【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みて、本発明は、[1]より安定した温度制御を可能にする付加機構、[2]RNA検出を可能にするPCR反応前の逆転写反応プロセスの導入を含めた前処理機構、[3]融解曲線分析機能、[4]液滴保持と光学計測に最適なチップ技術とPCR反応の光学的計測機能、および[5]定量的な赤外光照射吸収制御手法による温度勾配制御機構を備える液体還流型反応制御装置を提供する。
【0009】
上記[1]の「より安定した温度制御を可能にする付加機構」に関連して、本発明の反応制御装置は、サンプル液の温度を変化させるに当たり、所定の複数の温度について、各温度が維持された熱容量の大きな液体を熱交換の媒体に用いることに加えて、この熱容量の大きな複数の異なる温度の液体を一定温度に保つ機構(例えば、
図1、13、および21に示す熱源5、攪拌機構6、ポンプ7、切り替えバルブ8、バイパス流路9、補助温度制御機構10、温度センサー16、補助液体放熱機構17等を参照)、この熱容量の大きな複数の異なる温度の液体を連続で循環させながら高速で置換させる手段(例えば、
図1、13、および21に示すポンプ7、切り替えバルブ8、バイパス流路9、補助温度制御機構10を参照)、この熱容量の大きな液体とサンプル液との熱交換が迅速に行われる微小反応槽(例えば、
図2、5、8〜12、14、15、20に示す熱交換槽3および微小反応槽1を参照)、および微小反応槽中の反応液の蒸発を防ぐ手段(例えば、
図1、13、14、15、21に示す反応槽枠2、
図15に示す反応槽チップの構成、
図18に示すピラー1301、封入シール1302を参照)を用いることを特徴とする。より具体的には、熱交換に適した構造および材質で構成される微小反応槽1と、微小反応槽1の反応液の蒸発を防ぐための構造(例えば、
図1、13、14、15、21に示す反応槽枠2、
図15に示す反応槽チップの構成、
図18に示す封入シール1302、ピラー1301を参照)と、各反応に適した温度の液体を微小反応槽外部に循環させる熱交換槽(例えば、
図2、5、8〜12、14、15、20を参照)と、液体の温度を高精度で維持する機構(例えば、熱源5、攪拌機構6、温度センサー16、補助液体放熱機構17を参照)を備える複数の液体リザーバタンク4と、微小反応槽1の温度を迅速に変化させるために任意の液体リザーバタンク4から熱交換槽3へ液体を導くための切り替えバルブ系と、上記バルブ系の切り替えの際に異なる温度の液体の混合防止機構(例えば、
図2、5、8〜12に示す熱交換槽を参照)とから構成されている。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の液体還流型反応制御装置を提供する。
(1)サンプル液を容れるための1または複数のウェルを備えた反応槽と、
前記ウェルに配置したサンプルの液滴の蒸発を防ぐために上記反応槽を密閉して覆い、かつ結露を防ぐために保温部材を備える反応槽枠と、
上記反応槽に熱を伝導しうるように該反応槽に接して設けられ、所定の温度の液体をそれぞれ導入および排出するためのインレットおよびアウトレットを備えた熱交換槽と、
複数の液体リザーバタンクであって、液体をそれぞれ所定の温度に保つための温度制御可能な熱源と、該リザーバタンク内の温度が一定となるように液体を撹拌する液体攪拌機構と、該リザーバタンクの液体の温度を制御するためのフィードバック情報を得るための温度センサーとを備えた、複数の液体リザーバタンクと、
上記複数の液体リザーバタンク間の液面高さをほぼ同じに調整するための上記各液体リザーバタンクを互いに流体接続する細管と、
上記熱交換槽の上記インレットおよび上記アウトレットと上記液体リザーバタンクとの間を接続する管状流路と、
上記管状流路上に設置された、上記熱交換槽と上記液体リザーバタンクとの間で上記液体を毎秒10mL以上で循環させることができるポンプと、
上記管状流路上に設置された、上記循環する上記液体の流れを制御するための切り替えバルブであって、上記複数の液体リザーバタンクからの所定の温度の上記液体の上記熱交換槽への流入を所定の時間間隔で切り替えることによって、上記反応槽の温度を所望の温度に制御する、切り替えバルブと、
