特許第5911588号(P5911588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911588
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】サービス・リンクの確立
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/00 20090101AFI20160414BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20160414BHJP
   H04W 76/02 20090101ALI20160414BHJP
【FI】
   H04W4/00 111
   H04W48/10
   H04W76/02
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-539260(P2014-539260)
(86)(22)【出願日】2012年11月5日
(65)【公表番号】特表2015-505425(P2015-505425A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】EP2012004606
(87)【国際公開番号】WO2013068094
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年5月2日
(31)【優先権主張番号】11360049.8
(32)【優先日】2011年11月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】パドル,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレンド,グラハム,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,シン,ホーン
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−525919(JP,A)
【文献】 特開2004−153790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電気通信ネットワーク(10)において、ユーザ機器(50)と、ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間で複数のサービス・リンクを確立する方法であって、
前記ユーザ機器(50)と前記ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間で送信されるべきデータ・トラフィックが存在することを決定するステップと、
前記データ・トラフィックの通信のための回路交換された第1のサービス・リンクを確立するステップと、
前記ユーザ機器と前記ネットワーク・アクセス・ノードとの間で送信されるべき、パケット交換された第2のサービス・リンクの確立を必要とするさらなるデータ・トラフィックが存在することを決定するステップと、
前記ネットワーク・アクセス・ノードによってサポートされるセル・エリアにわたってブロードキャストされたしきい値から、前記ユーザ機器(50)と前記ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間の前記パケット交換された第2のサービス・リンク上の前記さらなるデータ・トラフィックの通信の成功に必要とされる無線状態を示すプリセットされた無線状態パラメータを決定するステップ(S1)と、
前記ユーザ機器(50)において経験される無線状態を評価し(S4)、前記無線状態パラメータが、満たされている場合に、前記さらなるデータ・トラフィックの通信のためのパケット交換された第2のサービス・リンクを確立するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第2のサービス・リンクは一般的に、前記さらなるデータ・トラフィックを成功裏に送信するには、前記第1のサービス・リンクが前記データ・トラフィックを成功裏に送信するのに一般的に必要とするよりも大きい送信電力を必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ・トラフィックは、第1のデータ・トラフィック・タイプのデータを含み、また前記さらなるデータ・トラフィックは、第2のデータ・トラフィック・タイプのデータを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリセットされた無線状態パラメータは、前記第2のデータ・トラフィック・タイプの送信特性に従って決定される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のデータ・トラフィック・タイプの前記送信特性は、前記第2のデータ・トラフィック・タイプに関連するサービス品質の表示を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値の受信信号コード電力値の表示を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値のチップ当たりエネルギー/雑音値の表示を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザ機器(50)において経験される無線状態を評価するステップは、一連の無線状態測定値を平均化するステップを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
所定の安定期間にわたって前記ユーザ機器(50)において経験される無線状態を評価するステップと、前記無線状態パラメータが、前記所定の安定期間にわたって満たされている場合に、前記さらなるデータ・トラフィックの通信のために前記第2のサービス・リンクを確立するステップとをさらに含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザ機器(50)において経験される無線状態を評価するステップ(S4)と、前記無線状態パラメータが、満たされていない場合に、前記ユーザ機器において経験される前記無線状態を再評価する前に、所定のバック・オフ期間にわたって無線状態を評価し続けるステップとをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータの上で実行されるときに、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
