体が通常の密度に戻るときの物体の浮力依存性移動に基づき、エネルギーが生成される(140)。こうして、物体は、その物体が流体内で浮遊している、乳化されている(emulsed)、 または浮上しているという第1のポジション、および、流体中の物体に浮力依存性移動を付与するために流体本来の密度を変更するステップ(110)の後における物体の位置に一般的に対応する第2のポジションを持つことがある。流体が本来の密度に戻ることを許容する(130)ことに一般的に相当するステップ、および流体中の物体の浮力依存性移動に基づきエネルギーを生成すること(140)に相当するステップにおいて、物体は第1のポジションに戻る。ここで説明されているように、流体の本来の密度を変更することは、流体中に低密度の流体を注入することによって密度を低下させることを含んでもよいし、あるいは別の実施形態として、流体密度を低下させるため流体中に低密度の流体ボイド(fluid voids)を作り出すための超音波または他の振動方法を用いてもよい。さらに他の実施形態においては、海底などの自然源からの天然ガスの放出を利用することにより、このことが実現されることがある。物体が設置されている流体の密度を低下させるためのこれら各々の方法は、ここに開示されているいずれのシステムまたは装置とともに用いることができる。これらの実施形態は非限定的な事例として提供されているが、本明細書内には同様のことを実現する他の方法が包含されることが意図されている。
【0069】
「物体」という用語は下記に説明されるとおり、流体の中を移動する単一の物体、複数の物体、単一の装置、または複数の装置を含むが、これに限定されるものではない。物体の動きは、また、流体と流体を保有する容器とが、表面に固定される等により固定されている状況において、物体が周囲流体の中を移動する実施形態、および前述の実施形態にて周囲流体を通過する物体が、表面に固定される等により固定されている状況において、流体および容器が物体の周りを移動する実施形態を含むことを意図しているが、これに限定されるものではない。ここに開示されている実施形態は、物体が容器内の流体を通過する場合の実施形態を説明するものであり、非限定的な記述および図解を意図している。
【0070】
物体の本来の密度が周囲流体の本来の密度よりも低い、または等しい場合が実施形態において想定されていること、また物体の本来の密度が周囲流体の本来の密度よりも高い場合が実施形態において想定されていることは、当業者であれば理解されるべきである。ここに開示されている実施形態は、物体が周囲流体よりも低いまたは等しい本来の密度を有すると仮定しており、非限定的な記述および図解を意図している。
【0071】
周囲流体の密度を変更することに加えて、その流体内を移動する物体の密度も変更することで、流体と物体との相対密度に差異を与えることができる。非限定的な例として、物体の内部に気体またはその他の流体を注入して浮力を増加させてもよいし、あるいは、物体の内部を非ガス状物質(例えば、周囲流体)で満たして浮力を減少させてもよい。ある実施形態においては、流体の本来の密度が物体よりも高いことがあり、他の実施形態では流体の初期密度が物体よりも低いことがある。密度の最大差を作り出すことによって、可能な限り最大のエネルギーが作り出され、その結果、可能な限り最大の運動エネルギーが作り出される。よって、いくつかの実施形態においては、密度の最大差を作り出すことが、ここに開示された発明の主題が実施された場合に利点とされることがある。物体の密度が交互に流体よりも低くなったり高くなったりするよう、物体と周囲流体との相対密度を変化させることによって、周囲流体中での物体の動きに周期的なパターンが作り出される。その後、物体の運動エネルギーを電力に変換するために、適切なプロセスおよび/またはシステムを利用することができる。
【0072】
図2には、物体の浮力依存性移動をエネルギーに変換するシステムが示されている。当該システム200は、一般に、低密度の流体源220を供給するよう構成された制御システム210を備えていてもよい。エネルギー発生装置は、制御システム210および低密度の流体源220と接続している。図面全般にわたってエネルギー発生装置のさまざまな実施形態が描かれている。また、エネルギー消費装置またはシステムも、エネルギー発生装置により生成されたエネルギーを消費するために、当該装置に接続させてもよい。加えて、エネルギー発生装置によって生成されたエネルギーを貯蓄するために、エネルギー貯蓄装置250を設けてもよい。エネルギー貯蓄装置250はエネルギー貯蓄に適しているものであればどのような形態のものが設けられてもよく、電池またはその他の化学的貯蔵装置、電力用コンデンサ、スーパーコンデンサ、または磁気エネルギーストレージ、機械的な様態、蓄熱、または同種のものが含まれることがある。
【0073】
