特許第5911529号(P5911529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東和電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000002
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000003
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000004
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000005
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000006
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000007
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000008
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000009
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000010
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000011
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000012
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000013
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000014
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000015
  • 特許5911529-漁灯制御システム 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911529
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】漁灯制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20160414BHJP
   A01K 79/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   H05B37/02 H
   A01K79/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-98903(P2014-98903)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-216050(P2015-216050A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151944
【氏名又は名称】株式会社東和電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(74)【代理人】
【識別番号】100162189
【弁理士】
【氏名又は名称】堀越 真弓
(72)【発明者】
【氏名】浜出 雄一
(72)【発明者】
【氏名】三木 智宏
(72)【発明者】
【氏名】玉森 学
(72)【発明者】
【氏名】金澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】山木 絵梨
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−50891(JP,A)
【文献】 特開2008−283906(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3096561(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
A01K 79/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舷側から突出して船回りに配置された複数の竿部材にそれぞれ取付けられた複数の漁灯の点灯及び消灯を制御するコンピュータ制御部を備えた漁灯制御システムであって、前記コンピュータ制御部は、前記複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いて点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力を行うと共に、前記竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力を行う入力手段と、動作開始指示があった際に、前記入力された開始竿番号の漁灯から前記入力された終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う点灯又は消灯指示手段とを備えていることを特徴とする漁灯制御システム。
【請求項2】
前記コンピュータ制御部は、前記複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該開始竿番号を記憶する開始竿番号記憶手段と、前記竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該終了竿番号を記憶する終了竿番号記憶手段とをさらに備えており、前記点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の漁灯制御システム。
【請求項3】
舷側から突出して船回りに配置された複数の竿部材にそれぞれ取付けられた複数の漁灯の点灯及び消灯を制御するコンピュータ制御部を備えた漁灯制御システムであって、前記コンピュータ制御部は、前記複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該開始竿番号を記憶する開始竿番号記憶手段と、前記竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該終了竿番号を記憶する終了竿番号記憶手段と、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う点灯又は消灯指示手段とを備えていることを特徴とする漁灯制御システム。
【請求項4】
前記コンピュータ制御部は、前記漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、該点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する時間間隔記憶手段をさらに備えており、前記点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている終了竿番号の漁灯まで、前記記憶されている点灯時間間隔又は消灯時間間隔で自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の漁灯制御システム。
【請求項5】