ワイヤレス電気通信ネットワーク(10)においてネットワーク・アクセス・ノード(20)との複数のサービス・リンクを確立するように動作可能なユーザ機器(50)であって、
ユーザ機器と前記ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間で送信されるべきデータ・トラフィックが存在することを決定するように動作可能なデータ・トラフィック・ロジックと、
前記データ・トラフィックの通信のための回路交換された第1のサービス・リンクを確立するように動作可能な第1のサービス・リンク確立ロジックと、
前記ユーザ機器(50)と前記ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間で送信されるべき、パケット交換された第2のサービス・リンクの確立を必要とするさらなるデータ・トラフィックが、存在することを決定するように動作可能なリンク確立ロジックと、
前記ネットワーク・アクセス・ノードによってサポートされるセル・エリアにわたってブロードキャストされたしきい値から、ユーザ機器(50)と前記ネットワーク・アクセス・ノード(20)との間の、前記パケット交換された第2のサービス・リンク上の前記さらなるデータ・トラフィックの通信の成功に必要とされる無線状態を示すプリセットされた無線状態パラメータを決定するように動作可能なパラメータ・ロジックと、
ユーザ機器(50)において経験される無線状態を評価して、前記無線状態パラメータが満たされている場合に、前記さらなるデータ・トラフィックの通信のためにパケット交換された第2のサービス・リンクを確立するように動作可能である評価ロジックと
を備えるユーザ機器(50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて複数のサービス・リンクを確立する方法と、その方法を実行するように動作可能なユーザ機器と、その方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電気通信システムが、知られている。セルラー方式システムにおいては、無線カバレッジは、セルとして知られているエリアにおいて、ユーザ機器に対して、例えば、モバイル電話に対して提供される。基地局が、無線カバレッジを提供するように、各セルの中に位置している。各セルにおけるユーザ機器は、基地局から情報とデータとを受信し、また基地局に対して情報とデータとを送信する。
【0003】
基地局によってユーザ機器に対して送信される情報とデータとは、ダウンリンク・キャリアとして知られている無線キャリアのチャネル上に現れる。ユーザ機器によって基地局に対して送信される情報とデータとは、アップリンク・キャリアとして知られている無線キャリアのデータ・チャネル上に現れる。
【0004】
スマートフォンの幅広い人気は、知られている電気通信ネットワークにおいて搬送されるデータ・トラフィック・プロファイルに対してかなりの変化を引き起こしてきている。ユーザ機器のデータ・トラフィック・プロファイルは、データ送信に関連してより厳しく負荷がかけられるようになってきている。音声コールではなくてデータ・コールについてのますます増大する数は、全般的なユーザ機器オペレーションにおける変化をもたらしてきている。音声コール送信に意図されたネットワークのために主として設計される従来の送信モードの方法は、全体的な効率のよいネットワーク・オペレーションの助けとならないこともあり、また典型的なデータ・トラフィック・プロファイルへのそのような変化には適していない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて、サービス・リンクを確立するための改善された技法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいて、ユーザ機器と、ネットワーク・アクセス・ノードとの間で複数のサービス・リンクを確立する方法であって、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間で送信されるべきデータ・トラフィックが存在することを決定するステップと、データ・トラフィックの通信のための第1のサービス・リンクを確立するステップと、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間で送信されるべき、第2のサービス・リンクの確立を必要とするさらなるデータ・トラフィックが存在することを決定するステップと、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間の第2のサービス・リンクの上のさらなるデータ・トラフィックの通信の成功に必要とされる無線状態を示すプリセットされた無線状態パラメータを決定するステップと、ユーザ機器において経験される無線状態を評価し、前記無線状態パラメータが、満たされている場合に、さらなるデータ・トラフィックの通信のための第2のサービス・リンクを確立するステップとを含む方法を提供している。
【0007】
ワイヤレス・ネットワークにより、一般的に、モバイル・ユーザは、異なるタイプのアプリケーションまたはサービスをサポートするコールまたはサービス・リンクを確立することができるようになる。例えば、UMTSネットワークは、回路交換(CS:circuit switched)コールと、パケット交換(PS:packet switched)コールとの両方についてのサポートを提供する。CS無線アクセス・ベアラ(RAB:radio access bearer)は、一般的に、音声アプリケーションまたは音声コールをサポートするように確立され、またPS無線アクセス・ベアラ(RAB)は、一般的に、データの転送を必要とするアプリケーション、例えば、ウェブ・ブラウジング、写真のアップロード、および同様なものをサポートするように確立される。
【0008】
