特許第5911950号(P5911950)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5911950分枝状3−フェニルプロピオン酸誘導体およびそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911950
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】分枝状3−フェニルプロピオン酸誘導体およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 233/15 20060101AFI20160414BHJP
   C07C 235/38 20060101ALI20160414BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20160414BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20160414BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20160414BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20160414BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160414BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   C07C233/15CSP
   C07C235/38
   A61K31/196
   A61P9/04
   A61P9/10
   A61P9/12
   A61P9/00
   A61P9/10 101
   A61P13/12
【請求項の数】10
【全頁数】150
(21)【出願番号】特願2014-504240(P2014-504240)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2014-522383(P2014-522383A)
(43)【公表日】2014年9月4日
(86)【国際出願番号】EP2012055474
(87)【国際公開番号】WO2012139888
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年2月25日
(31)【優先権主張番号】102011007272.1
(32)【優先日】2011年4月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512137348
【氏名又は名称】バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ハーン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ランペ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス−ペーター・シュタッシュ
(72)【発明者】
【氏名】カール−ハインツ・シュレンマー
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ヴンダー
(72)【発明者】
【氏名】フォルクハルト・ミン−イアン・リ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァ・マリア・ベッカー−ペルスター
(72)【発明者】
【氏名】フリーデリケ・シュトール
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・クノール
(72)【発明者】
【氏名】エリザベート・ヴォルテリング
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−509369(JP,A)
【文献】 特表2014−510017(JP,A)
【文献】 特表2011−517688(JP,A)
【文献】 特表2008−520683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Lは、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bは、互いに独立して、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルであるか、または
4AおよびR4Bは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
は、水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシであり、
は、水素、フッ素、塩素またはメチルであり、
8Aは、メチルまたはエチルであり、
8Bは、トリフルオロメチルであるか、または
8AおよびR8Bは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、式
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
で示される所望によりジフルオロ置換されていてよいシクロペンチル環を形成し、
は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、シクロプロピルまたはシクロブチルであり、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルケニルは、3個までのフッ素により置換されていてよく、シクロプロピルおよびシクロブチルは、2個までのフッ素により置換されていてよく、
10は、水素、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、エチルまたはメトキシである。]
で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
が、水素またはメチルであり、
が水素であり、
が、水素またはメチルであり、
Lが、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bが、両方ともメチルであるか、または互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
が、水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
が、フッ素、塩素、メチルまたはエチルであり、
が、水素またはフッ素であり、
8Aがメチルであり、
8Bがトリフルオロメチルであるか、または
8AおよびR8Bが、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、式
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
で示されるジフルオロ置換されたシクロペンチル環を形成し、
が、フッ素、塩素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、シクロプロピルまたはシクロブチルであり、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルケニルが、3個までのフッ素により置換されていてよく、シクロプロピルおよびシクロブチルが、2個までのフッ素により置換されていてよく、
10が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシである、
請求項1記載の式(I)の化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
およびRが、両方とも水素であり、
が、水素またはメチルであり、
Lが、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bが、両方ともメチルであるか、または、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
が、水素、フッ素またはメチルであり、
が塩素であり、
が水素であり、
8Aがメチルであり、
8Bがトリフルオロメチルであり、
が、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロプロピルまたは2,2−ジフルオロシクロプロピルであり、
10が、水素、フッ素、メチルまたはメトキシである、
請求項1または2記載の式(I)の化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の、式
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパン酸(ジアステレオマー2)。
【請求項5】
請求項1ないしのいずれか一項記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R8A、R8B、RおよびR10は、請求項1ないしのいずれか一項記載の意味を有する。]
で示されるカルボン酸を、不活性溶媒中、縮合剤を用いて、または対応する塩化カルボニル中間体を介して、塩基の存在下、式(III)
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、L、R、R、R、R4A、R4B、R、RおよびRは、請求項1ないしのいずれか一項記載の意味を有し、
は、(C−C)−アルキルまたはベンジルである。]
のアミンとカップリングし、式(IV)
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、L、R、R、R、R4A、R4B、R、R、R、R8A、R8B、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
のカルボキサミドを得て、
次いで、エステルラジカルTを、塩基性または酸性加溶媒分解により除去するか、またはTがベンジルの場合、これを水素化分解により除去して、式(I)のカルボン酸を得て、式(I)の化合物を、所望により、当業者に公知の方法により、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分、および/または適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基と反応させて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得ることを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないしのいずれか一項記載の化合物を含む組成物
【請求項7】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、血栓塞栓性疾患、虚血、血管障害、微小循環障害、腎不全、線維症および動脈硬化症の処置および/または予防のための医薬の製造を目的とする、請求項1ないしのいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか一項記載の化合物を、1種またはそれ以上の不活性な無毒の薬学的に好適な賦形剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか一項記載の化合物を、有機ナイトレート、NO供与体、cGMP−PDE阻害剤、グアニル酸シクラーゼの刺激因子、抗血栓作用を有する薬剤、血圧低下剤、および脂質代謝を変化させる薬剤からなる群より選択される1種またはそれ以上のさらなる有効化合物と組み合わせて含む、医薬。
【請求項10】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、血栓塞栓性疾患、虚血、血管障害、微小循環障害、腎不全、線維症および動脈硬化症の処置および/または予防のための、請求項または記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3位に分枝状または環状アルキル置換基を有する新規の3−フェニルプロピオン酸誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、ならびに疾患の処置および/または予防のための、特に心血管疾患の処置および/または予防のための医薬の製造を目的とするそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物細胞における最も重要な細胞の伝達システムの1つは、環状グアノシン一リン酸(cGMP)である。それは、内皮から放出され、ホルモンシグナルおよびメカニカルシグナルを伝達する一酸化窒素(NO)と共同して、NO/cGMPシステムを形成する。グアニル酸シクラーゼは、グアノシン三リン酸(GTP)からのcGMPの生合成を触媒する。今日までに開示されたこのファミリーの代表例は、構造的特徴およびリガンドタイプの両方に従って、2つのグループ:ナトリウム利尿ペプチドにより刺激され得る粒子性グアニル酸シクラーゼ、およびNOにより刺激され得る可溶性グアニル酸シクラーゼに分類できる。可溶性グアニル酸シクラーゼは2個のサブユニットからなり、恐らくヘテロ二量体毎に1個のヘムを含有し、それは調節部位の一部である。後者は、活性化メカニズムにとって中心的に重要なものである。NOは、ヘムの鉄原子に結合でき、故に、この酵素の活性を顕著に増加させる。一方、ヘムを含まない調製物は、NOにより刺激され得ない。一酸化炭素(CO)もヘムの中心鉄原子に結合できるが、COによる刺激は、NOによるものよりも顕著に少ない。
【0003】
cGMPの産生、および、それに起因するホスホジエステラーゼ、イオンチャネルおよびタンパク質キナーゼの調節を介して、グアニル酸シクラーゼは、様々な生理的過程において、特に、平滑筋細胞の弛緩および増殖において、血小板の凝集および接着において、神経のシグナル伝達において、上述の過程の欠陥に起因する障害において、重要な役割を果たす。病的条件下では、NO/cGMP系は抑制されることがあり、例えば、高血圧、血小板活性化、細胞増殖の増加、内皮の機能不全、アテローム性動脈硬化、狭心症、心不全、血栓症、卒中および心筋梗塞を導き得る。
【0004】
NOから独立した、生物におけるcGMPシグナル伝達経路に影響を与えることを目的とするそのような障害の可能な処置方法は、予測される高い有効性および少ない副作用のために、有望なアプローチである。
【0005】
有機ナイトレートなどの、それらの効果がNOをベースとする化合物は、今日まで、可溶性グアニル酸シクラーゼの治療的刺激に専ら使用されてきた。NOは、生物変換により産生され、ヘムの中心鉄原子に結合することにより、可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化する。副作用の他に、耐性の発生がこの処置様式の重大な欠点の1つである[O. V. vgenov et al., Nature Rev. Drug Disc. 5 (2006), 755]。
【0006】
可溶性グアニル酸シクラーゼを直接(即ち、事前のNO放出を伴わずに)刺激するいくつかの物質が、近年同定された。インダゾール誘導体YC−1が、記載された最初のNO−非依存性であるが、ヘム−依存性のsGC刺激剤であった[Evgenovら、同掲]。YC−1に基づいて、YC−1よりも強力で、ホスホジエステラーゼ(PDE)と関連する阻害を示さない、さらなる物質が見出された。これにより、ピラゾロピリジン誘導体、BAY41−2272、BAY41−8543およびBAY63−2521が同定された。これらの化合物は、最近公開された構造的に異なる物質、CMF−1571およびA−350619と共に、新たなクラスのsGC刺激剤を形成する[Evgenovら、同掲]。このクラスの物質の共通する特徴は、NO−非依存性かつ選択性のヘム含有sGCの活性化である。加えて、NOと組み合わさったsGC刺激剤は、ニトロシル−ヘム複合体の安定化に基づいて、sGC活性化について相乗作用を示す。sGC刺激剤のsGCでの正確な結合部位は未だに議論されている。ヘム基を可溶性グアニル酸シクラーゼから除去しても、酵素は依然として検出可能な基底触媒活性を示す。即ち、cGMPが依然として産生される。ヘムを含まない酵素の残存基底触媒活性は、上記の既知の刺激因子のいずれによっても刺激され得ない[Evgenovら、同掲]。
【0007】
加えて、このクラスのプロトタイプとして、BAY58−2667で示されるNO−およびヘム−非依存性のsGC活性化剤が同定された。これらの物質に共通する特徴は、NOと組み合わさっても、酵素活性化に対して相加作用を示すだけであり、酸化型酵素またはヘム不含有酵素の活性化は、ヘム含有酵素の活性化よりも顕著に大きいことである[Evgenovら、同掲;J.P.Staschら、Br. J. Pharmacol. 136 (2002), 773;J.P.Staschら、J. Clin. Unvest. 116 (2006), 2552]。分光学的実験は、BAY58−2667が、鉄−ヒスチジン結合が弱まった結果として、sGCに弱結合しているにすぎない酸化されたヘム基に取って代わることを示す。特徴的なsGCヘム結合モチーフ Tyr−x−Ser−x−Argが、ヘム基の負に帯電したプロピオン酸の相互作用、およびBAY58−2667の作用の両方に絶対不可欠であることも示された。この背景に対して、BAY58−2667のsGCでの結合部位がヘム基の結合部位と同じであると仮定される[J.P. Staschら、J. Clin. Invest. 116 (2006), 2552]。
【0008】
本発明の化合物は、同様に、ヘム不含有形態の可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化能を有する。このことはまた、第一に、これらの新規な活性化剤がヘム含有酵素でNOとの相乗作用を有しないこと、第二に、その作用が可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム依存性阻害剤、1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)によって遮断され得ず、この阻害剤によって強化さえされ得ることによっても確認される[O.V. Evgenovら、Nature Rev. Drug Disc. 5 (2006), 755;J.P. Staschら、J. Clin. Invest. 116 (2006), 2552を参照のこと]。
【発明の概要】
【0009】
従って、上記の通り、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤として作用し、特に心血管障害の処置および予防に用いることができる、新規な化合物を提供することが本発明の目的である。
【0010】
WO00/64888−A1、EP1216980−A1、EP1285908−A1、EP1348698−A1、EP1375472−A1、EP1452521−A1、US2005/0187266−A1およびUS2005/0234066−A1は、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化症、肥満および他の障害の処置用のPPARアゴニストとしての種々のアリールアルカンカルボン酸誘導体を記載する。EP1312601−A1およびEP1431267−A1は、例えば、疼痛、泌尿器系障害、アルツハイマー病および癌の処置用のPGE受容体アンタゴニストとして、置換アリールアルカンカルボン酸を記載する。さらに、WO2005/086661−A2は、アリールアルカンカルボン酸を糖尿病および脂質異常症の処置のためのGPR40モジュレーターとして特許請求しており、WO2004/099170−A2、WO2006/050097−A1およびWO2006/055625−A2は、糖尿病、癌および神経変性障害の処置のためのPTP−1B阻害剤としてフェニル置換カルボン酸を記載する。さらには、共有結合していない混合物の形態で、体内で活性なペプチド化合物の送達を改善する個々のフェニルアセトアミド置換されたフェニルアルカンカルボン酸が、WO96/12473−A1およびWO96/30036−A1より公知である。WO2009/067493−A2は、アルツハイマー病の処置のための3,5−置換フェニル酢酸誘導体を特許請求している。WO2009/127338−A1およびWO2010/102717−A1は、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化剤として作用する、オキソヘテロ環で置換されたカルボン酸誘導体を記載する。
【0011】
本発明は、一般式(I):
【化1】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、
、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチルであり、
Lは、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bは、互いに独立して、メチル、トリフルオロメチルまたはエチルであるか、または
4AおよびR4Bは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
は、水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
は、水素、フッ素、塩素、臭素、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシであり、
は、水素、フッ素、塩素またはメチルであり、
8Aは、メチルまたはエチルであり、
8Bは、トリフルオロメチルであるか、または
【0012】
8AおよびR8Bは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、式
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
で示される所望によりジフルオロ置換されていてよいシクロペンチル環を形成し、
は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、シクロプロピルまたはシクロブチルであり、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルケニルは、3個までのフッ素により置換されていてよく、シクロプロピルおよびシクロブチルは、2個までのフッ素により置換されていてよく、
10は、水素、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、エチルまたはメトキシである。]
で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を提供する。
【0013】
本発明の化合物は、式(I)の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述の式の化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、ならびに、式(I)に包含される例示的態様として後述する化合物ならびにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含される後述の化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合に)である。
【0014】
本発明に関して、好ましいは、本発明の化合物の生理的に許容される塩である。それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明の化合物の単離、精製または貯蔵に用いることのできる塩も包含される。
【0015】
本発明による化合物の生理的に許容される塩には、特に常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピル−エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、プロカイン、ジシクロ−ヘキシル−アミン、ジベンジルアミン、N−メチルピペリジン、N−メチル−モルホリン、アルギニン、リシンおよび1,2−エチレンジアミン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0016】
溶媒和物は、本発明の目的上、溶媒分子との配位により固体または液体状態の錯体を形成する本発明の化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本願発明に関して、水和物は好ましい溶媒和物である。
【0017】
本発明の化合物は、それらの構造次第で、種々の立体異性体の形態にて、すなわち立体配置異性体、または適当ならば、配座異性体(アトロプ異性体の場合の異性体を含む、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性的に純粋な構成成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。クロマトグラフィー操作、特にアキラルまたはキラル相でのHPLCクロマトグラフィーがこのために用いるのに好ましい。
【0018】
本発明の化合物が互変異性の形態で存在できるならば、本発明は全ての互変異性体を含む。
【0019】
本発明はまた、本発明の化合物の全ての適切な同位体バリアント(isotopic variant)も包含する。本発明の化合物の同位体バリアントは、本発明の化合物内の少なくとも1つの原子が同じ原子数であるが天然に通常もしくは主に存在する原子量と異なる原子量の別の原子に交換された化合物を意味するものと本明細書中では理解される。本発明の化合物中に組み込まれ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の同位体、例えばH(重水素)、H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、32P、33P、33S、34S、35S、36S、18F、36Cl、82Br、123I、124I、129Iおよび131Iがある。本発明の化合物の特定の同位体バリアント、とりわけ1個以上の放射性同位体が組み込まれた化合物は、例えば、体内での作用機序または有効化合物の分布の試験について有益であり得る;この目的に関して、比較的容易な調製可能性および検出可能性のために、とりわけHまたは14C同位体で標識された化合物が適切である。加えて、同位体、例えば重水素の導入は、化合物のより大きな代謝上の安定性の結果として、例えば体内での半減期の延長または必要とされる有効用量の減少の結果として、特定の治療上の利益をもたらし得る。故に、本発明の化合物のかかる修飾はまた、場合によっては本発明の好ましい態様を構成し得る。本発明の化合物の同位体バリアントは、当業者に公知の方法、例えば下記の方法および実施例に記載の方法により、実施例の特定の反応材および/または出発化合物の対応する同位体修飾を用いることによって、調製することができる。
【0020】
さらに、本発明は、本発明の化合物のプロドラッグも包含する。本明細書中、用語“プロドラッグ”は、それ自体は生物学的に活性または不活性であるが、体内に滞留する間に本発明の化合物に(例えば、代謝または加水分解により)変換される化合物を意味する。
【0021】
プロドラッグとして、本発明は、特に、本発明の式(I)のカルボン酸の加水分解可能なエステル誘導体を含む。これらの誘導体は、後記する生物学的試験の条件下、特に酵素的または化学的経路によるインビボでの条件下、生理学的媒体中、主に生物学的に活性な化合物として、遊離カルボン酸に加水分解され得るエステルを意味するものとして理解されるべきである。アルキル基が直鎖または分岐状であり得る(C−C)アルキルエステルが、そのようなエステルとして好ましい。特定の好ましいエステルが、メチル、エチルまたはtert−ブチルエステルに付与される。
【0022】
本発明に関して、置換基は、他に特記しない限り、以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝状のアルキルラジカルを表す。例えば、好ましくは、以下の例、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルであり得る。
【0023】
(C−C)−アルケニルおよび(C−C)−アルケニルは、本発明に関して、各々、一個の二重結合ならびに2個ないし4個および2個または3個の炭素原子を有する直鎖または分岐状アルケニル基を表す。2個または3個の炭素原子を有する直鎖または分岐状のアルケニル基が好ましい。例えば、好ましくは、以下の例、ビニル、アリル、n−プロパ−1−エン−1−イル、イソプロペニル、n−ブタ−1−エン−1−イル、n−ブタ−2−エン−1−イル、n−ブタ−3−エン−1−イル、2−メチルプロパ−1−エン−1−イルおよび2−メチルプロパ−2−エン−1−イルであり得る。
【0024】
本発明に関して、出現が2回以上の全ての基について、その意義は相互に独立したものである。本発明の化合物中の基が置換されているならば、他に特記しない限り、その基は、一置換または多置換されていてよい。1個、2個または3個の同一または異なる置換基による置換が好ましい。1個または2個の、同一または異なる置換基による置換が特に好ましい。
【0025】
本発明に関して、好適例は式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物であって、式中
は、水素またはメチルであり、
は水素であり、
は、水素またはメチルであり、
Lは、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bは、両方ともメチルであるか、または互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
は、水素、フッ素、メチルまたはメトキシであり、
は、フッ素、塩素、メチルまたはエチルであり、
は、水素またはフッ素であり、
8Aはメチルであり、
8Bはトリフルオロメチルであるか、または
8AおよびR8Bは、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、式
【化3】
[この文献は図面を表示できません]

で示されるジフルオロ置換されたシクロペンチル環を形成し、
は、フッ素、塩素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、シクロプロピルまたはシクロブチルであり、ここで、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルケニルが、3個までのフッ素により置換されていてよく、シクロプロピルおよびシクロブチルが、2個までのフッ素により置換されていてよく、
10が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシである。
【0026】
本発明の特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
およびRが、両方とも水素である。
【0027】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
が、水素またはメチルであり、
Lが、結合である。
【0028】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
が水素であり、
Lが−CH−である。
【0029】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
4AおよびR4Bが、両方ともメチルであり、
が水素である。
【0030】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
4AおよびR4Bが、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
が、水素、フッ素またはメチルである。
【0031】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
が塩素であり、
が水素である。
【0032】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
8Aがメチルであり、
8Bがトリフルオロメチルである。
【0033】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
8AおよびR8Bが、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、式
【化4】
[この文献は図面を表示できません]