前記終了竿番号記憶手段は、前記竿番号を用いた右回りの点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該右回り終了竿番号を記憶する右回り終了竿番号記憶手段と、前記竿番号を用いた左回りの点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、該左回り終了竿番号を記憶する左回り終了竿番号記憶手段とを備えており、前記点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている右回り終了竿番号の漁灯まで、右回りで自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う右回り点灯又は消灯指示手段と、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている左回り終了竿番号の漁灯まで、左回りで自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う左回り点灯又は消灯指示手段とを備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の漁灯制御システム。
【請求項6】
前記コンピュータ制御部は、右回りの点灯動作又は消灯動作における前記漁灯の前記点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、該右回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する右回り時間間隔記憶手段と、左回りの点灯動作又は消灯動作における前記漁灯の前記点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、該左回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する左回り時間間隔記憶手段とをさらに備えており、前記右回り点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている右回り終了竿番号の漁灯まで、前記記憶されている右回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔で右回りに自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されており、前記左回り点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、前記記憶されている開始竿番号の漁灯から前記記憶されている左回り終了竿番号の漁灯まで、前記記憶されている左回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔で左回りに自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の漁灯制御システム。
【請求項7】
前記コンピュータ制御部は、サイドローラエリアにおける前記漁灯の点灯動作又は消灯動作の方向を指定する入力があった際に、該サイドローラエリア点灯動作又は消灯動作の方向を記憶するサイドローラエリア点灯方向又は消灯方向記憶手段をさらに備えており、前記点灯又は消灯指示手段は、該サイドローラエリアにおける前記漁灯について、前記記憶されているサイドローラエリア点灯動作又は消灯動作の方向に基づいて、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載の漁灯制御システム。
【請求項8】
前記コンピュータ制御部は、サイドローラエリアにおける前記漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、該サイドローラエリア点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶するサイドローラエリア時間間隔記憶手段をさらに備えており、前記点灯又は消灯指示手段は、該サイドローラエリアにおける前記漁灯について、前記記憶されているサイドローラエリア点灯時間間隔又は消灯時間間隔で自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の漁灯制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁船に設置された多数の竿に取付けられた漁灯を制御することによってサンマやイカ等の魚類を誘導して効率良く漁獲するための漁灯制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メタルハライドランプを用いた集漁灯を、一斉点灯した後、順次消灯し、次いで一斉点灯した後、順次消灯することを繰り返すことによりサンマ漁を行う集漁灯制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平03−40920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の制御方法では、複数のリレーを手動操作して集漁灯の点灯及び消灯制御を行っているが、制御すべき灯数が多くなると、これら集漁灯を手動で正確に制御することが困難となる。特に特許文献1では、メタルハライドランプの再点灯における遅延時間の問題を解消するため、各灯具のランプを2組に分け、一方の組のランプを点灯して消灯した後、他方の組のランプを点灯させるという複雑な制御を行っているため、この傾向は大きい。
【0005】
さらに、特許文献1に記載の制御方法は、手動でタイミング操作するものであることから、消灯間隔や点灯間隔を一定にすることは難しく、また、点灯又は消灯の順次制御をどの灯具から始めてどの灯具で終わるか等の操作も容易ではなく、灯数が大幅に増大するとこれら操作は非常に複雑となり、ほとんど不可能となる。
【0006】
従って本発明の目的は、灯数が大幅に増大した場合にも正確な順次点灯又は消灯制御を容易に行うことができる漁灯制御システムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、灯数が大幅に増大した場合にも点灯間隔又は消灯間隔を精度良くかつ容易に制御することができる漁灯制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、舷側から突出して船回りに配置された複数の竿部材にそれぞれ取付けられた複数の漁灯の点灯及び消灯を制御するコンピュータ制御部を備えた漁灯制御システムが提供される。このコンピュータ制御部は、複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いて点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力を行うと共に、竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力を行う入力手段と、動作開始指示があった際に、入力された開始竿番号の漁灯から入力された終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う点灯又は消灯指示手段とを備えている。
【0009】
竿部材には竿番号があらかじめ設定される。この竿番号により点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力がなされ、さらに、この竿番号により点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力がなされる。動作開始指示があると、入力された開始竿番号の漁灯から入力された終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が指示される。このように、入力された開始竿番号及び終了竿番号に基づいて自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が行われるので、漁灯の灯数が大幅に増大した場合にも、正確な順次点灯又は消灯制御を容易に行うことができる。
