特許第5911624号(P5911624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911624
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】直腸ドレーン器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20160414BHJP
   A61F 5/442 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61M1/00 570
   A61F5/442
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-79410(P2015-79410)
(22)【出願日】2015年4月8日
(62)【分割の表示】特願2011-507687(P2011-507687)の分割
【原出願日】2009年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-144889(P2015-144889A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】61/049,578
(32)【優先日】2008年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509146126
【氏名又は名称】コンバテック・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONVATEC TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・グレゴリー
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−506683(JP,A)
【文献】 特開平10−234854(JP,A)
【文献】 実公平06−033939(JP,Y2)
【文献】 特開2005−118544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00, 3/00,25/10
A61F 5/442
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直腸からの排出物のためのドレーン通路を画定する、管状要素と、
該直腸への挿入のための、該管状要素の第1の遠位端にある、膨張性バルーンと、
該膨張性バルーンと連通している第1の補助管腔であって、該第1の補助管腔は、実質的に非折り畳み式であり、かつ第1の断面積を有する、第1の補助管腔と、
該管状要素の該遠位端まで延在する折り畳み式補助管腔であって、(i)該折り畳み式補助管腔が拡張状態であるときに、該第1の断面積よりも大きく、かつ(ii)該折り畳み式補助管腔が折り畳まれた状態であるときに、該第1の断面積以下である、第2の断面積を有する、折り畳み式補助管腔と
を備える、直腸ドレナージ器具。
【請求項2】
前記折り畳み式補助管腔は、洗浄管腔である、請求項1に記載の直腸ドレナージ器具。
【請求項3】
前記第1の補助管腔および前記折り畳み式補助管腔は、前記管状要素に取り付けられるか、または該管状要素と一体的に成形される、請求項1に記載の直腸ドレナージ器具。
【請求項4】
前記補助管腔のうちの少なくとも1つは、前記管状要素内でその長さの少なくとも一部にわたって延在する、請求項1に記載の直腸ドレナージ器具。
【請求項5】
非折り畳み式壁を有し、前記膨張性バルーンと連通している、第2の補助管腔をさらに備える、請求項1に記載の直腸ドレナージ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、使用において直腸に挿入可能な膨張性バルーンを有する、ドレーン管の形態の直腸器具に関する。本発明の別の側面は、直腸または腸管ドレーン管の膨張性バルーン内の圧力レベルを示すための圧力レベル指示器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2は、細長い管状要素の形態の糞便管理器具を記載する。各管状要素は、装着者の直腸内に動作位置の遠位端を固着するために、遠位端における膨張性バルーンを含む。