(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5911984
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】熱交換器プレートおよびプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 27/00 20060101AFI20160414BHJP
F28F 9/00 20060101ALI20160414BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20160414BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
F28F27/00 511G
F28F9/00 D
F28D9/00
F28F3/00 311
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-41427(P2015-41427)
(22)【出願日】2015年3月3日
(62)【分割の表示】特願2013-534854(P2013-534854)の分割
【原出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-143613(P2015-143613A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2015年3月24日
(31)【優先権主張番号】1051101-2
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502305917
【氏名又は名称】アルファ・ラバル・コーポレイト・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】アンデルス・セデルベルク
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・アルンド
(72)【発明者】
【氏名】クラス・ベルティルッソン
(72)【発明者】
【氏名】アンデルス・ニャンダー
【審査官】
▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第4100651(DE,A1)
【文献】
特開2009−222400(JP,A)
【文献】
特表2009−527854(JP,A)
【文献】
特開平02−298797(JP,A)
【文献】
国際公開第99/51927(WO,A1)
【文献】
特開平07−261875(JP,A)
【文献】
特開2007−079731(JP,A)
【文献】
特開2003−163323(JP,A)
【文献】
特開2003−158239(JP,A)
【文献】
特表2008−501946(JP,A)
【文献】
特開2005−291521(JP,A)
【文献】
特開2006−313030(JP,A)
【文献】
特開2000−130966(JP,A)
【文献】
特開2010−060515(JP,A)
【文献】
特開2000−092083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 27/00
F28D 9/00
F28F 3/00
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート式熱交換器のための熱交換器プレートであり、
熱伝達エリア(10)と、
エッジエリア(11)を備え、それは、前記熱伝達エリア(10)の周囲および外部に延在しており、また、
デバイス(25)を備え、それは、信号を受信および生成するように構成されている、熱交換器プレートにおいて、
前記熱交換器プレートは、前記デバイス(25)に接続された電子回路(21)を備えている通信モジュール(20)を備えており、前記通信モジュール(20)はまた、プレートパッケージ中の別の熱交換器プレート(1)の少なくとも一つの通信モジュール(20)を介してマスターユニット(30)との前記信号の通信を可能にする通信手段を備えており、前記通信手段は、前記熱交換器プレート(1)の一次側に配置された少なくとも一つの一次接触子要素(31)と、前記熱交換器プレート(1)の反対の二次側に配置された少なくとも一つの二次接触子要素(32)を備えていることを特徴とする熱交換器プレート。
【請求項2】
前記通信モジュール(20)は、適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されるように構成されている、請求項1に記載の熱交換器プレート。
【請求項3】
前記デバイス(25)は、少なくとも一つのパラメーターを感知し、前記パラメーターに依存する信号を生成するように構成されたセンサーを備えている、請求項1または2のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
