(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911433
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】弾性材料から射出成形された一体型フラップデバイス
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20160414BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20160414BHJP
F16K 15/03 20060101ALI20160414BHJP
F16K 15/14 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
B65D43/16 101
B65D47/08 F
F16K15/03 D
F16K15/14 E
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-552452(P2012-552452)
(86)(22)【出願日】2011年2月15日
(65)【公表番号】特表2013-519594(P2013-519594A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】FR2011050319
(87)【国際公開番号】WO2011101588
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2013年11月27日
(31)【優先権主張番号】1051080
(32)【優先日】2010年2月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】304043936
【氏名又は名称】ビオメリュー
【氏名又は名称原語表記】BIOMERIEUX
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】フーコー, フレデリック
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−080457(JP,U)
【文献】
特開昭62−155382(JP,A)
【文献】
実開昭63−052052(JP,U)
【文献】
実開昭56−141261(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第01407820(EP,A1)
【文献】
実開昭63−006941(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B65D 47/08
F16K 15/03
F16K 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの互いに異なる体積空間を分ける、弾性材料製の、一体型のフラップデバイス(10)であって、
a)導管を提供する、略円筒形の本体(12)と、
b)前記デバイス(10)が閉位置にあるとき、前記本体(12)の前記導管の開口部を密封し、且つ前記本体(12)の内側に配置されているフラップ(14)と、
c)前記デバイスの前記本体(12)を前記フラップ(14)に連結し、且つ前記フラップ(14)の位置に関係なく弾性応力が生じているアーム(16)と、
を備え、
前記本体(12)は、前記本体(12)の壁に垂直な環状帯の形状の少なくとも1つの周縁リップ部(122)を前記本体(12)の円筒の一端に備えることにより、前記本体(12)の端部における円筒の内径を減少させるようになっており、
前記閉位置では、前記アーム(16)をねじることにより、前記フラップ(14)を前記周縁リップ部(122)を越えて前記本体(12)の外側から内側へ移動させ、前記アーム(16)の弾性応力により前記フラップ(14)の外面の一部を前記周縁リップ部(122)の内面に係止させるようになっており、
前記フラップ(14)を閉位置よりさらに内側方向に移動させることにより前記デバイス(10)が開位置にある、デバイス。
【請求項2】
前記アーム(16)は、前記本体(12)の前記導管を通って、前記デバイスの前記本体(12)を前記フラップ(14)に連結する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記弾性材料は、熱可塑性エラストマ、架橋または加硫エラストマ、シリコーン、フルオロシリコーン、フッ素化合物エラストマ、ポリイソプレン、天然ブチルまたはニトリルゴム、フルオロカーボン重合体を含む群から選択される、請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記フラップ(14)は略平らである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記フラップ(14)は、前記フラップ(14)の変形を促進する変形手段(141)を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記デバイス(10)の前記本体(12)は、前記本体を容器に配置することが可能な形状を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記デバイス(10)の前記本体(12)は、前記本体を供給元容器と供給先容器との間、または管の上流側と管の下流側との間の境界に配置することが可能な形状を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
