特許第5911925号(P5911925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5911925多チャネル無線通信システムのためのタイミング情報及び周波数情報の推定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911925
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】多チャネル無線通信システムのためのタイミング情報及び周波数情報の推定
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20160414BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160414BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20160414BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
   H04W72/04 136
   H04W72/04 135
   H04W84/12
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-155213(P2014-155213)
(22)【出願日】2014年7月30日
(62)【分割の表示】特願2009-553697(P2009-553697)の分割
【原出願日】2008年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-222945(P2014-222945A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】60/894,595
(32)【優先日】2007年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/031,634
(32)【優先日】2008年2月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100194814
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 元宏
(72)【発明者】
【氏名】ニン・チャン
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−101499(JP,A)
【文献】 特開2006−014027(JP,A)
【文献】 特表2000−510666(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/069176(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
H04W 72/04
H04W 84/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送された1つのペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する方法であって、
前記1つのペイロードに関連しかつ前記互いに周波数が離れている複数のチャネルのそれぞれを介して受信された任意の複製プリアンブルに含まれる、前記互いに周波数が離れている複数のチャネルのそれぞれの複数のトレーニング・フィールドを合成し、合成値を生成することと、
前記合成値を用いて前記1つのペイロードの前記タイミング情報及び周波数情報を推定することと
を含み、前記複数のトレーニング・フィールドは、ショート・トレーニング・フィールド及びロング・トレーニング・フィールドのうちの少なくとも1つを含み、前記複数のトレーニング・フィールドを合成することは、前記複数のトレーニング・フィールドを自己相関処理することと、前記自己相関処理された複数のトレーニング・フィールドを合計することとを含む、方法。
【請求項2】
前記複数のトレーニング・フィールドを合成することが、前記複数のプリアンブルを用いて最大比合成を行うことを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記複数のトレーニング・フィールドを合成することが、信号品質指標を用いて重み付けすることを含む、請求項1の方法。
【請求項4】
前記信号品質指標が、受信信号強度インジケータ(RSSI)、信号対雑音比(SNR)、またはエラーベクトル測定(EVM)を含む、請求項3の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2007年3月13日に出願された米国仮特許出願第60/894,595号に基づく優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本明細書の実施形態は、無線通信システムに関し、より詳細には、多チャネル無線通信システムのための周波数情報及びタイミング情報を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、互いに異なるRF装置が互いに異なる周波数範囲で確実に機能できるようにするために周波数割当てを用いている。この方法では、例えばユーザの携帯電話は他の通信無線システムに干渉しない。これらの周波数範囲は、周波数帯(バンド)と呼ばれる。
【0004】
周波数帯内では、周波数範囲は1若しくは複数のチャネルに分けられ得る。無線通信の一形態のための周波数帯及びチャネルは、例えばIEEE802.11ファミリ標準規格によって規定される。そのような無線通信では、送信機は典型的にはチャネルを介して1若しくは複数の受信機へデータを伝送する。
【0005】
IEEE802.11規格はまた、データがどのように構成されてデータパケット(通常、プリアンブル及びペイロードを含む)になり得るかを規定する。図1は、プリアンブル101及びそれに続くペイロード102を含むような例示パケット100を示す。この場合、パケット100は、帯域幅20MHzのレガシーチャネルで送信されている。プリアンブル101は、パケット100を受信するための重要な情報を提供する複数のトレーニング・フィールドを含む。