典型的なUMTSユーザ機器(UE:user equipment)は、CS RABと、PS RABとの両方を同時に処理する能力を有する。結果として、ユーザ機器は、広範な機能豊富なアプリケーションとサービスとをエンド・ユーザに提供するように動作可能である。UMTSネットワークはまた、特定のセルにおいて動作するユーザ機器との、回路交換無線アクセス・ベアラ接続と、パケット交換無線アクセス・ベアラ接続との両方を確立する能力もサポートする。
【0009】
ネットワークが、既存の回路交換RABに加えて、パケット交換RABを受け入れるべき要求を受け入れる場合があることが、見出されている。いくつかの場合には、この構成は、パケット交換RABと、回路交換RABとの両方についての失敗と、それゆえに、ユーザ機器との通信についての全体的な損失と、パケット交換コールと回路交換コールとの損失または脱落とをもたらす可能性がある。そのような脱落したコールのシナリオは、一般的に、UMTSネットワーク・セルにアタッチされるユーザ機器が、質の悪い無線周波数送信状態を経験しているエリアにあるときに、起こる。ユーザ機器とのサービス・リンクとして追加のパケット交換RABをサポートすることは、一般的に、より高い信号品質(例えば、信号対雑音干渉比)を必要とし、またそれゆえに、より多くのリソース(例えば、送信電力)を必要とする可能性がある。質の悪いRF状態において動作するユーザ機器が、例えば、アップリンク受信および/または質の悪いダウンリンク受信における使用可能な送信電力の不足に起因して、パケット交換RABサービス・リンクによって要求されるより高い信号品質要求をサポートすることができない可能性があるので、ユーザ機器に対するすべての接続が、影響を受けてしまう可能性が高い。そのような状況は、一般的に、質の悪い回路交換サービスとパケット交換サービスとをもたらし、また、最悪の場合には、コールの脱落をもたらす可能性がある。使用可能なアップリンク送信電力の不足を緩和するために、ユーザ機器からのより高い送信電力を要求することは、それが、セルの内部の他のユーザ機器に対して提案されるサービスに対して干渉を導入する可能性が高いので、全体としてネットワーク・オペレーションにとって都合がよくない可能性があることが、理解されるであろう。
【0010】
ユーザ機器において回路交換RABサービス・リンクに対する接続にパケット交換RABサービス・リンクを追加することは、質の悪いRF状態に起因して、無線インターフェースの上で検出されるエラーの数を増大させる可能性があることも指摘されている。結果として、ネットワーク、例えば、基地局またはRNCは、エラー・レートが、ユーザ機器の解放を保証するのに十分に高いことを決定するように動作可能であることもあり、ユーザ機器の解放後、すべての接続をなくしているユーザ機器は、ネットワークに対してそれ自体を再アタッチする必要がある。その再接続は、そのユーザ機器に対してより良いRF状態を提供する別のセルを経由して起こる可能性がある。
【0011】
回路交換無線アクセス・ベアラが、パケット交換無線アクセス・ベアラよりも高い優先順位で取り扱われることが、一般的である。結果として、電気通信ネットワークは、回路交換サービス接続を試み、また保護する様々な問題解決手法を実施するように動作可能であり、また、既存の回路交換接続を有して動作するユーザ機器に対してパケット交換接続を追加するシナリオを、それが回路交換リンクの脱落をもたらす可能性がある場合には特に、回避するように、動作可能であることもある。
【0012】
したがって、ネットワークは、既存の回路交換接続に対してパケット交換接続を追加する要求を拒否し、またはパケット交換コア・ネットワークからのページング要求を無視するように動作可能であることもあり、それによってユーザ機器が、パケット交換接続の確立を要求するトリガを受信することを防止している。代わりに、ユーザ機器が、回路交換接続の確立を要求する場合に、ネットワークは、既存のパケット交換接続を脱落させるように動作可能であることもあり、それによって、可能な限り、回路交換接続に対してサービスを提供している。
【0013】
そのような例と、さらなる例とは、単に、ユーザ機器が、パケット交換接続を確立することができないように、ネットワークの内部のかなりの追加の作業をもたらす可能性がある。ネットワークの内部のその追加の信号方式は、たとえネットワークがそれを拒否しているとしても、回路交換であれ、またはパケット交換であれ、接続を確立する任意の要求を絶えず反復するように一般的に動作可能であるユーザ機器によってさらに悪化させられる可能性が高い。
【0014】
本明細書において説明される態様は、ユーザ機器との複数のサービス・リンクを確立するときに、ネットワークに対する影響を低減させることを目指し、また同時に、パケット交換サービス・リンク、または他の類似したサービス・リンクの確立を要求する能力を、そのようなアクションの影響が悪影響を及ぼす可能性が低い場合にユーザ機器に提供する方法を実施するものである。
【0015】
第1の態様は、特定の「RFしきい値」または「しきい値」を実施する、ユーザ機器の能力を導入することにより、要求すべきかどうかを決定するときに、第2のサービス・リンク(例えば、PS RABサービス・リンク、CS RABサービス・リンク、またはLTE/4Gシステム・アーキテクチャにおける同等なサービス・リンク)の確立は、不必要なネットワーク信号を減少させ、また第2のサービス・リンクが、成功しないことになる可能性を低下させることもあることを認識している。
【0016】
一実施形態においては、第2のサービス・リンクは、第1のサービス・リンクが、データ・トラフィックを成功裏に送信するために一般的に必要とするよりも、さらなるデータ・トラフィックを成功裏に送信するために、より多くの送信電力を一般的に必要とする。したがって、第1のサービス・リンクは、異なる動作要件を有する、第2のサービス・リンクを確立する試みが、行われない場合に、動作したままである可能性がある。
【0017】
いくつかの実施形態においては、第2のサービス・リンクは、第1のサービス・リンクよりも多くの送信電力を必要としない可能性もあること、ただし、もっと正確に言えば、第1のリンクと第2のリンクとを維持するという組み合わされた要件は、たとえ第2のリンクが、第1のリンクよりも少ないリソースを必要とするとしても、全体の接続が、脱落するようにさせることもあることが、理解されるであろう。ユーザ機器において実施されるパラメータは、第1のサービス・リンクと、第2のサービス・リンクとの組み合わされたリソースの要件を明らかにするように設定されることもある。