ここに開示されている主題に係る方法、装置、およびシステムは、低密度の流体源220とともに使用するよう構成されており、当該流体源は、1またはそれ以上の実施形態において、製造または産業設備からの流体源であってもよい。これらの設備は、低密度の流体を副製品として産出する設備であればいかなるものも含むことができる。低密度の流体の例としては、さまざまな産業プロセスから排出される二酸化炭素等の排気ガス、または熱水のような低密度の流体を含むことがある。ここで用いられている「低密度」とは、物体が配置されている流体本体の密度よりも低い密度を持ち、任意のエネルギー発生装置と共に用いる流体のことを指している。適切な流体として気体または数種の気体の組み合わせが用いられるが、利用されうる気体の例として、二酸化炭素、空気、窒素、および化石燃料、バイオ燃料、またはその他の炭素含有素材の燃焼から生じる気体状の生成物が挙げられる。
【0074】
図3には、ここに開示されている主題の1またはそれ以上の実施形態に係るエネルギー発生装置の一例が示されており、生産設備1は、ここに開示された主題に係る方法、装置、およびシステムと組み合わせて使用することができる。生産設備1は石炭、原子力、またはその他による発電プラントであってもよく、また低密度流体を副製品として産出する適切な産業設備であればどのようなものでもよい。設備1は外部のエネルギー貯蓄装置250を含んでもよい。エネルギー貯蓄装置250は、電力線支持体3へと延びる電力線6等のエネルギー伝送線と接続されてもよい。
【0075】
設備1は隣接する地上構造物4の上に設置される。設備1から流体の第1部分320まで低密度流体を輸送するために、導管5またはその他の適切な装置が設けられてもよい。設備1から流体本体320まで低密度流体を送り込むための排出(輸送)力を供給するため、ポンプ340が設けられてもよい。導管5を通過する低密度流体の量をモニタリングするために、流量計342を導管5に接続してもよい。
【0076】
流体注入器332は導管5と接続させて設けてもよく、流体注入器332は、流体の第1部分320に隣接するよう設置される。1またはそれ以上の実施形態において、流体は水のような適切な液体であってもよいが、好適なものであれば、他のどのような液体であってもよい。当該注入器332は、流体の第1部分320に低密度流体を放出するよう構成された適切な注入器であればどのようなものでもよい。低密度の流体が流体の第1部分320と混合する速度を上げるために、低密度の流体をさらに細かく分散された流体に分離する調節部(バッフル)344またはその他の部材が提供されてもよい。このようにして、低密度の流体が流体の第1部分320に混合すると、流体の第1部分320の相対密度が低下する。すなわち、流体の第1部分320において変更された密度は、当該流体の本来の密度よりも低下することになる。ここで用いられている流体の本来の密度とは、選択された温度および圧力における流体密度を表している。例えば、摂氏約22度での水の本来の密度は、1立方メートルあたり約998キログラムである。塩をはじめとするその他物質を含む水は、異なる密度を有する。
【0077】
図3には、ここに開示されている設備1とあわせて使用する装置の概略を部材番号310として示す。装置310は、間隔があいた複数の物体312を含む。各物体312は、一般に偏長回転楕円形状であってもよく、1またはそれ以上の実施形態においては、各物体312の容積が規定されるように、各物体312の一部を空洞としてもよく、または各物体312が同質または異質の構造としてもよい。各物体312は、中心軸(旋回軸)314からから延びる支柱316により支えられている。図面に示されているように、各物体312は、それぞれ連続する物体312と等間隔で離してもよい。または、連続する物体312同士の間隔は、1またはそれ以上の実施形態によっては異ならせてもよい。中心軸314は、任意の物体312の回転運動が他の物体312のそれぞれと、同等かつ対応した動きを付与するよう構成されてもよい。中心軸314は、流体の第1部分320と流体の第2部分322とを隔てる役割を持つ固体の密度仕切り334によって支えられてもよい。固体の密度仕切り334は、ここでは隔壁という文言で記載されることがある。各物体312は流体の第1部分320または流体の第2部分322のいずれかの中に提供されてもよい。このように、固体の密度仕切り334は、各部分がそれぞれもう一方の部分と異なる密度を持つよう、流体の第1部分320と流体の第2部分322とを分離する役割を持つ。固体の密度仕切り334は、物体312および支柱316を通過させる切り抜き部をさらに有してもよい。したがって、低密度の流体が気体注入器332から流体の第1部分320へ注入されると、流体の第1部分320の密度はその本来の密度と比べ低下する一方で、流体の第2部分322の密度は、固体の密度仕切り334によって流体の第1部分320と流体の第2部分322とが分離されている状態が保たれるため、当該流体の本来の密度と比較的同等の密度が保たれる。
【0078】