流体を管理するための栓として容器に一体とされたストッパとしての、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス(10)の使用法。
【請求項9】
流体を管理するために容器に一体とされた弁としての、請求項1〜5および7のいずれか一項に記載のデバイス(10)の使用法。
【請求項10】
流体を管理するために容器に一体とされた弁として使用される請求項1〜5および7のいずれか一項に記載のデバイス(10)によって分けられている、供給元体積空間と供給先体積空間との間で液体を移す方法であって、
a)移される前記液体により、前記弁の前記フラップ(14)上に、前記フラップ(14)が開くのに十分な圧力を印加し、前記弁の前記アーム(16)を弾性応力下に置くステップと、
b)前記所要の体積の液体を移すのに十分な時間、前記圧力を維持するステップと、
c)前記弁の前記アーム(16)により及ぼされる弾性復元力によって前記フラップ(14)を前記閉位置に戻すために、前記圧力の印加を打ち切るステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
流体を管理するための栓として容器に一体とされたストッパとして使用される請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス(10)によって密封された前記容器に入れられている液体試料から一部分を採る方法であって、
a)前記ストッパの前記フラップ(14)が開くように、液体試料を採るための吸引/放出デバイスによる圧力を、前記閉位置にある前記ストッパの前記フラップ(14)に印加し、前記ストッパの前記アーム(16)を弾性応力下に置くステップと、
b)前記吸引/放出デバイスの先端部が前記液体試料の中に沈むまで、前記吸引/放出デバイスを前記容器に突き入れるステップと、
c)所定の体積の前記液体試料を吸引するステップと、
d)前記吸引/放出デバイスを前記容器から引き抜き、その結果、前記フラップ(14)に及ぼされた前記圧力の印加が打ち切られ、前記ストッパの前記アーム(16)によって及ぼされる前記弾性復元力により、前記フラップ(14)が前記閉位置に戻るステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
流体を管理するための栓として容器に一体とされたストッパとして使用される請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス(10)によって密封された前記容器に、液体を分配する方法であって、前記液体は、液体試料を採るための吸引/放出デバイスに入れられており、前記方法は、
a)前記ストッパの前記フラップ(14)が開くように、前記吸引/放出デバイスによる圧力を、前記閉位置にある前記フラップ(14)に印加し、前記ストッパの前記アーム(16)を弾性応力下に置くステップと、
b)前記吸引/放出デバイスを前記容器に突き入れるステップと、
c)前記容器の内部に、前記吸引/放出デバイスの中に入れられている前記液体を、所定の体積だけ分配するステップと、
d)前記吸引/放出デバイスを前記容器から引き抜き、その結果、前記フラップ(14)に及ぼされた前記圧力の印加が打ち切られ、前記ストッパの前記アーム(16)によって及ぼされる前記弾性復元力により、前記フラップ(14)が前記閉位置に戻るステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、容器の流体密性を確実にすることを意図したデバイス(例えばストッパ)、または、2つの互いに異なる体積空間の間の流体密性を確実にすることを意図したデバイス(例えば弁)の技術分野である。
【0002】
生物学的分析システム、特に生体外診断のシステムにおいて、様々な種類の液体、より詳細には全血、血清、尿、脳脊髄液または他に関節液などの生物学的液体を受容するための使い捨て可能なプラスチック管が従来から使用されている。
【0003】
これらの管を運搬するために、これらの管に従来の硬質プラスチック・ストッパを使って栓をする場合、上記のシステムでこれらの管を使用するにあたり、取扱者は、管を機器に取り付ける前に、そのストッパを取り除くことが必要になる。この作業は、管に入れられている液体によって取扱者が汚染されるという潜在的な危険を伴う。同じく、取扱者は、生物学的液体の汚染源となる可能性があり、したがって、分析結果を損なう可能性がある。