【0010】
コンピュータ制御部は、複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、開始竿番号を記憶する開始竿番号記憶手段と、竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、終了竿番号を記憶する終了竿番号記憶手段とをさらに備えており、点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、さらに、舷側から突出して船回りに配置された複数の竿部材にそれぞれ取付けられた複数の漁灯の点灯及び消灯を制御するコンピュータ制御部を備えた漁灯制御システムが提供される。このコンピュータ制御部は、複数の竿部材に対応してあらかじめ設定された竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、開始竿番号を記憶する開始竿番号記憶手段と、竿番号を用いた点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、終了竿番号を記憶する終了竿番号記憶手段と、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う点灯又は消灯指示手段とを備えている。
【0012】
竿部材には竿番号があらかじめ設定される。この竿番号により点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯の竿部材を指定する入力がなされると、開始竿番号が記憶される。さらに、この竿番号により点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力がなされると、終了竿番号が記憶される。動作開始指示があると、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている終了竿番号の漁灯まで、自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が指示される。このように、記憶されている開始竿番号及び終了竿番号に基づいて自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が行われるので、漁灯の灯数が大幅に増大した場合にも、正確な順次点灯又は消灯制御を容易に行うことができる。
【0013】
コンピュータ制御部は、漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する時間間隔記憶手段をさらに備えており、点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている終了竿番号の漁灯まで、記憶されている点灯時間間隔又は消灯時間間隔で自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることが好ましい。このように、記憶されている点灯時間間隔又は消灯時間間隔で、自動的に順次点灯又は順次消灯されるので、漁灯の灯数が大幅に増大した場合にも、点灯間隔又は消灯間隔を精度良くかつ容易に制御することができる。
【0014】
終了竿番号記憶手段は、竿番号を用いた右回りの点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、右回り終了竿番号を記憶する右回り終了竿番号記憶手段と、竿番号を用いた左回りの点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯の竿部材を指定する入力があった際に、左回り終了竿番号を記憶する左回り終了竿番号記憶手段とを備えており、点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている右回り終了竿番号の漁灯まで、右回りで自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う右回り点灯又は消灯指示手段と、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている左回り終了竿番号の漁灯まで、左回りで自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行う左回り点灯又は消灯指示手段とを備えていることも好ましい。このように、右回り終了竿番号と左回り終了竿番号とが別個に設定でき、右回りでは開始竿番号の漁灯から右回り終了竿番号の漁灯まで、右回りで自動的に順次点灯又は順次消灯され、左回りでは同様に開始竿番号の漁灯から左回り終了竿番号の漁灯まで、左回りで自動的に順次点灯又は順次消灯されるので、順次点灯又は順次消灯を右回り及び左回りそれぞれ独立してより詳細に制御することができる。
【0015】
この場合、コンピュータ制御部は、右回りの点灯動作又は消灯動作における漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、右回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する右回り時間間隔記憶手段と、左回りの点灯動作又は消灯動作における漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、左回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶する左回り時間間隔記憶手段とをさらに備えており、右回り点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている右回り終了竿番号の漁灯まで、記憶されている右回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔で右回りに自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されており、左回り点灯又は消灯指示手段は、動作開始指示があった際に、記憶されている開始竿番号の漁灯から記憶されている左回り終了竿番号の漁灯まで、記憶されている左回り点灯時間間隔又は消灯時間間隔で左回りに自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることがより好ましい。点灯間隔又は消灯間隔も右回り及び左回りそれぞれ別個により詳細に制御することができる。
【0016】
なお、本明細書において、右回りとは左舷からオモテ(船首)を介して右舷の方向に回ること(又は右舷からトモ(船尾)を介して左舷の方向に回ること)を意味しており、左回りとは左舷からトモを介して右舷の方向に回ること(又は右舷からオモテを介して左舷の方向に回ること)を意味している。
【0017】
コンピュータ制御部は、サイドローラエリア(SRエリア)における漁灯の点灯動作又は消灯動作の方向を指定する入力があった際に、SRエリア点灯動作又は消灯動作の方向を記憶するSRエリア点灯方向又は消灯方向記憶手段をさらに備えており、点灯又は消灯指示手段は、SRエリアにおける漁灯について、記憶されているSRエリア点灯動作又は消灯動作の方向に基づいて、自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることも好ましい。これにより、網入れが行われるSRエリアにおける点灯動作方向又は消灯動作方向をより細かく最適に制御することができる。