ジフルオロ置換されたシクロペンチル環を形成する。
【0034】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
が、フッ素、塩素、(C−C)−アルキルまたはシクロプロピルであり、ここで、(C−C)−アルキルが、3個までのフッ素により置換されていてよく、シクロプロピルが、2個までのフッ素により置換されていてよい。
【0035】
本発明のさらなる特定の態様は、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を含み、式中、
10が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシである。
【0036】
本発明に関して、特に好ましいのは、式(I)で示される化合物、その塩、溶媒和物および塩の溶媒和物であって、式中、
およびRが、両方とも水素であり、
が、水素またはメチルであり、
Lが、結合または−CH−であり、
4AおよびR4Bが、両方ともメチルであるか、または、互いに結合して、それらが結合する炭素原子と共に、2個までのフッ素により置換されていてよいシクロプロピルまたはシクロブチル環を形成し、
が、水素、フッ素またはメチルであり、
が塩素であり、
が水素であり、
8Aがメチルであり、
8Bがトリフルオロメチルであり、
が、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、イソプロピル、tert−ブチル、シクロプロピルまたは2,2−ジフルオロシクロプロピルであり、
10が、水素、フッ素、メチルまたはメトキシである。
【0037】
本発明に関して、特に好ましいのは、式(I−A)
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、フェニルアセトアミド基の*で示される炭素原子は、S配置であり、基R、R4A、R4B、R、R、R8A、R8B、RおよびR10ならびにLは、各々、上記の意味を有する。]
で示される化合物、ならびにその塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0038】
基の個々の組み合わせまたは好ましい組み合わせにおいて具体的に示された基の定義は、その基について示された特定の個々の組み合わせに関係なく、基の他の組み合わせの定義によっても置き換えられる。上記の好ましい範囲の2以上の組み合わせが、とりわけ好ましい。
【0039】
本発明はさらに、本発明の式(I)の化合物の製造法であって、式(II)
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R8A、R8B、RおよびR10は、上記の意味を有する。]
で示されるカルボン酸、不活性溶媒中、縮合剤を用いて、または対応する塩化カルボニル中間体を介して、塩基の存在下、式(III)
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、L、R、R、R、R4A、R4B、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
は、(C−C)−アルキルまたはベンジルである。]
のアミンとカップリングし、式(IV)
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、L、R、R、R、R4A、R4B、R、R、R、R8A、R8B、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
のカルボキサミドを得て、
次いで、エステルラジカルTを、塩基性または酸性加溶媒分解により除去するか、またはTがベンジルの場合、水素化分解により除去して、式(I)のカルボン酸を得て、式(I)の化合物を、所望により、当業者に公知の方法により、それらのエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーに分解し、および/または適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基と反応させて、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得ることを特徴とする方法を提供する。
【0040】
工程(II)+(III)→(IV)[アミドカップリング]の不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油フラクションのような炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、あるいはアセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリジノン(NMP)のような他の溶媒である。上記の溶媒の混合液を用いることも可能である。ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはこれらの溶媒の混合物を用いることが好ましい。
【0041】
これらのカップリング反応に適する縮合剤は、例えば、N,N’−ジエチル−、N,N’−ジプロピル−、N,N’−ジイソプロピル、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)のようなカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)またはクロロギ酸イソブチルのようなホスゲン誘導体、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム 3−スルフェートまたは2−tert−ブチル 5−メチルイソキサゾリウムペルクロレートのような1,2−オキサゾリウム化合物、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンのようなアシルアミノ化合物、1−クロロ−2−メチル−1−ジメチルアミノ−1−プロペンのようなα−クロロエナミン類、プロパンホスホン酸無水物、ジエチルシアノホスホネート、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)のようなリン化合物、あるいはO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TPTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)またはO−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TCTU)のようなウロニウム化合物であり、適当ならば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)のような、および塩基としてのアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、またはトリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは4−N,N−ジメチルアミノピリジンのような3級アミン塩基のさらなる補助剤と組み合わせたものである。O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)を、ピリジンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンと組み合わせて用いること、あるいは、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびトリエチルアミンと、または1−クロロ−2−メチル−1−ジメチルアミノ−1−プロペンをピリジンと組み合わせて用いることが好ましい。
【0042】
反応(II)+(III)→(IV)は、一般に、0℃ないし+60℃、好ましくは+10℃ないし+40℃の温度範囲で実施される。
【0043】
化合物(II)に対応する塩化カルボニルが用いられるとき、アミン成分(III)とのカップリングは、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)のような慣用の有機塩基助剤の存在下で行われる。トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンを用いることが好ましい。
【0044】
アミン(III)の塩化カルボニルとの反応は、一般に、−20℃ないし+60℃、好ましくは−10℃ないし+30℃の範囲で実施される。
【0045】
この反応について、塩化カルボニルは、カルボン酸(II)を塩化チオニルまたは塩化オキサリルで処理することにより慣用的手段で調製される。
【0046】
工程(IV)→(I)のエステル基Tの除去は、該エステルを、不活性溶媒中、酸または塩基で処理するような慣用的手段により行われ、後者の変形においては、最初に形成された塩を酸で処理することで遊離カルボン酸に変形される。tert−ブチルエステルの場合には、そのエステル切断は、好ましくは、酸を用いて行われる。ベンジルエステルは、好ましくは、例えば活性炭上パラジウムのような適当な触媒の存在下での水素化分解(水素添加)により切断される。
【0047】
これらの反応に適する不活性溶媒は、水またはエステル切断に慣用的な有機溶媒である。これらの溶媒としては、好ましくは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールのようなアルコール類、あるいはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはグリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、あるいはアセトン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドのような他の溶媒が挙げられる。上記の溶媒の混合液を用いることもできる。塩基性エステル加水分解の場合には、水とジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび/またはエタノールとの混合液を用いることが好ましい。トリフルオロ酢酸との反応の場合には、ジクロロメタンを用いることが好ましく、塩化水素との反応の場合には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンまたは水を用いることが好ましい。
【0048】
適切な塩基は、慣用されている無機塩基である。これらには、特に、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化バリウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸カルシウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩が包含される。水酸化リチウム、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましい。
【0049】
エステル切断に適する酸は、一般に、硫酸、塩化水素/塩酸、臭化水素/臭化水素酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはトリフルオロメタンスルホン酸またはその混合物であり、適切には水との混合物である。tert−ブチルエステルの場合には塩化水素またはトリフルオロ酢酸が、メチルエステルの場合には塩酸が好ましい。
【0050】
エステル切断は、一般に、−20℃ないし+100℃の、好ましくは0℃ないし+60℃の温度範囲で行われる。
【0051】
式(II)の中間体は、例えば、
[A]式(V):
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R8AおよびR8Bは上記の意味を有し、
は(C−C)−アルキルまたはベンジルを表す。]
で示されるカルボン酸を、最初に、不活性溶媒中、塩基を用いて脱プロトン化し、次いで、それを適当なパラジウム触媒の存在下にて、式(VI)
【化10】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびR10は、上記の意味を有する。]
で示される臭化フェニルを用いてアリール化し、式(VII)
【化11】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R8A、R8B、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得るか、
または
【0052】
[B]式(VIII)
【化12】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびR10は、上記の意味を有し、
は、(C−C)−アルキルまたはベンジルを表す。]
で示されるフェニル酢酸エステルを、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(IX)
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R8AおよびR8Bは上記の意味を有し、
は、好適な脱離基、例えば臭素またはヨウ素を表す。]
で示される化合物を用いてアルキル化し、式(VII)
【化14】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R8A、R8B、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、
その後、それぞれの場合に、塩基性または酸性加溶媒分解に付してエステル基Tを除去するか、または、Tがベンジルである場合には、水素化分解によっても該エステル基Tを除去して、カルボン酸(II)を得る。
【0053】
工程(V)+(VI)→(VII)のアリール化反応は、好ましくは、トルエンまたはトルエン/テトラヒドロフランの混合液中、+20℃ないし+100℃の温度範囲にて行われる。ここで、エステル(V)の脱プロトン化に用いられる塩基は、好ましくは、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドである。適当なパラジウム触媒は、例えば、酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムであり、それぞれの場合に、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルまたは2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルのような電子が豊富な立体的に困難なホスフィンリガンドと組み合わされている[すなわち、例えば、W.A. Moradi, S.L. Buchwald, J. Am. Chem. Soc. 123, 7996−8002(2001)を参照のこと]。
【0054】
アルキル化反応(VIII)+(IX)→(VII)のための不活性溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、メチル tert−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油フラクションのような炭化水素類、N,N−ジメチル−ホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)またはN−メチルピロリジノン(NMP)のような双極性非プロトン性溶媒類である。上述の溶媒の混合物を用いることも同様に可能である。テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物の使用が好ましい。
【0055】
工程(VIII)+(IX)→(VII)のための適切な塩基は、慣用の強無機または有機塩基である。これらには、特に、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドあるいはナトリウム tert−ブトキシドまたはカリウム tert−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類、水素化ナトリウムまたは水素化カリウムのようなアルカリ金属ハイドライド類、あるいはリチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドのようなアミド類が挙げられる。カリウム tert−ブトキシド、水素化ナトリウムまたはリチウムジイソプロピルアミドの使用が好ましい。
【0056】
反応(VIII)+(IX)→(VII)は、一般的に、−80℃ないし+40℃の温度範囲、好ましくは−20℃ないし+20℃の温度範囲で行われる。
【0057】
工程(VII)→(II)におけるエステル基Tの除去は、エステル基Tについて上記の方法と同様の方法で行われる。
【0058】
別法として、式(II−A)
【化15】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびR10は、上記の意味を有する。]
で示される中間体はまた、最初に、式(VIII):
【化16】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
で示されるフェニル酢酸エステルを、塩基誘発性の2−シクロペンテン−1−オン付加に付して、式(X):
【化17】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物に変換し、その後、この化合物を、1,1’−[(トリフルオロ−λ−スルファニル)イミノ]ビス(2−メトキシエタン)を用いて、三フッ化ホウ素触媒下でフッ素化し、式(VII−A)
【化18】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R、R10およびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いでエステル基Tを再び除去して、カルボン酸(II−A)を得る。
【0059】
工程(VIII)→(X)において、エステル(VIII)を脱プロトン化するには、リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアミド塩基を用いることが好ましい。変換(IX)→(VII−A)のデオキシフッ素化については、上記の1,1’−[(トリフルオロ−λ−スルファニル)イミノ]ビス(2−メトキシエタン)(“Desoxofluor”)の代わりに、適当なとき、ジエチルアミノ硫黄トリフルオライド(DAST)またはモルホリノ硫黄トリフルオライド(morpho−DAST)のような公知の他のフッ素化剤を用いることも可能である[反応経路(VIII)→(X)→(VII−A)について、例えば、T. Mase et al., J. Org. Chem. 66 (20), 6775−6786 (2001)を参照のこと]。
【0060】
置換基のパターンによって、式(III)の中間体は、例えば、以下の工程で製造できる。
[C−1]式(XI)
【化19】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびTは、上記の意味を有し、R11は(C−C)−アルキルを表す。]
で示されるホスホノ酢酸エステルを、不活性溶媒中、塩基誘発性のオレフィン化反応にて、式(XII)
【化20】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R4A、R4B、R、RおよびRは、上記の意味を有する。]
で示される3−ニトロベンゾイル化合物と反応させて、式(XIII)
【化21】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]で示される化合物を得て、次いで、この化合物を、適当なパラジウム触媒または白金触媒の存在下で水素化して、式(III−A)
【化22】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得るか、または
【0061】
[C−2]式(XI)
【化23】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびTは、上記の意味を有し、
11は、(C−C)−アルキルを表す。]
で示されるホスホノ酢酸エステルを、不活性溶媒中、塩基誘発のオレフィン化反応にて、式(XIV)
【化24】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R4A、R4B、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
PGは、不活性アミノ保護基としてのベンジルまたは4−メトキシベンジルを表す。]
で示される保護された3−アミノ−ベンゾイル化合物と反応させて、式(XV)
【化25】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、PG、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、(i)この化合物を、メタノール中、マグネシウムを用いて還元して、式(XVI)
【化26】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、PG、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、その後、慣用的操作に従って、水素化分解により、または酸化的にアミノ保護基PGを除去して、式(III−A)
【化27】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]
で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得るか、または
【0062】
(ii)式(XV)の化合物を、適当なパラジウム触媒または白金触媒の存在下、一工程で水素化して、式(III−A)の3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルに変換させるか、
または
【0063】
[D]式(XVII)
【化28】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、RおよびTは、上記の意味を有する。]
で示されるアクリル酸エステル誘導体を、不活性溶媒中、パラジウム触媒下、式(XVIII)
【化29】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、RおよびRは、上記の意味を有し、
12は、アミノまたはニトロを表す。]
で示される3−アミノ−または3−ニトロフェニルブロマイドとカップリングさせて、
式(XIX)
【化30】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、R、R12およびTは、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、この化合物を適当なパラジウム触媒または白金触媒の存在下にて水素を用いて還元して、ここで、R12がアミノである場合、別法として、メタノール中、マグネシウムを用いて還元して、式(III−A)
【化31】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは上記の意味を有する。]
で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得るか、または
【0064】
[E−1]式(XX)
【化32】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびR、上記の意味を有する。]
で示されるヨウ化フェニルを、不活性溶媒中、塩化リチウムの存在下、塩化イソプロピルマグネシウムを用いて、対応するフェニルマグネシウム化合物に変換し、次いで、この化合物を、インサイチュウで、銅(I)触媒の存在下、式(XXI)
【化33】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4BおよびRは、上記の意味を有し、
は、メチルまたはエチルを表す。]
で示されるアルキリデンマロン酸エステルとカップリングさせて、式(XXII)
【化34】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、2個のエステル基のうち一方を、DMSO/水混合物中、塩化リチウムを用いて加熱することにより除去し、次いで、式(XXIII)
【化35】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される得られた3−フェニルプロピオン酸エステルを、テトラフルオロホウ酸ニトロニウムと反応させて、式(XXIV)
【化36】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される3−ニトロフェニル誘導体に変換させ、最後に、適当なパラジウム触媒または白金触媒の存在下で水素化することにより、式(III−B)
【化37】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得るか、または
【0065】
[E−2]式(XXV)
【化38】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、RおよびRは、上記の意味を有し、
PGは、不活性アミノ保護基としてのベンジルまたは4−メトキシベンジルを表す。]
で示される保護された3−ヨウ化アミノフェニルを、不活性溶媒中、塩化リチウムの存在下で塩化イソプロピルマグネシウムを用いて、対応するフェニルマグネシウム化合物に変換させ、次いで、この化合物を、インサイチュウで、銅(I)触媒の存在下、式(XXI)
【化39】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4BおよびRは、上記の意味を有し、
は、メチルまたはエチルを表す。]
で示されるアルキリデンマロン酸エステルとカップリングさせて、式(XXVI)
【化40】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、PG、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、この化合物を、水素化分解することにより、または例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)のような好適な酸化剤で処理して脱保護して、式(XXVII)
【化41】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、2個のエステル基のうち一方を、DMSO/水混合物中、塩化リチウムを用いて加熱することにより除去して、式(III−B)
【化42】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得るか、または
【0066】
[F]式(XXVIII)
【化43】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示されるカルボン酸エステルを、不活性溶媒中、α−脱プロトン化に付した後、式(XXIX)
【化44】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R4A、R4B、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
は、塩素、臭素、ヨウ素、メシレート、トリフラートまたはトシレートのような好適な脱離基を表す。]
で示される3−ブロモベンジル化合物を用いてアルキル化して、式(XXX)
【化45】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、塩基およびパラジウム触媒の存在下、ベンジルアミンと反応させて、式(XXXI)
【化46】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R、R4A、R4B、R、R、RおよびT、上記の意味を有する。]
で示される化合物を得て、次いで、水素化分解によりN−ベンジル基を除去して、式(III−C)
【化47】
[この文献は図面を表示できません]

[式中、L、R、R、R4A、R4B、R、R、RおよびTは、上記の意味を有する。]
で示される3−(3−アミノフェニル)プロピオン酸エステルを得る。
【0067】
オレフィン化反応(XI)+(XII)→(XIII)および(XI)+(XIV)→(XV)のホスホン酸エステル(XI)を脱プロトン化するのに、例えば、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドのような非求核性強塩基が特に適している。水素化ナトリウムの使用が好ましい。
【0068】
工程(XIII)→(III−A)、(XV)→(III−A)、(XIX)→(III−A)および(XXIV)→(III−B)の水素化は、一般に、大気圧または高圧下の安定した水素雰囲気下で行われる。使用される好ましい触媒は、(支持体としての)活性炭上のパラジウムまたは白金である。変換工程(XVI)→(III−A)、(XXVI)→(XXVII)および(XXXI)→(III−C)におけるアミノ保護基の除去は、通常、同じ操作による水素化分解により行われる。(XVI)または(XXVI)中のPGがp−メトキシベンジルを表すとき、これは、別に、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)またはアンモニウムセシウム(IV)ニトレートを用いて酸化的にも起こり得る。
【0069】
反応(XVII)+(XVIII)→(XIX)[Heck reaction]に使用するための好ましいパラジウム触媒は、酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)であり、それぞれの場合に、例えば、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニル−ホスフィンまたはトリ−2−トリルホスフィンのようなホスフィンリガンドと組み合わせている。
【0070】
ヨウ化フェニル(XX)の対応するフェニルマグネシウム化合物への変換、およびその銅(I)により仲介されるアルキリデンマロン酸エステル(XXI)への1,4−付加により、式(XXII)の化合物を得る工程は、文献から公知の一般法により行われる[例えば、P. Knochel et al., Tetrahedron 56, 2727−2731 (2000)を参照のこと、引用により本明細書中に包含される]。これはまた、同様の工程(XXV)+(XXI)→(XXVI)にも適用される。
【0071】
アルキル化反応(XXVIII)+(XXIX)→(XXX)のカルボン酸エステル(XXVIII)のα−脱プロトン化には、例えばナトリウム tert−ブトキシドまたはカリウム tert−ブトキシド、水素化ナトリウムまたは水素化カリウム、リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムビス(トリメチルシリル)アミド;ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムビス(トリメチルシリル)アミドのような非求核性強塩基が特に適している。リチウムジイソプロピルアミドの使用が好ましい。この反応に好ましい不活性溶媒は、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類である。反応は、通常、−80℃ないし+25℃の温度範囲で行われる。
【0072】
変換工程(XXX)→(XXXI)[ベンジルアミンとのBuchwald−Hartwig カップリング]について、ホスフィンリガンドとして(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルと組み合わせた好ましい触媒トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)はホスフィンリガンドであり、好ましい塩基は、ナトリウム tert−ブトキシドまたはカリウム tert−ブトキシドである[例えば、J. P. WolfeおよびS. L. Buchwald, Organic Syntheses, Coll. Vol. 10, 423(2004), Vol. 78, 23(2002)を参照のこと]。
【0073】
上記の反応は、大気圧、高圧または低圧下(例えば、0.5ないし5barの範囲)で実施され得る。一般に、該反応は、それぞれの場合に、大気圧下で実施される。
【0074】
本発明の化合物の対応するエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーへの分離は、必要に応じて、便宜的に、化合物(II)、(III)、(IV)、(VII)、(XVI)、(XXII)、(XXIII)、(XXIV)、(XXVI)、(XXVII)、(XXX)または(XXXI)の段階であっても起こり得て、ついでそれは上記の反応工程に従い、分離した形態にてさらに反応する。異性体のそのような分離は、当業者に公知の常套法により実施され得る。本明細書中、アキラルまたはキラル分離相のクロマトグラフィー法を用いることが好ましい。中間体または最終生成物としてのカルボン酸の場合には、分離はまた、別法として、ジアステレオマー塩を介するものであってもよい。
【0075】
式(V)、(VI)、(VIII)、(IX)、(XI)、(XII)、(XIV)、(XVII)、(XVIII)、(XX)、(XXI)、(XXV)、(XXVIII)および(XXIX)の化合物は、市販されているか、それ自体が文献に記載されているか、あるいは文献に記載の方法と類似する当業者に自明な方法にて製造され得る。出発物質を製造するための詳細な操作および文献の多くが、出発物質および中間体を製造するセクションにある実験の記載部分に見出され得る。
【0076】
本発明の化合物の製造は、以下の反応経路による例示的方法にて説明され得る。
【化48】
[この文献は図面を表示できません]