【0018】
一実施形態においては、データ・トラフィックは、第1のデータ・トラフィック・タイプのデータを含んでおり、またさらなるデータ・トラフィックは、第2のデータ・トラフィック・タイプのデータを含んでいる。したがって、異なるデータ・トラフィック・タイプは、各サービス・リンクの上で搬送されることもある。例えば、第1のサービス・リンクは、音声コールを搬送することができるが、第2のサービス・リンクは、ユーザ・データ・トラフィックを搬送する。代わりに、第1のサービス・リンクは、ボイス・オーバーIPデータ・トラフィックを搬送することができるが、第2のサービス・リンクは、ストリーミングされたデータ、またはウェブ・ブラウジング・データを搬送する。各タイプのデータ・トラフィックのサービス要件は、異なる可能性があることが、理解されるであろう。したがって、一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、第2のデータ・トラフィック・タイプの送信特性に従って決定される。
【0019】
一実施形態においては、第2のデータ・トラフィック・タイプの送信特性は、第2のデータ・トラフィック・タイプに関連するサービス品質の表示を含んでいる。したがって、高い優先順位、または要求するサービス品質(QoS:Quality of Service)プロファイルを有するデータ・トラフィックでは、より強い無線リンクについての必要性を示す、より厳しいパラメータまたはしきい値、あるいはより良いRF通信環境を経験するユーザ機器が、実施されることもある。もちろん、第1のサービス・リンクと、第2のサービス・リンクとの優先順位が、実質的に同じである、または第2のサービス・リンクが、第1のサービス・リンクよりも低い優先順位のものである場合には、パラメータが満たされない場合の第2のサービス・リンクの拒否は、事前に確立されたサービス・リンクの切り離しが、ネットワークに対して妨害する可能性があるので、都合がよいものとすることができることが、理解されるであろう。
【0020】
一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値の受信信号コード電力値(threshold Received Signal Code Power value)の表示を含んでいる。一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値のチップ当たりエネルギー/雑音値(threshold Energy per Chip/Noise value)の表示を含んでいる。経験されている無線状態を示す、ユーザ機器によって行われるどのような直接の測定値、または間接の測定値も、プリセットされた無線状態パラメータとして成功裏に選択され得ることが、理解されるであろう。
【0021】
一実施形態においては、第1のサービス・リンクは、回路交換サービス・リンクを備える。一実施形態においては、第2のサービス・リンクは、パケット交換サービス・リンクを備える。そのようなサービス・リンクは、第1の態様をUMTSネットワーク・アーキテクチャにおいて使用するために特に適切にする。
【0022】
一実施形態においては、ユーザ機器において経験される無線状態を評価するステップは、一連の無線状態測定値を平均化するステップを含んでいる。したがって、変動するRF状態測定値には、フィルタがかけられて、ユーザ機器によって経験されているRF状態についてのより妥当な実態を与えることができる。
【0023】
一実施形態においては、本方法は、所定の安定期間にわたってユーザ機器において経験される無線状態を評価するステップと、無線状態パラメータが、所定の安定期間にわたって満たされる場合に、さらなるデータ・トラフィックの通信のために第2のサービス・リンクを確立するステップとをさらに含む。したがって、ユーザ機器において経験されている無線状態の安定性は、第2のサービス・リンクの確立の前に考慮に入れられることもある。
【0024】
一実施形態においては、本方法は、ユーザ機器において経験される無線状態を評価するステップと、無線状態パラメータが、満たされない場合に、ユーザ機器において経験される無線状態を再評価する前に、所定のバック・オフ期間にわたって無線状態を評価し続けるステップとをさらに含む。したがって、ユーザ機器は、第2のサービス・リンクについての要求を反復する前にネットワーク信号を最小にするように動作可能とすることができる。さらに、ユーザ機器における無線状態の評価は、内部のユーザ機器信号と測定とが、最小限にされるように定期的に実施されることもある。
【0025】
第2の態様は、コンピュータの上で実行されるときに、第1の態様の方法を実行するように動作可能なコンピュータ・プログラム製品を提供している。
【0026】
第3の態様は、ワイヤレス電気通信ネットワークにおいてネットワーク・アクセス・ノードとの複数のサービス・リンクを確立するように動作可能なユーザ機器であって、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間で送信されるべきデータ・トラフィックが、存在することを決定するように動作可能なデータ・トラフィック・ロジックと、データ・トラフィックの通信のための第1のサービス・リンクを確立するように動作可能な第1のサービス・リンク確立ロジックと、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間で送信されるべき、第2のサービス・リンクの確立を必要とするさらなるデータ・トラフィックが、存在することを決定するように動作可能なリンク確立ロジックと、ユーザ機器とネットワーク・アクセス・ノードとの間の、第2のサービス・リンクの上のさらなるデータ・トラフィックの通信の成功に必要とされる無線状態を示すプリセットされた無線状態パラメータを決定するように動作可能なパラメータ・ロジックと、ユーザ機器において経験される無線状態を評価して、無線状態パラメータが、満たされている場合に、さらなるデータ・トラフィックの通信のために第2のサービス・リンクを確立するように動作可能な評価ロジックとを備えるユーザ機器を提供している。