【請求項4】
前記デバイス(25)は、前記熱交換器プレート(1)に印加される電圧を生成するように構成された電圧発生器を備えている、請求項1ないし3のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
【請求項5】
前記通信モジュール(20)は、前記エッジエリア(11)中に設けられている、請求項1ないし4のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
【請求項6】
ガスケット通路(12)を備え、それは、前記熱伝達エリア(10)の周囲に、前記熱伝達エリア(10)と前記エッジエリア(11)の間に延在し、ガスケット(13)を収容するように構成されており、また、追加ガスケット通路(12’)を備え、それは、前記エッジエリア(11)に延在し、そこには追加ガスケット(13’)が延在し、前記ガスケット通路(12)と前記追加ガスケット通路(12’)の間に空間(14)が形成され、その空間(14)中に前記通信モジュール(20)が設けられている、請求項1ないし5のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
【請求項7】
前記エッジエリア(11)中に切り欠き(23)を備え、前記通信モジュール(20)は、前記切り欠き(11)中に設けられている、請求項1ないし6のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかひとつに記載の複数の熱交換器プレート(1)を備えているプレート式熱交換器であり、前記熱交換器プレート(1)は互いにそばに配されて、第一の媒体のためのいくつかの第一のプレート隙間(2)と、第二の媒体のためのいくつかの第二のプレート隙間(3)を定める、プレート式熱交換器。
【請求項9】
前記通信モジュール(20)と前記マスターユニット(30)は、適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されている、請求項8に記載のプレート式熱交換器。
【請求項10】
前記通信バスは、シリアルバスである、請求項9に記載のプレート式熱交換器。
【請求項11】
前記通信モジュール(20)は、デージーチェーン回路に配されている、請求項9および10のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。
【請求項12】
前記通信モジュール(20)は、前記通信バス中に連続的に配され、前記プレート式熱交換器中の通信モジュール(20)の位置に対応する前記通信バス中のそれぞれのアドレスを有している、請求項9ないし11のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。
【請求項13】
各通信モジュール(20)は、開または閉位置にあるように構成されたスイッチ部材(41)を備えており、前記通信モジュール(20)は、前記スイッチ部材(41)が閉位置に切り替えられ、それによって、隣の連続通信モジュール(20)を前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続したときに初期化される、請求項12に記載のプレート式熱交換器。
【請求項14】
前記通信モジュール(20)の前記スイッチ部材(41)は、閉位置において、前記通信モジュールを前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続し、それによって、前記マスターユニット(30)がこの通信モジュール(20)を介して隣の連続通信モジュール(20)に初期化信号を転送することを可能にし、この隣の通信モジュール(20)が前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続されるように設けられている、請求項13に記載のプレート式熱交換器。
【請求項15】
前記マスターユニット(30)は、前記プレート式熱交換器(1)上に設けられている、請求項8ないし14のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部に記載の熱交換器プレートに言及する。本発明はまた、請求項10の前段部に記載のプレート式熱交換器に言及する。そのような熱交換器プレートおよびそのようなプレート式熱交換器は、WO2005/119197に開示されている。
【背景技術】
【0002】
プレート式熱交換器の多数の熱交換器プレートに、センサー、プローブ、電子デバイスなどのさまざまな種類のデバイスを据え付ける願望がある。デバイスの例は、温度測定、圧力測定、任意の種類のパルスや信号の送信、および広範な他の応用のためであってよい。
