(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの無給電アンテナは、前記送信アンテナにより生成された前記第1の磁界に応答して第2の磁界を前記第2の周波数で生成するように構成された、請求項1に記載の送信器。
前記第1の共振回路は第1のキャパシタンスを有する第1のキャパシタを備え、前記第2の共振回路は、前記無給電アンテナを前記動作周波数で共振させるキャパシタンスより小さい値を有する第2のキャパシタンスを有する第2のキャパシタを備える、請求項1に記載の送信器。
前記無給電アンテナは、前記送信アンテナの第2のループの内部に同心的に配置された第1のループを備え、前記無給電アンテナは、前記第1のループの外部の第1の磁界強度を減少させ、前記第1のループの内部の第2の磁界強度を増大させるように構成される、請求項3に記載の送信器。
前記第1の共振回路は第1のキャパシタンスを有する第1のキャパシタを備え、前記第2の共振回路は、前記無給電アンテナを前記動作周波数で共振させるキャパシタンスより大きい値を有する第2のキャパシタンスを有する第2のキャパシタを備える、請求項1に記載の送信器。
前記無給電アンテナは前記送信アンテナの第2のループ内に配置された第1のループを備え、前記無給電アンテナは、前記第1のループの外部の第1の磁界強度を増大させ、前記第1のループの内部の第2の磁界強度を減少させるように構成される、請求項5に記載の送信器。
前記少なくとも1つの無給電アンテナが複数存在するとき、前記少なくとも1つの無給電アンテナは、行または列で配置された無給電アンテナの配列を備える、請求項1に記載の送信器。
前記少なくとも1つの無給電アンテナが複数存在するとき、前記少なくとも1つの無給電アンテナは、列または行で配置された無給電アンテナの多次元配列を備える、請求項9に記載の送信器。
前記第1の共振回路は第1のキャパシタンスを有する第1のキャパシタを備え、前記第2の共振回路は、前記無給電アンテナを前記動作周波数で共振させるキャパシタンスより小さい値を有する第2のキャパシタンスを有する第2のキャパシタを備え、
前記無給電アンテナは、前記送信アンテナの第2のループの内部に同心的に配置された第1のループを備え、
前記無給電アンテナは、前記第1のループの外部の第1の磁界強度を減少させ、前記第1のループの内部の第2の磁界強度を増大させるように構成された、
請求項11に記載の方法。
前記第1の共振回路は第1のキャパシタンスを有する第1のキャパシタを備え、前記第2の共振回路は、前記無給電アンテナを前記動作周波数で共振させるキャパシタンスより大きい値を有する第2のキャパシタンスを有する第2のキャパシタを備え、
前記無給電アンテナは前記送信アンテナの第2のループ内に配置された第1のループを備え、
前記無給電アンテナは、前記第1のループの外部の第1の磁界強度を増大させ、前記第1のループの内部の第2の磁界強度を減少させるように構成された、
請求項11に記載の方法。
前記生成手段と前記少なくとも1つの無給電アンテナとは充電マット内に配置され、前記受信器は無線で伝達された前記電力を受信するために前記充電マットに配置される、請求項16に記載の送信器。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】無線電力伝達システムの簡易ブロック図である。
【
図3】本発明の例示的実施形態に使用されるループアンテナの概略図である。
【
図4A】本発明の例示的実施形態による伝送器の簡易ブロック図である。
【
図4B】送信アンテナに近接して配置されたスイッチを含む無給電アンテナを示す図である。
【
図4C】送信アンテナに近接して配置されたスイッチおよびキャパシタを含む無給電アンテナを示す図である。
【
図5】本発明の例示的実施形態による受信器の簡易ブロック図である。
【
図6A】本発明の例示的実施形態による送信アンテナおよび複数の無給電アンテナを含む無線電力伝送器を示す図である。
【
図6B】本発明の例示的実施形態による送信アンテナおよび複数の無給電アンテナを含む別の無線電力伝送器を示す図である。
【
図6C】本発明の例示的実施形態による送信アンテナならびに第1の方向の複数の無給電アンテナおよび第2の方向の複数の別の無給電アンテナを含む別の無線電力伝送器を示す図である。
【
図6D】本発明の例示的実施形態による送信アンテナおよび多次元配列の無給電アンテナを含むさらに別の無線電力伝送器を示す図である。
【
図7A】本発明の例示的実施形態による無線電力伝送器および複数の無線電力受信器を含む無線電力システムを示す図である。
【
図7B】本発明の例示的実施形態による無線電力伝送器および無線電力受信器を含む別の無線電力システムを示す図である。
【
図8A】本発明の例示的実施形態による、無線電力伝送器と、適合しない受信器を含む複数の無線電力受信器とを含む無線電力システムを示す図である。
【
図8B】本発明の例示的実施形態による、無線電力伝送器と、適合しない複数の受信器を含む複数の無線電力受信器とを含む無線電力システムを示す図である。
【
図9】本発明の例示的実施形態による、無線電力伝送器と、複数の無給電アンテナと、適合している受信器とを含む無線電力システムを示す図である。
【
図10A】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10B】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10C】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10D】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10E】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10F】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図10G】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。
【
図11A】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す断面図である。
【
図11B】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す断面図である。
【
図11C】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナおよび無給電アンテナを含んでいる例示的無線電力伝送器の構成を示す断面図である。
【
図12A】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の関係を示す図である。
【
図12B】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の関係を示す図である。
【
図12C】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の関係を示す図である。
【
図12D】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の関係を示す図である。
【
