【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を、少なくとも2つのリンクが、それぞれのボールジョイント接続部によってリング部へと接続され、残りのリンクの各々が、それぞれの摺動枢支接続部によってリング部へと接続されるということによって達成する。
【0009】
枢支接続部(または、枢動のみの接続部)は、回転の自由度を1つだけしか持たず、残りのすべての自由度(2つの回転の自由度および3つの平行移動の自由度)が阻止されている接続部である。摺動枢支接続部は、枢動の回転軸に沿った平行移動の自由度が許されている枢支接続部である。したがって、摺動枢支接続部は、回転の1つの自由度および平行移動の1つの自由度による運動を許す一方で、残りの4つの自由度(平行移動の2つの自由度および回転の2つの自由度)は阻止される。ボールジョイント接続部は、回転の3つの自由度を有する一方で、平行移動の自由度は阻止される接続部である。
【0010】
したがって、枢支接続部が、それらの枢支軸の方向に沿って摺動でき、したがって枢支軸に対して横方向に作用する力だけを被ることを、理解できるであろう。結果として、リング部の重量は、大部分がボールジョイント接続部によって支持される。枢支接続部は、摺動接続部であるため、リング部の重量の一部だけを引き受け、その割合は、重力の方向に対する摺動枢支接続部の向きに応じて決まる。羽根が
半径方向に向けられているため、摺動枢支接続部は、リング部を半径方向および方位角方向について案内するように機能する。換言すると、すべてのリンクがリング部の保持に貢献するが、リング部は、大部分はボールジョイント接続部によって保持される。
【0011】
さらに、枢支接続部が摺動接続部であるため、リング部がターボ機械の軸に心出しされた位置から移動しても(すなわち、リング部がターボ機械の軸に心出しされた位置から半径方向に移動しても)、枢支接続部および枢支接続部に接続されたリンクに生じる力は、わずかまたは皆無である。好都合には、この移動が、例えばリング部の幾何学的構成における基準点の角度および位置を最適化することによって、最小限にされる。
【0012】
加えて、リング部が、基本的に2つのボールジョイント接続部によって心出しされた位置の周囲に保持されるため、リング部を心出しされた位置の周囲に充分に正確に配置して、羽根の同期した枢動について確実かつ精密な制御をもたらすことができるとともに、この心出しされた位置の周囲のリング部の小さな移動に対応することもできる。本発明の発明者は、リング部における枢支部の回転軸と羽根の回転軸とがターボ機械の軸の近傍で交わる場合に、心出しが最適化され、移動が最小化されることに気が付いた。
【0013】
したがって、本発明の制御装置は、先行技術の装置において必要とされるリング部の心出しを回避することを可能にする。
【0014】
さらに、そのような心出しの必要を回避することにより、先行技術の装置に見られる種類の追加の設定システムを設置する必要がない。したがって、本発明の制御装置は、先行技術の装置よりも重量が軽く、より安価である。
【0015】
リング部の回転運動が、制御手段によって駆動され、例えばリング部の一点に2つのボールジョイント接続部によって案内される接線方向の移動を付与するアクチュエータによって駆動されることに、気付くべきである。これらのボールジョイント接続部は、ターボ機械の軸の周囲にある角度間隔にて配置され、この角度間隔が、リング部とリンクとの間のボールジョイント接続の点の平行移動での運動が防止されているということと組み合わさって、リング部をターボ機械の軸を中心にして主として回転運動するように制約する。リング部の半径方向の平行移動は、リングを中心からずらすように働くが、それでもなお制御の精度という意味では容認可能である。一変形例においては、これらの心ずれの移動を制限し、リング部の回転の案内においてボールジョイント接続部を補助するために、摺動枢支接続部のうちの1つが、枢動のみの接続部を形成すべく摺動にての移動ができないようにされる。
【0016】
さらに、枢支接続部は、摺動枢支接続部(または、枢動のみの接続部)と比べ、より重量が大きく、摩耗の影響を受けやすい。一部のリンクにおける少数の枢支接続部の使用を、残りのリンクの摺動枢支接続部(または、枢動のみの接続部)と組み合わせることによって、制御装置の重量が軽減される一方で、先行技術の制御装置(特に、ボールジョイント接続部または摺動ボールジョイント接続部だけを使用する装置)と比べて信頼性が改善される。これは、この制御装置が取り付けられた(あるいは、取り付けられる)ターボ機械の性能の向上に貢献する。