注入器332から低密度の流体を注入することにより流体の第1部分320の密度が低下すると、流体の第1部分320に配置された各物体312に対し付与される浮力依存性力が低下する。流体の第1部分320の密度が各物体312の密度よりも低くなると、各物体312は流体の第1部分320内を下方移動または「沈下」し始める。図面においては、物体312が当該物体を有する流体の密度低下により移動した様子を図示するため破線が用いられている。各物体312が中心軸314に結合されているため、物体312のそれぞれが当該中心軸の周りを回転し始め、複数の物体312一式が、図3に示されているように反時計回りの方向に回転し始める。複数の物体312の回転は、流体の第1部分320への低密度の流体注入が停止した後、流体の第1部分320内の密度が本来の密度に戻るまで継続する。
【0079】
中心軸314は、発電機330と接続されてもよく、当該発電機330は、送電線6および設備1、またはエネルギー貯蓄装置250に接続されてもよい。発電機330は中心軸314の回転または回転運動を電気エネルギーに変換するよう構成されてもよい。これは当業者に公知のいかなる態様で行ってもよい。
【0080】
図3においては、装置310が1つのみ示されているものの、エネルギー生産を増加させるために複数の装置を直列または並列に配列してもよい。例えば、中心軸314から延びる支柱316に支えられた複数の物体312からなるセットを複数準備してもよい。同様に、エネルギー生産を増加させるために、ここで開示されている1またはそれ以上の実施形態のいずれかに示されている複数の装置を、直列または並列で配列してもよい。
【0081】
図4に、ここに開示されている発明に係る1またはそれ以上の実施形態が示されており、その中でエネルギー生産のために設備1が装置410と協働している。設備1は、送電線6によって、エネルギー貯蓄装置250および送電線支持体3に同様に結合されている。導管5を通じて低密度の流体を送り出すために、ポンプ440を設けて排出力を提供してもよい。低密度の流体の流れを調節するために、導管5と接続された流量計442を提供してもよい。低密度の流体を流体の第1部分416へ注入するために、導管5の端部に流体注入器422を提供してもよい。低密度の流体を分散させるために、流体注入器422の吹き出し口付近に調節部または他の種類の流体分離機構436を設けてもよい。装置410は、流体の第1部分416の中に第1物体412を有しており、当該物体412は中心軸414から延びる支柱430により支えられている。中心軸414は、流体の第1部分416と流体の第2部分424を分離するための密度仕切り434によって支えられてもよく、流体の第2部分424の中には、中心軸414から延びる支柱430により支えられた第2物体432が存在する。中心軸414は、図3にて開示されている発電機330と同様、発電機420と結合されている。
【0082】
装置410は前後の相反移動をするよう構成されており、当該運動においては、低密度の流体が流体の第1部分416へ注入され当該流体の密度が第1物体の密度412よりも低下すると、当該装置の中で第1物体412が下方移動する。装置410は、低密度の流体を第1部分416へ断続的に注入することで、第1物体412が反時計回りに回転し、密度仕切り434にほぼ到達するまで、十分な量の低密度の流体を、まず流体の第1部分416へ注入する。その時点で、低密度の流体は流体の第1部分416へそれ以上注入されなくなり、密度は当該流体の本来の密度に戻り始める。これが生じると、第1物体412は、相対的な垂直位置(ポジション)が第2物体432のそれと概ね同等になるまで、時計回りに回転する。
【0083】
1またはそれ以上の実施形態において、それぞれの流体部分で交互に断続的な低密度の流体注入ができるよう、流体の第1部分416および流体の第2部分424に低密度流体注入器を提供してもよい。
【0084】
図4に示されるように、ここに開示されているエネルギー発生装置は、それ自体が独立型容器460に含まれる形式であってもよいが、図3に描かれているように、海、湖、またはその他の水体のような自然環境の一部であってもよい。
【0085】
流体中の物体の浮力依存性移動に基づいたエネルギー生成のステップ(140)に関するブロックに示されているように、そのようなステップが装置410に包含されることがある。例えば、流体の第1部分416がその本来の密度に戻るとき、第1物体412は、第1物体412が第2物体432と概ね整列するまで、一般に上向き方向への浮力依存性移動を始める。このようにして、流体の第1部分416が本来の密度に戻るときに、装置410における典型的な上方移動の間、エネルギー生産が実現され得る。
【0086】
図5に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係る発電装置が、部材番号510により概略的に示される。装置510は、低密度の流体源220に接続された低密度流体注入器518と接続されていてもよい。装置510は容器(チェンバー)512を有し、その中に流体515を格納するよう構成されている。流体515内に物体514が準備され、さらに、物体514の移動時に電気エネルギーを生成するよう構成された発電機(電気ジェネレータ)516と物体514が結合される。物体514は接続部材520により、発電機516と結合される。当該部材はケーブル、支柱、または同様の構造を持つものであってもよい。次いで発電機516は、当該発電機により生成されたエネルギーを貯蓄するためにエネルギー貯蓄装置250に結合されることがある。他の実施形態においては、発電機516はエネルギー消費器具または装置と直接結合してもよい。