【0027】
一実施形態においては、第2のサービス・リンクは、第1のサービス・リンクが、データ・トラフィックを成功裏に送信するために一般的に必要とするよりも、さらなるデータ・トラフィックを成功裏に送信するために、より多くの送信電力を一般的に必要とする。
【0028】
一実施形態においては、データ・トラフィックは、第1のデータ・トラフィック・タイプのデータを含んでおり、またさらなるデータ・トラフィックは、第2のデータ・トラフィック・タイプのデータを含んでいる。
【0029】
一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、第2のデータ・トラフィック・タイプの送信特性に従って決定される。
【0030】
一実施形態においては、第2のデータ・トラフィック・タイプの送信特性は、第2のデータ・トラフィック・タイプに関連するサービス品質の表示を含んでいる。
【0031】
一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値の受信信号コード電力値の表示を含んでいる。
【0032】
一実施形態においては、プリセットされた無線状態パラメータは、しきい値のチップ当たりエネルギー/雑音値の表示を含んでいる。
【0033】
一実施形態においては、第1のサービス・リンクは、回路交換サービス・リンクを備えている。
【0034】
一実施形態においては、第2のサービス・リンクは、パケット交換サービス・リンクを備えている。
【0035】
一実施形態においては、評価ロジックは、一連の無線状態測定値を平均化することによりユーザ機器において経験される無線状態を評価するように動作可能である。
【0036】
一実施形態においては、評価ロジックは、所定の安定期間にわたってユーザ機器において経験される無線状態を評価するように動作可能であり、また無線状態パラメータが、所定の安定期間にわたって満たされている場合に、前記確立ロジックは、さらなるデータ・トラフィックの通信のために第2のサービス・リンクを確立するように動作可能である。
【0037】
一実施形態においては、評価ロジックは、ユーザ機器において経験される無線状態を評価し、また無線状態パラメータが、満たされていない場合に、ユーザ機器において経験される無線状態を再評価する前に所定のバック・オフ期間にわたって無線状態を評価し続けるように動作可能である。
【0038】
本発明のさらなる特定の態様と、好ましい態様とは、添付の独立請求項と従属請求項とにおいて詳しく説明される。従属請求項の特徴は、必要に応じて、また特許請求の範囲において明示的に詳しく説明される以外の組合せの形で、独立請求項の特徴と組み合わされることもある。
【0039】
実施形態は、次に、添付図面を参照してさらに説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】一実施形態による電気通信ネットワークの主要コンポーネントを示す図である。
図2】一実施形態による方法を概略的に示す信号図である。
図3】さらなる一実施形態による方法の概略的表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、一実施形態によるワイヤレス電気通信システム10の主要コンポーネントを概略的に示すものである。ユーザ機器50は、ワイヤレス電気通信システムを通してローミングする。無線カバレッジ30のエリアをサポートする基地局20が、提供される。いくつかのそのような基地局20が、提供され、また地理的に分布されて、ユーザ機器50に対する広域のカバレッジを提供する。ユーザ機器が、基地局30によってサービスされるエリアの内部にあるときに、通信は、関連する無線リンクの上でユーザ機器と、基地局との間で確立されることもある。各基地局は、一般的に、サービス30の地理的エリアの内部でいくつかのセクタをサポートする。
【0042】
一般的に、基地局の内部の異なるアンテナは、おのおのの関連するセクタをサポートする。各基地局20は、複数のアンテナを有する。図1は、典型的な通信システムの中に存在することができる全部の数のユーザ機器と基地局とのうちの小規模なサブセットを示すことが理解されるであろう。
【0043】
ワイヤレス通信システムは、無線ネットワーク制御装置(RNC:radio network controller)40によって管理される。RNC40は、バックホール通信リンク60の上で複数の基地局と通信することによりワイヤレス電気通信システムのオペレーションを制御する。RNCはまた、各基地局を経由してユーザ機器50と通信し、またこのようにして、全体のワイヤレス通信ネットワーク10の領域を効果的に管理する。ユーザ機器は、アップリンク・チャネルまたは逆方向チャネルとして知られているチャネルの上でデータと情報とを送信することにより、基地局20と通信し、また基地局20は、ダウンリンク・チャネルまたは順方向チャネルとして知られている無線チャネルの上でデータと情報とを送信することにより、ユーザ機器50と通信する。
【0044】
ワイヤレス・ネットワークにより、一般的に、モバイル・ユーザは、異なるタイプのアプリケーションまたはサービスをサポートするコールまたはサービス・リンクを確立することができるようになる。例えば、UMTSネットワークは、回路交換(CS)コールと、パケット交換(PS)コールとの両方についてのサポートを提供する。CS無線アクセス・ベアラ(RAB)は、一般的に、音声アプリケーションまたは音声コールをサポートするように確立され、またPS無線アクセス・ベアラ(RAB)は、一般的に、データの転送を必要とするアプリケーションを、例えば、ウェブ・ブラウジング、写真をアップロードすること、および同様なものをサポートするように確立される。
【0045】
典型的なUMTSユーザ機器(UE)は、CS RABと、PS RABとの両方を同時に処理する能力を有する。結果として、ユーザ機器は、広範な特徴に富むアプリケーションとサービスとをエンド・ユーザに提供するように動作可能である。UMTSネットワークはまた、特定のセルにおいて動作するユーザ機器との回路交換無線アクセス・ベアラ接続と、パケット交換無線アクセス・ベアラ接続との両方を確立する能力もサポートする。
【0046】