【0003】
WO2005/119197は、複数の熱交換器プレートを有しているプレート式熱交換器を開示している。センサーの形をしているデバイスは、それぞれのプレートに、プレート隙間を密閉するためのガスケットの付近に設けられている。センサーは、ガスケット材料の圧縮の監視を可能にするために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2005/119197
【発明の概要】
【0005】
そのようなまたは同様のプレート式熱交換器に関する問題は、プレート式熱交換器が極めて多数の熱交換器プレート、ある適用では700をも超えるプレートをしばしば備えていることである。いくつかまたはすべてのプレートがそのようなデバイス備えていると、それらの接続はやっかいなである。すべての信号のための通常の接続ケーブルの設置のために適切な位置と十分な空間を見つけるのは難しい。
【0006】
さらに、設置作業は、非常に時間を消費するであろう。多くの適用では、そのようなデバイスおよび接続を備えたプレート式熱交換器は、積極的なクリーニングに露出され得、それは、デバイスの故障をもたらすことがある。多量の接続は、けばのない電気接触の高い要求をする。
【0007】
本発明の一つの目的は、上に論じられた問題を改善し、多数またはすべての熱交換器プレートにそのようなデバイスを備えた多数の熱交換器プレートを有している信頼できるプレート式熱交換器を提供することである。
【0008】
この目的は、最初に定められた熱交換器プレートによって達成され、それは、熱交換器プレートが、デバイスに接続された電子回路を備えている通信モジュールを備えており、通信モジュールがまた、プレートパッケージ中の別の熱交換器プレートの少なくとも一つの通信モジュールを介してマスターユニットとの前記信号の通信を可能にする通信手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
そのような熱交換器プレートでは、多数の熱交換器プレートが含まれている場合でも、デバイスへの信頼できる接続をもつプレート式熱交換器を作製することが可能である。デバイスのおのおのとの通信のために接続ケーブルが必要とされないので、プレート式熱交換器は容易な方法で製造され得る。接続ケーブルのためにアクセス可能である必要がないので、通信モジュールを配置する自由度が高い。したがって、通信モジュールは、モジュールに適切な保護を提供し、積極的なクリーニングにさらされない場所に位置されてよい。
【0010】
本発明の実施形態によれば、通信モジュールは、シリアルバスプロトコルなどの適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されるように構成される。
【0011】
さらなる実施形態によれば、通信手段は、熱交換器プレートの一次側に配置された少なくとも一つの一次接触子要素と、熱交換器プレートの反対の二次側に配置された少なくとも一つの二次接触子要素を備えている。そのような接触子要素は、一つの通信モジュールから隣接通信モジュールへなどのデバイスとマスターユニットの間の通信を可能にする。
【0012】
さらなる実施形態によれば、デバイスは、少なくとも一つのパラメーターを感知し、パラメーターに依存する信号を生成するように構成されたセンサーを備えている。そのようなセンサーは、圧力センサー、温度センサー、水分センサーなどの少なくとも一つを備えていてよい。
【0013】
さらなる実施形態によれば、デバイスは、熱交換器プレートに印加される電圧を生成するように構成された電圧発生器を備えている。そのような電圧発生器は、プレートの汚損を回避、低減または除去するために、熱交換器プレートへの電圧を生成するために設けられ得る。
【0014】
さらなる実施形態によれば、通信モジュールはエッジエリア中に設けられている。エッジエリアでは、通信モジュールは、プレート式熱交換器のプレート隙間を流れる媒体から適切に保護されている。通信モジュールはまた、この位置において、外側から容易にアクセス可能であってもよい。
【0015】
さらなる実施形態によれば、熱交換器プレートは、ガスケット通路を備え、それは、熱伝達エリアの周囲に、熱伝達エリアとエッジエリアの間に延在し、ガスケットを収容するように構成されており、また、追加ガスケット通路を備え、それは、エッジエリアに延在し、そこには追加ガスケットは延在し、ガスケット通路と追加ガスケット通路の間に空間が形成され、その空間中に通信モジュールが設けられている。そのようなガスケット配置では、通信モジュールはまた、洗浄液などの外部影響から適切に保護される。さらなる実施形態によれば、熱交換器プレートは、多数のポート穴を備えており、それらは、熱交換器プレートを貫いて延在し、エッジエリアの内側、好ましくはガスケット通路の内側に、エッジエリアの付近に配置されている。