【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0077】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]

【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0078】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]

【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0079】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]

【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0080】
本発明の化合物は、価値ある薬理特性を有し、ヒトおよび動物における障害の予防および処置に使用され得る。
【0081】
本発明の化合物は、可溶性グアニル酸シクラーゼの強力な活性化剤である。該化合物は血管弛緩、血小板凝集の阻害、血圧の低下および冠血流の増加をもたらす。これらの作用は、可溶性グアニル酸シクラーゼのヘムに依存しない直接的活性化および細胞内cGMPの増加により発揮される。
【0082】
加えて、本発明の化合物は、特にその生物学的利用能および/または静脈内投与もしくは経口投与後の作用期間について、優れた薬物動態特性を有する。
【0083】
本発明の化合物は、心血管、肺、血栓塞栓症および線維症の処置および/または予防に特に適する。
【0084】
従って、本発明の化合物は、例えば、高血圧(高血圧症)および心不全、冠血管心臓疾患、安定および不安定狭心症、肺動脈高血圧(PAH)および肺高血圧(PH)の他の形態、腎高血圧、末梢および心臓血管障害の、不整脈、心房性および心室性不整脈のような心血管障害の、ならびに、例えば、第I−III度の房室ブロック、上室性頻拍症、心房細動、心房粗動、心室粗動、心室頻脈、トルサード・ド・ポワンツ頻拍、心房性および心室性期外収縮、AV−房室接合部期外収縮、洞不全症候群、失神、AV−房室結節性エントリ性頻拍、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、急性冠血管症候群(ACS)、自己免疫性心臓障害(心膜炎、心内膜炎、弁膜炎、大動脈炎、心筋症)、ボクサー心筋症、動脈瘤、ショック、例えば心臓性ショック、敗血症性ショックおおびアナフィラキシーショックのような伝導障害の処置および/または防止のための、さらに、血栓塞栓性疾患および虚血、例えば心筋虚血、心筋梗塞、卒中、心肥大、一過性および虚血性発作、子癇前症、炎症性心臓血管疾患、冠状動脈および末梢血管の痙攣、浮腫形成、例えば心不全、末梢循環障害、再灌流傷害、動脈および静脈血栓症、微量アルブミン尿、心筋不全、内皮機能不全、微小血管および大血管損傷(脈管炎)に起因する肺水腫、脳浮腫、腎性浮腫もしくは水腫の処置および/または予防のための、ならびに例えば血栓溶解治療、経皮経管動脈形成(PTA)、経腔的冠動脈形成(PTCA)、心臓移植およびバイパス形成手術後の再狭窄を予防するための医薬において使用され得る。
【0085】
本発明に関して、用語「心不全」は、より具体的または関連するタイプの疾患、例えば急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、特発性心筋症、先天性心臓欠損、心臓弁の異常、心臓弁の異常に付随する心不全、僧帽弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全、大動脈狭窄、大動脈弁閉鎖不全、三尖弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全、肺動脈弁狭窄、肺動脈弁不全、混合性心臓弁障害、心筋炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓貯蔵障害ならびに心拡張期および収縮期心不全のような心不全の急性および慢性発現の両方を含む。
【0086】
加えて、本発明の化合物は、動脈硬化、障害のある脂質代謝、低リポタンパク質血症、異脂質血症、高トリグリセリド血症、高脂血症、高コレステロール血症、無ベータリポタンパク質血症、シトステロール血症、黄色腫症、タンジアー病、肥満症、肥満およびメタボリック症候群の処置および/または予防のために用いることもできる。
【0087】
さらに、本発明の化合物は、一次性および二次性レイノー現象、微小循環障害、跛行、耳鳴り、末梢性および自律性ニューロパシー、糖尿病細小血管症、糖尿病網膜症、四肢の糖尿病性潰瘍、壊疽、CREST症候群、エリテマトーデス、爪真菌症およびリウマチ性障害の処置および/または予防のために用いることができる。
【0088】
加えて、本発明の化合物は、臓器または組織の虚血および/または再灌流に関連する損傷を予防するために、またヒトまたは動物起源の臓器、臓器の一部、組織または組織の一部の灌流および保存溶液への添加剤として、特に、外科的介入または移植医療の分野で、使用され得る。
【0089】
さらには、本発明の化合物は、腎臓障害、特に腎不全および腎機能不全の処置および/または防止に適する。本発明に関して、用語「腎不全および腎機能不全」は、急性および慢性発現の両方を含み、ならびに、根本のまたは関連する腎疾患、例えば腎過融合、透析低血圧、閉塞性尿路疾患、糸球体腎症、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体硬化、尿細管間質疾患、原発性および先天性腎疾患のような腎障害性疾患、腎炎、腎移植拒絶反応および免疫複合体誘発の腎疾患などの免疫学的腎疾患、毒物誘発性腎症、造影剤誘発性腎症、糖尿病性および非糖尿病性腎症、腎盂腎炎、腎嚢胞性疾患、腎硬化症、高血圧性腎硬化症およびネフローゼ症候群を含み、診断的には、例えば、異常に少ないクレアチニンおよび/または水の排泄、異常に高い尿素、窒素、カリウムおよび/またはクレアチニンの血中濃度、例えばグルタミルシンセターゼなどの腎酵素の活性の変化、尿浸透圧または尿容量の変化、ミクロアルブミンウレア、マクロアルブミンウレアの増加、糸球体および細動脈の病変、尿細管膨張、高リン血症、および/または透析の必要性によって特徴付けることができる。本発明はまた、腎不全の後遺症、例えば、高血圧、肺浮腫、心不全、尿毒症、貧血、電解質平衡異常(例えば、高カルシウム血症、低ナトリウム血症)ならびに骨および炭水化物の作用機序の平衡異常を処置および/または予防するための本発明の化合物の使用を含む。
【0090】
加えて、本発明の化合物は、泌尿器系障害、例えば良性前立腺症候群(BPS)、良性前立腺肥大(BPH)、良性前立腺肥大症(BPE)、膀胱下尿道閉塞(BOO)、下部尿路症候群(LUTS)、神経性過活動膀胱(OAB)、失禁(UI)、例えば混合型尿失禁、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁または溢流性尿失禁(MUI、UUI、SUI、OUI)、骨盤痛、ならびに勃起不全および女性の性機能障害を処置および/または予防するのに適している。
【0091】
本発明の化合物はまた、喘息性障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)および急性肺損傷(ALI)、アルファ−1−抗トリプシン欠乏(AATD)、肺繊維症、肺気腫(例えばタバコの煙によって誘発された肺気腫)および嚢胞性繊維症(CF)の処置および/または予防、ならびに肺動脈性肺高血圧(PAH)および左心疾患(left−heart disease)を含む肺高血圧(PH)の他の形態、HIV、鎌状赤血球貧血、血栓塞栓症、サルコイドーシス、COPDまたは肺繊維症に付随する肺高血圧を処置および/または予防するのに適する。
【0092】
本発明において記載される化合物はまた、NO/cGMP系の障害を特徴とする中枢神経系の疾患を制御するための有効化合物でもある。それらは、特に、状態/疾患/症候群に付随して生じるような認知障害、例えば軽度認知障害、加齢に伴う学習および記憶障害、加齢に伴う記憶喪失、血管性認知症、頭部外傷、脳卒中、脳卒中後に生じる認知症(脳卒中後認知症)、外傷後頭蓋大脳外傷、一般的な集中力の欠陥、学習および記憶障害を有する小児における集中力の欠陥、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、ピック症候群、パーキンソン病、進行性核麻痺を含む前頭葉の衰退を伴う認知症、大脳皮質基底核変性症を伴う認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、脱髄、多発性硬化症、視床変性症、クロイツフェルトヤコブ認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症またはコルサコフ精神病のような認知障害後の認知、集中力、学習または記憶を改善することに適している。それらは、中枢神経系障害、例えば懸念、緊張および鬱病の状態、中枢神経系(CNS)関連の性機能障害および睡眠障害を処置および予防するのに、ならびに食品、刺激物および常習性薬物の摂取の病理学的障害を制御するのにも適している。
【0093】
さらに、本発明の化合物はまた、脳血流を制御することに適しており、故に偏頭痛を制御するための有効な薬物を意味する。これらは、脳梗塞(卒中)、例えば脳卒中、脳虚血および頭蓋大脳外傷の予防および制御にも適している。本発明の化合物は、同様に、疼痛状態を制御するために使用することができる。
【0094】
加えて、本発明の化合物は、消炎作用を有し、故に、抗炎症剤として、敗血症(SIRS)、多臓器不全(MODS、MOF)、腎臓の炎症性疾患、慢性腸炎症(IBD、クローン病、潰瘍性大腸炎)、膵炎、腹膜炎、リウマチ様障害(rheumatoid disorder)、炎症性皮膚疾患および炎症性眼疾患の処置および/または予防に用いることができる。
【0095】
さらに、本発明の化合物は、内臓器官、例えば、肺、心臓、腎臓、骨髄、特に肝臓の線維症、ならびに皮膚学的繊維症(dermatological fibroses)および繊維症眼障害(eye disorders)の処置および/または予防に適している。本発明において、用語「線維症」は、特に以下の障害、肝線維症、肝硬変、肺線維症、心内膜心筋線維症、腎症、糸球体腎炎、間質性腎線維症、糖尿病から生じた線維症傷害、骨髄線維症および類似の線維症障害、強皮症、限局性強皮症、ケロイド、肥大性瘢痕(hypertrophic scarring)(外科的手術に伴う)、母斑、糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症および結合組織の障害(例えばサルコイドーシス)を含む。本発明の化合物はまた、創傷治癒を促進するため、例えば緑内障手術の結果として、術後瘢痕を制御するために使用され得て、老化および角質化した皮膚のために美容上使用され得る。
【0096】
それらの活性プロフィールに基づいて、本発明の化合物は、特に、心不全、狭心症、高血圧および肺高血圧のような心血管障害、ならびに血栓塞栓性疾患および虚血、血管障害、微小循環の平衡異常、腎不全、線維症および動脈硬化症の処置および/または予防に適している。
【0097】
本発明はさらに、障害の、特に上記の障害の処置および/または予防のための、本発明の化合物の使用に関する。
【0098】
本発明はさらに、障害の、特に上記の障害の処置および/または予防のための医薬の製造を目的とする、本発明の化合物の使用に関する。
【0099】
本発明はさらに、障害の、特に上記の障害を処置および/または予防する方法における、本発明の化合物の使用に関する。
【0100】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明の化合物の有効量を使用することによる、障害の、特に上記の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0101】
本発明の化合物は、単独で、または必要に応じて、他の有効化合物と組み合わせて用いることができる。本発明はさらに、特に上記の障害の処置および/または予防に用いるための、少なくとも1種の本発明の化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効化合物を含む医薬に関する。適当な併用有効化合物の好ましい例としては、
・有機ナイトレートおよびNO供与体、例えば、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1およびNO吸入(inhaled NO);
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を阻害する化合物、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)1、2および/または5の阻害剤、特に、PDE5阻害剤、例えばシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル;
・NO非依存性であるが、ヘム依存性のグアニル酸シクラーゼの刺激因子、例えば、特にリオシグアトならびにWO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・例えば、好ましくは、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質の群から選択される、抗血栓活性を有する薬剤;
・例えば、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベーター受容体遮断剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群より選択される、降圧作用を有する有効化合物;および/または
・例えば、好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えば、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群より選択される、脂質代謝調節有効化合物
が挙げられる。
【0102】
抗血栓作用を有する薬剤は、好ましくは、血小板凝集抑制薬、抗凝血剤または繊維素溶解促進性物質の群からの化合物を意味する。
【0103】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールのような血小板凝集阻害剤と組合せて投与される。
【0104】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ダビガトラン(dabigatran)、ビバリルディンまたはクレキサンのようなトロンビン阻害剤と組合せて投与される。
【0105】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、例えば、好ましくはチロフィバンまたはアブシキシマブのようなGPIIb/IIIaアンタゴニストと組合せて投与される。
【0106】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、Xa因子阻害剤、例えば、好ましくは、リバロキサバン、アピキサバン、フィデキサバン、ラザキサバン、ファンダパリナックス、イドラパリナックス、DU−176b、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM―17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428と組み合わせて投与される。
【0107】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0108】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ビタミンKアンタゴニスト、例えば、好ましくは、クマリンと組み合わせて投与される。
【0109】
降圧作用を有する薬剤は、好ましくは、カルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルファ−受容体遮断剤、ベーター受容体遮断剤、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群より選択される化合物を意味する。
【0110】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、カルシウムアンタゴニスト、例えば、好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムと組み合わせて投与される。
【0111】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、アルファ−1−受容体遮断剤、例えば、好ましくは、プラゾシンと組み合わせて投与される。
【0112】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ベーター受容体遮断剤、例えば、好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールと組み合わせて投与される。
【0113】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、例えば、好ましくは、ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタンまたはエンブルサタンと組み合わせて投与される。
【0114】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ACE阻害剤、例えば、好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル、ペリンドプリルまたはトランドプリルと組み合わせて投与される。
【0115】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、エンドセリンアンタゴニスト、例えば、好ましくは、ボセンタン、ダルセンタン、アンブリセンタンまたはシタクスセンタンと組み合わせて投与される。
【0116】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、レニン阻害剤、例えば、好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800と組み合わせて投与される。
【0117】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、例えば、好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンと組み合わせて投与される。
【0118】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、利尿剤、例えば、好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネサゾン、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンと組み合わせて投与される。
【0119】
脂質代謝調節剤は、好ましくは、CETP阻害剤、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成阻害剤、例えばHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−アルファ、PPAR−ガンマおよび/またはPPAR−デルタアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストの群より選択される化合物を意味すると理解される。
【0120】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、CETP阻害剤、例えば、好ましくは、トルセトラピブ(CP−529414)、JJT−705またはCETPワクチン(Avant)と組み合わせて投与される。
【0121】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、甲状腺受容体アゴニスト、例えば、好ましくは、D−チロキシン、3,5,3’−トリヨードチロニン(T3)、CGS23425またはアキシチロム(CGS26214)と組み合わせて投与される。
【0122】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、スタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンまたはピタバスタチンと組み合わせて投与される。
【0123】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、スクアレン合成阻害剤、例えば、好ましくは、BMS−188494またはTAK−475と組み合わせて投与される。
【0124】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ACAT阻害剤、例えば、好ましくは、アバシミブ、メリナミド、パクチミブ、エフルシミブまたはSMP−797と組み合わせて投与される。
【0125】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、MTP阻害剤、例えば、好ましくは、インプリタピド、BMS−201038、R−103757またはJTT−130と組み合わせて投与される。
【0126】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与される。
【0127】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、PPAR−デルタアゴニスト、例えば、好ましくは、GW501516またはBAY68−5042と組み合わせて投与される。
【0128】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、コレステロール吸収阻害剤、例えば、好ましくは、エゼチミブ、チクエシドまたはパマクエシドと組み合わせて投与される。
【0129】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、リパーゼ阻害剤、例えば、好ましくは、オーリスタットと組み合わせて投与される。
【0130】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、ポリマー性胆汁酸吸着剤、例えば、好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム、コレスタゲルまたはコレスチミドと組み合わせて投与される。
【0131】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、胆汁酸再吸収阻害剤、例えば、好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635と組み合わせて投与される。
【0132】
本発明の好ましい態様において、本発明の化合物は、リポタンパク質(a)アンタゴニスト、例えば、好ましくは、ゲンカベンカルシウム(CI−1027)またはニコチン酸と組み合わせて投与される。
【0133】
本発明はさらに、少なくとも1種の本発明の化合物を、典型的に、1種またはそれ以上の不活性の非毒性の薬学的に適する助剤と共に含む医薬、および上記の目的でのその使用を提供する。
【0134】
本発明の化合物は、全身的および/または局所的に作用し得る。この目的で、それらは、例えば、経口、非経腸、肺、鼻腔、舌下、舌に、頬側に、直腸、皮膚、経皮、結膜、耳経路、またはインプラントもしくはステントとして、適当な方法で投与され得る。
【0135】
本発明の化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与され得る。
【0136】
経口投与に適する投与形は、先行技術に準じて働くものであり、本発明の化合物を迅速に、かつ/または、改変された様式で放出し、本発明の化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、本発明にかかる化合物の放出を制御する、例えば、胃液抵抗性コーティング、または、遅延して溶解するか、もしくは不溶性のコーティングを有する錠剤)、口腔中で迅速に溶解する錠剤、またはフィルム/ウエハー、フィルム/凍結乾燥剤、またはカプセル剤(例えば、硬または軟ゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0137】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収段階を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌散剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0138】
他の投与経路に関しては、適した例としては、吸入医薬形(例えば、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、舌に、舌下にまたは頬側用の液剤またはスプレー剤、錠剤、フィルム/ウエハーまたはカプセル剤、坐剤、耳または眼用の調剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、噴霧用粉末剤(sprinkling powders)、インプラントまたはステントがある。
【0139】
経口または非経腸投与が好ましく、とりわけ経口投与が好ましい。
【0140】
本発明の化合物は、上記した投与形に変換され得る。このことは、不活性の非毒性の薬学的に適する添加剤と混合することにより、それ自体公知の方法で行われ得る。これらの添加剤は、担体(例えば、微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定化剤(例えば、アスコルビン酸等の抗酸化剤)、着色剤(例えば酸化鉄等の無機色素)および香味および/または臭気の矯正剤を包含する。
【0141】
一般に、有効な結果を達成するのに、非経腸投与では、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが有利である。経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、最も好ましくは0.1ないし10mg/体重kgである。
【0142】
それにも拘わらず、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、調剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上記の量から逸脱することが必要な場合がある。例えば、場合によっては、上記の最小量より少なく量で十分な場合があり、一方、他の場合には、上記の上限を超えなければならない場合がある。比較的大量に投与する場合、これらを複数の個別の投薬に分け、1日かけて投薬することが望ましい場合がある。
【0143】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。本発明は、これらの実施例に限定されない。
【0144】
以下の試験および実施例におけるパーセンテージは、他に特記しない限り、重量パーセントである。部は、重量部である。液体/液体溶液に関する溶媒比、希釈比および濃度データは、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0145】
A.実施例
略語および頭文字:
abs. 無水
Ac アセチル
AIBN 2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)
aq. 水性、水溶液
ATP アデノシン5'−トリホスフェート
Bn ベンジル
Brij(登録商標) ポリエチレングリコールドデシルエーテル
BSA ウシ血清アルブミン
Ex. 実施例
Bu ブチル
c 濃度
cat. 触媒
CI 化学イオン化(MSにおいて)
d 日(複数でも可)
DAST ジエチルアミノサルファートリフルオリド
DCI 直接的化学イオン化(MSにおいて)
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
de ジアステレオマー過剰率
DIBAH 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオスレイトール
EDC N'−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミ
ド塩酸塩
ee エナンチオマー過剰率
EI 電子衝撃イオン化(MSにおいて)
ent エナンチオマーとして純粋、エナンチオマー
eq. 当量(複数でも可)
ESI 電子噴射イオン化(MSにおいて)
Et エチル
GC ガスクロマトグラフィー
sat. 飽和
GTP グアノシン5'−トリホスフェート
h 時間(複数でも可)
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'
−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBt 1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール水和物
HPLC 高圧、高性能液体クロマトグラフィー
iPr イソプロピル
conc. 濃縮
LC−MS 液体クロマトグラフィー−質量分析の組み合わせ
LDA リチウムジイソプロピルアミド
LiHMDS リチウムヘキサメチルジシラジド[リチウムビス(トリメチルシリ
ル)アミド]
Me メチル
min 分(複数でも可)
MS 質量分析
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMP N−メチルピロリジン−2−オン
NMR 核磁気共鳴分光法
p パラ
Pd/C 活性炭上パラジウム
Ph フェニル
PMB p−メトキシベンジル
Pr プロピル
Pt/c 活性炭上白金
rac ラセミの、ラセミ体
Rf 保持指標(TLCにおける)
RP 逆相(HPLCにおける)
RT 室温
保持時間(HPLCにおける)
tBu tert−ブチル
TEA トリエタノールアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
UV 紫外分光法
v/v 容量:容量割合(溶液の)
【0146】
GC−MSおよびLC−MS法:
方法1(GC−MS):
装置: Micromass GCT、GC 6890;カラム:Restek RTX−35、15mx20μmx0.33μm;ヘリウムの一定流速:0.88ml/分;オーブン:70℃;入口:250℃;勾配:70℃、30℃/分→310℃(3分間維持)
【0147】
方法2(LC−MS):
MS装置タイプ:Waters Micromass Quattro Micro;HPLC装置タイプ:Agilent 1100 Series;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20mmx4mm;移動相A:1Lの水+0.5mlの50%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.5mlの50%濃度のギ酸;勾配:0.0分の100%A→3.0分の10%A→4.0分の10%A→4.01分の100%A(流速2.5ml/分)→5.00分の100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm
【0148】
方法3(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series;UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30mmx3.00mm;移動相A:1リットルの水+0.5mlの50%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.5mlの50%濃度のギ酸;勾配:0.0分の90%A→2.5分の30%A→3.0分の5%A→4.5分の5%A;流速:0.0分、1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分 2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0149】
方法4(LC−MS):
装置:Waters UPLC Acquityを装着したMicromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50mmx1mm;移動相A:1Lの水+0.5mlの50%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.5mlの50%濃度のギ酸;勾配:0.0分の90%A→0.1分の90%A→1.5分の10%A→2.2分の10%A;流速:0.33ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0150】
方法5(LC−MS):
MS装置型:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ 50mmx1mm;移動相A:1Lの水+0.25mlの99%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.25mlの99%濃度のギ酸;勾配:0.0分の90%A→1.2分の5%A→2.0分の5%A;流速:0.40ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210−400nm
【0151】
方法6(GC−MS):
装置:Thermo DFS, Trace GC Ultra;カラム:Restek RTX−35、15mx200μmx0.33μm;一定のヘリウム流:1.20ml/分;オーブン:60℃;入口:220℃;勾配:60℃、30℃/分→300℃(3.33分間維持)
【0152】
方法7(LC−MS):
装置:Waters Acquity SQD UPLC System;カラム:Waters Acquity UPLC HSS T3 1.8μ、30mmx2mm;移動相A:1Lの水+0.25mlの99%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.25mlの99%濃度のギ酸;勾配:0.0分の90%A→1.2分の5%A→2.0分の5%A;流速:0.60ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm
【0153】
方法8(LC−MS):
装置:Waters UPLC Acquityを装着したMicromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ 50mmx1mm;移動相A:1Lの水+0.5mlの50%濃度のギ酸、移動相B:1Lのアセトニトリル+0.5mlの50%濃度のギ酸;勾配:0.0分の97%A→0.5分の97%A→3.2分の5%A→4.0分の5%A;流速:0.3ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm
【0154】
出発物質および中間体:
実施例1A
tert−ブチル(2E/Z)−4−メトキシ−4−メチルペント−2−エノアート
【化56】
[この文献は図面を表示できません]

