(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記操作部の操作により、防災区画が指定されると、防災区画に関連付けられた防排煙用中継器をグループデータベース部から呼び出し、該呼び出した防排煙用中継器により防排煙機器を動作させることを特徴とする請求項1記載の火災受信機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施の形態に係る火災受信機を含む火災報知設備のシステムを示す全体構成図である。
火災受信機FAには、例えば
図1に示すように、電源兼信号線SG(以下、「信号線SG」と呼ぶ)を介して、光電式アナログ感知器SE11、熱アナログ感知器SE12、アドレッサブル発信機SE13、地区ベル用中継器B11、B12,防排煙制御用中継器D11、D12などの端末機器が系統毎に接続されている。各端末機器には、アドレスが付与されていて、火災受信機FAと各端末機器はアドレスに基づき通信を行っている。
【0010】
光電式アナログ感知器SE11は、検出した煙の濃度に応じたアナログ値を信号により火災受信機FAに送信する。熱アナログ感知器SE12は、検出した周囲温度に基づくアナログ値を信号により火災受信機FAに送信する。アドレッサブル発信機SE13は、火災の発見者が手動操作する押しボタンを備え、押しボタンがオンされたときに火災信号を火災受信機FAに送信する。なお、光電式アナログ感知器SE11及び熱アナログ感知器SE12を「火災感知器SE11、SE12」と称し、アドレッサブル発信機SE13を「発信機SE13」と称して説明する。
【0011】
地区ベル用中継器B11、B12には、地区ベルB111、B112がそれぞれ接続されている。防排煙制御用中継器D11、D12には、防排煙機器としての防火戸D111、シャッタD112がそれぞれ接続されている。なお、
図1では、地区ベル用中継器B11、B12に1個の地区ベルB111、B112が、防排煙制御用中継器D11、D12には防排煙機器が1台ずつ接続されているが、これに限定されるものではない。
【0012】
火災受信機FAと各端末機器は、信号線SGの電圧を変動させ、ハイレベル電圧とローレベル電圧の組み合わせのパルス信号で通信を行っている。
【0013】
図1の火災受信機FAでは、信号線SGが例えば3つ設けられており、この一つの信号線SGを系統という。また、火災受信機FAは、建物である第1〜第3倉庫の火災を監視しており、各倉庫に1系統の信号線を配設して火災監視を行っている。
具体的には、
図1に示す系統1は、例えば第一倉庫に設定された複数の防災区画(Z0001〜Z0004)を監視するためのものであり、系統2は、例えば第二倉庫に設定された複数の防災区画を監視するためのものであり、系統3は、例えば第三倉庫に設定された複数の防災区画を監視するためのものである。なお、
図1では、火災監視の対象を倉庫としたが、これは一例であって、ビルや集合住宅などの建物でもよい。
【0014】
系統1においては、第一倉庫の防災区画(Z0001)には、火災感知器SE11、SE12、地区ベルB111、防火戸D111が配置されている。防災区画(Z0001)に隣接する防災区画(Z0002)には、発信機SE13、地区ベルB112、シャッタD112が配置されている。
【0015】
さらに、第一倉庫の防災区画(Z0002)に隣接する防災区画(Z0003)には、前記と同様に、火災感知器SE11、SE12、地区ベルB111、防火戸D111が配置されている。また、防災区画(Z0003)に隣接する防災区画(Z0004)には、発信機SE13、シャッタD112が配置されている。
【0016】
系統2及び系統3においては、
図1に示していないが、系統1と同様に、前述の各端末機器が、第二倉庫及び第三倉庫にそれぞれ設定された複数の防災区画に配置されている。 なお、第一倉庫、第二倉庫及び第三倉庫にそれぞれ設定された防災区画を4区画として述べたが、これは一例であって限定されるものではない。また、接続される各端末機器についても設置される建物等の物件に適した端末機器が必要数設置される。
なお、建物を倉庫としたがこれは一例であって限定されるものではない。また、建物1棟あたりに1系統の信号線SGを配設したが、例えば階毎に1系統の信号線SGを配設するようにして1つの建物に複数の系統の信号線SGを配設しても良い。
【0017】
前述の火災受信機FAは、例えば系統1において、防災区画(Z0001)の火災感知器SE11、SE12の何れか一方が火災を感知した場合、火災感知器SE11、SE12と関連づけられた同一防災区画(Z0001)の地区ベルB111を鳴動させ、防火戸D111を動作させる。