【0016】
さらなる実施形態によれば、熱交換器プレートは、エッジエリア中に切り欠きを備えており、通信モジュールは、切り欠き中に設けられている。そのような切り欠きは、開口または凹部の形で、特に熱交換器プレートの一次側の一次接触子要素と、熱交換器プレートの反対の二次側の二次接触子要素の提供を可能にする、通信モジュールに有利な位置を提供する。切り欠きは、熱交換器プレートのエッジまで延在していてよいか、エッジの内側に設けられていてよい。
【0017】
目的はまた、最初に定められたプレート式熱交換器によって達成され、それは、上に定められた、互いにそばに配されて、第一の媒体のためのいくつかの第一のプレート隙間と、第二の媒体のためのいくつかの第二のプレート隙間を定める複数の熱交換器プレートを有している。
【0018】
さらなる実施形態によれば、通信モジュールとマスターユニットは、適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されている。
【0019】
さらなる実施形態によれば、通信バスは、シリアルバスである。そのようなシリアルバスは、熱交換器プレートの一方の側の一次接触子と熱交換器プレートの反対側の二次接触子を介して互いに通信する連続的に設けられた通信モジュールを介したデバイスとマスターユニットの間の通信を可能にするのに適している。
【0020】
さらなる実施形態によれば、通信モジュールは、デージーチェーン回路に配されている。
【0021】
さらなる実施形態によれば、通信モジュールは、通信バス中に連続的に配され、プレート式熱交換器中の通信モジュールの位置に対応する通信バス中のそれぞれのアドレスを有している。言いかえれば、プレート式熱交換器中の通信モジュールつまり熱交換器プレートの順序が、それぞれの通信モジュールのアドレスを決定する。
【0022】
さらなる実施形態によれば、各通信モジュールは、通信モジュールが初期化されたときに閉じられ、それによって、隣の連続通信モジュールを通信バスとマスターユニットに接続するように構成されたスイッチ部材を備えている。したがって、通信モジュールは、デージーチェーン回路に配されている。
【0023】
各通信モジュールは、開または閉位置にあるように構成されたスイッチ部材を備えており、通信モジュールは、スイッチ部材が閉位置へ切り替えられ、それによって、隣の連続通信モジュールを通信バスとマスターユニットに接続したときに初期化される。有利には、通信モジュールのスイッチ部材は、閉位置において、通信モジュールを通信バスとマスターユニットに接続し、それによって、マスターユニットがこの通信モジュールを介して隣の連続通信モジュールに初期化信号を転送することを可能にし、この隣の通信モジュールが通信バスとマスターユニットに接続されるように設けられている。
【0024】
さらなる実施形態によれば、マスターユニットは、プレート式熱交換器上に設けられている。マスターユニットは、適切なケーブルまたは無線方式による全体制御および/または監視システムなどのさらなるシステムとの通信のための通信手段をさらに備えていてもよい。マスターユニットはまた、使用者への情報の表示のためのディスプレイまたはそのようなものを備えていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は、さまざまな実施形態およびここに添付された図面に関連した説明によって、より厳密にいま説明される。
【
図1】
図1は、本発明の第一の実施形態による複数の熱交換器プレートを備えているプレート式熱交換器の正面図を開示している。
【
図2】
図2は、
図1の線II−IIに沿ったプレート式熱交換器の側面図を開示している。
【
図3】
図3は、
図1のプレート式熱交換器の熱交換器プレートの正面図を開示している。
【
図4】
図4は、
図3の熱交換器プレートの部品の正面図を開示している。
【
図5】
図5は、
図4の線V−Vに沿った断面図を開示している。
【
図6】
図6は、
図3の熱交換器プレートの通信モジュールを概略的に開示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および2は、プレートパッケージを形成する複数の熱交換器プレート1を備えているプレート式熱交換器を示している。熱交換器プレート1は、互いにそばに配されて、第一の媒体のためのいくつかの第一のプレート隙間2と、第二の媒体のためのいくつかの第二のプレート隙間3を定める。第一のプレート隙間2と第二のプレート隙間3は、プレートパッケージ中に交互に配される。プレートパッケージの熱交換器プレート1は、締付ボルト6によってフレームプレート4とプレッシャープレート5の間に互いに押し付けられる。開示された実施形態では、プレート式熱交換器は、第一の媒体の入口と出口と第二の媒体の入口と出口を形成する四つのポート穴流路7を備えている。