【背景技術】
【0004】
この問題に対する解決策は、天然または合成ゴムをベースとする材料でできているストッパ(まとめて隔膜と呼ぶ)を使用することである。金属針は剛性があり鋭いので、このストッパに突き刺して通すことができ、そして、その針を引き抜くと、ストッパ材料の弾性特性によってストッパは再び閉じる。しかし、このようなストッパは、使い捨て可能なプラスチック・コーンを使用しているピペットデバイス用としては適さない。実際には、コーンの先端部のサイズが大きいため、材料の損傷を起こし得る過剰な圧力を加えない限り、コーンでストッパを突き刺すことができない。
【0005】
金属製の針はなおのこと、プラスチック・コーンを、ストッパを回して外すことなく通すことができるよう、その他のデバイスが開発されている。
【0006】
「クロススリット弁」タイプのストッパを挙げることができる。そのストッパは、例えばMinivalve社で製造されるもの(CR 150.001, CR270.001…)、およびVernay社で製造されるもの(VA4394, VA5904…)などである。これらのストッパは本来、トロカールを通すことができるように設計されている。これらのストッパは、射出され、その後クロスに切られる。
【0007】
これらのストッパは、たいてい、シリコーンまたは架橋ゴムでできている。シリコーンまたはゴムの導入には、材料の架橋を型の中で直接可能にするための特別な生産方法が必要とされる。これにより、製造時間が無視できないほど長くなることがある。最終的に、生産された物品の切り出し(例えば、ストッパのベースのクロス形の切り出し)など、さらなる機械加工が必要である場合、これは、製品の製造費用、したがって原価に直接的な影響を及ぼす。
【0008】
これらと同じ問題が、「クロススリット」タイプまたは「ダックビル」タイプの弁のように、同じように設計されたデバイスにも生じる。これらの弁は、2つの互いに異なる体積空間の間で液体を移すために用いられる。
【0009】
さらに、柔軟な材料が変形するという原理に基づくこれらの先行技術の弁は、同じ問題、すなわち自由な流路が制限されるという問題を有し、流路は流れに順応するものの、そのことが著しい負荷の損失につながる。
【0010】
組立てられた、または共射出されたいくつかの部分でできている他のタイプのストッパがある。一般には、中心部はエラストマ、周辺部は硬い熱可塑性物質でできており、この周辺部によって、ストッパを、密封されるデバイスにクリップしたりねじ込んだりして固定することができる。
【0011】
しかしながら、2材料射出(または共射出)は、技術的に難しい方法であり、特に、特別な型および特別な射出成形機を必要とする。したがって、このようにして生産された物品は、単一射出で生産された物品よりはるかに高価である。さらに、組み立て工程が追加されるため、これも製品の原価を上げる要因となる。
【0012】
したがって、これらのデバイス、つまりストッパまたは弁はいずれも、使い捨て可能な消耗品の市場のために生産するには高価である。実際、多くの場合、消耗品は生物学的分析においてただ一度だけ使用される。したがって、その製造原価は、可能な限り低くなければならない。
【0013】
特許文献1には、管に配置することを意図した、フラップ付の隔壁が記載されている。プラスチックでできているフラップは、板ばねによって円形のジョイントに連結される。フラップは楕円形である一方、容器自体の断面は円形であり、フラップの完全な上昇を妨げる。したがって、このような構造では、フラップの流体密性には限界がある。これは流体密性が重要な要素である特定の使用目的において重大な欠点になり得る。
【0014】
特許文献2には、フラップを有するパイプが記載されている。このフラップは、ヒンジによってパイプに取り付けられ、このヒンジは、フラップがパイプの端部に配置されるとき変形する帯の形をしている。フラップはまた、その周辺部上に環状部を備えている。周辺部は、パイプの外壁に設けられた突起部に固定され、フラップがパイプから離れるのを防止している。この構成では、その柔軟な構造によって、フラップをパイプの先端部から取り除くことができ、パイプに流れ込む液体を先端から出すことができる。それでもやはり、このようなフラップ構造は、容器に配置されるには決して適切ではなく、その容器は、ピペット装置によって突き通さなければならない。
【0015】
現在の技術水準から分かることは、実用性と使い易さを兼ね備え、特に、液体試料を入れた分析管に配置されたときに、ピペット装置を使って試料の一部を簡単に採取可能にするストッパは存在せず、且つ、極めて高価な生産コスト、それゆえ単回使用とは相容れない原価を必要としない単純な設計を兼ね備えたストッパは存在しないということである。
【0016】