上記管状流路上の上記熱交換槽と上記液体リザーバタンクとの間に配置された補助温度制御機構であって、還流する上記液体を一時的に保持し得る所定の容積を有し、上記還流する液体の温度を上記液体リザーバタンク内と同じ温度に調整してから上記液体リザーバタンクに還流させることで上記液体リザーバタンクの温度変化を最小限に抑えるための補助温度制御機構と、
上記サンプル液中に蛍光色素を含有させた場合に、上記切り替えバルブによる上記反応槽の温度切り替えに連動して上記ウェル内の上記蛍光色素が発する蛍光を検出し、蛍光強度の時間変化を測定するための蛍光検出手段と、
上記蛍光強度から上記サンプル液の温度を見積もり、その結果に基づいて上記切り替えバルブの動作を制御することができる制御解析部と、
を備え、
上記サンプルの量が1ウェル当たり数十μL以下であり、循環させる上記液体の総容積が1液体リザーバタンク当たり数十mL以上である、液体還流型反応制御装置。
(2)PCR装置として使用する、上記(1)に記載の液体還流型反応制御装置。
(3)さらに、上記液体リザーバタンク内の液体の温度を下げるように制御するための冷却機構を備える、上記(1)に記載の液体還流型反応制御装置。
(4)上記蛍光検出手段が、上記反応槽の上記ウェルの各々に対応して設けられている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(5)上記反応槽枠が、該反応槽枠内部の温度が75℃以上に保持されるように上記保温部材により保温されている、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(6)上記液体リザーバタンクの数が、上記反応槽の設定温度の数と同一である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(7)上記液体リザーバタンクの数が、2温度PCR反応用の2、逆転写反応と2温度PCRあるいは3温度PCR反応用の3、または逆転写反応用と3温度PCR反応用の4である、上記(6)に記載の液体還流型反応制御装置。
(8)上記反応槽の底面および壁面が、厚さ1ミクロンから100ミクロンのアルミ、ニッケル、マグネシウム、チタン、プラチナ、金、銀、銅を含む金属、もしくはシリコンから形成されている、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(9)上記ウェルの底面の形状が、平底状、半球状、三角錐状、または球状である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(10)上記ウェルの各々に、反応に必要な試薬が乾燥した状態で予め内包されており、サンプル溶液との接触により溶出して反応を可能とする、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(11)上記反応槽枠が、該反応槽内の上記サンプルからの光学信号の測定を容易にする孔もしくは光学窓をさらに備え、該光学窓が光学的に透明な発熱体を備える、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(12)上記反応槽および上記反応槽枠が、上記熱交換槽に対して着脱可能に設置されている、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(13)上記反応槽および上記反応総枠の上記熱交換槽への着脱方式が、
(a)上記反応槽の外周に筒状の枠を、上記熱交換槽に筒状の反応槽受け口を設け、上記反応槽の上記枠の外表面と、上記熱交換槽の反応槽受け口の内表面とにねじ山を設けて、該ねじ山に沿った回転運動により上記反応槽を上記熱交換槽に着脱可能に装着する方式、
(b)上記反応槽の外周の上記筒状の枠および上記熱交換槽の上記筒状の反応槽受け口をそれぞれテーパー状にして、上記反応槽受け口に対して上記反応槽を着脱可能に圧着させる方式、
(c)上記反応槽がチップ状の形態を有し、該反応槽チップをスライドガラス状の反応槽枠内に固定し、上記熱交換槽の反応槽受け口にガイドレールを設け、該ガイドレールに沿って上記スライドガラス状の反応槽枠を着脱可能に装着する方式、および
(d)上記スライドガラス状の反応槽枠を、ヒンジを有するスライド受けに挿入し、該ヒンジ機構に基づいた回転動作により、上記スライドガラス状の上記反応槽枠を上記熱交換槽の上記反応槽受け口に対して着脱可能に装着する方式、
