【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
本発明によれば、核酸免疫化は、リポソーム内に被包されたRNAを送達することによって達成される。上記RNAは、目的の免疫原をコードする。上記リポソームは、PEG化脂質を含む。すなわち、上記脂質は、ポリエチレングリコールの共有結合によって改変されている。PEGは、上記リポソームに、有利な薬物動態特性を付与し得るコーティングを提供する(例えば、それは、上記リポソームの安定性を増大し得、かつ非特異的吸着を妨ぎ得る)。本発明者らは、上記PEGの長さが、被包RNAのインビボ発現に影響を及ぼし得ることを見いだしたので、本発明は、1kDa〜3kDaの平均分子量を有するPEGを含むリポソームを使用する。低分子量(例えば、500Daもしくは750Da)を有するPEGは、安定なリポソームを形成しない。
【0006】
従って、本発明は、目的の免疫原をコードするRNAを中に被包しているリポソームを提供し、ここで上記リポソームは、ポリエチレングリコール部分を含む少なくとも1種の脂質を含み、ここで、ポリエチレングリコールは、リポソームの外側に存在し、ここで、上記ポリエチレングリコールの平均分子量は、1kDa〜3kDaである。これらリポソームは、脊椎動物細胞への上記RNAのインビボ送達に適しているので、それらは、種々の疾患に対して被験体を免疫化するための薬学的組成物中の成分として有用である。
【0007】
本発明はまた、RNA含有リポソームを調製するためのプロセスを提供し、上記プロセスは、RNAと、1種以上の脂質とを、上記脂質が上記RNAを中に被包するリポソームを形成するような条件下で、混合する工程を包含し、ここで少なくとも1種の脂質は、上記プロセス中に上記リポソームの外側に位置するようになるポリエチレングリコール部分を含み、そして上記ポリエチレングリコールの平均分子量は、1kDa〜3kDaである。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
目的の免疫原をコードするRNAを中に被包しているリポソームであって、ここで該リポソームは、ポリエチレングリコールが該リポソームの外側に存在するように、ポリエチレングリコール部分を含む少なくとも1種の脂質を含み、ここで該ポリエチレングリコールの平均分子量は、1kDa〜3kDaである、リポソーム。
(項目2)
PEG−DMGおよび/もしくは式(X)の脂質を含む、項目1に記載のリポソーム。
(項目3)
前述の項目のいずれかに記載のリポソームであって、80nm〜160nmの範囲の直径を有する、リポソーム。
(項目4)
前述の項目のいずれかに記載のリポソームであって、カチオン性頭部を有する脂質を含む、リポソーム。
(項目5)
前述の項目のいずれかに記載のリポソームであって、両性イオン性頭部を有する脂質を含む、リポソーム。
(項目6)
前記RNAは、自己複製RNAである、前述の項目のいずれかに記載のリポソーム。
(項目7)
前記自己複製RNA分子は、
(i)RNAを該自己複製RNA分子から転写し得るRNA依存性RNAポリメラーゼ、および
(ii)免疫原
をコードする、項目6に記載のリポソーム。
(項目8)
前記RNA分子は、2個のオープンリーディングフレームを有し、該2個のオープンリーディングフレームのうちの第1のものは、アルファウイルスレプリカーゼをコードし、該2個のオープンリーディングフレームのうちの第2のものは、前記免疫原をコードする、項目7に記載のリポソーム。
(項目9)
前記RNA分子は、9000〜12000ヌクレオチド長である、前述の項目のいずれかに記載のリポソーム。
(項目10)
前記免疫原は、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物に対してインビボで免疫応答を誘発し得る、前述の項目のいずれかに記載のリポソーム。
(項目11)
前述の項目のいずれかに記載のリポソームを含む、薬学的組成物。
(項目12)
脊椎動物における防御免疫応答を惹起するための方法であって、該方法は、該脊椎動物に、項目1〜10に記載のリポソームまたは項目11に記載の薬学的組成物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【0008】
(リポソーム)
本発明は、免疫原コードRNAを中に被包しているリポソームを利用する。従って、上記RNAは、任意の外部媒体から分離している(天然ウイルスにおけるように)。上記リポソーム内の被包は、RNAをRNase消化から保護することが見いだされた。上記リポソームは、いくつかの外部RNAを(例えば、それらの表面に)含み得るが、上記RNAのうちの少なくとも半分(および理想的には、そのうちの全て)は、上記リポソームのコア中に被包される。リポソーム内での被包は、例えば、参考文献1で開示される脂質/RNA複合体とは異なる(ここでRNAは、予め形成されたリポソームと混合される)。
【0009】
種々の両親媒性脂質は、水性環境中で二重層を形成して、RNA含有水性コアを、リポソームとして被包し得る。これら脂質は、アニオン性、カチオン性もしくは両性イオン性の親水性頭部(head group)を有し得る。アニオン性リン脂質からのリポソームの形成は、1960年代にさかのぼり、カチオン性リポソーム形成脂質は、1990年代以来研究されてきた。あるリン脂質はアニオン性であるのに対して、他のものは両性イオン性であり、そして他のものはカチオン性である。リン脂質の適切なクラスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルグリセロール。そしていくつかの有用なリン脂質は、表1に列挙される。有用なカチオン性脂質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジオレオイルトリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2−ジステアリルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DSDMA)、1,2−ジオレイルオキシ−N,Nジメチル−3−アミノプロパン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLenDMA)。両性イオン性脂質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アシル両性イオン性脂質およびエーテル両性イオン性脂質。有用な両性イオン性脂質の例は、以下である:DPPC、DOPC、DSPC、ドデシルホスホコリン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、および1,2−ジフィタノイル(diphytanoyl)−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPyPE)。上記脂質は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。リポソームを調製するための少なくとも1種の不飽和脂質の使用が好ましい。不飽和脂質が2つのテールを有する場合、両方のテールが不飽和であり得、またはそれは、1つの飽和テールおよび1つの不飽和テールを有し得る。脂質は、例えば、RV05におけるように、1つのテールにステロイド基を含み得る。
【0010】
従って、一実施形態において、本発明は、水性コアを被包する脂質二重層を有するリポソームを提供し、ここで:(i)上記脂質二重層は、ポリエチレングリコールがリポソームの外側に存在するように、ポリエチレングリコール部分を含む少なくとも1種の脂質を含み、ここで上記ポリエチレングリコールの平均分子量は、1kDa〜3kDaであり;そして(ii)上記水性コアは、免疫原をコードするRNAを含む。
【0011】
本発明のリポソームは、単一の脂質から、または脂質の混合物から形成され得る。混合物は、(i)アニオン性脂質の混合物、(ii)カチオン性脂質の混合物、(iii)両性イオン性脂質の混合物、(iv)アニオン性脂質とカチオン性脂質との混合物、(v)アニオン性脂質と両性イオン性脂質との混合物、(iv)両性イオン性脂質とカチオン性脂質との混合物、または(vii)アニオン性脂質と、カチオン性脂質と、両性イオン性脂質との混合物を含み得る。同様に、混合物は、飽和脂質および不飽和脂質の両方を含み得る。例えば、混合物は、DSPC(両性イオン性,飽和)、DlinDMA(カチオン性,不飽和)、および/もしくはDMG(アニオン性,飽和)を含み得る。脂質の混合物が使用される場合、上記混合物中の成分の脂質の全てが、両親媒性である必要はない(例えば、1種以上の両親媒性脂質が、コレステロールと混合され得る)。
【0012】
本発明のリポソームが脂質の混合物から形成される場合、本明細書に記載されるような、PEG化されているそれらの脂質の割合は、脂質の全量のうちの10%未満(例えば、0.5〜5%、1〜4%、もしくは約2%)であることが好ましい。例えば、有用なリポソームは、以下に示され、ここで全脂質のうちの2%は、PEG−DMGである。その残りは、例えば、コレステロール(例えば、35〜50% コレステロール)および/もしくはカチオン性脂質(例えば、30〜70%)および/もしくはDSPC(例えば、5〜15%)から構成され得る。このような混合物は、以下で使用される。これらパーセンテージの値は、モルパーセンテージである。
【0013】
従って、リポソームは、カチオン性脂質(例えば、DlinDMA、RV05)、両性イオン性脂質(例えば、DSPC、DPyPE)、コレステロール、およびPEG化脂質から形成され得る。DSPC、DlinDMA、PEG−DMGおよびコレステロールの混合物は、実施例において使用され、いくつかのさらなる混合物もまた同様に使用され得る。
【0014】
上記リポソーム内の少なくとも1種の脂質は、ポリエチレングリコール部分を含む。これらPEG化脂質を含むリポソームは、上記リポソームの少なくとも外側にPEGが存在するように配向されたPEGを有する(しかし、いくらかのPEGは、上記リポソームの内部(すなわち、上記水性コア)に曝露されていてもよい)。この配向は、上記PEGを上記脂質の適切な部分に結合させることによって達成され得る。例えば、両親媒性脂質において、上記PEGは、上記親水性頭部に結合される。なぜなら、この頭部は、上記脂質二重層の水性側に面する外側にそれ自体を配向するからである。このように、PEG化は、例えば、参考文献2および3において開示されるもののような技術を使用して、脂質へのPEGの共有結合によって達成され得る。
【0015】
従って、上記PEG化脂質は、PEG構造:
【0016】
【化1】
【0017】
を含み、ここでnは、1kDa〜3kDaのPEGについての分子量を提供する(例えば、2kDaのPEG化についてては、23〜68、もしくは約45)(例えば、
図16を参照のこと)。
【0018】
上記PEG部分は、−O−メチル基で終わり得るので、PEG化脂質は、以下を含み得る:
【0019】
【化2】
【0020】
従って、脂質の頭部における窒素への結合を含めると、本発明で有用なPEG化脂質は、以下を含み得る:
【0021】
【化3】
【0022】
本発明での使用のための1つの適切なPEG化脂質は、実施例において使用されるとおり、PEG−DMGである。
図17A〜17Eは、さらなる有用なPEG化脂質を示す。PEG化コレステロールもまた、使用され得る。他の
ポリマー改変脂質、例えば、式(X)の
ポリマー改変脂質が使用され得る:
【0023】
【化4】
【0024】
ここで:
[Z]nは、PEG、ならびにポリ(オキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]およびポリ(アミノ酸)に基づくポリマーから選択される親水性頭部成分であり、ここで上記ポリマーは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、そして上記ポリマーは、必要に応じて置換されていてもよく;
Zは、nサブユニットで重合され;
nは、Zの10〜200ユニットの数平均重合度であり(そして種々のZ基に関して最適化され得る);
L
1は、エーテル(例えば、−O−)、エステル(例えば、−C(O)O−)、スクシネート(例えば、−O(O)C−CH
2−CH
2−C(O)O−)、カルバメート(例えば、−OC(O)−NR’−)、カーボネート(例えば、−OC(O)O−)、ウレア(例えば、−NRC(O)NR’−)、アミン(例えば、−NR’−)、アミド(例えば、−C(O)NR’−)、イミン(例えば、−C(NR’)−)、チオエーテル(例えば、−S−)、キサンテート(例えば、−OC(S)S−)、およびホスホジエステル(例えば、−OP(O)
2O−)のうちの0個、1個もしくは2個を含む、必要に応じて置換された、C
1−10アルキレンもしくはC
1−10ヘテロアルキレンリンカーであり、ここでR’は、独立して、−H、−NH−、−NH
2、−O−、−S−、ホスフェート、もしくは必要に応じて置換されたC
1−10アルキレンから選択され;
X
1およびX
2は、炭素、または−NH−、−O−、−S−もしくはホスフェートから選択されるヘテロ原子から独立して選択され;
A
1およびA
2は、いずれも、C
6−30アルキル、C
6−30アルケニル、およびC
6−30アルキニルから独立して選択され、ここでA
1およびA
2は、同じであっても異なっていてもよく、またはA
1およびA
2は、A
1およびA
2が結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換されたステロイドを形成する。
【0025】
本発明のリポソームは、代表的には、多数のPEG部分を含み、上記PEG部分は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明のリポソームにおけるPEGの平均分子量は、1kDa〜3kDa(例えば、1.5〜2.5kDa、1.7〜2.3kDa、1.8〜2.2kDa、1.9〜2.1kDa、もしくは2kDa)である。従って、上記PEGは、「PEG 2000」もしくは「PEG 2k」として一般に公知のPEGであり得るが、より短い「PEG 1000」およびより長い「PEG 3000」もまた、使用され得る。
【0026】
上記PEGは、通常は、直鎖状のポリマー鎖を含むが、いくつかの実施形態においては、上記PEGは、分枝状のポリマー鎖を含み得る。
【0027】
単一の脂質分子が1個より多いPEG基を含む(例えば、脂質の頭部における異なる炭素原子に結合される)こともまた、可能である(例えば、
