(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911711
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】CTスキャンフレームに用いられる自己調整軸受
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
A61B6/03 321D
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-262587(P2011-262587)
(22)【出願日】2011年11月30日
(65)【公開番号】特開2012-125561(P2012-125561A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】201010602819.7
(32)【優先日】2010年12月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】ザング シャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ハイリアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング シーヨン
(72)【発明者】
【氏名】ワン スエリ
【審査官】
安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−500144(JP,A)
【文献】
特表平09−508550(JP,A)
【文献】
特開平10−057368(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0062343(US,A1)
【文献】
米国特許第05473657(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0146088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTスキャンフレーム(100)に用いられる自己調整軸受(200)であって、
前記自己調整軸受(200)は、前記CTスキャンフレーム(100)の主フレーム(102)に取り付けられて、前記CTスキャンフレーム(100)の回転ドラム(104)を支持し、
前記自己調整軸受(200)は、ローラー(202)と第一部材と第二部材とを有し、前記ローラーは、前記回転ドラム(104)を支持しかつ前記第一部材に回転可能に取り付けられ、前記第二部材は、前記主フレーム(102)に取り付けられ、前記第一部材と前記第二部材とは、前記自己調整軸受(200)を取り付ける際に相互相対に回転するように回転可能にマッチングされ、
前記第一部材と前記第二部材との中の一つが凸型ブロック(210)を含み、
前記第一部材と前記第二部材との中の別の一つが凹型ブロック(240)を含み、
前記凸型ブロック(210)は、第一突出部(220)、第二突出部(222)及びその間に位置する第三凹入部(224)を有し、
前記凹型ブロック(240)は、第一凹入部(246)、第二凹入部(248)及びその間に位置する第三突出部(244)を有し、
前記凸型ブロック(210)の第一突出部(220)及び第二突出部(222)は、それぞれ前記凹型ブロック(240)の第一凹入部(246)及び第二凹入部(248)に受け入れたれるように構成され、
前記凸型ブロック(210)の第三凹入部(224)は、前記凹型ブロック(240)の第三突出部(244)を受け入れるように構成される、ことを特徴とするCTスキャンフレームに用いられる自己調整軸受(200)。
【請求項2】
前記第一部材の回転軸は、前記ローラー(202)の回転軸線と略垂直又は平行することを特徴とする請求項1に記載の自己調整軸受(200)。
【請求項3】
前記第一部材の上部に第一支持アーム(212)と第二支持アーム(214)とを有し、前記ローラー(202)は、第一取付け部材(204)を回って回転可能に前記第一支持アーム(212)と第二支持アーム(214)との間に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の自己調整軸受(200)。
【請求項4】
前記第一突出部(220)、前記第二突出部(222)及び前記第三突出部(244)は、それぞれ前記第一支持アーム(212)と前記第二支持アーム(214)とに略垂直又は平行するように延びることを特徴とする請求項3に記載の自己調整軸受(200)。
【請求項5】
前記第一突出部(220)と前記第二突出部(222)とは、前記第一凹入部(246)と前記第二凹入部(248)とに類似する弧型輪郭を有し、前記第三突出部(224)は、前記第三凹入部(224)に類似する弧型輪郭を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自己調整軸受(200)。