図12E】本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の関係を示す図である。
【
図13】本発明の例示的実施形態による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図に関して以下に示される詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の説明として意図されており、本発明が実践され得る唯一の実施形態を表すようには意図されていない。この説明の全体にわたって用いられる用語「例示的」は、「実例、例、または説明として役立つ」という意味であり、必ずしも他の例示的実施形態に対して、好ましい、または有利である、と解釈されるべきでない。詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の完全な理解を提供する目的で、特定の細部を含む。本発明の例示的実施形態は、これらの特定の細部なしで実施され得ることが、当業者に明はらかであろう。いくつかの例では、よく知られた構造および装置は、本明細書で示される例示的実施形態の新規性が不明瞭にならないように、ブロック図の形式で示される。
【0011】
用語「無線電力」は、本明細書では、電界、磁界、電磁界、または物理的導電体を使用することなく伝送器と受信器の間で伝達されるその他の方法に関連したエネルギーのいずれかの形態を意味するように用いられる。今後、これら3つはすべて、純然たる磁界または純然たる電界が電力を放射しないという理解を伴って、放射された電磁界と包括的に称されることになる。これらは、電力伝達を実現するには、「受信アンテナ」に結合されなければならない。
【0012】
図1は、本発明の様々な例示的実施形態による無線伝送または充電システム100を示す。エネルギー伝達をもたらすための放射電磁界106を生成するために、入力電力102が伝送器104に供給される。受信器108は、放射電磁界106に結合し、出力電力110に結合された装置(図示せず)によって蓄積され、または消費される出力電力110を生成する。伝送器104と受信器108は、距離112だけ離れている。例示の一実施形態では、伝送器104と受信器108は、相互に共振する関係に構成され、受信器108の共振周波数と伝送器104の共振周波数が非常に近く、放射された電磁界106の「近接場」に受信器108が配置されたとき、伝送器104と受信器108の間の伝送損失が最小になる。
【0013】
伝送器104は、エネルギー伝送のための手段を設けるために送信アンテナ114をさらに含み、受信器108は、エネルギー受け入れのための手段を設けるために受信アンテナ118をさらに含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、関連する用途および装置に従って寸法設定される。前述のように、電磁波の大部分のエネルギーを遠距離場に伝搬させることなく、送信アンテナの近接場にあるエネルギーの大部分を受信アンテナに結合することにより、効率的なエネルギー伝達が行なわれる。この近接場では、送信アンテナ114と受信アンテナ118の間で結合モードが生み出され得る。この近接場結合が生じ得る、アンテナ114および118のまわりの領域は、本明細書では結合モード領域と称される。
【0014】
図2は、無線電力伝達システムの簡易概略図を示す。伝送器104は、発振器122と、電力増幅器124と、フィルタおよび整合回路126とを含む。発振器は、単なる例として468.75KHz、6.78MHzまたは13.56MHzなどといった所望の周波数で発振するように構成され、調節信号123に応答して調節されてよい。発振器信号は電力増幅器124によって増幅されてよく、増幅量は制御信号125に応答する。高調波または他の望ましくない周波数を除去し、伝送器104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合させるために、フィルタおよび整合回路126が含まれてよい。
【0015】
受信器108は、
図2に示されるバッテリー136を充電するため、または受信器に結合された装置(図示せず)に給電するために、DC電力出力を生成するように、整合回路132と整流およびスイッチング回路134とを含んでよい。受信器108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させるために、整合回路132が含まれてよい。受信器108と伝送器104は、別個の通信チャンネル119(例えばブルートゥース、ジグビー、セルラーなど)で通信してもよい。
【0016】
図3に示されるように、例示的実施形態で使用されるアンテナは「ループ」アンテナ150として構成されてよく、これは、本明細書では「磁気」アンテナとも称され得る。ループアンテナは、空気コアまたはフェライト磁心などの物理的コアを含むように構成されてよい。空気コアのループアンテナは、コアの近傍に異質の物理的装置が配置されるのを、より許容できる。さらに、空気コアのループアンテナは、コア領域内に他の部品を配置することができる。さらに、空気コアループは、送信アンテナ114(
図2)の結合モード領域がより強力であり得る送信アンテナ114(
図2)の平面内に、受信アンテナ118(
図2)をより容易に配置することができる。
【0017】
前述のように、伝送器104と受信器108の間の、一致した、またはほぼ一致した共振(すなわち周波数が一致する)の間中、伝送器104と受信器108の間の効率的なエネルギー伝達が起こる。しかし、伝送器104と受信器108の間の共振が一致しないときでさえ、効率には影響があるものの、エネルギーは伝達され得る。送信アンテナの近接場からのエネルギーを、自由空間に伝搬させるのでなく、この近接場が確立されている近傍に存在する受信アンテナに結合することにより、エネルギー伝達が起こる。
【0018】
ループアンテナすなわち磁気アンテナの共振周波数は、インダクタンスおよびキャパシタンスに基づくものである。ループアンテナにおけるインダクタンスは、一般に、単にループによって生成されたインダクタンスであるが、一般に、ループアンテナのインダクタンスにキャパシタンスが付加されて所望の共振周波数における共振構造を形成する。限定的でない実例として、共振信号156を生成する共振回路を形成するために、アンテナに対してキャパシタ152およびキャパシタ154が付加されてよい。したがって、より大きなアンテナについては、共振を誘起するのに必要とされるキャパシタンスの大きさは、コイル直径および/または巻数の増加のためにループのインダクタンスが増加するのにつれて減少する。さらに、ループアンテナすなわち磁気アンテナの直径が増加するのにつれて、近接場の効率的なエネルギー伝達領域が増大する。もちろん、他の共振回路も可能である。別の限定的でない実例として、ループアンテナの2つの端子間に、キャパシタが並列に配置されてもよい。さらに、当業者なら、送信アンテナについては、共振信号156が、ループアンテナ150に対する入力でよいことを認識するであろう。
【0019】
図4Aは、本発明の例示的実施形態による伝送器200の簡易ブロック図である。伝送器200は、送信回路202および送信アンテナ204を含む。一般に、送信回路202は、送信アンテナ204に、振動する信号を供給することにより、RF電力を供給して、送信アンテナ204のまわりに近接場エネルギーを生成する。伝送器200が、任意の適切な周波数で動作し得ることに留意されたい。一例として、伝送器200は、13.56MHzのISMバンドで動作し得る。
