(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911961
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】意図的でないタッチセンサへの接触を排除するモバイルデバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20130101AFI20160414BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20160414BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20160414BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20160414BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/041 534
G06F3/0362 464
G06F3/038 310
【請求項の数】28
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-533272(P2014-533272)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2014-528137(P2014-528137A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】US2011054360
(87)【国際公開番号】WO2013048461
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルティ,ラクシュマン
(72)【発明者】
【氏名】グローマン,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ,サンギータ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジェイムズソン,エイチ.
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−026638(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0085317(US,A1)
【文献】
特開2010−213169(JP,A)
【文献】
特開2011−100486(JP,A)
【文献】
特開2006−146936(JP,A)
【文献】
特開平11−039093(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/101940(WO,A1)
【文献】
特開平07−036752(JP,A)
【文献】
特表2008−511077(JP,A)
【文献】
特開2008−052062(JP,A)
【文献】
特開2009−169820(JP,A)
【文献】
特表2008−532185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041−3/0489
G06F 3/033−3/0362
G06F 3/038
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスであって、
当該モバイルデバイスのユーザによる接触を検出するサイドタッチセンサであって、当該モバイルデバイスの側面におけるユーザの接触を検出するタッチセンサである、サイドタッチセンサと、
前記サイドタッチセンサへの意図的でない接触の指示を格納するメモリと、
前記サイドタッチセンサへの接触を評価するプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、前記サイドタッチセンサとの接触を、前記意図的でない接触の指示と比較して、前記接触が意図的でないかどうかを判断し、前記の比較は、ある期間にわたる前記サイドタッチセンサとの接触の統計的分析を行うことを含み、前記統計的分析は、前記接触の形状及び移動特性の分析を含み、
当該モバイルデバイスは、前記意図的でない接触の指示との比較に基づいて、前記接触が意図的でないと判断される場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力としては排除し、前記接触が意図的であると判断される場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力として受け入れる、モバイルデバイス。
【請求項2】
前記意図的でない接触の指示は、モバイルデバイスの使用の経験的知識によって開発される、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項3】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触の形状に関するデータを含む、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項4】