−70℃にて、アルゴン下、10mlのジクロロメタン中の6.8ml(96mmol)のDMSOを、24ml(48mmol)のジクロロメタン中の2M溶液の塩化オキサリルおよびさらに100mlのジクロロメタンの混合物に滴下し、混合物を15分間撹拌した。5.2ml(48mmol)の2−メトキシ−2−メチルプロパン−1−オール[H. Garcia et al., Chem. Eur. J. 16 (28), 8530−8536 (2010)]を15mlのジクロロメタン中に溶解し、次いでそれを滴下し、混合物を−70℃でさらに15分間撹拌した。22.1ml(158mmol)のトリエチルアミンをゆっくり添加し、次いで反応混合物をさらに15分間撹拌し、その後、ゆっくりと室温まで温めた。次いで、22g(58mmol)のtert−ブチル(トリフェニル−λ−ホスファニリデン)アセテートを添加し、反応混合物を、室温で一晩撹拌した。次いで、反応溶液を100mlの氷水にゆっくり添加し、得られた相を分けた。有機相を各100mlの水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、ロータリーエバポレーターで濃縮した(水浴温度40℃、圧力 150mbarを下回らない)。得られた残渣を、約100mlのジエチルエーテル中に溶解し、+3℃で2日間、冷蔵庫中に立てておいた。沈殿したトリフェニルホスフィンオキシドを濾過により取り除き、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 100:1→50:1)により精製した。これにより、7.06g(理論値の73%)の表題化合物を無色液体として得た。
GC−MS(方法6):R=3.32分、m/z=218(M+NH
【0155】
以下の2種の化合物を、実施例1Aと同様の合成法で得た。
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
実施例4Aおよび実施例5A
メチル(2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−2−エノアート
および、メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−3−エノアート
アルゴン下、3.22g(15.6mmol)の5−ブロモ−2−クロロアニリン、3.0g(23.30mlのジオキサン中の、4mmol)のメチル−(2E)−4−メチルペント−2−エノアート、143mg(0.16mmol)のトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム、63mg(0.31mmol)のトリ−tert−ブチルホスフィンおよび3.64ml(17.2mmol)のN,N−ジシクロヘキシルメチルアミンの混合物を、120℃まで加熱し、この温度で3日間撹拌した。1日目および2日目の反応後、同量のパラジウム触媒およびホスフィンリガンドを反応混合物に添加した。次いで、反応混合物をセライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 50:1)により、その成分に分けた。これにより、1.52gのメチル (2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−2−エノアート(理論値の38%)および906mgのメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−3−エノアート(理論値の22%)を得た。
【0157】
実施例4A
メチル (2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−2−エノアート
【化58】
[この文献は図面を表示できません]

LC−MS(方法2):R=2.46分、m/z=254(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.03 (d, 6H), 3.65 (s, 3H), 3.90−4.03 (m, 1H), 5.42 (br. s, 2H), 5.63 (s, 1H), 6.40 (dd, 1H), 6.69 (d, 1H), 7.16 (d, 1H).
【0158】
実施例5A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−3−エノアート
【化59】
[この文献は図面を表示できません]

LC−MS(方法2):R=2.28分、m/z=254(M+H)
【0159】
以下の化合物を、実施例4A/5Aと同様の合成法で得た。
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0160】
実施例7A
tert−ブチル (2E)−3−シクロブチルアクリレート
【化61】
[この文献は図面を表示できません]

工程1:
50mlの無水ジクロロメタン中の11.1ml(116.1mmol)の塩化オキサリル溶液を78℃まで冷却し、50mlの無水ジクロロメタン中の16.5ml(232.2mmol)のDMSO溶液を滴下し、温度を−50℃以下に維持した。5分後、20mlの無水ジクロロメタン中の10.0g(116.1mmol)のシクロブタンメタノール溶液を滴下した。−78℃にてさらに15分間撹拌後、80.9ml(580.5mmol)のトリエチルアミンを添加した。5分後、冷却器を取り除き、混合物をゆっくりとRTまで温め、次いで、反応混合物を水に添加した。混合物を、塩化ナトリウムで飽和させ、分離した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で2回、1N塩酸で3回およびpH緩衝液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下(500mbar)で濃縮した。これにより、6.28gのシクロブタンカルバルデヒドを粗生成物をとして得て、それをさらなる反応に直接用いた。
【0161】
工程2:
6.4ml(27.3mmol)のtert−ブチル(ジエトキシホスホリル)アセテートを、22mlのTHFおよび22mlのDMFの混合物中の1.05g(鉱油中60%、26.2mmol)の水素化ナトリウムの懸濁液に添加し、0℃まで冷却した。30分後、混合物を−10℃まで冷却し、2.0g(粗物質、約23.8mmol)のシクロブタンカルバルデヒドを数回に分けて添加した。反応混合物を0℃で5時間撹拌し、次いで一晩かけてゆっくりRTまで温め、その後水に添加し、酢酸エチルで3回抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 50:1)により精製した。これにより、1.21gの標的生成物(理論値の、約8%)を得た。
GC−MS(方法1):R=3.26分;m/z=126(M−C
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.42 (s, 9H), 1.74−1.96 (m, 4H), 2.05−2.17 (m, 2H), 3.03−3.16 (m, 1H), 5.66 (dd, 1H), 6.86 (dd, 1H).
【0162】
実施例8Aおよび実施例9A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルアクリレート
および、tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチリデンプロパノエート
0.78ml(5.60mmol)のトリエチルアミンを、2.8mlのDMF中の、385.2mg(1.87mmol)の5−ブロモ−2−クロロアニリンおよび510mg(2.80mmol)のtert−ブチル(2E)−3−シクロブチルアクリレートの混合物に添加した。混合物を3回脱気し、各回毎にアルゴンを通気した。41.9mg(0.187mmol)の酢酸パラジウム(II)および113.6mg(0.373mmol)のトリ−2−トリルホスフィンを添加後、反応混合物を2回脱気し、各回毎にアルゴンを通気し、次いで150℃で3時間撹拌した。次いで、さらに193mgの5−ブロモ−2−クロロアニリンを添加し、反応混合物を150℃でさらに1時間撹拌した。冷却後、反応混合物をセライトを通して濾過し、濾過残渣をDMFで2回洗浄した。合わせた濾液を高真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 60:1)により、2種の異性体の標的生成物を残渣から単離した。これにより、203mgのtert−ブチル3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルアクリレート(理論値の35.4%)および137mgのtert−ブチル3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチリデンプロパノエート(理論値の23.8%)を得た。
【0163】
実施例8A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルアクリレート
【化62】
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LC−MS(方法5):R=1.36分、m/z=308(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.45 (s, 9H), 1.52−1.63 (m, 1H), 1.74−1.85 (m, 3H), 2.09−2.18 (m, 2H), 4.10 (quin, 1H), 5.35−5.41 (m, 2H), 5.55 (d, 1H), 6.38 (dd, 1H), 6.66 (d, 1H), 7.16 (d, 1H).
【0164】
実施例9A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチリデンプロパノエート
【化63】
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LC−MS(方法5):R=1.27分、m/z=252(M+H−C
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.31 (s, 9H), 1.93 (quin, 2H), 2.72−2.86 (m, 4H), 3.12 (s, 2H), 5.18−5.24 (m, 2H), 6.42 (dd, 1H), 6.69 (d, 1H), 7.06−7.11 (m, 1H).
【0165】
以下の化合物を、実施例8A/9A同様の合成法で得た。
【化64】
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【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0166】
実施例13A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペンタノエート
【化66】
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RTにて、6.77g(26.7mmol)のメチル (2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペント−2−エノアートの130mlのメタノール溶液を、2.2g(90.7mmol)の削り状マグネシウムおよび少量の粒状ヨウ素に添加した。約30分後、入口温度を約60℃まで上げた。反応溶液を室温まで冷却後、室温で撹拌をさらに2時間継続した。次いで、50mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を暗色反応混合物にゆっくり添加し、混合物をジエチルエーテルで繰り返し抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製した。これにより、2.95g(理論値の40%)の表題化合物を油状物として得た。
LC−MS(方法5):R=1.06分;m/z=256(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.69 (d, 3H), 0.87 (d, 3H), 1.67−1.80 (m, 1H), 2.44−2.56 (m, 1H, DMSO シグナルにより不明瞭), 2.57−2.66 (m, 1H), 2.69−2.77 (m, 1H), 3.46 (s, 3H), 5.15−5.26 (br. s, 2H), 6.35 (dd, 1H), 6.58 (d, 1H), 7.05 (d, 1H).
【0167】
以下の化合物を、実施例13Aと同様の合成法で得た。
【化67】
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【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0168】
実施例17Aおよび実施例18A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペンタノエート(エナンチオマー1および2)
【化69】
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キラル相の分取HPLCにより、960mg(3.75mmol)のメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペンタノエート(実施例13A)のラセミ体を、エナンチオマーに分けた[カラム:Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mmx20mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール 90:10(v/v);流速:20ml/分;UV検出:230nm;温度:25℃]:
【0169】
実施例17A(エナンチオマー1):
収量:315mg
=6.90分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム:Daicel AD−H、5μm、250mm x 4mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%ジエチルアミン)90:10(v/v);流速:1ml/min;UV検出:220nm;温度:25℃].
LC−MS(方法8):R=2.34分;m/z=256(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.69 (d, 3H), 0.87 (d, 3H), 1.67−1.80 (m, 1H), 2.44−2.56 (m, 1H, DMSOシグナルにより不明瞭), 2.57−2.66 (m, 1H), 2.69−2.77 (m, 1H), 3.46 (s, 3H), 5.15−5.26 (br. s, 2H), 6.35 (dd, 1H), 6.58 (d, 1H), 7.05 (d, 1H).
【0170】
実施例18A(エナンチオマー2):
収量:247mg
=7.76分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム:Daicel AD−H、5μm、250mm x 4mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%ジエチルアミン)90:10(v/v);流速:1ml/min;UV検出:220nm;温度:25℃].
LC−MS(方法8):R=2.34分;m/z=256(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.69 (d, 3H), 0.87 (d, 3H), 1.67−1.80 (m, 1H), 2.44 2.56 (m, 1H, DMSO シグナルにより不明瞭), 2.57−2.66 (m, 1H), 2.69−2.77 (m, 1H), 3.46 (s, 3H), 5.15−5.26 (br. s, 2H), 6.35 (dd, 1H), 6.58 (d, 1H), 7.05 (d, 1H).
【0171】
実施例19A
2−クロロ−5−ヨード−N,N−ビス(4−メトキシベンジル)アニリン
【化70】
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アルゴン下、12.62g(316.16mmol、鉱油中60%)の水素化ナトリウムを250mlの無水DMF中に懸濁し、0℃まで冷却した。32g(126.3mmol)の2−クロロ−5−ヨードアニリンを80mlの無水DMFに溶解し、次いでそれをゆっくり添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、41ml(303mmol)の1−(クロロメチル)−4−メトキシベンゼンを反応混合物にゆっくり添加し、その後、混合物を室温まで温めた。混合物をRTで一晩撹拌し、次いで、150mlの氷水に注意深く注いだ。有機相を分け、次いで、水相をジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1)により精製した。これにより、59gの表題化合物(理論値の94%)を得た。
LC−MS(方法4):R=1.77分;m/z=494/496(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=3.71 (s, 6H), 4.08 (s, 4H), 6.86 (d, 4H), 7.22 (d, 5H), 7.29−7.35 (m, 2H).
【0172】
実施例20A
{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}(1−メチルシクロプロピル)メタノン
【化71】
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アルゴン下、7.587g(15.37mmol)の2−クロロ−5−ヨード−N,N−ビス(4−メトキシベンジル)アニリンを、100mlのTHF中に溶解し、−78℃まで冷却した。次いで、7.65ml(15.27mmol)のジエチルエーテル中の塩化イソプロピルマグネシウムの2M溶液をゆっくり添加した。次いで、反応溶液を−40℃までゆっくり温め、この温度で30分間撹拌した。2g(13.97mmol)のN−メトキシ−N,1−ジメチルシクロプロパンカルボキサミド[R. Shintani et al., Chem. Eur. J., 15 (35), 8692−8694 (2009)]を20mlのTHFに溶解し、次いでそれを反応溶液にゆっくり添加した。次いで、得られた反応混合物を室温までゆっくり温め、この温度で一晩撹拌した。次いで、50mlの氷冷飽和塩化アンモニウム水溶液を反応混合物に添加した。相を分離後、水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製した。これにより、3.977g(理論値の63%)の表題化合物を得た。
LC−MS(方法5):R=1.50分;m/z=450/452(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.72−0.76 (m, 2H), 0.93−0.98 (m, 2H), 1.09 (s, 3H), 3.69 (s, 6H), 4.15 (s, 4H), 6.85 (d, 4H), 7.23 (d, 4H), 7.25−7.29 (m, 2H), 7.52−7.57 (m, 1H).
【0173】
実施例21A
tert−ブチル (2E/Z)−3−{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}−3−(1−メチルシクロプロピル)アクリレート
【化72】
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0.84ml(3.57mmol)のtert−ブチル(ジエトキシホスホリル)アセテートを、15mlのTHF中の143mg(鉱油中60%、3.57mmol)の水素化ナトリウムの懸濁液に滴下し、0℃まで冷却した。30分後、10mlのTHFに溶解した1070mg(2.38mmol)の{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}(1−メチルシクロプロピル)メタノンを、添加した。冷却浴を取り除き、反応混合物をRTで一晩撹拌した。次いで、50mlの氷冷飽和塩化アンモニウム水溶液を反応混合物に添加した。相を分離後、水相を酢酸エチルで3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 50:1)により精製した。これにより、960mgの標的生成物をE/Z異性体混合物として得た(理論値の74%)。
LC−MS(方法7):R=1.67分(異性体1)、m/z=548/550(M+H);R=1.70分(異性体2)、m/z=548/550(M+H)
【0174】
実施例22A
tert−ブチル 3−{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}−3−(1−メチルシクロプロピル)−プロパノエート
【化73】
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130mg(1.58mmol)の削り状マグネシウムおよび少量の粒状ヨウ素を最初に仕込み、10mlのメタノール中の865mg(1.58mmol)のtert−ブチル (2E/Z)−3−{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}−3−(1−メチルシクロプロピル)アクリレートを添加し、混合物を室温で撹拌した。約10分後、弱いガス発生と温度上昇がみられた。氷浴を用いて、温度を35−40℃に維持した。反応の終了後、10mlの飽和塩化アンモニウム水溶液および20mlのジクロロメタンを反応混合物に添加した。次いで、有機相を分け、水相を約10mlずつのジクロロメタンでさらに3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水 9:1 定組成)により単離した。これにより、159mgの標的生成物(理論値の18%)を得た。
LC−MS(方法4):R=1.91分;m/z=550/552(M+H)
【0175】
実施例23A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−(1−メチルシクロプロピル)プロパノエート
【化74】
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159mg(0.29mmol)のtert−ブチル 3−{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}−3−(1−メチルシクロプロピル)プロパノエートを、7mlのジクロロメタンおよび1.2mlの水中に溶解した。次いで、145mg(0.64mmol)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を添加し、反応溶液を室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を10mlの飽和重炭酸ナトリウム水溶液に添加した。相を分け、次いで、水相を約10mlずつのジクロロメタンでさらに3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水)により単離した。これにより、31mgの標的生成物を得た(理論値の34%)。
LC−MS(方法7):R=1.35分;m/z=310(M+H)
【0176】
実施例24A
(4−クロロ−3−ニトロフェニル)(シクロプロピル)メタノン
【化75】
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アルゴン下、−10℃にて、20g(110.7mmol)の(4−クロロフェニル)(シクロプロピル)メタノンを、60mlの濃硝酸にゆっくり添加した。次いで、反応混合物をゆっくり5℃まで温め、この温度で6時間撹拌した。次いで、反応溶液を撹拌しながら約100mlの氷水に注意深く添加した。この結果得られた白色固体沈殿を吸引により濾取し、水で繰り返し洗浄した。この方法で得られた固体を高真空下で乾燥させた。これにより、24.3g(理論値の97%)の所望の生成物を得た。
LC−MS(方法7):R=1.06分;m/z=224/226(M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.05−1.18 (m, 4H), 2.92−3.02 (m, 1H), 7.97 (d, 1H), 8.32 (dd, 1H), 8.66 (d, 1H).
【0177】
以下の化合物を、実施例24Aと同様の合成法で得た。
【化76】
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【0178】
実施例26A
tert−ブチル (2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−シクロプロピルアクリレート
【化77】
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13.5ml(57.6mmol)のtert−ブチル(ジエトキシホスホリル)アセテートを、50mlのTHFおよび50mlのDMF中の2.3g(鉱油中60%、57.6mmol)の水素化ナトリウムの懸濁液に滴下し、0℃まで冷却した。30分後、10g(44.3mmol)の(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−(シクロプロピル)メタノンを少しずつ添加し、冷却浴を取り除き、反応混合物をRTで一晩撹拌した。次いで、50mlの氷冷飽和塩化アンモニウム水溶液を反応混合物に添加した。相を分離後、水相を酢酸エチルでさらに3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1)により精製した。これにより、13.4gの標的生成物をE/Z異性体混合物として得た(理論値の93%)。
MS(DCI):m/z=324(M+H)、341(M+NH
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.32−0.39 (m, 0.5H), 0.51−0.58 (m, 1.5H), 0.79−0.87 (m, 1.5H), 0.88−0.96 (m, 0.5H), 1.17 (s, 6.75H), 1.47 (s, 2.25H), 1.73−1.82 (m, 0.75H), 2.81−2.90 (m, 0.25H), 5.84 (s, 0.25H), 5.88 (s, 0.75H), 7.43 (dd, 0.75H), 7.59 (dd, 0.25H), 7.72−7.78 (m, 1H), 7.81 (d, 0.75H), 7.95 (d, 0.25H).
【0179】
以下の化合物を、実施例26Aと同様の合成法で得た。
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
実施例29A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート
【化79】
[この文献は図面を表示できません]

