(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記中子固定機能の指令を含む前記加工プログラムを解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置。
前記中子固定機能動作領域検出手段は、加工経路上の加工距離を解析することにより、所定の設定手段により設定された前記加工経路上の所定距離毎に前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置。
前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工プログラムの加工ブロックの始点または終点または中点を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置。
前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工形状情報から加工形状の重心位置を通る直角に交差する2直線と前記加工形状との交点を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置。
前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工形状情報から加工形状の直線と直線との交点または直線と曲線との交点または曲率の変わる点の少なくともいずれか1つの点から所定距離だけ離れた位置を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置。
【背景技術】
【0002】
図16は従来技術の描画処理を示すフローチャートである。加工プログラムの加工ブロックを読み込み(S11)、読み込んだ加工ブロックのデータに基づいて、加工形状、距離、終点を算出し(S12)、加工経路部の描画処理(
図14参照)を実行し、処理を終了する。
図17は従来技術の描画処理による描画結果を示す図である。ワイヤ放電加工機を制御する数値制御装置やパーソナルコンピュータを用いて構成される加工経路描画装置の表示画面には、ワーク1の画像が表示され、加工開始点3から加工経路4に沿って加工が行われ、中子2が形成されることがシミュレーションにより画像表示される。
【0003】
一方、これまで種々の中子固定機能を備えたワイヤ放電加工機の技術が提案されている。特許文献1にはワイヤ放電加工における工作物切り残し加工方法が開示されている。この加工方法は、工作物からの切り抜き物の落下を防止し、切り残し部を再度の放電加工で加工することなく、溶着部を外力で破壊して切り抜き物を切り離し、加工時間を短縮して加工効率を向上させるものである。
【0004】
特許文献2にはワイヤ放電加工機用の加工用プログラム編集方法及び加工用プログラム編集システムが開示されている。そして、特許文献2の要約に、加工用プログラムを解析し、溶着長さ、溶着箇所、その個数をコンピュータで自動計算し、加工用プログラムに溶着工程のON・OFFの指令を自動的に挿入し、パソコンの画面上での確認を可能、と記載されている。また段落「0031」には、加工用プログラムに、溶着部20を形成するか否かのON・OFF指令を自動的に挿入し、NCプログラムを編集する(ステップS8)、と記載されている(なお、符号やステップは特許文献2内の表記である)。
【0005】
特許文献3にはワイヤ放電加工機およびワイヤ放電加工機用自動プログラミング装置が開示されている。特許文献3の要約として、中子(コア)をワーク母材に固定するために最低限必要な量の付着物を堆積させる箇所を任意に設定できるワイヤ放電加工機およびワイヤ放電加工機用自動プログラミング装置を提供する、と記載されている。
特許文献4にはワイヤ放電加工機の加工プログラム生成装置が開示されている。特許文献4の要約として、煩雑な作業を介することなくワイヤ電極の成分を中子に付着させることができるワイヤ放電加工機の加工プログラム生成装置を提供する、と記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
作業者が中子固定機能を用いた加工をワイヤ放電加工機を用いて行う場合は、
・ 中子固定機能の動作の有無
・ 中子固定機能の動作する位置
・ 中子固定機能の動作する距離
・ 中子固定機能の動作する数量
など、中子の固定が問題無く行われるか確認したい場合がある。通常、加工内容を確認する手段としては「描画」または「加工プログラム及び設定内容の参照」または「ドライランによる擬似運転」が使用される。中子固定機能は加工中に動作するが、「描画」では中子固定機能の動作内容を表示しないため、中子固定機能の動作を確認出来ない。
【0008】