【0027】
熱交換器プレート1の一つが
図3に開示されている。熱交換器プレート1は、熱伝達エリア10と、エッジエリア11を備えており、それは、熱伝達エリア10の周囲および外側に延在している。エッジエリア11は、熱交換器プレート1の外側周囲エッジを備えている。熱交換器プレート1はまた、ガスケット通路12を備えており、それは、熱伝達エリア10の周囲に、熱伝達エリア10とエッジエリア11の間に延在している。ガスケット13が、ガスケット通路12に設けられ、熱伝達エリア10の周囲に延在し取り囲んでいる。
【0028】
熱交換器プレート1はまた、追加ガスケット通路12’を備えていてもよく、それは、エッジエリア11に延在している。追加ガスケット13’が、追加ガスケット通路12’に設けられている(
図4参照)。
図4に見られ得るように、空間14が、ガスケット13と追加ガスケット13’の間に形成されている。空間14は、環境に関して、またプレート隙間2,3に関して閉じられている。
【0029】
開示された実施形態では、四つのポート穴15が設けられ、熱交換器プレート1を貫いて延在している。ポート穴15は、エッジエリア11の内側および付近に配置されている。ポート穴15は、ポート穴流路7と整列されている。
【0030】
開示された実施形態では、プレート式熱交換器は、締付ボルト6とガスケット13’,13によって一緒に装着および保持されている。しかしながら、本発明は、他の種類のプレート式熱交換器にも適用可能であるに注意すべきである。熱交換器プレート1は、たとえば、レーザー溶接や電子ビーム溶接、接着、ろう付けなどの溶接によって互いに永久的に接続されてもよい。熱交換器プレートの代替装着の一例は、熱交換器プレートがペアごとに溶接されており、それによって、複数のペアの熱交換器プレートが、プレート間に設けられたガスケットと共に締付ボルトによって互いに押し付けられ得る、いわゆる半溶接プレート式熱交換器である。
【0031】
図5は、各熱交換器プレート1は、たとえばチップの形の電子回路21(
図5参照)を備えている通信モジュール20を備えている。電子回路21は、ケーシング22中に閉鎖または埋設されており、それは、外部ガスおよび液体によって悪影響が及ぼされることから電子回路21を保護する。
【0032】
通信モジュール20は、開示された実施形態では、エッジエリア11に設けられている。エッジエリア11では、通信モジュール20は、プレート式熱交換器のプレート隙間2,3に流れる媒体から適切に保護される。さらに、
図3に見られ得るように、通信モジュール20は、外側から容易にアクセス可能なこの位置にある。しかしながら、
図4に示された変形では、通信モジュール20は、空間14に設けられている。空間14では、通信モジュール20は、ガスケット13と追加ガスケット13’によって取り囲まれ、したがって環境からも分離されている。熱交換器プレート1は、開口または凹部の形の切り欠き23を備えている。切り欠き23は、エッジエリア11に、
図4に見られ得るように、たとえば空間14に設けられている。通信モジュール20は切り欠き23に設けられており、それは、通信モジュール20に有利な位置を提供する。切り欠き23は、熱交換器プレート1のエッジまで延在していてよいか、エッジの内側の設けられていてよい。
【0033】
各熱交換器プレート1はデバイス25を備えており、それは、信号を受信および生成するように構成されている。開示された実施形態では、デバイス25は、パラメーターを感知し、感知したパラメーターの値に依存する信号を生成するセンサー、たとえば温度センサー、圧力センサー、水分センサーを備えているかそれから成る。センサー、またはセンサーのセンサープローブは、電気伝導材料で、少なくともワイヤー、ストリップ、ホイルまたはネットの形に作られてよい。センサーまたはセンサープローブは、熱交換器プレート1に、パラメーターが感知されるエリアたとえば熱伝達エリア10に、取り付けられるか設けられてよい。センサーまたはセンサープローブは、熱交換器プレート1との電気接触からセンサーまたはセンサープローブを絶縁する絶縁層を備えていてもよい。
【0034】
デバイス25は、信号がデバイス25にまたはそれからから通信され得るように、通信モジュール20の電子回路21と通信し、開示された実施形態では接続されている。センサーの場合、信号が通信モジュール20に通信される。
【0035】
通信モジュール20はまた、プレートパッケージの別の熱交換器プレートの少なくとも一つの通信モジュール20を介してマスターユニット30との信号の通信を可能にする通信手段を備えている。マスターユニット30は、任意の適切な種類のプロセッサーを備えている。開示された実施形態では、マスターユニット30は、プレート式熱交換器に、たとえば
図1および2に示されるようなフレームプレート4に装着されている。