200mg(0.62mmol)のtert−ブチル (2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−シクロプロピルアクリレートを、12mlの酢酸エチルに溶解し、20mg(0.06mmol)の白金(炭素上10%)を添加した。反応混合物を、RTにて、水素雰囲気下、大気圧下で12時間、撹拌した。次いで、反応混合物を吸引により珪藻土を通して濾過し、濾液を濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1)により精製した。これにより、96mg(理論値の52.1%)の標的化合物を得た。
LC−MS(方法5):R=1.24分;m/z=296(M+H)
【0181】
実施例30Aおよび実施例31A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(エナンチオマー1および2)
【化80】
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キラル相による分取HPLCにより、500mg(1.69mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(実施例29A)のラセミ体をエナンチオマーに分離した[カラム:Daicel Chiralpak AZ−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 90:10 (v/v);流速:15ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃]。
【0182】
実施例30A(エナンチオマー1):
収量:237mg
=4.91分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 90:10 (v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.23分;m/z=296(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.02−0.10 (m, 1H), 0.16−0.25 (m, 1H), 0.27−0.36 (m, 1H), 0.45−0.54 (m, 1H), 0.85−0.98 (m, 1H), 1.28 (s, 9H), 2.02−2.11 (m, 1H), 2.43−2.62 (m, 2H, DMSOシグナルにより一部不明瞭), 5.21 (br. s, 2H), 6.43 (dd, 1H), 6.64 (d, 1H), 7.06 (d, 1H).
[α]20=−22.3°、c=0.465、メタノール。
【0183】
実施例31A(エナンチオマー2):
収量:207mg
=5.25分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 90:10 (v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.23分;m/z=296(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.02−0.10 (m, 1H), 0.16−0.25 (m, 1H), 0.27−0.36 (m, 1H), 0.45−0.54 (m, 1H), 0.85−0.98 (m, 1H), 1.28 (s, 9H), 2.02−2.11 (m, 1H), 2.43−2.62 (m, 2H, DMSOシグナルにより一部不明瞭), 5.21 (br. s, 2H), 6.43 (dd, 1H), 6.64 (d, 1H), 7.06 (d, 1H).
[α]20=+24.1°、c=0.330、メタノール。
【0184】
実施例32A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−(1−フルオロシクロプロピル)プロパノエート
【化81】
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384mg(1.12mmol)のtert−ブチル (2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−(1−フルオロシクロプロピル)−アクリレートを12mlの酢酸エチルに溶解し、38mg(0.17mmol)の酸化白金(IV)を添加した。反応混合物を、RTにて、水素雰囲気下、大気圧下で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を、吸引により珪藻土を通して濾過し、濾液を濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水)により単離した。これにより、68mg(理論値の19%)の標的化合物を得た。
LC−MS(方法7):R=1.24分;m/z=314(M+H)
【0185】
実施例33A
(+/−)−tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルプロパノエート
【化82】
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方法A:
133mg(9.432mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチリデンプロパノエートを、20mlの酢酸エチル中に溶解した。溶液をアルゴンを用いて脱酸素化し、30mgの10%パラジウム炭素を添加した。RTにて、反応混合物を、水素雰囲気下、大気圧下で一晩撹拌した。次いで、混合物をセライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLC(移動相 アセトニトリル/水)により単離した。これにより、67mgの標的化合物を得た(理論値の50%)。
LC−MS(方法5):R=1.31分;m/z=310(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.24 (s, 9H), 1.47−1.57 (m, 1H), 1.57−1.77 (m, 4H), 1.94−2.05 (m, 1H), 2.19 (dd, 1H), 2.31−2.40 (m, 1H), 2.43 (dd, 1H), 2.71 (td, 1H), 5.13−5.22 (m, 2H), 6.36 (dd, 1H), 6.59 (d, 1H), 7.04 (d, 1H).
【0186】
方法B:
RTにて、0.9mlのメタノール中の189mg(0.614mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルアクリレートの溶液を、39mg(1.60mmol)の削り状マグネシウムおよび少量の粒状ヨウ素に添加した。暗色の反応混合物をRTで一晩撹拌し、次いで水に添加し、酢酸エチルで抽出した。有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLCにより単離した。これにより、57.7mgの標的化合物を得た(理論値の30.3%)。
【0187】
実施例34A
エチル (2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルアクリレート
【化83】
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アルゴン下、2.53g(8.17mmol)のエチル(2E/Z)−3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルアクリレートを、10mlのジオキサン中に溶解し、9.22g(40.84mmol)の塩化錫(II)二水和物を添加した。次いで、反応混合物を70℃まで加熱し、この温度で一晩撹拌した。室温まで冷却後、約20mlの酢酸エチルを添加し、次いで、反応混合物を約20mlの10%濃度のフッ化カリウム水溶液に添加した。得られた混合物を10分間激しく撹拌した。相を分け、次いで、水相を各10mlの酢酸エチルでさらに2回抽出した。合わせた有機相を約50mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、2.2g(理論値の96%)の標的化合物を得て、それをさらに精製することなく次工程に用いた。
LC−MS(方法7):R=1.19分;m/z=280/282(M+H)
【0188】
実施例35A
エチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物)
【化84】
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アルゴン下、RTにて、20mlのメタノール中の2.2g(7.86mmol)のエチル(2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルアクリレートの溶液を、497mg(20.45mmol)の削り状マグネシウムおよび少量の粒状ヨウ素に添加した。暗色の反応混合物をRTにて一晩撹拌し、次いで、アルゴン下で2日間保持した。次いで、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、1Mの塩酸を添加した。混合物を5分間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いてpH8−9に調整した。有機相を分け、水相を酢酸エチルでさらに2回抽出した。合わせた有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 100:1→50:1→20:1)により精製した。これにより、1.38g(理論値の62%)の標的化合物を得た。
LC−MS(方法5):R=1.13分;m/z=282/284(M+H)
【0189】
実施例36A
ジメチル (3−メチルブタン−2−イリデン)マロネート
【化85】
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アルゴン下、0℃にて、20mlのクロロホルム中の10g(75.7mmol)のマロン酸ジメチルを、60mlのクロロホルム中の16.6ml(151.4mmol)の四塩化チタンの溶液にゆっくり滴下した。添加の終了後、反応溶液を0℃でさらに30分撹拌した。次いで、0℃にて、20mlのクロロホルム中の6.52g(75.7mmol)の3−メチル−2−ブタノンを滴下した。反応混合物を室温までゆっくり温め、この温度で4時間撹拌した。次いで、反応溶液を再度0℃まで冷却し、20mlのクロロホルム中の30.6ml(378.5mmol)のピリジンを添加した。添加の終了後、溶液を室温まで温め、この温度で一晩撹拌した。次いで、反応溶液を再度0℃まで冷却し、50mlの水をゆっくり添加した。得られた相を分け、水相をそれぞれ約50mlずつのジクロロメタンでさらに2回抽出した。合わせた有機相を飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により精製した。これにより、9.4g(理論値の62%)の標的化合物を得た。
GC−MS(方法1):R=3.57分;m/z=185(M−CH
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.00 (d, 6H), 1.92 (s, 3H), 2.86−2.98 (m, 1H), 3.67 (s, 3H), 3.69 (s, 3H).
【0190】
以下の化合物を、実施例36Aと同様の合成法で得た。
【化86】
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【0191】
実施例39A
ジメチル [2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブタン−2−イル]マロネート
【化87】
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アルゴン下、6.2g(26mmol)の1−クロロ−4−ヨードベンゼンを、50mlのTHF中に溶解し、−78℃まで冷却した。次いで、24ml(31.2mmol)のTHF中1.3M溶液の塩化イソプロピルマグネシウムx塩化リチウムをゆっくり滴下した。次いで、反応溶液を−40℃までゆっくり温め、この温度で2時間撹拌した。次いで、反応溶液を−10℃まで温め、495mg(2.6mmol)のヨウ化銅(I)を添加した。次いで、30mlのTHF中に溶解した5g(24.97mmol)のジメチル(3−メチルブタン−2−イリデン)マロネートを、反応溶液にゆっくり添加した。得られた反応混合物を室温までゆっくり温め、この温度で1時間撹拌した。次いで、混合物を0℃まで冷却し、氷冷した1M塩酸(pH〜2)を注意深く添加した。相を分け、次いで、水相を酢酸エチルでさらに3回抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。得られた粗生成物を、最初にシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により予め精製した。次いで、生成物を分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水)により再度精製した。これにより、3.38g(理論値の42%)の標的化合物を得た。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.63−0.71 (m, 6H), 1.52 (s, 3H), 2.11−2.24 (m, 1H), 3.43 (s, 3H), 3.63 (s, 3H), 4.31 (s, 1H), 7.29−7.38 (m, 4H).
【0192】
以下の化合物を、実施例39Aと同様の合成法で得た。
【化88】
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【0193】
実施例42A
ジメチル [1−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−1−シクロプロピルエチル]マロネート
【化89】
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627mg(1.11mmol)のジメチル (1−{3−[ビス(4−メトキシベンジル)アミノ]−4−クロロフェニル}−1−シクロプロピルエチル)マロネートを、60mlのジクロロメタンおよび15mlの水中に溶解した。次いで、553mg(2.44mmol)の2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を約50mlの飽和重炭酸ナトリウム水溶液に添加した。相を分け、水相をそれぞれ約10mlずつのジクロロメタンでさらに3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物を残渣から分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水)により単離した。これにより、283mgの標的生成物(理論値の78%)を得た。
LC−MS(方法5):R=1.03分;m/z=326/328(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.11−0.18 (m, 2H), 0.31−0.39 (m, 2H), 1.12 (s, 3H), 1.40−1.49 (m, 1H), 3.53 (s, 3H), 3.57 (s, 3H), 4.10 (s, 1H), 5.20 (s, 2H), 6.61 (dd, 1H), 6.91 (d, 1H), 7.05 (d, 1H).
【0194】
実施例43A
メチル 3−(4−クロロフェニル)−3,4−ジメチルペンタノエート
【化90】
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10mlのDMSO中の3.38g(10.81mmol)のジメチル [2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブタン−2−イル]マロネート、0.92g(21.61mmol)の塩化リチウムおよび0.2mlの水を、4時間、加熱還流した。冷却後、約50mlのジエチルエーテルを反応溶液に添加し、相を分けた。有機相を水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製した。これにより、2.3g(理論値の84%)の標的化合物を得た。
GC−MS(方法1):R=5.43分;m/z=254 (M)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.54 (d, 3H), 0.83 (d, 3H), 1.33 (s, 3H), 1.86−1.98 (m, 1H), 2.62 (d, 1H), 2.87 (d, 1H), 3.35 (s, 3H), 7.32 (s, 4H).
【0195】
以下の化合物を、実施例43Aと同様の合成法で得た。
【化91】
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【0196】
実施例46A
メチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3,4−ジメチルペンタノエート
【化92】
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2.3g(9.03mmol)のメチル 3−(4−クロロフェニル)−3,4−ジメチルペンタノエートを50mlのジクロロメタン中に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、1.44g(10.8mmol)のテトラフルオロホウ酸ニトロニウムを少しずつ添加した。添加終了後、反応溶液を最初に0°ないし10℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を室温までゆっくり温め、この温度でさらに2時間撹拌した。次いで、反応混合物を約50mlの水に添加し、相を分け、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を蒸発により濃縮し、次いで、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により精製した。これにより、2.3g(理論値の85%)の標的化合物を得た。
MS (DCI):m/z=317(M+NH
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.56 (d, 3H), 0.84 (d, 3H), 1.35 (s, 3H), 1.89−2.02 (m, 1H), 2.66 (d, 1H), 3.02 (d, 1H), 3.39 (s, 3H), 7.63−7.71 (m, 2H), 7.96 (s, 1H).
【0197】
以下の化合物を、実施例46Aと同様の合成法で得た。
【化93】
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【0198】
実施例48A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルブタノエート
【化94】
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1.79g(5.74mmol)のメチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−シクロブチルブタノエートを50mlの酢酸エチルに溶解し、約150mgの10%パラジウム炭素を添加した。RTにて、反応混合物を、水素雰囲気下、大気圧下で一晩激しく撹拌した。次いで、混合物をセライトを通して濾過し、得られた濾液を蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により精製した。これにより、1.36gの標的生成物を得た(理論値の84%)。
LC−MS(方法7):R=1.22分;m/z=282(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.31 (s, 3H), 1.45−1.67 (m, 4H), 1.68−1.77 (m, 2H), 2.43 (d, 1H), 2.48−2.60 (m, 1H, DMSOシグナルにより一部不明瞭), 2.66 (d, 1H), 3.43 (s, 3H), 5.16 (br. s, 2H), 6.47 (dd, 1H), 6.73 (d, 1H), 7.04 (d, 1H).
【0199】
以下の化合物を、実施例48Aと同様の合成法で得た。
【化95】
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【0200】
実施例50Aおよび実施例51A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3,4−ジメチルペンタノエート(エナンチオマー1および2)
【化96】
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1700mg(6.30mmol)のメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3,4−ジメチル−ペンタノエート(実施例49A)のラセミ体を、キラル相の分取HPLCによりエナンチオマーに分離した[カラム:Daicel Chiralpak AY−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール 95:5(v/v);流速:20ml/分;UV検出:230nm;温度:25℃]。それぞれの場合に得られた物質を、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により再度精製した。
【0201】
実施例50A(エナンチオマー1):
収量:588mg
=7.21分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム: Daicel AY−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%ジエチルアミン) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃]。
LC−MS(方法5):R=1.15分;m/z=270(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.56 (d, 3H), 0.83 (d, 3H), 1.28 (s, 3H), 1.80−1.92 (m, 1H), 2.57 (d, 1H), 2.72 (d, 1H), 3.38 (s, 3H), 5.15 (br. s, 2H), 6.48 (dd, 1H), 6.73 (d, 1H), 7.04 (d, 1H).
[α]20=−30°、c=0.275、メタノール.
【0202】
実施例51A(エナンチオマー2):
収量:499mg
=8.59分;キラル純度>99%;>96.7%ee
[カラム: Daicel AY−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%ジエチルアミン) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.15分;m/z=270(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.56 (d, 3H), 0.83 (d, 3H), 1.28 (s, 3H), 1.80−1.92 (m, 1H), 2.57 (d, 1H), 2.72 (d, 1H), 3.38 (s, 3H), 5.15 (br. s, 2H), 6.48 (dd, 1H), 6.73 (d, 1H), 7.04 (d, 1H).
[α]20=+29°、c=0.270、メタノール.
【0203】
実施例52Aおよび実施例53A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチルブタノエート(エナンチオマー1および2)
【化97】
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1075mg(3.82mmol)のメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロブチル−ブタノエート(実施例48A)のラセミ体を、キラル相の分取HPLCによりエナンチオマーに分離した[カラム: Daicel Chiralpak AY−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 95:5(v/v);流速:15ml/分;UV検出:220nm;温度:25℃]。
【0204】
実施例52A(エナンチオマー1):
収量:472mg
=6.40分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム: Daicel AY−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%ジエチルアミン)95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:40℃].
LC−MS(方法5):R=1.15分;m/z=282/284(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.31 (s, 3H), 1.45−1.67 (m, 4H), 1.68−1.78 (m, 2H), 2.43 (d, 1H), 2.48−2.60 (m, 1H, partially obscured by DMSO シグナルにより一部不明瞭), 2.66 (d, 1H), 3.43 (s, 3H), 5.16 (br. s, 2H), 6.47 (dd, 1H), 6.73 (d, 1H), 7.04 (d, 1H).
[α]20=−2.3°、c=0.450、メタノール.
【0205】
実施例53A(エナンチオマー2):
収量:489mg
=7.85分;キラル純度>99%;>99%ee
[カラム: Daicel AY−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%ジエチルアミン) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:40℃].
[α]20=+2.5°、c=0.330、メタノール.
【0206】
実施例54A
1−(4−クロロフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
【化98】
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60g(295.5mmol)の3−クロロ−1−(4−クロロフェニル)プロパン−1−オンを、900mlのアセトニトリル中に溶解した。次いで、氷浴を用いて冷却しながら、41.2ml(295.5mmol)のトリエチルアミンを該溶液にゆっくり滴下した(発熱反応)。添加の完了後、反応溶液を室温で4時間撹拌した。次いで、約1Lの水、1Lの酢酸エチルおよび約250mlの飽和塩化ナトリウム溶液を、反応混合物に添加した。次いで、相を分け、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固させた。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(約1.3kg)(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 6:1)により精製した。これにより、45gの標的生成物を得た(理論値の91%)。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=6.02 (d, 1H), 6.36 (dd, 1H), 7.34−7.44 (m, 1H), 7.63 (d, 1H), 8.03 (d, 2H).
【0207】
実施例55A
(4−クロロフェニル)(2,2−ジフルオロシクロプロピル)メタノン
【化99】
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アルゴン下、91g(546mmol)の1−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−オン、2.293g(54.6mmol)のフッ化ナトリウムおよび2.41g(10.92mmol)の2,6−ジ−tert−ブチル 4−メチルフェノールを、3Lの三ツ口フラスコ中、110℃まで加熱し、この温度で5分間撹拌した。次いで、110°ないし125℃の入口温度で、183ml(928.5mmol)のトリメチルシリル 2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセテートを、該溶液に30−35分かけてゆっくり添加した(注意:ガス発生)。添加およびガス発生の終了後、反応溶液をさらに20分間撹拌した。冷却後、反応混合物を数Lの酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で抽出した。次いで、相を分け、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固させた。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(約2kg)(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製した。これにより、63gの標的生成物を得た(理論値の53%)。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=2.04−2.14 (m, 1H), 2.21−2.31 (m, 1H), 3.98−4.09 (m, 1H), 7.65−7.70 (m, 2H), 8.06−8.11 (m, 2H).
【0208】
実施例56A
メチル (2Z)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレート
および、メチル (2E)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレート
【化100】
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2.2g(鉱油中60%、55mmol)の水素化ナトリウムを、20mlのTHFと共に撹拌し、次いで、吸引濾過し、濾過ケーキを20mlのTHFで洗浄した。アルゴン下、この方法で精製された水素化ナトリウムを200mlのTHF中に添加した。次いで、混合物を0℃まで冷却し、10mlのTHF中に溶解した10.1g(55mmol)のメチル(ジエトキシホスホリル)アセテートを添加した。室温まで温めた後、溶液をさらに1時間撹拌した。次いで、50mlのTHF中の5.15g(19.73mmol)の(4−クロロ−フェニル)(2,2−ジフルオロシクロプロピル)メタノンを、滴下した。添加の完了後、溶液を加熱還流し、2時間撹拌した。次いで、溶液を5℃まで冷却し、混合物を400mlの氷水に注いだ。次いで、相を分け、水相をtert−ブチルメチルエーテルでさらに3回抽出した。合わせた有機相を1M塩酸および飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1→8:1)により精製した。E/Z異性体を分離した形態に分けた。これにより、2.23g(理論値の37%)のメチル(2E)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレートおよび1.6g(理論値の24.4%)のメチル(2Z)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレートを得た。
メチル (2E)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレート:
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.00−1.12 (m, 1H), 1.92−2.06 (m, 1H), 3.21−3.37 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 3.71 (s, 3H), 6.42 (d, 1H), 7.49 (d, 2H), 7.55 (d, 2H).
メチル (2Z)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレート:
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.83−1.96 (m, 1H), 1.97−2.09 (m, 1H), 2.76−2.88 (m, 1H), 3.51 (s, 3H), 6.10 (s, 1H), 7.23 (d, 2H), 7.46 (d, 2H).
【0209】
実施例57A
メチル 3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート
および、メチル 3−(4−クロロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート
【化101】
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1000mg(3.67mmol)のメチル (2Z)−3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)アクリレートを、75mlの酢酸エチル中に溶解し、触媒カートリッジ(10%パラジウム炭素)が取り付けられた連続フロー式水素化装置(H−Cube、Thales Nano, Budapest)中、1ml/分の流速で、室温および大気圧下にて、水素を用いて水素化した。反応の完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。これにより、980mgの、メチル 3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエートおよびメチル 3−(4−クロロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエートからなる生成物混合物を無色油状物として得た。
GC−MS(方法6):R=5.38分;m/z=292/294/296 (M+NH
【0210】
実施例58A
メチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート
および、メチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート
【化102】
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610mgの、メチル 3−(4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)−プロパノエートおよびメチル 3−(4−クロロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(実施例57A)からなる混合物を、12mlのジクロロメタン中に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、351mg(2.65mmol)のテトラフルオロホウ酸ニトロニウムを少しずつ添加した。添加の完了後、反応溶液を0ないし10℃で1時間撹拌した。次いで、混合物を室温までゆっくり温め、この温度でさらに2時間撹拌した。次いで、反応混合物を約20mlの水に添加し、相を分け、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を蒸発により濃縮し、次いで、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により精製した。これにより、637mgの2種の標的化合物の混合物を得た。
GC−MS(方法6):R=6.74分;m/z=337/339/341 (M+NH
【0211】
実施例59A
メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート
および、メチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート
【化103】
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640mgの、メチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロ−プロピル)プロパノエートおよびメチル 3−(4−クロロ−3−ニトロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(実施例58A)からなる混合物を、40mlの酢酸エチル中に溶解し、106mgのパラジウム炭素(10%)を添加した。反応混合物を、水素雰囲気下、大気圧下で一晩、激しく撹拌した。次いで、混合物をセライトを通して濾過し、得られた濾液を蒸発乾固させた。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1)により精製した。これにより、361mgの2種の標的化合物の混合物を得た。
LC−MS(方法5):R=0.98分;m/z=290/292(M+H)
【0212】
実施例60A
(+)−エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート
【化104】
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室温にて、133ml(1.82mol)の塩化チオニルを、580mlのエタノール中の287g(1.65mol)の(3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸[A. Gerlach and U. Schulz, Speciality Chemicals Magazine 24 (4), 37−38 (2004); CAS Acc.−No. 142:179196]に添加した。次いで、反応溶液を80℃まで加熱し、この温度で2撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、250mlの水をゆっくり添加し、混合物を各150mlずつのtert−ブチルメチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を、30℃にて300mbarの圧力下で、減圧下で除去した。次いで、粗生成物を100mbarおよび65℃のヘッド温度で蒸留した。これにより、225.8g(113mol、理論値の74%)の表題化合物を無色液体として得た。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 4.10 (2H, q), 2.88−2.72 (1H, m), 2.66−2.57 (1H, m), 2.46 2.36 (1H, m), 1.19 (3H, t), 1.11 (3H, d).
GC−MS(方法1):Rt=1.19分;m/z=184 (M)+.
[α]20=+16.1°、c=0.41、メタノール.
【0213】
実施例61A
エチル 4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルフェニル)ブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化105】
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アルゴン下、196.9mg(0.88mmol)の酢酸パラジウム(II)および724.8mg(1.84mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルを、最初に、50mlの無水トルエンに添加した。43.8ml(43.8mmol)のTHF中の1M リチウムヘキサメチルジシラジド溶液をゆっくり添加し、次いで、反応溶液をRTで10分間撹拌した。次いで、反応溶液を−10℃まで冷却し、7g(38.0mmol)の(+/−)−エチル−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートをゆっくり添加し、混合物を−10℃で10分間撹拌した。次いで、50mlのトルエンに溶解した5g(29.2mmol)の4−ブロモトルエンを滴下し、反応溶液をまずRTまで温め、次いで80℃まで加熱した。混合物をこの温度で2時間撹拌し、次いで、RTまで冷却し、一晩撹拌した。反応の完了後(TLCによりモニター;移動相 シクロヘキサン/ジクロロメタン 2:1)、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、残渣を酢酸エチルおよびジクロロメタンで繰り返し洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相 石油エーテル/ジクロロメタン 4:1→3:1)により精製した。これにより、3.91g(14.3mmol、理論値の48.8%)の表題化合物を無色液体として得た。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 7.26 (2H, d), 7.20−7.12 (2H, m), 4.17−3.95 (2H, m), 3.74 (0.25H, d), 3.66 (0.75H, d), 3.35−3.07 (1H, m), 2.29 (2.25H, s), 2.28 (0.75H, s), 1.17 (0.75H, d), 1.11 (3H, t), 0.76 (2.25H, d).
GC−MS(方法1):R=4.20分、m/z=275(M+H) (ジアステレオマー1); R=4.23分、m/z=275(M+H) (ジアステレオマー2).
【0214】
実施例62A
エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルフェニル)ブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化106】
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溶液Aの調整:アルゴン下、16.3mlのトルエン中の1M リチウムヘキサメチルジシアジド溶液を、−10℃ないし−20℃に冷却し(アセトン/ドライアイスで冷却)、10mlのトルエンに溶解した2g(10.86mmol)の(+)−エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートをゆっくり添加した;添加中、温度が−10℃を超えないように気をつけた。次いで、溶液をほぼ−10℃でさらに10分間撹拌した。
溶液Bの調整:アルゴン下、2.415g(14.12mmol)の4−ブロモトルエンを、RTにて、10mlのトルエン中に溶解し、73mg(0.33mmol)の酢酸パラジウム(II)および269mg(0.68mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルを添加した。溶液をRTにて10分間撹拌した。
【0215】
初めに、冷却浴を溶液Aから取り除いた。次いで、溶液Bを溶液Aにゆっくり添加し、それを冷却を続けた。次いで、合わせた溶液をゆっくりRTまで温め、この温度で1時間撹拌した。次いで、反応溶液を80℃(入口温度)に加熱し。この温度で3時間撹拌した。次いで、反応溶液をRTまでゆっくり冷却し、さらに12時間撹拌した。最後に、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、残渣をトルエンで繰り返し洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/ジクロロメタン 10:1→4:1)により精製した。これにより、2.35g(理論値の79%)の表題化合物を得た。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 0.76 (d, 2.13H), 1.11 (t, 3H), 1.17 (d, 0.87H), 3.07−3.30 (m, 1H), 3.66 (d, 0.7H), 3.75 (d, 0.3H), 3.94−4.15 (m, 2H), 7.12−7.20 (m, 2H), 7.23−7.29 (m, 2H).
GC−MS(方法1):R=3.88分、m/z=275(M+H)(ジアステレオマー1);R=3.90分、m/z=275(M+H)(ジアステレオマー2).
【0216】
実施例63A
エチル (3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化107】
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溶液Aの調整:アルゴン下、163.9mlのトルエン中の1M リチウムヘキサメチルジシラジド溶液を−10℃ないし−20℃に冷却し(アセトン/ドライアイスを用いて冷却)、150mlのトルエンに溶解した20g(108.6mmol)の(+)−エチル(3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートをゆっくり添加した。添加中、温度が−10℃を超えないように注意した。次いで、溶液をほぼ−10℃でさらに10分間撹拌した。
溶液Bの調整:アルゴン下、27.03g(141.2mmol)の1−ブロモ−4−クロロベンゼンを、RTで100mlのトルエン中に溶解し、731mg(3.26mmol)の酢酸パラジウム(II)および2.693g(6.84mmol)の2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルを添加した。溶液をRTで10分間撹拌した。
【0217】
最初に、冷却浴を溶液Aから取り除いた。次いで、溶液Bを溶液Aにゆっくり添加し、それを冷却し続けた。次いで、合わせた溶液をゆっくりRTまで温め、この温度で1時間撹拌した。次いで、反応溶液を80℃(入口温度)まで加熱し、この温度で3時間撹拌した。次いで、反応溶液をRTまでゆっくり冷却し、さらに12時間撹拌した。最後に、反応混合物を珪藻土を通して濾過し、残渣をトルエンで繰り返し洗浄し、合わせた濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/ジクロロメタン 4:1)により精製した。これにより、27.4g(92.98mmol、理論値の86%)の表題化合物をジアステレオマー比が3:1の黄色油状物として得た。
GC−MS(方法1):R=4.45分、m/z=294 (M)(ジアステレオマー1);R=4.48分、m/z=294 (M)(ジアステレオマー2).
【0218】
以下の化合物を、実施例61Aおよび63Aと同様の合成法で得た。
【化108】
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【化109】
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【0219】
実施例68A
エチル (3R)−2−(4−エチルフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化110】
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24.4ml(24.4mmol)のトルエン中の1M リチウムヘキサメチルジシラジド溶液を10℃まで冷却し、15mlの無水トルエン中の3.0g(16.29mmol)の(+)−エチル (3R)−4,4,4−トリ−フルオロ−3−メチルブタノエーの溶液を滴下した。混合物を10分間撹拌した。次いで、−10℃にて、上記で調整した、20mlの無水トルエン中の3.92g(21.18mmol)の1−ブロモ−4−エチルベンゼン、110mg(0.49mmol)の酢酸パラジウム(II)および404mg(1.03mmol)の2’−ジシクロヘキシルホスフィノ−2−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルの溶液を滴下した。次いで、得られた反応混合物を初めにRTで1時間撹拌し、次いで80℃で3時間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、水に添加した。水相を酢酸エチルで再度抽出し、合わせた有機相を、飽和塩化アンモニウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 最初 シクロヘキサン、次いで シクロヘキサン/酢酸エチル勾配 200:1→50:1)により精製後、3.051gの表題化合物を得た(理論値の64.9%、ジアステレオマー比 約3:1)。
LC−MS(方法4):R=1.52分、m/z=289(M+H)(副ジアステレオマー);R=1.54分、m/z=289(M+H)(主ジアステレオマー)。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.76 (d, 3H), 1.13 (t, 3H), 1.17 (t, 3H), 2.55−2.63 (m, 2H), 3.21−3.31 (m, 1H), 3.67 (d, 1H), 3.95−4.16 (m, 2H), 7.15−7.23 (m, 2H), 7.25−7.31 (m, 2H).
【0220】
以下の化合物を、(+)−エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートおよび適当な臭化フェニルから同様の方法で得た。
【0221】
実施例69A
エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−ビニルフェニル)ブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化111】
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GC−MS(方法1):R=4.64分および4.66分;それぞれ、m/z=286 (M)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.79 (d, 3H), 1.12 (t, 3H), 3.22 3.32 (m, 1H), 3.73 (d, 1H), 3.99−4.17 (m, 2H), 5.28 (d, 1H), 5.84 (d, 1H), 6.72 (dd, 1H), 7.34 7.40 (m, 2H), 7.45−7.51 (m, 2H).
【0222】
実施例70A
エチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化112】
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GC−MS(方法1):R=3.63分、m/z=278 (M)(副ジアステレオマー);R=3.66分、m/z=278 (M)(主ジアステレオマー).