前記サイドタッチセンサ上の前記接触の形状に関するデータは、静止位置において当該モバイルデバイスを支持している手の形状を記述するデータを含む、請求項3に記載のモバイルデバイス。
【請求項5】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触エリアのサイズに関するデータを含む、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項6】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの数に関するデータを含む、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項7】
前記接触エリアの数に関するデータは、ユーザがモバイルデバイスを手に持っているときに、その手の親指又は他の指により前記サイドタッチセンサに接触している、前記サイドタッチセンサ上の複数の接触エリアの指示を含む、請求項6に記載のモバイルデバイス。
【請求項8】
前記意図的でない接触の指示は、前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの動きに関するデータを含む、請求項1に記載のモバイルデバイス。
【請求項9】
前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の前記接触エリアの動きに関するデータは、ユーザの手の中で支えられるモバイルデバイスについての静的な接触エリアに関するデータを含む、請求項8に記載のモバイルデバイス。
【請求項10】
モバイルデバイスのサイドタッチセンサとの接触を検出するステップであって、該サイドタッチセンサは、前記モバイルデバイスの側面におけるユーザの接触を検出するタッチセンサである、ステップと、
前記接触を、前記タッチセンサとの意図的でない接触の指示と比較するステップであって、当該比較は、ある期間にわたる前記サイドタッチセンサとの接触の統計的分析を行うことを含み、前記統計的分析は、前記接触の形状及び移動特性の分析を含む、ステップと、
前記接触と前記意図的でない接触の指示との比較が、前記接触が意図的でないことを示す場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力としては排除するステップと、
前記接触と前記意図的でない接触の指示との比較が、前記接触が意図的であることを示す場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力として受け入れるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記意図的でない接触の指示は、モバイルデバイスの使用の経験的知識によって開発される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触の形状に関するデータを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記サイドタッチセンサ上の前記接触の形状に関するデータは、静止位置において当該モバイルデバイスを支えている手の形状を記述するデータを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触エリアのサイズに関するデータを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの数に関するデータを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記接触エリアの数に関するデータは、ユーザがモバイルデバイスを手に持っているときに、その手の親指又は他の指により前記タッチセンサに接触している、前記サイドタッチセンサ上の複数の接触エリアの指示を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記意図的でない接触の指示は、前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの動きに関するデータを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の前記接触エリアの動きに関するデータは、ユーザの手の中で支えられるモバイルデバイスについての静的な接触エリアに関するデータを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
モバイルシステムであって、
ユーザによる当該モバイルシステムの側面における接触を検出するサイドタッチセンサと、
前記サイドタッチセンサへの意図的でない接触の指示を格納するフラッシュメモリと、
前記サイドタッチセンサへの接触を評価するプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、前記サイドタッチセンサとの接触を、前記意図的でない接触の指示と比較して、前記接触が意図的でないかどうかを判断し、前記の比較は、ある期間にわたる前記サイドタッチセンサとの接触の統計的分析を行うことを含み、前記統計的分析は、前記接触の形状及び移動特性の分析を含み、