図18を参照のこと)。これらの状況において、リポソームにおけるPEGの分子量への言及は、PEG置換基あたりではなく、脂質分子あたりの分子量である。従って、唯一のPEG化脂質が
図18に示される構造を有するリポソームにおいて、ボックスで囲まれた分子量は、2kDaであり、各々1kDaの2つの鎖から構成され、上記PEGの平均分子量は、2kDaであり、1kDaではない。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記PEGは、置換されたPEG(例えば、ここで上記ポリマー中の1個以上の炭素原子が、1個以上のアルキル、アルコキシ、アシルもしくはアリール基によって置換されている)であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記PEGは、PEGポリプロピレンポリマーを形成するために、コポリマー基(例えば、1個以上のプロピレンモノマー)を含み得る。
【0030】
PEG化の代替として、脂質は、PEGとは異なる部分の共有結合によって改変され得る。例えば、いくつかの実施形態において、脂質は、ポリホスファゼンを含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ポリ(ビニルピロリドン)を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ポリ(アクリルアミド)を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ホスファチジルポリグリセロールを含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]を含み得る。いくつかの実施形態において、脂質は、PEG以外のポリアルキレンエーテルポリマーを含み得る。
【0031】
リポソームは、通常、3つの群に分けられる:多層小胞(MLV);小さな単層小胞(SUV);および大きな単層小胞(LUV)。MLVは、各小胞において複数の二重層を有し、いくつかの別個の水性区画を形成する。SUVおよびLUVは、水性コアを被包する単一の二重層を有する;SUVは、代表的には、直径≦50nmを有し、LUVは、直径>50nmを有する。本発明のリポソームは、理想的には、60〜180nmの範囲、好ましくは、80〜160nmの範囲の直径を有するLUVである。
【0032】
本発明のリポソームは、複数のリポソームを含む組成物の一部であり得、上記複数の中の上記リポソームは、ある範囲の直径を有し得る。異なる直径を有するリポソームの集団を含む組成物に関して:(i)上記リポソームの数で少なくとも80%は、60〜180nmの範囲、および好ましくは、80〜160nmの範囲の直径を有するべきであり、そして/または(ii)上記集団の平均直径(強度で、例えば、Z平均)は、理想的には、60〜180nmの範囲、および好ましくは、80〜160nmの範囲にある。上記複数の中の直径は、理想的には、多分散性指数 <0.2を有するべきである。参考文献1のリポソーム/RNA複合体は、600〜800nmの範囲の直径を有し、高い多分散性を有すると予測される。
【0033】
適切なリポソームを調製するための技術は、当該分野で周知である(例えば、参考文献4〜6を参照のこと)。1つの有用な方法は、参考文献7に記載され、(i)上記脂質のエタノール性溶液、(ii)上記核酸の水性溶液、および(iii)緩衝液を混合する工程、その後の、混合、平衡化、希釈および精製を包含する。好ましい本発明のリポソームは、この混合プロセスによって得られ得る。
【0034】
所望の直径を有するリポソームを得るために、混合は、水性RNA溶液の2つの供給ストリームが1つの混合ゾーンにおいて、脂質のエタノール性溶液の1つのストリームと、全て同じ流量において、例えば、以下に記載されるとおりのマイクロ流体チャネルにおいて、合わされるプロセスを使用して行われ得る。
【0035】
(RNA)
本発明のリポソームは、免疫原をコードするRNA分子(参考文献2に記載されるような、siRNAとは異なる)を含む。上記粒子のインビボ投与後、RNAは、上記粒子から放出され、上記免疫原をインサイチュで提供するように、細胞の中で翻訳される。
【0036】
上記RNAは、プラス鎖であるので、いかなる介在複製工程(例えば、逆転写)をも必要とすることなく、細胞によって翻訳され得る。それはまた、免疫細胞によって発現されるTLR7レセプターに結合し得、それによって、アジュバント効果を開始する。
【0037】
好ましいプラス鎖RNAは、自己複製性である。自己複製RNA分子(レプリコン)は、あらゆるタンパク質なしで脊椎動物細胞に送達される場合でも、上記自己複製RNA分子自体からの転写によって(上記自己複製RNA分子自体から生成するアンチセンスコピーを介して)、複数の娘RNAの生成をもたらし得る。自己複製RNA分子は、従って、代表的には、細胞へ送達された後に直接翻訳され得るプラス鎖分子であり、この翻訳は、RNA依存性RNAポリメラーゼを提供し、次いで、これは、上記送達されたRNAからアンチセンス転写物およびセンス転写物の両方を生成する。従って、上記送達されたRNAは、複数の娘RNAの生成をもたらす。これら娘RNA、ならびに同一線上(collinear)のサブゲノム転写物は、それ自体が翻訳されて、コードされた免疫原のインサイチュ発現を提供し得るか、または転写されて、上記送達されたRNAと同じセンスのさらなる転写物(上記免疫原のインサイチュ発現を提供するように翻訳される)を提供し得る。この一連の転写の全体的な結果は、上記導入されたレプリコンRNAの数における非常に多くの増幅であり、よって、上記コードされた免疫原は、上記細胞の主なポリペプチド生成物になる。
【0038】
自己複製を達成するための1つの適切なシステムは、アルファウイルスベースのRNAレプリコンを使用することである。これらのプラス鎖レプリコンは、細胞への送達後に翻訳され、レプリカーゼ(もしくはレプリカーゼ−転写酵素)をもたらす。上記レプリカーゼは、上記送達されたプラス鎖RNAのゲノムマイナス鎖コピーを作り出す複製複合体を提供するように自己切断するポリプロテインとして翻訳される。これらマイナス鎖転写物は、これ自体が、上記プラス鎖親RNAのさらなるコピーを与え、そしてまた、免疫原をコードするサブゲノム転写物を与えるように転写され得る。従って、上記サブゲノム転写物の翻訳は、上記感染した細胞による上記免疫原のインサイチュ発現をもたらす。適切なアルファウイルスレプリコンは、シンドビス・ウイルス、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルスなどに由来するレプリカーゼを使用し得る。変異型ウイルスもしくは野生型ウイルスの配列が使用され得る(例えば、VEEVの弱毒化TC83変異体は、レプリコンにおいて使用されてきた[8])。
【0039】
好ましい自己複製RNA分子は、従って、(i)上記自己複製RNA分子からRNAを転写し得るRNA依存性RNAポリメラーゼ、および(ii)免疫原をコードする。上記ポリメラーゼは、アルファウイルスレプリカーゼ(例えば、アルファウイルスタンパク質nsP1、nsP2、nsP3およびnsP4のうちの1種以上を含む)であり得る。
【0040】
天然のアルファウイルスゲノムが、上記非構造レプリカーゼポリプロテインに加えて、構造的ビリオンタンパク質をコードするのに対して、本発明の自己複製RNA分子は、アルファウイルス構造タンパク質をコードしないことが好ましい。従って、好ましい自己複製RNAは、細胞においてそれ自体のゲノムRNAコピーの生成をもたらし得るが、RNA含有ビリオンの生成はもたらさない。これらのビリオンを生成できないことは、野生型アルファウイルスとは異なり、上記自己複製RNA分子が、感染性形態においてそれ自体を永続させられないことを意味する。野生型ウイルスにおいて永続に必要な上記アルファウイルス構造タンパク質は、本発明の自己複製RNAには存在せず、それらの位置は、上記目的の免疫原をコードする遺伝子によってしめられている。その結果、上記サブゲノム転写物は、上記構造的アルファウイルスビリオンタンパク質ではなく、上記免疫原をコードする。
【0041】
従って、本発明で有用な自己複製RNA分子は、2個のオープンリーディングフレームを有し得る。第1の(5’側)オープンリーディングフレームは、レプリカーゼをコードし;第2の(3’側)オープンリーディングフレームは、免疫原をコードする。いくつかの実施形態において、上記RNAは、例えば、さらなる免疫原(以下を参照のこと)をコードするために、もしくは補助ポリペプチドをコードするために、さらなる(例えば、下流の)オープンリーディングフレームを有し得る。
【0042】
自己複製RNA分子は、コードされたレプリカーゼと適合性の5’配列を有し得る。
【0043】
自己複製RNA分子は、種々の長さを有し得るが、それらは、代表的には、5000〜25000ヌクレオチド長(例えば、8000〜15000ヌクレオチド、もしくは9000〜12000ヌクレオチド)である。従って、上記RNAは、siRNA送達において認められるものより長い。
【0044】
本発明で有用なRNA分子は、5’キャップ(例えば、7−メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、上記RNAのインビボ翻訳を増強し得る。
【0045】
本発明で有用なRNA分子の上記5’ヌクレオチドは、5’トリホスフェート基を有し得る。キャップされたRNAにおいて、これは、5’から5’への架橋を介して、7−メチルグアノシンに連結され得る。5’トリホスフェートは、RIG−I結合を増強し得るので、アジュバント効果を促進し得る。
【0046】
RNA分子は、3’ポリ−Aテールを有し得る。それはまた、その3’末端付近にポリ−Aポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を含み得る。
【0047】
本発明で有用なRNA分子は、代表的には、一本鎖である。一本鎖RNAは、一般に、TLR7、TLR8、RNAヘリカーゼおよび/もしくはPKRへの結合によって、アジュバント効果を開始し得る。二本鎖形態において送達されるRNA(dsRNA)は、TLR3に結合し得、このレセプターはまた、一本鎖RNAの複製の間もしくは一本鎖RNAの二次構造内のいずれかで形成されるdsRNAによって誘発され得る。
【0048】
本発明で有用なRNA分子は、便宜上、インビトロ転写(IVT)によって調製され得る。IVTは、細菌においてプラスミド形態において作られ、増やされたか、または合成で作製された(例えば、遺伝子合成および/もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)操作法によって)(cDNA)テンプレートを使用し得る。例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼ(例えば、バクテリオファージT7、T3もしくはSP6 RNAポリメラーゼ)は、DNAテンプレートからRNAを転写するために使用され得る。適切なキャッピングおよびポリA付加反応は、必要時に使用され得る(しかし、上記レプリコンのポリAは、通常、上記DNAテンプレート内にコードされる)。これらRNAポリメラーゼは、転写される5’ヌクレオチドについてストリンジェントな要件を有し得、いくつかの実施形態において、これらの要件は、上記IVT転写RNAが、自己がコードするレプリカーゼの基質として効率的に機能し得ることを確実にするために、上記コードされたレプリカーゼの要件とマッチしなければならない。
【0049】
参考文献9において考察されるように、上記自己複製RNAは、(任意の5’キャップ構造に加えて)改変された核酸塩基を有する1個以上のヌクレオチドを含み得る。従って、上記RNAは、以下を含み得る:m5C(5−メチルシチジン)、m5U(5−メチルウリジン)、m6A(N6−メチルアデノシン)、s2U(2−チオウリジン)、Um(2’−O−メチルウリジン)、m1A(l−メチルアデノシン);m2A(2−メチルアデノシン);Am(2’−O−メチルアデノシン);ms2m6A(2−メチルチオ−N6−メチルアデノシン);i6A(N6−イソペンテニルアデノシン);ms2i6A(2−メチルチオ−N6イソペンテニルアデノシン);io6A(N6−(cis−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);ms2io6A(2−メチルチオ−N6−(cis−ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);g6A(N6−グリシニルカルバモイルアデノシン);t6A(N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);ms2t6A(2−メチルチオ−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);m6t6A(N6−メチル−N6−スレオニルカルバモイルアデノシン);hn6A(N6.−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);ms2hn6A(2−メチルチオ−N6−ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2’−O−リボシルアデノシン(ホスフェート));I(イノシン);m11(1−メチルイノシン);m’Im(1,2’−O−ジメチルイノシン);m3C(3−メチルシチジン);Cm(2T−O−メチルシチジン);s2C(2−チオシチジン);ac4C(N4−アセチルシチジン);f5C(5−ホルミル(fonnyl)シチジン);m5Cm(5,2−O−ジメチルシチジン);ac4Cm(N4アセチル2TOメチルシチジン);k2C(リシジン);m1G(1−メチルグアノシン);m2G(N2−メチルグアノシン);m7G(7−メチルグアノシン);Gm(2’−O−メチルグアノシン);m22G(N2,N2−ジメチルグアノシン);m2Gm(N2,2’−O−ジメチルグアノシン);m22Gm(N2,N2,2’−O−トリメチルグアノシン);Gr(p)(2’−O−リボシルグアノシン(ホスフェート));yW(ワイブトシン);o2yW(ペルオキシワイブトシン);OHyW(ヒドロキシワイブトシン);OHyW*(改変未満(undermodified)ヒドロキシワイブトシン);imG(ワイオシン);mimG(メチルグアノシン);Q(キューオシン);oQ(エポキシキューオシン);galQ(ガラクトシル(galtactosyl)−キューオシン);manQ(マンノシル−キューオシン);preQo(7−シアノ−7−デアザグアノシン);preQi(7−アミノメチル−7−デアザグアノシン);G*(アルカエオシン(archaeosine));D(ジヒドロウリジン);m5Um(5,2’−O−ジメチルウリジン);s4U(4−チオウリジン);m5s2U(5−メチル−2−チオウリジン);s2Um(2−チオ−2’−O−メチルウリジン);acp3U(3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン);ho5U(5−ヒドロキシウリジン);mo5U(5−メトキシウリジン);cmo5U(ウリジン5−オキシ酢酸);mcmo5U(ウリジン5−オキシ酢酸メチルエステル);chm5U(5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchm5U(5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcm5U(5−メトキシカルボニルメチルウリジン);mcm5Um(S−メトキシカルボニルメチル−2−O−メチルウリジン(methyluricjine));mcm5s2U(5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウリジン);nm5s2U(5−アミノメチル−2−チオウリジン);mnm5U(5−メチルアミノメチルウリジン);mnm5s2U(5−メチルアミノメチル−2−チオウリジン);mnm5se2U(5−メチルアミノメチル−2−セレノウリジン);ncm5U(5−カルバモイルメチルウリジン);ncm5Um(5−カルバモイルメチル−2’−O−メチルウリジン);cmnm5U(5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cnmm5Um(5−カルボキシメチルアミノメチル−2−L−O−メチルウリジン);cmnm5s2U(5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン);m62A(N6,N6−ジメチルアデノシン);Tm(2’−O−メチルイノシン);m4C(N4−メチルシチジン);m4Cm(N4,2−O−ジメチルシチジン);hm5C(5−ヒドロキシメチルシチジン);m3U(3−メチルウリジン);cm5U(5−カルボキシメチルウリジン);m6Am(N6,T−O−ジメチルアデノシン);rn62Am(N6,N6,O−2−トリメチルアデノシン);m2’7G(N2,7−ジメチルグアノシン);m2’2’7G(N2,N2,7−トリメチルグアノシン);m3Um(3,2T−O−ジメチルウリジン);m5D(5−メチルジヒドロウリジン);f5Cm(5−ホルミル−2’−O−メチルシチジン);m1Gm(1,2’−O−ジメチルグアノシン);m’Am((1,2−O−ジメチルアデノシン)イリノメチルウリジン);tm5s2U(S−タウリノメチル−2−チオウリジン);imG−14(4−デメチルグアノシン);imG2(イソグアノシン);もしくはac6A(N6−アセチルアデノシン)、ヒポキサンチン、イノシン、8−オキソ−アデニン、7−置換されたその誘導体、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1−C6)−アルキルウラシル、5−メチルウラシル、5−(C2−C6)−アルケニルウラシル、5−(C2−C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1−C6)−アルキルシトシン、5−メチルシトシン、5−(C2−C6)−アルケニルシトシン、5−(C2−C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、7−デアザグアニン、8−アザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン、7−デアザ−8−置換グアニン、8−ヒドロキシグアニン、6−チオグアニン、8−オキソグアニン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,4−ジアミノプリン、2,6−ジアミノプリン、8−アザプリン、置換された7−デアザプリン、7−デアザ−7−置換プリン、7−デアザ−8−置換プリン、または無塩基ヌクレオチド。例えば、自己複製RNAは、1つ以上の改変されたピリミジン核酸塩基(例えば、シュードウリジンおよび/もしくは5−メチルシトシン残基)を含み得る。しかし、いくつかの実施形態において、上記RNAは、改変された核酸塩基を含まず、改変されたヌクレオチドを含まなくてもよい(すなわち、上記RNA中のヌクレオチドのすべては、標準的なA、C、GおよびUというリボヌクレオチドである(任意の5’キャップ構造を除く。これは、7’−メチルグアノシンを含み得る))。他の実施形態において、上記RNAは、7’−メチルグアノシンを含む5’キャップを含み得、最初の1個、2個もしくは3個の5’リボヌクレオチドは、リボースの2’位においてメチル化され得る。
【0050】
本発明で使用されるRNAは、理想的には、ヌクレオチド間にホスホジエステル結合のみを含むが、いくつかの実施形態において、それは、ホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合、および/もしくはメチルホスホネート結合を含み得る。
【0051】
理想的には、リポソームは、10より少ない種の異なるRNA(例えば、異なる5種、4種、3種、もしくは2種)を含み;最も好ましくは、リポソームは、単一のRNA種を含み、すなわち、上記リポソーム中の全てのRNA分子は、同じ配列および同じ長さを有する。
【0052】
リポソームあたりのRNAの量は変動し得る。リポソームあたりの個々の自己複製RNA分子の数は、代表的には、1リポソームあたり≦50個(例えば、<20個、<10個、<5個、もしくは1〜4個)である。
【0053】
(免疫原)
本発明で使用されるRNA分子は、ポリペプチド免疫原をコードする。上記リポソームの投与後に、上記RNAは、インビボで翻訳され、上記免疫原は、レシピエントにおける免疫応答を誘発し得る。上記免疫原は、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物に対して(あるいは、いくつかの実施形態において、アレルゲンに対して;および他の実施形態において、腫瘍抗原に対して)免疫応答を誘発し得る。上記免疫応答は、抗体応答(通常は、IgGを含む)および/もしくは細胞媒介性免疫応答を含み得る。上記ポリペプチド免疫原は、代表的には、対応する細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物(またはアレルゲンもしくは腫瘍)ポリペプチドを認識する免疫応答を誘発するが、いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、細菌、ウイルス、真菌もしくは寄生生物のサッカリドを認識する免疫応答を誘発するように、ミモトープとして作用し得る。上記免疫原は、代表的には、表面ポリペプチド(例えば、アドヘシン、ヘマグルチニン、エンベロープ糖タンパク質、スパイク糖タンパク質など)である。
【0054】
RNA分子は、単一のポリペプチド免疫原もしくは複数のポリペプチドをコードし得る。複数の免疫原は、単一のポリペプチド免疫原(融合ポリペプチド)として、または別個のポリペプチドとして提示され得る。免疫原が、1つのレプリコンから別個のポリペプチドとして発現される場合、これらのうちの1種以上は、上流のIRESもしくはさらなるウイルスプロモーターエレメントとともに提供され得る。あるいは、複数の免疫原は、短い自己触媒性プロテアーゼ(例えば、口蹄疫ウイルス2Aタンパク質)に融合された個々の免疫原をコードするポリプロテインから、またはインテインとして発現され得る。
【0055】
参考文献1および10とは異なり、上記RNAは、免疫原をコードする。不確かさを避けるために、本発明は、ホタルルシフェラーゼをコードするRNA、E.coli β−ガラクトシダーゼの融合タンパク質をコードするRNA、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするRNAを含まない。このようなポリペプチドは、マーカーとして、またはさらに遺伝子治療の状況において有用であり得るが、本発明は、免疫学的応答系を誘発するためのRNAの送達に関する。従って、上記免疫原はまた、防御的宿主タンパク質を補充するかもしくはその代わりになる(遺伝子治療におけるように)ように送達される自己タンパク質ではない。また、上記RNAは、全マウス胸腺RNAではない。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、これら細菌のうちの1種に対して免疫応答を誘発する:
Neisseria meningitidis:有用な免疫原としては、膜タンパク質、例えば、アドヘシン、オートトランスポーター、毒素、鉄獲得タンパク質、およびH因子結合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。3種の有用なポリペプチドの組み合わせが、参考文献11に開示される。
【0057】
Streptococcus pneumoniae:有用なポリペプチド免疫原は、参考文献12に開示される。これらとしては、RrgB線毛サブユニット、β−N−アセチル−ヘキソサミニダーゼ前駆体(spr0057)、spr0096、一般的なストレスタンパク質(general stress protein)GSP−781(spr2021、SP2216)、セリン/スレオニンキナーゼStkP(SP1732)、および肺炎球菌表面アドヘシンPsaAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
Streptococcus pyogenes:有用な免疫原としては、参考文献13および14に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
Moraxella catarrhalis
Bordetella pertussis:有用な百日咳免疫原としては、百日咳毒素もしくはトキソイド(PT)、線維状ヘマグルチニン(FHA)、ペルタクチン、ならびに凝集原2および3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
Staphylococcus aureus:有用な免疫原としては、参考文献15に開示されるポリペプチド(例えば、溶血素、esxA、esxB、フェリクロム結合タンパク質(sta006)および/もしくはsta011リポプロテイン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
Clostridium tetani:代表的な免疫原は、破傷風トキソイドである。
【0062】
Cornynebacterium diphtheriae:代表的な免疫原は、ジフテリアトキソイドである。
【0063】
Haemophilus influenzae:有用な免疫原としては、参考文献16および17に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
Pseudomonas aeruginosa
Streptococcus agalactiae:有用な免疫原としては、参考文献13に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
Chlamydia trachomatis:有用な免疫原としては、PepA、LcrE、ArtJ、DnaK、CT398、OmpH様、L7/L12、OmcA、AtoS、CT547、Eno、HtrAおよびMurG(例えば、参考文献18に開示されるとおり)が挙げられるが、これらに限定されない。LcrE[19]およびHtrA[20]は、2つの好ましい免疫原である。
【0066】
Chlamydia pneumoniae:有用な免疫原としては、参考文献21に開示されるポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
Helicobacter pylori:有用な免疫原としては、CagA、VacA、NAP、および/もしくはウレアーゼ[22]が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
Escherichia coli:有用な免疫原としては、腸毒素産生性E.coli(ETEC)、腸管凝集性E.coli(EAggEC)、分散接着性(diffusely adhering)E.coli(DAEC)、腸病原性E.coli(EPEC)、腸管外病原性E.coli(ExPEC)および/もしくは腸管出血性E.coli(EHEC)に由来する免疫原が挙げられるが、これらに限定されない。ExPEC株としては、尿路病原性E.coli(UPEC)および髄膜炎/敗血症関連E.coli(MNEC)が挙げられる。有用なUPECポリペプチド免疫原は、参考文献23および24に開示される。有用なMNEC免疫原は、参考文献25に開示される。いくつかのE.coliタイプに有用な免疫原は、AcfDである[26]。
【0069】
Bacillus anthracis
Yersinia pestis:有用な免疫原としては、参考文献27および28に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
【化5】
【0071】
【化6】
【0072】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、これらウイルスのうちの1種に対して免疫応答を誘発する:
オルソミクソウイルス:有用な免疫原は、インフルエンザA、BもしくはCウイルスに由来し得る(例えば、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼもしくはマトリクスM2タンパク質)。上記免疫原がインフルエンザAウイルスヘマグルチニンである場合、それは、任意のサブタイプ(例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11、H12、H13、H14、H15もしくはH16)に由来し得る。
【0073】
パラミクソウイルス科のウイルス:ウイルス免疫原としては、肺炎ウイルス(例えば、RSウイルス、RSV)、ルブラウイルス(例えば、ムンプスウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザ・ウイルス)、メタニューモウイルスおよびモルビリウイルス(例えば、麻疹ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
ポックスウイルス科:ウイルス免疫原としては、オルトポックスウイルス(例えば、真正痘瘡(大痘瘡および小痘瘡が挙げられるが、これらに限定されない))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
ピコルナウイルス:ウイルス免疫原としては、ピコルナウイルス(例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパルナウイルス、カルジオウイルスおよびアフトウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、上記エンテロウイルスは、ポリオウイルス(例えば、1型、2型、および/もしくは3型のポリオウイルス)である。別の実施形態において、上記エンテロウイルスは、EV71エンテロウイルスである。別の実施形態において、上記エンテロウイルスは、コクサッキーAもしくはBウイルスである。
【0076】
ブンヤウイルス:ウイルス免疫原としては、オルソブンヤウイルス(例えば、カリフォルニア脳炎ウイルス)、フレボウイルス(例えば、リフトバレー熱ウイルス)、もしくはナイロウイルス(例えば、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
ヘパルナウイルス:ウイルス免疫原としては、ヘパルナウイルス(例えば、A型肝炎ウイルス(HAV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
フィロウイルス:ウイルス免疫原としては、フィロウイルス(例えば、エボラウイルス(ザイールエボラウイルス、アイボリーコーストエボラウイルス、レストンエボラウイルスもしくはスーダンエボラウイルスを含む))またはマールブルグウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
トガウイルス:ウイルス免疫原としては、トガウイルス(例えば、ルビウイルス、アルファウイルス、もしくはアルテリウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。これは、風疹ウイルスを含む。
【0080】
フラビウイルス:ウイルス免疫原としては、フラビウイルス(例えば、ダニ媒介脳炎(TBE)ウイルス、デング(1、2、3もしくは4型)ウイルス、黄熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、キャサヌール森林ウイルス、ウエストナイル脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、ロシア春夏脳炎ウイルス、ポワッサン脳炎ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
ペスチウイルス:ウイルス免疫原としては、ペスチウイルス(例えば、牛ウイルス性下痢(BVDV)、豚コレラ(CSFV)もしくはボーダー病(BDV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
ヘパドナウイルス:ウイルス免疫原としては、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)を含み得る。
【0083】
他の肝炎ウイルス:組成物は、C型肝炎ウイルス、デルタ型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、もしくはG型肝炎ウイルスに由来する免疫原を含み得る。
【0084】
ラブドウイルス:ウイルス免疫原としては、ラブドウイルス(例えば、リッサウイルス(例えば、狂犬病ウイルス)およびベシクロウイルス(VSV))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
カリシウイルス科:ウイルス免疫原としては、カリシウイルス科(例えば、ノーウォークウイルス(ノロウイルス)、およびノーウォーク様ウイルス(例えば、ハワイウイルスおよびスノーマウンテンウイルス))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
コロナウイルス:ウイルス免疫原は、SARSコロナウイルス、トリ伝染性気管支炎(IBV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。上記コロナウイルス免疫原は、スパイクポリペプチドであり得る。
【0087】
レトロウイルス:ウイルス免疫原としては、オンコウイルス、レンチウイルス(例えば、HIV−1もしくはHIV−2)またはスプマウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
レオウイルス:ウイルス免疫原としては、オルトレオウイルス、ロタウイルス、オルビウイルス、もしくはコルチウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
パルボウイルス:ウイルス免疫原としては、パルボウイルスB19に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
ヘルペスウイルス:ウイルス免疫原としては、ヒトヘルペスウイルス(例えば、例示に過ぎないが、単純ヘルペスウイルス(HSV)(例えば、HSV1型および2型)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV7)、およびヒトヘルペスウイルス8(HHV8))に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
パポバウイルス:ウイルス免疫原としては、パピローマウイルスおよびポリオーマウイルスに由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。上記(ヒト)パピローマウイルスは、血清型1、2、4、5、6、8、11、13、16、18、31、33、35、39、41、42、47、51、57、58、63もしくは65のもの(例えば、血清型6、11、16および/もしくは18のうちの1種以上に由来する)であり得る。
【0092】
アデノウイルス:ウイルス免疫原としては、アデノウイルス血清型36(Ad−36)に由来するものが挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、魚類に感染するウイルス(例えば:伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)、サケ膵臓病ウイルス(SPDV)、伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)、アメリカナマズウイルス(CCV)、魚類リンホシスチス病ウイルス(FLDV)、伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)、コイヘルペスウイルス、サケピコルナ様ウイルス(大西洋サケピコルナ様ウイルスとしても公知)、ヤマメウイルス(LSV)、大西洋サケロタウイルス(ASR)、マスイチゴ病ウイルス(TSD)、銀ザケ腫瘍ウイルス(CSTV)、もしくはウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV))に対する免疫応答を誘発する。
【0094】
真菌免疫原は、皮膚糸状菌類(Dermatophytres)(以下が挙げられる:
【0095】
【化7】
【0096】
【化8】
【0097】
に由来し得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、Plasmodium属(例えば、P.falciparum、P.vivax、P.malariaeもしくはP.ovale)に由来する寄生生物に対する免疫応答を誘発する。従って、本発明は、マラリアに対して免疫化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記免疫原は、Caligidae科に由来する寄生生物、特に、Lepeophtheirus属およびCaligus属に由来する寄生生物(例えば、Lepeophtheirus salmonisもしくはCaligus rogercresseyiのようなフナムシ)に対する免疫応答を誘発する。
【0099】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、以下に対する免疫応答を誘発する:花粉アレルゲン(樹木花粉、草本花粉、雑草の花粉、および草の花粉のアレルゲン);昆虫もしくは蛛形類のアレルゲン(吸入、唾液および毒液のアレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリアレルゲンおよび小虫アレルゲン、膜翅類毒液アレルゲン(hymenopthera venom allergen));動物の毛およびふけのアレルゲン(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなどに由来する);ならびに食物アレルゲン(例えば、グリアジン)。樹木、草および草本に由来する重要な花粉アレルゲンは、Fagales、Oleales、Pinalesの分類学上の目およびスズカケノキ科(platanaceae)(カバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、シデ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)、シーダー(CryptomeriaおよびJuniperus)、プラタナス(Platanus)が挙げられるが、これらに限定されない)、Poalesの目(属Lolium、Phleum、Poa、Cynodon、Dactylis、Holcus、Phalaris、Secale、およびSorghumの草が挙げられる)、AsteralesおよびUrticalesの目(属Ambrosia、Artemisia、およびParietariaの草本が挙げられる)から由来するそのようなものである。他の重要な吸入アレルゲンは、属DermatophagoidesおよびEuroglyphusのチリダニ類、コナダニ類(storage mite)(例えば、Lepidoglyphys、GlycyphagusおよびTyrophagus)、ゴキブリ、小虫およびノミに由来するもの(例えば、Blatella、Periplaneta、ChironomusおよびCtenocepphalides)、ならびに哺乳動物(例えば、ネコ、イヌおよびウマ)に由来するもの、毒液のアレルゲン(刺咬昆虫(stinging or biting insect)に由来するようなもの、例えば、Hymenopteraの分類学上の目(蜂(Apidae)、スズメバチ(Vespidea)、およびアリ(Formicoidae)が挙げられる)が挙げられる)に由来するものである。
【0100】
いくつかの実施形態において、上記免疫原は、以下から選択される腫瘍抗原である:(a)がん−精巣(cancer−testis)抗原、例えば、NY−ESO−1、SSX2、SCP1ならびにRAGE、BAGE、GAGEおよびMAGEファミリーのポリペプチド(例えば、GAGE−1、GAGE−2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、およびMAGE−12)、これらは、例えば、黒色腫、肺、頭頸部、NSCLC、乳房、胃腸、および膀胱の腫瘍に対処するために使用され得る;(b)変異した抗原、例えば、p53(種々の固形腫瘍(例えば、結腸直腸がん、肺がん、頭頸部がん)と関連)、p21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓がんおよび結腸直腸がんと関連)、CDK4(例えば、黒色腫と関連)、MUM1(例えば、黒色腫と関連)、カスパーゼ−8(例えば、頭頸部がんと関連)、CIA 0205(例えば、膀胱がんと関連)、HLA−A2−R1701、β−カテニン(例えば、黒色腫と関連)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ腫と関連)、BCR−abl(例えば、慢性骨髄性白血病と関連)、トリオースホスフェートイソメラーゼ、KIA 0205、CDC−27、およびLDLR−FUT;(c)過剰発現された抗原、例えば、ガレクチン4(例えば、結腸直腸がんと関連)、ガレクチン9(例えば、ホジキン病と関連)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病と関連)、WT 1(例えば、種々の白血病と関連)、炭酸脱水酵素(例えば、腎がんと関連)、アルドラーゼA(例えば、肺がんと関連)、PRAME(例えば、黒色腫と関連)、HER−2/neu(例えば、乳がん、結腸がん、肺がんおよび卵巣がんと関連)、マンマグロビン、α−フェトプロテイン(例えば、肝がんと関連)、KSA(例えば、結腸直腸がんと関連)、ガストリン(例えば、膵臓がんおよび胃がんと関連)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC−1(例えば、乳がんおよび卵巣がんと関連)、G−250(例えば、腎細胞がんと関連)、p53(例えば、乳がん、結腸がんと関連)、ならびにがん胎児性抗原(例えば、乳がん、肺がん、および胃腸管のがん(例えば、結腸直腸がん)と関連);(d)共通抗原(shared antigen)、例えば、黒色腫−メラノサイト分化抗原、例えば、MART−1/Melan A、gp100、MC1R、メラノサイト刺激ホルモンレセプター、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質−1/TRP1およびチロシナーゼ関連タンパク質−2/TRP2(例えば、黒色腫と関連);(e)前立腺関連抗原(例えば、PAP、PSA、PSMA、PSH−P1、PSM−P1、PSM−P2(例えば、前立腺がんと関連));(f)イムノグロブリンイディオタイプ(例えば、骨髄腫およびB細胞リンパ腫と関連)。特定の実施形態において、腫瘍免疫原としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:p15、Hom/Mel−40、H−Ras、E2A−PRL、H4−RET、IGH−IGK、MYL−RAR、エプスタイン・バー・ウイルス抗原、EBNA、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原(E6およびE7を含む)、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスの抗原、ヒトTリンパ球向性ウイルス抗原、
【0101】
【化9】
【0102】
(Mac−2結合タンパク質/シクロフィリンC関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPSなど。
【0103】
(薬学的組成物)
本発明のリポソームは、種々の疾患に対して被験体を免疫化するための薬学的組成物中の成分として有用である。これらの組成物は、代表的には、上記リポソームに加えて、薬学的に受容可能なキャリアを含む。薬学的に受容可能なキャリアの詳細な考察は、参考文献29において入手可能である。
【0104】
本発明の薬学的組成物は、1種以上の低分子免疫強化因子を含み得る。例えば、上記組成物は、TLR2アゴニスト(例えば、Pam3CSK4)、TLR4アゴニスト(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(例えば、E6020))、TLR7アゴニスト(例えば、イミキモド)、TLR8アゴニスト(例えば、レシキモド)および/もしくはTLR9アゴニスト(例えば、IC31)を含み得る。任意のこのようなアゴニストは、理想的には、分子量<2000Daを有する。いくつかの実施形態において、このようなアゴニストもまた、上記RNAとともにリポソーム内に被包されるが、他の実施形態において、それらは、被包されない。
【0105】
本発明の薬学的組成物は、上記リポソームを、ただの水(plain water)(例えば、w.f.i.)もしくは緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、もしくはクエン酸緩衝液)中に含み得る。緩衝塩は、代表的には、5〜20mM範囲において含まれる。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、5.0〜9.5(例えば、6.0〜8.0)のpHを有し得る。
【0107】
本発明の組成物は、張度を与えるために、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含み得る。10±2mg/ml NaClの濃度が代表的である(例えば、約9mg/ml)。
【0108】
本発明の組成物は、金属イオンキレート化剤を含み得る。これらは、ホスホジエステル加水分解を加速し得るイオンを除去することによって、RNA安定性を延長し得る。従って、組成物は、EDTA、EGTA、BAPTA、ペンテト酸などのうちの1種以上を含み得る。このようなキレート化剤は、代表的には、10〜500μM(例えば、0.1mM)で存在する。クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム)はまた、キレート化剤として作用し得るのと同時に、有利なことには、緩衝化活性も提供し得る。
【0109】
本発明の薬学的組成物は、200mOsm/kg〜400mOsm/kg(例えば、240〜360mOsm/kg、もしくは290〜310mOsm/kg)の重量オスモル濃度を有し得る。
【0110】
本発明の薬学的組成物は、1種以上の保存剤(例えば、チオメルサールもしくは2−フェノキシエタノール)を含み得る。水銀非含有組成物が好ましく、保存剤非含有ワクチンが調製され得る。
【0111】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、無菌である。
【0112】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、非発熱性である(例えば、1用量あたり<1 EU(エンドトキシンユニット、標準尺度)、および好ましくは、1用量あたり<0.1 EUを含む)。
【0113】
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
【0114】
本発明の薬学的組成物は、単位用量形態において調製され得る。いくつかの実施形態において、単位用量は、0.1〜1.0ml(例えば、約0.5ml)の容積を有し得る。
【0115】
上記組成物は、注射物として調製され得る(溶液もしくは懸濁物のいずれかとして)。上記組成物は、微細スプレーを使用する、肺投与(例えば、吸入器による)のために調製され得る。上記組成物は、鼻、耳もしくは眼への投与(例えば、スプレーもしくは滴剤として)のために調製され得る。筋肉内投与のための注射物が、代表的である。
【0116】
組成物は、免疫学的に有効量のリポソーム、ならびに任意の他の成分(必要であれば)を含む。「免疫学的に有効な量」とは、個体への投与量が、単一用量においてもしくはシリーズのうちの一部としてのいずれかで、処置もしくは予防に有効であることを意味する。この量は、処置されるべき個体の健康状態および身体的状態、処置されるべき個体の年齢、分類学上の群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、上記個体が抗体を合成する免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、その処置している医師の医学的状況の評価、および他の関連因子に依存して変動する。上記量は、慣用的な治験を通じて決定され得る比較的広い範囲に入ると予測される。本発明の組成物のリポソームおよびRNA含有量は、一般に、1用量あたりのRNAの量に関して表される。好ましい用量は、≦100μg RNA(例えば、10〜100μg(例えば、約10μg、25μg、50μg、75μgもしくは100μg))を有するが、発現は、遙かに低いレベル、例えば、≦1μg/用量、≦100ng/用量、≦10ng/用量、≦1ng/用量などにおいてみられ得る。
【0117】
本発明はまた、本発明の薬学的組成物を含む送達デバイス(例えば、シリンジ、ネブライザ、噴霧器、吸入器、皮膚パッチなど)を提供する。このデバイスは、上記組成物を脊椎動物被験体に投与するために使用され得る。
【0118】
本発明のリポソームは、リボソームを含まない。
【0119】
(処置方法および医学的使用)
参考文献10で開示される粒子とは対照的に、本発明のリポソームおよび薬学的組成物は、目的の免疫原に対する免疫応答を誘発するためのインビボでの使用のためのものである。
【0120】
本発明は、本発明のリポソームもしくは薬学的組成物の有効量を投与する工程を包含する、脊椎動物において免疫応答を惹起するための方法を提供する。上記免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体および/もしくは細胞媒介性免疫を含む。上記方法は、ブースター応答を惹起し得る。
【0121】
本発明はまた、脊椎動物における免疫応答を惹起するための方法において使用するための本発明のリポソームもしくは薬学的組成物を提供する。
【0122】
本発明はまた、脊椎動物における免疫応答を惹起するための医薬の製造における本発明のリポソームの使用を提供する。
【0123】
これら使用および方法により上記脊椎動物における免疫応答を惹起することによって、上記脊椎動物は、上記で考察されるように、種々の疾患および/もしくは感染から(例えば、細菌疾患および/もしくはウイルス疾患から)防御され得る。上記リポソームおよび組成物は、免疫原性であり、より好ましくは、ワクチン組成物である。本発明に従うワクチンは、予防的である(すなわち、感染を妨ぐ)か、もしくは治療的である(すなわち、感染を処置する)のいずれかであり得るが、代表的には、予防的である。
【0124】
上記脊椎動物は、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒトもしくは大型の獣医学的哺乳動物(例えば、ウマ、ウシ、シカ、ヤギ、ブタ)である。上記ワクチンが予防的使用のためのものである場合、上記ヒトは、好ましくは、小児(例えば、幼児もしくは乳児)またはティーンエイジャーである;上記ワクチンが治療的使用のためのものである場合、上記ヒトは、好ましくは、ティーンエイジャーもしくは成人である。小児用に意図されたワクチンはまた、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために、成人に投与され得る。
【0125】
本発明に従って調製されるワクチンは、小児および成人の両方を処置するために使用され得る。従って、ヒト患者は、1歳未満、5歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、もしくは少なくとも55歳であってもよい。上記ワクチンを受けるのに好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、および好ましくは、≧65歳)、若年者(例えば、≦5歳)、入院患者、ヘルスケアワーカー、軍従事者、および軍職員、妊婦、慢性疾患患者、もしくは免疫不全患者である。しかし、上記ワクチンは、これらの群にのみ適切であるわけではなく、より一般に、集団において使用され得る。
【0126】
本発明の組成物は、一般に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射によって達成され得る(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、もしくは組織の間隙空間に;参考文献1とは異なり、舌内(intraglossal)注射は、代表的には、本発明で使用されない)。代替の送達経路としては、直腸、経口(例えば、錠剤、スプレー)、口内、舌下、膣、局所、経真皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻内、眼、耳、肺もしくは他の粘膜投与が挙げられる。皮内および筋肉内投与は、2つの好ましい経路である。注射は、針を介してであってもよい(例えば、皮下針)が、針なしの注射が、代わりに使用され得る。代表的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0127】
本発明は、全身免疫および/もしくは粘膜免疫を誘発するために、好ましくは、増強された全身免疫および/もしくは粘膜免疫を誘発するために、使用され得る。
【0128】
投与量は、単一用量スケジュールもしくは複数用量スケジュールによってであり得る。複数用量は、一次免疫スケジュールにおいて、および/もしくはブースター免疫スケジュールにおいて使用され得る。複数用量スケジュールにおいて、種々の用量が、同じ経路もしくは異なる経路(例えば、非経口の一次と粘膜のブースト、粘膜の一次と非経口のブーストなど)によって与えられ得る。複数用量は、代表的には、少なくとも1週間間隔を空けて(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)投与される。一実施形態において、複数用量は、生後約6週間、10週間、および14週間で(例えば、世界保健機関のExpanded Program on Immunisation(「EPI」)においてしばしば使用されるように、6週齢、10週齢および14週齢において)投与され得る。代替の実施形態において、2回の一次用量が、約2ヶ月間間隔を空けて(例えば、約7週間、8週間もしくは9週間間隔を空けて)投与され、続いて、1回以上のブースター用量が、2回目の一次用量の約6ヶ月から1年後に(例えば、2回目の一次用量の約6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後もしくは12ヶ月後)投与される。さらなる実施形態において、3回の一次用量が、約2ヶ月間間隔を空けて(例えば、約7週間、8週間もしくは9週間間隔を空けて)投与され、続いて、1回以上のブースター用量が、3回目の一次用量の約6ヶ月後から1年後に(例えば、3回目の一次用量の約6ヶ月後、8ヶ月後、10ヶ月後もしくは12ヶ月後)投与される。
【0129】
(式(X))
式(X)の化合物は、脂質部分に連結された親水性ポリマー頭部を含む。それらは、「ステルス脂質(stealth lipid)」として記載され得、それらは、以下の式を有する:
【0130】
【化10】
【0131】
ここで:
[Z]nは、PEG、ならびにポリ(オキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]およびポリ(アミノ酸)に基づくポリマーから選択される親水性頭部成分であり、ここで上記ポリマーは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、そして上記ポリマーは、必要に応じて置換されていてもよく;
ここでZは、nサブユニットで重合され;
nは、Zの10〜200ユニットの数平均重合度であり、ここでnは、種々のポリマータイプに関して最適化され;
L
1は、エーテル(例えば、−O−)、エステル(例えば、−C(O)O−)、スクシネート(例えば、−O(O)C−CH
2−CH
2−C(O)O−))、カルバメート(例えば、−OC(O)−NR’−)、カーボネート(例えば、−OC(O)O−)、ウレア(例えば、−NRC(O)NR’−)、アミン(例えば、−NR’−)、アミド(例えば、−C(O)NR’−)、イミン(例えば、−C(NR’)−)、チオエーテル(例えば、−S−)、キサンテート(例えば、−OC(S)S−)、およびホスホジエステル(例えば、−OP(O)
2O−)のうちの0個、1個もしくは2個を含む、必要に応じて置換された、C
1−10アルキレンもしくはC
1−10ヘテロアルキレンリンカーであり、
ここでR’は、−H、−NH−、−NH
2、−O−、−S−、ホスフェートもしくは必要に応じて置換されたC
1−10アルキレンから独立して選択され;
X
1およびX
2は、炭素、または−NH−、−O−、−S−もしくはホスフェートから選択されるヘテロ原子から独立して選択され;
A
1およびA
2は、C
6−30アルキル、C
6−30アルケニル、およびC
6−30アルキニルから独立して選択され、ここでA
1およびA
2は、同じであっても異なっていてもよく、またはA
1およびA
2は、A
1およびA
2が結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換されたステロイドを形成する。
【0132】
一実施形態において、式(X)の化合物は、式(X’)を有する:
【0133】
【化11】
【0134】
ここで
PEGは、ポリ(エチレングリコール
)であり、ここで上記PEGは、直鎖状であっても分枝状であってもよく;
nは、
エチレンオキシドの10〜200ユニット、好ましくは、約45ユニットの数平均重合度であり;
L
1は、エーテル、エステル、スクシネート、カルバメート、カーボネート、ウレア、アミン、アミド、イミン、チオエーテル、キサンテート、およびホスホジエステルのうちの1個もしくは2個を含む、必要に応じて置換されたC
1−10ヘテロアルキレンリンカーであり;
X
1およびX
2は、酸素で有り;
A
1およびA
2は、C
6−30アルキル、C
6−30アルケニル、およびC
6−30アルキニルから独立して選択され、ここでA
1およびA
2は、同じであっても異なっていてもよく、またはここでA
1およびA
2は、A
1およびA
2が結合する炭素原子と一緒になって、必要に応じて置換されたステロイドを形成する。
【0135】
式(X)および式(X’)の脂質は、カチオン性脂質と処方されてリポソームを形成する場合、リポソームがインビボで(例えば、血中に)存在し得る時間の長さを増大させ得る。それらは、リポソーム表面を保護し得、それによって、血液タンパク質によるオプソニン効果およびマクロファージによる取り込みを低下させ得る。さらなる詳細は、参考文献30および31にある。一実施形態において、上記脂質は、PEG(ときおり、ポリ(エチレンオキシド)といわれる)、ならびにポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]およびポリ(アミノ酸)に基づくポリマーから選択される基を含む。
【0136】
本発明での使用に適したPEG化脂質としては、ポリエチレングリコール−ジアシルグリセロールもしくはポリエチレングリコール−ジアシルグリカミド(PEG−DAG)結合体(約C4〜約C40の飽和もしくは不飽和の炭素原子を独立して含むアルキル鎖長を有するジアルキルグリセロールもしくはジアルキルグリカミド基を含むものが挙げられる)が挙げられる。上記ジアルキルグリセロールもしくはジアルキルグリカミド基は、1個以上の置換されたアルキル基をさらに含み得る。上記PEG化脂質は、PEG−ジラウリルグリセロール、PEG−ジミリスチルグリセロール(NOFのカタログ番号GM−020)、PEG−ジパルミトイルグリセロール、PEG−ジステリルグリセロール、PEG−ジラウリルグリカミド、PEG−ジミリスチルグリカミド、PEG−ジパルミトイル−グリカミド、およびPEG−ジステリルグリカミド、PEG−コレステロール(1−[8’−(コレスト−5−エン−3[β]−オキシ)カルボキサミド−3’,6’−ジオキサオクタニル]カルバモイル−[ω]−メチル−ポリ(エチレングリコール)、PEG−DMB(3,4−ジテトラデコキシルベンジル(ditetradecoxylbenzyl)−[ω]−メチル−ポリ(エチレングリコール)エーテル)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−[メトキシ(ポリエチレングリコール)−2000](Avanti Polar Lipidsのカタログ番号880150P)から選択され得る。他の有用なPEG化脂質は、S001、S002、S003、S004、S005、S006、S007、S008、S009、S010、S011、およびCS−020SA(NOF)であり;S010およびS011は、それぞれ、表示IVaおよびIVcの下で参考文献32に開示されている。参考文献32において、本明細書で報告されたものとは異なる合成が、IVaおよびIVcを調製するために使用されている。
【0137】
(化学用語および定義)
(ハロ)
用語「ハロゲン」(もしくは「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0138】
(アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルなど)
用語「アルキル」、「アルキレン」、「アルケニル」および「アルキニル」とは、直鎖および分枝鎖の両方の非環式形態に言及するために本明細書で使用される。その環式類似体は、シクロアルキルなどといわれる。
【0139】
用語「アルキル」は、一価の直鎖状もしくは分枝状の、飽和非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルキルは、C
1−10アルキルであり、別の実施形態において、C
1−6アルキルであり、別の実施形態において、C
1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルもしくはt−ブチル基)である。
【0140】
用語「シクロアルキル」とは、一価で飽和の環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、シクロアルキルは、C
3−10シクロアルキルであり、別の実施形態において、C
3−6シクロアルキル(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)である。
【0141】
用語「アルコキシ」とは、アルキル−O−を意味する。
【0142】
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素三重結合を有さない、一価で、直鎖状もしくは分枝状の、不飽和の非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルケニルは、C
2−10アルケニルであり、別の実施形態において、C
2−6アルケニルであり、別の実施形態において、C
2−4アルケニルである。
【0143】
用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素三重結合を有さない、一価の、部分不飽和の環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、シクロアルケニルは、C
3−10シクロアルケニルであり、別の実施形態において、C
5−10シクロアルケニル(例えば、シクロヘキセニルもしくはベンゾシクロヘキシル)である。
【0144】
用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素二重結合を有さない、一価の、直鎖状もしくは分枝状の、不飽和非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルキニルは、C
2−10アルキニルであり、別の実施形態において、C
2−6アルキニルであり、別の実施形態において、C
2−4アルキニルである。
【0145】
用語「シクロアルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素二重結合を有さない、一価の、部分不飽和の環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、シクロアルキニルは、C
3−10シクロアルケニルであり、別の実施形態において、C
5−10シクロアルキニルである。
【0146】
用語「アルキレン」は、二価の、直鎖状もしくは分枝状の、飽和非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルキレンは、C
1−10アルキレンであり、別の実施形態において、C
1−6アルキレンであり、別の実施形態において、C
1−4アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、n−プロピレン、i−プロピレンもしくはt−ブチレン基)である。
【0147】
用語「アルケニレン」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素三重結合を有さない、二価の、直鎖状もしくは分枝状の、不飽和非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルケニレンは、C
2−10アルケニレンであり、別の実施形態において、C
2−6アルケニレンであり、別の実施形態において、C
2−4アルケニレンである。
【0148】
用語「アルキニレン」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、そして一実施形態において、炭素−炭素二重結合を有さない、二価の、直鎖状もしくは分枝状の不飽和非環式ヒドロカルビル基を含む。一実施形態において、アルキニレンは、C
2−10アルキニレンであり、別の実施形態において、C
2−6アルキニレンであり、別の実施形態において、C
2−4アルキニレンである。
【0149】
(ヘテロアルキルなど)
用語「ヘテロアルキル」は、最大6個までの炭素原子、一実施形態においては、最大5個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大4個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大3個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
q、N、P(O)
rもしくはSi(そして好ましくは、O、S(O)
qもしくはN)で独立して各々置換されているが、アルキル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルキル基を含む。上記ヘテロアルキル基は、C連結もしくはヘテロ連結され得る。すなわち、上記ヘテロアルキル基は、炭素原子を介して、またはO、S(O)
q、N、P(O)
rもしくはSiを介して、分子の残りに連結され得る。
【0150】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、最大6個までの炭素原子、一実施形態においては、最大5個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大4個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大3個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、シクロアルキル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、シクロアルキル基を含む。ヘテロシクロアルキル基の例としては、以下が挙げられる:オキシラニル、チアラニル、アジリジニル、オキセタニル、チアタニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、1,4−オキサチアニル、モルホリニル、1,4−ジチアニル、ピペラジニル、1,4−アザチアニル、オキセパニル、チエパニル、アゼパニル、1,4−ジオキセパニル、1,4−オキサチエパニル、1,4−オキサアゼパニル、1,4−ジチエパニル、1,4−チエアゼパニルおよび1,4−ジアゼパニル。上記ヘテロシクロアルキル基は、C連結されてもよいし、N連結されてもよい。すなわち、上記ヘテロシクロアルキル基は、炭素原子を介して、もしくは窒素原子を介して、分子の残りに連結され得る。
【0151】
用語「ヘテロアルケニル」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、アルケニル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルケニル基を含む。上記ヘテロアルケニル基は、C連結されてもよいし、ヘテロ連結されてもよい。すなわち、上記ヘテロアルケニル基は、炭素原子を介して、またはO、S(O)
qもしくはNを介して、分子の残りに連結され得る。
【0152】
用語「ヘテロシクロアルケニル」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、シクロアルケニル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、シクロアルケニル基を含む。ヘテロシクロアルケニル基の例としては、以下が挙げられる:3,4−ジヒドロ−2H−ピラニル、5−6−ジヒドロ−2H−ピラニル、2H−ピラニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリジニルおよび1,2,5,6−テトラヒドロピリジニル。上記ヘテロシクロアルケニル基は、C連結されてもよいし、N連結されてもよい。すなわち、上記ヘテロシクロアルケニル基は、炭素原子を介して、もしくは窒素原子を介して、分子の残りに連結され得る。
【0153】
用語「ヘテロアルキニル」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、アルキニル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルキニル基を含む。上記ヘテロアルキニル基は、C連結されてもよいし、ヘテロ連結されてもよい。すなわち、上記ヘテロアルキニル基は、炭素原子を介して、またはO、S(O)
qもしくはNを介して、分子の残りに連結され得る。
【0154】
用語「ヘテロシクロアルキニル」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、シクロアルキニル炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、シクロアルキニル基を含む。上記ヘテロシクロアルケニル基は、C連結されてもよいし、N連結されてもよい。すなわち、上記ヘテロシクロアルケニル基は、炭素原子を介して、もしくは窒素原子を介して、分子の残りに連結され得る。
【0155】
用語「ヘテロアルキレン」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態において、最大2個までの炭素原子、別の実施形態において、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、アルキレン炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルキレン基を含む。
【0156】
用語「ヘテロアルケニレン」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、アルケニレン炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルケニレン基を含む。
【0157】
用語「ヘテロアルキニレン」は、最大3個までの炭素原子、一実施形態においては、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子が、O、S(O)
qもしくはNで各々独立して置換されているが、アルキニレン炭素原子のうちの少なくとも1個は残っている、アルキニレン基を含む。
【0158】
(アリール)
用語「アリール」は、一価の芳香族環式ヒドロカルビル基(例えば、フェニルもしくはナフチル(例えば、1−ナフチルもしくは2−ナフチル))を含む。一般に、上記アリール基は、単環式もしくは多環式の縮合環芳香族基であり得る。好ましいアリールは、C
6−C
14アリールである。
【0159】
アリール基の他の例は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インデン、ナフタレン、オバレン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレンおよびルビセンの一価誘導体である。
【0160】
用語「アリールアルキル」は、アリール基(例えば、ベンジル)で置換されたアルキルを意味する。
【0161】
用語「アリーレン」は、二価の芳香族環式ヒドロカルビル基(例えば、フェニレン)を含む。一般に、上記アリーレン基は、単環式もしくは多環式の縮合環芳香族基であり得る。好ましいアリーレンは、C
6−C
14アリーレンである。アリーレン基の他の例は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、as−インダセン、s−インダセン、インデン、ナフタレン、オバレン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレンおよびルビセンの二価誘導体である。
【0162】
(ヘテロアリール)
用語「ヘテロアリール」は、O、S、NおよびNR
Nから独立して選択される1個以上のヘテロ原子を追加的に含む、一価ヘテロ芳香族の環式ヒドロカルビル基であって、ここでR
Nは、以下に定義される(および一実施形態においては、Hもしくはアルキル(例えば、C
1−6アルキル)である)。
【0163】
一般に、上記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式(例えば、二環式)縮合環ヘテロ芳香族基であり得る。一実施形態において、ヘテロアリール基は、5〜13個の環員(好ましくは、5〜10員)、ならびにO、S、NおよびNR
Nから独立して選択される1個、2個、3個もしくは4個の環ヘテロ原子を含む。一実施形態において、ヘテロアリール基は、5員、6員、9員もしくは10員、例えば、5員の単環式、6員の単環式、9員の縮合二環式環もしくは10員の縮合二環式環であり得る。
【0164】
単環式ヘテロ芳香族基は、5〜6環員、ならびにO、S、NもしくはNR
Nから選択される1個、2個、3個もしくは4個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族基を包含する。
【0165】
一実施形態において、5員の単環式ヘテロアリール基は、−NR
N−基、−O−原子もしくは−S−原子である1個の環員、および必要に応じて、=N−原子である1〜3個の環員(例えば、1個もしくは2個の環員)を含む(ここで上記5個の環員のうちの残りは、炭素原子である)。
【0166】
5員の単環式ヘテロアリール基の例は、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、1,2,3 トリアゾリル、1,2,4 トリアゾリル、1,2,3 オキサジアゾリル、1,2,4 オキサジアゾリル、1,2,5 オキサジアゾリル、1,3,4 オキサジアゾリル、1,3,4 チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,3,5 トリアジニル、1,2,4 トリアジニル、1,2,3 トリアジニルおよびテトラゾリルである。
【0167】
6員の単環式ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニルおよびピラジニルである。
【0168】
一実施形態において、6員の単環式ヘテロアリール基は、=N−原子である1個もしくは2個の環員を含む(ここで上記6個の環員のうちの残りは、炭素原子である)。
【0169】
二環式のヘテロ芳香族基としては、9〜13個の環員およびO、S、NもしくはNR
Nから選択される1個、2個、3個もしくは4個以上のヘテロ原子を含む縮合環のヘテロ芳香族基が挙げられる。
【0170】
一実施形態において、9員の二環式ヘテロアリール基は、−NR
N−基、−O−原子もしくは−S−原子である1個の環員、および必要に応じて、=N−原子である1〜3個の環員(例えば、1個もしくは2個の環員)を含む(ここで上記9個の環員のうちの残りは、炭素原子である)。
【0171】
9員の縮合環の二環式ヘテロアリール基の例は、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、ピロロ[2,3−c]ピリジニル、ピロロ[3,2−c]ピリジニル、ピロロ[3,2−b]ピリジニル、イミダゾ[4,5−b]ピリジニル、イミダゾ[4,5−c]ピリジニル、ピラゾロ[4,3−d]ピリジニル、ピラゾロ[4,3−c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−c]ピリジニル、ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、インドリニニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[1,5−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,2−a]ピリジニル、ピロロ[1,2−b]ピリダジニルおよびイミダゾ[1,2−c]ピリミジニルである。
【0172】
一実施形態において、10員の二環式ヘテロアリール基は、=N−原子である1〜3個の環員を含む(ここで上記10個の環員のうちの残りは、炭素原子である)。
【0173】
10員の縮合環の二環式ヘテロアリール基の例は、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、1,6−ナフチリジニル、1,7−ナフチリジニル、1,8−ナフチリジニル、1,5−ナフチリジニル、2,6−ナフチリジニル、2,7−ナフチリジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[4,3−d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−b]ピラジニル、ピリド[3,4−b]ピラジニル、ピリミド[5,4−d]ピリミジニル、ピラジノ[2,3−b]ピラジニルおよびピリミド[4,5−d]ピリミジニルである。
【0174】
用語「ヘテロアリールアルキル」とは、ヘテロアリール基で置換されたアルキルを意味する。
【0175】
用語「ヘテロアリーレン」は、O、S、NおよびNR
Nから独立して選択される1個以上のヘテロ原子を追加的に含む、二価のヘテロ芳香族の環式ヒドロカルビル基を含み、ここでR
Nは、以下で定義される(および一実施形態においては、Hもしくはアルキル(例えば、C
1−6アルキル)である)。一般に、上記ヘテロアリーレン基は、単環式もしくは多環式(例えば、二環式)縮合環ヘテロ芳香族基であり得る。一実施形態において、ヘテロアリーレン基は、5〜13個の環員(好ましくは、5〜10員)、ならびにO、S、NおよびNR
Nから独立して選択される1個、2個、3個もしくは4個の環ヘテロ原子を含む。一実施形態において、ヘテロアリーレン基は、5員、6員、9員もしくは10員、例えば、5員の単環式、6員の単環式、9員の縮合環二環式もしくは10員の縮合環二環式であり得る。用語「ヘテロアリーレン」は、上記で考察されるヘテロアリール基の各々の二価の誘導体を含む。
【0176】
用語「アリール」、「芳香族」、「ヘテロアリール」および「ヘテロ芳香族」はまた、部分的に還元されている基を含む。従って、例えば、「ヘテロアリール」は、環のうちの1個が、飽和環へと還元された縮合種(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)を含む。
【0177】
(一般)
別段明示的に示されなければ、基の組み合わせが、1個の部分として本明細書で言及される場合(例えば、アリールアルキル)、その最後に言及される基は、上記部分を分子の残りに結合する原子を含む。
【0178】
O、S(O)
q、NもしくはP(O)
rで置換されているアルキル基もしくは他の基の炭素原子に対して言及がなされる場合、
【0179】
【化12】
【0180】
が、
【0181】
【化13】
【0182】
(ここでEは、Hではない場合がある)
によって置換されているか;
−CH=が、−N=もしくは−P(O)
r=によって置換されているか;
≡C−Hが、≡Nもしくは≡P(O)
rによって置換されているか;または
−CH
2−が、−O−、−S(O)
q−、−NR
N−もしくは−P(O)
rR
N−によって置換されていることが意図され、ここでR
Nは、H、あるいは必要に応じて置換された、C
1−6アルキル、C
1−6ヘテロアルキル、C
3−6シクロアルキル、C
3−6ヘテロシクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6ヘテロアルケニル、C
3−6シクロアルケニル、C
3−6ヘテロシクロアルケニル、フェニル、または5個もしくは6個の環員を含むヘテロアリールである。R
Nは、好ましくは、H、C
1−6アルキルもしくはC
3−6シクロアルキルである。
【0183】
qは、独立して、0、1もしくは2である。一実施形態において、qは、0である。
【0184】
rは、独立して、0もしくは1である。一実施形態において、rは、0である。
【0185】
Siで置換されている炭素原子に対して言及がなされる場合、上記炭素原子が、ケイ素原子で交換されているが、他の点で、結合は同じままであることが意図される。従って、例えば、−CH
2−は、−SiH
2−で置換され;−CH=は、−SiH=で置換され;そして≡C−Hは、≡Si−Hで置換される。
【0186】
明瞭にするために、上記のヘテロ原子含有基(例えば、ヘテロアルキルなど)に関して、炭素原子の数が与えられる場合(例えば、C
3−6ヘテロアルキル)、3〜6個の鎖炭素原子のうちの1個以上が、O、S(O)
qもしくはNで置換されているC
3−6アルキルに基づく基が意図される。よって、C
3−6ヘテロアルキル基は、例えば、3〜6個未満の鎖炭素原子を含む。別の例として、ピリジル基は、これが5個の炭素原子を含むとしても、C
6ヘテロアリール基として分類される。
【0187】
(置換)
本発明の化合物の基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンアリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルもしくはヘテロアリールヘテロアルキル基など)は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよく、一実施形態においては、置換されていない。代表的には、置換は、置換基での水素原子の観念上の置換(もしくは=Oによる置換の場合には、2個の水素原子)を含む。
【0188】
置換される場合、一般に、各基には、1〜5個の置換基が存在し、一実施形態においては、1〜3個の置換基、一実施形態においては、1個もしくは2個の置換基、一実施形態においては、1個の置換基が存在する。一実施形態は、同じ原子上に1個超の置換基を含む(例えば、アセタール基)。
【0189】
一実施形態において、上記置換基は、独立して、Sub
1もしくはSub
2(一実施形態においては、Sub
2)であり、ここで:
Sub
1は、独立して、ハロゲン、トリハロメチル、トリハロエチル、−NO
2、−CN、−N
+(R
s)
2O
−、−CO
2H、−CO
2R
s、−SO
3H、−SOR
s、−SO
2R
s、−SO
3R
s、−OC(=O)OR
s、−C(=O)H、−C(=O)R
s、−OC(=O)R
s、=O、−NR
s2、−C(=O)NH
2、−C(=O)NR
s2、−N(R
s)C(=O)OR
s、−N(R
s)C(=O)NR
s2、−OC(=O)NR
s2、−N(R
s)C(=O)R
s、−C(=S)NR
s2、−NR
sC(=S)R
s、−SO
2NR
s2、−NR
sSO
2R
s、−N(R
s)C(=S)NR
s2、−N(R
s)SO
2NR
s2、−R
sもしくは−Z
sR
sであり、ここで;
Z
sは、独立して、O、SもしくはNR
sであり;
R
sは、独立して、H、またはC
1−6アルキル、C
1−6ヘテロアルキル、−(Alk
a)
f−C
3−6シクロアルキル、−(Alk
a)
f−C
3−6ヘテロシクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6ヘテロアルケニル、−(Alk
a)
f−C
3−6シクロアルケニル、−(Alk
a)
f−C
3−6ヘテロシクロアルケニル、C
2−6アルキニル、C
2−6ヘテロアルキニル、−(Alk
a)
f−C
6−14アリール、−(Alk
a)
f−C
6−14アリールもしくは−(Alk
a)
f−ヘテロアリール(ここでヘテロアリールは、5〜13個の環員を含む)であり、ここで
fは、0もしくは1であり;
Alk
aは、C
1−6アルキレンもしくはC
1−6ヘテロアルキレンであり;そして
R
sは、1〜3個の置換基Sub
2によってそれ自体が必要に応じて置換され(一実施形態においては、置換されていない);
Sub
2は、独立して、ハロゲン、トリハロメチル、トリハロエチル、−NO
2、−CN、−N
+(C
1−6アルキル)
2O
−、−CO
2H、−CO
2C
1−6アルキル、−SO
3H、−SOC
1−6アルキル、−SO
2C
1−6アルキル、−SO
3C
1−6アルキル、−OC(=O)OC
1−6アルキル、−C(=O)H、−C(=O)C
1−6アルキル、−OC(=O)C
1−6アルキル、=O、−N(C
1−6アルキル)
2、−C(=O)NH
2、−C(=O)N(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)C(=O)O(C
1−6アルキル)、−N(C
1−6アルキル)C(=O)N(C
1−6アルキル)
2、−OC(=O)N(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)C(=O)C
1−6アルキル、−C(=S)N(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)C(=S)C
1−6アルキル、−SO
2N(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)SO
2C
1−6アルキル、−N(C
1−6アルキル)C(=S)N(C
1−6アルキル)
2、−N(C
1−6アルキル)SO
2N(C
1−6アルキル)
2、−C
1−6アルキル、−C
1−6ヘテロアルキル、−C
3−6シクロアルキル、−C
3−6ヘテロシクロアルキル、−C
2−6アルケニル、−C
2−6ヘテロアルケニル、−C
3−6シクロアルケニル、−C
3−6ヘテロシクロアルケニル、−C
2−6アルキニル、−C
2−6ヘテロアルキニル、−C
6−14アリール、−C
5−13ヘテロアリール、−Z
t−C
1−6アルキル、−Z
t−C
3−6シクロアルキル、−Z
t−C
2−6アルケニル、−Z
t−C
3−6シクロアルケニル、もしくは−Z
t−C
2−6アルキニルであり;そして
Z
tは、独立して、O、S、NHもしくはN(C
1−6アルキル)である。
【0190】
Sub
1におけるR
sは、1〜3個の置換基Sub
2によって必要に応じて置換され得る一方、Sub
2は、置換されない。しかし、一実施形態において、R
sは、置換されない。
【0191】
一実施形態において、R
sは、HもしくはC
1−6アルキル(1〜3個の置換基Sub
2で必要に応じて置換される)である。
【0192】
一実施形態において、Sub
2は、独立して、ハロゲン、トリハロメチル、トリハロエチル、−NO
2、−CN、−N
+(C
1−6アルキル)
2O
−、−CO
2H、−SO
3H、−SOC
1−6アルキル、−SO
2C
1−6アルキル、−C(=O)H、−C(=O)C
1−6アルキル、=O、−N(C
1−6アルキル)
2、−C(=O)NH
2、−C
1−6アルキル、−C
3−6シクロアルキル、−C
3−6ヘテロシクロアルキル、−Z
t−C
1−6アルキルもしくは−Z
t−C
3−6シクロアルキルである。
【0193】
一実施形態において、置換される基が非環式(例えば、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニルなど)である場合、Sub
1は、−R
sではなく、Sub
2は、−C
1−6アルキル、−C
1−6ヘテロアルキル、−C
2−6アルケニル、−C
2−6ヘテロアルケニル、−C
2−6アルキニル、−C
2−6ヘテロアルキニルではない。
【0194】
Sub
2以外の基が、置換されてもよい少なくとも2個の位置を有する場合、上記基は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはヘテロアルキニレン鎖(一実施形態において、1〜6個の原子、さらなる実施形態においては、3〜6個の原子、およびさらなる実施形態においては、3個もしくは4個の原子を含む)の両方の末端によって置換されて、環式部分を形成してもよい。その鎖は、1〜3個の置換基Sub
2で必要に応じて置換される。一実施形態において、その鎖は、置換されない。従って、用語、必要に応じて置換された、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「アリール」および「ヘテロアリール」は、縮合種を含む。例えば、「必要に応じて置換されたシクロアルキル」は、2個のシクロアルキル環が縮合している種を含み、「必要に応じて置換されたヘテロアリール」は、ヘテロシクロアルキル環が上記芳香族環に縮合されている種を含む(例えば、5,6,7,8−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジン−2−イル)。
【0195】
Sub
2以外の基が、2回置換され得る原子を有する場合、その原子は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレンもしくはヘテロアルキニレン鎖(一実施形態においては、2〜8個の原子、さらなる実施形態においては、3〜6個の原子、およびさらなる実施形態においては、4個もしくは5個の原子を含む)の両方の末端によって置換されて、環式部分を形成し得る。その鎖は、1〜3個の置換基Sub
2によって必要に応じて置換される。一実施形態において、その鎖は、置換されない。従って、用語、必要に応じて置換された、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「アリール」および「ヘテロアリール」は、スピロ種を含む。
【0196】
明瞭さのために、基がヘテロ原子を含む場合、置換基は、上記ヘテロ原子に結合され得る。従って、例えば、「必要に応じて置換されたヘテロアルキル」は、−CH
2−N(Sub
1)−CH
2−、−CH(Sub
1)−NH−CH
2−および−CH(Sub
1)−N(Sub
1)−CH
2−などを含む。
【0197】
(修飾語句(modifier)の用語)
列挙の前に修飾語句が置かれている場合、上記修飾語句は、上記列挙中の項目の各々に適用されると理解されるべきであると解釈される。例えば、語句「必要に応じて改変された、C
3−20−ヘテロシクロアルキル、C
3−20−ヘテロシクロアルケニル、C
3−20−ヘテロシクロアルキニルもしくはC
5−20−ヘテロアリール基」とは、上記列挙中の4つの項目の各々、すなわち、上記C
3−20−ヘテロシクロアルキル基、上記C
3−20−ヘテロシクロアルケニル基、上記C
3−20−ヘテロシクロアルキニル基および上記C
6−20−ヘテロアリール基が、必要に応じて置換されていてもよいことを意味する。
【0198】
第1の修飾語句によって基が特徴付けられ、続いて、後ろで、同じ基が、続く修飾語句によって特徴付けられる場合、上記基は、両方の修飾語句によって同時に特徴付けられることが意味される。例えば、基が、「C
3−20−ヘテロシクロアルキニル」(第1の修飾語句)基として記載され、その後、同じ基が、「C
5−16」(続く修飾語句)基として記載される場合、C
5−16ヘテロシクロアルキニル基であることが意味される。
【0199】
(ステロイド)
本明細書で使用される場合、用語「ステロイド」とは、以下の構造を含む任意の基に言及する(その構造は、「ステロイド骨格」として本明細書で言及される)。
【0200】
【化14】
【0201】
単に例示目的で、ステロイド骨格を、完全飽和として上記で描いた。しかし、用語ステロイドはまた、上記ステロイド骨格中に不飽和が存在する場合を包含すると解釈される。例えば、用語ステロイドは、完全不飽和(マンキュード)基本骨格を含む基を包含する(15H−シクロペンタ[a]フェナントレン)。
【0202】
【化15】
【0203】
用語ステロイドはまた、部分不飽和ステロイド骨格を含む基を包含する。
【0204】
用語ステロイドはまた、上記ステロイド骨格の「seco」誘導体、すなわち、開環がもたらされた基;それぞれ、環縮小および環拡大を伴う上記ステロイド骨格の「ノル」および「ホモ」誘導体(D. Hellwinkel,Systemic Nomenclature of Organic Chemistry,Springer発行, 2001, ISBN: 3−540−41138−0,「seco」については203ページ、ならびに「ノル」および「ホモ」については204ページを参照のこと)を包含する。しかし、一実施形態において、このようなseco誘導体は、用語「ステロイド」によっては包含されない。別の実施形態において、このようなノル誘導体は、用語「ステロイド」によっては包含されない。別の実施形態において、このようなホモ誘導体は、用語「ステロイド」によっては包含されない。従って、一実施形態において、このようなseco、ノルおよびホモ誘導体は、用語「ステロイド」によっては包含されない。
【0205】
用語ステロイドはまた、ステロイド骨格と表示された構造における炭素原子のうちの1個以上が、ヘテロ原子によって置換されている場合を包含する。1つのこのような実施形態において、最大6個までの炭素原子、一実施形態においては、最大5個までの炭素原子、別の実施形態においては、最大4個までの炭素原子、別の実施形態において、最大3個までの炭素原子、別の実施形態において、最大2個までの炭素原子、別の実施形態においては、1個の炭素原子は、各々、O、S(O)
q、N、P(O)
rもしくはSi(および好ましくは、O、S(O)
qもしくはN)によって独立して置換されている。しかし、一実施形態において、用語「ステロイド」は、上記「ステロイド基本骨格」が、ヘテロ原子を含まない種を包含する。
【0206】
ステロイド環系は、以下に示される慣例に従って番号づけられる。
【0207】
【化16】
【0208】
用語ステロイドは、ステロール、ステロイドホルモン、胆汁酸および胆汁酸塩を包含する。ステロールは、A環の3位においてヒドロキシル基を有する任意のステロイドである。
【0209】
(不飽和)
標準的使用によれば、ω−3位とは、鎖の(メチル)末端からの3番目の結合に言及する;ω−6位とは、鎖の(メチル)末端からの6番目の結合に言及し、ω−9位は、鎖の(メチル)末端からの9番目の結合に言及する。
【0210】
(一般)
本発明の粒子は、別段示されなければ、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の、当該分野の技術内の従来の方法を使用する。このような技術は、文献中に十分に説明されている。例えば、参考文献33〜39などを参照のこと。
【0211】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」ならびに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、Xから専らなってもよいし、何かさらなるものを含んでいてもよい(例えば、X+Y)。
【0212】
数値xに関して用語「約」とは、選択的であり、例えば、x±10%を意味する。
【0213】
語句「実質的に」とは、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない場合もある。必要な場合、語句「実質的に」は、本発明の定義から省略され得る。
【0214】
電荷、カチオン、アニオン、両性性イオンなどへの言及は、pH7において取り扱われる。
【0215】
TLR3は、Toll様レセプター3である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR3アゴニストは、ポリ(I:C)を含む。「TLR3」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:11849である。ヒトTLR3遺伝子のRefSeq配列は、GI:2459625である。
【0216】
TLR7は、Toll様レセプター7である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR7アゴニストは、例えば、イミキモドを含む。「TLR7」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:15631である。ヒトTLR7遺伝子のRefSeq配列は、GI:67944638である。
【0217】
TLR8は、Toll様レセプター8である。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす一回膜貫通レセプターである。既知のTLR8アゴニストは、例えば、レシキモドを含む。「TLR8」は、このレセプターをコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:15632である。ヒトTLR8遺伝子のRefSeq配列は、GI:20302165である。
【0218】
RIG−I様レセプター(「RLR」)ファミリーは、先天的免疫系において重要な役割を果たす種々のRNAヘリカーゼを含む[40]。RLR−1(RIG−Iもしくはレチノイン酸誘導性遺伝子Iとしても公知)は、そのN末端付近にある2つのカスパーゼリクルートドメインを有する。上記RLR−1ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、「DDX58」(DEAD(Asp−Glu−Ala−Asp)ボックスポリペプチド58(DEAD (Asp−Glu−Ala−Asp) box polypeptide 58)について)であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:19102である。ヒトRLR−1遺伝子のRefSeq配列は、GI:77732514である。RLR−2(MDA5もしくは黒色腫分化関連遺伝子5(melanoma differentiation−associated gene 5)としても公知)はまた、そのN末端付近にある2つのカスパーゼリクルートドメインを有する。RLR−2ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、「IFIH1」(ヘリカーゼCドメイン1で誘導されるインターフェロン(interferon induced with helicase C domain 1)について)であり、特有のHGNC IDは、HGNC:18873である。ヒトRLR−2遺伝子のRefSeq配列は、GI: 27886567である。RLR−3(LGP2もしくは遺伝学および生理学研究室2(laboratory of genetics and physiology 2)としても公知)は、カスパーゼリクルートドメインを有さない。RLR−3ヘリカーゼをコードする遺伝子の承認されたHGNC名は、 「DHX58」(DEXH(Asp−Glu−X−His)ボックスポリペプチド58について)であり、特有のHGNC IDは、HGNC:29517である。ヒトRLR−3遺伝子のRefSeq配列は、GI:149408121である。
【0219】
PKRは、二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼである。これは、先天的免疫系において重要な役割を果たす。「EIF2AK2」(真核生物翻訳開始因子2−αキナーゼ2(eukaryotic translation initiation factor 2−alpha kinase 2)について)は、この酵素をコードする遺伝子の承認されたHGNC名であり、その特有のHGNC IDは、HGNC:9437である。ヒトPKR遺伝子のRefSeq配列は、GI:208431825である。