特許第5912043号(P5912043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912043
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】鋭利物容器
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20160414BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20160414BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61G12/00 W
   A61M5/00
   A61M5/158
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-531162(P2011-531162)
(86)(22)【出願日】2009年10月8日
(65)【公表番号】特表2012-505043(P2012-505043A)
(43)【公表日】2012年3月1日
(86)【国際出願番号】US2009059935
(87)【国際公開番号】WO2010042680
(87)【国際公開日】20100415
【審査請求日】2012年10月5日
【審判番号】不服2015-1349(P2015-1349/J1)
【審判請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】12/247,684
(32)【優先日】2008年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506405828
【氏名又は名称】アルティミッド インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ULTIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、トマス イー.
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、ジェームズ アール.
(72)【発明者】
【氏名】サウロ、トマス ピー.
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 土田 嘉一
【審判官】 平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/119045(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3016138(JP,U)
【文献】 米国特許第5245117(US,A)
【文献】 国際公開第2005/120610(WO,A2)
【文献】 特表2008−501484(JP,A)
【文献】 特開平6−125945(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0029014(US,A1)
【文献】 特開2005−47615(JP,A)
【文献】 特表2005−515048(JP,A)
【文献】 特表2008−539871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G12/00
A61M5/00
A61M5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用鋭利物や実習用鋭利物等の鋭利物(50,51)を安全に収容するための多機能容器(10)であって、
第1の区画(22)および第2の区画(24)、ならびに同第1の区画(22)および第2の区画(24)の間に位置される液体不浸透性を備えた隔壁(20)を備え、同液体不浸透性を備えた隔壁(20)は容器(10)の周囲に沿って容器(10)に取り付けられ、
該第1の区画(22)は、最初の未使用の鋭利物(50)を収容する寸法に形成され、該鋭利物(50)は、ペン型針、皮下注射針および付属の皮下注射針を備えた注射器から選択され、該第1の区画(22)は、1つ以上の鋭利物(50)を離脱させるべく開放される第1の開口(14)をさらに含み、
該第2の区画(24)は、二回目にて同量の使用済みの鋭利物(51)を収容する寸法に形成され、該鋭利物(51)は、ペン型針、皮下注射針および付属の皮下注射針を備えた注射器から選択され、該第2の区画(24)は、多機能容器(10)の外部から第2の区画(24)の内部への一方向のみに使用済みの鋭利物(51)を搬送する一方向の機構を含む第2の開口(12)を備え、
前記多機能容器(10)は、少なくとも第1の配向および第2の配向を有し、該第1の配向および第2の配向において第1の開口(14)は該鋭利物(50)を取り出し可能にし、第2の開口(12)は該鋭利物(51)を受容可能であり、該第1の配向および該第2の配向において第1の開口(14)は第2の開口(12)より低く位置され、