【請求項6】
第二取付け部材(226)は、前記第一突出部(220)、前記第二突出部(222)及び前記第三突出部(244)を貫通するように延び、前記凸型ブロック(210)及び前記凹型ブロック(240)は、前記第二取付け部材(226)を回って相互相対に回転することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自己調整軸受(200)。
【請求項7】
前記第一突出部(220)と前記第二突出部(222)とは、それぞれ相互合わせられた位置決め溝(216、218)を有し、前記第三突出部(244)は、位置決め孔(252、254)を有し、前記位置決め孔(252、254)を貫通するように延びた位置決め部材は、スライド可能に前記位置決め溝(216、218)に収容され、前記位置決め部材が締められる場合、前記凸型ブロック(210)と前記凹型ブロック(240)との相対位置が固定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の自己調整軸受(200)。
【請求項8】
前記第一突出部(220)と前記第二突出部(222)とは、それぞれ相互合わせられた位置決め孔(252、254)を有し、前記第三突出部(244)は、位置決め溝(216、218)を有し、前記位置決め孔(252、254)を貫通するように延びた位置決め部材は、スライド可能に前記位置決め溝(216、218)に収容され、前記位置決め部材が締められる場合、前記凸型ブロック(210)と前記凹型ブロック(240)との相対位置が固定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自己調整軸受(200)。
【請求項9】
前記位置決め孔(252、254)は、前記第一部材の回転軸線から同様の直径方向の距離を有する二つの位置決め孔(252、254)であり、前記位置決め溝(216、218)は、前記第一部材の回転軸線から同様の直径方向の距離を有する二つの位置決め溝(216、218)であることを特徴とする請求項7又は8に記載の自己調整軸受(200)。
【請求項10】
前記ローラー(202)は、円錐型であり、前記ローラー(202)の円錐角は、前記ローラー(202)と前記回転ドラム(104)との間に回転摩擦を有するように設定されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の自己調整軸受(200)。
【請求項11】
CTスキャンフレーム(100)であって、
主フレーム(102)と、回転ドラム(104)と、請求項1から10のいずれかの一項に記載された自己調整軸受(200)とを有し、前記自己調整軸受(200)は、前記CTスキャンフレーム(100)の主フレーム(102)に取り付けられて、前記CTスキャンフレーム(100)の回転ドラム(104)を支持し、
前記CTスキャンフレーム(100)は、更に固定式軸受(300)を有し、前記固定式軸受(300)は、前記主フレーム(102)に配置され、かつ前記回転ドラム(104)における前記自己調整軸受(200)と相対する一側に位置する
することを特徴とするCTスキャンフレーム(100)。
【請求項12】
前記CTスキャンフレーム(100)は、二つの前記自己調整軸受(200)を有する第一軸受対(400)と、それぞれ一つの前記自己調整軸受(200)と一つの前記固定式軸受(300)とを有する第二軸受対(500)及び第三軸受対(600)を含むことを特徴とする請求項11に記載のCTスキャンフレーム(100)。
【請求項13】
前記回転ドラム(104)は、前記自己調整軸受(200)のローラー(202)を案内する斜切れ縁部(122)を有することを特徴とする請求項11に記載のCTスキャンフレーム(100)。
【請求項14】
前記回転ドラム(104)は、外周縁部(120)に配置された駆動表面を有し、前記駆動表面は、前記回転ドラム(104)を駆動する駆動ベルト(112)と接することを特徴とする請求項11又は13に記載のCTスキャンフレーム(100)。
【請求項15】
前記CTスキャンフレーム(100)は、更に前記主フレーム(102)に取り付けられた安全フレーム(118)を含み、前記自己調整軸受(200)が故障された場合、前記回転ドラム(104)を保持することを特徴とする請求項11に記載のCTスキャンフレーム(100)。
【請求項16】
前記CTスキャンフレーム(100)は、更に前記主フレーム(102)に取り付けられた軸受支持フレーム(114)を含み、前記自己調整軸受(200)は、前記軸受支持フレーム(114)の傾斜表面(116)に取り付けられることを特徴とする請求項11又は11に記載のCTスキャンフレーム(100)。
【請求項17】
CTシステム(10)であって、
