(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相間絶縁シートにおける前記シート本体及び前記折返し部の少なくとも一方に設けられ、前記固定子鉄心を軸方向に挟むように係合する一対の突出片を備えることを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、電気自動車に用いられ、インバータにより駆動される駆動電動機に適用した第1実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。なお、
図6は、回転電機たる当該駆動電動機1を搭載した電気自動車を示す。
【0009】
図1、
図2に示すように、駆動電動機1の固定子2は、円環状をなす多数の電磁鋼板を積層してなる略円筒状の固定子鉄心3を備える。固定子鉄心3は、円筒状のヨーク3bと、ヨーク3bの内周部において周方向に等間隔で設けられた複数(例えば24個)のティース3aとを一体に有する。各ティース3aは、四角柱状をなしてヨーク3bの内周面から中心方向へ突出するように形成され、固定子鉄心3の内周部における各ティース3a間の空間部はスロット6とされている(
図3参照)。詳しくは後述するように、ティース3aには、絶縁スプール4を介して三相(U相、V相、W相)の巻線5(U相巻線5u、V相巻線5v、W相巻線5w)が集中巻方式で巻装されている。
【0010】
図示は省略するが、駆動電動機1の回転子は、円環状をなす多数の電磁鋼板を積層してなる略円筒状の回転子鉄心と、この回転子鉄心を電磁鋼板の積層方向に貫く回転軸と、回転子鉄心の外周部に形成された磁石挿入穴に挿入される永久磁石とを備える。前記回転子は、固定子2の界磁空間に、その外周面と固定子2の内周面との間に僅かな隙間(エアギャップ)を隔てて配置され、固定子2に対して回転可能になっている。
【0011】
前記絶縁スプール4は、電気絶縁性を有する樹脂材料からなり、前記巻線5が巻回される胴部4aと、この胴部4aの一端側に形成された鍔部4bとを樹脂成形により一体に有する。ここで、
図3は、周方向に隣り合う一対の絶縁スプール4について、U相巻線5uとV相巻線5vを巻装した状態を示している。なお、V相巻線5v、U相巻線5u、W相巻線5wは、何れも同様の構成である。
【0012】
図2、
図3に示すように、胴部4aは角筒状をなし、鍔部4bは矩形枠状をなしており、絶縁スプール4には、胴部4aの軸方向に延びる嵌合孔7が形成されている。絶縁スプール4は、その嵌合孔7にティース3aを挿通させて固定子鉄心3(以下、単に鉄心3と称す)に装着している。絶縁スプール4の鍔部4bには、胴部4aとは反対側に突設された一対の延出片4c(
図3で一方の延出片4cのみ示す)を一体に有する。一対の延出片4cは、鍔部4bにおいて鉄心3を軸方向の両側から挟む位置に形成され、絶縁スプール4が鉄心3に装着された状態で鉄心3の軸方向の両端面3c、3d(
図1参照)と係合するように構成されている。
【0013】
前記巻線5は、例えば銅線に絶縁被膜が施されたものであり、絶縁スプール4の胴部4aに対して所定のターン数、巻回されている。この場合、U相巻線5u、V相巻線5v、W相巻線5wは、絶縁スプール4毎に1相ずつ巻装された集中巻きとされている。各巻線5は胴部4aの周りに巻き付けられることで、全体として角筒状をなすように巻装されている。なお、巻線5の結線方法としては、例えば本願出願人が出願した特願2008−281383号に開示したバスリングを用い、或は巻線5を接続する渡り線等を用いてスター結線を構成してもよく、詳細な説明は省略する。
【0014】
上記のように巻線5が集中巻方式で巻装されている場合、
図3に示すように、鉄心3のスロット6内では相の異なる巻線5(同図ではU相巻線5uとV相巻線5v)が隣り合うように位置する。そこで、鉄心3における巻線5相互間、つまりU相−V相間、V相−W相間、W相−U相間には、相間絶縁紙9が夫々挿入されている。この相間絶縁紙9について、
図4、
図5も参照しながら詳述する。相間絶縁紙9は、後述する折り畳み状態で前記鉄心3に取付けられるが、