また、現在の技術水準からは、実用的で使い易く、完全な開放と有効なノン・リターン・フラップ・システムとを組み合わせた、単回使用と適するほど生産コストの低い弁は存在しないということもあきらかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願第407820A1号明細書
【特許文献2】英国公開特許第342427A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、単一材料製且つ一体型のデバイスを提案することによって、これらの欠陥に応えることである。このデバイスは、簡単に設計され、生産が容易であり、
・ストッパとしては、管の液体に関して完全な流体密性を保証しながら、ピペットデバイスを、ストッパが配置されている管の内部に簡単に入れることができるようにするために、また、
・弁としては、2つの互いに異なる体積空間(管であっても容器であっても)の間で効率的に液体を移すことができるようにするために、使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的は、とりわけ、2つの互いに異なる体積空間を分ける、弾性材料製の一体型のフラップデバイスに主として関する本発明によって達成され、このデバイスは、
a)導管を提供する、略円筒形の本体と、
b)デバイスが閉位置にあるとき、本体の導管の開口部を密封するフラップと、
c)デバイスの本体をフラップに連結し、且つ、フラップの位置に関係なく弾性応力位置にあるアームと、を備える。
【0020】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、アームは、本体の導管を通って、デバイスの本体をフラップに連結する。この連結は、デバイスの外側で達成される。
【0021】
有利には、弾性材料は、熱可塑性エラストマ、架橋または加硫エラストマ、シリコーン、フルオロシリコーン、フッ素化合物系合成ゴム、ポリイソプレン、天然ブチルまたはニトリルゴム、フルオロカーボン重合体を含む群から選択される。
【0022】
デバイスの特定の実施形態によれば、フラップは略平らである。
【0023】
好ましい実施形態によれば、デバイスのフラップは、フラップの変形を促進する変形手段を備える。
【0024】
特定の実施形態によれば、デバイスの本体は、少なくとも1つの周縁リップ部を備える。
【0025】
本発明によるデバイスの特定の実施形態によれば、フラップは、フラップが開くようにする物体が摺動しやすくなることを意図した手段を備える。
【0026】
有利には、デバイスの本体は、その本体を容器に配置することが可能な形状を有する。
【0027】
代替の実施形態によれば、デバイスの本体は、供給元容器と供給先容器との間、または管の上流側と管の下流側との間の境界に配置することが可能な形状を有する。
【0028】
本発明の他の目的は、ストッパとしてのデバイスの使用法に関する。
【0029】
本発明の他の目的は、弁としてのデバイスの使用法に関する。
【0030】
本発明の他の目的は、供給元体積空間と供給先体積空間との間で液体を移す方法に関する。2つの体積空間は、弁として用いられる、本発明によるデバイスによって分けられており、この方法は、
a)移される液体により、弁のフラップ上に、フラップが開くのに十分な圧力を印加し、弁のアームを弾性応力下に置くステップと、
b)所要の体積の液体を移すのに十分な時間、圧力を維持するステップと
c)弁のアームにより及ぼされる弾性復元力によってフラップを閉位置に戻すために、圧力の印加を打ち切るステップと、を含む。
【0031】
本発明の他の目的は、ストッパとして使用される本発明によるデバイスによって密封された容器に入れられている液体試料から一部分を採る方法に関し、この方法は、
a)ストッパのフラップが開くように、吸引/放出デバイスによる圧力を、閉位置にあるストッパのフラップに印加し、ストッパのアームを弾性応力下に置くステップと、
b)吸引/放出デバイスの先端部が液体試料の中に沈むまで、吸引/放出デバイスを容器に突き入れるステップと、
c)所定の体積の液体試料を吸引するステップと、
d)吸引/放出デバイスを引き抜き、その結果、フラップに及ぼされた圧力の印加が打ち切られ、ストッパのアームによって及ぼされる弾性復元力により、フラップが閉位置に戻るステップと、を有する。
【0032】
本発明の他の目的は、液体を容器に分配する方法に関する。この容器は、ストッパとして使用される、本発明によるデバイスによって密封されている。液体は吸引/放出デバイスに入れられている。この方法は、
a)ストッパのフラップが開くように、吸引/放出デバイスによる圧力を、閉位置にあるストッパのフラップに印加し、ストッパのアームを弾性応力下に置くステップと、
b)吸引/放出デバイスを容器に突き入れるステップと、
c)容器の内部に吸引/放出デバイスの中に入れられている液体を、所定の体積だけ分配するステップと、
d)吸引/放出デバイスを容器から引き抜き、その結果、フラップに及ぼされた圧力の印加が打ち切られ、ストッパのアームによって及ぼされる弾性復元力により、フラップが閉位置に戻るステップと、を有する。