管状要素は、相互に類似し、ドレーン通路の壁に統合される、主要ドレーン通路および2つの小型補助管腔を含む。管腔のうちの1つは、膨張および収縮中にバルーンと膨張ポートとの間に膨張流体を通すために、バルーンと連通している。管腔のもう一方は、洗浄ポートから直腸腔に直接洗浄流体を注入するための開放端を有する。管状要素は、肛門括約筋の通過を容易にするために、直径の折り畳みが可能である。特に、特許文献1は、バルーンによって接触される軟組織中の正常な血液かん流を確実にし、軟組織の圧迫壊死を回避しながらも、直腸内の良好な固着を提供するために、バルーン内の膨張圧力を注意深く制御することの重要性を強調している。一形態において、臨床医に圧力の重要な指示を提供するために、圧力レベル指示器が膨張管腔上に使用される。圧力レベル指示器は、膨張ポート付近の膨張管腔に連結される別個の圧力センサ、または膨張シリンジに統合されるか、もしくは圧力安定器および指示器の役割を果たすように膨張シリンジをバネで負荷する、圧力指示器を含む。使用される膨張流体の体積に対して所望の膨張圧力が達成される時点もまた、バルーンが装着者の直腸腔に対して正しいサイズであるかどうかを評価するために、臨床医によって使用される重要な特徴である。膨張圧力閾値があまりにも速く達成される場合、これは、バルーンが大きすぎることを示し、膨張圧力が少しも到達されない場合、これは、バルーンが小さすぎることを示す。
【0003】
上記の公開出願に明確に記載されていないが、これらの出願に図示される設計において、補助管腔のサイズに影響を及ぼすいくつかの制限もある。主要管状要素が、肛門括約筋の通過を容易にするために直径が折り畳み可能であるように意図される一方で、補助管腔は、バルーンを最小サイズまで収縮させることが所望である場合、バルーンから膨張流体を強制的に抜き取るための吸引の適用を可能にするために、小さい非折り畳み形態を有する。管腔の非折り畳み性質は、管腔が主要管状要素の折り畳みを妨害することを意味する。補助管腔は、この妨害効果を最小限に抑えるように比較的小さく、主要管状要素が所望に小さい形態に折り畳むことを可能にする。
【0004】
特許文献3は、小腸からの流体/糞便のドレナージおよび採取のために使用される回腸造瘻セットを記載する。このセットは、大腸内で膨張する固定バルーン、およびバウヒン弁の後方において小腸内で膨張する遮断バルーンの2つのバルーンを備えた、バルーンカテーテルを含む。バルーンのそれぞれは、それが配置される管腔全体を満たす。使用される膨張流体の体積に対して、バルーンのそれぞれにおいて所望の膨張圧力が達成される時点は、各バルーンが患者の大腸および小腸に対して正しいサイズであるかどうかを評価するために重要な特徴である。
【0005】
そのような直腸ドレーン器具の多用途性および使いやすさをさらに強化することが望ましくあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/054996号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/137526号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0312614号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、直腸ドレナージカテーテルまたは腸管ドレーン管の膨張性バルーンのための圧力レベル指示器を提供する。圧力レベル指示器は、感知された圧力に応じて、第1と第2の区別できる物理的状態との間でフリップ(flip)する機械要素を含む。状態は、要素の異なる形状であり得る。機械要素は、非反転状態と反転状態との間でフリップする、半球体形状等の3次元形状を有し得る。一状態において、半球体は、ポップアップボタンのように突出し、もう一方の状態では、半球体は、谷または井戸のように凹んでいる。機械要素は、プラスチック筐体の一体的に成形される部分を形成し得る。その状態をフリップさせる機械要素の提供は、ある特定の圧力状態の即座に認識可能かつ明白な指示を提供することができ、また、臨床医が圧力センサの可変スケールからの測定値を読み取る必要があるよりも評価をするのに容易で、かつ速くあることができる。機械要素はまた、従来の可変圧力センサよりも提供するのにコンパクトおよび/もしくは軽量、ならびに/または安価であり得る。本発明の本側面の圧力レベル指示器は、費用の任意の有意な増加なしで、使い捨て器具の一部として統合され得る。例えば、圧力レベル指示器は、該器具の膨張ポート筐体に統合され得る。