のうちのいずれかである、上記(12)に記載の液体還流型反応制御装置。
(14)さらに、上記液体が還流している状態でありながら、上記液体を上記液体還流型反応制御装置の外部に漏らすことなく上記反応槽を上記熱交換槽から着脱することを可能とするために、上記熱交換槽が上記反応槽および上記反応総枠の着脱時に上記熱交換槽内の液体を排出するための空気導入口と液体排出口とを備えている、上記(12)または(13)に記載の液体還流型反応制御装置。
(15)上記液体リザーバタンクの上記熱源が、熱対流を効果的に利用するために該液体リザーバタンクの底面に配置されており、該液体攪拌機構は該液体リザーバタンク内の液体を連続的もしくはデュティーサイクル比10%以上で攪拌することにより、該液体リザーバタンク内の該液体の温度分布を5℃以内に抑制できる、上記(1)〜(14)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(16)上記切り替えバルブにより、上記複数の液体リザーバタンクのうち、任意の液体リザーバタンクの液体を上記熱交換槽に導くことができ、上記熱交換槽中の上記液体を元の液体リザーバタンクに戻すことができる、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(17)上記切り替えバルブの制御により上記熱交換槽内の上記液体を置換する際、上記熱交換槽内部の上記液体はその温度に最も近い温度に保持されている液体リザーバタンクに導かれる様に上記切り替えバルブが制御される、上記(15)または(16)に記載の液体還流型反応制御装置。
(18)前記補助温度制御機構が、断熱材、ヒーター、および冷却機構を含み、上記熱交換槽から戻ってきた液体の温度を、還流先の上記液体リザーバタンク内の液体の温度と同じ温度にし、上記切り替えバルブと上記液体リザーバタンクとを結合する上記流路内部の上記液体の温度の変動を抑制する、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(19)さらにバイパス流路を備え、上記切り替えバルブと上記液体リザーバタンクとを結合する上記流路内部の上記液体が、上記バルブの切り替えによって上記熱交換槽に導かれることなく上記バイパス流路を通って上記液体リザーバタンクへ還流し、上記液体リザーバタンクからの液体と連続的に置換されることにより、上記流路内を還流する液体の温度の変動が抑制されている、上記(1)〜(18)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(20)上記切り替えバルブが、断面が円もしくは多角形の中空構造中をスライドするピストンから構成されており、該ピストンの位置によって上記反応槽に接する液体の温度を制御する、上記(1)〜(19)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(21)上記切り替えバルブにおいて、上記ピストンが、
(a)該ピストンに接続されたピストンロッドに対して機械的に外力を加えることによって、
(b)自体磁性体であるピストンもしくは磁性体が内部に装着されたピストンを使用して、該ピストンと上記切り替えバルブ外部に配置された電磁コイルとを含む磁場発生機構との相互作用によって、または
(c)ピストン両端に上記循環する液体の流れによる圧力差を生じさせることによって、
スライドする、上記(20)に記載の液体還流型反応制御装置。
(22)上記切り替えバルブにおいて、
円柱状、円盤状、円錐状の回転体であって、上記液体リザーバタンクから送られた液体の流路となる複数の溝が外表面に形成され、さらに上記溝のそれぞれに流体連絡可能に接続されたトンネル状の流路が形成された回転体が、上記熱交換槽に回転可能に挿入されており、
上記トンネル状の流路の端がそれぞれ上記切り替えバルブのインレットまたはアウトレットとして機能し、
上記回転体が回転することにより、上記インレットに導入される異なる温度の液体が上記溝部分を流れる際に反応槽外部に接触する、上記(1)〜(19)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(23)上記循環させる液体として、熱容量が大きく、かつ粘性が低い液体を用いる、上記(1)〜(22)に記載の液体還流型反応制御装置。
