特許第5911972号(P5911972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911972
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】SMTインライン用の自動X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   G01N23/04
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-548672(P2014-548672)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-502555(P2015-502555A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】KR2012011255
(87)【国際公開番号】WO2013095035
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月23日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0139909
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514159715
【氏名又は名称】セック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム マンソク
(72)【発明者】
【氏名】リュウ キウン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ キジュン
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−309687(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/078419(WO,A1)
【文献】 特開2011−069650(JP,A)
【文献】 特開2008−302066(JP,A)
【文献】 特開2008−122337(JP,A)
【文献】 特開2001−201464(JP,A)
【文献】 特開2001−319951(JP,A)
【文献】 特開2009−121961(JP,A)
【文献】 特開2000−329710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
G01B 15/00−15/08
A61B 6/00− 6/14
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を装着脱自在に支持し、平面上のX軸、Y軸移動及び回転が可能であり、電源を供給するためのフラットケーブル(flat cable)を具備するステージユニットと、
前記ステージユニットの下側に配置されて、前記ステージユニットにセッティングされた前記被検査体に向けてX線を照射するX線管と、
前記ステージユニットの上側で片側へ旋回できるように配置され、前記被検査体を透過したX線を検出するディテクタと、を含み、
前記X線管は、前記ディテクタの旋回に対して同期旋回する一方で、前記X線管のX−ray放出面が前記ステージユニットと平行に設定され、
前記ステージユニットは中空軸を備え、前記中空軸を回転自在に支持する中空ベアリングを備え、
前記ディテクタは、前記被検査体を透過したX線がイオン化されたものを電気的信号に変換し、この変換された電気的信号を増幅してデジタル映像信号に変換し、
前記ディテクタから伝送された複数のデジタル映像信号をリコンストラクション(reconstruction)した後、3次元検査を行うイメージ処理部を更に含み、
前記イメージ処理部は、リコンストラクションを行うために、少なくとも4つのGPUコア(Graphics Processing Unit Core)を含み、
前記フラットケーブルは、前記中空軸の外側に螺旋方向に巻回配置され、前記中空軸を包み込むリング状のケーブル収容部材に収まり、前記ケーブル収容部材は、前記フラットケーブルの収まる面が平面であることを特徴とする自動X線検査装置。
【請求項2】
前記中空ベアリングは、クロスローラベアリングからなり、前記クロスローラベアリングの外輪はベアリングハウジングにクランピング(clamping)され、内輪は中空軸にクランピングされることを特徴とする請求項1に記載の自動X線検査装置。
【請求項3】
前記外輪及び内輪は、クランピングされる地点がそれぞれ少なくとも3地点であり、前記3地点は相互同一の角度に設定されることを特徴とする請求項2に記載の自動X線検査装置。
【請求項4】
前記ステージユニットは、電源を前記ステージユニットに伝送するために、前記ステージユニットと電気的に接続されて前記ステージユニットとともに回転するスリップリングと、