図4では、相間絶縁紙9の折り畳み前の展開した状態を示すと共に、括弧内にその具体的な寸法の値(単位:mm)を例示している。
【0015】
相間絶縁紙9は、電気的な絶縁特性を有するシート材として例えば厚さ0.18mmのノーメックス(登録商標)が用いられる。
図4に示すように、相間絶縁紙9は厚み方向から見て略矩形形状をなし、その左右の側辺10a,10bに一対の突出片12u,12dが夫々張出すように形成されている。相間絶縁紙9の縦方向の寸法Hは、鉄心3の積層方向たる軸方向寸法L0より大きく(H>L0、
図1参照)、且つ鉄心3の軸方向における巻線5の外形寸法L1(
図2参照)以上の大きさに設定されている(H≧L1)。また。相間絶縁紙9の縦方向の寸法Hは、横方向の寸法Wよりも若干大きく設定されている。
【0016】
相間絶縁紙9の幅方向(横方向)中央部には、長手方向(縦方向)に延びる中央折線13が形成されている。また、中央折線13を挟む位置には、その中央折線13に平行な一対の平行折線14a,14bが形成されている。一方の平行折線14aは、相間絶縁紙9の左半部を2分するように左辺10aと中央折線13との中間の位置に形成され、他方の平行折線14bは、相間絶縁紙9の右半部を2分するように右辺10bと中央折線13との中間の位置に形成されている。
【0017】
前記中央折線13及び平行折線14a,14bは、左右の側辺10a,10bと平行で且つ幅方向に等間隔をなす4つ折り用の3つの折線を構成する。即ち、相間絶縁紙9は、これら3つの折線13,14a,14bによって、第1領域21、第2領域22、第3領域23、第4領域24の4つに区画される。詳しくは後述するように、各領域21〜24の幅寸法(例えば17mm)は、巻線5の鉄心3における径方向の寸法L2(
図3参照)、或は相間絶縁紙9の組み付け作業性を考慮して設定される。
【0018】
相間絶縁紙9の左右の領域21,24に設けられた一対の突出片12u,12dは、各側辺10a,10bにおいて鉄心3の軸方向寸法L0のぶん相互に離間して、鉄心3を軸方向に挟むように係合する構成とされている(
図1、
図4参照)。具体的には、突出片12uは相間絶縁紙9上側の角部に、突出片12dはその下側の角部に夫々設けられており、各側辺10a,10bから側方(横方向)への突出寸法は例えば3mmに設定されている。各側辺10a,10bにおける突出片12u,12d相互間の離間距離は、例えば鉄心3の軸方向寸法L0より若干、大きい51mmに設定されている。換言すれば、相間絶縁紙9の左右の縁部は、突出片12u,12d間に鉄心3が嵌合するように切欠いた凹状の切欠部15が形成されたものとして把握される。
【0019】
相間絶縁紙9の周辺のうち中央折線13と直交する一対の辺11a,11bの近傍は、折返し領域(折返し部16a,16b)とされている。即ち、相間絶縁紙9には、上辺11aから所定距離(例えば7mm)内側の位置に、当該辺11aと平行に延びる縁折線17aが形成されると共に、下辺11bから所定距離(例えば7mm)内側の位置に、当該辺11bと平行に延びる縁折線17bが形成されている。このように、縁折線17a,17bは、各突出片12u,12dの縦方向における中間部に配置されている。
【0020】
こうして、相間絶縁紙9における縁折線17a,17bよりも外側の領域は折返し領域として夫々区画され、縁折線17a,17bで各突出片12u,12dが二重になるように折り返されて折返し部16a,16bを構成する。ここで、相間絶縁紙9において折返し部16a,16bを除いた部分はシート本体20とされ、折返し部16a,16bは、シート本体20の両端部に折り重なるように連設された構成となっている。なお、折返し部16a,16bは、シート本体20及び折返し部16a,16bの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0021】
上記した折線13,14a,14b,17a,17bについて、