【0008】
機械要素は、感知された圧力が該要素に作用する外圧に対する閾値を横切る(超える、または下回る)ときに、第1の状態から第2の状態までフリップし得る。機械要素は、該要素が常に現在の圧力状態の指示を提供するように、感知された圧力が閾値を反対方向に再び横切るならば、第1の状態にフリップして戻るように構成され得る。あるいは、機械要素は、圧力閾値が横切られたという恒久的な記録を提供するために、恒久的に第2の状態のままであり得る。
【0009】
異なる圧力閾値でフリップする、複数の機械要素が提供され得る。例えば、膨張圧力が所望の膨張範囲内にあるかどうかを示すために、2つの機械要素が提供され得る。加えて、またはあるいは、第1の機械要素は、直腸内の該器具の所望の固着を実現するために、所望の膨張圧力が達成されたことを示し得、第2の機械要素は、直腸からの該器具の容易かつ安全な除去を可能にするために、所望の収縮圧力が達成されたことを示し得る。
【0010】
本発明の別の側面は、直腸への挿入のための膨張性バルーンを備える、直腸ドレナージ器具を提供する。該器具は、膨張性バルーンと連通している、第1および第2の補助管腔を備える。第1の補助管腔は、膨張管腔として使用される。第2の補助管腔は、膨張管腔内の動的圧力降下とは無関係に、バルーン内の膨張圧力の直接指示を提供するための圧力感知管腔として使用される。
【0011】
本発明の本側面は、小型膨張管腔が膨張流体の流動に抵抗を加え、膨張中のバルーンへの膨張流体の流入、または収縮中のバルーンからの膨張流体の流出がある間、動的圧力降下を生成し得るという理解から生じる。動的圧力降下は、膨張ポートにおける圧力の測定値が、常にバルーン内の圧力の正確な指示ではない可能性があることを意味する。第2の補助管腔の提供は、バルーン内の内圧の直接感知を提供し、臨床医が、膨張管腔内の任意の動的圧力降下による影響を受けない、この内圧の正確な指示を有することを可能にする。
【0012】
好ましい形態では、少なくとも第2の管腔は、膨張流体で事前に充填されている。これは、第2の管腔が膨張流体で充填されるにつれて、バルーンと機械要素との間の圧力降下を最小限に抑える。
【0013】
本発明の別の側面は、直腸ドレーン器具の管状要素を提供し、該管状要素は、主要ドレーン通路、少なくとも1つの非折り畳み式(または折り畳み不可能な)補助管腔、および少なくとも1つの折り畳み式(または折り畳み可能な)補助管腔を有する。折り畳み式補助管腔は、好ましくは、少なくとも折り畳み式補助管腔が拡張した形状であるときに、非折り畳み式補助管腔よりも大きい断面積を有する。非折り畳み式補助管腔は、管状要素の遠位端に提供される膨張性バルーンと連通し得る。折り畳み式補助管腔は、管状要素の遠位端における空間と直接的または間接的に連通し得る。
【0014】
本発明の本側面は、膨張性バルーンと関連する補助管腔が、吸引の適用を可能にするために有利に非折り畳み式であるが、洗浄のための補助管腔に対する制限はより少ないという理解から生じる。本発明の第3の側面は、洗浄流体を注入するための比較的大きい補助管腔を可能にする。洗浄をより容易にするとともに、該管腔はまた、例えば、ドレナージを実質的に妨げることなく、直腸腔への温度センサまたは他の医療デバイスの挿入を可能にする、より汎用的な方法で使用され得る。洗浄流体の供給または他の医療デバイスが該管腔から除去されるときに、該管腔は、大型補助管腔の提供が管状要素の所望の折り畳み特性を妨害しないように、小さいサイズまで折り畳むことができる。
【0015】
別の側面から見ると、本発明は、直腸内に器具を固着するための遠位端における膨張性バルーンを有する管状要素を備える、直腸ドレナージ器具を提供する。該器具は、(i)バルーンに連結される独立した膨張および圧力監視経路を提供するために、膨張性バルーンと連通している、第1および第2の補助管腔、(ii)感知された圧力に応答して、第1と第2の状態または形状との間でフリップするように構成される、機械要素によって画定される、圧力状態指示器、および(iii)膨張管腔よりも大きく、かつ折り畳み可能な管腔を介して該器具の遠位端に洗浄流体または医療デバイスが入ることを可能にするように構成される、折り畳み可能な補助管腔のうちの1つ以上を含む。