【0006】
トレーニング・フィールドは、典型的にはショート・トレーニング・フィールド及びロング・トレーニング・フィールドからなる。ショート・トレーニング・フィールドもロング・トレーニング・フィールドも、伝送されるデータパケットに関連する概略的及び詳細なタイミング情報並びに概略的及び詳細な周波数情報を推定するために受信機が解析し得る境界明瞭なパターンである。このタイミング情報及び周波数情報によって、受信機は、伝送されるデータパケットからペイロードを正確に回復することができる。
【0007】
IEEE802.11nドラフト規格には、例えば、送信機によって用いられるチャネルの有効全幅を増加させるために、送信機がどのようにして1チャネルの代わりに2つのチャネルを介してデータを送信し得るかも記載されている。チャネルの幅を広くすることで、データの転送速度を有利に増加させることができる。2つのチャネルは、典型的にはチャネル同士が重なり合わないように或る選択された周波数帯内から選択され、制御チャネル及び拡張チャネルと呼ばれることが多い。典型的には、制御チャネルは、選択された周波数帯の中心に近いよりチャネルであり、拡張チャネルは、周波数帯の上下の境界の一方により近いチャネルである。
【0008】
2チャネル伝送では、送信機は、制御チャネル及び拡張チャネルの両方を介してペイロードを伝送する。制御チャネル及び拡張チャネルの両方でのペイロード伝送の前に、複数のトレーニング・フィールドを含む複製(duplicated)プリアンブルがあることは注目に値する。例えば、図2は、(制御チャネルで送信される)プリアンブル201A及び(拡張チャネルで送信される)複製プリアンブル201Bと、それに続くペイロード202とを含むような例示パケット200を示す。この場合、制御チャネル及び拡張チャネルは帯域幅20MHzであるので、帯域幅40MHzのペイロードの伝送が可能になる(プリアンブル201A及び201Bは、例示の目的のために互いに周波数が離れているものとして示されており、通常は互いに隣接していることに留意されたい)。一実施形態では、制御チャネル及び拡張チャネルの中心周波数は、20MHz離されていることがある。別の実施形態では、制御チャネル及び拡張チャネルの中心周波数は、25MHz離されていることがある。
【0009】
それぞれ制御チャネル及び拡張チャネルで伝送されるプリアンブル201A及び201Bを用いて、これらのチャネルをリッスンしているレガシーデバイスは、制御パケット及び拡張データパケットを認識することができ、かつ、例えばパケット200の長さを有利にデコードすることができるので、そのようなレガシーデバイスは、他の無線通信システムによる干渉及びコリジョンを回避できる。
【0010】
1チャネル(1経路)システムの場合と同様に、伝送されるペイロードに関連する概略的及び詳細なタイミング情報並びに概略的及び詳細な周波数情報を推定するために、制御チャネル及び拡張チャネルで伝送されるショート・トレーニング・フィールド及びロング・トレーニング・フィールドが受信機によって解析され得る。周波数及びタイミングの推定を行う1つの可能な方法は、制御チャネルまたは拡張チャネルの両方のチャネルでプリアンブルひいてはトレーニング・フィールドが繰り返されるのであるから制御チャネルまたは拡張チャネルのいずれか一方からのトレーニング・フィールドを解析することである。2チャネル(2経路)システムの場合、制御チャネル及び拡張チャネルの両方で伝送されるペイロードのためのタイミング情報及び周波数情報を推定するために、制御チャネルからのトレーニング・フィールドが解析され得る。この方法は、比較的簡単に実現できるので有利である。別の有利な点は、制御チャネルのトレーニング・フィールドが、拡張チャネルのトレーニング・フィールドよりも干渉を被ることが比較的少ないであろうということである。例えば、2.4GHz帯などの特定の周波数帯内では、一部のチャネル、特に周波数帯の境界の近くに位置し得る拡張チャネルは、重なり合って干渉を生じやすい。
【0011】
しかし、制御チャネルの信号特性は、拡張チャネルの信号特性と異なることがあり、例えば、制御チャネルは、拡張チャネルに比べて信号強度が数dB低いことがある。この低い信号強度は、特に受信機が制御チャネルのトレーニング・フィールドしか調べない場合には、両方のチャネルに対してトレーニング・フィールドから周波数情報及びタイミング情報を決定することを難しくさせることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願第10/682,787号(米国特許公開第2005−0078649号)
【0013】
上述したように、当分野で必要とされているのは、互いに周波数が離れている2つのチャネルを介して、特に制御チャネル及び拡張チャネルからなる比較的幅広のチャネルを介して送信されるデータパケットのためのタイミング情報及び周波数情報を推定する改良された方法である。
【発明の概要】
【0014】
互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する方法が提供される。この方法では、ペイロードに関連しかつ互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるような任意の複数のプリアンブルからの複数のトレーニング・フィールドを合成することができる。そのような合成の後、合成された値(合成値)を用いてペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定することができる。トレーニング・フィールドは、ショート・トレーニング・フィールド及び/またはロング・トレーニング・フィールドを含むことができることに留意されたい。
【0015】