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.77 (d, 3H), 1.12 (t, 3H), 3.23 3.30 (m, 1H), 3.79 (d, 1H), 4.01−4.14 (m, 2H), 7.19−7.24 (m, 2H), 7.43−7.47 (m, 2H).
【0223】
実施例71A
エチル (3R)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(ジアステレオマー混合物)
【化113】
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GC−MS(方法1):R=4.33分および4.36分;それぞれ、m/z=312 (M)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.08−1.19 (m, 3H), 3.34−3.41 (m, 1H), 3.88 (d, 1H), 4.01−4.18 (m, 2H), 7.28−7.34 (m, 1H), 7.51−7.64 (m, 2H).
【0224】
実施例72A
エチル (3R)−2−[4−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)フェニル]−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート
【化114】
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1.58g(5.52mmol)のエチル (3R)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−ビニルフェニル)ブタノエート、23mg(0.55mmol)のフッ化ナトリウムおよび24mg(0.11mmol)の2,6−ジ−tert−ブチル 4−メチルフェノールを110℃まで加熱し、5分間撹拌した。次いで、1.9ml(9.38mmol)のトリメチルシリル 2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセテートをゆっくり滴下し、混合物を110℃で60分間撹拌した(注意:約30分後にガス発生)。室温まで冷却し、酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加後、有機相を分け、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗生成物ををシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/ジクロロメタン 4:1)により精製した。これにより、1.5gの表題化合物を得た(理論値の81%)。
GC−MS(方法1):R=4.99分、m/z=336(M) (ジアステレオマー1);R=5.01分、m/z=336(M) (ジアステレオマー2)。
MS (DCI): m/z=354 (M+NH
【0225】
実施例73A
エチル 2−[4−(ブロモメチル)フェニル]−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート
【化115】
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36mlのトリクロロメタン中の2.25g(8.2mmol)のエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−(4−メチルフェニル)ブタノエート、1.53g(8.6mmol)のN−ブロモスクシンイミドおよび67mg(0.41mmol)の2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)を、還流下で一晩撹拌した。反応の完了後、スクシンイミドを濾去し、濾過残渣をジクロロメタンで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 40:1)により精製した。これにより、2.667g(7.5mmol、理論値の92%)の黄色がかった油状物を得た。
GC−MS(方法1):R=5.72分、m/z=373(M−Br)(ジアステレオマー1);R=5.74分、m/z=373(M−Br)(ジアステレオマー2)。
【0226】
実施例74A
エチル 4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−2−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)フェニル]ブタノエート
【化116】
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529mg(2.78mmol)のヨウ化銅(I)および4g(20.82mmol)のメチル 2,2−ジフルオロ−2−(フルオロスルホニル)アセテートを、40mlの1−メチルピロリジン−2−オン中の3.77g(10.67mmol)のエチル 2−[4−(ブロモメチル)フェニル]−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートに添加し、混合物を80℃で一晩撹拌した。反応の完了後、反応溶液を100mlの氷水にゆっくり注いだ。次いで、得られた混合物をジエチルエーテルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/ジクロロメタン 4:1)により精製した。これにより、1.48g(4.32mmol、理論値の41%)の表題化合物を黄色がかった油状物として得た。
GC−MS(方法1):R=4.06分、m/z=342(M)(ジアステレオマー1);R=4.09分、m/z=342(M)(ジアステレオマー2).
MS (DCI): m/z=360 (M+NH
【0227】
実施例75A
メチル (4−クロロフェニル)(3−オキソシクロペンチル)アセテート
【化117】
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アルゴン下、14.8ml(105.6mmol)のジイソプロピルアミンを、最初に、150mlのTHFに添加し、混合物を30℃まで冷却し、42.3ml(105.75mmol)のヘキサン中の2.5M n−ブチルリチウム溶液をゆっくり添加した。次いで、反応溶液を−20℃まで温め、90mlのTHFに溶解した15g(81.25mmol)のメチル (4−クロロフェニル)アセテートをゆっくり添加し、混合物をこの温度で2時間撹拌した。次いで、反応溶液を−78℃まで冷却し、60mlのTHF中に溶解した7.2ml(86.1mmol)の2−シクロペンテン−1−オンをゆっくり添加した。添加の完了後、溶液を−78℃でさらに1時間撹拌した。TLC(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 9:1)後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、生成物を酢酸エチル中に溶解した。水相を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1)により精製した。これにより、15.65g(58.67mmol、理論値の72%)の表題化合物を黄色がかった油状物として得た。
GC−MS(方法1):R=7.02分、m/z=266 (M)(ジアステレオマー1);R=7.04分、m/z=266 (M)(ジアステレオマー2).
MS (DCI):m/z=284(M+NH
【0228】
実施例76A
メチル (4−クロロフェニル)(3,3−ジフルオロシクロペンチル)アセテート
【化118】
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アルゴン下、200mlのトルエンで希釈した、82.5ml(82.14mmol)のTHF中の50%濃度(strength)の1,1’−[(トリフルオロ−λ−スルファニル)イミノ]ビス(2−メトキシエタン)(デオキソフルオル)溶液を、最初に仕込み、5℃まで冷却し、744μl(5.87mmol)の1M ボロントリフルオライド/ジエチルエーテル複合体溶液を、ゆっくり添加した。混合物を5℃で2時間撹拌した。次いで、200mlのトルエン中に溶解した15.65g(58.67mmol)のメチル(4−クロロフェニル)(3−オキソシクロ−ペンチル)アセテートをゆっくり添加し、反応溶液を連続して、55℃まで温め、この温度で60時間撹拌した。次いで、反応混合物を、0℃まで冷却した、100mlのトルエンおよび100mlの2M水酸化ナトリウム水溶液からなる混合物に添加した。有機相を取り除き、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 7:1)により精製した。これにより、13.24g(45.86mmol、理論値の78%)の表題化合物を無色油状物として得た。
MS (DCI):m/z=306 (M+NH
GC−MS(方法1):R=5.83分、m/z=288 (M)(ジアステレオマー1); R=5.86分、m/z=288 (M)(ジアステレオマー2)。
【0229】
実施例77A
(+)−(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸
【化119】
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方法A:
5.086g(17.26mmol)のエチル (3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートを、68mlのジオキサン中に溶解し、34mlの1N 水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応を、50℃で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、1N 塩酸を用いてpH1まで酸性化し、ジクロロメタンで繰り返し抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、3.9g(14.63mmol、理論値の85%、83% de)の標的化合物を得た。
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 12.95−12.73 (1H, br. s), 7.49−7.34 (4H, m), 3.68 (1H, d), 3.31−3.18 (1H, m), 1.20 (0.25H, d), 0.78 (2.75H, d).
GC−MS(方法1):R=4.85分;m/z=266 (M)
[α]20=+57.2°、c=0.41、メタノール.
【0230】
方法B:
16.28g(55.24mmol)のエチル (3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエートを、220mlのジオキサン中に溶解し、110.5mlの1N 水酸化ナトリウム水溶液を添加した。反応を50℃で3時間撹拌した。次いで、ジオキサンをロータリーエバポレーターで除去し、残った水溶液を氷冷しながら、1N 塩酸で中和した(〜pH7)。沈殿した固体を吸引濾過し、高真空下、40℃で一晩、乾燥させた。これにより、9.2gの標的化合物をわずかにベージュ色の固体として得た(画分1;理論値の62.5%、94% de)。濾液をさらに1N 塩酸を加えて酸性化し(〜pH1)、一晩撹拌した。もう一度、沈殿した固体を吸引濾過し、高真空下、40℃で一晩乾燥させた。これにより、さらに3.46gの標的化合物を白色固体として得た(画分2;10%の第2のジアステレオマーとの混合物)。残った水性の濾液をジクロロメタンで繰り返し抽出し、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、さらに2.44gの標的化合物を無色油状物として得た(画分3;15%の第2のジアステレオマーとの混合物)。画分2および3を最後に合わせ、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により再度精製した。これにより、3.7gの標的化合物を白色固体として得た(画分4;理論値の25%、>95% de).
画分1(=表題化合物のナトリウム塩):
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 7.44−7.33 (4H, m), 3.61 (1H, d), 3.30−3.15 (1H, m), 1.17 (0.09H, d, 副ジアステレオマー), 0.76 (2.91H, d, 主ジアステレオマー).
画分4:
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6, δ/ppm): 13.03−12.69 (br. s, 1H), 7.47−7.39 (4H, m), 3.68 (1H, d), 3.39−3.17 (1H, m, H2O シグナルにより一部不明瞭), 0.77 (3H, d).
【0231】
以下の表に記載の化合物を、同様に製造した。
【化120】
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【化121】
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【化122】
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【0232】
【化123】
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【化124】
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【0233】
実施例89A
(3R)−2−(4−エチルフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸(ジアステレオマー混合物)
【化125】
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3.0gのエチル(3R)−2−(4−エチルフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノエート(純度 約88%、約9.16mmol;ジアステレオマー混合物)を、それぞれの場合に、12.4mlのメタノール、THFおよび水の混合物中に溶解し、5.49g(137.35mmol)の水酸化ナトリウムを少しずつ添加した。反応混合物を40℃で9時間撹拌した。冷却後、揮発性溶媒を減圧下で実質的に除去し、残渣を水で希釈した。混合物を塩酸の添加により酸性化し、水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、2.61gの表題化合物を、さらに精製することなく粗生成物として得た(ジアステレオマー比 約9:1)。
LC−MS(方法5):R=1.08分、m/z=259(M−H)(副ジアステレオマー);R=1.11分、m/z=259(M−H)(主ジアステレオマー).
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.76 (d, 3H), 1.17 (t, 3H), 2.54−2.66 (m, 4H), 3.10−3.29 (m, 1H), 3.56 (d, 1H), 7.14−7.22 (m, 2H), 7.22−7.32 (m, 2H), 12.58 (br. s, 1H).
【0234】
同様の方法(反応温度:RTないし+40℃;反応時間:9〜12時間)で、以下のカルボン酸を対応するエステルから製造した。
【0235】
実施例90A
(3R)−4,4,4−トリフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)−3−メチルブタン酸(ジアステレオマー混合物)
【化126】
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ジアステレオマー比 約9:1.
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 主ジアステレオマー: δ [ppm]=0.77 (d, 3H), 3.18−3.30 (m, 1H), 3.67 (d, 1H), 7.17−7.24 (m, 2H), 7.39−7.47 (m, 2H), 12.78 (br. s, 1H).
【0236】
実施例91A
(3R)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸(ジアステレオマー混合物)
【化127】
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ジアステレオマー比 約1:1.
GC−MS(方法1):R=4.79分;m/z=284 (M)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): 両ジアステレオマー: δ [ppm]=0.80/1.19 (each d, 3H), 3.18−3.29 (m, 1H), 3.74/3.77 (each dd, 1H), 7.28 (d, 1H), 7.43−7.65 (m, 2H), 12.91/13.24 (each br. s, 1H).
【0237】
実施例92A−95A
(4−クロロフェニル)(3,3−ジフルオロシクロペンチル)酢酸(異性体1−4)
【化128】
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キラル相の分取HPLCにより、4g(14.56mmol)の(4−クロロフェニル)(3,3−ジフルオロシクロペンチル)酢酸(実施例85A)のジアステレオマー混合物を4種のエナンチオマー的に純粋なジアステレオマーに分離した[カラム: Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:20ml/分;UV検出:230nm;温度:25℃]。
【0238】
実施例92A(異性体1):
収量:682mg
=8.12分;キラル純度>94%
[カラム: Daicel AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1.25ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.03分;m/z=273(M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.46−1.82 (m, 3H), 1.96−2.27 (m, 3H), 2.62−2.77 (m, 1H), 3.50 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 12.60 (br. s, 1H).
[α]20=−54.2°、c=0.490、メタノール.
【0239】
実施例93A(異性体2):
収量:543mg
=9.53分;キラル純度>97%
[カラム: Daicel AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1.25ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.03分;m/z=273(M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.46−1.82 (m, 3H), 1.96−2.27 (m, 3H), 2.63−2.77 (m, 1H), 3.50 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 12.61 (br. s, 1H).
[α]20=+53.0°、c=0.375、メタノール.
【0240】
実施例94A(異性体3):
収量:530mg
=10.36分;キラル純度>92%
[カラム: Daicel AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1.25ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.04分;m/z=273(M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.21−1.34 (m, 1H), 1.34−1.45 (m, 1H), 1.76−2.17 (m, 3H), 2.27−2.42 (m, 1H), 2.60−2.75 (m, 1H), 3.49 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 12.60 (br. s, 1H).
[α]20=−61.0°、c=0.340、メタノール.
【0241】
実施例95A(異性体4):
収量:560mg
=11.35分;キラル純度>91%
[カラム: Daicel AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1.25ml/分;UV検出:230nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.04分;m/z=273 (M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=1.21−1.34 (m, 1H), 1.34−1.45 (m, 1H), 1.77−2.17 (m, 3H), 2.27−2.42 (m, 1H), 2.60−2.75 (m, 1H), 3.49 (d, 1H), 7.35 (d, 2H), 7.41 (d, 2H), 12.59 (br. s, 1H).
[α]20=+56.4°、c=0.485、メタノール.
【0242】
実施例96A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−メチルペンタノエート(ジアステレオマー1)
【化129】
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328mg(1.23mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸を17.5mlのジクロロメタン中に溶解し、263mg(1.97mmol)の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロプ−1−エン−1−アミンを加え、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、299μl(3.7mmol)のピリジンおよび315mg(1.23mmol)のメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチル−ペンタノエート(エナンチオマー1;実施例17A)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水 80:20)により直接精製した。これにより、237mgの標的化合物を得た(理論値の38%)。
LC−MS(方法5):R=1.43分;m/z=504/506(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.68 (d, 3H), 0.80 (d, 3H), 0.85 (d, 3H), 1.70−1.85 (m, 1H), 2.48−2.58 (m, 1H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 2.70−2.80 (m, 2H), 3.30−3.41 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 3.42 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 7.31−7.37 (m, 2H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.83 (s, 1H).
[α]20=+111°、c=0.25、メタノール.
【0243】
実施例97A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−メチルペンタノエート(ジアステレオマー2)
【化130】
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255mg(0.96mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸を14mlのジクロロメタン中に溶解し、205mg(1.53mmol)の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロプ−1−エン−1−アミンを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、232μl(2.87mmol)のピリジンおよび245mg(0.96mmol)のメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−メチルペンタノエート(エナンチオマー2;実施例18A)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を分取RP−HPLC(移動相 メタノール/水 80:20)により直接精製した。これにより、228mgの標的化合物を得た(理論値の47%)。
LC−MS(方法5):R=1.43分;m/z=504/506(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.67 (d, 3H), 0.80 (d, 3H), 0.85 (d, 3H), 1.71−1.82 (m, 1H), 2.47−2.58 (m, 1H, DMSOシグナルにより一部不明瞭), 2.70−2.80 (m, 2H), 3.29−3.41 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 3.43 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.82 (s, 1H).
[α]20=+84.7°、c=0.325、メタノール.
【0244】
実施例98A
tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(ジアステレオマー1)
【化131】
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45mg(0.17mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸を1mlのジクロロメタン中に溶解し、36mg(0.27mmol)の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロプ−1−エン−1−アミンを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、1mlのジクロロメタン中に溶解した、41μl(0.51mmol)のピリジンおよび50mg(0.17mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(エナンチオマー1;実施例30A)を添加し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により直接精製した。これにより、78mgの標的化合物を得た(理論値の85%)。
LC−MS(方法7):R=1.52分;m/z=542/544(M−H)
【0245】
実施例99A
tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(ジアステレオマー2)
【化132】
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119mg(0.45mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸を2mlのジクロロメタン中に溶解し、95mg(0.71mmol)の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロプ−1−エン−1−アミンを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、2mlのジクロロメタン中に溶解した、108μl(1.34mmol)のピリジンおよび132mg(0.45mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(エナンチオマー2;実施例31A)を添加し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により直接精製した。これにより、206mgの標的化合物を無色油状物として得た(理論値の85%)。
LC−MS(方法7):R=1.53分;m/z=542/544(M−H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.03−0.11 (m, 1H), 0.17−0.34 (m, 2H), 0.45−0.55 (m, 1H), 0.80 (d, 3H), 0.88−1.00 (m, 1H), 1.21 (s, 9H), 2.14−2.24 (m, 1H), 2.47−2.57 (m, 1H, DMSO シグナルにより不明瞭), 2.58−2.66 (m, 1H), 3.29−3.44 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.14 (d, 1H), 7.11 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.40−7.51 (m, 5H), 9.82 (s, 1H).
【0246】
以下の表に記載の化合物を、同様の方法で製造した。
【化133】
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【化134】
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【化135】
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【0247】
【化136】
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【化137】
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【化138】
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【0248】
【化139】
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【化140】
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【化141】
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【0249】
【化142】
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【化143】
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【化144】
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【0250】
【化145】
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【化146】
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【化147】
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【0251】
実施例121A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート
および、メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}−フェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート
【化148】
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330mg(1.24mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸を10mlのジクロロメタン中に溶解し、264mg(1.98mmol)の1−クロロ−N,N,2−トリメチルプロプ−1−エン−1−アミンを添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、1mlのジクロロメタン中に溶解した、300μl(3.71mmol)のピリジンおよび360mgのメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエートおよびメチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(実施例59A)からなる混合物を添加し、反応混合物をさらに1時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 20:1)により直接精製した。これにより、479mgの2種の標的化合物の混合物を得た。
LC−MS(方法5):R=1.33分;m/z=538/540/542(M+H)
【0252】
実施例122A−125A
476mgのメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−ブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエートおよびメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(実施例121A)の混合物を、キラル相の分取HPLCによりさらに分けた[カラム: Daicel Chiralpak AZ−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール 95:5(v/v);流速:15ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃]。ピーク2およびピーク3として最初に得られた物質を合わせ、次いでさらなるキラル相の分取HPLCにより分離した[カラム:Daicel Chiralpak AZ−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/イソプロパノール 95:5(v/v);流速:15ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
【0253】
実施例122A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(ジアステレオマー1)
【化149】
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収量:100mg
=8.42分;化学純度>99%、>99% de
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.33分;m/z=540/542(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.46 (t, 3H), 2.19−2.32 (m, 2H), 2.46−2.60 (m, 1H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 2.69−2.78 (m, 1H), 3.20−3.30 (m, 1H), 3.30−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより不明瞭), 3.48 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.14 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.84 (s, 1H).
【0254】
実施例123A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−5,5−ジフルオロヘキサノエート(ジアステレオマー2)
【化150】
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収量:96mg
=10.14分;化学純度>94%、>99% de
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.33分;m/z=540/542(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.47 (t, 3H), 2.19−2.32 (m, 2H), 2.46−2.60 (m, 1H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 2.69−2.78 (m, 1H), 3.20−3.30 (m, 1H), 3.30−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより不明瞭), 3.46 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.14 (dd, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.84 (s, 1H).
【0255】
実施例124A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート(異性体1)
【化151】
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収量:124mg
=9.00分;化学純度>96%
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.34分;m/z=538/540(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.06−1.18 (m, 1H), 1.38−1.51 (m, 1H), 2.01−2.16 (m, 1H), 2.64−2.82 (m, 3H), 3.28−3.54 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 3.50 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 5H), 9.88 (s, 1H).
【0256】
実施例125A
メチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート(異性体2)
【化152】
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収量:118mg
=9.47分;化学純度>99%
[カラム: Daicel AZ−H、5μm、250mmx 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(イソプロパノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 95:5(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.33分;m/z=538/540(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.06−1.18 (m, 1H), 1.38−1.52 (m, 1H), 2.01−2.15 (m, 1H), 2.63−2.83 (m, 3H), 3.28−3.58 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 3.49 (s, 3H), 4.12 (d, 1H), 7.21 (dd, 1H), 7.40 (d, 1H), 7.42−7.50 (m, 5H), 9.87 (s, 1H).
【0257】
実施例126A
tert−ブチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−(3,3−ジフルオロシクロブチル)プロパノエート(ジアステレオマー混合物)
【化153】
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1mlのDMF中の76mg(0.29mmol)の(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタン酸、45mg(0.13mmol)のtert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−3−(3,3−ジフルオロシクロブチル)プロパノエート、119mg(0.31mmol)のO−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェート(HATU)および0.51mlのピリジンを、室温で一晩撹拌した。反応の完了後、混合物をさらなる後処理なく、直接、分取HPLCによりその成分に分けた。これにより、19mg(理論値の25%)の表題化合物を無色油状物として得た。
LC−MS(方法5):R=1.47分;m/z=592/594 (M−H)
【0258】
以下の表に記載の化合物を、同様の方法で製造した。
【化154】
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【化155】
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【化156】
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【化157】
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【0259】
実施例131A
2−(1−メチルシクロプロピル)エタノール
【化158】
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11.23g(87.1mmol)の亜鉛/銅合金を50mlのジエチルエーテル中に溶解し、6.76ml(92.9mmol)のクロロヨードメタンを室温で添加した。次いで、10mlのジエチルエーテル中に溶解した5.84ml(58.1mmol)の3−メチルブト−3−エン−1−オールを滴下した。添加の完了後、反応混合物を40℃まで加熱し、この温度で一晩撹拌した。冷却後、反応物を珪藻土を通して吸引により濾過し、該珪藻土をジエチルエーテルで繰り返し洗浄した。合わせた濾液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮乾固させた。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相 シクロヘキサン/酢酸エチル 10:1)により精製した。これにより、3.58g(理論値の62%)の表題化合物を得た。
GC−MS(方法1):R=1.23分;m/z=100 (M)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.24−0.29 (m, 2H), 0.29−0.34 (m, 2H), 1.05 (s, 3H), 1.37 (t, 1H), 1.53 (t, 2H), 3.74−3.80 (m, 2H).
【0260】
以下の化合物を、実施例1Aと同様の合成法で得た。
【化159】
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【0261】
以下の化合物を、実施例4A/5Aと同様の合成法で得た。
【化160】
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【0262】
実施例134A
tert−ブチル 3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−(1−メチルシクロプロピル)ブタノエート
【化161】
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187mg(0.58mmol)のtert−ブチル(2E/Z)−3−(3−アミノ−4−クロロフェニル)−4−(1−メチルシクロプロピル)ブト−2−エノアートを、10mlの酢酸エチル中に溶解し、11mg(0.06mmol)の酸化白金(IV)を添加した。RTにて、反応混合物を水素雰囲気下、大気圧下で一晩撹拌した。さらに11mg(0.06mmol)の酸化白金(IV)を添加し、次いで、混合物をもう一度、RTにて水素雰囲気下、大気圧下で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を珪藻土を介して吸引により濾過し、濾液を濃縮した。これにより、36mg(理論値の19%)の標的化合物を得た。
LC−MS(方法5):R=1.37分;m/z=324(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=−0.10−−0.03 (m, 1H), −0.03−0.04 (m, 1H), 0.13−0.25 (m, 2H), 0.95 (s, 3H), 1.27 (s, 9H), 1.40−1.52 (m, 2H), 2.24−2.33 (m, 1H), 2.47−2.58 (m, 1H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 2.95−3.05 (m, 1H), 5.19 (br. s, 2H), 6.41 (dd, 1H), 6.65 (d, 1H), 7.05 (d, 1H).
【0263】
以下の化合物を、実施例99Aと同様の合成法により製造した。
【化162】
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【0264】
実施例:
実施例1
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−メチルペンタン酸(ジアステレオマー1)
【化163】
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4mlの濃酢酸および2mlの濃塩酸を225mg(0.45mmol)のメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−ブタノイル]アミノ}−フェニル)−4−メチルペンタノエート(ジアステレオマー1;実施例96A)に添加した。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷水に添加し、形成した結晶を吸引により濾取した。該結晶を水で2回洗浄し、次いで、高真空乾燥キャビネット中、40℃で一晩乾燥させた。これにより、193mg(理論値の88%)の表題化合物を白色固体として得た。
LC−MS(方法7):R=1.30分;m/z=490/492(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.68 (d, 3H), 0.80 (d, 3H), 0.84 (d, 3H), 1.70−1.80 (m, 1H), 2.36−2.48 (m, 1H), 2.61−2.70 (m, 1H), 2.70−2.80 (m, 1H), 3.29−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.13 (d, 1H), 7.00 (dd, 1H), 7.31−7.37 (m, 2H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.82 (s, 1H), 11.95 (br. s, 1H).
[α]20=+111°、c=0.285、メタノール.
【0265】
実施例2
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−メチルペンタン酸(ジアステレオマー2)
【化164】
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4mlの濃酢酸および2mlの濃塩酸を218mg(0.43mmol)のメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−4−メチルペンタノエート(ジアステレオマー2;実施例97A)に添加した。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物を氷水に添加し、形成した結晶を吸引により濾過した。該結晶を水で2回洗浄し、次いで高真空乾燥キャビネット中、40℃で一晩乾燥させた。これにより、188mg(理論値の89%)の表題化合物を白色固体として得た。
LC−MS(方法7):R=1.30分;m/z=490/492(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.67 (d, 3H), 0.80 (d, 3H), 0.84 (d, 3H), 1.69−1.80 (m, 1H), 2.39−2.48 (m, 1H), 2.62−2.70 (m, 1H), 2.71−2.79 (m, 1H), 3.29−3.44 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.13 (d, 1H), 7.00 (dd, 1H), 7.32−7.38 (m, 2H), 7.41−7.51 (m, 4H), 9.82 (s, 1H), 11.96 (br. s, 1H).
[α]20=+82°、c=0.275、メタノール.
【0266】
以下の表に記載の化合物を、同様の方法で製造した。
【化165】
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【化166】
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【化167】
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【0267】
【化168】
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【化169】
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【化170】
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【0268】
【化171】
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【化172】
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【化173】
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【0269】
【化174】
[この文献は図面を表示できません]