図4の紙面に向かって手前側が凸となるように折り返される山折り線を破線で示し、凹となるように折り返される谷折り線を二点鎖線で示している。即ち、前記の縁折線17a,17bは、相間絶縁紙9の両面18E,18Iのうち第1面18E上で凹となるよう谷折りされる。中央折線13は、縁折線17a,17bにより、3つの線分(第1線分131〜第3線分133)に区切られ、第2線分132が谷折りに、他の第1線分131と第3線分133が山折りに折り曲げられる。各平行折線14a及び14bは、縁折線17a,17bにより、3つの線分(第1線分141a〜第3線分143a及び第1線分141b〜第3線分143b)に夫々区切られ、第2線分142a,142bが山折りに、他の第1線分141a,141bと第3線分143a,143bが谷折りに折り曲げられる。
【0022】
本実施形態の相間絶縁紙9は、突出片12u,12dを含め1つの中央折線13を境に左右対称で、且つ上下対称な形状に形成されると共に、上記した折線13,14a,14b,17a,17bも左右対称且つ上下対称に配置されている。中央折線13及び平行折線14a,14bは、上記したように相間絶縁紙9の幅方向に等間隔で形成されている。このため、相間絶縁紙9について、中央折線13及び平行折線14a,14bによりジグザグに所謂蛇腹折りで折り畳まれることで、突出片12u,12dを除いた幅方向の寸法Wが1/4の大きさとなり、曲げ強度や捩れ強度(剛性)が付加される。また、相間絶縁紙9における長手方向の両端部では、第1領域21〜第4領域24にわたって折返し部16a,16bが折り重なる結果、8重になるため剛性がより向上する。
【0023】
前記の折り畳み状態では、折り重ねられた相間絶縁紙9の4つの領域21〜24のうち、第1領域21及び第4領域24の第1面18Eが外側となり、第2面18Iが内側となる(
図1、
図5参照)。また、折返し部16a,16bは、相間絶縁紙9の第1面18E側へ折り重なっており、シート本体20の外側に位置する。なお、
図5は、折り畳んだ相間絶縁紙9が、自身の復元力で当該絶縁紙9全体がW字状をなすように拡がった様子を示している。以下では、相間絶縁紙9において、中央折線13で折り返すことにより形成される稜線を中央稜線13´と称し、平行折線14a,14bで折り返すことにより形成される稜線を二条の稜線14a´,14b´と称する。
【0024】
続いて、相間絶縁紙9を折り畳む手順を説明する。相間絶縁紙9の片面18Iには、予め印刷等により上記した全ての折線13,14a,14b,17a,17bが付されているものとする。なお、機械加工により折線13,14a,14b,17a,17bを付型するようにしてもよい。
【0025】
相間絶縁紙9を前記の折り畳み状態とするには、以下のようにされる。即ち、上下の縁折線17a,17bが谷折りされ、折返し部16a,16bが手前側(第1面18E)側へ折り返される。中央折線13は、第2線分132が谷折りされ(これに伴い他の線分131、133が山折りされ)、相間絶縁紙9が2つ折りされる。各平行折線14a,14bは、第2線分142a,142bが夫々山折りされ(これに伴い他の線分141a,141b、143a,143bが谷折りされ)、相間絶縁紙9が4つ折りされた状態となる。これにより、相間絶縁紙9において、シート本体20は平行折線14a,14bで折り返される方向と中央折線13で折り返される方向とが互い違いになる所謂蛇腹折りで折り畳まれ、折返し部16a,16bは、そのシート本体20の外側となる第1面18E側で折り重なる状態となる。なお、折り曲げ順は、これに限定するものではなく、中央折線13及び平行折線14a,14bについて一端側から他端側へ折線14a,13,14bの順にジグザグに折り畳む等、適宜変更してもよい。
【0026】
次に、上記構成の作用について説明する。
U相巻線5u、V相巻線5v、W相巻線5wは、予め絶縁スプール4毎に1相ずつ巻装され、絶縁スプール4ごと鉄心3の各ティース3aに対して内周側から装着する。この場合、絶縁スプール4は、その嵌合孔7がティース3aに嵌合すると共に、鍔部4bの延出片4cが鉄心3の軸方向の両端面3c,3dに係合するため、鉄心3にガタつかないように配置される(
図2、
図3参照)。この場合、鉄心3のスロット6には、その周方向に隣り合う巻線5が互いに近接した状態で配置されることとなる。
【0027】