前記液体不浸透性を備えた隔壁(20)は、該第1の配向および該第2の配向において、第2の開口(12)近傍にてより高く、第1の開口(14)近傍にてより低いことを特徴とする鋭利物(50,51)を安全に収容するための多機能容器(10)。
【請求項2】
前記液体不浸透性を備えた隔壁(20)は剛性を備えることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項3】
前記液体不浸透性を備えた隔壁(20)は可撓性を備えることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項4】
前記液体不浸透性を備えた隔壁(20)は、第1の区画(22)が第2の区画(24)より大きな容量を有する第1の位置、および第2の区画(24)が第1の区画(22)より大きな容量を有する第2の位置を切換配置可能であり、さらに可撓性および液体不浸透性を備えた隔壁(20)は、第1の位置から第2の位置に移動し、第1の区画(22)の容量および第2の区画(24)の容量を合わせた容量は、未使用の鋭利物(50)の最初の容量を常に収容可能であることを特徴とする請求項3に記載の多機能容器(10)。
【請求項5】
液体不浸透性を備えた隔壁(20)の一部は、前記第1の区画(22)から第2の区画(24)への鋭利物の搬送に応じて第1の位置から第2の位置へ移動することを特徴とする請求項4に記載の多機能容器(10)。
【請求項6】
前記第1の区画(22)の第1の開口(14)により、第1の区画(22)から1つの未使用の鋭利物(50)を離脱させることができることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項7】
前記第1の区画(22)の第1の開口(14)により、第1の区画(22)から複数の未使用の鋭利物(50)を離脱させることができることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項8】
前記第1の区画(22)の第1の開口(14)により、第1の区画(22)から複数の未使用の鋭利物(50)を離脱させることができ、該複数の未使用の鋭利物(50)は一体的にパッケージされていることを特徴とする請求項7に記載の多機能容器(10)。
【請求項9】
前記第2の開口(12)は、前記少なくとも第1の配向および第2の配向のうち少なくとも1つにて多機能容器(10)の上側表面に少なくとも部分的に位置されることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項10】
前記第2の開口(12)は、前記少なくとも第1の配向および第2の配向のうち少なくとも1つにて、多機能容器(10)の外側面に少なくとも部分的に位置されることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項11】
前記第2の開口(12)の一方向の機構は、多機能容器(10)の外部から第2の区画(24)の内部に、ペン型針、皮下注射針および付属の皮下注射針を備えた注射器のうち1つ以上を搬送可能であることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項12】
前記第2の開口(12)の一方向の機構は、対応する注射器および注入ペンのうちの1つから皮下注射針を容易に離脱させ受容するように該注射器および注入ペンのうちの1つに適合する外形を有し、さらに離脱された皮下注射針は第2の区画(24)に直接搬送されることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項13】
前記第2の開口(12)の一方向の機構はつまみを備えるとともに同つまみを回動することにより前記第2の開口(12)を開閉可能な回動機構であることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項14】
前記第2の開口(12)の一方向の機構はホッパを備えるとともに同ホッパを開閉することにより前記第2の開口(12)を開閉可能な枢動機構であることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)
【請求項15】
前記第2の開口(12)の一方向の機構は、鋭利物(51)が多機能容器(10)の外部から第2の区画(24)の内部に搬送されると該鋭利物(51)を屈曲させる装置を含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項16】
使用済みの鋭利物(51)を前記多機能容器(10)の外部から第2の区画(24)の内部への一方向のみに搬送する一方向の機構は、保護シースを備えた鋭利物(51)および保護シースを有さない鋭利物(51)の両者を受容することを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項17】