【0016】
本発明のさらなる側面は、米国特許出願公開第2008/0312614号に示される種類の腸管ドレーン管の膨張性バルーンのそれぞれに対する膨張状態を制御するための膨張流体流入および流出点の役割を果たすように構成される、圧力指示器または膨張ポートである。
【0017】
本発明は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
直腸からの排出物のためのドレーン通路を画定する、管状要素と、
該直腸への挿入のための、該管状要素の第1の遠位端にある、膨張性バルーンと、
該膨張性バルーンと連通している、補助管腔と、
該バルーン内の圧力レベルを示すために該補助管腔に連結される圧力指示器であって、該圧力指示器は、該感知された圧力に応じて、第1の物理的状態と第2の物理的状態との間でフリップするように構成される第1の機械要素を備える、圧力指示器と
を備える、直腸ドレナージ器具。
(項目2)
項目1に記載の直腸ドレナージ器具において、前記機械要素は変形可能であり、前記第1の状態および第2の状態は、該機械要素の第1の形状および第2の形状である。
(項目3)
項目1に記載の直腸ドレナージ器具において、前記機械要素は、3次元の変形可能な形状を有する。
(項目4)
項目3に記載の直腸ドレナージ器具において、前記3次元形状は、反転可能な半球体である。
(項目5)
項目1に記載の直腸器具において、前記補助管腔に連結される第2の機械要素をさらに備え、該第2の機械要素は、前記第1の機械要素と関連する圧力とは異なる圧力において、第1の物理状態と第2の物理的状態との間でフリップするように構成される。
(項目6)
項目1に記載の直腸器具において、前記圧力指示器は、(i)動作レベルに達する前記バルーン膨張圧力と、(ii)所定の収縮レベルを下回る該バルーン膨張圧力とから選択される、圧力状態を示すように構成される。
(項目7)
直腸または腸管ドレーン器具のための膨張ポートデバイスであって、該膨張ポートデバイスは、該器具の膨張性バルーンの膨張状態を制御するための膨張流体流入および流出点の役割を果たすように構成され、該膨張ポートデバイスは、
筐体と、
膨張源の連結を可能にするための、筐体によって担持される、膨張ポートと、
膨張圧力レベルを示すための、該筐体によって担持される圧力指示器であって、該膨張圧力に応じて、第1の物理状態と第2の物理的状態との間でフリップするように構成される第1の機械要素を備える、圧力指示器と
を備える、膨張ポートデバイス。
(項目8)
項目7に記載の膨張ポートデバイスにおいて、前記膨張ポートは、前記器具の前記バルーンと連通している独立した管腔経路に連結するための第1のノードおよび第2のノードを備え、該第1のノードは、該膨張ポートに前記筐体内で連結され、該第2のノードは、前記圧力指示器に該筐体内で連結される。
(項目9)
直腸からの排出物のためのドレーン通路を画定する、管状要素と、
該直腸への挿入のための、該管状要素の遠位端にある、膨張性バルーンと、
該バルーンの膨張および収縮を可能にするために、該バルーンと膨張ポートとの間に膨張流体を通すように該膨張性バルーンと連通している、第1の補助管腔と、
該第1の管腔内の動的圧力降下とは無関係に、該バルーン内の圧力の直接感知を可能にするように該膨張性バルーンと連通している、第2の補助管腔と
を備える、直腸ドレーン器具。
(項目10)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記管状要素は、該管状要素の折り畳みを可能にするように構成され、前記第1の補助管腔および第2の補助管腔は、実質的に非折り畳み式であるように構成される。
(項目11)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記第1の補助管腔および第2の補助管腔のそれぞれは、約2mm以下の直径を有する。
(項目12)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記バルーン内の圧力を示すための、前記第2の補助管腔に連結される圧力指示器をさらに備える。
(項目13)
項目12に記載の直腸ドレーン器具において、前記圧力状態指示器は、前記器具の一体部品である。