【0020】
例示の送信回路202は、送信回路202のインピーダンス(例えば50オーム)を送信アンテナ204に整合させる(すなわち、効率を向上するために負荷と信号源を整合させる)ための固定インピーダンス整合回路206と、高調波放射を、受信器108(
図1)に結合された装置の自己ジャミングを防止するレベルに低減するように構成されたローパスフィルタ(LPF)208とを含む。他の例示的実施形態は、特定の周波数を減衰させる一方で他の周波数を通すノッチフィルタを含むがこれに限定されない様々なフィルタトポロジと、アンテナへの出力電力または電力増幅器により引き出される直流電流などの測定可能な送信メトリックに基づいて変化させることができる適応可能なインピーダンス整合とを含んでよい。送信回路202は、発振器212によって決定されるRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210をさらに含む。送信回路は、個別の素子または回路から、あるいは一体化された組立体から成ってよい。送信アンテナ204からの例示のRF電力出力は、約2.5ワットでよい。
【0021】
送信回路202は、送信フェーズ(またはデューティサイクル)中、発振器212を特定の受信器に対して有効にし、発振器の周波数または位相を調節し、かつ隣接の装置に取り付けられた受信器を介して同装置と相互作用するための通信プロトコルを実施するように出力電力レベルを調節するためのコントローラ214をさらに含む。当技術分野でよく知られているように、発振器の位相および伝送経路の中の関連した回路を調節することによって、特に1つの周波数から別の周波数に移行するとき、帯域外放射を低減することができる。
【0022】
送信回路202は、送信アンテナ204によって生成された近接場の近傍における作動中の受信器の存在または不在を検出するための負荷検知回路216をさらに含んでよい。一例として、負荷検知回路216は、電力増幅器210に流れる電流を監視し、この電流は、送信アンテナ204によって生成された近接場の近傍における作動中の受信器の存在または不在による影響を受ける。電力増幅器210に対する負荷に変化の検出が、エネルギーを伝送するために、発振器212を有効にするべきかどうか、作動中の受信器と通信するべきかどうか、といったことを判断するのに用いるための、コントローラ214によって監視される。
【0023】
送信アンテナ204は、リッツ線を用いて、または抵抗損失を小さく保つように厚さ、幅、および金属のタイプが選択されたアンテナストリップとして実施されてよい。従来型の実装形態では、送信アンテナ204は、一般に、テーブル、マット、ランプまたは携帯用に向かない他の構成などのより大きな構造との関連で構成されることがある。したがって、送信アンテナ204は、実質的な寸法であるためには「巻数」を必要としないことがある。送信アンテナ204の例示的実装形態は、「電気的に小さいもの」(すなわち波長のほんの一部分)であり得て、共振周波数を規定するためにキャパシタを使用することにより、より低い使用可能な周波数で共振するように調整され得る。送信アンテナ204の直径、または正方形ループの場合には辺の長さ(例えば0.50メートル)が、受信アンテナに対してより大きくてよい例示的用途では、送信アンテナ204は、適切なキャパシタンスを得るのに必ずしも多くの巻数を必要としないことになる。
【0024】
伝送器200は、伝送器200に関連し得る受信器装置の所在および状態に関する情報を集め、かつ追跡してよい。したがって、伝送器回路202は、コントローラ214(本明細書ではプロセッサとも称される)に接続された、存在検出器280、密閉された検出器290、またはそれらの組合せを含んでよい。コントローラ214は、存在検出器280および密閉された検出器290からの存在信号に応答して、増幅器210によって供給される電力の量を調節してよい。伝送器は、例えば建屋にある従来型の交流電力を変換するAC/DCコンバータ(図示せず)、従来型の直流電源を伝送器200にとって適切な電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)、または従来型の直流電源(図示せず)からの直接的なものなど、多数の電源による電力を受け取ってよい。
【0025】
限定的でない実例として、存在検出器280は、伝送器の有効範囲領域の中に挿入された充電するべき装置の初期の存在を検知するのに利用される動き検出器でよい。検出の後、伝送器は電源を入れられてよく、装置が受け取るRF電力が、所定のやり方でRx装置のスイッチを切り換えるのに用いられ得て、その結果、伝送器の駆動ポイントのインピーダンスが変化する。
【0026】
別の限定的でない実例として、存在検出器280は、例えば赤外線検出、動き検出、または他の適切な手段によって、人を検出することができる検出器でよい。いくつかの例示的実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で伝送してよい電力の量を制限する規制が存在することがある。場合によっては、これらの規制は、電磁放射から人を保護するためのものである。しかし、例えばガレージ、作業現場、工場などといった、人によって占有されない、または人によって占有されるのが希な領域の中に送信アンテナが配置される環境があり得る。これらの環境に人がいなければ、送信アンテナの電力出力を通常の電力制限規制より増加することが許容されてよい。換言すれば、コントローラ214は、人の存在に応答して、送信アンテナ204の電力出力を規制レベル以下に調節し、人が送信アンテナ204の電磁界からの規制距離の外にいるときには、送信アンテナ204の電力出力を、規制レベルを上回るレベルに調節してよい。
【0027】
限定的でない実例として、密閉された検出器260(本明細書では、密閉された隔室の検出器または密閉された空間の検出器とも称され得る)は、囲壁の開閉状態を判断するためのセンススイッチなどの装置でよい。伝送器が密閉状態の囲壁の中にあるとき、伝送器の電力レベルを増加してよい。
【0028】
例示的実施形態では、伝送器200のオン状態が無期限に続くことのない方法が用いられてよい。この場合、伝送器200は、ユーザ定義の時間の後に止まるようにプログラムされてよい。この特徴は、伝送器200、特に電力増幅器210が、周辺の無線装置が完全に充電されたずっと後にも動作するのを防止する。この出来事は、中継器または受信コイルのいずれかから送られる、装置が完全に充電されたという信号を検出する回路の故障に起因する可能性がある。別の装置が周辺に配置されている場合に、伝送器200が自動的に運転停止するのを防止するために、伝送器200の自動運転停止機能は、その周辺で動きが検出されなくなってから設定時間後にのみ作動されてよい。ユーザが、非活動の時間間隔を決定し、所望に応じてそれを変更することができてよい。限定的でない実例として、この時間間隔は、特定のタイプの無線装置を、最初は完全に放電しているとの仮定の下で完全充電するのに必要とされる時間より長くてよい。
【0029】
図4Bは、選択的に制御され得るスイッチ221を含む無給電アンテナ205に近接した送信アンテナ204を示す。以下でより完全に説明されるように、短絡された無給電アンテナ(すなわちスイッチ221が閉じた無給電アンテナ205)は、送信アンテナ204によって生成される電磁界を変更する(すなわち対抗する)電流を誘起し得る。