【化175】
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【化176】
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【0270】
実施例22
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパン酸(ジアステレオマー2)
【化177】
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78mg(0.14mmol)のtert−ブチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチル−ブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロプロピルプロパノエート(ジアステレオマー2;実施例99A)を10mlのジクロロメタン中に溶解し、0.33ml(4.3mmol)のトリフルオロ酢酸をRTで添加した。反応混合物をRTで4時間撹拌し、次いで、10mlの水で希釈した。相を分け、次いで、水相をジクロロメタンで3回以上抽出した。合わせた有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。この方法で得られた粗生成物を分取RP HPLC(移動相 メタノール/水 8:2 固定組成)により精製した。これにより、56mgの標的化合物を得た(理論値の81%)。
LC−MS(方法5):R=1.20分;m/z=488/490(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.02−0.10 (m, 1H), 0.19−0.33 (m, 2H), 0.44−0.53 (m, 1H), 0.80 (d, 3H), 0.89−0.99 (m, 1H), 2.20−2.29 (m, 1H), 2.47−2.68 (m, 2H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 3.30−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.13 (d, 1H), 7.10 (dd, 1H), 7.36 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.84 (s, 1H), 12.04 (br. s, 1H).
[α]20=+98.8°、c=0.325、クロロホルム.
【0271】
以下の表に記載の化合物を、同様の方法で製造した。
【化178】
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【化179】
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【化180】
[この文献は図面を表示できません]
【0272】
【化181】
[この文献は図面を表示できません]