当該モバイルシステムは、前記意図的でない接触の指示との比較に基づいて前記接触が意図的でないと判断される場合、前記接触を当該モバイルシステムへの入力としては排除し、前記接触が意図的であると判断される場合、前記接触を当該モバイルシステムへの入力として受け入れる、モバイルシステム。
【請求項20】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触の形状と、接触エリアのサイズと、接触エリアの数とのうちの1つ又は複数に関するデータを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記サイドタッチセンサ上の前記接触の形状に関するデータは、静止位置において当該システムを支えている手の形状を記述するデータを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記接触エリアの数に関するデータは、ユーザが当該システムを手に持っているときに、その手の親指又は他の指により前記サイドタッチセンサに接触している、前記サイドタッチセンサ上の複数の接触エリアの指示を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記意図的でない接触の指示は、前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの動きに関するデータを含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
プロセッサによって実行されると、該プロセッサに動作を実行させる、一連の命令を表すデータを格納したコンピュータ読取可能媒体であって、前記動作は、
モバイルデバイスのサイドタッチセンサとの接触を検出するステップであって、該サイドタッチセンサは、前記モバイルデバイスの側面におけるユーザの接触を検出するタッチセンサである、ステップと、
前記接触を、前記タッチセンサとの意図的でない接触の指示と比較するステップであって、当該比較は、ある期間にわたる前記サイドタッチセンサとの接触の統計的分析を行うことを含み、前記統計的分析は、前記接触の形状及び移動特性の分析を含む、ステップと、
前記接触と前記意図的でない接触の指示との比較が、前記接触が意図的でないことを示す場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力としては排除するステップと、
前記接触と前記意図的でない接触の指示との比較が、前記接触が意図的であることを示す場合、前記接触を前記モバイルデバイスへの入力として受け入れるステップと、
を含む、媒体。
【請求項25】
前記意図的でない接触の指示は、前記サイドタッチセンサ上の接触の形状と、接触エリアのサイズと、接触エリアの数とのうちの1つ又は複数に関するデータを含む、請求項24に記載の媒体。
【請求項26】
前記サイドタッチセンサ上の前記接触の形状に関するデータは、静止位置において前記モバイルデバイスを支えている手の形状を記述するデータを含む、請求項25に記載の媒体。
【請求項27】
前記接触エリアの数に関するデータは、ユーザが前記モバイルデバイスを手に持っているときに、その手の親指又は他の指により前記タッチセンサに接触している、前記サイドタッチセンサ上の複数の接触エリアの指示を含む、請求項25に記載の媒体。
【請求項28】
前記意図的でない接触の指示は、前記期間にわたる前記サイドタッチセンサ上の接触エリアの動きに関するデータを含む、請求項24に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に電子デバイスの分野に関し、より具体的には、意図的でないタッチセンサへの接触を排除するモバイルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス(MID)、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)及び他の同様のデバイスを含め、モバイルデバイスは、該モバイルデバイスへの入力を可能にする操作のための1つ又は複数のセンサを含むことがある。
【0003】
そのようなモバイルデバイスは、一般に、操作のために手に握られることになる。多くの状況において、デバイスの保持に続いて、1つ又は複数のアプリケーション又はサービスへの入力が行われる、又はモバイルデバイスのスクリーンからの情報の読み取りが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第12/650,582号明細書