図4Cは、選択的に制御され得るスイッチ221およびキャパシタCを含む無給電アンテナ207に近接した送信アンテナ204を示す。以下でより完全に説明されるように、キャパシタを有する短絡された無給電アンテナ(すなわちスイッチ221が閉じた無給電アンテナ207)は、送信アンテナ204によって生成される電磁界を変更する電流を誘起し得る。
【0030】
図5は、本発明の例示的実施形態による受信器300の簡易ブロック図である。受信器300は、受信回路302および受信アンテナ304を含む。受信器300は、受信した電力を供給するための装置350にさらに結合する。受信器300は、装置350の外部にあるものとして示されているが、装置350に一体化されてもよいことに留意されたい。一般に、エネルギーは、無線で受信アンテナ304に伝搬され、次いで受信回路302を介して装置350に結合される。
【0031】
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(
図4A)と、同一周波数または特定の周波数範囲内で共振するように調整される。受信アンテナ304は、送信アンテナ204と類似の寸法設定、または関連する装置350の寸法に基づく異なる寸法設定でよい。一例として、装置350は、送信アンテナ204の直径または長さより小さな直径または長さを有する携帯用電子機器でよい。このような実例では、受信アンテナ304は、同調キャパシタ(図示せず)の容量値を低減して受信アンテナのインピーダンスを増加させるために、多重巻アンテナとして実施されてよい。一例として、受信アンテナ304は、アンテナ直径を最大化し、かつ受信アンテナのループ巻数(すなわち巻線)および巻線間キャパシタンスを低減するために、装置350の実質的な周縁部のまわりに配置されてよい。
【0032】
受信回路302は、受信アンテナ304にインピーダンス整合をもたらす。受信回路302は、受信したRFエネルギー源を装置350による利用のための充電電力に変換するための電力変換回路306を含む。電力変換回路306はRF/DCコンバータ308を含み、DC/DCコンバータ310も含んでよい。RF/DCコンバータ308は、受信アンテナ304で受け取ったRFエネルギー信号を、交番しない電力へと整流し、DC/DCコンバータ310は、整流されたRFエネルギー信号を、装置350に適合するエネルギー電位(例えば電圧)に変換する。部分整流器および全波整流器、レギュレータ、ブリッジ、倍電圧器、ならびに線形コンバータおよびスイッチングコンバータを含む様々なRF/DCコンバータが企図される。
【0033】
受信回路302は、受信アンテナ304を電力変換回路306に接続する、または受信アンテナ304から電力変換回路306を切り離すためのスイッチング回路312をさらに含んでよい。電力変換回路306から受信アンテナ304を切り離すと、装置350の充電が一時停止するばかりでなく、伝送器200(
図2)から「見た」「負荷」が変化する。
【0034】
上記で開示されたように、伝送器200は、伝送器の電力増幅器210に供給されるバイアス電流の変動を検出する負荷検知回路216を含む。したがって、伝送器200は、伝送器の近接場における受信器の存在を判断するための機構を有する。
【0035】
伝送器の近接場に複数の受信器300が存在するとき、1つまたは複数の受信器のローディングとアンローディングを時分割多重化して、他の受信器の、伝送器へのより効率的な結合を可能にするのが望ましいことであり得る。受信器のこの「アンローディング」は、本明細書では「クローキング」としても知られている。受信器は、他の近くの受信器への結合を解消するため、近くの伝送器に対する負荷を低減するため、または伝送器が、1つだけ「クロークされた」受信器の特性を正確に求めることを可能にするために、クロークされてもよい。さらに、受信器300によって制御され、伝送器200によって検出される、アンローディングとローディングの間のこのスイッチングは、受信器300から伝送器200への通信機構をもたらし、このことは以下でより完全に説明される。さらに、スイッチングにはプロトコルを関連づけることができ、これによって、受信器300から伝送器200にメッセージを送ることが可能になる。一例として、スイッチング速度は約100μ秒でよい。
【0036】
例示的実施形態では、伝送器と受信器の間の通信は、従来型の双方向通信ではなく、装置検知および充電制御の機構を指す。換言すれば、伝送器は、近接場でエネルギーが利用可能かどうか調節するのに、伝送された信号のオン/オフキーイングを用いてもよい。受信器は、供給された電力におけるこれらの変化を、伝送器からのメッセージとして解釈する。受信器側からすると、受信器は、受信アンテナの同調および離調を用いて、近接場から受け取る電力の量を調節してよい。伝送器は、近接場から利用される電力におけるこの差を検出して、これらの変化を受信器からのメッセージとして解釈することができる。他の形態の伝送電力および負荷挙動の調節が利用され得ることに留意されたい。
【0037】
受信回路302は、伝送器から受信器への情報の信号伝達に相当し得る受信エネルギーの変動を識別するのに使用される信号伝達検出器およびビーコン回路314をさらに含んでよい。さらに、信号伝達およびビーコンの回路314は、無線充電用の受信回路302を構成するために、低減されたRF信号エネルギーの伝送(すなわちビーコン信号)を検出して、この低減されたRF信号エネルギーを、受信回路302内部の、給電されていない回路、または電力を使い切った回路のいずれかを呼び起こすための名目の電力へと整流するのに使用されてもよい。
【0038】
受信回路302は、本明細書に記載されたスイッチング回路312の制御を含めて本明細書で記載された受信器300の処理を調整するためのプロセッサ316をさらに含む。受信器300のクローキングは、装置350に充電電力を供給する外部の有線充電電源(例えば壁面コンセント/USBの電力)の検出を含む他の事象の発生に際しても起こり得る。プロセッサ316は、受信器のクローキングの制御に加えて、ビーコンの状態を求めて伝送器から送られたメッセージを抽出するために、ビーコン回路314の監視も行なってよい。プロセッサ316は、性能を改善するためにDC/DCコンバータ310を調節してもよい。
【0039】
本明細書に記載される本発明の様々な例示的実施形態は、1つまたは複数の無給電アンテナによって無線電力システムの電磁界分布を制御するためのシステム、装置、および方法に関する。より具体的には、本発明の例示的実施形態は、結合効率の改善、熱問題の緩和、および充電時間の改善を可能にし得る。さらに、例示的実施形態は、より多くの充電可能な装置をサポートする、したがって、効率および充電時間に影響を与えることなくユーザの経験を高めるために、充電領域の増大を可能にし得る。用語「無給電コイル」「無給電ループ」および「無給電アンテナ」は、本明細書では互換性があるように用いられ得ることに留意されたい。
【0040】