「加工プログラム及び設定内容の参照」では、中子固定機能が指令されるコードが加工プログラム内にある場合は、中子固定機能が動作することは確認できる。中子が十分に固定されるかどうか判断するためには、中子の大きさや重心位置を考慮した中子固定機能動作部分の相対的な位置関係も合わせて確認する必要がある。しかし、この確認内容を作業者が加工プログラムだけで推測することは困難である。また、中子固定機能が加工プログラムによる指令ではなく、設定により動作する場合も前記と同様であり、中子が十分に固定するか判断することは困難である。また、「ドライランによる擬似運転」の場合は、中子固定機能が実際に動作していることを確認できるが、前記と同様で中子が十分に固定されるかどうか判断することは困難である。
【0009】
特許文献1に開示される加工方法は、中子固定機能の実動作に関するもので、描画で中子固定機能の実行内容を確認出来る技術は開示されていない。特許文献2にはNCプログラムを自動的に編集するが、中子固定機能の実行/非実行を切り替えるためで、描画で中子固定機能の実行内容を確認する技術は開示されていない。特許文献3の段落「0045」にプログラム例が記載されているが、中子固定機能を実行させるためのものであり、描画で中子固定機能の実行内容を確認する技術は開示されていない。特許文献4の段落「0030」に、ステップS20で生成された中子Aの形状データ、およびステップS60で設定された付着領域Bに基づいて、加工プログラムを生成し、と記載されている。しかしこれは、NCプログラムを自動的に生成するが中子固定機能を実行させるためのものであり、描画で中子固定機能の実行内容を確認する技術は開示されていない。
【0010】
以上より、いずれの従来技術でも中子の固定確認は困難となり、この確認工程を省くことが予想される。このような状況で中子固定機能を含む加工プログラムや設定に誤りがあった場合には、中子が切り落ち、落ちた中子で機械に大きな損傷を与え、生産性を著しく低下させてしまう問題があった。
【0011】
そこで本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、ワイヤ放電加工機において中子をワーク母材に固定する機能(以下、「中子固定機能」と称す)を用いて行われる加工を、描画によりシミュレーションしたときに、中子固定機能の動作内容を確認することが可能なワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の請求項1に係る発明は、加工プログラムの指令に基づいてワイヤ電極と被加工物を相対移動させ、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間に発生させる放電によって前記被加工物を放電加工し、前記放電加工によって生じる加工屑を付着・堆積させることによって、前記放電加工により生成される中子と前記被加工物を固定する中子固定機能を有するワイヤ放電加工機の加工経路を描画する、ワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置であって、前記加工プログラムを解析して加工形状情報を求める加工形状情報算出手段と、前記加工形状情報の中で前記中子固定機能が動作する領域を求める中子固定機能動作領域検出手段と、前記加工形状情報に基づいて加工経路を描画する際に、前記中子固定機能が動作する領域の表示属性を変えて描画を行う加工経路描画手段と、を有することを特徴とするワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
【0013】
請求項2に係る発明は、前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記中子固定機能の指令を含む前記加工プログラムを解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
請求項3に係る発明は、前記中子固定機能動作領域検出手段は、加工経路上の加工距離を解析することにより、所定の設定手段により設定された前記加工経路上の所定距離毎に前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
【0014】
請求項4に係る発明は、前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工プログラムの加工ブロックの始点または終点または中点を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
請求項5に係る発明は、前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工形状情報から加工形状の重心位置を通る直角に交差する2直線と前記加工形状との交点を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