【特許文献2】米国特許出願第12/646,220号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モバイルデバイス上のタッチセンサの位置に応じて、ユーザの手の中でのデバイスの支持により、意図せずにタッチセンサへの接触が起こる可能性がある。このような状況において、モバイルデバイスは通常、該デバイスのユーザがいずれのアクションも意図しておらず、実際タッチセンサに接触したことに気づかないときに、タッチセンサ上のタッチを検出することになる。これは、ユーザによるモバイルデバイスへの誤った入力を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の諸実施形態は、一般に、意図的でないタッチセンサの接触を排除するモバイルデバイスを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの実施形態を示す図である。
【
図2】モバイルデバイスの実施形態による静止位置(rest position)における接触の排除を示す図である。
【
図3】モバイルデバイスの実施形態による入力としての偶発的な接触の排除を示す図である。
【
図4】タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの要素の実施形態を示す図である。
【
図5】接触エリアに基づいて、ユーザの意図及び知覚を表すように、センサデータを変換する処理の実施形態を示すフローチャートである。
【
図6】タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の諸実施形態は、限定ではなく例として添付の図面に図示される。図面において、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0009】
本明細書で使用されるとき、「モバイルデバイス」は、携帯電話、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス(MID)、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)及び他の同様のデバイスを含む、モバイル電子デバイス又はシステムを意味する。
【0010】
本明細書で使用されるとき、「タッチセンサ」は、ユーザによる物理的な接触、ユーザの近接又はその双方(一般にタッチセンサへの接触と呼ばれることもある)によって生成される入力信号を提供するように構成されたセンサを意味し、このようなセンサは、モバイルデバイスを含むデバイス又はシステムのユーザの親指又は他の指による接触を検出するセンサを含む。タッチセンサは、限定ではないが、容量式センサを含んでもよく、該センサは、容量式センサ上の指又は手の接触を検出することができる。タッチセンサは、デバイス又はシステムの動作における複数の異なる目的に使用されるセンサを含んでもよい。
【0011】
本明細書で使用されるとき、「サイドタッチセンサ」は、モバイルデバイスを含むデバイス又はシステムの少なくとも1つの側面上における、ユーザの指又は手を含むユーザの接触を検出するタッチセンサを意味する。サイドタッチセンサは、モバイルデバイスの少なくとも1つの側面上に少なくとも部分的に物理的に配置されるタッチセンサ、又はモバイルデバイスの少なくとも1つの側面に物理的には配置されずにモバイルデバイスの上記側面におけるユーザの接触を検出するサイドタッチセンサを含む。
【0012】
タッチセンサをその側面に有するモバイルデバイスを使用するとき、ユーザは時々意図せずにそのセンサに作用することがある。例えばユーザは、デバイスを自身の手のひらの上で支えているとき、単にタッチスクリーン上の情報を読み取ることがあり、あるいはデバイスを支えている手の親指を使用してタッチスクリーンに作用することもある。このような場合において、ユーザの手の手のひらは、例えばタッチセンサの下端の周りを軽く包む可能性があり、これがサイドタッチセンサ上のタッチにみえることがある。
【0013】
別の例において、ユーザは、スクリーンから情報を読む間などに、ユーザの親指をセンサ上に又は人差し指をセンサのエッジ部分に単に置いて、デバイスを支えることがある。このタイプのタッチセンサへの意図的でない接触は、タッチセンサがモバイルデバイスの側面上の長さがより長い場合に、より頻繁になる可能性がある。この場合、ユーザは意図的にはセンサの上の部分に作用するので、センサは、タッチセンサの下の部分における意図的でない作用を登録してもよい。
【0014】
対処されない場合、これらの意図的でない作用は、少なくとも2つのシナリオにおいて問題となる。第1のシナリオにおいて、ユーザは、モバイルデバイスのタッチスクリーンへの作用を積極的に試みている。この場合、検出される意図的でないタッチセンサの動きが、タッチスクリーンの動きと競合し、そしてシステムが、例えばこれらの2つの入力のいずれかにランダムに応答するか、エラー条件を生成することとなり、これによりモバイルデバイスのユーザに障害の経験をもたらすことがある。
【0015】
第2のシナリオにおいて、モバイルデバイスは長いタッチセンサを用いており、センサの上の部分に対する意図的な接触と、センサの下の部分に対する意図的でない接触の双方が存在し得る。動作において、タッチセンサへのこれらの複合的な接触(1つは意図的な接触であり、1つは意図的でない接触)のいずれかがランダムにトリガされ、やはり、モバイルデバイスのユーザに障害の経験をもたらすことがある。