請求項1から10のいずれかの一項に記載された自己調整軸受(200)又は請求項11から16のいずれかの一項に記載されたCTスキャンフレーム(100)を有することを特徴とするCTシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCTスキャンフレームに関し、特に、CTスキャンフレームに用いられる自己調整軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のCTスキャンフレームは、主軸受、大滑車及び回転ドラムを利用してCTスキャンフレームの全ての回転部材を支持し、回転させる。その中、主軸受はCTスキャンフレーム中の最も重要な機械部材の一つである。
【0003】
しかしながら、従来のCTスキャンフレーム中の主軸受は、欠点が多く改進する必要がある。まず、CT主軸受は高価であり、これは、CTシステム中のICVの総コストを増加させる。次に、CT主軸受は、非常に複雑な構造を有する回転軸受であり、回転軸受の大部分は輸入に依頼する。これは非常に長い納品周期を必要とし、かつ地方化が実現しにくい。さらに、主軸受と回転ドラムが片持ち構造になっているため、主軸受に顕著な反転トルクがかかる。そのため、搬送及び操作において、主軸受が高い故障率と低い耐震性及び低い耐衝撃性を有するようにする。一方、主軸受が現場で故障(例えば、騒音及び空回り)した場合、スキャンフレームの全体、ひいてはCTシステム全体を交換しなければならず、これは必ず膨大な補修費用を増加させ、ユーザが不満を持つようにする。
【0004】
特許文献1は回転ドラムを支持する支持部品を開示する。この支持部品は、複数の支持ローラーから構成され、該複数の支持ローラーは回転ドラムの外周縁と接触する。これら複数の支持ローラーは、弾性材質で構成されており、フレームから回転ドラムに伝えられる振動を衰える。これらの複数の支持ローラーは、円柱形に形成されることにより、回転ドラムの走査平面X−Yにおける動作を制限することができる。しかしながら、円柱形に形成された該複数の支持ローラーは、走査平面と垂直な方向Zにおける回転ドラムの動きを制限することができない。このため、特許文献1では、別の三対の弾性ローラーを利用して回転ドラムの側辺と接触させ、回転ドラムの横方向、即ちZ方向の動きを制限するようにしている。
【0005】
回転ドラムが温度変化により走査平面内で膨張又は収縮される場合、側辺に接触された別の三対の弾性ローラーと回転ドラムの間に滑り摩擦が発生し、弾性ローラーと回転ドラムの材料の摩損を増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,473,657号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のCTスキャンフレーム中の軸受に存在する色々な問題を鑑みて、本発明はCTスキャンフレームの自己調整軸受を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一観点は、CTスキャンフレームに用いられる自己調整軸受を提供する。自己調整軸受は、CTスキャンフレームの主フレームに取り付けられてCTスキャンフレームの回転ドラムを支持し、自己調整軸受は、ローラーと、第一部材と、第二部材とを有する。ローラーは、回転ドラムを支持しかつ第一部材に取り付けられ、第二部材は主フレームに取り付けられ、第一部材と第二部材は自己調整軸受を取り付ける際に相互相対に回転するように回転可能に結合される。
【0009】
本発明の他の一観点は、CTスキャンフレームを提供する。CTスキャンフレームは主フレームと、回転ドラムと、上述の自己調整軸受とを有する。自己調整軸受は、CTスキャンフレームの主フレームに取り付けられ、CTスキャンフレームの回転ドラムを支持する。
【0010】
本発明の更に他の一観点は、CTシステムを提供する。CTシステムは、上述の自己調整軸受又は上述のCTスキャンフレームを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による自己調整軸受は、従来の主軸受に比べて色々な利点がある。まず、小さい自己調整軸受で大きい回転軸受を取って代わるため、CTシステムの総コストを顕著に節約できる。また、本発明による自己調整軸受は、構造が簡単であり当該分野における普通の軸受と容易に配合でき、これらの普通の軸受は地元の供給者又は世界的な供給者から容易に購入できる。また、本発明による自己調整軸受は、従来の主軸受中に存在する反転トルクを解消し、回転トルクが存在しないため、故障率が低下する。また、本発明による自己調整軸受は、一旦故障した場合、現場で交換作業を行うことができ、従来技術のようにスキャンフレーム全体又はCTシステム全体を交換する必要がない。
【0012】
一方、本発明の回転ドラムは同時に三種の機能を有する。1)回転ドラムを駆動する駆動ベルト接するベルト車として作用する。2)軸受を案内する案内レールとして作用する。3)回転部材を固定する基体として作用する。
【0013】
以下の図面と説明により、本発明の上記又は他の利点と特徴は更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】CTシステム中の自己調整軸受と回転ドラムとの透視図である。