前記スリップリングに接触して電源を印加する給電ブラシと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動X線検査装置。
【請求項5】
前記ステージユニットは、被検査体のCT撮影のために、動力伝達部から駆動力が印加されて時計回りに360度回転した後、反時計回りに360度回転し、
前記ディテクタは、前記ステージユニットの時計回りへの回転時及び反時計回りへの回転時、それぞれ撮影を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動X線検査装置。
【請求項6】
前記動力伝達部は、
駆動モータと、
前記駆動モータの駆動軸に結合される駆動プーリ(pulley)と、
前記中空軸の下端に沿って結合される縦動プーリと、
前記ステージユニットの回転角度を検出するためのエンコーダと、
前記駆動プーリ、縦動プーリ及びエンコーダを連結するタイミングベルトと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の自動X線検査装置。
【請求項7】
前記駆動モータは、少なくとも180°/秒の駆動速度で駆動するサーボモータ(servo motor)であることを特徴とする請求項6に記載の自動X線検査装置。
【請求項8】
前記ディテクタは、前記エンコーダによって発生する信号に応じて、少なくとも120フレーム/秒でスキャニングすることを特徴とする請求項7に記載の自動X線検査装置。
【請求項9】
前記X線管は、前記ステージユニットと分離された状態を保持し、水平移動及び垂直移動することを特徴とする請求項1に記載の自動X線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動X線検査装置に関し、より詳細には、高精度を保持しつつ高速で撮影されたイメージを自動的に読み込み、基板に対する2次元及び3次元検査を行うことができるインライン自動X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話やデジタルカメラのような電子機器は、次第に小型化されつつある傾向にあり、それにより、各電子機器に適用される基板の実装も小型化及び高密度化されつつある。
【0003】
このようなSMT(Surface Mount Technology)分野において使用されるチップ部品としては、0402型(0.4mm×0.2mm)が登場しており、数百ピンの多ピンBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Scale Package)の両面実装は一般化している傾向にある。このような傾向に伴い、はんだ接合面積(はんだボール直径)は小さくなりつつあり、鉛フリーはんだ化が進むにつれ、はんだ接合に対する接合強度等をきちんと検査する装備がなかったため、信頼性に対する不安が高まるようになった。
【0004】
なお、BGAのようにパッケージ背面のはんだ接合部は、肉眼で見ることができず、インサーキット(In−Circuit)テスタは高密度であってピンスペースがないため、使用することができない。
【0005】
よって、上記のように、直接肉眼で確認することができない部分に対して、透過X線検査装備を通じての検査が必要であるとの声が上がっている。
【0006】
ところが、製造ラインで全数検査をしなければならない場合、従来の透過X線検査装備は、専門の検査者が画面にディスプレイされる透過画像を肉眼で一々検査しなければならないため、検査者の熟練度によって、判定速度及び正確度にばらつきが生じ、接合不良の早期発見が困難であるため、市場で要求するレベルの品質保証を満たすには難しい問題があった。
【0007】
このような問題を解消するために、作業者の肉眼検査を止揚し、撮影されたイメージを自動的に読み込むことができる自動X線検査(AXI、Automatic X−ray Inspection)装置が提案されるようになった。
【0008】
このような従来の自動X線検査装置は、撮影されたイメージを通じて2次元イメージはもちろんのこと、3次元イメージを示すことで、基板の内部の欠陥(void、crack等)まで正確に読み込みできるように、X線管またはディテクタ(detector)が傾斜配置された状態で、基板の実装状態を断層撮影できるオブリック(oblique)タイプが開発された。
【0009】
しかしながら、このような従来の自動X線検査装置は、検査速度が遅くSMTインライン(in−line)用に使用するのに適していないという問題があった。それは、イメージ処理速度と機構的な問題が複合的に作用するため生じる。
【0010】
特に、機構的な問題の場合、例えば、X線管とステージとが一体として連結されるように組み立てられることにより、ステージとX線管を移動する際に、モータにかなりの負荷がかかるようになる。