【0016】
一部の実施形態において、モバイルデバイスは、意図的でないタッチセンサの接触の排除を提供する。一部の実施形態において、モバイルデバイスは、ユーザの意図を識別し、サイドタッチセンサへの意図的でない作用をマスクすることによって、サイドタッチセンサの意図的でない接触の上記の問題に対処する。
【0017】
一部の実施形態において、ユーザの静止している指/手のひらの形状及び移動特性を分析し、これらの信号をフィルタアウトして、それにより意図的でないジェスチャを回避する装置、システム及び方法を提供する。一部の実施形態において、その手法は、作用の間に関連するセンサの読取値から抽出される特徴についての様々な長期的統計値を分析することを含む。長期的統計値が、その作用が静的である(従って意図的ではない)ことを示唆する場合、その作用は抑制される。このようにして、長いセンサ上でのタッチスクリーンとの作用又は有効な指の作用など、いずれかの意図的なユーザの作用との競合が防止される。
【0018】
図1は、タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの実施形態を図示している。一部の実施形態において、モバイルデバイス100は、タッチセンサにおける指及び手の静止位置の排除を提供する。一部の実施形態において、モバイルデバイス100は、表示された情報を見るためのスクリーン105を含み、このスクリーンは、データ及びイメージをユーザに提示することと、ユーザからの入力を受け取ることとの双方に備えたタッチスクリーンを含んでもよい。一部の実施形態では、モバイルデバイス100は更に、ユーザの親指又は他の指からのジェスチャの形でユーザから入力を受け取るためのサイドタッチセンサ110を含む。
【0019】
一部の実施形態において、モバイルデバイス100は、サイドタッチセンサにおけるユーザ115の指又は手の静止位置の排除を提供する。一部の実施形態において、モバイルデバイスは、モバイルデバイスに対する意図的でない接触の指標120を含む。この意図的でない接触の指標120は、非揮発性メモリに格納されることがあり、モバイルデバイスは、タッチセンサ110上への接触の統計的分析を用いて、接触をタッチセンサ上への意図的でない接触として排除すべきかどうかを決定する。
【0020】
一部の実施形態において、タッチセンサ110は、容量式センサを含んでもよく、光学センサなどの他のセンサを含んでもよい。例えば、特許文献1(2009年12月31日出願の米国特許出願第12/650,582号明細書(Optical Capacitive Thumb Control with Pressure Sensor))、特許文献2(2009年12月23日出願の米国特許出願第12/646,220号明細書(Contoured Thumb Touch Sensor Apparatus))を参照されたい。
【0021】
図2は、モバイルデバイスの実施形態による静止位置の接触の排除を図示している。一部の実施形態において、モバイルデバイス200はサイドタッチセンサ(この図では隠れている)を含む。操作において、モバイルデバイス200のユーザの手210は、モバイルデバイス200を支えるのに静止位置220に手があるとき、うっかりサイドタッチセンサに接触する可能性がある。
【0022】
一部の実施形態において、モバイルデバイスは、ある期間にわたる接触の統計的分析に基づいて、接触の排除を提供する。例えばこの例において、接触ポイント225はサイドタッチセンサ上の大きなエリアであり、その接触は一般に移動しない傾向があるであろう。一部の実施形態において、これら及び関連するファクタの統計的分析を用いて、その接触は故意ではないと判断し、サイドタッチセンサのこの接触からの信号を排除する。
【0023】
図3は、モバイルデバイスの実施形態による入力としての偶発的な接触の排除を図示している。一部の実施形態において、モバイルデバイス300はサイドタッチセンサ(この図では隠れている)を含む。この例において、サイドタッチセンサは、該サイドタッチセンサの下部において故意ではない接触がなされる可能性がある程度に、長い長さを有する可能性がある。操作において、モバイルデバイス300のユーザの手310は、この手が制御入力320のための動作位置(active position)にあるとき、複数の位置でサイドタッチセンサに接触する可能性がある。この図では、ユーザの親指が、モバイルデバイス300に入力を提供するため、第1のポイント330でサイドタッチセンサに接触している。しかしながら、ユーザの手は、第2のポイント335においてもサイドタッチセンサに接触している。これは、サイドタッチセンサの長さと、ユーザの手の特定のサイズと、モバイルデバイス300がそのユーザの手の中に保持されているという特定の手法とが原因である。この状況において、第2の接触335は一定でよいが、ユーザがモバイルデバイス300に入力を提供するために第1の接触ポイント330に変化があると、オン及びオフが起こる可能性もある。
【0024】