【
図3】回転ドラムの上方に位置する二つの自己調整軸受を含む第一軸受対を示す図である。
【
図4】回転ドラムの下方に位置する自己調整軸受と固定式軸受とを含む第二軸受対と第三軸受対とを示す図である。
【
図6】自己調整軸受のローラーと凸型ブロックの透視図である。
【
図7】自己調整軸受の凹型ブロックの透視図である。
【
図8】CTシステムのCTスキャンフレームの主フレーム上部に取り付けられた第一軸受対を詳細に示す透視図である。
【
図9】CTシステムのCTスキャンフレームの主フレーム下部に取り付けられた第二軸受対と第三軸受対とを詳細に示す透視図である。
【
図10】CTスキャンフレームの上部軸受支持フレームを詳細に示す透視図である。
【
図11】CTスキャンフレームの下部軸受支持フレームを詳細に示す透視図である。
【
図12】CTスキャンフレームの安全フレームの透視図である。
【
図13】回転ドラムが安全フレームによりを支持される透視図である。
【
図14】回転ドラムと自己調整軸受とのローラーの間の角度関係を示す図である。
【
図15】回転ドラムの斜切れ縁部と外周縁部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。図面において、同様の符号は同様又は類似する機能の素子を示す。これらの実施例は、当業者が本発明を実施できるように詳細に説明され、本発明の公開範囲内で、相互結合又は他の実施例と結合されて構造上の変更を行うことができる。よって、以下の詳細な説明は本発明を制限するものではなく、本発明の範囲は請求の範囲及びその均等物により特定される。
【0016】
本文において、特許文献で常に用いられる用語「一」は一つ又は複数を含み、用語「含む」、「包含する」及び「有する」は列挙した素子以外に他の素子も存在することを意味する。なお、別途に説明した用語については限られない。
【0017】
図1は、実施例によるCTシステム10の透視図である。CTシステム10は、主フレーム102と回転ドラム104とを有するCTスキャンフレーム100を含む。回転ドラム104は、CTスキャンを受けようとする人体を収容できるスキャン開口106を有し、中心軸線の周囲を回りながら走査平面X−Y内で回転できる。主フレーム102は、本発明の自己調整軸受200により回転ドラム104を回転自在に支持する。回転駆動部108は、主フレーム102又はいずれか他の適切な位置に取り付けられ、回転ドラム104の外周縁部120と相互接合する駆動ベルト112を駆動する。張力調整ローラー110も主フレーム102又はいずれか他の適切な位置に取り付けられ、必要に応じて駆動ベルト112の張力を調整する。回転駆動部108により駆動ベルト112を駆動する場合、駆動ベルト112は、回転ドラム104を回転させ、張力調整ローラー110は、駆動ベルト112と回転ドラム104の間に十分な摩擦があるように駆動ベルト112の張力を調整する。これにより、空回りを防ぐ。
【0018】
図2は、CTスキャンフレーム100において、自己調整軸受200が回転ドラム104を支持する状態を示す。本発明のCTスキャンフレーム100において、固定式軸受300も用いられ、自己調整軸受200と共に回転ドラム104を支持する。
図2において、回転ドラム104の上方に第一軸受対400が配置され、第一軸受対400は、回転ドラム104の相対する両側に設けられた二つの自己調整軸受200を含む。一方、回転ドラム104の下方に第二軸受対500と第三軸受対600とが配置され、第二軸受対500と第三軸受対600とは、それぞれ回転ドラム104の相対する両側に設けられた一つの自己調整軸受200と一つの固定式軸受300とを含む。
【0019】
第二軸受対500と第三軸受対600との自己調整軸受200は、回転ドラム104の同一側に位置する。その代わりに、第二軸受対500と第三軸受対600との自己調整軸受200は、回転ドラム104の相対する両側に位置することもできる。
【0020】
図2に、三つの軸受対、即ち二つの自己調整軸受200を有する第一軸受対400、自己調整軸受200と固定式軸受300とを有する第二軸受対500及び自己調整軸受200と固定式軸受300とを有する第三軸受対600を有する構造のみが示された。しかし、この三対以外のいずれか数量の軸受対を含むこともできる。例えば、二つの軸受対が配置された場合、この二つの軸受対は、第二軸受対500と第三軸受対600とであっても、第一軸受対400と第二軸受対500又は第三軸受対600とであってもよい。一方、二つの固定式軸受300を有する固定式軸受対を配置して、第一軸受対400、第二軸受対500及び第三軸受対600の中のいずれか一つを取り替えることができる。
【0021】