【0011】
更に、検査中に必要に応じて、垂直移動及び水平移動をしなければならないX線管にステージが一体として組み立てられているため、ステージが高速回転する際、振動が発生する等、安定的に支持できない構造により、ステージの回転精度が顕著に低下し、ステージの同心度が保持できないという問題があった。それは、被検査体の撮影に多大な障害となり、それによって、歪曲したイメージを形成するようになるため、信頼のおける検査を保障するうえで難点となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、SMTインラインに適用できるように高精度で高速撮影されたイメージを自動的に読み込み、被検査体(基板の実装)の2次元及び3次元の検査を行うことができる自動X線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、被検査体を装着脱自在に支持し、平面上のX軸、Y軸移動及び回転が可能なステージユニットと、前記ステージユニットの下側に配置されて前記ステージユニットにセッティングされた前記被検査体に向けてX線を照射するX線管と、前記ステージユニットの上側で片側へ旋回できるように配置され、前記被検査体を透過したX線を検出するディテクタとを含み、前記X線管は、前記ディテクタの旋回に対して同期旋回する一方で、前記X線管のX−ray放出面が前記ステージユニットと平行に設定され、前記ステージユニットは中空軸を備え、前記中空軸を回転自在に支持する中空ベアリングを備えることを特徴とする自動X線検査装置を提供する。
【0014】
前記ステージユニットは、電源を前記ステージユニットに伝送するためのケーブルを備え、前記ケーブルは、ケーブル間のねじれや干渉を防止することができるフラットケーブル(flat cable)を提供することができる。この場合、前記フラットケーブルは、前記中空軸の外側に螺旋方向に巻回配置されてよい。
【0015】
前記フラットケーブルは、前記中空軸を包み込むリング状のケーブル収容部材に収まり、前記ケーブル収容部材は、前記フラットケーブルの収まる面が平面に形成されてよい。
【0016】
前記中空ベアリングは、クロスローラベアリングからなり、前記クロスローラベアリングの外輪はベアリングハウジングにクランピング(clamping)され、内輪は中空軸にクランピングされてよく、前記外輪及び内輪は、クランピングされる地点がそれぞれ少なくとも3地点であり、前記3地点は相互同一の角度に設定されてよい。
【0017】
前記ステージユニットは、電源を前記ステージユニットに伝送するために、前記ステージユニットと電気的に接続されて前記ステージユニットとともに回転するスリップリングと、前記スリップリングに接触して電源を印加する給電ブラシとを含んでよい。
【0018】
前記ステージユニットは、被検査体のCT撮影のために、動力伝達部から駆動力が印加されて時計回りに360度回転した後、反時計回りに360度回転し、前記ディテクタは、前記ステージユニットの時計回りへの回転時及び反時計回りへの回転時、それぞれ撮影を行ってよい。
【0019】
前記動力伝達部は、駆動モータと、前記駆動モータの駆動軸に結合される駆動プーリ(pulley)と、前記中空軸の下端に沿って結合される縦動プーリと、前記ステージユニットの回転角度を検出するためのエンコーダと、前記駆動プーリ、前記縦動プーリ及びエンコーダを連結するタイミングベルトとを含んでよい。
【0020】
前記駆動モータは、少なくとも180°/秒の駆動速度で駆動されるサーボモータ(servo motor)を適用してよい。
【0021】
前記ディテクタは、前記エンコーダによって発生する信号に応じて、少なくとも120フレーム/秒でスキャニングしてよい。
【0022】
前記X線管は、前記ステージユニットと分離された状態を保持し、水平移動及び垂直移動してよい。
【0023】
本発明は、前記ディテクタが、前記被検査体を透過したX線がイオン化されたものを電気的信号に変換し、この変換された電気的信号を増幅してデジタル映像信号に変換し、前記ディテクタから伝送された複数のデジタル映像信号を高速リコンストラクション(reconstruction)した後、3次元検査を行うイメージ処理部を更に含むことが望ましい。この場合、前記イメージ処理部は、高速リコンストラクションを行うために、少なくとも4つのGPUコア(Graphics Processing Unit Core)を含んでよい。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、ステージユニットの高速回転時に回転精度を保持させつつ、従来解像度の2倍となるイメージを撮影することができ、ステージユニットの時計回り及び反時計回りへの回転時に双方向撮影が可能となるため、検査速度を大きく向上させることができ、複数のGPUコアを使用して高速処理が可能となることから、SMTインライン用に適用することができるという利点がある。