複数のトレーニング・フィールドを合成するステップは、複数のプリアンブルからの自己相関処理した複数のトレーニング・フィールドを合成するステップを含むことができる。例えば、一実施形態では、複数のトレーニング・フィールドを合成するステップは、複数のプリアンブルを用いて最大比合成(MRC)を行うステップを含むことができる。別の実施形態では、複数のトレーニング・フィールドを合成するステップは、信号品質指標を用いて重み付けするステップを含むことができる。例示的な信号品質指標は、受信信号強度(RSSI)、SN比(SNR)またはエラーベクトル測定(EVM)を含む場合がある。
【0016】
互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する別の方法も提供される。この方法では、ペイロードに関連しかつ互いに周波数が離れている複数のチャネルの1つを介して伝送されるプリアンブルが選択される。この選択は、信号品質指標に基づいて行うことができる。選択がなされた後、タイミング情報及び周波数情報は、そのプリアンブルの複数のトレーニング・フィールドを用いて推定されることができる。
【0017】
一実施形態では、信号品質指標は、受信信号強度(RSSI)、SN比(SNR)またはエラーベクトル測定(EVM)を含む場合がある。別の実施形態では、プリアンブルを選択するステップは、特定のチャネル(例えば制御チャネル)を優先させる(bias)ステップを含むことができる。例えば、特定のチャネルを優先させるステップは、拡張チャネルの信号品質指標が制御チャネルの信号品質指標を所定量超過するときにのみ拡張チャネルを選択するステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】1チャネル無線通信システムにおいて用いられるデータパケットを示すブロック図。
図2】2チャネル無線通信システムにおいて用いられ得るデータパケットを示すブロック図。
図3A】互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードの周波数情報及びタイミング情報を推定する例示的な方法のフローチャート。
図3B】互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードの周波数情報及びタイミング情報を推定する例示的な方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に記載の実施形態は、互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードの周波数情報及びタイミング情報を推定する。周波数及びタイミングの推定は、互いに周波数が離れているチャネル(2チャネルの場合、通常は制御データチャネル及び拡張データチャネルと呼ばれる)のデータパケットのプリアンブル内に含まれるトレーニング・フィールドから取り出され得る。後述する方法は、これら2つのチャネルのトレーニング・フィールドが実質的に同一であるという事実をうまく利用している。本方法はまた、制御チャネル及び拡張チャネルのうち弁別性の点で(definably)より優れている方のチャネルからのトレーニング・フィールドを選ぶことによって、あるいは制御チャネル及び拡張チャネルの両方からのトレーニング・フィールドを合成することによって、データ受信のためのタイミング情報及び周波数情報が有利に向上され得ることを説明している。
【0020】
図3Aは、互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する第1の方法300を示す。方法300では、ステップ301で、ペイロードに関連しかつ制御チャネル及び任意の拡張チャネルを介して伝送される複数のプリアンブルからの複数のトレーニング・フィールドを合成する。両データパケットからのトレーニング・フィールドは実質的に同一であるので、トレーニング・フィールドは合成され得る。無線通信信号の合成は特許文献1にも記載されており、特許文献1は引用を以て本明細書の一部となす。
【0021】
一実施形態では、トレーニング・フィールドは最大比合成(MRC)によって合成され得る。MRCは、複数の被選択トレーニング・フィールドを自己相関処理し、相関結果を合計することによって、トレーニング・フィールドを合成する。例えば、5番目のショート・トレーニング・フィールドのMRCは、制御チャネルと拡張チャネルそれぞれからの5番目のショート・トレーニング・フィールドを自己相関処理し、結果を合計することによって計算され得る。ショート・トレーニング・フィールド及びロング・トレーニング・フィールドの両方が合成され得る。当分野で公知であるように、トレーニング・フィールドの自己相関処理により、信号強度と密接な関連がある値が得られる。それゆえ、被選択トレーニング・フィールドのMRCはまた、信号強度によって強く重み付けされる。
【0022】
MRC合成は、有利には、相対的に大きい方の信号強度を有するトレーニング・フィールドにより大きな重みを置く。従って、結果的に得られる合成値は、相対的に強い方のチャネル内のトレーニング・フィールドによってより多く決定され、相対的に弱い方のチャネル内のトレーニング・フィールドによってより少なく決定される。結果的に得られる合成値は、その後、制御チャネル及び拡張チャネルの両方で伝送されるペイロードのためのタイミング情報及び周波数情報を推定するために用いられ得る。
【0023】
他の実施形態では、合成値は、受信信号強度(RSSI)、SN比(SNR)、エラーベクトル測定(EVM)または他の信号品質指標によって個々のトレーニング・フィールドを重み付けするようにして決定され得る。プリアンブルの先頭の始まり部分で利用可能でない信号品質指標もあり得ることに留意されたい。その場合、そのような品質指標(例えばRSSI)によって複数のトレーニング・フィールドを合成するステップは、選択された品質指標が利用可能であるときにプリアンブルの後ろの方で完了し得る。例えば、一部の無線通信システムは、一般的に、受信信号の利得を変えることができる自動利得制御要素を用いている。そのような利得変動がプリアンブルの始まり部分に(例えば最初の4つのショート・トレーニング・フィールドが受信される間に)適用されるとき、信号品質指標データは利用可能でないことがある。
【0024】