【0018】
また、火災受信機FAは、例えば系統1において、防災区画(Z0002)の発信機SE13が火災信号を発した場合、発信機SE13と関連づけられた同一防災区画(Z0002)の地区ベルB112を鳴動させると共に、シャッタD112を動作させる。
なお、このように火災感知器が動作又は発信機が操作された際に、どの地区ベルや被制御機器を連動して動作させるかは、火災受信機FAに設けた後述するグループデータベース部FA31に設定されている。
【0019】
次に、火災受信機FAの構成について、
図2を用いて説明する。
図2は実施の形態に係る火災受信機の構成を示すブロック図である。
火災受信機FAは、系統毎に設けられた伝送部FA1と、制御部FA2と、グループデータベース部FA31及びグループ集合データベース部FA32が格納された記憶部FA3と、機能選択部FA41、表示選択部FA42、連動機器選択部FA43及び全連動機器選択部FA44を備えた操作部FA4と、表示部FA5とを備えている。この表示部FA5は、端末機器が感知した火災に関する情報や各端末機器の状態等を表示するタッチパネル式の画面で構成されている。
【0020】
伝送部FA1は、記憶部FA3に端末機器のアドレス等が予め格納されたデータベース(図示せず)に従って、防災区画毎の火災感知器SE11、SE12に状態情報要求命令を送信し、その状態情報要求命令に応じて火災感知器SE11、SE12からの状態情報が受信されたときには一時的に保存する。そして、伝送部FA1は、保存した状態情報に火災信号が含まれているかどうかを判別し、状態情報に火災信号が含まれていた場合には、その火災信号を発した火災感知器SE11、SE12のアドレスを保存する。この動作は、発信機SE13にも行われ、予め設定された時間毎に繰り返し行われている。
【0021】
また、伝送部FA1は、制御部FA2から火災信号の有無の問い合わせ信号を受けたときには、判別結果を制御部FA2に通知する。即ち、伝送部FA1は、各火災感知器SE11、SE12の状態情報に火災信号が含まれていない場合にはその旨を通知し、火災感知器SE11、SE12の何れかが火災信号を発した場合にはそのアドレスを通知する。
【0022】
制御部FA2は、火災情報の有無の問い合わせ信号の送信により、火災信号を発した火災感知器SE11、SE12の何れかのアドレスを受けたときには、記憶部FA3に格納されたグループデータベース部FA31に従って、火災信号を発した例えば火災感知器SE11のアドレスと関連づけられた同一防災区画(Z0001)の地区ベルB111を鳴動させる制御信号を伝送部FA1から地区ベル用中継器B11へ送信させる。そして、制御部FA2は、火災感知器SE11と関連づけられた同一防災区画(Z0001)の防火戸D111を動作させる制御信号を伝送部FA1から防排煙制御用中継器D11へ送信させる。
【0023】
前述のグループデータベース部FA31(以下、「グループDB部FA31」と呼ぶ)には、例えば、系統毎にかつ各系統に設定された防災区画毎に、防災区画の番号(以下、「ゾーン番号」と呼ぶ)と防災区画に配置された端末機器のアドレスとがそれぞれ関連づけられて記録されている。
【0024】
具体的には、系統1の第一倉庫に設定された防災区画毎に、防災区画のゾーン番号(Z0001〜Z0004)と防災区画に配置された端末機器のアドレスとがそれぞれ関連づけられて記録されている。また、系統2、3についても、前記と同様に、第二倉庫及び第三倉庫にそれぞれ設定された防災区画毎に、防災区画のゾーン番号と防災区画に配置された端末機器のアドレスとがそれぞれ関連づけられて記録されている。
【0025】
グループ集合データベース部FA32(以下、「グループ集合DB部FA32」と呼ぶ)には、1つ以上の防災区画のゾーン番号が建物毎や階毎等の所定集合としてのグループ集合番号と関連づけられて記録されている。つまり、グループ集合DB部FA32は、建物における複数の防災区画が所定集合として1つのグループとしてひとまとめにされ、そのグループに対してグループ集合番号が設けられている。
【0026】
具体的には、系統1の第一倉庫に設定された防災区画のゾーン番号Z0001〜Z0004とグループ集合番号ZH001が関連づけられて記録されている。また、系統2、3についても、前記と同様に、第二倉庫及び第三倉庫にそれぞれ設定された複数の防災区画のゾーン番号とグループ集合番号が関連づけられて記録されている。
