(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911902
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】間接活線工事用先端工具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20160414BHJP
B25B 5/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
H02G1/02
B25B5/04
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-53745(P2014-53745)
(22)【出願日】2014年3月17日
(65)【公開番号】特開2015-177688(P2015-177688A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】森山 裕之
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−182820(JP,A)
【文献】
特開2008−245340(JP,A)
【文献】
実開昭63−92652(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
B25B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定され、係止対象物を係止可能な間接活線工事用先端工具であって、
前記絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定される接続部を基端部に設けた棒状の軸部、この軸部が延びる方向に対して迂回するように、C字状に湾曲した湾曲部、及びこの湾曲部の先端部から連続してループ状に延びると共に、前記係止対象物を導入可能に、先端部が前記軸部の先端部と所定の開口を設けたフック部を有する先端工具本体と、
基端部を前記湾曲部の中間部に回動自在に連結すると共に、基端部からV字状に開角して、基端部から遠心方向に延びる第1アーム及び第2アームを有し、これらの第1アーム及び第2アームが前記湾曲部と前記フック部で囲われた内部に配置されたベルクランク状の揺動レバーと、を備え、
前記湾曲部の先端部を先頭にして前記軸部を略起立させた状態では、前記第1アームが前記湾曲部の下腕に当接して、前記揺動レバーの一方の方向への回動が制止されると共に、前記開口を介して、前記第1アームと前記第2アームの間に前記係止対象物を導入できる第1の姿勢と、
前記第1アームと前記第2アームの間に前記係止対象物を導入した後に、前記絶縁操作棒を引き下げると、前記係止対象物が前記第2アームを相対的に押し上げて、前記揺動レバーを他方の方向へ回動させると共に、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記フック部で前記係止対象物を閉塞する第2の姿勢に、前記揺動レバーを変位自在な、間接活線工事用先端工具。
【請求項2】
前記揺動レバーが前記第2の姿勢のときは、前記第2アームが前記湾曲部の上腕に当接して、前記揺動レバーの他方の方向への回動が制止される請求項1記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項3】
前記第1アームは、前記フック部の先端部側を外周方向から導入可能に板厚方向に部分的に分岐していると共に、前記第2アームは、前記フック部及び前記湾曲部の上腕を外周方向から導入可能に板厚方向に部分的に分岐している請求項1又は2記載の間接活線工事用先端工具。
【請求項4】
前記揺動レバーは、前記湾曲部の中間部を外周方向から導入可能に、基端部が二山クレビス状に分岐している請求項1から3のいずれかに記載の間接活線工事用先端工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接活線工事用先端工具に関する。特に、絶縁操作棒などを用いて、無停電状態の高圧配電線を間接的に活線作業できる間接活線工事用工具であって、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作するためのフック形状のバインド打ち器を改良して、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具に設けたリング部材などを確実に保持可能とした間接活線工事用先端工具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線を無停電で配電工事を行う活線作業には、直接活線工法と間接活線工法の二通りがある。直接活線工法は、作業者が高圧ゴム手袋などの保護具を着用して、通電中の高圧配電線に直接触れて配電工事を行う。一方、間接活線工法は、作業者が絶縁操作棒(ホットスティック)などを用いて、通電中の高圧配電線に直接触れることなく配電工事を行うことができる。
【0003】
一般に、絶縁操作棒は、長尺の操作棒とこの操作棒の先端部に取り付けた配電作業用工具(以下、先端工具という)で構成している。そして、絶縁操作棒は、高圧配電線を把持、又は切断するなど、作業目的に対応して、先端工具を交換できるように構成している。