【0025】
なお、本発明は中空ベアリングを使って、この中空ベアリングの変形を最小限化できるように、少なくとも3点以上の同一角度に配置されたクランピング地点を設定し、ステージユニットの回転軸に対する同心度を保持することができ、フラットケーブルを使用したりスリップリングと給電ブラシとを備えることで、ステージユニットの回転に対しての干渉を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るSMTインライン自動X線検査装置を示す正面図である。
図2図1に示すステージユニット及びX線管を示す拡大図である。
図3】本発明の一実施形態に係るSMTインライン自動X線検査装置を示す側面図である。
図4図1に示すX線管とディテクタの同期移動を示す概略図である。
図5】ステージユニットの動力伝達部を示す平面図である。
図6】ステージユニットの動力伝達部を示す側面図である。
図7】ステージユニットのベアリング構造を示す平面図である。
図8】ステージユニットのベアリング構造を示す側面図である。
図9】ステージユニットが回転する前のフラットケーブルの配置を示す平面図である。
図10】ステージユニットが回転する前のフラットケーブルの配置を示す側面図である。
図11】ステージユニットが360度回転した後のフラットケーブルの配置を示す平面図である。
図12】ステージユニットが360度回転した後のフラットケーブルの配置を示す側面図である。
図13】スリップリング及び給電ブラシを用いてステージユニットに電源を供給する例を示す平面図である。
図14】スリップリング及び給電ブラシを用いてステージユニットに電源を供給する例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るSMTインライン自動X線検査装置について詳細に説明する。ただし、本発明を説明していくうえで、本発明に関連する公知技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明及び具体的な図示を省略する。
【0028】
図1ないし図3を参照すると、本実施形態のSMTインライン自動X線検査装置は、2次元及び3次元検査を兼ねることができる検査装置として、X線管10、ディテクタ30と、ステージユニット50及びイメージ処理部70を含む。
【0029】
X線管10の管内のフィラメントから熱放出された電子を、タングステン、モリブデン、銅等の金属の間で高電圧で加速させ、加速された電子を金属ターゲットに追突させてX線(X−ray)を発生させる。
【0030】
前記X線管10は、ステージユニット50の下側に垂直に配置され、常にX線管10の上端のX線放射面10aがステージユニット50と平行に配置される(図4を参照)。
【0031】
このようなX線管10は、垂直移動及び水平移動ができるように設置され、このような移動は、第1サポータ11及び第2サポータ13の駆動によって行われる。
【0032】
第1サポータ11は、X線管10の片側に固定設置され、第2サポータ13の垂直ガイドレール15にスライド自在に結合される。なお、第2サポート13は、第3サポータ17の水平ガイドレール19にスライド自在に結合される。この場合、水平ガイドレール19は、ディテクタ30の旋回方向に対応する直線方向、すなわち、X軸方向に沿って配置され、X線管10がディテクタ30の旋回に沿って同期移動が可能である。
【0033】
このように、本発明は、X線管10が、ステージユニット50と完全に分離された状態で駆動することにより、X線管10の移動時に、従来技術に比べてモータに多くの負荷がかからないため、少ない駆動力でX線管10を円滑に移動させることができる。
【0034】
ディテクタ(detector)30は、被検査体である基板の各実装部品を透過したX線がイオン化されたものを電気的信号に変換し、この変換された電気的信号を増幅してデジタル映像信号に変換する。
【0035】
前記ディテクタ30は、ステージユニット50の上側に所定間隔を置いて配置され、一方向に所定角度(θ)で旋回自在に設置される。この場合、ディテクタ30は、第4サポータ31が片側に固定結合され、第4サポータ31は、第5サポータ33のガイドレール35にスライド自在に結合される。第5サポータ33は、上部ガイド板37に形成された曲線ガイド溝39に沿ってスライド移動自在に結合される。
【0036】
図4を参照すると、前記ディテクタ30は、初期状態でディテクタ30の中心がX線管のX線放射面10aの中心と一致するように垂直に配置される。なお、ディテクタ30は、断層撮影の際、所定角度分だけ旋回移動し、X線管10もディテクタ30の旋回に沿って同期移動する。このとき、ディテクタ30の旋回中心位置は、ステージユニットの高さに対応する位置に設定され、同期移動したX線管10の放射面10aはステージユニット50と平行に保持される。