(項目14)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記第1の管腔および第2の管腔は、共通の押出部の中で概して隣り合わせに配置される。
(項目15)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記第1管腔および第2の管腔は、前記ドレナージ管に取り付けられるか、または該ドレナージ管と一体的に成形される。
(項目16)
項目9に記載の直腸ドレーン器具において、前記補助管腔のうちの少なくとも1つは、膨張流体で事前に充填される。
(項目17)
直腸からの排出物のためのドレーン通路を画定する、管状要素と、
該直腸への挿入のための、該管状要素の第1の遠位端にある、膨張性バルーンと、
該膨張性バルーンと連通している第1の補助管腔であって、該第1の補助管腔は、実質的に非折り畳み式であり、かつ第1の断面積を有する、第1の補助管腔と、
該管状要素の該遠位端まで延在する折り畳み式補助管腔であって、(i)該折り畳み式補助管腔が拡張状態であるときに、該第1の断面積よりも大きく、かつ(ii)該折り畳み式補助管腔が折り畳まれた状態であるときに、該第1の断面積以下である、第2の断面積を有する、折り畳み式補助管腔と
を備える、直腸ドレナージ器具。
(項目18)
項目17に記載の直腸ドレナージ器具において、前記折り畳み式補助管腔は、洗浄管腔である。
(項目19)
項目17に記載の直腸ドレナージ器具において、前記第1の補助管腔および前記折り畳み式補助管腔は、前記管状要素に取り付けられるか、または該管状要素と一体的に成形される。
(項目20)
項目17に記載の直腸ドレナージ器具において、前記補助管腔のうちの少なくとも1つは、前記管状要素内でその長さの少なくとも一部にわたって延在する。
(項目21)
項目17に記載の直腸ドレナージ器具において、非折り畳み式壁を有し、前記膨張性バルーンと連通している、第2の補助管腔をさらに備える。
上記の側面は組み合わせて使用され得、上記の側面のうちのいずれか2つが選択的に組み合わされ得、またはいずれかの側面が他とは独立して使用され得る。重要であると考えられる特徴が、上記ならびに以下の特許請求の範囲および発明を実施するための形態において強調されている一方で、本出願人は、強調されているかどうかにかかわらず、本明細書に開示される、および/または図面に図示されるアイデアの任意の新規な特徴に対する保護を請求しようと努め得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、直腸ドレナージ器具の第1の実施形態を示す概略断面図である。
図2図2は、図1の線II−IIに沿った概略断面図である。
図3図3は、統合された圧力センサを含む第1の実施形態または腸管ドレーン管の圧力指示器もしくは膨張ポートを分離して示す、概略斜視図である。
図4a図4(a)は、圧力指示器/膨張ポートに対する成形された機械要素の第1の構成を図示する、概略断面図である。
図4b図4(b)は、圧力指示器/膨張ポートに対する成形された機械要素の第1の構成のフリップした状態を図示する。
図5a図5(a)は、圧力指示器/膨張ポートに対する成形された機械要素の第2の構成を図示する、概略断面図である。
図5b図5(b)は、圧力指示器/膨張ポートに対する成形された要素の第2の構成のフリップした状態を図示する。
図6図6は、複数の状態指示器を含む、圧力指示器/膨張ポートの第2の実施形態における代替圧力指示器を示す、概略斜視図である。
図7図7は、本発明の第3の実施形態における代替圧力指示器/膨張ポートの概略図である。
図8図8は、直腸ドレナージ器具の第4の実施形態の概略部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
同一の参照番号は、各実施形態における同様または同等の特徴を示す。直腸ドレナージ管に関するさらなる構造上の詳細は、上記の米国特許出願公開第2005/054996号および第2005/137526号において見ることができ、それらの内容は参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0020】