なお、グループ集合DB部FA32には、グループ集合番号に関連付けて名称を記録することができる。グループ集合番号ZH001には、場所を示す「第一倉庫」の名称が記録されている。このようにグループ集合番号に名称を付けることによってグループ集合番号がどの複数の防災区画に関連付けられているか、判別しやすくなる。
【0027】
前述の操作部FA4の機能選択部FA41は、表示部FA5の画面に表示された例えば「機器連動」スイッチFA411あるいは「全機器連動」スイッチFA412の何れかがオン操作されると(
図3参照)、グループ集合DB部FA32を参照して、前述のグループ集合番号に関連付けられた名称である「第一倉庫」、「第二倉庫」及び「第三倉庫」の文字を画面に表示すると共に、各倉庫毎に「MAP」、「ON」及び「OFF」スイッチを表示する。なお、グループ集合番号に名称が関連付けられていないときには、「第一倉庫」等の名称に代えてグループ集合番号を画面に表示する。
【0028】
表示選択部FA42は、「機器連動」スイッチFA411が選択された後に、表示画面の中から例えば「第一倉庫」の「MAP」スイッチがオン操作されると、グループ集合DB部FA32を参照して、第一倉庫に設定された防災区画の全てのゾーン番号を表示する。また、表示選択部FA42は、「全機器連動」スイッチFA412が選択された後に、表示画面の中から例えば「第一倉庫」の「MAP」スイッチがオン操作されると、前記と同様に、第一倉庫に設定された防災区画の全てのゾーン番号を表示する。
【0029】
連動機器選択部FA43は、「機器連動」スイッチFA411が選択された後に、表示画面の中から例えば「第一倉庫」の「ON」スイッチがオン操作されると、「第一倉庫」の文字を表示して、内容の確認を促すメッセージを表示し(
図3(c)参照)、この画面で「YES」スイッチがオン操作されたときには、例えば第一倉庫に設定された防災区画のゾーン番号のスイッチを表示し(図示せず)、何れかのゾーン番号のスイッチがオン操作されたときには、選択されたゾーン番号を制御部FA2に通知する。なお、オン操作が既になされているゾーン番号のスイッチは、例えば赤色で表示する等態様を変化させることにより、オン操作済みであることを表示する。
【0030】
全連動機器選択部FA44は、「全機器連動」スイッチFA412が選択された後に、表示画面の中から例えば「第一倉庫」のグループ集合番号のスイッチである「ON」スイッチがオン操作されると、前記と同様に、
図3(c)の画面のように「第一倉庫」の文字を表示して、内容の確認を促すメッセージを表示し、この画面にて「YES」スイッチがオン操作されたときには、
図3(e)のように再び「第一倉庫」、「第二倉庫」及び「第三倉庫」の文字を画面に表示すると共に、各倉庫毎に「MAP」、「ON」及び「OFF」スイッチを表示し、「第一倉庫」の「ON」スイッチが操作されたときには、第一倉庫に設定されているグループ集合番号を制御部FA2に通知する。なお、オン操作が既になされているグループ集合番号のスイッチは、例えば赤色で表示する等の態様を変化させることにより、オン操作済みであることを表示する。
【0031】
次に、火災発生の防災区画以外の防災区画の防排煙機器を動作させるための操作、及びその操作に基づく制御部FA2の動作について説明する。
図3は実施の形態に係る火災受信機において、火災発生の防災区画以外の防災区画の防排煙機器を動作させるための操作画面を示す図である。
【0032】
制御部FA2は、例えば系統1の第一倉庫のうちZ0001の防災区画において火災感知器SE11が火災を感知すると、火災感知器SE11と関連づけられた同一防災区画(Z0001)の地区ベルB111を鳴動させ、その情報を表示部FA5の画面に表示して報知する。その後、制御部FA2は、火災感知器SE11の感知により火災が確実であると判定したときには、火災感知器SE11と関連づけられた同一防災区画(Z0001)の防火戸D111を動作させ、その情報を表示部FA5の画面に表示して報知する。
【0033】
その火災報知により、監視員が表示部FA5の画面上に表示されているメニューのうち(
図3(a)参照)、「全機器連動」スイッチFA412を操作すると、操作部FA4は、同図(b)に示すように、「第一倉庫」、「第二倉庫」及び「第三倉庫」の文字を画面に表示すると共に、各倉庫毎に「MAP」、「ON」及び「OFF」スイッチを表示する。操作部FA4は、その表示画面から火災発生の「第一倉庫」の「ON」スイッチがオン操作されると、「第一倉庫」の文字を表示して、内容の確認を促すメッセージを表示する(同図(d)参照)。
【0034】