一部の実施形態において、モバイルデバイスは、ある期間にわたる接触の統計的分析に基づいて、第2の接触ポイント335の排除を提供する。例えばこの例において、第2の接触ポイント335は、サイドタッチセンサの下の方のエリアに置かれており、第1の接触ポイント330に加えて存在している。一部の実施形態において、2つの接触ポイントが存在しており、かつ第2の接触ポイントがサイドタッチセンサの下端にある、という認識を含む、統計的分析を用いて、第2の接触335は故意ではないと判断し、サイドタッチセンサのこの接触からの信号を排除する。
【0025】
図4は、タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの要素の実施形態を示す図である。一部の実施形態において、モバイルデバイス400は、ユーザの親指又は他の指のジェスチャ操作を通じて入力をモバイルデバイスに提供するのに使用されるサイドタッチセンサ425を含む。一部の実施形態において、モバイルデバイス400は更に、サイドタッチセンサから受信される入力を含め、信号及びコマンドを処理するための1つ又は複数のプロセッサ430を含む。
【0026】
一部の実施形態において、モバイルデバイス400は、サイドタッチセンサ425に対する故意でない接触を排除する制御モジュール又はアルゴリズム435を含む。一部の実施形態において、モバイルデバイスは、サイドタッチセンサ425によって生成されたデータを、該センサに対する接触から収集し、ある期間にわたってそのような接触について統計的分析を実行する。一部の実施形態において、統計的分析は以下のものを含むが、これらには限定されない。
【0027】
(1)接触ポイントのサイズの決定。例えば大きな接触ポイントは、ユーザの手がモバイルデバイス400の周囲を包んでおり、サイドタッチセンサ425との故意でない接触を生じていることを示す可能性がある。
【0028】
(2)接触ポイントの動きの決定。例えば特定の接触ポイントの動きの欠如は、ユーザの手が静止位置にあり、サイドタッチセンサ425との接触は、モバイルデバイスを支えるのに用いられていることを示す可能性がある。
【0029】
(3)サイドタッチセンサ425上の接触ポイントの形状の決定。例えば形状は、モバイルデバイス400の周囲を包んでいる手を示す可能性がある。
【0030】
(4)サイドタッチセンサ425上の接触ポイントの数の決定。例えばサイドタッチセンサ425の下の部分に、第1の接触ポイントより下にある第2の接触ポイントは、モバイルデバイス400に入力を提供するときの、サイドタッチセンサとの故意でない接触であることを示す可能性がある。
【0031】
モバイルデバイスは更に、データの無線送信及び受信のための1つ又は複数の送信機及び受信機406と;そのようなデータの送信及び受信のための1つ又は複数のアンテナ404と;データの記憶のためのメモリ440と;モバイルデバイス400と該デバイスのユーザとの間の通信のための、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を含むユーザインタフェース442と;視覚的表示をモバイルデバイス400のユーザに提供するためのディスプレイ回路又はコントローラ444と;GPS回路又は要素446を含む位置回路又は要素を含んでもよい。
【0032】
図5は、接触エリアに基づいて、ユーザの意図及び知覚を表すように、センサデータを変換する処理の実施形態を示すフローチャートである。一部の実施形態において、モバイルデバイスが動作可能になると500、モバイルデバイスは、センサ入力の受信505を含む通常の動作に進むことができる。一部の実施形態において、センサ入力はサイドタッチセンサからの入力を含む。
【0033】
一部の実施形態において、サイドタッチセンサとの意図的でない接触の指示が開発され515、これは、モバイルデバイスの使用に基づく、そのような指示の経験的開発を含んでもよい。一部の実施形態において、モバイルデバイスがサイドタッチセンサとの接触を検出した場合510、形状及び移動特性と、意図的でない接触の指示との比較が行われる520。
【0034】
一部の実施形態において、サイドタッチセンサとの接触を、意図的でない接触の指示とどのように比較するかを決定する質問530が行われる。限定ではないが、この質問には以下のものが含まれる。
【0035】
接触エリアの形状及びサイズについて535。モバイルデバイスの周囲を包む手の形状であると思われる大きい接触エリアであるかなど。
【0036】
接触エリアの最小の移動について540。手がモバイルデバイスを静止位置で保持していることを示すなど。
【0037】
複数の接触ポイントが存在するかどうかについて545。モバイルデバイスへの入力を提供している第1の接触ポイントが存在することを示し、かつサイドタッチセンサの下の部分にある接触ポイントのような、ユーザの手の親指又は他の指によるジェスチャを実行している間にモバイルデバイスを支えているユーザの手の一部を指示する第2の接触ポイントを示すなど。
【0038】