そこで、上記のように折り畳んだ相間絶縁紙9を巻線5間に挿入することにより、各巻線5間を確実に絶縁することが可能となる。即ち、作業者は、例えば折り畳んだ相間絶縁紙9における長手方向の端部(折返し部16a,16b部分)を把持し、突出片12u,12dを、鉄心3の軸方向における巻線5の両端側(
図2で巻線5の上下両側に位置するコーナ5c部分)に位置を合せるように向けて、鉄心3の内周側から挿入する。この場合、相間絶縁紙9は、突出片12u,12dが設けられた側辺10a,10bと中央稜線13´とが直線状に揃うように折り畳まれているため、スロット6への挿入作業がスムーズに行われる。
【0028】
図1、
図3に示すように、相間絶縁紙9は、それら中央稜線13´に揃う側辺10a,10bがヨーク3bの内周面と当接する位置まで押し込まれことに伴い、突出片12u,12dが鉄心3の軸方向の両端面3c、3dを挟むように係合する。これにより、作業者が相間絶縁紙9から手を離しても落下が防止され、中央折線13が鉄心3の軸方向を指向する向きで巻線5相互間に挿入された状態となる。また、巻線5間の相間絶縁紙9は、自身の復元力で当該絶縁紙9全体が鉄心3の軸方向から見てW字状をなすように拡がり、その外側の領域21,24の面18Eが周方向両側の巻線5に押し当たる。つまり、相間絶縁紙9は、巻線5間において、スロット6の底側で両側辺10a,10bが相互に離間するように拡がり(
図5の矢印D1参照)、スロット6の開放側で二条の稜線14a´,14b´が相互に離間するように拡がるため(矢印D2参照)、
図3に示すように、巻線5の側部に対する外面18Eの接触面積が可及的に大きくなる。また、相間絶縁紙9の長手方向の両端部は折返し部16a,16bによって多重に折り重なり、充分な厚みが確保されている。このため、相間絶縁紙9が挿入される巻線5相互間の隙間が比較的大きな場合でも、
図2で巻線5の上下両側に位置するコーナ5c部分で折返し部16a,16bが拡がるようにして嵌装された状態となって係止される。これにより、相間絶縁紙9全体の位置がずれることもない。しかも、
図1に示すように、各折返し部16a,16bの縁つまり相間絶縁紙9の上下両辺11a,11bが、その絶縁紙9の外側で鉄心3の軸方向に互いに対向した状態で巻線5に接触するため、巻線5に対する相間絶縁紙9の高い抜け止め効果を得ることができる。従って、相間絶縁紙9の挿入作業が一度で済むので、作業効率が改善される。
【0029】
前記鉄心3に巻線5を巻装した固定子2を、相間絶縁紙9ごと絶縁性の樹脂(図示略)によりモールドする。これにより、鉄心3における巻線5は相間絶縁紙9と共に前記樹脂により埋められて固定され、絶縁性が確保される。
【0030】
ところで、電気自動車等に用いられる駆動電動機では、小型にして高出力を得るべく巻線の占積率を高めに設定する傾向にあり、上記のように相間絶縁紙9を折り畳んだ場合には、巻線5間の隙間が狭く挿入し難くなる事態も想定される。そこで、発明者らは、相間絶縁紙9において巻線5間に先に挿入される中央折線13と側辺10a,10bとの関係に着目して、次のような実験を行った。先ず、3枚の相間絶縁紙(以下、相間絶縁紙9A,9B,9Cとする)について、第1領域21〜第4領域24の夫々の幅寸法w1,w2,w3,w4(
図4参照)を以下のように設定する。
【0031】
相間絶縁紙9Aは、各領域21〜24の幅寸法w1〜w4を全て16mmに設定する(w1=w2=w3=w4=16mm)。
相間絶縁紙9Bは、第1領域21と第4領域24の幅寸法w1,w4を16mmに(w1=w4=16mm)、他の領域22,23の寸法を12mmに夫々設定する(w2=w3=12mm)。
【0032】
相間絶縁紙9Cは、第1領域21と第4領域24の幅寸法w1,w4を16mmに(w1=w4=16mm)、他の領域22,23の寸法を14mmに夫々設定する(w2=w3=14mm)。
【0033】
ここで、相間絶縁紙9A,9B,9Cにおける前記幅寸法w1〜w4(W)以外の寸法は