【0004】
このような先端工具として、高所に配置された高圧配電線の被覆を剥離可能な、間接活線工事用の電線被覆剥離工具、及びこの電線被覆剥離工具を操作するための間接活線工事用のフック形状のバインド打ち器(先端工具)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−182820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6は、従来技術による電線被覆剥離工具の一例を示す斜視図である。本願の
図6は、特許文献1の
図10に相当している。又、
図7は、従来技術によるバインド打ち器の一例を示す図であり、
図7(A)は、バインド打ち器の左側面図、
図7(B)は、バインド打ち器の正面図である。
【0007】
図6を参照すると、電線被覆剥離工具(以下、剥離工具と略称する)7は、電線Wの被覆を剥離できる切断刃7cを本体7bに備えている。又、剥離工具7は、アイハンドル71とアイボルト72を本体7bに備えている。アイハンドル71とアイボルト72は、それらの軸中心が直交するように配置されている。
【0008】
図6を参照すると、アイハンドル71は、送りねじ部71sと蝶形の把持部71cを有している。送りねじ部71sは、本体7bとねじ結合している。把持部71cを回転することで、電線Wをその外周方向から押圧する可動ダイスを移動できる。把持部71cは、後述するバインド打ち器8に設けたフック部8aが係合可能な係合穴71hを中央部に開口している。係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、固定ダイスに向かって可動ダイスを進出できる。そして、固定ダイスと可動ダイスが相対的に近づくことで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。次に、剥離工具7を電線Wの回りに360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。
【0009】
図6を参照すると、アイボルト72は、円柱状の絶縁シャフト72sと円環状の操作リング72rを備えている。絶縁シャフト72sは、その基端部を本体7bに固定している。又、絶縁シャフト72sは、その先端部に操作リング72rを取り付けている。
【0010】
図6又は
図7を参照すると、バインド打ち器8は、長尺の絶縁操作棒80の先端部に着脱自在に取り付けられている。
図6に示したバインド打ち器8は、ツイストロックと呼ばれる接続金具(図示せず)を基端部に備えている。絶縁操作棒80は、用途の異なる先端工具を交換自在な、いわゆる共用操作棒であって、ツイストロック形のバインド打ち器8を先端部に取り付けている。
【0011】
一方、
図7に示したバインド打ち器8は、円板状の菊座部8bを基端部に備えている。絶縁操作棒80の先端部に設けたツイストロック形の接続金具(図示せず)に雄ねじ部を設け、菊座部8bの中央部に雄ねじ部を挿通すると共に、蝶ナット(図示せず)を雄ねじ部に締結することで、絶縁操作棒80が延びる方向に対して、任意の角度でバインド打ち器8を固定できる(
図6参照)。
【0012】
図6又は
図7を参照すると、バインド打ち器8は、棒状の軸部8sとフック部8aを備えている。フック部8aは、軸部8sから連続して、C字状に屈曲している。又、バインド打ち器8は、円柱状のピン部8pを備えている。ピン部8pは、フック部8aの開口8kと反対側に、軸部8sから突出している。なお、バインド打ち器の名称は、高圧配電線を碍子に支持するバインド線を操作できることに由来している。
【0013】
次に、
図6又は
図7を参照して、電線被覆の剥離方法を説明する。最初に、間接活線工事用の把持工具6を用いて、電線Wを下方から支持する。次に、係合穴71hにフック部8aを係止し、把持部71cを軸回りに一方の方向に回転することで、切断刃7cを電線Wの被覆に食い込ませることができる。
【0014】
次に、
図6を参照して、ピン部8pを操作リング72rに挿入し、剥離工具7が電線Wの回りに時計方向(図中、矢印A参照)に旋回する力に抗して、剥離工具7が電線Wの回りに反時計方向(図中、矢印B参照)に360度旋回することで、電線Wの被覆を剥離できる。そして、例えば、電線Wの被覆を端末から引き抜くことで、電線Wの芯線を露出できる。
【0015】
なお、
図6を参照すると、剥離工具7は、電線Wを把持した状態で、アイボルト72が下方に垂れ下がるように、重心を構成している。これにより、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に旋回したときに、重心の位置が変わることから、剥離工具7は電線Wの回りに時計方向に旋回する力が発生する。
【0016】
しかしながら、従来技術による電線被覆の剥離方法は、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略90度以上旋回させようとすると、フック部8aが絶縁シャフト72sに妨げられて、それ以上の旋回が困難であるという問題があった。
【0017】
このような不具合を解消するため、