図1および2を参照すると、直腸ドレナージ器具10は、概して、便の通過のためのドレーンチャネル14を画定する可撓性の細長い管状要素12を備える。要素12は、装着者の肛門を通す直腸への挿入のための遠位端16、およびポーチ等の収便袋(図示せず)への連結のための近位端18を有する。典型的には、要素12は、長さが約1.5mであり、約23mmの外径を有する。要素12は、肛門括約筋の通過を容易にするために、約8mmの直径まで折り畳むことができる。要素12は、典型的には、シリコーン等の軟質プラスチック製である。要素12は、ドレーンチャネル14の壁を通る悪臭の発散を防止するために、追加の臭気バリア層、または別個の臭気バリアスリーブ(図示せず)が備えられ得る。
【0021】
直腸の内側に遠位端16を固着するために、膨張性バルーン20が遠位端16に提供される。膨張性バルーン20は、概して、カフスまたはドーナツ形状であり、遠位端16の周囲に延在する。膨張性バルーン20は、バルーン20が膨張するにつれて弾性的に伸びる材料で構成され得るが、バルーン20は、膨張した形状で事前に形成されることが好ましい。そのような事前形成は、所望の膨張に反して作用するバルーン壁内の弾性戻り力がほとんどまたは全くないことから、膨張圧力が使用中に低下することを可能にする。
【0022】
管状要素12は、両方ともバルーン20と連通している第1および第2の補助管腔22、24を備える。管腔22、24は、ほぼ同一のサイズ(例えば、断面積)であり得、または第2の管腔24が、第1の管腔22よりも小さくあり得る。管腔22、24のうちの1つ、例えば、第1の管腔22は、所望の場合、バルーン20を膨張または収縮するために、バルーン20と膨張ポート26との間に膨張流体を通すための膨張管腔として使用される。もう一方の管腔、例えば、第2の管腔24は、以下に説明するように、膨張管腔22内の任意の動的圧力降下とは無関係に、バルーン20の内側圧力の直接指示を提供するための圧力感知管腔として使用される。
【0023】
第1および第2の補助管腔22、24は、膨張流体を強制的に抜き取り、バルーン20を最小サイズまで完全に収縮させるための吸引の適用を可能にするために、使用中は実質的に非折り畳み式であるように構成される。これは、弾性および事前形成の両方の種類のバルーンに適用できるが、膨張流体を放出するように作用する傾向があるバルーン壁内の弾性戻り力がないため、特に事前形成の種類に重要である。非折り畳み式の補助管腔22、24が要素12全体の所望の折り畳みを悪化させることを回避するために、第1および第2の管腔22、24は、比較的小さいサイズである(例えば、約2mm以下の直径)。そのような小さい直径サイズは、管腔22、24内の膨張流体の実質的な体積流量に抵抗を加え、それによってバルーン20の膨張または収縮中に膨張管腔22内の動的圧力降下を引き起こし得る。動的圧力降下は、バルーン20内の流体圧力Pと膨張管腔22の膨張ポート端部に見られる流体圧力PIPとの間の差を生み出す。これは、流体の流動が停止するまで膨張または収縮中に、膨張管腔22から取られた圧力測定値を不正確にし得るか、または少なくとも不明瞭にし得る。しかしながら、本実施形態における追加の圧力感知管腔24の提供は、膨張管腔22内の体積流量に起因する動的圧力降下から受ける影響が有意に少ない通路を使用して、バルーン20内の流体圧力Pの直接感知を可能にする。圧力感知装置自体は、概して、有意な体積流量をもたらさないため、感知管腔24の近位端における感知された圧力Psは、膨張および収縮工程全体を通じて、バルーン20内の流体圧力Pのはるかに正確で安定した明白かつ連続的な表示である。さらに、補助管腔22、24の両方が、非折り畳み式壁を有するため、補助管腔24はまた、バルーン20を収縮させるための吸引の適用の結果としての、バルーン20内の低圧力の正確な感知を可能にする。これは、臨床医が膨張圧力、およびバルーンサイズが実際に装着者に好適であるかどうかを評価するための、膨張圧力がある特定のレベルに達する時点を確実に観察することを可能にする。少なくとも第2の補助管腔24は、使用前に器具を準備するために任意の空気が放出される必要性または膨張流体の追加充填なしで、即時の使用を可能にするために、膨張流体で事前に充填され得る。
【0024】
本実施形態では、第1および第2の補助管腔22、24は、共通の押出部30に一緒にまとめられる。押出部30は、概して、8の字または「B」形状を有する。第1および第2の補助管腔22、24は、管状要素12の内側または外側で独立した管腔であり得るが、好ましい形態では、管腔22、24のうちの少なくとも1つ(好ましくは、両方)は、補助管腔の長さの有意な部分に沿って、管状要素12に取り付けられるか、または管状要素12と一体的に成形される。