図4に示す相間絶縁紙9の寸法と同じものとする。また、巻線の占積率は高めに設定され、巻線5間の隙間は、手作業で挿入する際の相間絶縁紙9A,9B,9Cと巻線5との接触が不可避となる幅狭なものとする。そして、相間絶縁紙9A,9B,9Cの夫々について、上記した相間絶縁紙9の挿入方法と同様に、突出片12u,12dをスロット6側に向けて、側辺10a,10b側から巻線5間に挿入する。
【0034】
この条件下における発明者らの実験によると、相間絶縁紙9Aは比較的容易に巻線5間へ挿入することができる一方、相間絶縁紙9B,9Cは巻線5間への挿入が困難となった。図示は省略するが、相間絶縁紙9B,9Cを折り畳んだ状態では、当該絶縁紙9B,9Cの側辺10a,10bより内側へ中央稜線13´が収まることとなる。このため、相間絶縁紙9B,9Cを巻線5間に挿入する際に、先に挿入される側辺10a,10b部分が巻線と接触してたわみ、挿入し難くなるものと考えられる。また、相間絶縁紙9B,9C自体、比較的薄いため、巻線5と引っ掛ると座屈をおこし易い。これに対し、相間絶縁紙9Aを折り畳んだ状態では、中央稜線13´と側辺10a,10bとが揃い、その縁部が4重になって剛性が高められることで座屈がおこり難く、挿入し易くなるものと考えられる。
【0035】
前記中央稜線13´は、巻線5間に対する挿入側として凸となるように折り返されているため、側辺10a,10bに比し巻線に対して引っ掛かりにくく且つ剛性を増大させる構成となっている。図示は省略するが、相間絶縁紙において、一方の平行折線14aを中央折線13よりも一方の側辺10aに寄せた位置に形成し、他方の平行折線14bを中央折線13よりも他方の側辺10bに寄せた位置に形成する(w2>w1、w3>w4)。これにより、相間絶縁紙を折り畳んだ状態で、中央稜線13´が側辺10a,10bより外側(挿入側)として突出するよう構成することで、中央稜線13´から容易に挿入することができる。
【0036】
図6は、上記の駆動電動機1を走行駆動用として、当該電動機1を駆動するシステムを搭載した電気自動車の構成を概略的に示す機能ブロック図である。100は自動車のシャーシ(車体)であり、組電池パック200内には、図示しない組電池が単数あるいは複数組み込まれている。この電池パック200のプラス、マイナス電極は、インバータ装置を含み電圧を変換すると共に、運転指令を受けて出力電流・電圧のレベル制御及び位相制御などを行う電圧変換及び運転制御部300に接続されている。電圧変換及び運転制御部300の出力は、駆動電動機1に駆動電力として供給される。
【0037】
前記車体100には、左右の駆動輪たる車輪WR,WLが取り付けられている。車輪WR,WLは、駆動電動機1が出力する駆動力により駆動可能に構成されており、駆動電動機1の回転は、例えば差動ギアユニットを介して、車輪WR,WLに伝達される。電池管理基板400は、組電池の状態を管理すると共に通信を行うための回路(制御部、通信インターフェース、記憶部などを含む)が搭載されている。
【0038】
以上説明したように、相間絶縁シートたる絶縁紙9は略矩形形状をなし、その中央に形成される中央折線13とその両側を挟む位置に形成される当該中央折線13に平行な一対の平行折線14a,14bとで構成され且つ中央折線13で折り返される方向と一対の平行折線14a,14bで折り返される方向とが互い違いになるように折り返される4つ折り用の3つの折線13,14a,14bと、相間絶縁紙9の周辺のうち中央折線13と直交する一対の辺11a,11bに沿って夫々形成され、相間絶縁紙9における一対の辺11a,11b側に折返し部16a,16bを区画する縁折線17a,17bとを備える。
【0039】
上記構成の相間絶縁紙9は、その両端部に縁折線17a,17bによって折返し部16a,16bが形成されると共に、3つの折線13,14a,14bによって所謂蛇腹折りで折り畳まれる。このように相間絶縁紙9を折り畳んだ状態で、固定子2の巻線5相互間に例えば中央稜線13´(辺11a,11b)側から挿入する。これにより、巻線5間の相間絶縁紙9は、自身の復元力で当該絶縁紙9全体が鉄心3の軸方向から見てW字状をなすように拡がり、その両側の領域21,24の面18Eが巻線5に押し当たる。よって、相間絶縁紙9は、巻線5間で鉄心3における径方向内側と径方向外側とで拡がるため(