【0087】
装置510は、物体514の密度が、容器512内に格納されている流体515の本来の密度よりも低いもしくは同等になるよう構成される。こうして、一般に物体514は、流体515が本来の密度を有しているとき、流体515内を浮上または浮遊する。注入器518により低密度の流体が容器512に注入されると、流体515の密度が物体514の密度より低くなったときに、物体514は下方移動を始める。物体514が下方移動すると、接続部材520により発電機516に運動が伝達され、それにより電気エネルギーが生成される。物体514が所望の位置に降下するまで、継続して容器512に低密度の流体を注入してもよい。その時点で、低密度の流体はそれ以上注入されなくなり、流体515は本来の密度に戻り始める。これが生じると、物体514は初期位置(initial position)まで上方移動を始める。物体514が初期位置に戻れば、低密度の流体注入プロセスを再開することが可能となる。
【0088】
図6に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係る発電装置の概略が、部材番号610により示されている。装置610は、低密度の流体源220と接続された低密度流体注入器618と接続されてもよい。装置610は容器612を有し、その中に流体615が格納するよう構成されている。流体615内には物体614が提供され、この物体614はシャフト620内にねじ込み式で支えられる。シャフト620は、さらに、シャフト620の回転時に電気エネルギーを生成するよう構成された発電機616に結合されている。シャフト620は、物体614がその浮力依存性移動により上方および下方へ移動するときに回転運動を行うよう構成されている。これは、物体614が垂直に移動する際に物体614の回転配置が維持されるように物体614を容器612の壁面に取り付けることで実現されてもよい。そして、発電機616は、当該発電機で生成されたエネルギーを貯蓄するためにエネルギー貯蓄装置250に結合されてもよい。他の実施形態においては、発電機616はエネルギー消費器具または装置と直接結合されることがある。
【0089】
装置610は、物体614の密度が、容器612に格納されている流体615の本来の密度よりも低いまたは同等になるよう構成される。低密度の流体が容器612に注入されると、物体614は、流体615の密度が物体614の密度よりも低くなったときに下方移動を始める。物体614が下方移動をするとシャフト620が回転し、対応する回転運動が発電機616に付与され、それにより発電がおこなわれる。物体614が所望の位置に降下するまで、継続して容器612に低密度の流体を注入してもよい。その時点で、低密度の流体はそれ以上注入されなくなり、流体615は本来の密度に戻り始める。これが生じると、物体614は初期位置まで上方移動を始める。物体614が初期位置に戻ると、低密度の流体注入プロセスを再開することが可能となる。
【0090】
図7に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係る発電装置の概略が、部材番号710により示される。装置710は、低密度の流体注入器718と接続されてもよく、さらに、低密度の流体注入器718は低密度の流体源220まで接続されている。装置710は容器712を有し、その中に流体715を格納するよう構成されている。流体715内には物体714が提供され、垂直の浮力依存性移動を行うよう構成される。物体714は、その表面に少なくとも1つの磁石720を固定する。各磁石720は、容器712の表面に固定された誘導コイル722の近くを移動するとき、誘導エネルギーを生成するよう構成されている。次いで誘導電荷を使用可能な電力形態に変換するために変圧器716を設けてもよい。次いで変圧器716は、そこで生成されたエネルギーを貯蓄するためのエネルギー貯蓄装置250に結合されてもよい。他の実施形態においては、変圧器716はエネルギー消費器具または装置と直接結合されてもよい。
【0091】
装置710は、物体714の密度が、容器712に格納されている流体715の本来の密度より低いもしくは同等になるよう構成される。低密度の流体が容器712に注入されると、物体714は、流体715の密度が物体714の密度よりも低くなったときに下方移動を始める。物体714が下方移動するとコイル722の側を磁石720が通過することによって、誘導エネルギーが作り出される。物体714が所望の位置に降下するまで、継続して容器712に低密度の流体を注入してもよい。その時点で、低密度の流体はそれ以上注入されなくなり、流体715は本来の密度に戻り始める。これが生じると、物体714は初期位置まで上方移動を始める。物体714が初期位置に戻ると、低密度の流体注入プロセスを再開することが可能となる。