【0025】
また、本実施形態では、感知管腔24は、膨張ポート26を含有または担持する筐体と同一の筐体32につながる。筐体32はさらに、補助管腔22、24に連結される第1および第2のノード33を備えるか、または担持する。一形態では、筐体32は、感知管腔24を介して感知された圧力を監視するための外圧センサ(図示せず)の接続を可能にするために、追加の圧力感知ポート(図示せず)を備えるか、または担持し得る。しかしながら、好ましい形態では、筐体32は、感知管腔24を介して感知される圧力に応答する、一体型圧力指示器34を含む。
【0026】
図3図5を参照すると、圧力(または圧力状態)指示器34は、感知された圧力に応じて、第1および第2の区別できる物理的状態(例えば、形状)の間でフリップする、機械要素36を備える。図示される形態では、機械要素36は、半球体形状等の反転する3次元形状を有し、その反転または非反転状態は、圧力レベル状態を示す。一状態において、半球体は、ポップアップボタンのように突出し、もう一方の状態では、半球体は、谷または井戸のように凹んでいる。機械要素36は、筐体32の一体的に成形される部分である。機械要素36は、感知された圧力が該要素に作用する外圧に対する圧力閾値を横切る(超える、または下回る)ときに、第1の状態から第2の状態にフリップし得る。図4(a)は、第1の凹んだ状態で成形された機械要素36の第1の構成を示し、図(4b)は、要素36の後方の圧力P+がある特定の閾値で周囲の外圧を超えるときに、第2の突出状態にフリップする第1の構成の機械要素36を示す。図5(a)は、第1の突出状態で成形された機械要素36の代替の第2の構成を示し、図45(b)は、該要素の後方の圧力P−がある特定の閾値で周囲の外圧を下回るときに、第2の凹んだ状態にフリップする第2の構成の機械要素36を示す。
【0027】
機械要素36がフリップする圧力(差異)は、材料特性の設計、3次元形状の幾何学、ならびに要素36の厚さおよび弾性によって設定され得る。加えて、要素36を強化し、追加の制御を提供するために、補助強化部材(図示せず)が使用され得る。機械要素36は、要素36が常に現在の圧力状態の指示を提供するように、感知された圧力が、閾値を反対方向に再び横切るならば、第1の状態にフリップして戻るように構成され得る。あるいは、機械要素36は、恒久的に第2の状態のままであり、それによって圧力閾値が横切られたという恒久的な記録を提供するように構成され得る。
【0028】
図3でもっともよく見えるように、製造中、筐体32は、機械要素36の内部形状を成形するための成形芯が受容される一側面上の一時的開口部38を有する内部空洞を伴って成形される。筐体32を完成させるために、一時的開口部38は、後に塞がれるか、または密閉される(例えば、溶接または接着剤によって)。
【0029】
区別できる状態(例えば、形状)の間でフリップすることによって圧力を示すための機械要素36の使用は、ある特定の圧力状態の即座の認識可能かつ明白な指示を提供することができ、また、臨床医が圧力センサの可変スケールからの測定値を読み取る必要があるよりも評価をすることに容易で、かつ速くあることができる。機械要素36は、圧力指示器34が従来の可変圧力センサよりもコンパクト、軽量、および/または安価のいずれかであることを可能にし得る。したがって、圧力指示器34は、使い捨て直腸ドレナージ器具10の一体部品として含まれることが好適である。機械要素36を有する圧力(または圧力状態)指示器34はまた、膨張性バルーンを有する腸管ドレナージまたはドレーン器具デバイスで使用され得、例えば、米国特許出願公開第2008/0312614号を参照されたい。
【0030】