【化182】
[この文献は図面を表示できません]

【化183】
[この文献は図面を表示できません]

【化184】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
実施例30
3−(4−クロロ−3−{[(3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルプロパン酸(ジアステレオマー混合物)
【化185】
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250mg(0.47mmol)のエチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−シクロプロピル−2−メチルプロパノエート(ジアステレオマー混合物;実施例129A)を、1.0mlのメタノール、0.5mlのTHFおよび0.5mlの水の混合物中に溶解し、40mg(0.94mmol)の水酸化リチウム一水和物を0℃で添加した。混合物を最初に0℃で1時間撹拌し、次いで、RTにて一晩撹拌した。次いで、さらに40mg(0.94mmol)の水酸化リチウム一水和物を加え、反応溶液を50℃まで温めた。この温度でさらに一晩撹拌後、1mlのメタノールを反応混合物中に計り入れ、混合物を60℃にてさらに12時間撹拌した。次いで、溶液を水で希釈し、1N塩酸を用いて酸性化した(pH約2)。水相を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、204mg(理論値の86%)の表題化合物をジアステレオマー混合物として得た。
LC−MS(方法7):R=1.26分、m/z=502/504(M+H)(ジアステレオマー1);R=1.27分、m/z=502/504(M+H)(ジアステレオマー2);R=1.28分、m/z=502/504(M+H)(ジアステレオマー3);R=1.30分、m/z=502/504(M+H)(ジアステレオマー4).
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=−0.20−−0.05 (m, 0.85H), 0.13−0.36 (m, 2H), 0.47−0.65 (m, 0.85H), 0.68−0.75 (m, 0.3H), 0.80 (d, 2.63H), 0.93−1.09 (m, 1H), 1.17 (d, 1.5H), 1.21−1.29 (m, 1.87H), 1.84−2.08 (m, 1H), 2.61−2.77 (m, 1H), 3.16−3.27 (m, 0.5H), 3.28−3.43 (m, 0.5H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.09−4.17 (m, 1H), 6.70−6.78 (m, 0.16H), 7.02−7.13 (m, 1H), 7.30−7.53 (m, 5.84H), 9.80−10.01 (m, 1H), 11.79−12.35 (br. m, 1H).
【0274】
実施例31
3−(4−クロロ−3−{[(3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパン酸(ジアステレオマー混合物1)
【化186】
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114mg(0.21mmol)のメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート(異性体1;実施例124A)を、2mlのジオキサンおよび1mlの水の混合物中に溶解し、27mg(0.64mmol)の水酸化リチウム一水和物を添加した。混合物をRTで一晩撹拌した。次いで、溶液を水で希釈し、1N塩酸を用いて酸性化した(pH約2)。沈殿した固体を吸引により濾取し、高真空下で一晩乾燥させた。これにより、89mg(理論値の80%)の表題化合物をジアステレオマー混合物として白色固体形態で得た。
LC−MS(方法5):R=1.26分;m/z=524/526(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 1.63H), 1.04−1.19 (m, 1H), 1.26 (d, 1.37H), 1.36−1.50 (m, 1H), 1.97−2.14 (m, 1H), 2.46−2.82 (m, 3H, DMSO シグナルにより一部不明瞭), 3.15−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.07−4.17 (m, 1H), 7.17−7.26 (m, 1H), 7.36−7.53 (m, 6H), 9.87 (s, 0.55H), 10.01 (s, 0.45H), 12.16 (br. s, 1H).
【0275】
実施例32
3−(4−クロロ−3−{[(3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパン酸(ジアステレオマー混合物2)
【化187】
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115mg(0.21mmol)のメチル 3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]−アミノ}フェニル)−3−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)プロパノエート(異性体2;実施例125A)を2mlのジオキサンおよび1mlの水の混合物中に溶解し、27mg(0.64mmol)の水酸化リチウム一水和物を添加した。混合物をRTで一晩撹拌した。次いで、溶液を水で希釈し、1N塩酸を用いて酸性化した(pH約2)。水相をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。これにより、101mg(理論値の90%)の表題化合物をジアステレオマー混合物として無色油状物形態で得た。
LC−MS(方法5):R=1.26分;m/z=524/526(M+H)
H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 1.68H), 1.05−1.18 (m, 1H), 1.26 (d, 1.32H), 1.35−1.50 (m, 1H), 1.96−2.12 (m, 1H), 2.44−2.82 (m, 3H, DMSOシグナルにより一部不明瞭), 3.15−3.42 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.08−4.16 (m, 1H), 7.17−7.25 (m, 1H), 7.37−7.52 (m, 6H), 9.87 (s, 0.56H), 10.01 (s, 0.44H), 12.16 (br. s, 1H).
【0276】
実施例33および実施例34
(+)−3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロブチルプロパン酸(ジアステレオマー1および2)
【化188】
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上記で得られた3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−3−シクロブチルプロパン酸(実施例24)のジアステレオマー混合物を、キラル相の分取HPLCによりさらに分離した[カラム: Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm x 20mm;注入量:0.40ml;移動相:90%イソヘキサン/10%イソプロパノール;流速:15ml/分;検出:220nm;温度:25℃]。63mgのジアステレオマー混合物から、29mgのジアステレオマー1(実施例33)および32mgのジアステレオマー2(実施例34)を得た。
【0277】
実施例33(ジアステレオマー1):
LC−MS(方法5):R=1.31分;m/z=502(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.45−1.62 (m, 2H), 1.62−1.79 (m, 3H), 1.97−2.03 (m, 1H), 2.24−2.39 (m, 2H), 2.42−2.47 (m, 1H), 2.87 (td, 1H), 3.35−3.40 (m, 1H), 4.13 (d, 1H), 7.01 (dd, 1H), 7.23−7.39 (m, 2H), 7.42−7.54 (m, 4H), 9.81 (s, 1H), 11.98 (br. s, 1H).
[α]20=+69°、c=0.260、クロロホルム.
【0278】
実施例34(ジアステレオマー2):
LC−MS(方法5):R=1.31分;m/z=502(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=0.80 (d, 3H), 1.45−1.63 (m, 2H), 1.63−1.76 (m, 3H), 1.98−2.04 (m, 1H), 2.22−2.42 (m, 2H), 2.44−2.48 (m, 1H), 2.87 (td, 1H), 4.13 (d, 1H), 7.02 (dd, 1H), 7.33 (d, 1H), 7.37 (d, 1H), 7.42−7.51 (m, 4H), 9.81 (s, 1H), 12.00 (br. s, 1H).
[α]20=+53°、c=0.250、クロロホルム.
【0279】
実施例35および実施例36
3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−シクロプロピルブタン酸(ジアステレオマー1および2)
【化189】
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55mg(0.11mmol)の3−(4−クロロ−3−{[(2S,3R)−2−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−メチルブタノイル]アミノ}フェニル)−4−シクロプロピルブタン酸(実施例29)のジアステレオマー混合物を、キラル相の分取HPLCによりさらに分離した[カラム: Daicel Chiralpak AD−H、5μm、250mm x 20mm;移動相:イソヘキサン/エタノール 90:10(v/v);流速:15ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃]。
【0280】
実施例35(ジアステレオマー1):
収量:28mg
=7.47分;キラル純度>99%;>99% de
[カラム: Chiralpak AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1% 水) 90:10(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.26分;m/z=502/504(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=−0.14−−0.06 (m, 1H), −0.06−−0.03 (m, 1H), 0.22−0.37 (m, 2H), 0.39−0.50 (m, 1H), 0.80 (d, 3H), 1.27−1.36 (m, 1H), 1.45−1.56 (m, 1H), 2.39−2.47 (m, 1H), 2.57−2.66 (m, 1H), 2.99−3.09 (m, 1H), 3.28−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.13 (d, 1H), 7.07 (dd, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 1H), 9.82 (s, 1H), 12.02 (br. s, 1H).
[α]20=+41°、c=0.260、クロロホルム.
【0281】
実施例36(ジアステレオマー2):
収量:25mg
=8.75分;キラル純度>99%;>98.7% de
[カラム: Chiralpak AD−H、5μm、250mm x 4.6mm;移動相:イソヘキサン/(エタノール+0.2%トリフルオロ酢酸+1%水) 90:10(v/v);流速:1ml/分;UV検出:220nm;温度:30℃].
LC−MS(方法5):R=1.26分;m/z=502/504(M+H)
1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6): δ [ppm]=−0.14−−0.07 (m, 1H), −0.06−−0.02 (m, 1H), 0.22−0.36 (m, 2H), 0.38−0.49 (m, 1H), 0.80 (d, 3H), 1.27−1.36 (m, 1H), 1.46−1.55 (m, 1H), 2.39−2.47 (m, 1H), 2.58−2.66 (m, 1H), 2.99−3.09 (m, 1H), 3.28−3.43 (m, 1H, H2O シグナルにより一部不明瞭), 4.13 (d, 1H), 7.07 (dd, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.43−7.50 (m, 4H), 9.82 (s, 1H), 12.02 (br. s, 1H).
【0282】
以下の化合物を、実施例22と同様の合成法で得た。
【化190】
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【0283】
B.薬理活性の評価
本発明の化合物の薬理効果を、以下のアッセイで示すことができる:
B−1.インビトロの組換え可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激:
ニトロプルシドナトリウムを用いて、または用いずに、およびヘム依存性sGC阻害剤1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3a]キノキサリン−1−オン(ODQ)を用いて、または用いずに、本発明の化合物による組換え可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)の刺激に関する調査を、以下の参考文献中で詳細に説明された方法により実施する:M. Hoenicka, E.M. Becker, H. Apeler, T. Sirichoke, H. Schroeder, R. Gerzer and J.−P. Stasch, “Purified soluble guanylyl cyclase expressed in a baculovirus/Sf9 system: Stimulation by YC−1, nitric oxide, and carbon oxide”, J. Mol. Med. 77 (1999), 14−23。ヘム不含グアニル酸シクラーゼを、Tween20をサンプルバッファーに添加することにより得る(最終濃度0.5%)。
【0284】
試験物質によるsGCの活性化は、基底活性のx倍の刺激として報告される。実施例22の結果を表1に示す:
【表1】
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[DEA/NO=2−(N,N−ジエチルアミノ)ジエノラート 2−オキシド;ODQ=1H−1,2,4−オキサジアゾロ−[4,3a]キノキサリン−1−オン].
【0285】
ヘム含有およびヘム不含有酵素の両方の刺激が達成されることが、表1から明らかである。さらに、実施例22と2−(N,N−ジエチルアミノ)ジアゼノレート2−オキシド(DEA/NO)(NO供給源)の組み合わせは、相乗効果を示さない。すなわち、DEA/NOの効果は、ヘム依存性メカニズムを介して作用するsGC活性化剤に予測される通りには増強されない。加えて、本発明によるsGC活性化剤の効果は、可溶性グアニル酸シクラーゼのヘム依存性阻害剤であるODQにより遮断されないが、実際には増加する。従って、表1の結果は、本発明による化合物の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性化剤としての作用メカニズムを裏付ける。
【0286】
B−2.組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株での作用
本発明の化合物の細胞作用を、F. Wunderら、Anal. Biochem. 339、104−112 (2005) に記載されるように、組換えグアニル酸シクラーゼレポーター細胞株で測定する。
【0287】
本発明の化合物の代表的な結果を表2に列挙する:
表2:CHOレポーター細胞におけるインビトロでのsGC活性化活性
【表2-1】
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【表2-2】
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(MEC=最小有効濃度)
【0288】
B−3.sGC酵素活性の刺激
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、刺激において、GTPをcGMPおよびピロリン酸(PPi)に変換する。PPiは以下に記載のアッセイを利用して検出される。該アッセイで生成されるシグナルは、反応の進行と共に増加し、所定の刺激の下でsGC酵素活性の尺度として供する。
【0289】
該アッセイを実施するために、最初に、29μlの酵素溶液[50mM TEA、2mM MgCl、0.1%BSA(フラクションV)、0.005% Brij(登録商標)、pH7.5中の0〜10nM可溶性グアニル酸シクラーゼ(Hoenickaら、J.Mol.Med. 77, 14−23 (1999) に従って調製される)]をマイクロプレートに入れ、(DMSO中に連続的に希釈された溶液として)試験すべき1μlの物質を添加する。該混合物を室温で10分間インキュベートする。ついで、20μlの検出混合物[50mM TEA、2mM MgCl、0.1%BSA(フラクションV)、0.005% Brij(登録商標)、pH7.5中の1.2nMのホタルルシフェラーゼ(Photinus pyralis luciferase、Promega)、29μMのデヒドロルシフェリン(Bitler & McElroy、Arch. Biochem. Biophys. 72、358(1957)に従って調製)、122μMのルシフェリン(Promega)、153μMのATP(Sigma)および0.4mM DTT(Sigma)]を添加する。20μlの基質溶液[50mM TEA、2mM MgCl、0.1%BSA(フラクションV)、0.005% Brij(登録商標)、pH7.5中の1.25mMのグアノシン5’−トリホスフェート(Sigma)]を加えることで酵素反応を開始させ、ルミノメーターにて連続的に測定する。試験すべき物質の刺激の程度は、非刺激反応のシグナルと比較して測定され得る。
【0290】
ヘム不含有グアニル酸シクラーゼの活性化は、25μMの1H−1,2,4−オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ)を酵素溶液に添加し、その後、30分間インキュベートし、天然の酵素の刺激と比較して試験される。
【0291】
本発明の化合物についての代表的な結果を表3に列挙する:
表3:sGC酵素のインビトロでの活性化作用
【表3】
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(MEC=最小有効濃度;EC50=最大効果の50%となる濃度)
【0292】
B−4.インビトロの血管弛緩効果:
ウサギを麻酔し、チオペンタールナトリウム(約50mg/kg)の静脈内注射により殺し、失血させる。伏在動脈を取り出し、3mm幅の輪に分ける。端の開いた、厚さ0.3mmの特別なワイヤー(Remanium(登録商標))からなる各々一対の三角形のフックに、輪を1つずつ載せる。各輪を、Krebs−Henseleit 溶液(37℃であり、95%O/5%CO(carbogen)でガス処理され、以下の組成を有する:NaCl 119mM;KCl 4.8mM;CaClx2HO 1mM;MgSOx7HO 1.4mM;KHPO 1.2mM;NaHCO 25mM;グルコース10mM;ウシ血清アルブミン0.001%)を有する5mlの臓器浴中で、当初張力下に置く。Statham UC2のセルで収縮力を検出し、A/D変換器 (DAS−1802 HC、Keithley Instruments, Munich)で増幅およびデジタル化し、チャートレコーダーで平行して記録する。フェニレフリンの添加により収縮を誘導する。
【0293】
数回(一般的に4回)の対照試行の後、被験物質を各々の実施毎に増大する用量で添加し、試験物質の影響下で達成される収縮の高さを、最後の先行する実施で達した収縮の高さと比較する。先行する対照で達した収縮を50%まで低減するのに必要な濃度をこれから算出する(IC50)。標準的適用量は、5μlである。浴溶液中のDMSOの割合は、0.1%に相当する。
【0294】
本発明の化合物の代表的な結果を表4に列挙する。
表4:インビトロの血管弛緩効果
【表4】
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【0295】
B−5.覚醒SHラットの血圧および心拍数のラジオテレメトリー(radiotelemetric)測定
市販の Data Sciences International DSI, USAの遠隔測定システムを、下記の覚醒SHラットの測定に用いる。
該システムは、3つの主要部からなる:(1)埋込式伝達装置、(2)マルチプレクサを介して(3)に連結している受信装置、(3)データ取得コンピューター。遠隔測定システムは、覚醒している動物の血圧および心拍数を、それらの通常の生息環境で連続的に記録することを可能にする。
【0296】
体重>200gの成体の雌の自然発症高血圧ラット(SHラット)で調査を実施する。伝達装置の埋込後、タイプ3の Makrolon ケージで実験動物を一匹ずつ飼育する。それらは、標準的な飼料および水に自由に接近できる。実験室の昼/夜リズムは、室内照明により午前6時および午後7時に切り替える。
【0297】
用いる遠隔測定の伝達装置 (TAM PA C40、DSI) を、最初の実験的使用の少なくとも14日前に、外科的に無菌条件下で実験動物に埋め込む。こうして装置を備えた動物を、創傷が治癒し、埋込が確立した後、繰り返し用いることができる。
【0298】
埋込のために、絶食動物をペントバルビタール(Nembutal, Sanofi, 50 mg/kg i.p.)で麻酔し、腹部側面の大領域にわたり除毛および消毒する。白線(linea alba)に沿って腹腔を開き、液体で満たされたシステムの測定カテーテルを、下行大動脈に頭蓋方向に二分岐の上で挿入し、組織接着剤(VetBonD(商標), 3M)で固定する。伝達装置の収納箱を腹腔内で腹壁筋に固定し、創傷の重層閉鎖を実施する。感染予防のために、抗生物質(Tardomyocel COMP, Bayer, 1 ml/kg s.c.)を術後に投与する。
【0299】
実験の概要:
被験物質を、各場合で動物の群(n=6)に胃管栄養により経口投与する。試験物質を、5ml/体重kgの投与量に適するように、適する溶媒混合物に溶解するか、または、0.5%強度 Tylose に懸濁する。動物の溶媒処置群を対照として用いる。
24匹の動物に遠隔測定ユニットを設定する。各実験を実験番号で記録する。
【0300】
システム中で生存している装置を備えたラットの各々に、別々の受診アンテナを割り当てる (1010 Receiver, DSI)。埋め込まれた伝達装置は、組み込まれた磁気スイッチを利用して、外側から起動でき、実験前に伝達に切り替えられる。発信されたシグナルを、データ取得システムによりオンラインで検出でき (Dataquest(商標) A.R.T. for Windows, DSI)、適切に処理できる。各場合で実験番号のついたファイルにデータを保存し、それをこの目的で開く。
【0301】
標準的な方法で、以下のものを各場合で10秒間測定する:(1)収縮期血圧(SBP)、(2)拡張期血圧(DBP)、(3)平均動脈圧(MAP)および(4)心拍数(HR)。
【0302】
コンピューター制御下で測定値の取得を5分間隔で繰り返す。絶対値として得られる原始データを、図中で現在の測定された気圧により補正し、個々のデータに保存した。さらなる技術的詳細は、製造会社(DSI)の資料に記載されている。
【0303】
実験日の午前9時に試験物質を投与する。投与後、上記のパラメーターを24時間にわたり測定する。実験終了後、分析ソフトウエアを使用して、取得した個々のデータを分類する(Dataquest(商標)A.R.T. Analysis)。選択されたデータのセットが実験日の午前7時から翌日の午前9時までの期間を含むように、無効値を物質投与の2時間前の時間であると仮定する。
【0304】
事前に設定できる時間にわたって、平均(15分平均、30分平均)を決定することによりデータを均し、テキストファイルとして記録媒体に移す。かくして予め分類および圧縮した測定値を、Excel テンプレートに移し、表を作成する。
【0305】
C.医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASFより、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、5%強度のPVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと共に5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0306】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標)(FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明による化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0307】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、撹拌工程を継続する。
【0308】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のピロゲンを含まない注射容器を充填するのに用いる。