【0092】
図8に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係る発電装置の概略が、部材番号810により示される。装置810は、低密度の流体注入器818と接続してもよく、さらに、低密度の流体注入器818は低密度の流体源220まで接続されている。装置810は容器812を有し、その中に流体815を格納するよう構成されている。流体815内には物体814が提供され、垂直の浮力依存性移動を行うよう構成される。物体814はその表面に少なくとも1つの誘導コイル822を固定する。各誘導コイル822は、容器812の表面に固定された磁石820の近くを移動するとき誘導エネルギーを生成するよう構成される。次いで誘導電荷を使用可能な電力形態に変換するために変圧器816を設けてもよい。次いで変圧器816は、そこで生成されたエネルギーを貯蓄するためにエネルギー貯蓄装置250に結合されてもよい。他の実施形態においては、変圧器816はエネルギー消費器具または装置と直接結合されてもよい。
【0093】
装置810は、物体814の密度が、容器812内に格納されている流体815の本来の密度よりも低いもしくは同等になるよう構成される。低密度の流体が容器812に注入されると、物体814は、流体815の密度が物体814の密度よりも低くなったときに下方移動を始める。物体814が下方移動すると、コイル822のそばを磁石820が通過することにより、誘導エネルギーが作り出される。物体814が所望の位置に降下するまで、継続して容器812に低密度の流体を注入してもよい。その時点で、低密度の流体はそれ以上注入されなくなり、流体815は本来の密度に戻り始める。これが生じると、物体814は初期位置まで上方移動を始める。物体814が初期位置に戻ると、低密度の流体注入プロセスを再開することが可能となる。
【0094】
図9に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係る、発電のための装置910とともに使用するシステム900の概略が示されている。装置910は、低密度の流体注入器918に接続してもよく、さらに低密度の流体注入器918は低密度の流体源220まで接続されている。装置910は容器912を有し、その中に流体915を格納するよう構成される。流体915内にシャトル914が提供され、垂直の浮力依存性移動を行うよう構成される。シャトル914は、容器912の内周の周縁部に設置された磁石922の輪を固定する。磁石922の輪は、容器912内の下端から上端にわたって延びる中心軸920から間隔を空けて設けられていてもよく、中心軸920から磁石922の輪にわたって延びる複数のブレード916によって結合されることがある。各磁石922は、容器912の表面に固定された誘導コイル924の近くを移動するときに誘導エネルギーを生成するよう構成されている。この誘導は、誘導コイル924に関して磁石922が概ね垂直方向に移動することによって発生されてもよいし、または、中心軸920に対するブレード916の角度関係に起因させて、誘導コイル924に関して磁石922が回転運動を行うことによって発生されてもよい。誘導エネルギーをその他のエネルギー形態に変換するためにエネルギージェネレータ928が提供されてもよい。図9において電球として示されているエネルギー消費装置930は、生成されたエネルギーを使用するためにエネルギージェネレータ918に接続して設けられてもよい。
【0095】
装置910は、シャトル914の密度が、容器912内に格納されている流体915の本来の密度よりも、低いまたは同等になるよう構成される。低密度の流体が容器912に注入されると、シャトル914は、流体915の密度が往復シャトル914の密度よりも低くなったときに下方移動を始める。シャトル914が下方移動すると、コイル924のそばを磁石922が通過することにより誘導エネルギーが作り出される。中心軸920には、シャトル914が垂直移動をする際に回転運動が付与されるよう、ねじ部を設けてもよい。シャトル914が所望の位置に降下するまで、継続して容器912に低密度の流体を注入してもよい。その時点で、低密度の流体はそれ以上注入されなくなり、流体915は本来の密度に戻り始める。これが生じると、シャトル914は初期位置まで上方移動を始める。シャトル914が初期位置に戻ると、低密度の流体注入プロセスを再開することが可能となる。
【0096】