ネットワークが、既存の回路交換RABに加えてパケット交換RABを受け入れる要求を受け入れる場合が存在することが、見出されている。いくつかの場合には、この構成は、パケット交換RABと、回路交換RABとの両方についての失敗をもたらす可能性があり、またこのようにして、ユーザ機器との通信の全体的な喪失と、パケット交換コールと、回路交換コールとの喪失または脱落とをもたらす可能性がある。そのような脱落したコールのシナリオは、一般的に、UMTSネットワーク・セルにアタッチされるユーザ機器が、質の悪い無線周波数送信状態を経験するエリアにあるときに、起こる。ユーザ機器とのサービス・リンクとして追加のパケット交換RABをサポートすることは、一般的に、より高い信号品質(例えば、信号対雑音干渉比)を必要とし、またそれゆえにより多くのリソース(例えば、送信電力)を必要とする可能性がある。質の悪いRF状態の中で動作するユーザ機器は、例えば、アップリンク受信および/または質の悪いダウンリンク受信における使用可能な送信電力の不足に起因して、パケット交換RABサービス・リンクによって要求されるより高い信号品質要求をサポートすることができない可能性があるので、ユーザ機器に対するすべての接続は、影響を受ける可能性が高い。そのような状況は、一般的に、質の悪い回路交換サービスとパケット交換サービスとをもたらし、また最悪の場合には、コールの脱落をもたらす可能性がある。ユーザ機器からより高い送信電力を要求することは、それが、セルの内部の他のユーザ機器に対して提供されるサービスに対して干渉を導入する可能性が高いので、全体としてネットワーク・オペレーションにとって都合がよくない可能性があることが、理解されるであろう。
【0047】
ユーザ機器において回路交換RABサービス・リンクの接続に対してパケット交換RABサービス・リンクを追加することは、質の悪いRF状態に起因して、無線インターフェースの上で検出されるエラーの数を増大させる可能性があることも指摘されている。結果として、ネットワーク、例えば、基地局またはRNCは、エラー・レートが、ユーザ機器の解放を保証するのに十分に高いことを決定するように動作可能であることもあり、ユーザ機器の解放後、すべての接続をなくしているユーザ機器はネットワークに対してそれ自体を再アタッチする必要がある。その再接続は、そのユーザ機器に対してより良いRF状態を提供する別のセルを経由して起こる可能性がある。
【0048】
回路交換無線アクセス・ベアラが、パケット交換無線アクセス・ベアラよりも高い優先順位で取り扱われることが、一般的である。結果として、電気通信ネットワークは、回路交換サービス接続を試み、また保護する様々な問題解決手法を実施するように動作可能であり、また、既存の回路交換接続を有して動作するユーザ機器に対してパケット交換接続を追加するシナリオを、それが回路交換リンクの脱落をもたらす可能性がある場合には特に、回避するように、動作可能であることもある。
【0049】
したがって、ネットワークは、既存の回路交換接続に対してパケット交換接続を追加する要求を拒否し、またはパケット交換コア・ネットワークからのページング要求を無視するように動作可能であることもあり、それによってユーザ機器が、パケット交換接続の確立を要求するトリガを受信することを防止している。代わりに、ユーザ機器が、回路交換接続の確立を要求する場合に、ネットワークは、既存のパケット交換接続を脱落させるように動作可能であることもあり、それによって、可能な限り、回路交換接続に対してサービスを提供している。
【0050】
そのような例と、さらなる例とは、単に、ユーザ機器が、パケット交換接続を確立することができないように、ネットワークの内部のかなりの追加の作業をもたらす可能性がある。ネットワークの内部のその追加の信号方式は、たとえネットワークがそれを拒否しているとしても、回路交換であれ、またはパケット交換であれ、接続を確立する任意の要求を絶えず反復するように一般的に動作可能であるユーザ機器によってさらに悪化させられる可能性が高い。
【0051】
本明細書において説明される態様は、ユーザ機器との複数のサービス・リンクを確立するときに、ネットワークに対する影響を低減させることを目指し、また同時に、パケット交換サービス・リンク、または他の類似したサービス・リンクの確立を要求する能力を、そのようなアクションの影響が悪影響を及ぼす可能性が低い場合に、ユーザ機器に提供する方法を実施するものである。
【0052】
本明細書において説明される態様は、ユーザ機器が、既存の回路交換無線アクセス・ベアラに加えてパケット交換無線アクセス・ベアラの確立を要求すべきかどうかを決定するときに、利用することができる特定の「RFしきい値」または「しきい値」をネットワークがブロードキャストする能力を導入している。ユーザ機器は、それらが、それらの制御ロジックの内部で設定された所定のRFしきい値を有するように、またそれが、ネットワークによるしきい値の送信に必ずしも依存している必要があるとは限らないように、動作可能とすることができることが、理解されるであろう。さらに、以下の実施形態は、回路交換無線アクセス・ベアラとパケット交換無線アクセス・ベアラとに関連して説明されるが、態様は、1つまたは複数のサービス・リンクが、ユーザ機器と、ネットワークとの間で確立され、これらのサービス・リンクが、独立しているが、異なる優先順位と、それゆえに異なる可能性のある電力およびオペレーションの判断基準とを有するシナリオに対しても等しく適用可能である。
【0053】
ネットワークが、しきい値を送信するように動作可能である場合には、1つまたは複数のしきい値が、基地局によってサポートされるセル・エリアにわたってブロードキャストされ得るので、これらのしきい値は、そのセルの内部で動作する任意のユーザ機器によって読み取られ、また利用される可能性があることが、理解されるであろう。
【0054】