図1〜5の実施形態では、圧力指示器34は、達成された所定の膨張圧力レベル等の単一圧力状態を表すように構成される(図4(a)および4(b)の第1の構成を使用して)、単一機械要素36を含む。図6に図示される第2の実施形態は、2つ以上の機械要素36a、36b等を提供し、各機械要素は、それぞれの異なる圧力状態を示すように構成される。例えば、第1および第2の機械要素36a、36bは、膨張圧力が所望の膨張範囲内にあるかどうかを示すために提供され得、その下限は、一方の機械要素36aを使用して指示され、その上限は、もう一方の機械要素36bによって指示される。機械要素36aおよび36bの両方は、第1の構成(図4(a)および4(b))であり得る。これは、臨床医が、範囲が比較的狭い場合でも、膨張圧力が最適な動作範囲内にあるかどうかを判定することを可能にし得る。加えて、またはあるいは、第1の機械要素36aは、直腸内の器具の所望の固着を実現するために、所望の膨張圧力が達成されたことを示し得、さらなる機械要素(例えば、36bまたは36c)は、バルーン20が、直腸からの器具10の容易かつ安全な除去を可能にする、その十分に折り畳まれた形態であることを確実にするために、所望の収縮または吸引圧力がバルーン20内で達成されたことを示し得る。これのさらなる要素は、第2の構成(図5(a)および5(b))であり得る。
【0031】
図1および2を再び参照すると、管状要素12はさらに、折り畳み式補助管腔50を備える。折り畳み式管腔50は、第1および第2の非折り畳み式管腔22、24のそれぞれの断面積よりも大きい断面積を有する(透視で示される拡張状態にあるとき)。一形態では、折り畳み式管腔50は、約2mmと5mmとの間の拡張した断面直径を有する。折り畳み式管腔50は、管状要素12の遠位端16における開口部と直接的または間接的に連通する。使用中、折り畳み式管腔50は、管腔50を介した直腸腔への洗浄流体の容易な注入を可能にする。管腔50の大きいサイズは、例えば、従来技術で使用される比較的小さいサイズの洗浄管腔よりも、低圧力において容易な洗浄流体の流動を可能にする。管腔50の大きいサイズはまた、直腸腔への医療デバイス(例えば、温度センサ)の容易な挿入を可能にし、それは、従来技術の比較的小さい補助管腔を使用しても不可能であるか、少なくとも容易に実行できない可能性がある。洗浄流体源または医療デバイスが除去されるときに、管腔50は、そのコンパクトな状態まで折り畳むことができる。管腔50の壁は、そのコンパクトな状態まで弾性戻り力を伴って管腔50を折り畳む程の弾性を有するか、あるいは管腔50の壁は、管腔50が圧縮されるときに折り畳みを可能にする程の可撓性を有する。したがって、管腔50の提供は、管状要素12の所望の折り畳みを妨げず、また、管腔50がその通常の折り畳まれた、またはコンパクトな状態にあるときに、管状要素12内のドレーンチャネル14を介した排出物のドレナージを実質的に妨害もしない。
【0032】
(i)折り畳み式管腔50、(ii)膨張性バルーン20と連通している二重管腔22、24、および(iii)圧力指示器34のアイデアのいずれも、他のアイデアのいずれかと選択的に組み合わせて、またはそれらとは独立して使用され得ることが理解されるであろう。しかしながら、より多くのアイデアが組み合わされることによって、より大きい相乗効果が生じる。
【0033】
図7を参照すると、圧力指示器60が専用感知管腔と連通しておらず、その代わりに膨張管腔22内の膨張圧力に応答することを除いて、すでに記載された圧力指示器34と同様である圧力指示器60が示される。圧力指示器60は、筐体32に統合され、かつポート26および管腔22と直接連通する。本実施形態は、上記の米国特許出願公開第2005/054996号および同第2005/137526号に記載される器具等、膨張管腔22とは独立した専用感知管腔なしで、管状要素の既存の設計に対して代替の圧力指示器を実装する上で有用であり得る。
【0034】
図8を参照すると、遠位端16と連通している折り畳み式補助管腔50、およびバルーン20と連通している二重の非折り畳み式管腔22、24を実装する、第4の実施形態が図示される。感知管腔24に連結される代替の圧力センサ70が提供される。圧力センサ70は、バネ76によって付勢されるプランジャー74を含有する、筐体72を備える。筐体72の少なくとも一部は、プランジャー74の位置を見ることを可能にするために透明であり、その位置は、感知管腔24を介して感知されるバルーン圧力を直接的に示す。
【0035】
上述の説明は、本発明の好ましい実施形態を例示する。特許請求の範囲に記載されるような本発明の範囲から逸脱することなく、多くの同等物、修正物、および改良物が使用され得る。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8