【0017】
好ましくは、2つのボールジョイント接続部が、方位角において約90°だけ離れている。
【0018】
ターボ機械の軸を中心とする2つのボールジョイントの間のこの角度間隔は、羽根の制御の際に各々の接続部に加わる力を最小にするように機能する。90°の角度間隔は、各々のボールジョイント接続部が、各々の力の垂直成分を支持するために他方のボールジョイント接続部とは別個独立に機能することで、特に円形の装置において力を一様な方式で分配することを可能にする。
【0019】
さらに、このボールジョイント接続部の90°配置は、リング部の回転移動の案内を改善する。
【0020】
好都合には、それぞれのボールジョイント接続部によってリング部へと接続された2つのリンクが、剛体である一方で、それぞれの摺動枢支接続部によってリング部へと接続されたリンクが、弾性的に変形できるようにより可撓である。
【0021】
ここで、剛体リンクが、リング移動の第1の制御位置から第2の制御位置への移動において弾性変形することがない一方で、より可撓なリンクは、リング部の第1の制御位置から第2の制御位置への移動の際に弾性的に変形する傾向にあることを、理解できるであろう。当然ながら、用語「より可撓」は、剛体リンクよりも可撓であることを意味して使用されている。換言すると、摺動枢支接続部によってリング部へと接続されたリンクが、ボールジョイント接続部によってリング部へと接続されたリンクよりも可撓である。
【0022】
弾性的に変形することによって、摺動枢支接続部によってリング部へと接続されたリンクが、制御装置に加わる力を引き受ける。さらに、力を引き受けることによって、この弾性変形が、これらのリンクの取り付け点の相対移動に追加の自由度を許すことによって、装置の運動が引っかかって動かなくなることがないように保証する。これが、特に、摺動枢支接続部によって制限されているが、ボールジョイント接続部によって許される回転運動を許容する。結果として、これらの弾性変形が、摺動枢支接続部への過度の応力を防止し、摺動枢支接続部を摩耗現象から保護する。さらに、これらの変形は、第1の制御位置と第2の制御位置との間のリング部の回転移動をより容易にする。結果として、制御アクチュエータによって生成される力が、より小さくてもよい。さらに、リング部の心ずれがより小さくなることで、羽根一式の枢動の制御の同期の精度がさらに向上する。
【0023】
加えて、ボールジョイント接続部が、リング部を保持する接続部であるため、それらの接続部へと接続されたリンクが、特にリング部の制御の運動の際に弾性的に変形することなくリング部をターボ機械の軸上の実質的に心出しされた位置(すなわち、心出しされ、あるいは心出しされた位置のすぐ近く)に保持するために充分に堅固である。
【0024】
さらに、剛体リンクは、ボールジョイント接続部によってリング部へと接続されているため、摺動枢支接続部を介してリング部へと接続されたリンクに加わるものと同様のねじりモーメントを被ることがない。各々の剛体リンクの2つの取り付け点の相対の回転移動は、剛体リンクのボールジョイント接続部によって補償される。
【0025】
ボールジョイント接続部によって得られる運動の制御の改善という観点からの利点が、ボールジョイント接続部のかなりの重量および摩耗しやすさによって相殺されることに、気付くべきである。この理由で、本発明の発明者は、剛体リンクへと接続されたボールジョイント接続部の数が、最小限(すなわち、2つ)であり、他の接続部が、より可撓な(好ましくは、ねじりの弾性変形が可能な)リンクへと接続された摺動枢支接続部である制御装置を設計した。
【0026】
好都合には、より可撓なリンクは、ねじりおよび曲げにて弾性変形可能である。
【0027】
これは、枢動接続部および枢動接続部へと接続された剛体リンクにおいて生じうる引っかかりを補償し、リング部の運動を容易にする一方で、摺動枢支接続部およびボールジョイント接続部の近傍の機械的な応力を軽減することを可能にする。
【0028】
以下では、用語「弾性リンク」が、より可撓であって弾性変形可能なリンクを指して使用される一方で、「剛体リンク」は、当然ながら、剛体であるリンクを指して使用される。
【0029】
さらに本発明は、上述のとおりの本発明の枢動羽根制御装置を備えるターボ機械を提供する。
【0030】
本発明およびその利点を、あくまでも本発明を限定するものではない例として与えられる実施形態についての以下の詳細な説明を検討することで、さらに良好に理解することができる。説明は、添付の図面を参照する。