図5の矢印D1,D2参照)、巻線5の側面側に対する外面18Eの接触面積を可及的に大きくすることができ、巻線5間の隙間の大小に係らず、巻線5間への組み付けに適した構成とすることができる。また、上記構成によれば、縁折線17a,17bで折返し部16a,16bを形成して前記の蛇腹折りで折り畳むことで、相間絶縁紙9の両端部が多重に折り重なり、充分な厚みと剛性を確保することができる。従って、例えば上記のように挿入した相間絶縁紙9は、その両端の折返し部16a,16bが巻線5間で拡がるようにして嵌装されることで係止される。このため、固定子2の製造工程において、巻線5間に挿入した相間絶縁紙9の位置がずれたり、抜け落ちたりすることを確実に防止できる。従って、巻線5間同士の接触等による絶縁異常を無くすことができる。
【0040】
前記固定子2は、鉄心3と、この鉄心3に集中巻きで巻装される複数の巻線5と、上記の相間絶縁紙9とを備える。これによれば、巻線5は、複数のティースを跨いで巻装される分布巻きと異なり、集中巻で1相ずつ巻装されるため、巻線5の占積率を高めて、小型にして高出力を得ることができる。従って、当該固定子2と、その界磁空間に配置された前記回転子とを備えた駆動電動機1は、電気自動車等の車両に適した構成とすることができる。この他、上記構成と同様に、巻線5間同士の接触等による絶縁異常が無い、高品質な駆動電動機1を製造することができる。
【0041】
また、前記固定子2において、相間絶縁紙9は、前記3つの折線13,14a,14bで折り畳まれた状態で、中央折線13が鉄心3の軸方向を指向する向きで複数の巻線5相互間に挿入されたシート本体20と、中央折線13と直交する方向に延びる縁折線17a,17bを介して、シート本体20における中央折線13の方向の両端部に折り重なるように連設され、シート本体20の複数の巻線5相互間への挿入により当該複数の巻線5相互間に嵌装された折返し部16a,16bとを備える。
【0042】
即ち、第2実施形態で述べるように、相間絶縁紙9を巻線5間に挿入する向きは、中央折線13が鉄心3の軸方向を指向する向きであればよい。この向きの相間絶縁紙9を配した固定子2は、折返し部16a,16bが巻線5間に嵌装されるため、巻線5間における相間絶縁紙9のずれを、より確実に防止することができる。この他、上記した相間絶縁紙9と同様の効果を奏する。
【0043】
一対の突出片12u,12dを、相間絶縁紙9におけるシート本体20及び折返し部16a,16bの少なくとも一方に設け、鉄心3を軸方向に挟むように係合する構成とした。これによれば、相間絶縁紙9を上記のように折り畳み、巻線5相互間に突出片12u,12dを向けて挿入することで、突出片12u,12dによって鉄心3の軸方向両端3c,3dを挟むように係合させる。これにより、固定子2の製造工程において、巻線5間に挿入した相間絶縁紙9の位置がずれたり、抜け落ちたりすることをより確実に防止できる。より具体的には、相間絶縁紙9は展開した状態で略矩形形状をなし、その周辺のうち中央折線13に平行な辺10a,10bの寸法は、鉄心3の軸方向寸法L0より大きく設定され、その中央折線13に平行な一対の辺10a,10bに夫々突設された一対の突出片12u,12dであって、鉄心3の軸方向の寸法L0のぶん相互に離間して鉄心3を軸方向に挟むように係合する一対の突出片12u,12dを備える。この構成によっても上記の突出片12u,12dと同様の効果を奏する。
【0044】
折返し部16a,16bは、複数の巻線5相互間において当該巻線5に臨むように前記4つ折りのシート本体20の外側に位置する。つまり、相間絶縁紙9は、縁折線17a,17bで折り返された折返し部16a,16bが外側となるように2つ折り又は4つ折りで折り畳まれる構成とした。これによれば、折返し部16a,16bの縁つまり相間絶縁紙9の一対の辺11a,11bが、その絶縁紙9の外側で鉄心3の軸方向に互いに対向した状態で巻線5に接触するため、巻線5に対する相間絶縁紙9の高い抜け止め効果を得ることができる。
【0045】