【0037】
ステージユニット50は、被検査体支持部材50aと、中空軸54と、中空ベアリング55と、駆動モータ57と、動力伝達部及びケーブル収容部材60を含む。
【0038】
被検査体支持部材50aは、通常のクランピングユニットを介して被検査体である基板を装着脱自在に支持する。被検査体支持部材50aは、内側にX線が通過できるように、この空間が形成される。前記被検査体支持部材50aは、平面上でX軸及びY軸方向に直線移動する。
【0039】
このような被検査体支持部材50aのX軸及びY軸移動のために、ステージユニット50は第1及び第2支持フレーム51、52を備える。この場合、被検査体支持部材50aは、第1支持フレーム51上のX軸方向ガイドレール51aにスライド自在に結合され、第1支持フレーム51は、第2支持フレーム52上のY軸方向ガイドレール52aにスライド自在に結合される。前記被検査体支持部材50a及び第1支持フレーム51は、それぞれ駆動モータM1、M2から駆動力を伝達される。
【0040】
中空軸54は、第2支持フレーム52の下端に結合され、中空軸54の外周を包み込む中空ベアリング55によって回転自在に支持される。
【0041】
図7及び図8を参照すると、中空ベアリング55は、外周を包み込むベアリングハウジング56によって支持される。このような中空ベアリング55は、内輪55a、外輪55b及び内/外輪55a、55bの間に配置されるローラ55cを備えるクロスローラベアリング(cross roller bearing)を使用することが望ましい。
【0042】
この場合、内/外輪55a、55bは、それぞれ中空軸54及びベアリングハウジング56にそれぞれ固定設置された複数の第1及び第2クランプC1、C2によって固定される。これにより、内輪55aは、中空軸54に固定されて中空軸54とともに回転し、外輪55bは、ベアリングハウジング56に固定されて回転しない。
【0043】
前記内輪55aをクランピングする複数の第1クランプC1は、それぞれ同一の間隔で配列され、同様に、外輪55bをクランピングする複数の第2クランプC2も、それぞれ同一の間隔で配列される。本実施形態では、第1及び第2クランプC1、C2をそれぞれ6つずつ使用したが、それに限定されずに、第1及び第2クランプC1、C2をそれぞれ少なくとも3つ以上使用すれば十分である。ただ、使用される複数の第1及び第2クランプC1、C2は、それぞれ同一の角度で配置されることが望ましい。
【0044】
このように、中空ベアリング55の内/外輪55a、55bを所定の位置で点支持することで、中空ベアリング55に加わる変形を最小限化できるようになるため、ステージユニット50の回転精度を確保することができる。
【0045】
前記ベアリングハウジング56は、水平に配置される台Dの上面に固定設置される。この場合、台Dは、複数の垂直フレームFによって支持され、床面から所定の高さに位置する。好適には、台Dの高さは、X線管10の移動範囲を考慮して適した高さに設定する。
【0046】
図5及び図6を参照すると、駆動モータ57は、動力伝達部を介してステージユニット50を時計回り及び反時計回りに交互に360°回転させる一方、駆動速度が少なくとも180°/秒以上の高速サーボモータを使用することが望ましい。
【0047】
前記駆動モータ57は、支持部材57bによって複数の垂直フレームFのうちの何れか1つに固定設置され、駆動モータ57の回転軸(図示せず)には、タイミングベルト58dと連結される駆動プーリ57aが結合される。
【0048】
この場合、タイミングベルト58dは、中空軸54の下端に沿って連結される縦動プーリ59とステージユニット50の回転角度を検出するためのエンコーダ58aに連結される。このとき、タイミングベルト58dは、少なくとも一対のベルト張力調節部58b、58cに一部が加圧されることで、適したベルト張力を保持することができる。
【0049】
前記エンコーダ58aは、ステージユニット50が1.5°回転するごとに信号を発生させ、この信号によってディテクタ50は回転している被検査体を120フレーム/秒でスキャニングする。それにより、高速撮影を通じて従来に比べて多くのプロジェクション(projection)を獲得することができ、より精密かつ豊富な映像品質を得ることができる。よって、ディテクタ50は、基板実装の一部分に対して時計回りに360°回転時に240フレームを撮影し、次に撮影する基板実装の他部分にX軸及びY軸を移動した後、被検査体が反時計回りに元の位置に360°回転する際、240フレームを撮影することができる。
【0050】
本実施形態では、ディテクタ50のスキャニング速度を120フレーム/秒を一例として説明しているが、それに限定されず、少なくとも120フレーム/秒以上のスキャニング速度が実現できるディテクタであれば十分である。
【0051】