【0036】
熱交換器プレート1の通信モジュール20の通信手段とマスターユニット30は、適切な通信プロトコルにしたがって動作する通信バスを形成するか備えている。開示された実施形態では、通信バスはシリアルバスである。通信バスの通信は、マスターユニット30を介してまたはそれによって、開始、監視および制御される。
【0037】
第一の実施形態では、各通信モジュール20はまた、通信モジュール20の一次側20’と熱交換器プレート1の一次側に配置された一次接触子要素31と、通信モジュール20の反対の二次側20’と熱交換器プレート1の二次側に配置された二次接触子要素32を適切な数だけ備えている。
図5および6に開示された実施形態では、通信モジュール20は、三つの一次接触子要素31と三つの二次接触子要素32を備えている。熱交換器プレート1が互いに押し付けられるとき、
図5に見られ得るように、熱交換器プレート1の一つの一次接触子要素31は、隣の熱交換器プレート1の二次接触子要素32と電気的に接触する。第一の実施形態では、一次接触子要素31は、熱交換器プレート1が一緒に押し付けられたときに、対応する二次接触子要素32と適切な電気的接触を確実にするスプリング部材として構成されている。
【0038】
マスターユニット30は、対応する二次接触子要素32を備えており、それらは、フレームプレート4の内側に設けられているか、そこまで延在している。プレート式熱交換器が組み立てられたとき、これらの二次接触子要素32は、最も外側の通信モジュール20の一次接触子31との電気的接触が生み出される。
【0039】
開示された実施形態では、一つの通信モジュール20の一次接触子31と二次接触子32の第一のペアは、通信モジュール20への電力の供給のための電力線33のために設けられている。一次接触子31と二次接触子32の第二のペアは、転送されるさまざまな信号のための信号線34のために設けられている。一次接触子31と二次接触子32の第三のペアは、通信モジュール20をグラウンドに接続するためのグラウンド線35のために設けられている。
【0040】
通信モジュール20は、ただ一つの一次接触子要素31とただ一つの二次接触子要素32を備えていてもよく、グラウンドへの電気的接続は熱交換器プレート1を介して提供されてもよい。電力および信号線は、たとえば電力と信号に異なる電流レベルを使用して、単一の線に組み合わせられてもよい。通信モジュール30はまた、二つ、四つまたはそれよりも多くの一次接触子要素31と二次接触子要素32を備えていてもよい。
【0041】
通信モジュール20は、熱交換器プレートがプレートパッケージ中に互いにそばに配されたときに互いに取り付けられるか接合されるように構成されている。各通信モジュール20のケーシング22は、一次側20’から突出している周囲フランジ36と、二次側20の周囲凹部37を備えている。熱交換器プレート1が一緒に押し付けられたとき、一つの通信モジュール20の凹部37は、
図5に見られ得るように、この通信モジュール20の二次側20”が、隣の通信モジュール20の周囲フランジ36の内側にはめ合わせられることを可能にする。そのような手法では、閉じられた空間38が、一つの通信モジュール20の一次側20’と隣の通信モジュール20の二次側20”の間に作り出される。互いに電気的接触にある一次接触子要素31と二次接触子要素32は、閉じられた空間38中にこのように閉じ込められ、環境から保護されている。隣の通信モジュール20との間のはめ合いは、好ましくは、どんな液体も閉じられた空間38に浸透することを防ぐために緊密に構成される。有利には、閉じられた空間の適切な密閉を得るために、ガスケット39または他の適切なシール部材が、周囲凹部37と周囲フランジ36の間に設けられてもよい。さらなる代案によれば、通信モジュール20のケーシング22は、凹部37とフランジ36の間のシール機能を提供する弾性ポリマー材料などの柔軟な可撓性材料で作られてもよい。
【0042】
したがって、デバイス25のおのおのからの信号は、それぞれの通信モジュール20と通信バスを介してマスターユニット30に通信され得る。したがって、マスターユニット30は、すべての熱交換器プレート1のデバイス23から信号を受信し処理するように構成されている。マスターユニット30は、使用者への情報の表示のためのディスプレイ40を備えていてもよい(
図1参照)。マスターユニット30はまた、全体制御または監視システムなどの他のシステムとの通信のための手段を備えていてもよい。
【0043】
通信バスは、適切なシリアル通信プロトコルによって動作し、通信モジュール20を介したデバイス25とマスターユニット30の間の通信を可能にするように構成されている。通信モジュール20は、互いの後に連続的に配されており、その結果、信号は、マスターユニット30と関係のある通信モジュール20との間に設けられた通信モジュールを介して、マスターユニット30と関係のある通信モジュールおよびデバイス25との間で転送される。