前記相間絶縁紙9は展開した状態で略矩形形状をなし、一対の平行折線14a,14bは、その一方の平行折線14aが、相間絶縁紙9の周辺のうち中央折線13に平行な一方の辺10aと当該中央折線13との中間の位置に、又は中央折線13よりも一方の辺10aに寄せた位置に形成され、他方の平行折線14bが相間絶縁紙9の周辺のうち中央折線13に平行な他方の辺10bと当該中央折線13との中間の位置に、又は中央折線13よりも他方の辺10bに寄せた位置に形成され、相間絶縁紙9は、複数の巻線5相互間に対して、シート本体10を中央折線13で折り返すことによりに形成される中央稜線13´側から挿入されている。
【0046】
これによれば、相間絶縁紙9を折り畳んだ状態で、両側辺10a,10bが中央稜線13´よりも外側へ、はみ出ることがない。従って、相間絶縁紙9を巻線5間に挿入する際に、中央稜線13´を、鉄心3の内周面と当接するまで押し込み、鉄心3に対する径方向の位置決めに利用することができる。また、上記実施形態のように、相間絶縁紙9において一方の平行折線14aを一方の辺10aと中央折線13との中間の位置に形成し(w1=w2)、他方の平行折線14bを他方の辺10bと当該中央折線13との中間の位置に形成した場合(w3=w4)、上記のように折り畳むことで、中央稜線13´と側辺10a,10bとが揃って4重となるため、座屈がおこり難くなり、相間絶縁紙9の組み付けをスムーズに行うことができる。更に、相間絶縁紙において、一方の平行折線14aを中央折線13よりも一方の辺10aに寄せた位置に形成し(w2>w1)、他方の平行折線14bを中央折線13よりも他方の辺10bに寄せた位置に形成した場合(w3>w4)、当該絶縁紙を折り畳んだ状態で、中央稜線13´が側辺10a,10bより外側(側方)へ突出する。中央稜線13´は、巻線5間に対する挿入側として凸となるように折り返されているため、側辺10a,10bに比し巻線に対して引っ掛かりにくく且つ剛性を増大させることができ、当該絶縁紙を、中央稜線13´から容易に挿入することができる。
【0047】
<その他の実施形態>
図7〜
図9は、第2〜第4実施形態を示すものであり、既述の部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる点につき説明する。
【0048】
図7に示す第2実施形態の相間絶縁紙30は、突出片12u,12dが省略されている点で、第1実施形態の相間絶縁紙9と相違する。相間絶縁紙30を、相間絶縁紙9と同様に折り畳んで中央稜線13´を鉄心3の径方向外側に向けて巻線5間に挿入する。相間絶縁紙30は、突出片12u,12dが無いため鉄心3と直接的に係合しないが、相間絶縁紙9と同様に自身の復元力で当該絶縁紙30全体がW字状をなすように拡がる。また、相間絶縁紙9の長手方向の両端部は、折返し部16a,16bによって多重に折り重なり、且つ各折返し部16a,16bが相互に対向した状態で巻線5に接触することで、第1実施形態と同様、高い抜け止め効果を得ることができる。
【0049】
第2実施形態の相間絶縁紙30は、巻線5間に挿入する向きを逆にしてもよい。即ち、相間絶縁紙30を、巻線5間に対して中央稜線13´側が鉄心3の径方向内側、二条の稜線14a´,14b´側が径方向外側となる向きで挿入する。相間絶縁紙30は、スロット6の開放側で両側辺10a,10bが相互に離間するように拡がり、スロット6の底側で二条の稜線14a´,14b´が相互に離間するように拡がる(
図5の矢印D1,D2参照)。これにより、巻線5の側部に対する相間絶縁紙30外面18Eの接触面積を大きくすることができると共に、巻線5間同士の接触による絶縁異常を無くすことができる等、上記と同様の効果を奏する。
【0050】
図8に示す第3実施形態の相間絶縁紙40は、平行折線14a,14bが省略される一方、中央折線13が2つ折り用の折線として構成されている。相間絶縁紙40は、中央折線13によって、第1領域41と第2領域42との2つに区画される。
【0051】