(24)上記循環させる液体として、沸点が水の沸点より高い液体を用いる、上記(1)〜(23)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(25)上記循環させる液体として、凝固点が水の凝固点より低い液体を用いる、上記(1)〜(24)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(26)上記循環させる液体を送液する手段としてシリンジポンプを用いる、上記(1)〜(25)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(27)上記(1)〜(26)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置を用いてPCRを行う方法であって、
インターカレーター型蛍光色素を用い、
上記蛍光検出手段により、PCRの伸長反応終了時で、かつ、熱変性を行う前のタイミングで、かつ特定の反応液の温度で蛍光検出を行うことを含む、方法。
(28)上記(1)〜(26)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置を用いてPCRを行う方法であって、
特定の蛍光波長を有するプローブ蛍光色素を用い、
上記蛍光検出手段により、PCRの伸長反応終了時以降で、次の伸長反応を開始する前のタイミングで、かつ特定の反応液の温度で蛍光検出を行うことを含む、方法。
【0011】
上記[2]の「RNA検出を可能にするPCR反応前の逆転写反応プロセスの導入を含めた前処理機構」、および[3]の「融解曲線分析機能」に関連して、本発明は、以下の液体還流型反応制御装置を提供する。
【0012】
(29)上記反応槽および/または上記熱交換槽がさらに温度センサーを備え、
上記液体リザーバタンクに付加した上記熱源および上記冷却機構を、上記液体リザーバタンクおよび上記反応槽および/または上記熱交換槽に配置した上記温度センサーによってフィードバック制御して、上記液体リザーバタンクの温度を所定の温度に制御する、上記(1)〜(26)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(30)上記反応槽および/または上記熱交換槽がさらに温度センサーを備え、
上記熱交換槽がさらに温度制御装置を備え、
上記切り替えバルブ機構によって上記熱交換槽への液体の流入を停止した場合に、上記反応槽および/または上記熱交換槽に配置した温度センサーおよび上記温度制御装置により上記熱交換槽内に静止した液体の温度を所定の温度に制御する、上記(1)〜(26)のいずれかに記載の液体還流型反応制御装置。
(31)上記反応槽チップを搬送するガイドレールの一部に、反応槽チップと接触して反応槽チップの温度を一定温度に保ち、反応槽チップ上の反応液の蒸発を防ぐために反応槽枠内の温度を所定の温度に保つための温度プレートおよび温度センサーを備えた、上記(13)記載の液体還流型反応制御装置。
(32)上記(29)または(30)に記載の液体還流型反応制御装置を用いて融解曲線解析を行う方法であって、
上記各温度センサーで上記各液体の温度をモニターしつつ、上記液体リザーバタンクと上記反応槽との間で液体を還流させて、上記反応槽に保持した蛍光色素を含むサンプル液の温度を所定の温度範囲内で所定の温度変化率で変化させる工程、
上記サンプル液の温度変化に伴う上記蛍光色素の強度変化を光学計測モジュールを用いて計測する工程、および
上記サンプル液の温度と上記蛍光色素の強度との相関関係を解析する工程
を含む、方法。
(33)上記(31)に記載の液体還流型反応制御装置を用いてRT(逆転写)−PCRを行う方法であって、
上記各温度センサーで上記各液体の温度をモニターしつつ、上記液体リザーバタンクと上記反応槽との間で液体を還流させながら、
上記ガイドレールの上記温度プレート上に上記反応槽を配置して、上記反応槽に保持したRNAおよびDNAポリメラーゼを含むサンプル液の温度を逆転写に適した第1の温度で所定の時間保持する工程、
上記工程後、上記ガイドレールに沿って上記反応槽をスライドして上記反応槽と上記還流する液体とが接触する状態にし、第2の温度での所定時間の熱変性プロセス、第3の温度での所定時間のアニーリングプロセス、および第4の温度での所定時間の伸長プロセスからなる増幅サイクルを所定回繰り返す工程、