請求項6に係る発明は、前記中子固定機能動作領域検出手段は、前記加工形状情報から加工形状の直線と直線との交点または直線と曲線との交点または曲率の変わる点の少なくともいずれか1つの点から所定距離だけ離れた位置を解析することにより前記中子固定機能が動作する領域を求めることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ワイヤ放電加工機において中子固定機能を用いて行われる加工を、描画によりシミュレーションしたときに、中子固定機能の動作内容を確認することが可能なワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。本願発明は、中子固定機能の動作内容を作業者が容易に確認できるワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置である。本加工経路描画装置は加工機本体の描画装置だけでなく、これらの演算が求められるのであればパソコンのような外部装置でも使用可能になる。また、前述の描画表示属性は、描画線の色、線種、太さなど、線分を識別できるものであれば良い。
図1は本発明に係るワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置の概略ブロック図である。
図1(a)はワイヤ放電加工機を全体的に制御する数値制御装置を用いてワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置を構成する例である。
【0018】
数値制御装置10はワイヤ放電加工機を制御する制御装置である。CPU11は、軸制御部13、PMC14、SRAM15、モニタ16、ROM17は、バス12を介して相互に接続されている。CPU11は、電源バックアップされたSRAM15に格納された加工プログラムを読み出して解析することにより、各軸を駆動制御する軸制御部13に移動指令を出力する。軸制御部13は入力した移動指令に基づいて図示しない各軸モータを駆動制御する。PMC14はワイヤ放電加工機の周辺機器を制御するコントローラである。モニタ16は加工プログラムや制御用データなどを表示する表示手段である。ROM17は、CPU11がワイヤ放電加工機を全体として制御するプログラムが格納されている。ワイヤ放電加工機を制御する数値制御装置10を、ワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置として用いるために、ROM17には本発明に係る加工経路描画処理のソフトフェアが格納されている。この加工経路描画処理のソフトウェアはCPU11により実行される。描画処理の結果は、モニタ16に表示される。
【0019】
図1(b)はパソコンを用いてワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置を構成する例である。パソコン20は、バス22を介してCPU21と記憶装置25とモニタ26が接続されている。記憶装置25には加工経路描画処理のソフトウェアが格納されている。CPU21により加工経路描画処理のソフトウェアが実行され、描画処理の結果は、モニタ26に表示される。
【0020】
一般的に加工経路描画装置において実行される描画は、加工経路を確認する手段として使用されている。ここで、描画を行う描画処理は、描画処理1)加工ブロックから加工形状情報を求める、描画処理2)加工形状情報から加工経路を描画する、の2つの処理からなる。
【0021】
本発明は、この加工経路の描画内容に中子固定機能が動作する部分を加工経路とは異なる描画表示属性(例えば描画線色)を使用して描画することで、中子固定機能の動作部分を明確にすることが出来る。これにより中子固定機能の動作確認はもちろん、中子固定機能動作部分の相対的な位置関係も分かるため、作業者は労せず中子が十分に固定するか判断することが出来る。このときの描画処理は以下に示される。
【0022】
描画処理1)加工ブロックから加工形状情報を求める。
描画処理2)加工形状情報から中子固定機能を動作する領域か判断する。
描画処理3)中子固定機能を動作する領域と判断した場合、描画の表示属性を変える 動作をしない場合は、描画処理6へ移行する。
描画処理4)中子固定機能の動作領域だけ変更した表示属性で描画する。
描画処理5)描画の表示属性を戻す。
描画処理6)加工形状情報から残りの加工経路を描画する。
【0023】
図2は本発明に係るワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置の機能ブロック図である。
ワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置30は、加工プログラムの指令に基づいてワイヤ電極と被加工物を相対移動させ、前記ワイヤ電極と前記被加工物との間に発生させる放電によって前記被加工物を放電加工し、前記放電加工によって生じる加工屑を付着・堆積させることによって、前記放電加工により生成される中子と前記被加工物を固定する中子固定機能を有するワイヤ放電加工機の加工経路を描画する描画装置である。
【0024】