指示的しきい値、またはネットワークによって送信され、またはユーザ機器において実施されるしきい値は、それが既に既存の回路交換無線アクセス・ベアラ・サービス・リンクをサポートしている場合に、ユーザ機器が、パケット交換無線アクセス・ベアラの確立を試みることができる前に、満たされ、または超過される必要があるある種のRFパラメータに関連する1つまたは複数の値を提供する。使用されるRFパラメータは、ユーザ機器において測定可能であるこれらのパラメータである。RFパラメータが、しきい値としてネットワークによってブロードキャストされる示された値よりも上にある場合には、本発明の態様を実行するように動作可能なユーザ機器は、パケット交換無線アクセス・ベアラを確立する要求を開始し、またこのようにしてネットワークが、そのような要求を拒否する可能性が低いという高い信頼度を有する。RFパラメータが、ネットワークによって設定されるしきい値より上にないことが、ユーザ機器において決定される場合に、いくつかの実施形態によるユーザ機器は、反復された測定値を取るように動作可能とすることができ、またそのような実施形態においては、RF状態が改善する場合、ユーザ機器はパケット交換RAB確立要求を開始することができる。
【0055】
態様は、ネットワーク側における要求の拒否に比べて、ネットワーク上とユーザ機器上との両方の負荷を低減させることを目指している。
【0056】
ネットワークは、いくつかの実施形態に従って、単一のRFパラメータに関連した1つのしきい値をブロードキャストするように、また他の実施形態に従って、パラメータの組合せを送信するように動作可能とすることができる。代わりに、ネットワークは、特定のRFパラメータについての異なるしきい値をブロードキャストすることができる。そのようなパラメータの例は、ユーザ機器の受信信号品質と、ユーザ機器の送信電力ヘッドルームとを含む。
【0057】
さらなる実施形態により、ネットワークは、そのようなしきい値に関連するタイマー値をブロードキャストすることができるようになる。そのタイマー値は、「待機期間」または「バック・オフ・タイマー」についてセルの内部のユーザ機器に通知することができる。そのタイマーは、ユーザ機器が、パケット交換無線アクセス・ベアラの確立を要求する前に、待機タイマーの値によって規定される期間にわたって待つ必要があることをセルの中で動作するユーザ機器に対して示す。いくつかの実施形態においては、ユーザ機器において経験されるRF状態は、上記のままに維持されるか、またはパケット交換RABが、要求される可能性がある前に、待機タイマーの持続時間についてのしきい値を満たさなければならない。いくつかの実施形態によれば、タイマー値を使用して、RF状態が、安定したままでいる必要がある期間、すなわち、ユーザ機器が、パケット交換RAB確立要求を開始することができる前の、しきい値より上の期間を示すことができる。いくつかの実施形態によれば、その待機タイマーは、ユーザ機器が、初期のフィールド要求の後にパケット交換RABの確立を要求する前に、そのタイマーの値によって規定される期間にわたって待つ必要があることをユーザ機器に対して示す。
【0058】
ネットワークの内部のエンド・ユーザに対してパケット交換RABを確立しまたサポートする影響は、そのようなRABに関連する特定のサービス品質(QoS)に基づいて変化する可能性があることが、理解されるであろう。例えば、ユーザ機器に対して提供され、また対応する特定のサービス品質要件を有するある種のタイプのサービスは、他よりも少ないリソースをネットワークに要求する可能性がある。結果として、そのようなサービス・リンクは、一般的に、そのようなRABの上でのデータの送信中に質の悪いRF状態のために起こり得るエラーに対してより回復力に富んだものとすることができる。本明細書において説明される実施形態により、ネットワークは、各タイプのパケット交換RABサービス品質に関連する異なるしきい値をブロードキャストすることができるようになる可能性がある。すなわち、異なるタイプのデータ・トラフィックについての異なるしきい値は、異なるサービス・リンクの上でサポートされる。
【0059】
図2は、一実施形態による方法を実行するように動作可能なユーザ機器と、ネットワーク、例えば、基地局またはRNCとの間で行われる方法ステップを概略的に示す信号図である。ステップS1において、ユーザ機器は、既にネットワーク20との回路交換無線アクセス・ベアラ接続を確立している。ステップ1に先立って、またはステップ1に続いてのいずれかで、ネットワーク20は、パケット交換RAB接続の確立に関連してRFパラメータしきい値をユーザ機器50に対してブロードキャストするように動作可能である。そのブロードキャストするステップは、ステップS2として図2において概略的に示される。例えば、システム情報ブロードキャストにおいて、ネットワークによってブロードキャストされるしきい値の値は、受信信号コード電力(RSCP:received signal code power)および/またはチップ当たりのエネルギー対雑音AC/NO(energy per chip over noise)のRFパラメータの組合せについてのしきい値の値を含むことができる。
【0060】
ステップS3において、ユーザ機器50は、ネットワーク20とのパケット交換RAB接続またはパケット交換RABサービス・リンクを確立する必要性を識別する。ユーザ機器50は、ステップS2においてネットワーク20によって送信されるパラメータしきい値の値を利用して、ユーザ機器が、既存の回路交換無線アクセス・ベアラ・サービス・リンクにパケット交換無線アクセス・ベアラ・サービス・リンクを追加する要求をトリガすることができるかどうかを決定するように動作可能である。ひとたびユーザ機器制御ロジックが、ユーザ機器がパケット交換無線アクセス・ベアラ・サービス・リンクの確立を必要とすることを識別した後には、ユーザ機器50は、ユーザ機器において経験されているRFパラメータを反復して測定するように動作可能である。その測定ステップ、S4、は、行われ、またユーザ機器が、ステップS5におけるように、パラメータがブロードキャストしきい値の上にあることを決定する場合、ユーザ機器は、パケット交換RABサービス・リンクの確立を要求するように動作可能である。その確立は、ステップS6において行われる。それらのパラメータは、ユーザ機器において、パケット交換RABサービス・リンクが、成功裏に確立される可能性が高いようなものであるので、ネットワークは、ステップS7において、ユーザ機器50によって発行されるRAB確立要求を受け入れ、また新しいパケット交換サービス・リンクの確立を完了するように動作する可能性が高い。
【0061】