方法300のステップ302では、合成値を用いてペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定することができる。MRC法の1つの有利な点は、制御チャネル及び拡張チャネルのトレーニング・フィールドの相対的品質が比較的低いときに、ペイロードに対して比較的正確な周波数及びタイミングの推定が行われ得ることである。これは、合成値が制御チャネル及び拡張チャネルの両方からのデータによって決定されるという事実と、制御チャネル及び拡張チャネル内のトレーニング・フィールドが同じ情報を運び、実質的に同様であるという事実とによる。
【0025】
図3Bは、互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する第2の方法310を示す。方法310では、ステップ311で、ペイロードに関連しかつ複数のチャネルの1つを介して伝送されるプリアンブルを選択する。具体的には、被選択プリアンブルは、他のどのチャネルと比べても相対的に高い信号品質尺度を有するチャネルで伝送されるプリアンブルである。この被選択プリアンブルのトレーニング・フィールドは、その後、ステップ312において制御チャネル及び拡張チャネルの両方で伝送されるペイロードの周波数情報及びタイミング情報を推定するために用いられる。前述の通り、信号品質は、RSSI、SNR、EVMまたは他の信号品質指標によって測定され得る。例えば、もし仮に制御チャネルのRSSIが拡張チャネルのRSSIよりも大きいとすれば、被選択トレーニング・フィールドは制御チャネルから選択され得る。
【0026】
一実施形態では、トレーニング・フィールド選択は、弁別閾によって、いずれかのトレーニング・フィールドが優先され得る。例えば、信号品質がSNRによって測定されるならば、拡張チャネルのSNRは、拡張チャネルからのトレーニング・フィールドが選択される前に制御チャネルのSNRを10dB超過する必要があるであろう。この10dBの弁別閾により、トレーニング・フィールド選択において制御チャネルを優先させることができる。別の実施形態では、弁別閾はソフトウエアによって設定され得る。
【0027】
第2の方法(すなわち方法310)が第1の方法(すなわち方法300)よりも優れている点の1つは、トレーニング・フィールドは計算されているのではなくむしろ(プリアンブルによって)選択されているのでトレーニング・フィールドを相対的に構築し易いことである。この場合も先と同様に、プリアンブルの先頭の始まり部分で利用可能でない信号品質指標もあり得る。その場合、信号品質指標(例えばRSSI)に基づくトレーニング・フィールド選択は、被選択品質指標が在るときに完了し得る。
【0028】
上記の例となる説明では、2つのチャネル(すなわち制御チャネル及び拡張チャネル)の場合にタイミング情報及び周波数情報がどのようにして決定され得るかを明らかにしている。他の実施形態では、3つ以上のチャネル(すなわち多チャネル)に対してタイミング情報及び周波数情報が決定され得る。
【0029】
本発明の実例となる実施形態について本明細書において添付図面を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明はこれらの正確な実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。これらの実施形態は、包括的なものでも、本発明を開示されている正確な形態に限定するためのものでもない。そういうわけで、多くの変更形態及び変形形態が明らかであろう。従って、本発明の範囲は以下の請求項及びそれらと同等のものによって画定されるものである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する方法であって、
前記ペイロードに関連しかつ前記互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるような任意の複数のプリアンブルからの複数のトレーニング・フィールドを合成し、合成値を生成するステップと、
前記合成値を用いて前記タイミング情報及び周波数情報を推定するステップとを含むことを特徴とする方法。
[C2]
前記複数のトレーニング・フィールドが、少なくとも1つのショート・トレーニング・フィールド及びロング・トレーニング・フィールドを含むことを特徴とするC1の方法。
[C3]
前記複数のトレーニング・フィールドを合成するステップが、前記複数のプリアンブルからの自己相関処理した複数のトレーニング・フィールドを合成するステップを含むことを特徴とするC2の方法。
[C4]
前記複数のトレーニング・フィールドを合成するステップが、前記複数のプリアンブルを用いて最大比合成を行うステップを含むことを特徴とするC2の方法。
[C5]
前記複数のトレーニング・フィールドを合成するステップが、信号品質指標を用いて重み付けするステップを含むことを特徴とするC2の方法。
[C6]
前記信号品質指標が、受信信号強度(RSSI)、SN比(SNR)またはエラーベクトル測定(EVM)を含むことを特徴とするC5の方法。
[C7]
互いに周波数が離れている複数のチャネルを介して伝送されるペイロードのタイミング情報及び周波数情報を推定する方法であって、
前記ペイロードに関連しかつ前記互いに周波数が離れている複数のチャネルの1つを介して伝送されるプリアンブルを、信号品質指標に基づいて選択するステップと、
前記プリアンブルの複数のトレーニング・フィールドを用いて前記タイミング情報及び周波数情報を推定するステップとを含むことを特徴とする方法。
[C8]
前記信号品質指標が、受信信号強度(RSSI)、SN比(SNR)またはエラーベクトル測定(EVM)を含むことを特徴とするC7の方法。
[C9]
前記プリアンブルを選択するステップが、特定のチャネルを優先させるステップを含むことを特徴とするC8の方法。
[C10]
前記特定のチャネルが、制御チャネルであることを特徴とするC9の方法。
[C11]
前記特定のチャネルを優先させるステップが、前記拡張チャネルの前記信号品質指標が前記制御チャネルの前記信号品質指標を所定量超過するときにのみ拡張チャネルを選択するステップを含むことを特徴とするC10の方法。
図1
図2
図3A
図3B