ワイヤ放電加工機用の加工経路描画装置30は、加工プログラムを解析して加工形状情報を求める加工形状情報算出手段31と、加工形状情報の中で中子固定機能が動作する領域を求める中子固定機能動作領域検出手段32と、加工形状情報に基づいて加工経路を描画する際に、中子固定機能が動作する領域の表示属性を変えて描画を行う加工経路描画手段33、加工経路描画手段33の描画結果を表示する表示装置34とを備えている。
【0025】
次に中子固定機能を動作させる方法を説明する。中子固定機能を動作させる方法として、主として、以下の5つの方法がある。なお、中子固定距離はいずれも2(mm)として例示する。
【0026】
動作方法1) 加工プログラムによる指令で中子固定機能を動作させるときの描画処理
図3は加工プログラムによる指令で中子固定機能を動作させるときの描画処理を示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップS101]加工ブロックを読み込む。
●[ステップS102]加工形状、距離、終点を算出する。
●[ステップS103]中子固定機能動作指令の有無を判定し、動作指令がある場合にはステップS104へ移行し、動作指令がない場合にはステップS105へ移行する。
●[ステップS104]中子固定部の描画処理を実行する(
図13参照)。
●[ステップS105]加工経路部の描画処理を実行し、処理を終了する(
図14参照)。
【0027】
図4は加工プログラムによる指令で中子固定機能を動作させるときのプログラム例である。
図5は加工プログラムによる指令で中子固定機能を動作させたときの描画結果を示す図である。つまり、処理は
図3、プログラム例は
図4になり、そのときの描画結果は
図5になる。
図5に示されるように、中子固定部5a,5bが加工経路上に描画される。
【0028】
図4に示される加工プログラムにおいて、中子固定機能を動作させる指令コードをM100(ブロックN104)としている。ブロックN103ではまだM100が実行されていないため、中子固定機能動作は無効となり、加工経路部として描画される(S105)。ブロックN104にてM100が指令されるため、中子固定機能動作は有効となり、その次の加工ブロックN105が中子固定部として描画される(S104)。分割距離=中子固定距離=2となる(S502)。
【0029】
始点(10,10)、終点(10,−10)より、ベクトルは(0,−20)となる(S702)。分割距離=2、加工形状距離=20の比率より、分割距離のベクトルは(0,−2)となる(S703)。分割の座標は、始点ベクトル+分割距離ベクトル=(10,10)+(0,−2)=(10,8)となる(S704、S709)。したがって(10,10)〜(10,8)が中子固定部の描画になる(S104)。この(10,8)が次描画の始点(S510)、加工形状距離=加工形状距離−分割距離=20−2=18となる(S512)。残りの(10,8)〜(10,−10)が加工経路部の描画になる(S105)。
【0030】
動作方法2) 所定の加工距離毎で中子固定機能を動作させるときの描画処理
この中子固定機能は、特許第5426733号の請求項3に係る発明に相当する。所定の加工距離の設定は、加工プログラムにより所定の値を指定する、あるいは、加工経路描画装置に設定手段を設け、オペレータが所定の値を入力して設定してもよい。
図6は所定の加工距離毎で中子固定機能を動作させるときの描画処理を示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップS201]加工プログラムの加工ブロックを読み込む。
●[ステップS202]加工形状、距離、終点を算出する。
●[ステップS203]累積加工距離と今回のブロックの加工形状距離を加算した値をAとする。また、前回の中子固定機能動作が終了した加工距離と中子固定機能を動作させる所定距離を加算した値をBとする。
●[ステップS204]AがBより大きいか否か判断し、大きい場合(YES)にはステップS205へ移行し、大きくない場合(NO)にはステップS209へ移行する。
●[ステップS205]分割距離を、前回の中子固定機能動作が終了した加工距離に中子固定機能を動作させる所定距離を加算し、加算して得られた値から、累積加工距離を減算した値とする。
【0031】
●[ステップS206]中子固定部までの描画処理を行う(
図12参照)。
●[ステップS207]中子固定部の描画処理を行う(
図13参照)。
●[ステップS208]前回の中子固定機能動作が終了した加工距離と中子固定機能を動作させる所定距離と中子固定距離との和を、前回の中子固定機能動作が終了した加工距離とする。
●[ステップS209]加工経路部の描画処理を実行する(
図14参照)。
●[ステップS210]累積加工距離に今回のブロックの加工形状距離を加算した値を累積加工距離とし、処理を終了する。
【0032】
図7はその他の中子固定機能を動作させるときの加工プログラムの例を示す図である。
図8は所定の加工距離毎で中子固定機能を動作させたときの描画結果を示す図である。つまり、処理は
図6、プログラム例は
図7、そのときの描画結果は
図8になる。