操作部FA4は、そのメッセージにより「NO」スイッチが操作されたときには、同図(b)に示す画面に戻るが、「YES」スイッチがオン操作されたときには、グループ集合DB部FA32を参照して第一倉庫に設定されたグループ集合番号(ZH001)を制御部FA2に通知する。このとき再び「第一倉庫」、「第二倉庫」及び「第三倉庫」の文字を画面に表示すると共に、各倉庫毎に「MAP」、「ON」及び「OFF」スイッチを表示し、操作された第一倉庫の「ON」スイッチが赤色で表示される(同図(e)参照)。
【0035】
なお、操作部FA4は、同図(b)に示す画面を表示した際に、「第一倉庫」の「MAP」スイッチがオン操作された場合、第一倉庫に設定された全ての防災区画のゾーン番号(Z0001〜Z0004)を表示する。この操作により、第一倉庫に設定された防災区画の全てのゾーン番号を確認することができる。つまり、グループ集合番号に関連付けられたゾーン番号を確認することができる。
【0036】
一方、制御部FA2は、第一倉庫に設定されたグループ集合番号(ZH001)の情報を受けたときには、記憶部FA3に格納されたグループ集合DB部FA32から、グループ集合番号(ZH001)に関連付けられたゾーン番号(Z0001〜0004)を呼び出す。制御部FA2は、ゾーン番号を呼び出すと、記憶部FA3に格納されたグループDB部FA31から、ゾーン番号(Z0001〜Z0004)をキーとして、動作した防火戸D111を制御した防排煙用中継器を除く残りの動作させる防排煙制御用中継器のアドレスを読み込む。そして、制御部FA2は、動作させる防排煙制御用中継器のアドレスを付与した制御信号を伝送部FA1から送信させる。これにより、複数の防災区画に配置された防排煙機器を建物毎や階毎等のひとまとまりで一斉に動作させて、火災が発生した防災区画の周囲の防災区画への火災の拡大を防いだり、周囲の防災区画をさらに越えた防災区画への火災の拡大を防いだりすることができる。
【0037】
また、1つの防災区画に配置された防排煙機器を動作させることもできる。前述の火災報知により、監視員が表示部FA5の画面上に表示されているメニューのうち(
図3(a)参照)、「機器連動」スイッチFA411をオン操作すると、操作部FA4は、同図(b)に示すように、「第一倉庫」、「第二倉庫」及び「第三倉庫」の文字を画面に表示すると共に、各倉庫毎に「MAP」、「ON」及び「OFF」スイッチを表示する。操作部FA4は、その表示画面から火災発生の「第一倉庫」の「ON」スイッチがオン操作されると、「第一倉庫」の文字を表示して、内容の確認を促すメッセージを表示する(同図(c)参照)。
【0038】
操作部FA4は、そのメッセージにより「YES」スイッチがオン操作されたときには、図示していないが、同図(e)において第一倉庫に設定された防災区画毎のゾーン番号(Z0001〜Z0004)のスイッチを表示する。操作部FA4は、例えばZ0002のゾーン番号のスイッチがオン操作されたときには、選択されたゾーン番号(Z0002)を制御部FA2に通知する。
【0039】
なお、操作部FA4は、前記と同様に、同図(b)に示す画面を表示した際に、「第一倉庫」の「MAP」スイッチがオン操作された場合、第一倉庫に設定された防災区画毎のゾーン番号(Z0001〜Z0004)を表示する。この操作により、第一倉庫に設定された防災区画毎のゾーン番号を確認することができる。
【0040】
一方、制御部FA2は、第一倉庫に設定されたゾーン番号(Z0002)の情報を受けたときには、記憶部FA3に格納されたグループDB部FA31から、ゾーン番号(Z0002)をキーとして、動作した防火戸D111を制御した防排煙用中継器を除く残りの動作させる防排煙制御用中継器のアドレスとを読み込む。そして、制御部FA2は、動作させる防排煙制御用中継器のアドレスを付与した制御信号を伝送部FA1から送信させる。この場合は、火災感知によりシャッタD113が動作した防災区画に隣接する防災区画のシャッタが動作する。さらに、残りのシャッタを動作させる場合、前述した操作を繰り返すことにより可能になる。
【0041】
以上のように実施の形態によれば、倉庫に設定された複数の防災区画のうち1つの防災区画のシャッタが火災感知により動作したときには、操作部FA4の操作に基づいて、残りの防災区画の全ての防排煙機器、あるいは火災が発生した防災区画に隣接する防災区画の防排煙機器のみを動作させることができる。これにより、簡単な操作で火災の拡大を防止できる。
【0042】
なお、実施の形態では、火災感知器が火災感知した際に、操作部FA4の操作に基づいて、1つまたは複数の防災区画の防排煙機器を動作させるようにしたが、これに限定されるものではなく、火災感知器が火災感知していないときに操作部FA4の操作に基づいて防排煙機器を動作させても良い。