図6を参照して、フック部8aを操作リング72rに挿入し、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度以上旋回し、剥離工具7がその重量バランスから反時計方向に旋回するようになった時点で、反対側からフック部8aを操作リング72rに係止し、更に、剥離工具7を電線Wの回りに反時計方向に略180度旋回することで、電線Wの被覆を剥離していた。
【0018】
しかし、
図6又は
図7を参照すると、前述した電線被覆の剥離方法であっても、剥離工具7を旋回している途中で、フック部8aから操作リング72rが外れ易いという問題があった。以上のことから、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具に設けたリング部材などを確実に保持可能とした間接活線工事用先端工具が求められていた。
【0019】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電線の被覆を剥離する電線被覆剥離工具に設けたリング部材などを確実に保持可能とした間接活線工事用先端工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、係止対象物を導入可能に、先端部が軸部の先端部と所定の開口を設けたフック部を有する先端工具本体と、フック部で囲われた内部に配置されたベルクランク状の揺動レバーで間接活線工事用先端工具を構成し、揺動レバーの内部に係止対象物を導入した後に、絶縁操作棒を引き下げると、係止対象物が揺動レバーを相対的に押し上げて、揺動レバーを他方の方向へ回動させると共に、揺動レバーとフック部で係止対象物を閉塞する第2の姿勢に、揺動レバーを変位自在に構成することで、リング部材などの係止対象物を確実に保持できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たな間接活線工事用先端工具を発明するに至った。
【0021】
(1)本発明による間接活線工事用先端工具は、長尺の絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定され、係止対象物を係止可能な間接活線工事用先端工具であって、前記絶縁操作棒の先端部に着脱自在に固定される接続部を基端部に設けた棒状の軸部、この軸部が延びる方向に対して迂回するように、C字状に湾曲した湾曲部、及びこの湾曲部の先端部から連続してループ状に延びると共に、前記係止対象物を導入可能に、先端部が前記軸部の先端部と所定の開口を設けたフック部を有する先端工具本体と、基端部を前記湾曲部の中間部に回動自在に連結すると共に、基端部からV字状に開角して、基端部から遠心方向に延びる第1アーム及び第2アームを有し、これらの第1アーム及び第2アームが前記湾曲部と前記フック部で囲われた内部に配置されたベルクランク状の揺動レバーと、を備え、前記湾曲部の先端部を先頭にして前記軸部を略起立させた状態では、前記第1アームが前記湾曲部の下腕に当接して、前記揺動レバーの一方の方向への回動が制止されると共に、前記開口を介して、前記第1アームと前記第2アームの間に前記係止対象物を導入できる第1の姿勢と、前記第1アームと前記第2アームの間に前記係止対象物を導入した後に、前記絶縁操作棒を引き下げると、前記係止対象物が前記第2アームを相対的に押し上げて、前記揺動レバーを他方の方向へ回動させると共に、前記第1アーム、前記第2アーム、及び前記フック部で前記係止対象物を閉塞する第2の姿勢に、前記揺動レバーを変位自在になっている。
【0022】
(2)前記揺動レバーが前記第2の姿勢のときは、前記第2アームが前記湾曲部の下腕に当接して、前記揺動レバーの他方の方向への回動が制止されることが好ましい。
【0023】
(3)前記第1アームは、前記フック部の先端部側を外周方向から導入可能に板厚方向に部分的に分岐していると共に、前記第2アームは、前記フック部及び前記湾曲部の上腕を外周方向から導入可能に板厚方向に部分的に分岐していることが好ましい。
【0024】
(4)前記揺動レバーは、前記湾曲部の中間部を外周方向から導入可能に、基端部が二山クレビス状に分岐していることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明による間接活線工事用先端工具は、第1アームと第2アームの間に操作リングなどの係止対象物を導入した後に、絶縁操作棒を引き下げると、係止対象物が第2アームを相対的に押し上げて、揺動レバーを他方の方向へ回動させると共に、第1アーム、第2アーム、及びフック部で係止対象物を閉塞できる。これにより、係止対象物が間接活線工事用先端工具から外れ難くなり、係止対象物を確実に保持した状態で、絶縁操作棒を容易に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態図である。
【
図2】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態において、間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーを縦断面で示している。
【
図3】前記実施形態による間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーの斜視図であり、