【0044】
したがって、通信モジュール20は、通信バス中に連続的に配され、プレート式熱交換器中の通信モジュール20の位置に対応する通信バス中のそれぞれのアドレスを有している。言いかえれば、プレート式熱交換器中の通信モジュール20の順序が、それぞれの通信モジュール20のアドレスを決定する。
【0045】
各通信モジュール20は、通信バスが初期化され開始される前に開かれ、マスターユニット30からの信号によって通信モジュール20が初期化されるときに閉じられるように構成されたスイッチ部材41(
図6参照)を備えている。通信モジュール20、または通信モジュール20の電子回路21は、デージーチェーン回路に配されている。
【0046】
通信モジュール20の一つが初期化されたとき、この通信モジュール20のスイッチ部材41は、通信バスおよびマスターユニット30に接続されるように閉じられる。それからマスターユニット30は、隣の通信モジュール20が通信バスおよびマスターユニット30に接続されるように、通信モジュール20を介して隣の連続通信モジュール20に初期化信号を転送する。これは、初期化されていない通信モジュール20が初期化信号に応答しなくなるまで繰り返される。マスターユニット30はいま、通信モジュール20がどの順序で配置されているかを知っており、したがって、通信モジュール20は、プレートパッケージ中のその位置によってマスターユニット30によって識別され処理され得る。従って、通信バスと個々の通信モジュール20は初期化と開始のあいだに自動的に構成されるので、各通信モジュール20にための唯一の識別コードは必要でない。
【0047】
これは、すべての通信モジュール20が同一であってもよいことを意味する。さらに、初期化のあいだに通信バス中のアドレスが自動的に与えられるので、これは、通信モジュール20を備えたどの熱交換器プレート1もプレート式熱交換器中のどの位置に設けられてもよいという利点を有する。
【0048】
上述したように、マスターユニット30は通信バスを初期化し、通信モジュール20にアドレスを与える。ロジック信号操作と警報操作のほとんどは、マスターユニット30の中で、およびそれによってなされ得る。これは、通信モジュール20の、したがって熱交換器プレート1の複雑さとコストを低減する。それはまた、通信バス上に送信される情報量を低減する。たとえば、感知されたパラメーターの実際の値だけをデバイス25のセンサーが通信する一方、マスターユニット30によって警報限界と警報の識別が操作されてもよい。このように、警報限界を変更するのは容易である。各通信モジュール20の唯一のアドレスのおかげで、マスターユニット30が、たとえばディスプレイ40を介してオペレーターに、または全体制御または監視システムに、警報が発生したことだけでなく、どのプレートに関して警報が生成されたかを伝えることが可能である。
【0049】
別の実施形態によれば、デバイス25は、電圧を生成するように構成された電圧発生器を備えており、それは熱交換器プレート1に印加され得る。そのような電圧は、熱交換器プレート1上の、特に熱伝達エリア10中の汚れを回避または除去するために印加され得る。この実施形態では、通信バスは、マスターユニット30、またはマスターユニット30に接続された任意の適切な電源からの電圧を、それぞれの熱交換器プレート1を備えた個々の通信モジュール20に転送するように構成されている。
【0050】
さらなる実施形態では、熱交換器プレート1は、互いに接触しているように圧縮された二枚の隣のプレートによって形成された二重壁プレートである。そのような二重壁プレートでは、デバイス25は、たとえば上記の種類のセンサーの形で、熱交換器プレート1の隣のプレートの間に設けられてよい。
【0051】
本発明は、開示された実施形態に制限されるものではなく、続く請求の範囲の範囲内において変更および修正されてよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]プレート式熱交換器のための熱交換器プレートであり、
熱伝達エリア(10)と、
エッジエリア(11)を備え、それは、前記熱伝達エリア(10)の周囲および外部に延在しており、また、
デバイス(25)を備え、それは、信号を受信および生成するように構成されている、熱交換器プレートにおいて、
前記熱交換器プレートは、前記デバイス(25)に接続された電子回路(21)を備えている通信モジュール(20)を備えており、前記通信モジュール(20)はまた、プレートパッケージ中の別の熱交換器プレート(1)の少なくとも一つの通信モジュール(20)を介してマスターユニット(30)との前記信号の通信を可能にする通信手段を備えていることを特徴とする熱交換器プレート。