一部の実施形態において、センサへの接触と、サイドタッチセンサへの意図的でない接触の指示との比較結果が、その接触は意図的であるという結論の場合、その接触は受け入れられ、サイドタッチセンサ550へのジェスチャ入力として解釈される。センサへの接触と、サイドタッチセンサへの意図的でない接触の指示との比較結果が、その接触は意図的でないという結論の場合、その接触は、サイドタッチセンサへの意図的でない接触として無視され、モバイルデバイス555への入力は存在しない。
【0039】
図6は、タッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するモバイルデバイスの実施形態を図示する。この図において、本説明に深く関わりのない特定の標準の公知なコンポーネントは示されていない。一部の実施形態の下では、モバイルデバイス600は、相互接続部又はクロスバー605、又はデータの伝送のための他の通信手段を備える。デバイス600は、相互接続部605に結合される1つ又は複数のプロセッサ610など、情報を処理するための処理手段を含んでもよい。プロセッサ610は、1つ又は複数の物理的なプロセッサと、1つ又は複数の論理プロセッサとを備えてもよい。相互接続部605は、簡潔性のために単一の相互接続部として図示されているが、複数の異なる相互接続部又はバスを表してもよく、そのような相互接続に対するコンポーネント接続は変化する可能性がある。
図6に示されている相互接続部605は、適切なブリッジ、アダプタ又はコントローラによって接続される任意の1つ又は複数の別個の物理的なバス、ポイントツーポイント接続部あるいはその双方を表す、抽象物である。
【0040】
一部の実施形態において、デバイス600は、1つ又は複数のタッチセンサ670を含む。一部の実施形態において、タッチセンサ670は容量式センサ672を含んでもよく、
図4に図示されるサイドタッチセンサ425などのサイドタッチセンサを含んでもよい。一部の実施形態において、デバイス600は、接触エリアの分析に基づいてサイドタッチセンサへの意図的でない接触の排除を提供するが、そのような接触エリアの分析には、例えば接触エリアのサイズ、形状及び動き、並びに存在する接触エリアの数が含まれる。
【0041】
一部の実施形態において、デバイス600は更に、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的な記憶デバイス若しくは要素を、情報及びプロセッサによって実行される命令を格納するためのメインメモリ614として備える。RAMメモリは、メモリコンテンツのリフレッシュを必要とするダイナミックRAM(DRAM)と、コンテンツをリフレッシュする必要はないが、コストが高いスタティックRAM(SRAM)とを備える。DRAMメモリは、信号を制御するためのクロック信号を含む同期型DRAM(SDRAM)と、拡張型データアウトDRAM(EDO DRAM)を含んでもよい。一部の実施形態において、システムのメモリは、特定のレジスタ又は他の専用のメモリを含んでもよい。デバイス600はまた、プロセッサ用に静的情報及び命令を格納するための読取専用メモリ(ROM)616又は他のスタティック記憶デバイスを含んでもよい。デバイス600は、フラッシュメモリを含め、特定の要素の格納のための1つ又は複数の不揮発性メモリ要素618を含んでもよい。一部の実施形態において、ROMメモリ616又は不揮発性メモリ618は、デバイス600のユーザによる意図的でない接触であると判断されたタッチセンサへの接触を排除する際に使用するための、意図的でない接触の指標620に関するデータの格納を含んでもよい。
【0042】
デバイス600は、相互接続部605を介して出力ディスプレイ640に結合されることもある。一部の実施形態において、ディスプレイ640は、情報又はコンテンツをユーザに表示するための液晶ディスプレイ(LCD)又は任意の他のディスプレイ技術を含むことがある。一部の実施形態において、ディスプレイ640は、入力デバイスの少なくとも一部としても使用されるタッチスクリーンを含んでもよい。一部の実施形態において、ディスプレイ640は、オーディオ情報を提供するためのスピーカなどのオーディオデバイスとしてもよく、このようなオーディオデバイスを含んでもよい。
【0043】
1つ又は複数の送信機又は受信機645も相互接続部605に接続されることがある。一部の実施形態において、デバイス600は、データの受信又は送信のための1つ又は複数のポート650を含んでもよい。デバイス600は、無線信号によるデータの受信のための1つ又は複数のアンテナ655を更に含んでもよい。
【0044】
デバイス600は、電源デバイス又はシステム660も備えることがあり、電源デバイス又はシステム660は、電源、バッテリ、太陽電池、燃料電池あるいは電力を提供又は生成するための他のシステム又はデバイスを備えることがある。電源デバイス又はシステム660によって提供される電力は、必要に応じてデバイス600の要素に配分されることがある。
【0045】
上記の記載では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多くの具体的な詳細が説明されている。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細の一部を用いることなく実施される可能性があることは明らかであろう。他の例においては、公知の構造及びデバイスがブロック図の形式で示されている。図示されたコンポーネントの間に中間の構造が存在する可能性もある。本明細書において説明され、図示される