回転ドラム104を安定的に支持するため、回転ドラム104全体の重心は、第二軸受対500と第三軸受対600との間にあることが好ましい。一方、第一軸受対400は、回転ドラム104の回転中心の真上に位置することが好ましい。なお、第一軸受対400、第二軸受対500及び第三軸受対600の相互位置は、必要に応じて調整することができる。例えば、四つの軸受対が配置された場合、この四つの軸受対は、回転ドラム104の周りを均一に隔てて、90°間隔で配置されることが好ましい。
【0022】
図3は、回転ドラム104の上方に位置された二つの自己調整軸受200を有する第一軸受対400を示す。
図3において、自己調整軸受200は、回転ドラム104の斜切れ縁部122に接する。同様に、
図4は、回転ドラム104の下方に位置された自己調整軸受200と固定式軸受300とを有する第二軸受対500又は第三軸受対600を示す。
図4において、自己調整軸受200と固定式軸受300とは、回転ドラム104の斜切れ縁部122に接する。
【0023】
図5は、本発明による自己調整軸受200を示す図である。自己調整軸受200は、ローラー202、凸型ブロック210及び凹型ブロック240を含む。ローラー202は、第一取付け部材204により回転可能に凸型ブロック210に取り付けられ、回転駆動部108が駆動ベルト112を介して回転ドラム104を駆動する場合、回転ドラム104を回転可能に支持する。類似的に、凸型ブロック210は、第二取付け部材226により回転可能に凹型ブロック240に取り付けられ、自己調整軸受200を取り付ける場合、凹型ブロック240に対する凸型ブロック210の位置を調整することができる。
【0024】
図5に示された実施例において、第二取付け部材226は、第一取付け部材204に垂直又は略垂直に配置され、この場合、凸型ブロック210は、凹型ブロック240に対し、ローラー202の縦軸線と垂直な軸線を回って回転することができる。これにより、凸型ブロック210とローラー202とが回転ドラム104の縦方向における位置、即ち回転ドラム104の斜切れ縁部122における横方向の位置を調整することができる。
【0025】
その代わりに、第二取付け部材226は、第一取付け部材204に平行又は略平行に配置され、この場合、凸型ブロック210は、凹型ブロック240に対し、ローラー202の縦軸線と平行な軸線を回って回転することができる。これにより、凸型ブロック210とローラー202が回転ドラム104の走査平面内における位置、即ち回転ドラム104の斜切れ縁部122の周辺における位置を調整することができる。
【0026】
凸型ブロック210の構造を詳細に示した
図6を参照するに、凸型ブロック210は、上部に第一支持アーム212と第二支持アーム214とを有し、ローラー202は、第一取付け部材204によって第一支持アーム212及び第二支持アーム214の間に回転可能に支持される。さらに、凸型ブロック210は、下部に第一突出部220と第二突出部222とを有する。第一突出部220と第二突出部222とに中心孔228がそれぞれ形成されている。
【0027】
図6に示されたように、第一突出部220と第二突出部222とは、第一支持アーム212と第二支持アーム214とに垂直な平面内に位置する。この場合、第二取付け部材226は、第一取付け部材204に垂直になり、凸型ブロック210とローラー202とが回転ドラム104の斜切れ縁部122における横方向の位置を調整する。
【0028】
その代わりに、第一突出部220と第二突出部222とは、第一支持アーム212と第二支持アーム214とに平行な平面内に位置し、これにより、第一支持アーム212及び第二支持アーム214と同様な平面内に位置する。この場合、第二取付け部材226は、第一取付け部材204と平行し、凸型ブロック210とローラー202が回転ドラム104の斜切れ縁部122の周辺における位置を調整する。
【0029】
図7に示されたように、自己調整軸受200の凹型ブロック240は、土台242と第三突出部244とを有し、この第三突出部244は、中心孔250を有する。凸型ブロック210と凹型ブロック240とを取り付ける場合、第一突出部220と第二突出部222との中心孔228を第三突出部224の中心孔250に合わせ、かつ第二取付け部材226が第一突出部220と第二突出部222の中心孔228及び第三突出部224の中心孔250を貫通するように延びる。
【0030】
凸型ブロック210は、更に凹型ブロック240の第三突出部244を収容するように第三凹入部224を有す。第三凹入部224は、第一突出部220と第二突出部222の間に位置する。一方、凹型ブロック240も第三突出部244の両側に位置する第一凹入部246と第二凹入部248とを有して、凸型ブロック210の第一突出部220と第二突出部222とをそれぞれ収容するようにする。第一突出部220、第二突出部222及び第三突出部244は、それぞれ第一凹入部246、第二凹入部248及び第三凹入部224とマッチングされて、第二取付け部材226を補助して凸型ブロック210を支持し、凸型ブロック210が第二取付け部材226を回って凹型ブロック240に対し回転するようにする。第一突出部220と第二突出部222とは、第一凹入部246及び第二凹入部248と相互マッチングされる弧型輪郭を有し、第三突出部224は、第三凹入部224と相互マッチングされる弧型輪郭を有する。