本発明の一例示的実施形態によれば、送信アンテナに近接して配置されている、離調され、かつ短絡された無給電アンテナ(すなわち完全短絡の無給電アンテナ)は、誘導電流のために、送信アンテナによって生成された電磁界(例えば磁界)に対抗する電磁界(例えば磁界)を生成する可能性がある。したがって、この例示的実施形態では、無給電アンテナの内部の領域は、磁界がなく、送信アンテナの自己インダクタンスが低減されてよい。さらに、別の例示的実施形態によれば、無給電アンテナが(例えばスイッチによって)開放されてもよく(すなわち開回路)、したがって、送信アンテナまたは送信アンテナに近接した磁界分布に対する影響を誘起しないことがあり得る。
【0041】
本発明の別の例示的実施形態によれば、固定リアクタンス(例えばキャパシタンス)を有し、送信アンテナに近接して配置された1つまたは複数の無給電アンテナが、その中に電流を誘起して、送信アンテナによって生成された磁界を変更し得る。
【0042】
以下でより完全に説明されるように、1つまたは複数の無給電アンテナが、送信アンテナに近接して、行配列、列配列、またはそれらの任意の組合せ(すなわち重なった行配列および列配列を有するデュアル層)に配置されてよい。さらに、無給電アンテナが、送信アンテナに近接して、1つまたは複数の層を備えた格子配列に配置されてよい。そのうえ、1つまたは複数の無給電アンテナが、送信アンテナの上、送信アンテナの下、または送信アンテナと同一平面に配置されてよい。
【0043】
無給電アンテナは、関連する送信アンテナと同一サイズでよく、送信アンテナより小さくてよく、または送信アンテナより大きくてもよい。1つまたは複数の無給電アンテナは、単一の巻数または複数の巻数を備えてよい。本発明の例示的実施形態による短絡された無給電コイルが、実質的に類似のサイズの電子機器(例えば携帯電話)と実質的に類似の離調効果(送信コイルの自己インダクタンスの低減)を有し得ることに留意されたい。
【0044】
企図された1つのフェーズ中、関連するループの中に適合する受信器がないすべての無給電アンテナを短絡し、関連するループの中に少なくとも1つの適合する受信器がある各無給電アンテナを開放することにより、共振整合が達成され得る。送信アンテナおよび短絡された無給電コイルの充電領域の内部に配置された各受信器の累積的な離調効果は、受信器の数にかかわらず同一であることに留意されたい。したがって、送信アンテナの自己インダクタンスは、関連する充電領域の内部に配置されている受信器の数にかかわらず固定され得る。
【0045】
前述のように、本発明の別の例示的実施形態によれば、それぞれが固定リアクタンスを有する1つまたは複数の無給電コイルは、無線電力伝送器の磁界分布を変更することができるように、無線電力伝送器の内部に(例えば磁界分布の外にさえ)集積されてよい。無給電アンテナのループは、磁界分布を改善する、または望ましい区域に電磁界を向けるために、外部から励振されるコイル(すなわち送信アンテナ)より小さくてよい。さらに、無給電アンテナのループは、有効な充電領域を増大するために、外部から励振されるコイルより大きくてもよい。1つまたは複数の無給電アンテナは、全体の電磁界分布を改善するために同心のレイアウトに配置されてよく、または特定の区域の電磁界分布を改善するために非同心のレイアウトに配置されてもよい。さらに、1つまたは複数の無給電アンテナは、単一の巻数または複数の巻数でよい。
【0046】
送信アンテナによって生成される磁界に対する1つまたは複数の無給電アンテナの効果の範囲は、無給電アンテナに誘起される電流に左右され得て、この電流は、無給電アンテナと送信アンテナの間の相互インダクタンス次第であり得る。この電流は、無給電アンテナのサイズ(すなわち、サイズがより大きければ電流がより大きくなる)、無給電アンテナの巻数(すなわち、巻数がより多ければ電流がより大きくなる)、無給電アンテナと送信アンテナの間の(垂直方向および長手方向の)距離(すなわち、より近ければ電流がより大きくなる)、および無給電アンテナと無線電力伝送器の充電面の間の距離(すなわち、距離がより大きければ影響がより少ない)によって制御され得る。
【0047】
以下でより完全に説明されるように、関連する充電面からさらに離れている受信器に対する相互結合(高められた効率をもたらす)を改善するために、1つまたは複数の無給電アンテナは、送信アンテナの上に配置されてよい。さらに、1つまたは複数の無給電アンテナは、伝送器のプロファイルを低減するために、送信アンテナと同一平面にあってよい。そのうえ、電磁界の変化の範囲を低減するために、1つまたは複数の無給電アンテナは、送信アンテナの下に配置されてもよい。
【0048】
無給電アンテナの端子間の1つまたは複数のキャパシタの値が、送信アンテナと無給電アンテナの間の位相差を制御し得ることに留意されたい。したがって、無給電アンテナの端子間のキャパシタの値は、望ましい応答を目的として選択されてよい。キャパシタが非常に小さければ(開回路に類似)、全体の電磁界分布に対する影響が最小限になる。キャパシタが非常に大きな値を有すると(短絡に類似)、それぞれの無給電アンテナの中央に最小限の電磁界強度が実現され得て、また、同心レイアウトのそれぞれの無給電アンテナの外部領域において最大の電磁界強度が実現され得る。共振周波数を動作周波数へと駆動するキャパシタの値より小さな値を有するキャパシタは、それぞれの無給電アンテナの外部領域の電磁界強度を低減し、それぞれの無給電アンテナの内部領域の電磁界強度を増大することにより、同心レイアウトに関する実質的に均一な電磁界分布を実現し得る。共振周波数を動作周波数へと駆動するキャパシタの値と等しい値を有するキャパシタは、同心レイアウトに関して、それぞれの無給電アンテナの中央における最大の電磁界強度と、それぞれの無給電アンテナの外部領域における最小の電磁界強度とを実現し得る。共振周波数を動作周波数へと駆動するキャパシタの値より大きな値を有するキャパシタは、それぞれの無給電アンテナの内部領域におけるより弱い電磁界強度と、それぞれの無給電アンテナの外部領域におけるより強い電磁界強度とを実現し得る。磁界を、能動的に望ましい領域へ向けて望ましくない領域から遠ざけるために、追加のキャパシタが無給電アンテナに接続され得ることに留意されたい。以下のTable 1(表1)は、無給電アンテナの電流および無線電力伝送器の電磁界の分布に対する各キャパシタの値の効果をさらに示す。
【0050】
次に、本発明の様々な例示的実施形態が、
図6A〜
図13を参照しながら説明されることになる。
図6Aは、本発明の例示的実施形態による、送信アンテナ601および複数の無給電アンテナ602Aを含む無線電力伝送器600Aを示す。
図6Bは、本発明の別の例示的実施形態による、送信アンテナ601および複数の無給電アンテナ602Bを含む無線電力伝送器600Bを示す。
図6Aに示される無給電アンテナ602Aは行配列で配置され、
図6Bに示される無給電アンテナ602Bは列配列で配置される。
図6Cは、本発明のさらに別の例示的実施形態による無線電力伝送器600Cを示す。無線電力伝送器600Cは、送信アンテナ601、行配列の複数の無給電アンテナ602A、および列配列の複数の無給電アンテナ602Bを含む。無給電アンテナ602Aおよび無給電アンテナ602Bは、2重層の構成である。本発明の別の例示的実施形態が
図6Dに示されており、この図面は、送信アンテナ601と、行および列の配列で配置された複数の無給電アンテナ602Dとを含む無線電力伝送器600Dを示す。本明細書に用いられ、
図6A〜
図6Dに示されている「セル」は、1つまたは複数の無給電アンテナによって制御され得る可能な限り小さな領域であることに留意されたい。
【0051】