図3(A)は、揺動レバーを背面側から観た状態図、
図3(B)は、揺動レバーを正面側から観た状態図である。
【
図4】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態図である。
【
図5】前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態において、間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーを縦断面で示している。
【
図6】従来技術による電線被覆剥離工具の一例を示す斜視図である。
【
図7】従来技術によるバインド打ち器の一例を示す図であり、
図7(A)は、バインド打ち器の左側面図、
図7(B)は、バインド打ち器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[間接活線工事用先端工具の構成]
最初に、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態図である。
図2は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入する前の状態において、間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーを縦断面で示している。
【0029】
図3は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーの斜視図であり、
図3(A)は、揺動レバーを背面側から観た状態図、
図3(B)は、揺動レバーを正面側から観た状態図である。
【0030】
図4は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の構成を示す正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態図である。
図5は、前記実施形態による間接活線工事用先端工具の正面図であり、係止対象物をフック部に導入した状態において、間接活線工事用先端工具に備わる揺動レバーを縦断面で示している。
【0031】
なお、係止対象物としては、
図6に示した操作リング72rを実施例として開示するが、係止対象物は操作リングに限定されることなく、
図6に示した電線Wであってもよい。
【0032】
(全体構成)
図1から
図5を参照すると、本発明の一実施形態による間接活線工事用先端工具(以下、バインド打ち器という)10は、先端工具本体1とベルクランク状の揺動レバー2を備えている。先端工具本体1は、棒状の軸部1s、湾曲部1c、及びフック部1hを有している。軸部1sは、その基端部に接続部1bを設けている。接続部1bは、絶縁操作棒80の先端部に着脱自在に固定できる(
図6参照)。
【0033】
図1又は
図2及び
図4又は
図5を参照すると、湾曲部1cは、軸部1sが延びる方向に対して迂回するように、C字状に湾曲している。フック部1hは、湾曲部1cの先端部から連続してループ状に延びている。又、フック部1hは、操作リング72r(
図6参照)を導入可能に、先端部が軸部1sの先端部と所定の開口1kを設けている。なお、実施形態による先端工具本体1は、
図7に示したバインド打ち器8と形状が略同じであるが、説明の便宜上、先端工具本体1の各部位を特定した。
【0034】
図1から
図5を参照すると、揺動レバー2は、その基端部を湾曲部1cの中間部に回動自在に連結している。又、揺動レバー2は、その基端部からV字状に開角して、基端部から遠心方向に延びる、一組の第1アーム21及び第2アーム22を有している。そして、一組の第1アーム21及び第2アーム22は、湾曲部1cとフック部1hで囲われた内部に配置されている(
図1又は
図2参照)。
【0035】
図1又は
図2を参照して、湾曲部1cの先端部を先頭にして軸部1sを略起立させた状態では、第1アーム21が湾曲部1cの下腕11cに当接している。そして、自重による揺動レバー2の一方の方向(反時計方向)への回動が制止されている。
図1又は
図2に示した揺動レバー2の第1の姿勢では、第1アーム21と第2アーム22の間に操作リング72rを導入できる。
【0036】
図4又は
図5を参照して、第1アーム21と第2アーム22の間に操作リング72rを導入した後に(
図1又は
図2参照)、絶縁操作棒80を引き下げると(
図6参照)、操作リング72rが第2アーム22を相対的に押し上げることができる。そして、揺動レバー2を他方の方向(時計方向)へ回動させることができる。
【0037】
図4又は
図5に示した揺動レバー2の第2の姿勢では、第1アーム21、第2アーム22、及びフック部1hで操作リング72rを閉塞できる。
【0038】
このように、実施形態によるバインド打ち器10は、絶縁操作棒80を操作することで、揺動レバー2を第1の姿勢から第2の姿勢へと変位できる。なお、実施形態によるバインド打ち器10は、絶縁操作棒80を押し上げることで、揺動レバー2を第2の姿勢から第1の姿勢へと変位することもできる。
【0039】
(先端工具本体の構成)
図1又は
図2及び
図4又は