【0031】
また、凸型ブロック210には、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218とが形成され、同様に、凹型ブロック240には、第一位置決め溝216及び第二位置決め溝218とそれぞれ対応する第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とが形成されている。第一位置決め溝216と第二位置決め溝218と、及び第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とは、中心孔228、250に対し、同様の直径方向の距離を有することが好ましい。なお、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218とは、中心孔228に対し異なる直径距離を有することができ、第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とも中心孔250に対し異なる直径距離を有することができる。対応する取付け部材は、第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とをそれぞれ貫通して、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218との内に収容されるように延びる。第一位置決め溝216と第二位置決め溝218との左端は、凸型ブロック210が第二取付け部材226を回って凹型ブロック240に対し回転する左極限の位置を限定する。第一位置決め溝216と第二位置決め溝218との右端は、凸型ブロック210が第二取付け部材226を回って凹型ブロック240に対し回転する右極限の位置を限定する。
【0032】
凸型ブロック210と凹型ブロック240との取付けにおいて、まず、凸型ブロック210の第一突出部220と第二突出部222の中心孔228を凹型ブロック240の第三突出部244の中心孔250と合わせる。次に、第二取付け部材226を中心孔228及び中心孔250を通るように挿入する。この場合、凸型ブロック210は、第二取付け部材226を回って凹型ブロック240に対し回転することができる。回転ドラム104の支持必要に応じて、凸型ブロック210が第二取付け部材226を回って適合の位置まで回転するようにする。この場合、第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とが、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218とにそれぞれ合わせられる。対応する位置決め部材を用いて第一位置決め孔252と第一位置決め溝216と、及び第二位置決め孔254と第二位置決め溝218とを貫通するように挿入し、かつ固定する。これにより、自己調整軸受200は、必要に応じて位置を調整することができ、回転ドラム104を支持する必要に応じることができる。
【0033】
本実施例において、第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とが凹型ブロック240の第三突出部244に形成され、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218とが凸型ブロック210の第一突出部220と第二突出部222とに形成されている。しかし、第一位置決め孔252と第二位置決め孔254とが凸型ブロック210の第一突出部220と第二突出部222とに形成され、第一位置決め溝216と第二位置決め溝218とが凹型ブロック240の第三突出部244に形成されることもできる。位置決め孔と位置決め溝の数は、二つ以外の他の数量でよい。
【0034】
凸型ブロック210と凹型ブロック240との構造は、相互交換可能である。第三突出部244が凸型ブロック210に配置され、第一突出部220と第二突出部222とが凹型ブロック240に配置される。同様に、第一凹入部246と第二凹入部248とが凸型ブロック210に配置され、第三凹入部224が凹型ブロック240に配置される。
【0035】
更に
図4に示されたように、固定式軸受300は、ローラー302、第一支持アーム306、第二支持アーム308、土台310及びローラー320を第一支持アーム306と第二支持アーム308との間で回転可能に支持する取付け部材304を有する。ローラー302は、回転ドラム104の斜切れ縁部122と接する。
【0036】
図8は、CTスキャンフレーム100の主フレーム102の上部に設けられた自己調整軸受200を詳細に示し、その中、二つの自己調整軸受200は、主フレーム102の相対する両側にそれぞれ配置される。
図9は、CTスキャンフレーム100の主フレーム102の下部に設けられた自己調整軸受200と固定式軸受300とを詳細に示す。