図10に、開示された主題の1またはそれ以上の実施形態に係るエネルギー発生装置の概略が、部材番号1010により示されている。当該装置は、容器1017に格納されている流体本体1015の中に設置されるよう構成されている。装置1010は、放射状に間隔を空けて設けられた概ねパラボラ状の複数のパドル1012を備えている。パドル1012はパネル1014によって相互接続されている。パネル1014は旋回軸1016の周りを旋回運動するよう構成されている。各パドル1012は、全体的に、前面を凹面部1020、背面を凸面部1022と画定する。連続して間隔が空けられたパドル1012間の中間に低密度流体注入器1204が画定され、そこから低密度の流体を注入する。低密度流体注入器1024から注入された低密度の流体1026は注入時に上昇する。この時点で、低密度の流体1026は、各パドル1012の前面の凹面部1020または背面の凸面部分1022のいずれかの近傍に配置される。図10に示されているように、装置1010のパドル1012の半数は、低密度流体1026を前面の凹面部1020に有しており、それにより生じる前記パドル1022周辺の密度の低下により反時計回りに浮力依存性移動が付与される。当該装置の残り半数のパドル1012は、各パドル1012の背面の凸面部分1022に圧力を付与する働きを持つ低密度流体1026を有し、それによりパドル1022に圧力が付与され、反時計回り方向への移動が生じる。そして、さらに装置1010は、エネルギーを生成するための、ここに開示されている原則に従った、そして当業者により知られているエネルギージェネレータに結合してもよい。
【0097】
あるいは、1またはそれ以上の実施形態において、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)と類似するプロセスにて、図3および図4に示されているような発電プラントから発生した低密度流体を圧縮して貯蔵するために、地下の貯蔵庫をエネルギー貯蔵に利用してもよい。ここに開示されたエネルギー生成システムまたは装置の中の1つとともに使用された場合、圧縮された気体およびその他の流体は地下に貯蔵され、必要とされるときに適切に使用されるよう流用してもよい。
【0098】
ここに開示されたシステムまたは装置の中の1つを、継続的または時期を選択して利用することが適切な場合がある。例えば、もし低密度流体の注入を利用するのであれば、ここに開示されたシステムまたは装置の中の1つを継続的に利用することが適切なことがある。他の状況では、エネルギー消費がピークを迎える時期のみに、そのピーク時間帯に一時的に供給量を増加させるために、システムまたは装置の中の1つを利用することが望ましいことがある。したがって、エネルギー網に係るエネルギー使用をモニタリングし、モニタリングに応じてここに開示されたシステムまたは装置の中の1つの運転を指揮するための制御システムが実現されてもよい。
【0099】
その他の実施形態において、エネルギー生成後の使用済み低密度流体を回収するために、ここで開示した装置のいずれかの装置とあわせて再循環および貯蓄システムを利用することができる。これは特に二酸化炭素またはその他の潜在的に危険な低密度流体が用いられる場合に有利である。回収された低密度流体は外部の貯蔵タンクに貯蔵し、必要に応じて、ここに開示された装置の中の一つへの再注入用に圧縮することができる。
【0100】
実施形態については種々の図面に係る好適な実施形態に関連して説明されてきたものの、それらから逸脱することなく同様の機能を実現するために、説明された実施形態に対し他の類似する実施形態が適用可能であり、または修正および追加が行われる可能性があることが理解されていなければならない。したがって、開示された実施形態はいかなる単一の実施形態に限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲に従って、広義に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】本明細書に開示された方法に従って実施され得る1またはそれ以上のステップを示したフローチャートを表わす図である。
図2】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムの概略図である。
図3】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムを表わす図である。
図4】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー生産システムを表わす図である。
図5】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わす図である。
図6】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わす図である。
図7】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わす図である。
図8】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に従ったエネルギー発生装置を表わす図である。
図9】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に準じたエネルギー発生装置を表わす図である。
図10】本発明に係る1またはそれ以上の実施形態に準じたエネルギー発生装置を表わす図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10