図8に示されるように、中子固定部6a,6b,6cが加工経路上に描画される。
【0033】
中子固定機能を動作させる所定距離=20とする。この例ではアプローチ部(ブロックN202、ブロックN208)は累積加工距離に加算しない描画結果としている。ブロックN203では、A=累積加工距離+今回のブロックの加工形状距離=0+10、B=前回の中子固定機能動作が終了した加工距離+中子固定機能を動作させる所定距離=0+20より、A<Bとなるため、中子固定機能動作は無効となり加工経路部として描画される(S203、S204)。
【0034】
累積加工距離=累積加工距離+今回の加工ブロックの加工形状距離=0+10=10となる(S210)。ブロックN204では、A=10+20、B=0+20、A>Bとなるため、中子固定機能動作は有効となる(S203、S204)。分割距離=前回の中子固定機能動作が終了した加工距離+中子固定機能を動作させる所定距離−累積加工距離=0+20−10=10となる(S205)。
【0035】
まず、中子固定部までの描画だが、始点(10,10)、終点(10,−10)より、ベクトルは(0,−20)となる(S702)。分割距離=10、加工形状距離=20の比率より、分割距離のベクトルは(0,−10)となる(S703)。
【0036】
分割の座標は、始点ベクトル+分割距離ベクトル=(10,10)+(0,−10)=(10,0)となる(S704、S709)。したがって(10,10)〜(10,0)が中子固定部まで(加工経路部)の描画になる(S206)。この(10,0)が次描画の始点(S407)、加工形状距離=加工形状距離−分割距離=20−10=10となる。(S409)
【0037】
次に中子固定部の描画であるが、始点(10,0)、終点(10,−10)より、ベクトルは(0,−10)となる(S702)。分割距離=中子固定距離=2、加工形状距離=10の比率より、分割距離のベクトルは(0,−2)となる(S703)。分割の座標は、始点ベクトル+分割距離ベクトル=(10,0)+(0,−2)=(10,−2)となる(S704、S709)。したがって(10,0)〜(10,−2)が中子固定部の描画になる(S207)。この(10,−2)が次描画の始点(S510)、加工形状距離=加工形状距離−分割距離=10−2=8となる(S512)。
【0038】
前回の中子固定機能動作が終了した加工距離=前回の中子固定機能動作が終了した加工距離+中子固定機能を動作させる所定距離+中子固定距離=0+20+2=22となる(S208)。残りの(10,−2)〜(10,−10)が加工経路部の描画になる(S209)。累積加工距離=累積加工距離+今回の加工ブロックの加工形状距離=10+20(10+2+8)=30になる(S210)。
【0039】
動作方法3) 加工ブロックの始点または終点または中点から中子固定機能を動作させるときの描画処理
図9は加工ブロックの中点から中子固定機能を動作させるときの描画処理を示すフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップS301]加工ブロックを読み込む。
●[ステップS302]加工形状、距離、および、終点を算出する。
●[ステップS303]加工形状距離を判別し、0でなければ、中子固定機能動作が有効であるとして、ステップS304へ移行し、0であれば、中子固定機能動作が無効であるとして、ステップS307へ移行する。
●[ステップS304]加工形状距離を2で除算して得られた値を分割距離とする。
●[ステップS305]中子固定部までの描画処理を実行する(
図12参照)。
●[ステップS306]中子固定部の描画処理を実行する(
図13参照)。
●[ステップS307]加工経路部の描画処理を実行し、処理を終了する(
図14参照)。
【0040】
図7はその他の中子固定機能を動作させるときの加工プログラムの例を示す図である。
図10は加工ブロックの中点から中子固定機能を動作させたときの描画結果を示す図である。つまり、処理は
図9、プログラム例は
図7になり、そのときの描画結果は
図10になる。
【0041】
中子固定機能を中点から動作させる内容としている。
図10に示されるように、中子固定部7a,7b,7c,7d,7eが加工経路上に描画される。
【0042】
中子固定機能を中点から動作させる内容としている。この例ではアプローチ部(ブロックN202、ブロックN208)は中子固定機能が動作しない描画結果としている。ブロックN203では、加工形状距離=10となるため、中子固定機能が動作する(S303)。中点での分割距離=加工形状距離/2=10/2=5となる(S304)。まず、中子固定部までの描画だが、始点(0,10)、終点(10,10)より、ベクトルは(10,0)となる(S702)。分割距離=5、加工形状距離=10の比率より、分割距離のベクトルは(5,0)となる(S703)。分割の座標は、始点ベクトル+分割距離ベクトル=(0,10)+(5,0)=(5,10)となる(S704、S709)。