図7Aは、複数の無給電アンテナ712、714、716、718、および720、ならびに別の複数の無給電アンテナ722、724、および726を含んでいる2重層構成の無線電力伝送器700Aを含む無線電力システム700Aの一例を示す。より具体的には、無線電力伝送器700Aは、1つの方向に(すなわち互いに平行に)配置された無給電アンテナ712、714、716、718、および720と、別の方向に(すなわち、互いに平行であって無給電アンテナ712、714、716、718、および720に対して垂直に)配置された無給電アンテナ722、724、および726とを含む。そのうえ、無線電力システム700Aは、第1の無線電力受信器710Aおよび第2の無線電力受信器710Bを含む。第1の無線電力受信器710Aおよび第2の無線電力受信器710Bのそれぞれが適合している装置を備える実例では、無線電力伝送器700Aは、無給電アンテナ722、724、714、および718のそれぞれを開き、無給電アンテナ712、716、720、および726のそれぞれを短絡してよい。したがって、無給電コイル712、716、720、および726のいずれの内部の領域も、ゼロ電磁界区域を備え得る。したがって、この実例では、受信器710Aまたは受信器710Bが、送信アンテナ601によって生成された電力を受け取ることができる。
【0052】
図7Bは、複数の無給電アンテナ712、714、716、718、および720、ならびに別の複数の無給電アンテナ722、724、および726を含んでいる2重層構成の無線電力伝送器700Aを含む無線電力システム700Bの別の一例を示す。より具体的には、無線電力伝送器700Aは、1つの方向に(すなわち互いに平行に)配置された無給電アンテナ712、714、716、718、および720と、別の方向に(すなわち、互いに平行であって無給電アンテナ712、714、716、718、および720に対して垂直に)配置された無給電アンテナ722、724、および726とを含む。そのうえ、無線電力システム700Bは、無線電力受信器710Cを含む。無線電力受信器710Cが適合している装置を備える実例では、無線電力伝送器700Bは、無給電アンテナ718、722、および724のそれぞれを開き、無給電アンテナ712、714、716、720、および726のそれぞれを短絡してよい。したがって、無給電コイル712、714、716、720、および726のうち、いずれの内部の領域も、ゼロ電磁界区域を備えてよい。したがって、この実例では、受信器710Cは、送信アンテナ601によって生成された電力を受け取ってよい。
【0053】
図8Aは、複数の無給電アンテナ812、814、816、818、および820と、別の複数の無給電アンテナ822、824、および826とを含んでいる無線電力伝送器800Aを含む無線電力システム800Aの一例を示す。無線電力伝送器700Aと同様に、無線電力伝送器800Aは、1つの方向に(すなわち互いに平行に)配置された無給電アンテナ812、814、816、818、および820と、別の方向に(すなわち、互いに平行であって無給電アンテナ812、814、816、818、および820に対して垂直に)配置された無給電アンテナ822、824、および826とを含む。そのうえ、無線電力システム800Aは、この実例ではそれぞれが適合している装置を備えた第1の無線電力受信器810Aおよび第2の無線電力受信器810Bを含む。さらに、無線電力システム800Aは、この実例では近接場通信(NFC)装置または不正受信器などの適合していない装置を備えた装置810Cを含む。無線電力システム800Aの企図された動作中、無線電力伝送器は、無給電アンテナ814、818、822、および824のそれぞれを開き、無給電アンテナ812、816、820、および826のそれぞれを短絡してよい。その結果、短絡された無給電アンテナ812、816、820、および826のいずれの内部の領域も、ゼロ電磁界区域を備え得る。装置810Cが、ゼロ電磁界区域830の内部に配置されており、したがって、装置810Cが受け取る電力は、あったとしても限定され得ることに留意されたい。さらに、受信器810Aおよび受信器810Bは、ゼロ電磁界区域830の内部になく、したがって、送信アンテナ601によって生成された電力を受け取り得る。
【0054】
図8Bは、無給電アンテナ812、814、816、818、820、822、824、および826を含んでいる無線電力伝送器801Bを含む無線電力システム800Bの一例を示す。無線電力伝送器800Aと同様に、無給電アンテナ812、814、816、818、および820は、1つの方向に(すなわち互いに平行に)配置され、無給電アンテナ822、824、および826は、別の方向に(すなわち、互いに平行であって無給電アンテナ812、814、816、818、および820に対して垂直に)配置されている。そのうえ、この実例では、無線電力システム800Bは、適合している装置を備えた無線電力受信器810Dを含む。さらに、この実例では、無線電力システム800Aには、それぞれが近接場通信(NFC)装置または不正受信器などの適合していない装置を備えた装置810Eおよび装置810Fが含まれる。無線電力システム800Bの企図された動作中、無線電力伝送器は、無給電アンテナ818、822、および824のそれぞれを開き、無給電アンテナ812、814、816、820、および826のそれぞれを短絡してよい。その結果、短絡された無給電アンテナ812、814、816、820、および826のいずれの内部領域も、ゼロ電磁界区域を備え得る。装置810Eおよび装置810Fが、ゼロ電磁界区域832の内部に配置されており、したがって、装置810Eまたは装置810Fのいずれかが受け取る電力は、あったとしても限定され得ること留意されたい。さらに、受信器810Dは、ゼロ電磁界区域832の内部になく、したがって、送信アンテナ601によって生成された電力を受け取り得る。
【0055】
図9は、送信アンテナ852を含む無線電力伝送器852、無給電アンテナ854、および無給電アンテナ856を含む無線電力システム850を示す。無線電力システム850は、無線電力伝送器852の充電領域の内部に配置された受信器858も含む。
図9を参照すると、それぞれが短絡されて送信アンテナ852に隣接している無給電アンテナ854および無給電アンテナ856は、送信アンテナ852によって生成された磁界に対抗する誘導電流を有する。送信アンテナ852内部の電流の方向は矢印851によって示されており、無給電アンテナ854および無給電アンテナ856内部の電流の方向は矢印853によって示されている。さらに、領域860内部の電流の方向は、矢印855によって示されている。したがって、無給電アンテナ854および無給電アンテナ856のそれぞれの内部の磁界は低減されてよく、また、領域860の内部の磁界は強化されてよく、したがって結合効率が改善され得る。
図6A〜
図9で示された無給電アンテナが、「完全短絡された」無給電アンテナを備えていることに留意されたい。
【0056】
当業者には理解されるように、1つまたは複数の短絡された無給電アンテナは、1つまたは複数の無給電アンテナと送信アンテナの間の相互インダクタンス、および1つまたは複数の無給電アンテナと受信器の受信アンテナの間の相互インダクタンスを介して、送信アンテナからのエネルギーを受信器に再結合してよい。1つまたは複数の無給電アンテナが、受信器からさらに離れて配置されると、結合の増加は減少する。したがって、様々な装置にわたって最適の性能を実現するために、1つまたは複数の無給電アンテナは、適切に寸法設定して離隔されてよい。