図8において、自己調整軸受200と固定式軸受300とは、それぞれ主フレーム102の相対する両側に配置される。
【0037】
図10及び
図11は、主フレーム102に固定された三つの軸受支持フレーム114を示す。軸受支持フレーム114は、それぞれ第一軸受対400、第二軸受対500及び第三軸受対600を取り付けるのに用いられる。自己調整軸受200の土台242と固定式軸受300の土台310とは、全て軸受支持フレーム114の傾斜表面116に取り付けられる。軸受支持フレーム114は、理想的な位置と姿勢で自己調整軸受200と固定式軸受300とを回転ドラム104に取り付けるように設計される。
【0038】
図12は、CTスキャンフレーム100の安全フレーム118を示す。安全フレーム118は、
図13に示されたように、自己調整軸受200又は固定式軸受300が故障された場合、依然として回転ドラム104を支持するように用いられる。安全フレーム118は、三つであることが好ましく、それぞれ第一軸受対400、第二軸受対500及び第三軸受対600の間に配置される。
【0039】
一方、CTスキャンフレーム100は、更にセンサーとセンサー警報制御部を含む。センサーは、CTスキャンフレーム100の特定位置における応変又は作用力を検出し、センサー警報制御部は、検出した応変又は作用力が予定値を超えた場合、警報を発する。
【0040】
さらに
図3及び
図4に示されたように、回転ドラム104は、外周縁部120と斜切れ縁部122とを有し、外周縁部120は、駆動ベルト112と接し、斜切れ縁部122は、自己調整軸受200のローラー202及び固定式軸受300のローラー302と接する。ローラー202、302は、円錐型であることが好ましい。
図14を参照するに、回転ドラム104と自己調整軸受200及び固定式軸受300との間で回転摩擦を得るため、ローラー202、302の円錐角α
bと斜切れ縁部122の傾斜角α
aとは、以下の等式を満足する。
… (1)
この等式は、以下の式に基づいて計算できる。
;
… (2)
;
… (3)
ここで、
であるため、
;
… (4)
… (5)
ここで、
であるため、
… (6)
【0041】
ここで、
は、回転ドラム104の点I
’の線速度であり、
は、回転ドラム104の点J
’の線速度である。
は、ローラー202、302の点Iの線速度であり、
は、ローラー202、302の点Jの線速度である。
は、回転ドラム104の角速度であり、
は、自己調整軸受200と固定式軸受300との角速度である。
【0042】
図15は、回転ドラム104の外周縁部120と斜切れ縁部122とを示している。その中、外周縁部120は、回転ドラム104を駆動する駆動ベルト112と接するように溝又は歯の形の駆動表面を有し、斜切れ縁部122は、自己調整軸受200のローラー202と固定式軸受300のローラー302と接して、自己調整軸受200と固定式軸受300の案内バスとして作用する。一方、CTスキャンフレーム100中の他の複数の回転部材は、回転ドラム104に固定される。
【0043】
以上のように、一定の数の実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は、上記の開示された実施例に限られたものでないことは容易に理解できる。本発明は、本発明の思想と範囲内にあるいずれかの変更、交替、取替、又は均等の配置を含むことができる。一方、上記に本発明の各種の実施例を説明したが、本発明の一観点において、上記の実施例中の一部のみを含むことができることを理解すべきである。よって、本発明は、上記の実施例により限定されず、請求の範囲によって特定されるとみなされる。
【符号の説明】
【0044】
10 … CTシステム
100 … CTスキャンフレーム
102 … 主フレーム
104 … 回転ドラム
106 … スキャン開口
108 … 回転駆動部
110 … 張力調整ローラー
112 … 駆動ベルト
114 … 軸受支持フレーム
116 … 傾斜表面
118 … 安全フレーム
120 … 外周縁部
122 … 斜切れ縁部
200 … 自己調整軸受
202 … ローラー
204 … 第一取付け部材
210 … 凸型フロック
212 … 第一支持アーム、 214 … 第二支持アーム
216 … 第一位置決め溝、 218 … 第二位置決め溝
220 … 第一突出部、 222 … 第二突出部
224 … 第三凹入部
226 … 第二取付け部材
228 … 中心孔
240 … 凹型部
242 … 土台
244 … 第三突出部
246 … 第一凹入部、 248 … 第二凹入部
250 … 中心孔
252 … 第一位置決め孔、 254 … 第二位置決め孔
300 … 固定式軸受
302 … ローラー
304 … 取付け部材
306 … 第一支持アーム、 308 … 第二支持アーム
310 … 土台
400 … 第一軸受対、 500 … 第二軸受対、 600 … 第三軸受対