[2]前記通信モジュール(20)は、適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されるように構成されている、[1]に記載の熱交換器プレート。
[3]前記通信手段は、前記熱交換器プレート(1)の一次側に配置された少なくとも一つの一次接触子要素(31)と、前記熱交換器プレート(1)の反対の二次側に配置された少なくとも一つの二次接触子要素(32)を備えている、[1]および[2]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[4]前記デバイス(25)は、少なくとも一つのパラメーターを感知し、前記パラメーターに依存する信号を生成するように構成されたセンサーを備えている、[1]ないし[3]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[5]前記デバイス(25)は、前記熱交換器プレート(1)に印加される電圧を生成するように構成された電圧発生器を備えている、[1]ないし[4]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[6]前記通信モジュール(20)は、前記エッジエリア(11)中に設けられている、[1]ないし[5]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[7]先行請求項のいずれかひとつに記載の熱交換器プレートであり、ガスケット通路(12)を備え、それは、前記熱伝達エリア(10)の周囲に、前記熱伝達エリア(10)と前記エッジエリア(11)の間に延在し、ガスケット(13)を収容するように構成されており、また、追加ガスケット通路(12’)を備え、それは、前記エッジエリア(11)に延在し、そこには追加ガスケット(13’)が延在し、前記ガスケット通路(12)と前記追加ガスケット通路(12’)の間に空間(14)が形成され、その空間(14)中に前記通信モジュール(20)が設けられている、[1]ないし[6]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[8]先行請求項のいずれかひとつに記載の熱交換器プレートであり、前記エッジエリア(11)中に切り欠き(23)を備え、前記通信モジュール(20)は、前記切り欠き(11)中に設けられている、[1]ないし[7]のいずれかひとつに記載の熱交換器プレート。
[9][1]ないし[8]のいずれかひとつに記載の複数の熱交換器プレート(1)を備えているプレート式熱交換器であり、前記熱交換器プレート(1)は互いにそばに配されて、第一の媒体のためのいくつかの第一のプレート隙間(2)と、第二の媒体のためのいくつかの第二のプレート隙間(3)を定める、プレート式熱交換器。
[10]前記通信モジュール(20)と前記マスターユニット(30)は、適切な通信プロトコルによって動作する通信バスによって構成されている、[9]に記載のプレート式熱交換器。
[11]前記通信バスは、シリアルバスである、[10]に記載のプレート式熱交換器。
[12]前記通信モジュール(20)は、デージーチェーン回路に配されている、[10]および[11]のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。
[13]前記通信モジュール(20)は、前記通信バス中に連続的に配され、前記プレート式熱交換器中の通信モジュール(20)の位置に対応する前記通信バス中のそれぞれのアドレスを有している、[10]ないし[12]のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。
[14]各通信モジュール(20)は、開または閉位置にあるように構成されたスイッチ部材(41)を備えており、前記通信モジュール(20)は、前記スイッチ部材(41)が閉位置に切り替えられ、それによって、隣の連続通信モジュール(20)を前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続したときに初期化される、[13]に記載のプレート式熱交換器。
[15]前記通信モジュール(20)の前記スイッチ部材(41)は、閉位置において、前記通信モジュールを前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続し、それによって、前記マスターユニット(30)がこの通信モジュール(20)を介して隣の連続通信モジュール(20)に初期化信号を転送することを可能にし、この隣の通信モジュール(20)が前記通信バスと前記マスターユニット(30)に接続されるように設けられている、[14]に記載のプレート式熱交換器。
[16]前記マスターユニット(30)は、前記プレート式熱交換器(1)上に設けられている、[9]ないし[15]のいずれかひとつに記載のプレート式熱交換器。