コンポーネントが、図示又は説明されていない追加の入力又は出力を有していてもよい。
【0046】
様々な実施形態は様々な処理を含む可能性がある。これらのプロセスは、ハードウェアコンポーネントによって実行されてもよく、汎用若しくは専用のプロセッサに、又は命令を実行する命令を用いてプログラムされた論理回路にこれらの処理を実行させるために用いられる、コンピュータプログラム又はマシン実行可能命令で具現化されてもよい。あるいは、処理をハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行してもよい。
【0047】
様々な実施形態の一部が、コンピュータプログラム製品として提供されることもあり、このようなコンピュータプログラム製品は、特定の実施形態に係るプロセスを実行する1つ又は複数のプロセッサによる実行のために、コンピュータ(又は他の電子デバイス)をプログラムするのに使用されるコンピュータ命令を格納した非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ読取可能媒体は、これらに限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスケット、光ディスク、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)、並びに光磁気ディスク、読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラム可能ROM(EPROM)、電子的消去可能PROM(EEPROM)、磁気又は光カード、フラッシュメモリ、あるいは電子的な命令を格納するのに適切な他のタイプのコンピュータ読取可能媒体を含んでもよい。さらに、諸実施形態を、コンピュータプログラム製品としてダウンロードしてもよく、このプログラムは、リモートコンピュータから要求側のコンピュータに転送されてもよい。
【0048】
方法の多くは、その最も基本的な形式で説明されているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく、これらの方法のいずれかに対して処理を追加することも又は削除することもでき、説明されたメッセージのいずれかに対して情報を追加しても又は減じることもできる。当業者には、多くの更なる修正及び適応を行うことができることが明らかであろう。特定の実施形態は、本発明を限定するために提供されるものではなく、例示するために提供される。本発明の実施形態の範囲は、上記で提供された具体的な例によって定められるものではなく、特許請求の範囲によってのみ定められるべきである。
【0049】
要素「A」が要素「B」に結合されると言う場合、要素Aは、要素Bに直接結合されてもよく、例えば要素Cを介して間接的に結合されてもよい。本明細書又は特許請求の範囲において、コンポーネント、特徴、構造、処理又は特性Aが、コンポーネント、特徴、構造、処理又は特性Bを「生じる」というとき、これは、「A」が少なくとも部分的に「B」の原因であるが、「B」が生じるのを助ける少なくとも1つの他のコンポーネント、特徴、構造、プロセス又は特性も存在し得ることを意味する。本明細書では、コンポーネント、特徴、構造、処理又は特性が含まれても「よい」、含まれる「可能性がある」、又は含まれることが「できる」と示す場合、特定のコンポーネント、特徴、構造、処理又は特性が含まれることが必要ではない。本明細書及び特許請求の範囲において「1つ」又は「ある」要素に言及する場合、これは、説明される要素の1つのみが存在することを意味するものではない。
【0050】
実施形態は、本発明の実装例又は実施例である。本明細書における「実施形態」、「一実施形態」、「一部の実施形態」又は「他の実施形態」への言及は、その実施形態との関連で説明される特定の特徴、構造又は特性が、少なくとも一部の実施形態に含まれることを意味するが、必ずしも全ての実施形態に含まれる必要はない。「実施形態」、「一実施形態」又は「一部の実施形態」の様々な記載は、必ずしも全て同じ実施形態に言及しているとは限らない。本発明の例示的な実施形態に関する上記説明において、様々な特徴がしばしば、本開示を簡素化し、様々な態様の1つ又は複数の理解を助けるために、単一の実施形態、図面又はその説明に一緒にまとめられていることを認識されたい。しかしながら、このような開示の方法は、特許請求に係る本発明が各請求項に明示的に記載される複数の特徴を必要とする、という意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲の記載が反映しているように、本発明の態様は、単一の上記開示される実施形態の全ての特徴よりも少ない部分にある。したがって、各請求項が、本発明の別個に実施形態として自立するように、特許請求の範囲の記載は本出願に明示的に組み込まれる。