【0057】
例示的一実施形態によれば、無線電力伝送器は、適合している装置(すなわち無線充電可能な装置)の存在を検出するように構成されてよい。さらに、無線電力伝送器は、検出された適合している装置の位置を求めるように構成されてよい。1つの企図された動作中、無線電力伝送器は、適合している装置がそれぞれのセルの内部にあるかどうか判断するために、各無給電アンテナを別々の時間に短絡したり開放したりすることにより、周期的にシステム走査を遂行してよい。さらに、充電効率が突然低下すると、受信器がゼロ電磁界区域の内部に配置された可能性があるので、走査を起動してよい。適合している装置の検出は、走査ルーチン中に、電力伝達効率、無負荷時の受信器電圧、またはその両方を監視することなどの当技術分野で知られている方法によって実行されてよい。したがって、伝送器は、個々の受信器の位置に知り得る。
【0058】
無線電力伝送器は、1つまたは複数の適合している装置を検出して、検出された適合している装置の位置を求めると、ゼロ電磁界区域を生成して、適合していない装置(例えばNFCカードまたは不正受信器)への電力伝達を最小化し、場合によっては解消するように、内部に少なくとも1つの適合している装置が配置されていないすべての無給電コイルを短絡してよい。したがって、当業者には理解されるように、伝送器によって生成される電磁界が、ゼロ電磁界区域に該当しない領域では改善され得て、したがって結合効率が改善され得る。
【0059】
前述のように、無線電力伝送器は、送信アンテナおよび1つまたは複数の無給電アンテナを含んでよく、少なくとも1つの無給電アンテナは固定リアクタンスを有する(すなわち、完全短絡ではない)。容量性要素(すなわち、容量性の負荷をかけられる)などの固定リアクタンスを含む無給電アンテナは、無線電力伝送器の電磁界分布を変更する(例えば、電磁界を好ましくない領域から遠ざける、または電磁界を所望の領域へ向ける)ために使用されてよい。例えば、無給電アンテナは、より小さな送信アンテナの有効範囲領域を拡大することができ、またはより大きな送信アンテナの電磁界を集中することができる。
【0060】
図10A〜
図10Gは、各構成が送信アンテナおよび少なくとも1つの無給電アンテナを含んでいる様々な例示的無線電力伝送器の構成を示す図である。具体的には、
図10Aは、送信アンテナ901Aと、送信アンテナ901Aより小さい同心の無給電アンテナ902Aとを含む無線電力伝送器900Aを示す。
図10Bは、送信アンテナ901Bと、それぞれが送信アンテナ901Bより小さい同心の無給電アンテナ902B1および902B2とを含む無線電力伝送器900Bを示す。
図10Cは、送信アンテナ901Cと、送信アンテナ901Cより大きい同心の無給電アンテナ902Cとを含む無線電力伝送器900Cを示す。
図10Dは、送信アンテナ901Dと、送信アンテナ901Dより小さい非同心の無給電アンテナ902Dとを含む無線電力伝送器900Dを示す。
図10Eは、送信アンテナ901Eと、それぞれが送信アンテナ901Eより小さい非同心の無給電アンテナ902E1および902E2とを含む無線電力伝送器900Eを示す。
図10Fは、送信アンテナ901Fと、送信アンテナ901Fより小さい同心の無給電アンテナ902F1とを含む無線電力伝送器900Fを示す。無線電力伝送器900Fは、無給電アンテナ902F1より小さい非同心の無給電アンテナ902F2をさらに含む。
図10Gは、送信アンテナ901Gと、送信アンテナ901Gより小さい同心の無給電アンテナ902G1とを含む無線電力伝送器900Gを示す。無線電力伝送器900Gは、それぞれが無給電アンテナ902G1より小さい非同心の無給電アンテナ902G2および902G3をさらに含む。
【0061】
図11A〜
図11Cは、各構成が送信アンテナ921および1つの無給電アンテナ922を含んでいる様々な例示的無線電力伝送器の構成を示す断面図である。
図11Aは、送信アンテナ921と、送信アンテナ921の下に配置された無給電アンテナ922とを含む無線電力伝送器920Aを示す。
図11Bは、送信アンテナ921と、送信アンテナ921と同一平面にある無給電アンテナ922とを含む無線電力伝送器920Bを示す。
図11Cは、送信アンテナ921と、送信アンテナ921の上に配置された無給電アンテナ922とを含む無線電力伝送器920Cを示す。
【0062】
図12A〜
図12Eは、送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナ内部の電流の間の様々な関係を示す図である。送信アンテナ内部の電流と無給電アンテナの電流の間の位相関係が、無給電コイルの内部の電磁界(例えば磁界)の減少/増加を決定し得ることに留意されたい。
図12Aは、送信アンテナ932と、無給電アンテナ934とを含む無線電力伝送器930Aを示す。送信アンテナ932内部の電流の方向は、矢印935によって示されている。この実施形態では、無給電アンテナ934は開回路であり、したがって無給電アンテナ934には電流が流れない。
図12Bは、送信アンテナ932および無給電アンテナ936を含む無線電力伝送器930Bを示す。送信アンテナ932内部の電流の方向は矢印935によって示されており、無給電アンテナ936内部の電流の方向は矢印937によって示されている。この実施形態では、無給電アンテナ934のキャパシタンスは、無給電アンテナ934を動作周波数で共振させるキャパシタンスより小さく、無給電アンテナ934内部の電流は、送信アンテナ932内部の電流と異相であるが同一方向になる。
図12Cは、送信アンテナ932および無給電アンテナ938を含む無線電力伝送器を930C示す。送信アンテナ932内部の電流の方向は矢印935によって示されており、無給電アンテナ938内部の電流の方向は矢印937によって示されている。この実施形態では、無給電アンテナ934のキャパシタンスは、無給電アンテナ934を動作周波数で共振させるキャパシタンスに等しく、無給電アンテナ934内部の電流は、送信アンテナ932内部の電流と同相で同一方向になる。
図12Dは、送信アンテナ932および無給電アンテナ940を含む無線電力伝送器930Dを示す。送信アンテナ932内部の電流の方向は矢印935によって示されており、無給電アンテナ940内部の電流の方向は矢印937によって示されている。この実施形態では、無給電アンテナ934のキャパシタンスは、無給電アンテナ934を動作周波数で共振させるキャパシタンスより大きく、無給電アンテナ934内部の電流は、送信アンテナ932内部の電流と異相であって反対方向になる。
図12Eは、送信アンテナ932および無給電アンテナ942を含む無線電力伝送器930Eを示す。送信アンテナ932内部の電流の方向は矢印935によって示されており、無給電アンテナ942内部の電流の方向は矢印937によって示されている。この実施形態では、無給電アンテナ934のキャパシタンスが非常に大きく(すなわち短絡)、無給電アンテナ934内部の電流は、送信アンテナ932内部の電流に対して180度異相である。
【0063】