【0033】
本発明の目的および利点は、以下の詳細な説明に照らしてより理解されるであろう。なお、この説明は、本発明を限定するものではなく、以下の図面によって行われたものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるデバイスを示したもので、機能していない最初の構成でのストッパの形状を斜視図で示している。
【
図2】本発明によるデバイスを示したもので、機能している構成でフラップが閉位置にある状態でのストッパの形状を斜視図で示している。
【
図3】本発明によるデバイスを示したもので、機能している構成でフラップが閉位置にある状態でのストッパの形状を、
図2のA−A軸に沿った断面図で示している。
【
図4】本発明によるデバイスを示したもので、機能している構成でフラップが開位置にある状態でのストッパの形状を斜視図で示している。
【
図5】本発明によるデバイスを示したもので、機能している構成でフラップが開位置にある状態でのストッパの形状を、
図4のB−B軸に沿った断面図で示している。
【
図6】本発明によるデバイスを示したもので、容器内部に吸引/放出デバイスが下ろされた状態で分析管タイプの容器上に配置されたストッパの形状を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1によれば、ストッパ10の形状の本発明によるデバイスは、3つの異なる部分から構成されている。第1に、略円形の断面を有する円筒形の本体12である。この円筒は、略垂直な円筒の壁121で構成される。その端部の1つにおいて、本体12は
環状帯形状の戻り部122を有する。この戻り部は、本体の壁121と直角をなし、この端部での円筒の内径を減少させている。これは、
図3から明らかである。
【0036】
ストッパ10は、フラップ14を更に備える。このフラップ14は、略円錐台形状である。フラップ14の直径は、その最も広いところでも本体12の直径より小さい。反対に、フラップ14の直径は、戻り部122における本体の直径よりは大きい、その結果、フラップは、壁121によって制限された空間内で、本体12の内側で自由に回転して動くことができ、戻り部122を扁平に圧迫する。これは、
図2および3から見てとることができる。
【0037】
フラップ14は、その面の1つの上に、互いに平行な切り抜き部分を備えており、この切り抜き部分は直線的な溝141の形をしている。これらの溝141は、ここではV形断面を有する。しかしながら、U字形状、または、狭間を備えたような異なった形にされた断面を有する溝もまた備えられてもよい。溝141によって、フラップ14の変形特性は、材料の厚さが明らかに減少しているフラップの基部に限って向上している。チェス盤模様の溝も想定できることに注目すべきである。これらの特性は、フラップを、それが配置される容器の壁の形状を抱え込むようにするために特に有利である。これは、以下でより分かりやすく説明される。
【0038】
ストッパ10は、最後にアーム16を備える。このアーム16は、ここでは、直方体形状を有する。このアームは、その側面の1つで本体12に、反対の側面でフラップ14に取り付けられる。このアーム16は、本体12とフラップ14との間でリンクとヒンジの両方として機能する。
【0039】
ストッパ10は、一体型であり、好ましくは、従来の熱可塑性エラストマ射出法によって得られる。有利には、ストッパ10は、生産コスト、したがってストッパの製造原価を可能な限り抑えるために、可能な限り最も簡単な射出法によって作製され得るように設計してある。したがって、射出金型は、好ましくは引出型移動部分を備えない。成形される材料が柔軟なため、特定の場合においては、物品が全体的な変形により金型の外に出てくることにより、少数のエジェクタ、または1つの単一の主インジェクタのみを考えれば済む。
【0040】
熱可塑性エラストマの射出は、熱架橋工程を要求するエラストマ射出法に比べて複雑ではない装置および処理を使って実現できるという利点をもたらす。したがって、生産サイクルにおける時間の節約は著しい。最終的に、この熱可塑性エラストマは、架橋エラストマと異なり、特別なダイによってさらに再利用され得る。
【0041】
このような熱可塑性エラストマは、最も有利な物理化学的および機械的特性を有する。それらのコストは、架橋エラストマに比べて低い。したがって、熱可塑性エラストマは理想的な材料である。
【0042】