相間絶縁紙40は、第1実施形態の相間絶縁紙9と同様に、左右の側辺10a,10bに突出片12u,12dが張り出すように形成されると共に、長手方向の両端部に、縁折線17a,17bにより折り返された折返し部16a,16bが形成されている。相間絶縁紙40を折り畳む場合、先ず上下の縁折線17a,17bが谷折りされ、折返し部16a,16bが手前側(第1面18E)側へ折り返される。中央折線13は、第2線分132が山折りされ(これに伴い他の線分131、133が谷折りされ)、相間絶縁紙40が2つ折りされる。これにより、相間絶縁紙40における長手方向の両端部では、第1領域41と第2領域42にわたって折返し部16a,16bが折り重なる結果、4重になるため剛性が向上する。
【0052】
折り畳んだ相間絶縁紙40について、突出片12u,12dを鉄心3の径方向外側に向けて巻線5間に挿入する。従って、相間絶縁紙40は、突出片12u,12dが鉄心3の軸方向の両端面3c、3dを挟むように係合する。そして、巻線5間の相間絶縁紙40は、自身の復元力で当該絶縁紙40全体がV字状をなすように拡がる。上記したように、ティース3a或は絶縁スプール4毎に巻線5が角筒状をなすように巻装され、巻線5の隙間は、鉄心3における径方向外側よりも径方向内側が狭い。このため、相間絶縁紙40のV字をなす開放端側(側辺10a,10b)を鉄心3の径方向外側に向けて挿入することで、巻線5の側面側に対する外面18Eの接触面積を可及的に大きくして、相間絶縁紙40の抜け止め効果を高めることができる。この他、相間絶縁紙40の折返し部16a,16bによって、相間絶縁紙40の位置ずれを抑制することができると共に、巻線5間同士の接触による絶縁異常を無くすことができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0053】
図9に示す第4実施形態の相間絶縁紙50は、突出片12u,12dが省略されている点で、第3実施形態の相間絶縁紙40と相違する。相間絶縁紙50を、相間絶縁紙40と同様に折り畳んで側辺10a,10bを鉄心3の径方向外側に向けて巻線5間に挿入する。相間絶縁紙50は、突出片12u,12dが無いため鉄心3と直接的に係合しないが、相間絶縁紙40と同様に自身の復元力で当該絶縁紙50全体がV字状をなすように拡がる。従って、相間絶縁紙40の折返し部16a,16bによって、相間絶縁紙40の位置ずれを抑制することができる等、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
第4実施形態の相間絶縁紙50は、巻線5間に挿入する向きを逆にしてもよい。即ち、相間絶縁紙50は、巻線5間において中央稜線13´側が鉄心3の径方向外側、側辺10a,10b側が径方向内側となる向きで挿入され、スロット6の開放側で両側辺10a,10bが相互に離間するように拡がることとなる。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略,置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0056】
相間絶線シートは、正方形形状を含む略矩形形状のシート材であればよく、相間絶縁紙9,30,40,50に限定するものではない。即ち、相間絶縁紙9,30,40,50の各寸法は、鉄心3及び巻線5の寸法並びに巻線5間の隙間に応じて適宜、変更することができ、それら相間絶縁紙について前記2つ折りで折り畳む構成或は4つ折りで折り畳む構成を選択的に採用する。この場合でも、前記2つ折りで折り畳むことで上記のように剛性が付加され、前記4つ折りで折り畳むことでより剛性を高めることができる。
【0057】
相間絶縁紙9,30,40,50において、縁折線17a,17bで折り返された折返し部16a,16bが内側となるように前記2つ折り又は4つ折りで折り畳む構成としてもよい。折り畳んだ相間絶縁紙9,30,40,50の長手方向の両端部では、折返し部16a,16bによって、前記2つ折りのときは4重になり、前記4つ折りのときは8重になる。このため、比較的薄い相間絶縁紙を用いて構成しても、折返し部16a,16bにおける充分な厚みを確保することができる。
【0058】
駆動電動機1は、上記した電気自動車に限らず、ハイブリッド自動車等、駆動電動機1が出力する駆動力により駆動可能な車輪を備えた自動車に適用してもよい。