電磁界分布の制御を改善するために、重なり合うコイルを含む各無給電コイル間の間隔が調節され得ることに留意されたい。さらに、無給電コイルのサイズおよび無給電コイル間の間隔は、例えば関連する無線電力伝送器のサイズ次第で変化し得る。さらに、本発明の様々な例示的実施形態は、送信アンテナの全域でより均一な磁界を生成することにより、結合効率およびインピーダンス応答を改善し得ることに留意されたい。充電領域内のピーク磁界を低減することにより、さらに、NFCカードに関連した潜在的な熱/火災の危険性の問題が、緩和され得る。電磁界分布の能動的変化を含むことにより、無線電力システムは、磁界を、適合していない装置(例えばNFCカード)から遠ざけて適合している受信器に向けることが可能であり得る。そのうえ、結合効率への影響を最小限にして有効な充電領域が拡大され得る。
【0064】
図13は、1つまたは複数の例示的実施形態による別の方法950を示す流れ図である。方法950は、無線送信アンテナで電磁界を生成するステップ(数字952で示されている)を含んでよい。方法950は、生成された伝送器の内部の電磁界および送信アンテナに近接した電磁界の分布を無給電アンテナで変更するステップ(数字954で示されている)をさらに含んでよい。
【0065】
当業者なら、情報および信号が、様々な別々の技術および技法のうち任意のものを用いて表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明の全体にわたって参照され得るデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、符号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁性粒子、光場または光子、またはそれらの任意の組合せによって表されてよい。
【0066】
当業者なら、本明細書に開示された例示的実施形態と関連して説明された様々な例示的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムのステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたは両方の組合せとして実施され得ることをさらに理解するであろう。上記で、ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明白に示すために、様々な例示の構成要素、ブロック、モジュール、回路およびステップが、それらの機能に関して全体的に説明されてきた。そのような機能がハードウェアとして実施されるのか、またはソフトウェアとして実施されるのかということは、システム全体に課された特定の用途および設計制約条件次第である。当業者なら、それぞれの特定の用途に対して、説明された機能を様々なやり方で実施し得るが、このような実装形態の判断が、本発明の例示的実施形態の範囲から逸脱するものと解釈されるべきではない。
【0067】
本明細書に開示された例示的実施形態に関連して説明された様々な例示の論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、あるいは本明細書で説明された機能を実行するように設計された、他のプログラマブル論理デバイス、個別のゲートまたはトランジスタ論理、個別のハードウェア部品またはそれらの任意の組合せで実施または実行されてよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでよいが、代替形態では、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械でよい。プロセッサは、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成といったコンピュータデバイスの組合せとして実施されてもよい。
【0068】
本明細書に開示された例示的実施形態に関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、またはこれら2つの組合せで、直接具現されてよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラム可能ROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD-ROM、または当技術分野で既知の記憶媒体の任意の他の形式の中に存在してよい。プロセッサが情報を読み取りかつ書き込むことができるように、例示的記憶媒体がプロセッサに結合される。代替形態では、記憶媒体がプロセッサに一体化されてよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICの中に存在してよい。ASICは、ユーザ端末の中に存在してよい。代替形態では、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末の個々の部品として存在してよい。
【0069】
1つまたは複数の例示的実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実施されてよい。ソフトウェアで実施される場合には、これらの機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体に記憶され、または伝達されてよい。コンピュータ可読媒体には、コンピュータの記憶媒体と、コンピュータプログラムをある場所から別の場所に伝達するのを促進するあらゆる媒体を含む通信媒体との両方が含まれる。記憶媒体は、コンピュータによるアクセスが可能なあらゆる利用可能な媒体でよい。限定的でない実例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、あるいは所望のプログラムコードを装置の実行命令またはデータ構造の形で携帯する、または保存するために使用することができ、コンピュータによるアクセスが可能な任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続も、適切にコンピュータ可読媒体と称される。例えば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いて、ソフトウェアがウェブサイト、サーバまたは他の遠隔のソースから伝送される場合、これらの同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義の中に含まれる。本明細書で用いられるディスクには、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクが含まれ、磁気ディスクは、通常、データを磁気的に再生し、光ディスクは、レーザーを用いてデータを光学的に再生する。上記のものの組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0070】
開示された例示的実施形態の先の説明は、あらゆる当業者が本発明を製作する、または利用することができるように提供されたものである。当業者には、これらの例示的実施形態に対する様々な変更形態が容易に明白になるはずであり、また、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用することができる。したがって、本発明は、本明細書に示された例示的実施形態に限定されるようには意図されておらず、本明細書に開示された原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられることになっている。