【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これは、少なくとも1本のパイプを仕切りに設けられた開口部中に通す管路であって、外周領域及び全てのパイプのための案内開口部を備えた中央領域を備えたフランジを有し、フランジは、多数の取り付け孔を備え、フランジは、内側部及び内側部と反対側の外側部を有し、内側部は、仕切りの一方の面に当接するようになっている、管路において、管路は、各取り付け孔内に設けられた連結装置を有し、連結装置は、フランジの外側部上に設けられた操作部材及び取り付け孔を貫通して延びるシャンクを備えた力伝達手段と、力伝達手段のシャンクに取り付けられると共に操作部材の作動によりシャンク回りに且つ/或いはシャンクに沿って変位可能な締め付け手段と、フランジの内側部と締め付け手段との間に設けられていて、締め付け手段に設けられた接触面と相互作用する接触面及び操作部材の作動によりシャンクの向きに対して半径方向に変位可能な係合フェースを備えた係合構造体とを含み、フランジ及び係合構造体は、係合フェースを介して仕切り周りに潰れるようになっていることを特徴とする管路によって達成される。
【0009】
それにより、管路を溶接を行わないで、フランジの連結装置が操作部材を備えている仕切りの側からの取り付けによって仕切りに取り付けてこれに固定することができる。
【0010】
本明細書では、「仕切り」という用語は、隣り合うコンパートメント相互間に設けられた垂直に差し向けられた仕切りと例えば水平に差し向けられた仕切り、例えば床、天井又は甲板の両方について用いられている。
【0011】
パイプは、複数の仕切りを貫通して延びるパイプ、例えば給水パイプであるのが良い。さらに、パイプは、1つの仕切りを貫通して延びるパイプ、例えばフロアドレンであっても良い。
【0012】
仕切りは、パイプのための開口部を備えている。開口部のサイズは、フランジのサイズに合わされており、フランジのサイズは、少なくとも1本のパイプの本数及びサイズで決まる。開口部は、外周領域が仕切りとオーバーラップすると共に隙間が中央領域に対応するように構成されている。上述したように、フランジは、外周領域及び全てのパイプのための通路開口部が設けられた中央領域を備えている。フランジは、フランジの材料厚さにより隔てられた内側部と外側部を有する。フランジは、内側部が仕切りに当接し、外側部がコンパートメントに向いた状態で設けられる。
【0013】
フランジは、多数の取り付け孔を備え、連結装置がこれら孔の各々の中に設けられている。連結装置は、フランジの取り付けと同時に又はこれに先立って取り付け孔内に設けられるのが良い。
【0014】
取り付け孔及び連結装置の数は、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上であっても良いが、好ましくは3つ以上であろう。取り付け孔は、これらがフランジを仕切りの開口部上に取り付けたときに開口部周りに均等に分布して配置されるよう分布して配置されている。それにより、フランジと仕切りとの間の継手の均等に分布した強度が保証される。
【0015】
連結装置は、力伝達手段、締め付け手段及び係合
構造体を含む。
【0016】
力伝達手段は、操作部材及びシャンクを有する。操作部材は、これをフランジの外側部から操作することができるようフランジの外側部上に設けられる。シャンクは、取り付け孔を貫通して延びる。さらに、連結装置は、締め付け手段を含む。
【0017】
締め付け手段は、力伝達手段のシャンクに取り付けられ、この締め付け手段は、操作部材を作動させるとシャンクに沿って変位可能である。係合構造体は、フランジの内側部と締め付け手段との間に設けられている。係合構造体及び締め付け手段は、相互作用する接触フェースを有する。係合
構造体は、更に、フランジと接触関係をなしても良く、或いは、フランジと接触関係をなさなくても良い。係合構造体は、シャンクの向きに対して半径方向に変位させることができる係合フェースを有する。
【0018】
操作部材を作動させて締め付け手段がフランジの内側部に向かって動くと、締め付け手段は、係合構造体を作動させて係合フェースがシャンクの向きに対して半径方向に変位されるようにする。変位の続行によって、係合フェースは、フランジが当接している第1の面又は側と反対側の仕切りの他方の面又は側に接触する。
【0019】
操作部材は、フランジに抵抗することによって、シャンクを介し、更に締め付け手段を介し、そして締め付け手段及び係合構造体の相互作用接触フェースを経て、そして又、係合構造体を介して係合フェースに伝達される力によって作動される。それにより、フランジ及び係合構造体は、係合フェースを介して仕切りの周りに潰れ、それにより管路を固定する。
【0020】
本発明の有利な実施形態では、連結装置は、ブラインドリベットである。係合構造体は、取り付け中、力伝達手段のシャンク内に形成される。操作部材は、ルーズであり、取り付け中に用いられる。シャンクは、中空であり、締め付け手段は、取り付け中に部分的に解除される要素(ポップリベット)又はシャンク内の雌ねじと相互作用するねじ山付き要素としてシャンク内に提供される。操作部材は、締め付け手段に連結され、これを引っ張って締め付け手段がシャンクに沿って且つシャンクと一緒に変位されるようにする。操作部材は、フランジの最も近くに位置するシャンクの部分に対する固定支持体を有する。この操作中、シャンクは、係合構造体がシャンクの外側部のところに設けられたビードによって形成されるよう変形し、係合フェースは、仕切りの他方の面又は側に当接する。
【0021】
これは、配管の片側の締結を達成する特に簡単な手法である。締結は、管路を破壊作業によってしか取り外すことができないので永続的である。
【0022】
上述の実施形態の取り付け孔は、外周領域に形成される。連結装置を取り付ける前に、各取り付け孔に対向して仕切りを貫通して孔が設けられるべきである。
【0023】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、取り付け孔が中央領域に形成され、係合フェースが操作部材の作動により中央領域の周囲の外側に変位される点において独特である。
【0024】
連結装置は、それにより、これを取り付け前に大きな公差でフランジに固定できるように構成されているのが良い。フランジの内側部のところに設けられた連結装置の部分を仕切りの開口部中に通すことができる。それにより、連結装置まで或る特定の距離が存在し、管路を或る特定の公差で位置決めすることができるようなサイズで仕切りの開口部を構成することが可能になる。
【0025】
別の実施形態によれば、本発明のダクトは、シャンク及び締め付け手段が相互作用ねじ山を備えているという点で独特である。
【0026】
それにより、力を操作部材から締め付け手段に伝達する特に簡単な手法が達成される。さらに、ねじ山のピッチは、操作部材に加わる比較的小さな力の作用で大きな力を伝達することができるよう選択されるのが良い。操作部材は、大きなピッチを備えたねじ山と比較して同一変位を達成するために一層動かされるべきである。
【0027】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、締め付け手段及び/又は係合
構造体の接触面が傾斜している点で独特である。
【0028】
それにより、締め付け手段から係合構造体への力のベクトルにより、力伝達手段の長手方向と平行には差し向けられていない角度が提供される。係合フェースは、それにより、力を仕切りに垂直に且つこれに平行に伝達することができる。さらに、管路は、仕切りの開口部内で自動調心可能である。
【0029】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体が係合フェース及び接触フェースを備えたピボットアームを含み、係合構造体の接触フェースがトルクを締め付け手段からピボットアームに伝達するために固定又は摩擦連結をもたらすよう締め付け手段の接触フェースと相互作用し、ピボットアームが係合
フェースが中央領域の周辺内に位置する自由位置から係合
フェースが中央領域の周辺の外側に位置する係合位置に変位可能であるという点で独特である。
【0030】
それにより、管路を非永続的な形態で取り付けることができる。ピボットアームを回動させてこれが中央領域の周囲の外側の係合位置に至るようになり、操作部材の作動を続けることにより、ピボットアームは、係合フェースと仕切りとの接触が達成されるまで変位し、その後、操作部材を更に作動させると、その結果として、係合フェースと仕切りとの間における力の作用が増大する。
【0031】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体が停止部を有し、ピボットアームが係合位置において停止部に対する当接部を有するという点で独特である。
【0032】
それにより、取り付け工にとって実施が容易な取り付けが達成される。管路は、仕切りに設けられている開口部内に位置決めされ、その後、操作部材を作動させ、その後係合フェースを備えたピボットアームが回動して停止部に当たり、次に仕切りに係合する。これは、操作部材の連続作動によって実施されるのが良い。
【0033】
力伝達手段は、例えばボルトであるのが良く、この場合、操作部材は、ボルトの頭であり、シャンクは、ボルトのねじ山付き本体である。締め付け手段は、例えば、ナットであるのが良く、ナットは、ピボットアームに溶接される。取り付け工は、ダクトを開口部内に位置決めし、そしてねじ工具、例えばスクリューガン(screwgun)でボルト頭をねじ回す。ピボットアームは、ボルトとナットとの間の摩擦の作用を受けて回動して停止部に当たる。作動の続行により、係合フェースを備えたピボットアームは、係合フェースが仕切りに係合するまで変位することになる。トルク制御方式のスクリューガンを用いることによって、管路と仕切りとの間に所望の予備応力を加える力が達成されると、スクリューガンは、自動的にシャットオフされる。
【0034】
操作ユニットを取り付けによって逆方向に作動させることにより、ピボットアームが解除され、このピボットアームは、回動して外周領域から遠ざかり、その結果、管路を取り外すことができるようになる。
【0035】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、力伝達手段のシャンクが中空であり、力伝達手段のシャンクが雌ねじを備え、締め付け手段が中空シャンクを貫通すると共に取り付け孔を貫通したシャンクを有するボルトを含み、ピボットアームがボルトのシャンクに固定され、方向指示器がピボットアームの位置を示すためにボルトの端部のところに形成されているという点で独特である。それにより、ピボットアームについて方向の正確な決定が保証される。ボルト端部が取り付け工に見えると、取り付けによって、ピボットアームは、その係合フェースが仕切りの他方の面又は側と対向した状態で正確に設けられるようになる。好ましくは、中空シャンクとボルトシャンクとの間にはねじ山の噛み合いが存在することになる。
【0036】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体が停止部を有し、ピボットアームが係合位置において停止部に対する当接部を有し、フランジから見て最も遠くに位置する停止部の端のところに支持プレートが設けられ、支持プレートが全体として、フランジに平行であり、支持プレートは、ボルトの頭が支持プレートの一方の側のところに位置し、ピボットアームが支持プレートの他方の側のところに位置すると、ボルトを受け入れてこれを保持する通路開口部を有するという点で独特である。支持プレートを用いることにより、ピボットアームは、取り付け中であっても落下することがないようになる。取り付け工が締め付け手段を誤った方向にねじ締めした状況であっても、ボルトは、ピボットアーム及びボルト頭が支持プレートの各側に位置しているので支持プレートに取り付けられたままであろう。これは、管路が同じ階の部屋の間仕切りの形態をした仕切り内に設けられるべき場合に特に有用な場合がある。というのは、この場合、ピボットアームは、再び入手することが極めて困難な場合があるからである。
【0037】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、取り付け前及び取り付け中、ピボットアームは、接着剤、好ましくはLoctite(商標)で支持プレートに締結されるという点で独特である。それにより、ボルトとピボットアームの一時的なロックが達成される。これにより、ピボットアームは、その適正な位置に保持されるようになる。管路を取り付けることによって、ピボットアームは、仕切りの開口部の周囲内に納められるようになる。
【0038】
さらに、接着剤、好ましくはLoctite(商標)をボルトシャンクと力伝達手段の中空内部との間に施すことが可能である。それにより、ピボットアームは、締め付け手段を係合に向かう方向にねじ締めすると、追随するようになる。
【0039】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体がU字形ブレースを含み、Uの開口部が締め付け手段に向き、Uの脚部相互間の距離が締め付け手段の幅よりも小さいという点で独特である。それにより、管路の簡単な取り付けが達成される。締め付け手段を変位させることにより、締め付け手段は、Uの脚部を外方に変位させ、Uの脚部相互間に入り込む。というのは、締め付け手段と係合構造体との間の接触フェースのうちの少なくとも1つが傾いているからである。ブレースは、一方又は両方の脚部が外方に変位されるよう構成されているのが良い。一段と変位させることにより、係合フェースを備えたUの最も外側の脚部は、仕切りに係合することになる。
【0040】
ブレースは、締め付け手段を変形させてブレース材料の降伏強度を超えるようにする点で永続的な変形が可能であっても良く或いは締め付け手段によるブレースの変形がブレース材料の降伏強度を超えるようにするのを回避することによって非永続的な変形が可能であっても良い。
【0041】
所望の永続的取り付け時に永続的変形(永久歪)が用いられる。非永続的変形は、管路を取り外すことができるようにすることが望ましい場合に用いられる。
【0042】
非永続的変形が望ましい場合の適当なブレース材料は、ばね鋼である。
【0043】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体がU字形ブレースを含み、Uの底部が締め付け手段に向き、Uの脚部が係合フェースの変位により永続的に変形するという点で独特である。
【0044】
それにより、永続的な簡単な取り付けが達成される。
【0045】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、Uの脚部が設計上、変形ゾーンを形成するために少なくとも1つの細い断面領域を備えているという点で独特である。
【0046】
それにより、ブレースが既定の変形ゾーンを有することが達成される。それにより、係合フェースが構成される場所を制御することが可能である。さらに、断面の絞りは、偶発的な亀裂生成が回避されるよう設計されるのが良い。
【0047】
変形例として、断面絞りは、あらかじめ曲げられた曲げ線又はこれに類似した材料の弱め部と組み合わされても良く、これに置き換えられても良い。
【0048】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、係合構造体がL字形アングルを含み、接触フェースがLの足部に形成され、傾斜係合フェースがLの脚部に形成され、フランジが内側部から上に延びていて、傾斜案内面を備えた案内を含み、案内面が半径方向変位の一部の間、係合フェースと接触関係をなすという点で独特である。
【0049】
本発明のこの実施形態では、大きな力が仕切りに伝達可能である。
【0050】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、L字形アングルは、隣接の連結装置に設けられたL字形アングルに連結されるという点で独特である。
【0051】
それにより、管路を連続した共通の係合構造体を備えた状態で構成できる。
【0052】
特定の実施形態では、係合構造体は、取り付け孔に対向した開口部を備えるカップとして設計される。
【0053】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、連結装置がハウジングを含み、締め付け手段が楔であり、係合構造体が楔であり、締め付け手段及び係合構造体がハウジング内に配置されているという点で独特である。
【0054】
それにより、管路は、仕切りに対して直角な方向と仕切りと平行な方向の両方向において十分な保持作用を備えた状態で自動調心状態になることが達成される。
【0055】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、案内開口部がフランジに締結されたカラー又は案内管を備えているという点で独特である。
【0056】
それにより、パイプの確実な案内が達成される。
【0057】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、カラー又は案内管が少なくとも1本のパイプに密着するための少なくとも1つの内部パイプ充填材を備えているという点で独特である。
【0058】
それにより、フランジとパイプとの間の緊密な連結が達成される。
【0059】
別の実施形態によれば、本発明の管路は、管路が外周領域内に設けられていて仕切りに密着するフランジ充填材を含むという点で独特である。
【0060】
本発明の変形実施形態では、連結装置は、締め付け手段の長手方向変位を阻止する長手方向停止部を備える。
【0061】
締め付け手段の変位が制限されるので、生じる応力は、既定の最大値に制限されることになる。操作部材が完全に固定されるまで操作部材を作動させることによって、取り付け工は、技術士によって望まれる締まり具合が達成されていることを確信することができる。それにより、管路が弛んだ状態になる恐れが減少する。
【0062】
次に、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。