を含む、方法。
【0013】
上記[4]の「液滴保持と光学計測に最適なチップ技術とPCR反応の光学的計測機能」に関連して、本発明は、以下の液体還流型反応制御装置および方法を提供する。
【0014】
(34)上記反応槽の上記各ウェルのサンプル配置場所に、測定中のサンプルの位置を保持するための支柱(ピラー)が配置されている、上記(1)〜(26)および(29)〜(30)のいずれかに記載の液体還流反応制御装置。
(35)上記反応槽の上記各ウェルのサンプル配置場所に支柱(ピラー)が配置されており、該ピラーに支えられるようにサンプル液蒸発防止用のシール剤が該ウェルに被せられており、該ピラーによって測定中の上記サンプル液が上記蒸発防止用のシール剤に付着することを防がれている、上記(1)〜(26)および(29)〜(30)のいずれかに記載の液体還流反応制御装置。
(36)上記反応槽の各ウェルのサンプル配置場所に、サンプルの測定蛍光波長とは異なる蛍光試料を混ぜた(または結合させた)支柱(ピラー)が配置されており、サンプルの蛍光強度の参考蛍光強度(リファレンス)として利用することができる、上記(1)〜(26)および(29)〜(30)のいずれかに記載の液体還流反応制御装置。
(37)上記反応槽の各ウェルのサンプル配置場所に、サンプルの測定蛍光波長とは異なる蛍光試料を混ぜた(または結合させた)支柱(ピラー)が配置されており、増幅させる試料のDNAがハイブリダイゼーションできるプローブあるいはプライマーを上記ピラー表面に結合させることで、上記ピラー表面近傍で反応中の蛍光を発するようにし、上記ピラーを蛍光増強の誘導管として使用することができる、上記(1)〜(26)および(29)〜(30)のいずれかに記載の液体還流反応制御装置。
(38)上記反応槽が、複数の光学的に透過性の平板状材料を貼り合わせたチップ状反応槽であって、少なくとも1つの上記平板状材料が微細加工されてサンプル液を毛細管現象によって導入し封入できる反応液の微小流路とリザーバが形成されているチップ状反応槽である、上記(1)〜(26)および(29)〜(30)のいずれかに記載の液体還流反応制御装置。
【0015】
(39)サンプル液を保持するための1または複数のウェルを備えたサンプル保持部と、上記サンプル液の水に吸収を有する赤外レーザ光を発するレーザ装置と、該レーザ装置からのレーザ光の強度を連続的に変化させることが可能なグレイスケールNDフィルター円盤と、該円盤の回転速度を制御する回転制御機構と、上記レーザ光を上記グレイスケールNDフィルター円盤を経由して上記ウェルの上記サンプル液に導くための光学系と、上記ウェルの温度を制御するための温度制御機構と、上記ウェル内の上記サンプル液の光学イメージを計測する光学カメラを含む光学測定装置とを備える、液体反応制御装置。
(40)サンプル液を容れるための1または複数のウェルを備えた反応槽と、
上記反応槽に熱を伝導しうるように該反応槽に接して設けられ、所定の温度の液体をそれぞれ導入および排出するためのインレットおよびアウトレットを備えた熱交換槽と、
液体を所定の温度に保つための温度制御可能な熱源および温度センサーを備えた液体リザーバタンクと、
上記熱交換槽の上記インレットおよび上記アウトレットと上記液体リザーバタンクとの間を接続する管状流路と、
上記管状流路上に設置された、上記熱交換槽と上記液体リザーバタンクとの間で上記液体を循環させるためのポンプと、
上記サンプル液の水に吸収を有する赤外レーザ光を発するレーザ装置と、
上記レーザ装置からのレーザ光の強度を連続的に変化させることが可能なグレイスケールNDフィルター円盤と、
上記円盤の回転速度を制御する回転制御機構と、
上記レーザ光を上記グレイスケールNDフィルター円盤を経由して上記ウェルの上記サンプル液に導くための光学系と、
上記ウェル内の上記サンプル液の光学イメージを計測する光学カメラを含む光学測定装置とを備える、液体還流型反応制御装置。
(41)上記(1)〜(26)、(29)〜(31)、および(34)〜(40)のいずれかに記載の反応制御装置を用いてPCRを行う方法。
(42)上記(41)に記載の方法であって、
上記反応槽の複数のウェル上を光学検出器で移動操作することで該光学検出器数以上のサンプル数を測定する、方法。