【0018】
コンピュータ制御部は、SRエリアにおける漁灯の点灯時間間隔又は消灯時間間隔を指定する入力があった際に、SRエリア点灯時間間隔又は消灯時間間隔を記憶するSRエリア時間間隔記憶手段をさらに備えており、点灯又は消灯指示手段は、SRエリアにおける漁灯について、記憶されているSRエリア点灯時間間隔又は消灯時間間隔で自動的に順次点灯又は順次消灯する指示を行うように構成されていることも好ましい。これにより、網入れが行われるSRエリアにおける点灯時間間隔又は消灯時間間隔を他の部分とは別個に最適に制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記憶されている開始竿番号及び終了竿番号に基づいて自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が行われるので、漁灯の灯数が大幅に増大した場合にも、正確な順次点灯又は消灯制御を容易に行うことができる。
【0020】
また、記憶されている点灯時間間隔又は消灯時間間隔で、自動的に順次点灯又は順次消灯されるので、漁灯の灯数が大幅に増大した場合にも、点灯間隔又は消灯間隔を精度良くかつ容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の漁灯制御システムの一実施形態として、船上における複数の竿部材及び複数の漁灯の配置を概略的に示す平面図である。
図2図1の実施形態における漁灯制御システムにおける漁灯制御装置の電気的構成を表すブロック図である。
図3図2に示した漁灯制御装置におけるコンピュータ制御部の電気的構成を概略的に表すブロック図である。
図4図3に示したコンピュータ制御部の初期設定処理のフローを概略的に表すフローチャートである。
図5】初期設定処理時に最初に表示される画面を示す図である。
図6】竿番号の初期設定処理時に表示される画面を示す図である。
図7】対象竿の初期設定処理時に表示される画面を示す図である。
図8a図3に示したコンピュータ制御部の自動点灯モード処理のフローを概略的に表すフローチャートである。
図8b図3に示したコンピュータ制御部の自動点灯モード処理のフローを概略的に表すフローチャートである。
図9】自動点灯モード処理時に表示される画面を示す図である。
図10】自動点灯モード処理時の点灯動作を説明する図である。
図11a図3に示したコンピュータ制御部の自動消灯モード処理のフローを概略的に表すフローチャートである。
図11b図3に示したコンピュータ制御部の自動消灯モード処理のフローを概略的に表すフローチャートである。
図12】自動消灯モード処理時に表示される画面を示す図である。
図13】自動消灯モード処理時の消灯動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の漁灯制御システムの一実施形態として、船上における複数の竿部材及び複数の漁灯の配置を概略的に示している。
【0023】
同図に示すように、例えばサンマ漁若しくはイカ漁用又はサンマ漁及びイカ漁兼用の漁船10には、その舷側から突出して船回りに親竿部材11aを含む複数の竿部材11が配置されており、これら複数の竿部材11の各々には1つ又はそれ以上の漁灯(集漁灯)12が取付けられている。なお、親竿部材11aは網巻上げ用のサイドローラを設置されている領域を示すサイドローラエリア(SRエリア)13の中央に位置している。ただし、本実施形態においては、SRエリア13が右舷に配置されているが(台湾方式)、SRエリア13が左舷に配置されていても良い(日本方式)。
【0024】
各漁灯12は、望ましくはLED(発光ダイオード)漁灯であるが、その一部又は全てが白熱灯漁灯又はメタルハライド漁灯であっても良い。これら複数の漁灯12には、それらの点灯及び消灯を制御するコンピュータ制御部を備え、操舵室等の漁船中央部に設けられた漁灯制御装置14が電気的に接続されている。なお、図1においては、接続線の図示が省略されている。
【0025】
図2は本実施形態における漁灯制御システムにおける漁灯制御装置14の電気的構成を表しており、図3は漁灯制御装置14におけるコンピュータ制御部の電気的構成を概略的に表している。
【0026】
図2に示すように、漁灯制御装置14は、内部にコンピュータ制御部を含む漁灯制御ボックス15と、各漁灯毎に設けられており、手動で各漁灯の点灯及び消灯ができるように構成されている点消灯スイッチ16と、漁船10の電源である電力供給用の発電機の電圧変動を監視する負荷変動メータリレー17と、各漁灯毎に設けられた漁灯用リレー18とを備えている。この漁灯制御装置14には、操舵室に設けられている例えばイカ釣機等の集中制御盤19が電気的に接続されており、この集中制御盤19によってイカ釣機の制御と漁灯の制御との両方が行えるように構成されている。本実施形態において、この集中制御盤19には、一体型のタッチパネル式液晶ディスプレイが設けられており、後述するように種々のキー、図形、グラフ及び文字等の表示がなされ、操作者が必要箇所をタッチすることによって、入力が行われるように構成されている。
【0027】
漁灯制御装置14の漁灯制御ボックス15内には、図3に示すごときコンピュータ制御部30が設けられている。コンピュータ制御部30は、同図に示すように、バス30aを介して互いに接続された中央制御装置(CPU)30bと、ランダムアクセスメモリ(RAM)30cと、フラッシュメモリ30dと、メモリカードドライブ30eと、入出力インタフェース30fとを少なくとも備えたコンピュータ及びこれを作動させるプログラムから構成されている。
【0028】
CPU30bは、フラッシュメモリ30dに記憶されているオペレーションシステム(OS)やブートプログラム等の基本プログラムに従ってこのフラッシュメモリ30dに記憶されているプログラムを実行して本実施形態の処理を行うように構成されている。また、CPU30bは、RAM30c、挿入されたメモリカードの読み書きを行うメモリカードドライブ30e、及び入出力インタフェース30fの動作を制御するように構成されている。
【0029】
RAM30cはこのコンピュータ制御部30のメインメモリとして使用され、フラッシュメモリ30d又はメモリカードドライブ30eから転送されたプログラムやデータを保存するように構成されている。また、このRAM30cは、プログラム実行時の各種データが一時的に保存されるワークエリアとしても使用される。
【0030】
入出力インタフェース30fは、集中制御盤19のタッチパネルディスプレイに対してCPU30b又はRAM30cからの表示データを出力すると共に、その入力データをCPU30b又はRAM30cへ転送し、各漁灯毎に設けられた点消灯スイッチ16からの手動制御信号と、負荷変動メータリレー17からの負荷変動注意信号及び/又は警告信号とを受信してCPU30b又はRAM30cへ転送すると共に、CPU30b又はRAM30cからの各漁灯毎に設けられた漁灯用リレー18への出力データを信号として送信するように構成されている。
【0031】
このような構成のコンピュータにおいて、CPU30bは、プログラム起動時は、まず、RAM30c内にプログラム記憶領域、データ記憶領域及びワークエリアを確保し、フラッシュメモリ30dからプログラム及びデータを取り込んで、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域に格納する。次いで、このプログラム記憶領域に格納されたプログラムに基づいて各釣機の処理フローを実行する。なお、CPU30bがフラッシュメモリ30dからプログラム及びデータを直接的に取り込んで、このプログラムに基づいて漁灯制御の処理フローを実行しても良い。
【0032】
図4はこのコンピュータ制御部30の初期設定処理のフローを概略的に表しており、図5はその場合に集中制御盤19のディスプレイに最初に表示される画面である。
【0033】
操作者が、ディスプレイ上で図5の「竿番号設定ボタン」をタッチすると、竿番号の初期設定が行われる(ステップS1)。この竿番号の初期設定によれば、漁船10の船回りに設置されている複数の全ての竿部材11について、竿番号が付与される。図6はその場合に集中制御盤19のディスプレイに表示される画面である。本実施形態においては、左舷の最もオモテ側の竿番号は「1」に設定されており、右舷の最もオモテ側の竿番号も「1」に設定されている。操作者が集中制御盤19のディスプレイの図示しない数値入力用ポップアップ画面から左舷のトモ側の最終の竿番号と右舷のトモ側の最終の竿番号とを入力することにより、左舷の全ての竿部材11の竿番号が連続番号で設定され、さらに、右舷の全ての竿部材11の竿番号が連続番号で設定されて、フラッシュメモリ30dに記憶される。次いで、操作者がSRエリア13における最もオモテ側の竿番号とSRエリア13における最もトモ側の竿番号とを入力することにより、SRエリア13の竿部材11が設定され、フラッシュメモリ30dに記憶される。
【0034】
操作者が、ディスプレイ上で図5の「対象竿設定ボタン」をタッチすると、制御対象竿の初期設定が行われる(ステップS2)。この対象竿の初期設定によれば、点灯/消灯制御の対象である竿部材11が竿番号から設定される。図7はその場合に集中制御盤19のディスプレイに表示される画面である。この画面上において、操作者が、左舷又は右舷別にディスプレイ上の番号をタッチすればその竿部材11は表示色が変化し(例えば図7に示すグレー色の状態から青色(右舷)又は赤色(左舷)に変化し)、制御の対象竿となり、結果がフラッシュメモリ30dに記憶される。なお、グレー色の状態の竿番号は制御の非対象竿に対応する。
【0035】
操作者が、ディスプレイ上で図5の「その他の設定ボタン」をタッチすると、その他の初期設定が行われる(ステップS3)。その他の初期設定としては、例えば、点灯により電源(発電機)が過負荷状態となった場合の点灯間隔用のタイマの延長時間の設定、自動点灯モード時の逆回りの消灯間隔の設定、自動消灯モード時の逆回りの点灯間隔の設定、制御の非対象竿について動作間隔をカウントするか否かの設定等が操作者によって行われ、その入力結果がフラッシュメモリ30dに記憶される。
【0036】
初期設定が終了した後に自動的に又は操作者が手動で選択することによって自動点灯モード処理が行われる。図8a及び図8bはこの自動点灯モード処理のフローを概略的に表しており、図9はその場合に集中制御盤19のディスプレイに表示される画面を表している。
【0037】
この自動点灯モード処理において、操作者がディスプレイ上の「通常点灯ボタン」をタッチする毎に通常点灯モードのON/OFFが切り替わる。操作者が、「通常点灯ボタン」をONとして、右回りの点灯間隔及び左回りの点灯間隔の数値を入力したとする。この場合、コンピュータ制御部30により、通常点灯モードか否かが判別され(図8aのステップS10)、通常点灯モードであると判別された場合(YESの場合)、入力された右回りの点灯間隔及び左回りの点灯間隔がRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図8aのステップS11)。ただし、通常点灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS11の処理が行われることなく、処理は図8aのステップS12へ進む。
【0038】
操作者がディスプレイ上の「SR消灯ボタン」をタッチする毎にSRエリア消灯モードのON/OFFが切り替わる。操作者が、「SR消灯ボタン」をONとして、SRエリアの消灯動作方向を選択すると共に、消灯間隔の数値を入力したとする。消灯動作方向の選択は、本実施形態においては、矢印で示されている「消灯動作方向ボタン」をタッチする毎にSRエリアの消灯動作方向が、(A)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次消灯する、(B)オモテから中央部へ向かって順次消灯した後にトモから中央部へ向かって順次消灯する、(C)トモから中央部へ向かって順次消灯した後にオモテから中央部へ向かって順次消灯する、(D)中央部から同時にオモテ及びトモへ向かって順次消灯する、(E)中央部からオモテへ向かって順次消灯した後に中央部からトモへ向かって順次消灯する、(F)中央部からトモへ向かって順次消灯した後に中央部からオモテへ向かって順次消灯する、(G)オモテからトモへ向かって順次消灯する、(H)トモからオモテへ向かって順次消灯する、次いで、最初の(A)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次消灯する方向へと変化することによって行われる。この場合、コンピュータ制御部30により、SRエリア消灯モードか否かが判別され(図8aのステップS12)、SRエリア消灯モードと判別された場合(YESの場合)、入力されたSRエリアの消灯動作方向及び消灯間隔がRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図8aのステップS13)。ただし、SRエリア消灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS13の処理が行われることなく、処理は図8aのステップS14へ進む。
【0039】
操作者がディスプレイ上の「SR点灯ボタン」をタッチする毎にSRエリア点灯モードのON/OFFが切り替わる。ただし、「SR消灯ボタン」及び「SR点灯ボタン」の両方が同時にONとなることはない。操作者が、「SR点灯ボタン」をONとして、SRエリアの点灯動作方向を選択すると共に、点灯間隔の数値を入力したとする。点灯動作方向の選択は、本実施形態においては、矢印で示されている「点灯動作方向ボタン」をタッチする毎にSRエリアの点灯動作方向が、(a)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次点灯する、(b)オモテから中央部へ向かって順次点灯した後にトモから中央部へ向かって順次点灯する、(c)トモから中央部へ向かって順次点灯した後にオモテから中央部へ向かって順次点灯する、(d)中央部から同時にオモテ及びトモへ向かって順次点灯する、(e)中央部からオモテへ向かって順次点灯した後に中央部からトモへ向かって順次点灯する、(f)中央部からトモへ向かって順次点灯した後に中央部からオモテへ向かって順次点灯する、(g)オモテからトモへ向かって順次点灯する、(h)トモからオモテへ向かって順次点灯する、次いで、最初の(a)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次点灯する方向へと変化することによって行われる。この場合、コンピュータ制御部30により、SRエリア点灯モードか否かが判別され(図8aのステップS14)、SRエリア点灯モードと判別された場合(YESの場合)、入力されたSRエリアの点灯動作方向及び点灯間隔がRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図8aのステップS15)。ただし、SRエリア点灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS15の処理が行われることなく、処理は図8aのステップS16へ進む。
【0040】
次いで、操作者が、自動点灯モードにおける点灯開始竿番号と、右回り終了竿番号と、左回り終了竿番号とを入力したとする。この場合、コンピュータ制御部30により、入力された点灯開始竿番号と、右回り及び左回り終了竿番号とがRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図8aのステップS16)。
【0041】
次いで、操作者が、「運転ボタン」、「停止ボタン」又は「逆運転ボタン」をONとしたとする。この場合、コンピュータ制御部30により、まず、「運転ボタン」がONか否かが判別され(図8aのステップS17)、「運転ボタン」がONと判別された場合(YESの場合)、「停止ボタン」がONか否かが判別される(図8aのステップS18)。「停止ボタン」がOFFと判別された場合(NOの場合)、「逆運転ボタン」がONか否かが判別され(図8aのステップS19)、「逆運転ボタン」がONと判別された場合(YESの場合)、逆運転処理が行われる(図8aのステップS20)。このステップS20の逆運転処理については後述する。また、「運転ボタン」がOFFと判別された場合(NOの場合)及び「停止ボタン」がONと判別された場合(YESの場合)、後述するように、図8bのステップS24の処理が行われる。
【0042】
コンピュータ制御部30により、ステップS19において、「逆運転ボタン」がOFFであると判別された場合(NOの場合)、その時の運転モードが通常点灯モードか否かが判別される(図8bのステップS21)。
【0043】
通常点灯モードと判別された場合(YESの場合)、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている開始竿番号から右回り及び左回りに各竿部材11の漁灯12について順次点灯する処理が実施される(図8bのステップS22)。この場合の右回り及び左回りの点灯間隔は、それぞれ、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回りの点灯間隔及び左回りの点灯間隔となる。
【0044】
次いで、コンピュータ制御部30により、現在、点灯処理を行っている竿番号がSRエリア13内の竿番号であるか否かが判別される(図8bのステップS23)。この判別は、初期設定されてフラッシュメモリ30dに記憶されているSRエリア13の最もオモテ側の竿番号と最もトモ側の竿番号とを用いて行われる。SRエリア13内の竿番号ではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS22の処理が繰り返され順次点灯が継続する。
【0045】
コンピュータ制御部30により、ステップS23において、SRエリア13の竿番号であると判別された場合(YESの場合)及びステップS21において通常点灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、SRエリア点灯モードであるか否かが判別される(図8bのステップS24)。
【0046】
コンピュータ制御部30により、このステップS24においてSRエリア点灯モードであると判別された場合(YESの場合)、SRエリア13における各竿部材11の漁灯12について右回り及び左回りに順次点灯する処理が実施される(図8bのステップS25)。この場合の点灯動作方向は、選択されてRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている点灯動作方向となり、点灯間隔は、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回りのSRエリア点灯間隔及び左回りのSRエリア点灯間隔となる。
【0047】
コンピュータ制御部30により、ステップS24においてSRエリア点灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、SRエリア消灯モードであるか否かが判別される(図8bのステップS26)。
【0048】
コンピュータ制御部30により、このステップS26においてSRエリア消灯モードであると判別された場合(YESの場合)、SRエリア13における各竿部材11の漁灯12について右回り及び左回りに順次消灯する処理が実施される(図8bのステップS27)。この場合の消灯動作方向は、選択されてRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている消灯動作方向となり、消灯間隔は、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回りのSRエリア消灯間隔及び左回りのSRエリア消灯間隔となる。
【0049】
コンピュータ制御部30により、ステップS26においてSRエリア消灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS25及びステップS27の処理が終了した場合、さらに、図8aのステップS20の逆運転処理が終了した場合に、現在処理している竿番号が右回り及び左回り別にディスプレイに表示される(図8bのステップS28)。
【0050】
その後、コンピュータ制御部30により、現在処理している竿番号が、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回り及び左回りの点灯を終了させる竿番号であるかどうかが判別される(図8bのステップS29)。終了竿番号ではないと判別された場合(NOの場合)、図8aのステップS17からの処理が繰り返して実行される。ステップS29において、右回り及び左回りとも、終了竿番号であると判別された場合(YESの場合)、この自動点灯モード処理を終了する。
【0051】
なお、図8aのステップS20の逆運転処理においては、通常点灯モード及びSRエリア点灯モードにおいて逆運転指示された場合には逆回りで順次消灯が行われ、SRエリア消灯モードで逆運転指示された場合には逆回りで順次点灯が行われる。
【0052】
図10は以上述べた自動点灯モード処理における点灯動作を説明している。図10(A)に示すように、この自動点灯モード処理によれば、船の中央に限定されない任意の位置に設定可能な開始竿番号の竿部材から順次に自動的に点灯がなされる。この場合、同時の点灯ではなく、順次の点灯であるため、発電機の負担が軽減され、ストール発生等を防止することができる。発電機に余裕がある場合は点灯間隔を短く、余裕のない場合は点灯間隔を長く設定することができる。
【0053】
なお、コンピュータ制御部30が負荷変動メータリレー17から負荷変動注意信号を受信した際に、アラームを出し、これにより手動又は自動によって順次の点灯間隔を長くすることによって発電機の過負荷を軽減させることも可能である。さらに、コンピュータ制御部30が負荷変動メータリレー17から負荷変動警告信号を受信した際に、アラームを出し、これにより手動又は自動によって順次の点灯動作を停止させることによって発電機の過負荷をさらに軽減させることも可能である。点灯動作を停止した後、負担軽減を確認してこの順次点灯動作を再開する。即ち、発電機に負荷がかかり、電圧・周波数特性が定常状態から外れた場合に、順次の点灯動作を一端中断する。ただし、既に点灯済みの漁灯は消灯しない。電圧・周波数特性が定常状態に戻った場合に、図示されていない再開ボタン等を作動させてこの順次点灯動作を再開させる。なお、負荷変動メータリレー17による負荷変動注意信号及び負荷変動警告信号発生の閾値はあらかじめ設定可能である。
【0054】
この自動点灯モード処理においては、右回り及び左回りの点灯処理終了竿番号が別個に任意に設定可能であり、さらに、右回り及び左回りの順次点灯の間隔も別個に任意に設定可能である。さらにまた、初期設定において、点灯不要の竿部材11を設定可能であり、点灯不要の漁灯は飛ばして順次点灯される。
【0055】
図10(A)に示すように点灯不要の竿部材を除く全ての漁灯が点灯した後、図10(B)に示すように、サイドローラ上(SRエリア13)の竿部材11の漁灯12が順次消灯され、この部分に網が入れられる。網を入れ終わったら、SRエリア13における竿部材11の漁灯12が順次再点灯される。このSRエリア13においては、点灯動作方向、並びに右回り(オモテ回り)及び左回り(トモ回り)点灯間隔が詳細に制御可能であり、それ以外の位置の漁灯とは異なる点灯制御が可能となっている。
【0056】
自動点灯モード処理が終了した後に自動的に又は操作者が手動で選択することによって自動消灯モード処理が行われる。図11a及び図11bはこの自動消灯モード処理のフローを概略的に表しており、図12はその場合に集中制御盤19のディスプレイに表示される画面を表している。
【0057】
この自動消灯モード処理において、操作者がディスプレイ上の「通常消灯ボタン」をタッチする毎に通常消灯モードのON/OFFが切り替わる。操作者が、「通常消灯ボタン」をONとして、右回りの消灯間隔及び左回りの消灯間隔の数値を入力したとする。この場合、コンピュータ制御部30により、通常消灯モードか否かが判別され(図11aのステップS30)、通常消灯モードであると判別された場合(YESの場合)、入力された右回りの消灯間隔及び左回りの消灯間隔がRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図11aのステップS31)。ただし、通常消灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS31の処理が行われることなく、処理は図11aのステップS32へ進む。
【0058】
操作者がディスプレイ上の「SR消灯ボタン」をタッチする毎にSRエリア消灯モードのON/OFFが切り替わる。操作者が、「SRエリア消灯ボタン」をONとして、SRエリアの消灯動作方向を選択すると共に、オモテ側及びトモ側の消灯間隔の数値を入力したとする。消灯動作方向の選択は、本実施形態においては、矢印で示されている「消灯動作方向ボタン」をタッチする毎にSRエリアの消灯動作方向が、本実施形態においては、(A)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次消灯する、(B)オモテから中央部へ向かって順次消灯した後にトモから中央部へ向かって順次消灯する、(C)トモから中央部へ向かって順次消灯した後にオモテから中央部へ向かって順次消灯する、(D)中央部から同時にオモテ及びトモへ向かって順次消灯する、(E)中央部からオモテへ向かって順次消灯した後に中央部からトモへ向かって順次消灯する、(F)中央部からトモへ向かって順次消灯した後に中央部からオモテへ向かって順次消灯する、(G)オモテからトモへ向かって順次消灯する、(H)トモからオモテへ向かって順次消灯する、次いで、最初の(A)オモテ及びトモから同時に中央部へ向かって順次消灯する方向へと変化することによって行われる。この場合、コンピュータ制御部30により、SRエリア消灯モードか否かが判別され(図11aのステップS32)、SRエリア消灯モードと判別された場合(YESの場合)、入力されたSRエリアの消灯動作方向がRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図11aのステップS33)。さらに、入力されたSRエリアのオモテ側の消灯間隔及びトモ側の消灯間隔が、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図11aのステップS34)。ただし、SRエリア消灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS33及びS34の処理が行われることなく、処理は図11aのステップS35へ進む。
【0059】
次いで、操作者が、自動消灯モードにおける消灯開始竿番号と、右回り終了竿番号と、左回り終了竿番号とを入力したとする。この場合、コンピュータ制御部30により、入力された消灯開始竿番号と、右回り及び左回り終了竿番号とがRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶される(図11aのステップS35)。
【0060】
次いで、操作者が、「運転ボタン」、「停止ボタン」又は「逆運転ボタン」をONとしたとする。この場合、コンピュータ制御部30により、まず、「運転ボタン」がONか否かが判別され(図11aのステップS36)、「運転ボタン」がONと判別された場合(YESの場合)、「停止ボタン」がONか否かが判別される(図11aのステップS37)。「停止ボタン」がOFFと判別された場合(NOの場合)、「逆運転ボタン」がONか否かが判別され(図11aのステップS38)、「逆運転ボタン」がONと判別された場合(YESの場合)、逆運転処理が行われる(図11aのステップS39)。このステップS39の逆運転処理については後述する。また、「運転ボタン」がOFFと判別された場合(NOの場合)及び「停止ボタン」がONと判別した場合(YESの場合)、後述するように、図11bのステップS43の処理が行われる。
【0061】
コンピュータ制御部30により、ステップS38において、「逆運転ボタン」がOFFであると判別された場合(NOの場合)、その時の運転モードが通常消灯モードか否かが判別される(図11bのステップS40)。
【0062】
通常消灯モードと判別された場合(YESの場合)、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている開始竿番号から右回り及び左回りに各竿部材11の漁灯12について順次消灯する処理が実施される(図11bのステップS41)。この場合の右回り及び左回りの消灯間隔は、それぞれ、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回りの消灯間隔及び左回りの消灯間隔となる。
【0063】
次いで、コンピュータ制御部30により、現在、消灯処理を行っている竿番号がSRエリア13内の竿番号であるか否かが判別される(図11bのステップS42)。この判別は、初期設定されてフラッシュメモリ30dに記憶されているSRエリア13の最もオモテ側の竿番号と最もトモ側の竿番号とを用いて行われる。SRエリア13内の竿番号ではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS41の処理が繰り返され順次消灯が継続する。
【0064】
コンピュータ制御部30により、ステップS42において、SRエリア13の竿番号であると判別された場合(YESの場合)及びステップS21において通常点灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、SRエリア消灯モードであるか否かが判別される(図11bのステップS43)。
【0065】
コンピュータ制御部30により、このステップS43においてSRエリア消灯モードであると判別された場合(YESの場合)、SRエリア13における各竿部材11の漁灯12について右回り及び左回りに順次消灯する処理が実施される(図11bのステップS44)。この場合の消灯動作方向は、選択されてRAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている消灯動作方向となり、オモテ側の消灯間隔及びトモ側の消灯間隔は、それぞれ、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されているオモテ側のSRエリア消灯間隔及びトモ側のSRエリア消灯間隔となる。
【0066】
コンピュータ制御部30により、ステップS43においてSRエリア消灯モードではないと判別された場合(NOの場合)、ステップS44の処理が終了した場合、さらに、図11aのステップS39の逆運転処理が終了した場合に、現在処理している竿番号が右回り及び左回り別にディスプレイに表示される(図11bのステップS45)。
【0067】
その後、コンピュータ制御部30により、現在処理している竿番号が、RAM30cのデータ記憶領域又はフラッシュメモリ30dに記憶されている右回り及び左回りの点灯を終了させる竿番号であるかどうかが判別される(図11bのステップS46)。終了竿番号ではないと判別された場合(NOの場合)、図11aのステップS36からの処理が繰り返して実行される。ステップS46において、右回り及び左回りとも、終了竿番号であると判別された場合(YESの場合)、この自動消灯モード処理を終了する。
【0068】
なお、図11aのステップS39の逆運転処理においては、通常消灯モード及びSRエリア消灯モードで逆運転指示された場合には逆回りで順次点灯が行われる。
【0069】
図13は以上述べた自動消灯モード処理における消灯動作を説明している。図13(A)に示すように、この自動消灯モード処理によれば、船の中央に限定されない任意の位置に設定可能な開始竿番号の竿部材から右回り(オモテ回り)及び左回り(トモ回り)に順次に自動的に消灯がなされる。この場合、同時の消灯ではなく順次の消灯であり、左舷の魚をオモテ及びトモも両方から右舷へ回す。この場合、順次消灯の間隔が短かく早すぎると魚が付いてこなくなるため、慎重に事前設定しておく。緊急時には、点消灯スイッチ16を手動で操作し、順次消灯動作を停止してタイミングを遅らせるなどにより魚の動きに合わせた消灯調整が可能である。なお、消灯開始竿部材の位置が任意であるため、魚の動きに合わせた位置から消灯を行うことができる。
【0070】
消灯間隔が著しく短いと、発電機の負荷が急激に軽くなってしまうため、負荷変動が急激に生じないように、タイミング(間隔)を調整して順次消灯動作をさせることが望ましい。
【0071】
なお、コンピュータ制御部30が負荷変動メータリレー17から負荷変動注意信号を受信した際に、アラームを出し、これにより手動又は自動によって順次の消灯間隔を長くすることによって発電機の負担を軽減させることも可能である。さらに、コンピュータ制御部30が負荷変動メータリレー17から負荷変動警告信号を受信した際に、アラームを出し、これにより手動又は自動によって順次の消灯動作を停止させることによって発電機の負担をさらに軽減させることも可能である。消灯動作を停止した後、負担軽減を確認してこの順次消灯動作を再開する。即ち、発電機に負荷がかかり、電圧・周波数特性が定常状態から外れた場合に、順次の消灯動作を一端中断する。ただし、既に消灯済みの漁灯は再点灯しない。電圧・周波数特性が定常状態に戻った場合に、図示されていない再開ボタン等を作動させてこの順次消灯動作を再開させる。なお、負荷変動メータリレー17による負荷変動注意信号及び負荷変動警告信号発生の閾値はあらかじめ設定可能である。
【0072】
この自動消灯モード処理においては、右回り及び左回りの消灯処理終了竿番号が別個に任意に設定可能であり、さらに、右回り及び左回りの消灯点灯の間隔も別個に任意に設定可能である。さらにまた、初期設定において、消灯不要の竿部材11を設定可能であり、消灯不要の漁灯は飛ばして順次消灯される。
【0073】
図13(A)に示すように消灯不要の竿部材を除いて順次消灯が行われ、サイドローラの位置まで消灯した後、図13(B)に示すように、サイドローラ上(SRエリア13)の竿部材11の漁灯12は、手動又は自動により順次消灯され、親竿部材11a方向に魚が誘導される。親竿部材11aの両脇の2本の竿部材11の位置の手前まで消灯が行われた後、これら親竿部材11a及び両脇の2本の竿部材11を点灯した状態で網が揚げられる。このようにSRエリア13においては、消灯動作方向、並びに右回り(オモテ回り)及び左回り(トモ回り)消灯間隔が詳細に制御可能であり、それ以外の位置の漁灯とは異なる消灯制御が可能となっている。
【0074】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、船回りに配置された竿部材11に竿番号があらかじめ設定されており、この竿番号により点灯動作又は消灯動作を開始すべき漁灯12の竿部材11を指定する入力がなされると、開始竿番号が記憶され、竿番号により右回り及び左回りの点灯動作又は消灯動作を終了すべき漁灯12の竿部材11を指定する入力がなされると、右回り及び左回り終了竿番号が記憶され、動作開始指示があると、記憶されている開始竿番号の漁灯12から記憶されている終了竿番号の漁灯12まで、右回り及び左回りで自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が行われる。このように、記憶されている開始竿番号並びに右回り及び左回りの終了竿番号に基づいて自動的に順次点灯又は順次消灯する動作が行われるので、漁灯12の灯数が大幅に増大した場合にも、正確な順次点灯又は消灯制御を容易に行うことができる。また、記憶されている点灯時間間隔又は消灯時間間隔で、自動的に順次点灯又は順次消灯されるので、漁灯12の灯数が大幅に増大した場合にも、点灯間隔又は消灯間隔を精度良くかつ容易に制御することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、網入れが行われるSRエリア13における漁灯12の点灯動作方向及び消灯動作方向を種々のパターンに詳細にかつ最適に制御することができる。さらに、SRエリア13における漁灯12のオモテ回り及びトモ回りの点灯時間間隔及び消灯時間間隔を他の部分とは別個に最適に制御することができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、漁灯の自動点灯及び自動消灯の設定や制御等を、操舵室に設けられているイカ釣機等の集中制御盤19の画面を見ながら行えるため、操作が非常に容易である。しかも、イカ釣機等の集中制御盤19を共用できるため、省スペース化に大きく寄与する。
【0077】
さらにまた、本実施形態では、発電機の電圧変動を監視する負荷変動メータリレー17からの負荷変動注意信号及び/又は負荷変動警告信号に応じて、順次点灯間隔及び順次消灯間隔を調整したり、順次点灯及び順次消灯動作を停止させているため、発電機の過負荷となるおそれがない。
【0078】
また、点消灯スイッチ16により、各漁灯や特定の漁灯の点灯及び消灯の手動操作、及び自動/手動の切り替え操作を行えるため、従来の漁灯制御と同様の制御も可能である。
【0079】
さらに、LED漁灯を用いている場合に、各漁灯の調光を操舵室に設けられている集中制御盤19から制御できるように構成することも可能である。
【0080】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0081】
10 漁船
11 竿部材
11a 親竿部材
12 漁灯(集漁灯)
13 SRエリア
14 漁灯制御装置
15 漁灯制御ボックス
16 点消灯スイッチ
17 負荷変動メータリレー
18 漁灯用リレー
19 集中制御盤
30 コンピュータ制御部
30a バス
30b CPU
30c RAM
30d フラッシュメモリ
30e メモリカードドライブ
30f 入出力インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図12
図13