それに関連し、従来には被検査体を0°から360°の時計回りに回転する際に撮影が行われ、再び元の位置に回転する場合、すなわち、反時計回りに360°回転する間には、撮影が行われないため、その回転時間分だけ損失(loss)が発生する。
【0052】
このように、従来技術は、片方向撮影のみが可能な構造である一方で、本発明は両方向(時計回り及び反時計回り)に撮影が可能であるため、生産性の向上を期待することができる。
【0053】
なお、前記台Dには、ケーブル収容部材60が固定設定され、このケーブル収容部材60はベアリングハウジング56を包むように配置される。前記ケーブル収容部材60には、フラットケーブル65が可動に収まるリング状の収容空間61が形成され、中央にはベアリングハウジング56が挿入される貫通孔63が形成される。この場合、収容空間61の床面は平面で形成され、フラットケーブル65は中空軸54に隣接する一端67がケーブル収容部材60に固定される。
【0054】
図9ないし図12を参照すると、フラットケーブル(flat cable)65はケーブル間のねじれや干渉を防止することができるように、ケーブル収容部材60の収容空間61に沿って螺旋方向に巻回配置される。
【0055】
このようなフラットケーブル65の螺旋方向における巻回配置は、ステージユニット50が時計回りに回転(図11及び図12を参照)及び反時計回りに回転(図9及び図10を参照)することで、収容空間61内で動く際、収容空間61の床面と接触面積を最小化し、摩擦力を軽減することができる。それにより、フラットケーブル65によって発生し得るステージユニット50の回転干渉要因を最小限化することにより、ステージユニット50が高速回転時に回転精度を保持することができる。
【0056】
上記では、ステージユニット50がフラットケーブル65を通じて電源が印加される例を説明するが、それに限定されることなく、フラットケーブル65を省略することができる。すなわち、図13及び図14を参照すると、ステージユニット50とともに回転するスリップリング81を備え、前記スリップリング81の一面に形成された円形導電パターン(図示せず)に複数の接触ピン85を接触させてスリップリング81に電気を印加する給電ブラシ83を備えることで、フラットケーブル65を省略することができる。
【0057】
この場合、フラットケーブル65を省略することができるため、ステージユニット50が高速回転時に回転精度を低下させるおそれのある要因を最小限化することができる。
【0058】
イメージ処理部70は、ディテクタ50によって撮影されたプロジェクションを少なくとも4つのGPUコア(Graphics Processing Unit Core)を通じて、高速リコンストラクション(reconstruction)することで、被検査体の一箇所当り略3秒台で3次元検査時間を縮めることができるため、SMTインライン用に使用することができる。
【0059】
なお、本発明の場合、ステージユニット50の回転軸に対する同心度が高品質映像を得るうえで大きな影響が及ぼす。特に、機構的な問題により、同心度に偏差が発生することがあるが、前記イメージ処理部70は、このような機構的に発生する偏差を自動的に補正する。このような自動補正は、ソフトウェア的に行われ、ステージユニット50の回転中心に唯一性を有するパターンを登録し、360°に回転する際、毎1.5°ごとに発生する公差オフセット(offset)を探し出して、リコンストラクションと同時に補正が行われる。
【0060】
一方、通常のX線検査装置は、X線電圧/電流がオフ(off)された後、設備稼働のために、線をオン(on)にすると、電圧/電流及びターゲットの温度が安定化するのに一定の時間が必要であり、それは、ターゲットの温度が上がる段階に応じて、X線を通じて獲得された映像の焦点(Focus)が変わる現象として現れる。本発明は、リアルタイムで映像の焦点を探し当てるATF(Auto Tube Focus)機能を施すことで、前記安定化にかかる時間を省くと同時に、生産性を向上させることができる。
【0061】
更に、従来のオブリックCT(Oblique CT)の場合、X線照射角問題と、製品との距離を接近させて幾何学的倍率を高めるために、オープンタイプのX線管を使用するが、本発明の場合、クロスタイプのX線管を使用して真空管の体積を減らし、原価削減と同時に機構の構成をシンプルに実現することができる。この場合、本発明は、片側60度の照射角を有するワイドアングルクロスチューブ(Wide Angle Close Tube)を適用して上述のX線照射角の問題を解消することができる。
【0062】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、インライン自動X線検査装置に関し、半導体チップ等の電子部品の非破壊検査分野に適用可能である。
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