図3は、さらなる一実施形態による、ユーザ機器において実行される方法ステップを示すフローチャートである。図3に示される例においては、ネットワークは、待機タイマー値と一緒にしきい値をブロードキャストするように動作する。その待機タイマー値は、ユーザ機器が、パケット交換RAB接続を要求することが適切であるかどうかを決定するために使用することができる追加の情報をユーザ機器に提供する。
【0062】
信号ステップは、ひとたびユーザ機器が、測定されたRFパラメータがブロードキャストしきい値の上に上がっていることを決定した後には、ユーザ機器が、ブロードキャスト・タイマー値を使用してタイマーを開始するように動作可能であること以外は、図2の信号図に概略的に示される信号ステップに類似している。測定されたRFパラメータが、しきい値の下に下がる場合に、タイマーは、停止され、またそれらがしきい値の上に上がる場合、そのタイマーは、再開される。そのような一実施形態は、ユーザ機器のRF状態が、その上で安定したままに留まる必要がある時間履歴を提供している。短期間にわたるスパイクが明らかにされるように、ユーザ機器は、RFパラメータの何らかのフィルタリングを実行する可能性が高いことが、理解されるであろう。ひとたびタイマーが、時間切れになり、また測定されたRFパラメータが、所定の期間にわたってプリセットされたしきい値の上に留まった後には、ユーザ機器は、パケット交換RABサービス・リンク確立要求をトリガし、また送信するように動作可能である。態様は、パケット交換RABが、ユーザ機器が質の悪いRF状態を経験している場合に、回路交換RABに追加されるときに行われ得るコール脱落の数を低減させる問題解決手法を提供する。さらに、態様は、不必要なネットワーク信号における低減を可能にする。
【0063】
当業者なら、様々な上記で説明された方法のステップが、プログラムされたコンピュータによって実行され得ることを簡単に認識するであろう。本明細書においては、いくつかの実施形態はまた、プログラム・ストレージ・デバイスを、例えば、デジタル・データ・ストレージ媒体を対象として含むようにも意図されており、このプログラム・ストレージ・デバイスは、マシン読取り可能、またはコンピュータ読取り可能であり、また命令のマシン実行可能なプログラム、またはコンピュータ実行可能なプログラムを符号化しており、そこでは前記命令は、前記上記で説明された方法のステップのうちの一部または全部を実行する。プログラム・ストレージ・デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気ストレージ媒体、ハード・ドライブ、または光学的に読取り可能なデジタル・データ・ストレージ媒体とすることができる。それらの実施形態はまた、上記で説明された方法の前記ステップを実行するようにプログラムされるコンピュータを対象として含むようにも意図される。
【0064】
「プロセッサ」または「ロジック」としてラベル付けされた任意の機能ブロックを含めて、図面の中に示される様々な要素についての機能は、専用のハードウェア、ならびに適切なソフトウェアと関連づけてソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通して提供されてもよい。プロセッサによって提供されるときに、それらの機能は、単一の専用のプロセッサか、単一の共用のプロセッサか、またはそれらのうちのいくつかが共用され得る複数の個別のプロセッサによって提供されてもよい。さらに、「プロセッサ」または「コントローラ」、あるいは「ロジック」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行することができるハードウェアだけを排他的に意味するように解釈されるべきではなく、また限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)のハードウェアと、ネットワーク・プロセッサと、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)と、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)と、ソフトウェアを記憶するためのリード・オンリー・メモリ(ROM:read only memory)と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)と、不揮発性ストレージとを暗黙のうちに含むことができる。他のハードウェアが、従来および/またはカスタムのものもまた、含められる可能性がある。同様に、図面の中に示される任意のスイッチは、概念的なものにすぎない。それらの機能は、プログラム・ロジックのオペレーションを通して、または専用のロジックを通して、またはプログラム制御と専用のロジックとの相互作用を通して、または手動によってさえも実行される可能性があり、特定の技法は、文脈からより具体的に理解されるように、実装者によって選択可能である。
【0065】
本明細書における任意のブロック図は、本発明の原理を実施する実例となる回路の概念図を表すことが、当業者によって理解されるであろう。同様に、任意のフローチャートと、流れ図と、状態遷移図と、擬似コードなどは、コンピュータ読取り可能媒体の形で実質的に表され、またそのようにしてコンピュータまたはプロセッサによって、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、実行され得る様々なプロセスを表すことが、理解されるであろう。
【0066】
説明および図面は、単に本発明の原理を示しているにすぎない。したがって、当業者なら、本明細書において明示的に説明されても、または示されてもいないが、本発明の原理を実施し、また特許請求の範囲によって規定されるようにその範囲内に含まれる様々な構成を工夫することができるようになることが理解されるであろう。さらに、本明細書において列挙されるすべての例は、主として、本発明者(単数または複数)が当技術を推進することに寄与している本発明の原理および概念を理解する際に、読者を支援する教育上の目的のためにすぎないように明示的に意図されており、またそのように具体的に列挙された例および状態だけに限定することのないように解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様および実施形態を列挙している本明細書におけるすべての記述、ならびにその特定の例は、その同等物を包含するように意図されている。
図1
図2
図3