本発明によるデバイスを生産するのに用いることができる熱可塑性エラストマ材料について、以下の会社が市場に出している製品名を例として挙げることができる。それらは、Arkema社(the company Arkema)の登録商標Pebax(ポリエーテルおよびアミド・ベースのコポリマ(polyether and amide−based copolymers))、エクソンモービル化学社(the company ExxonMobil Chemical)の登録商標Santoprene(エチレン・プロピレン・ジエンモノマおよびポリプロピレンの混合物(mixtures of ethylene propylene diene monomer and polypropylene))、DMS社(the company DMS)の登録商標Arnitel(ポリエステル共重合体(polyester copolymer))、または、デュポン社(the company Dupont)の登録商標Hytrel(ポリエステル熱可塑性エラストマ(polyester thermoplastic elastomer))である。
【0043】
したがって、
図1のストッパ10の構成は、平らな構成であり、例えば、ストッパの脱型工程の終了後に得られるような構成である。この構成では、ストッパは決して機能はしない。
【0044】
ストッパを機能させるために、この構成を変える必要がある。これを行うため、フラップ14は、
図1の矢印F1に従って、アーム16をねじることによって動かされ、フラップは本体12のすぐ上にくる。その後、フラップ14は、戻り部122を越えて強制的に本体12の開口を通される。この工程は、溝141の存在によって高められたフラップ14の変形性のため、容易に行われる。そして、ストッパは、機能する構成である、
図2に示す構成になる。
【0045】
この構成において、フラップ14は、
図3に示すように戻り部122の内面を圧迫するようになる。戻り部122と接触する表面のフラップの直径は、戻り部122の本体12の開口部の直径よりも十分に大きいので、フラップは、故意に外に出そうとしなければ再び本体から出ることはありえないことが分かる。
【0046】
この構成において、アーム16は、ねじれており応力下にある。アーム16は弾性特性を有しているので、フラップ14に力を及ぼすことができ、フラップ14を戻り部122に、矢印F2の方向に押し付ける傾向があり、したがって、ストッパの流体密性を保証することになる。フラップ14が閉じられているこの構成において、ストッパ10は、安定形状にある、すなわち、上記のアーム16によって及ぼされた力と戻り部122によってフラップ14に及ぼされた反力は、互いを相殺している。
【0047】
図4〜
図6は、フラップ14が開いた構成である、本発明によるストッパを示している。
図4および
図5において、ストッパ10は、フラップ14の開口が実際上最大となっている構成で示されている。実際に、これらの図で明らかに示されているように、フラップ14の平面は、戻り部122の平面に略垂直に位置している。注目すべきなのは、フラップ14は、
図5の矢印F3に示す、外部からの力の作用によってのみ開き得るということである。実際、この構成で、アーム16に生じる弾性応力は、事実上最大である。
【0048】
図6は、慣用のケースでの、「開いた構成」のストッパ10を示す。実際、ここではストッパ10は、円形断面を有する略円筒形の分析管18上に配置され、その結果、管18の壁の外面は、その上部で、ストッパの壁121の内面に接触している。さらに、ストッパの戻り部122は、管18の開口部で管18のふちを圧迫するようになっている。本発明によるストッパを作製するために好ましくは用いられる熱可塑性エラストマ材料は、ここで特別な利点を提供する。それは、すなわち、一旦ストッパ12が管18に強制的に配置されたなら、その弾性特性によって、管18をストッパ12が良好に保持することが可能となることである。そして、管18の流体密性は確実なものとなる。
【0049】
管18には液体20が入っており、その液体20は試料採取される、または別の液体がその液体20の中に分配される。これを行うため、
図6に部分的に示す、吸引/放出デバイス22は、使い捨て可能なプラスチック・サンプリング・コーン24をその端部に備え、矢印F4に従って垂直方向に並進運動をしてストッパ10のフラップ14を圧迫するように下げられる。サンプリング・コーンを用いて、吸引/放出デバイス22によってフラップ14に及ぼされる力は、アーム16に弾性応力を発生させ、フラップ14を開かせる。フラップ14が開くことによって、サンプリング・コーンはストッパを通過し管18の中に入っていく。もちろん、この手順は、吸引/放出デバイス22を垂直並進移動させながらすべて連続的な方法で実施される。吸引/放出デバイス22が管の中に下ろされるとき、サンプリング・コーン24によって、フラップ14が応力下で開いたままでいるために必要な力が確実に得られる。
【0050】
使い捨て可能なコーンが液体と接触したとき、移動は中断される。このために、吸引/放出デバイス22が自動デバイスである、つまり、吸引/放出デバイス22が、自動生物学的分析システムに一体化しているとき、コーンが液体の中に深く沈み過ぎるのを避けるために、システムに液体を検出するための手段を具備することは賢明なことである。このような手段はよく知られており、この種のシステムで広く使われている。しかしながら、液体サンプリング・コーン24がストッパ10のフラップ14と接触し、吸引/放出デバイス22の垂直並進運動を停止させるとき、液体検出手段が作動しないことを確かめておく必要がある。