図5を参照すると、先端工具本体1は、円板状の菊座部11bを接続部1bに備えている。絶縁操作棒80の先端部に設けたツイストロック形の接続金具(図示せず)に雄ねじ部を設け、菊座部11bの中央部に雄ねじ部を挿通すると共に、蝶ナット(図示せず)を雄ねじ部に締結することで、絶縁操作棒80が延びる方向に対して、任意の角度で軸部1sを固定できる(
図6参照)。
【0040】
接続部1bは、用途の異なる先端工具を交換自在な共用操作棒に接続可能なツイストロック形の一対の鉤穴を有するように構成してもよい。
【0041】
図1又は
図2及び
図4又は
図5を参照すると、先端工具本体1は、円柱状のピン部1pを更に備えている。ピン部1pは、湾曲部1cとフック部1hで囲われた開口1kと反対側に、軸部1sから突出している。例えば、ピン部1pを操作リング72rに挿入し、剥離工具7を電線Wの回りに旋回できる(
図6参照)。
【0042】
(揺動レバーの構成)
図3を参照すると、揺動レバー2は、その基端部を二山クレビス形に形成している。又、揺動レバー2は、回動ピン2pが圧入される圧入穴2hを基端部に開口している。
図2又は
図4を参照すると、湾曲部1cは、回動ピン2pと回転自在に連結する連結穴11hを中間部に開口している。湾曲部1cの中間部を二山クレビス形の揺動レバー2の基端部に嵌合させると共に、連結穴11hと圧入穴2hを一致させて、圧入穴2hに回動ピン2pを圧入することで、揺動レバー2の基端部を湾曲部1cの中間部と回動可能に連結できる。
【0043】
図3を参照すると、第1アーム21は、その板厚方向に分岐した一対の第1分岐片21a・21bで先端部側を構成している。
図4又は
図5を参照すると、操作リング72rを閉塞した揺動レバー2の第2の姿勢では、一対の第1分岐片21a・21bの間に、フック部1hの先端部側を外周方向から導入している。これにより、第1アーム21とフック部1hで操作リング72rを閉塞できる。又、一対の第1分岐片21a・21bの間に、フック部1hの先端部側を導入することで、揺動レバー2の揺動方向と直交する方向に、揺動レバー2が移動すること(いわゆる、横揺れ)を規制できる。
【0044】
図3を参照すると、第2アーム22は、その板厚方向に分岐した一対の第2分岐片22a・22bで先端部側から基端部に亘り構成している。
図4又は
図5を参照すると、操作リング72rを閉塞した揺動レバー2の第2の姿勢では、一対の第2分岐片22a・22bの間に、フック部1h及び湾曲部1cの上腕12cを外周方向から導入している。これにより、第2アーム22とフック部1hで操作リング72rを閉塞できる。又、一対の第2分岐片22a・22bの間に、フック部1h及び湾曲部1cの上腕12cを導入することで、揺動レバー2の揺動方向と直交する方向に、揺動レバー2が移動すること(いわゆる、横揺れ)を規制できる。
【0045】
図3から
図5を参照して、一対の第2分岐片22a・22bの内壁の間隔は、フック部1hの基端部の直径よりも僅かに狭くすることが好ましく、一対の第2分岐片22a・22bがフック部1hの基端部を挟持することで、操作リング72rを閉塞した揺動レバー2の第2の姿勢から、揺動レバー2が第1の姿勢へと変位することを抑制できる。
【0046】
[間接活線工事用先端工具の作用]
次に、実施形態によるバインド打ち器10の作用及び効果を説明する。
図1又は
図2を参照すると、バインド打ち器10は、C字状に湾曲した湾曲部1cの中間部に、ベルクランク状の揺動レバー2の基端部を回動可能に連結している。そして、フック部1hの先端部と軸部1sの先端部で形成されて開口1kを介して、第1アーム21と第2アーム22の間に操作リング72rを導入できるように、揺動レバー2は、湾曲部1cとフック部1hで囲われた内部に配置されている。
【0047】
図4又は
図5を参照すると、バインド打ち器10は、第1アーム21と第2アーム22の間に操作リング72rを導入した後に、絶縁操作棒80を引き下げると、操作リング72rが第2アーム22を相対的に押し上げて、揺動レバー2を他方の方向へ回動させると共に、第1アーム21、第2アーム22、及びフック部1hで操作リング72rを閉塞できる。これにより、操作リング72rがバインド打ち器10から外れ難くなり、操作リング72rを確実に保持した状態で、絶縁操作棒80を容易に旋回(操作)できる(
図6参照)。
【0048】
又、
図3又は
図4を参照すると、バインド打ち器10は、一対の第1分岐片21a・21bの間に、フック部1hの先端部側を導入でき、一対の第2分岐片22a・22bの間に、フック部1h及び湾曲部1cの上腕12cを導入でき、揺動レバー2の横揺れを規制できる。
【0049】
図3又は
図4を参照すると、バインド打ち器10は、一対の第2分岐片22a・22bの内壁の間隔は、フック部1hの基端部の直径よりも僅かに狭くすることが好ましく、揺動レバー2の第2の姿勢をロックできる。
【0050】
本発明による間接活線工事用先端工具は、以下の効果が期待できる。
(1)間接活線工事用先端工具で係止対象物を係止した後に、係止対象物が間接活線工事用先端工具から外れ難くなる。
(2)電線被覆剥離工具を急速に旋回できる。
(3)電線なども確実に保持できる。
【符号の説明】
【0051】
1 先端工具本体
1b 接続部
1c 湾曲部
1h フック部
1k 開口
1s 軸部
2 揺動レバー
10 バインド打ち器(間接活線工事用先端工具)
11c 下腕
21 第1アーム
22 第2アーム