【0043】
したがって(0,10)〜(5,10)が中子固定部まで(加工経路部)の描画になる(S305)。この(5,10)が次描画の始点(S407)、加工形状距離=加工形状距離−分割距離=10−5=5となる(S409)。次に中子固定部の描画だが、始点(5,10)、終点(10,10)より、ベクトルは(5,0)となる(S702)。中子固定距離=分割距離=2、加工形状距離=5の比率より、分割距離のベクトルは(2,0)となる(S703)。
【0044】
分割の座標は、始点ベクトル+分割距離ベクトル=(5,10)+(2,0)=(7,10)となる(S704、S709)。したがって(5,10)〜(7,10)が中子固定部の描画になる(S306)。残りの(7,10)〜(10,10)が加工経路部の描画になる。(S307)
【0045】
この例では、中子固定機能を中点から動作させる内容だが、中子固定部まで分割距離(S304)を変えることにより始点、終点でも中子固定機能を動作させることが出来る。始点から動作させる場合は、分割距離=0とする。そのときの描画結果は
図11になる。
図11に示されるように、中子固定部8a,8b,8c,8d,8eが加工経路上に描画される。
【0046】
終点で動作完了させる場合は、分割距離=加工形状距離−中子固定距離とする。ブロックの中央部で動作させる場合は、分割距離=(加工形状距離−中子固定距離)/2とする。
【0047】
動作方法4) 加工形状の重心位置を通る直角に交差する2直線と加工形状との交点に中子固定機能を動作させるときの描画処理
この中子固定機能は、特許第5426733号の請求項1に係る発明に相当する。動作方法4)は、動作方法2)の所定加工距離毎と同様な考え方で実施可能である。
【0048】
動作方法5) 加工形状の直線と直線との交点または直線と曲線との交点または曲率の変わる点の少なくともいずれか1つの点から所定距離だけ離れた位置に中子固定機能を動作させるときの描画処理
この中子固定機能は特許第5426733号の請求項2に係る発明に相当する。動作方法5は、動作方法3)のブロックの始点または終点と同様な考え方で実施可能である。
図12は中子固定部までの描画処理を説明する図である。
●[ステップS401]終点を保存する。
●[ステップS402]分割点を算出する(
図15参照)。
●[ステップS403]分割点を終点とする。
●[ステップS404]加工経路部の描画色を読み込む。
●[ステップS405]描画色を設定する。
●[ステップS406]加工経路部を描画する。
●[ステップS407]終点を次の描画の始点とする。
●[ステップS408]保存した終点を終点とする。
●[ステップS409]加工形状距離から分割距離を減算した値を加工形状距離とし、処理を終了する。
【0049】
以下、中子固定部の描画処理について
図13,
図14,
図15のフローチャートを用いて説明する。
図13は中子固定部の描画処理を示すフローチャートである。以下、各ステップにしたがって説明する。
●[ステップS501]終点を保存する。
●[ステップS502]中子固定距離を分割距離とする。
●[ステップS503]分割点を算出する(
図15参照)。
●[ステップS504]分割点を終点とする。
●[ステップS505]加工経路部の描画色を読み込む。
●[ステップS506]描画色を判別し、白色の場合にはステップS507へ移行し、黒色の場合にはステップS508へ移行する。
●[ステップS507]描画色を黒とし、ステップS509へ移行する。
●[ステップS508]描画色を白とし、ステップS509へ移行する。
●[ステップS509]中子固定部を描画する。
●[ステップS510]終点を次の描画の始点とする。
●[ステップS511]保存した終点を終点とする。
●[ステップS512]加工形状から分割距離を減算した値を加工形状距離とし、処理を終了する。
【0050】
図14は加工経路部の描画処理を示すフローチャートである。
●[ステップS601]加工経路部の描画色を読み込む。
●[ステップS602]描画色を設定する。
●[ステップS603]加工経路部を描画する。
●[ステップS604]終点を次の描画の始点とし、処理を終了する。
【0051】
図15は分割点を算出する処理を示すフローチャートである。
●[ステップS701]加工形状を判別し、加工形状が直線の場合にはステップS702へ移行し、加工形状が円弧の場合にはステップS705へ移行する。
●[ステップS702]始点から終点へのベクトルを算出する。
●[ステップS703]分割距離と加工形状距離の比率から分割距離のベクトルを算出する。
●[ステップS704]始点に分割距離のベクトルを加算し、ステップS709へ移行する。
●[ステップS705]円弧の中心点からの始点及び終点へのベクトルを算出する。
●[ステップS706]ベクトル間の角度を算出する。
●[ステップS707]分割距離と加工形状距離の比率からそれぞれの角度を算出する。●[ステップS708]始点のベクトルを分割距離分の角度分移動し、ステップS709へ移行する。