【0051】
一旦サンプリング・コーン24が液体20と接触すると、吸引/放出デバイス22は液体20の一部分を吸引することができるし、前もって採取されサンプリング・コーン24の中に入れられていたたくさんの別の液体を放出することもできる。注目すべきなのは、液体を放出する場合、サンプリング・コーン24は液体20と接触する必要がないことである。
【0052】
一旦この流体ステップが実行されると、次に、サンプリング・コーン24が管18の外側にもう一度出るまで、吸引/放出デバイス22は、逆方向に垂直並進運動をする。サンプリング・コーン24およびフラップ14が、サンプリング・コーン24の一端だけでなお接触している状態になるまで、吸引/放出デバイス22が再び上昇しながら、サンプリング・コーン24がフラップ14に及ぼす力によって、フラップ14は応力下で開いた状態にしておくことができる。この時点から、フラップ14上のアーム16によって及ぼされる弾性的な復元力の結果として、フラップ14は、コーンの端部との接触状態を維持する間中、サンプリング・コーン24の上昇運動と同時に再び上昇運動をする。都合のよいことに、フラップ14は、その上面、すなわち、溝を有する面の反対面に、サンプリング・コーン24が管を出たとき、サンプリング・コーン24とフラップ14との間の摩擦の制限を目的とする手段(図示せず)を備えることができる。このような手段は、上面をザラザラにする特定の構造であり得る。この手段は、フラップ14の上面上のボスであることも可能であり、したがって、それは、サンプリング・コーン24とフラップ14との間の接触面を制限する。
【0053】
図2および3で示すように、フラップが閉位置に戻るとき、すなわち、本体12の戻り部122に対して接触するとき、略回転運動にあるフラップ14の上昇運動は達成される。そして、ストッパは閉じ、そして、ストッパ12の流体密性はもう一度確実になり、あらゆる液体漏れの危険無しに運搬することが可能となる。
【0054】
上記のステップが、すべて、ピペットまたはシリンジなどの吸引/放出デバイスを手に保持している取扱い技術者によって手動で実施され得ることはまったく明らかである。
【0055】
さらにまた、発明の変形例において、吸引/放出機能からフラップ上の圧力機能を分けることは想定可能である。これを行うため、吸引/放出デバイス22から独立しているデバイスに頼ることができる。そして、デバイスはフラップ14に圧力をかけ、その圧力は、フラップ14をサンプリング・コーン24の通路として十分に開くようにするのに十分なものである。例えば、このような独立したデバイスは、垂直に移動することができるメカニカルフィンガーである可能性がある。
【0056】
本発明によるストッパは、容器に配置されるすべてのストッパまたはカバーと置き換えることができる。液体内容物にアクセスするまたは液体内容物を採取するために、これらのストッパまたはカバーは取り除く必要があるが、最高の液体密は要求されないためである。その形状のため、フラップが開かれたとき解放される開口部は大変大きく、その大きな開口部によって、大きな吸引/放出デバイスを通すことができ、比較的柔軟で鈍くできるので、損傷の危険を制限することができる。
【0057】
さらにまた、このようなストッパは:
− 閉位置で安定した状態にあること
− 外部からの機械的作動で開位置になること
− 外部からの機械的作動が停止したとき、材料自体の弾性復元力で自動的に閉鎖状態になること
を必要とする多数の消耗品、デバイス、または容器に適合させることができる。
【0058】
本発明によるストッパは、また、多様な容器形状:
− 直径または幅
− 深さ
− 材料の種類(すなわち、重合体、金属、ガラス、セラミック、シリコーン等)
についても適合させることができる。
【0059】
アームによって及ぼされる弾性復元力は、アームの形状を修正することによって、所望の使用に有利に適合させることができる。
【0060】
より精巧な実施形態において、ストッパを、そのストッパが閉じる容器と同時に製造することが想定可能である。実際に、管など、射出成形によって製作される容器の場合、容器を製造する際、容器上にストッパを鋳造成形することを想定することは確かに可能である。そして、これは二材料射出成形法である。そして、本発明によるストッパとその容器は一体型デバイスを形成する。
【0061】
本発明によるデバイスは、流体(ガス、液体)を管理するためのフラップ弁としてこのデバイスを使用するために、その形状を変更することも想定可能である。この形状において、弁は、流体が移されなければならない2つの体積空間の間に配置されている。この場合、フラップの直径による負荷の損失を最小化しながら、弁を開く力として働くのは、液体によって上流に及ぼされる圧力である。流れの減圧または反転が生じた場合、フラップは、再び素早く閉じる。