前記第2の区画(24)は、含まれる鋭利物(51)1つ当たり少なくとも0.002グラムの液体吸収能力を有する液体吸収材料をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項18】
前記第2の区画(24)は、含まれる鋭利物(51)1つ当たり少なくとも0.005グラムの液体吸収能力を有する液体吸収材料をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【請求項19】
前記第2の区画(24)は、含まれる鋭利物(51)1つ当たり少なくとも0.01グラムの液体吸収能力を有する液体吸収材料をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の多機能容器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋭利物容器に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済みの注射器の処分は世界的な医療の問題であり、解決の要求が高く、これは公衆に対する絶え間なく続く衛生上の脅威である。AIDS、肝炎のような他の重篤な感染症が特に重要である。針は、特にアレルギ、不妊、関節炎、片頭痛、HIV、成長ホルモンのような様々な疾患を治療することに使用された場合に汚染される。
【0003】
医療の法律により、使用済みの注射器を安全に処分することが義務づけられている。多くのアプローチ、処置、および装置が、使用済みの注射器の保管およびその後の処分のために提案されている。
【0004】
患者が針を使用したり、その患者に針が使用された後に、注射針は患者の血液との接触により汚染される。使用者がHIV陽性の、あるいは肝炎や他の血液由来病原体のキャリアである場合に、汚染された針が偶然刺さると、その病気を蔓延させることがある。
【0005】
病院および診療所においては、医療従事者は、針および他の侵襲的な器具の処分専用の特別の容器を使用する。この容器は通常「鋭利物」容器と呼ばれる。使用済みの注射器または針を収容する鋭利物容器は、その地域の医療法に従って、産業廃棄物収集者によって処分され、通常焼却され、分解され、あるいは埋め立てられる。
【0006】
この課題には付加的な次元の課題がある。即ち、個人の家庭における注射器の使用である。例えば、家庭用の注射器の使用者は、通常血糖値を調整すべくインシュリンを頻繁に投与する必要のある糖尿病患者である。個人の家庭における使用済みの注射器注射器の処分や安全な保管の方法は、病院および診療所と比較してはるかに確立していない。家庭における処理法は家庭の周囲にて入手可能な廃棄された容器あるいは空の容器を使用するなど様々なものであり、このような処理は疾病を偶然に蔓延させる危険性が高い。インシュリン使用者のための標準的な処分の慣行は現在ない。
【0007】
医療用注射器に代えて、あるいは付加的に医療用搬送ペンが、例えば正確に測定され、調整可能な、予め選択された量のインシュリンや他の治療薬を一日に数回にわたって通常注入する糖尿病患者によって広く使用されている。医療用搬送ペンは、治療薬のタンク、およびペン型針アセンブリに通常糸手段によって固定される先端部を含む。周知(例えば、特許文献1の図1を参照)のように、ペン型針アセンブリには外側の、通常円筒状のシールド内に、通常円筒状のハウジングを有し、このハウジング内に、軸方向に延びる中空の針が搭載される。(i)針の基端部は、搬送ペンがペン型針の円筒状ハウジングの先端部内にねじ込まれた場合に、医療用搬送ペンの先端部のシールを穿刺し、そこに治療薬を通過させて流し、(ii)針の先端部は、治療薬を要するヒトの組織内に挿入するためのものである。ペン型針アセンブリは、通常外側シールドの(大径の)基端部を覆う取り払い可能にして、且つ肉薄な無菌のシール、および中空の針の先端部を覆う取り払い可能なチューブ状のシールドを含む。ペン型針アセンブリは工場にて殺菌される。ペン型針アセンブリの使用者は、外側シールドからシールを取り払い、ペン型針ハウジングの基端部にペンをねじ込んで、外側シールドおよびチューブ状シールドを取り払い、要求される投与量の治療薬のための医療用搬送ペンをセットし、目標の組織内にペン型針の先端部を挿入する。続いて、医療用搬送ペンが作動され、組織内に中空の針を介して要求される投与量の治療薬が搬送される。
【0008】
多くの糖尿病患者が、定期的に予め選択された量の液体の形態のインシュリン(あるいはこれに代わる治療薬)を1日当たり数回にわたって注入することにより治療を行う。正確な量の治療薬は、専門家に予め治療指示を受けることにより、あるいは使用者の血糖値を迅速に示す便利な小型の携帯用血液分析キットを使用することにより決定することができる。通常の日常的な注入のいくつかは、糖尿病患者の住居から離れた場所においても行われるため、携帯用の便利な医療用搬送ペンの使用が拡大した。上述した試験キットおよび医療用搬送ペンは、比較的小寸であり、女性用財布やその均等物内に容易に収容可能である。食事のためのレストランにおける糖尿病患者のための典型的なシナリオは、彼または彼女の血糖値の指標を得るために最初に血糖量試験キットを使用することである。この情報により、要求される量の治療薬を搬送すべく医療用搬送ペンを容易にプログラムしたり調整することができる。付属のペン型針(外側円筒状シールドおよびチューブ状シールドを備えないペン型針アセンブリ)を備えたペンは、組織への注入、および治療薬の投与に使用される。これらの工程は、プライバシーの損失を最小限に抑え、要する時間も比較的短くて済む。一日に複数回にわたる治療薬注入を要する人は、医療注射器およびペン型針を備えた医療用搬送ペンの両者を使用する。
【0009】
さらに、医療用搬送ペンは医師、看護士、およびその他の専門家によって広く処置に使用される。多くの個人は、注入が注射器ではなくペン型針にて行われることを要求するであろう。上述した専門家は、針穿刺により生じ得る危険、および専門の世界にて起こり得る望まれない「穿刺」により生じ得る危険に特に留意する。
【0010】
ペン型針アセンブリの使用者、即ち個人および専門家の両者は、ペン型針の最初の使用後に、医療用搬送ペンから使用済みのペン型針を注意深く取り外し、このペン型針を安全鋭利物容器内に安全に処分する必要がある。承認された処分は、チューブ状のシールド(ときに省略される)の中へ針の先端部を挿入し、このシールドされた針およびペン型針の円筒状ハウジングを外側円筒状シールドに挿入し、ペン型針の円筒状ハウジングの基端部から医療用搬送ペンを逆ねじ回しにより外し、安全鋭利物容器内に使用済みペン型針アセンブリを注意深く位置させることにある。さらに、「完全な」世界においては、医療注射器の使用者は、安全に安全鋭利物容器内に使用済みの注射器を処分するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5545145号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
推奨される安全な処分の処理が必ずしも行われるわけではない。使用済みの、潜在的に危険な注射器、ペン型針や、ペン型針アセンブリは、安全でない場所に日常的に置き去りにされ、第三者が無意識に「突き刺さる」という恐ろしい結果を生じ得る。この安全でない場所の例として、財布、航空機座席の背もたれのポケット、個人または公のくずかご、ゴミ箱、大型ごみ収納器および空のミルクや他の安全でない容器が挙げられる。
【0013】
さらに、上述したペン型針アセンブリやペン型針の処理においては、使用者や関係する人は、ペンのネジが逆に回されて外される間に、ペン型針を取り扱うか、保持する必要があり、これにより、潜在的に危険な「穿刺」の可能性を生じる。さらに、使用者や関係する人は、ペン型針アセンブリを形成すべく外側シールド内にペン型針を挿入しようとする場合に、付加的な取り扱いが必要となり、「穿刺」の可能性を再び生じる。
【0014】
同様の処分の考察は、対応する注射針カバーを有する従来の注射針にも当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願は、複数の医療用または実習用の鋭利物を安全に収容するために十分な空間を備えた容器に関する。多機能容器は、毎日複数回の投与が要求される糖尿病患者のような個人に特に好適である。この投与は通常使用者の住居にて行われる。未使用の鋭利物の好適な収容および分配と、使用済みの鋭利物の安全な収容とを組み合わせた、鋭利物を安全に収容する多機能容器が好適に設けられる。家庭環境において生じ得る様々な使用条件において、多機能容器は利用可能な収容先に応じて1つ以上の配向にて機能することが望ましい。
【0016】
多機能容器には、最初の所定量の未使用の鋭利物を含むことのできる寸法に形成された第1の区画が設けられる。鋭利物は、ペン型針、皮下注射針および付属の皮下注射針を備えた注射器から選択される。多機能容器には、2回目の同様の量の使用済みの鋭利物を含むことができる寸法に形成された第2の区画が設けられる。鋭利物は、ペン型針、皮下注射針および付属の皮下注射針を備えた注射器から選択される。多機能容器には、第1の区画および第2の区画の間にて容器の周囲に固定される液体不浸透性を備えた隔壁が設けられ、この液体不浸透性を備えた隔壁の全周囲に沿って区画間の流体の偶発的な搬送が防止される。第1の区画は、1つ以上の鋭利物を離脱させるべく解放されるドア、引き出しや、その他の機構を備えた第1の開口を含む。第2の区画には使用済みの鋭利物を多機能容器の外部から第2の区画の内部への一方向のみに搬送する一方向の機構を備えた第2の開口が設けられる。多機能容器は、少なくとも第1の配向および第2の配向を有し、第1の配向および第2の配向において第1の開口は鋭利物を取り出し可能にし、第2の開口は鋭利物を受容可能であり、第1の配向および第2の配向のそれぞれにおいて第1の開口は第2の開口より低く位置され、液体不浸透性を備えた隔壁は、第1の配向および第2の配向において、第2の開口近傍にてより高く、第1の開口近傍にてより低い。
【0017】
家庭環境において生じ得る様々な使用条件において、多機能容器は、利用可能な収容先に応じて1つ以上の配向にて機能することが望ましい。即ち、第1の位置および第2の位置にて鋭利物の分配および受容の双方が可能である。例えば、容器は、台上にて装置の面積が最小となる高い配向、およびこれに代えて容器がその側面に位置され低く頭上にて棚に適合する使用の配向を有する。分配する機能および処分する機能は、各配向において利用可能であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】多機能鋭利物容器を示す斜視図。
図1B】多機能鋭利物容器を示す斜視図。
図2A】多機能鋭利物容器を示す斜視図。
図2B】多機能鋭利物容器を示す斜視図。
図3図1A、1Bおよび図2A、2Bのいずれかの多機能鋭利物容器の好適な入力開口を示す詳細図。
図4図1A、1Bおよび図2A、2Bのいずれかの多機能鋭利物容器の好適な入力開口を示す詳細図。
図5図1A、1Bおよび図2A、2Bのいずれかの多機能鋭利物容器の好適な入力開口を示す詳細図。
図6図1A、1Bおよび図2A、2Bのいずれかの多機能鋭利物容器の好適な出力開口を示す詳細図。
図7図1A、1Bおよび図2A、2Bのいずれかの多機能鋭利物容器の好適な出力開口を示す詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明には、様々な変更例および別例が適用可能であり、その詳細は図面に例示され、本明細書に詳細に開示される。しかしながら、本発明は開示される所定の実施例に発明を限定することを意図するものではない。逆に、本発明は、発明の趣旨および範囲内にある変更例、均等物、および別例をすべて包含する。
【0020】
以下図面を参照して説明する。図面にわたって類似の参照符号は、類似の要素を示す。図面は必ずしも正確な寸法を示すものではなく、また特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0021】
ここに開示される数字は全て用語「約」によって修飾される。始値および終値による数値範囲の記載は、その範囲(例えば、1乃至5であれば、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)内に含まれるすべての数を含む。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明示しない限り、複数のものを含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、用語「あるいは」は、特に明示しない限り通常「および/または」も含むものとして使用される。
【0023】
ここで開示される多機能容器は、様々な任意の未使用の鋭利物を容易に分配し、且つ使用後にこれらを安全に処分できるように構成されるが、好適に所定のタイプの鋭利物、即ちいわゆるペン型針に関する所定の態様における容器を開示する。特に、皮下注射針、一体的な皮下注射針を有する単体の注射器等を含む他の鋭利物を備えた使用に容器を適応させるべく、当業者は本発明を変形することができるものといえる。さらに、容器は、要求に応じて1つ以上のタイプの鋭利物を分配および受容のうち少なくともいずれか一方を行うことができるものといえる。
【0024】
図面において、図1Aは、上下方向に位置されるとき最大面積となる第1の機能の配向における多機能の鋭利物収容容器10を示す。これにより、設置面積を縮小させることができる。収容容器10は使用に先立って多くの未使用の鋭利物50を格納する第1の区画22を含む。第1の区画22は、図1Aにおいて概略を、図6および7において詳細を示す第1の開口14と連通し、第1の開口14は、1つ以上の鋭利物50を離脱させるべく開放される。未使用の鋭利物は、離脱させるべく個別にパッケージされ、あるいはいくつかの鋭利物は、例えば、一度に一日の供給分を離脱させることを要求する使用者の便宜に応じて一体的にパッケージにされる。使用後に、複数の使用済みの鋭利物51を安全に収容すべく第2の区画24に戻されてもよい。図1Aにおいて概要を示し、図3乃至5に任意に詳細を示すように、1つの使用済み鋭利物51は、第2の開口12を通過して区画24内に案内される。多くの実施例において、開口12は、第2の区画24からの使用済みの鋭利物51の離脱を防止すべく、一方向のコンポーネントを含む。
【0025】
図3乃至5、ならびに図6および7は、好適な開口14および12をそれぞれ示すが、これらに限定されるものではないものといえる。当業者は、多機能容器から分配され、かつ容器内に処分される所定の鋭利物に好適な開口径、配置および特徴を選択することができる。鋭利物50および51はペン型針アセンブリに包囲されたペン型針として示されるが、他のタイプの鋭利物が分配され容器10内に位置されてもよいものといえる。また、任意の個別の鋭利物が、使用前後のうち少なくともいずれか一方において、保護カバーや容器を含んでもよいものといえる。多機能の収容容器10は、第2の区画24から第1の区画22を分離する隔壁20を含む。この隔壁は液体不浸透性を備え、且つシールされるか、あるいはその周囲にて区画22および24の内側壁部に固定され、これにより使用済みの鋭利物50を汚染する区画間における液体の偶発的な移動を防止する。
【0026】
図1Bは、水平方向において最大面積となる図1Aの多機能容器10のための第2の機能の配向を示す。上下方向に延びる配向および水平方向の配向の両者において、開口12および14は、アクセス可能な状態を保持し、各処分機能および分配機能を実施することができる。多機能容器の第1の配向および第2の配向とは、上下方向に延びる軸を中心とした回転によってのみならず、容器の面が基部を形成することによっても識別される配向を示すものといえる。いくつかの実施例において、開口14の方へ分配されるように鋭利物を配向する表面30が好適に付加される。表面30が、個別の要素として、あるいは容器10の好適な壁部の配置により、設けられてもよい。表面30には、容器が水平位置に配置されるときに容器が全体として傾斜するように脚部やその他の構造体を付加することにより、所望の傾斜形状が任意に設けられてもよい。
【0027】
図2Aおよび2Bに示す実施例は、固定され周囲がシールされた液体不浸透性を備えた隔壁が可撓性を備える点、および鋭利物が第1の区画22から第2の区画24へ搬送されるときに、隔壁が位置20Aと20Bの間を円滑に撓むことができるために隔壁に十分な余分の材料が設けられる点を除いて、図1Aおよび1Bに示す実施例に類似する。液体不浸透性を備えた隔壁は任意によりいくらか弾性を備え、圧力下にて撓んでもよい。可撓性を備えた隔壁20により、容器10がもし剛性を備えた隔壁20によって分離された区画22および24の両者が容器の耐用年数の全体にわたって鋭利物50および51のそれぞれの最大数量を保持できる寸法に形成された場合に、より小さくすることができる。上述したように、図3乃至5ならびに6および7は、ペン型針およびペン型針アセンブリと組み合わせて使用可能な出力開口14および入力開口12を示すが、これらに限定されるものではない。当業者は、所定のタイプの鋭利物に同様に、あるいはさらに好適に対応する開口に関連する他の構造体が存在し、これを選択するものといえる。
【0028】
図3は、容器10の区画24内にペン型針またはペン型針アセンブリを搬送すべく回動機構を使用する入力開口12を示す。搬送ペンに取り付けられた状態を保持したまま、使用済みのペン型針が凹部16の開口部に挿入されてもよい。通常、開口部は、ペン型針やペン型針アセンブリに適合する特徴を備え、これにより、開口部が設けられる場合に搬送ペンを片手の操作にて分離および離脱させることができる。搬送ペンの離脱、あるいは分離されたペン型針アセンブリの凹部16内への直接的な挿入の後に、図示のように、ペン型針、任意の関連するカバーや防護体を区画24の中へ搬送すべく、つまみが回動される。入力開口機構は、容器からの鋭利物51の離脱を防止すべく搬送および防護を補助する排出装置等の付加的な要素を含んでもよい。
【0029】
図4は、容器10の区画24内へ使用済みのペン型針やペン型針アセンブリを搬送すべく枢動ホッパ18を使用する別例による入力開口12を示す。ホッパはペン型針を受容すべく開き、区画24内へペン型針を排出すべく閉じる。図5は、容器10の区画24内へペン型針やペン型針アセンブリを搬送するために可撓性を備えた隔膜17を使用する別例による入力開口12を示す。これらの、およびその他の入力開口構造体は、多機能容器の第1の配向および多機能容器の第2の配向のうちいずれかにて機能する必要がある。これに代えて、第1および第2の開口12は、第1配向および多機能の容器の第2の配向の各々で少なくとも1つの開口12が機能するようなものを供給されてもよい。
【0030】
図6は、1本以上のペン型針やペン型針アセンブリを容器10の区画22から離脱させるドア15を使用する出力開口14を示す。図示のように、隅部ドア15により、図1Aおよび1B、あるいは図2Aおよび2Bの上下方向に延びる配向および水平方向に延びる配向の両者における区画22の低い部分へのアクセスが得られる。隅部ドア15の操作は、図1Bに示す傾斜面30により改良され、重力の影響下にてドアの近傍に未使用のペン型針アセンブリを搬送する。区画22から未使用のペン型針アセンブリを容易に離脱させることに付加的に、ドア15により、特にペン型針が例えば2、4、あるいはそれ以上のパッケージとして、群にパッケージされる場合に、1本以上の未使用のペン型針が一度に離脱可能である。これに代えて、ドアにより、容器から所望の数のペン型針アセンブリが使用者によって離脱可能なように可撓性を備えたテープに接続されるか、あるいは容器内に含まれる一連のペン型針アセンブリへのアクセスが得られてもよい。
【0031】
図7は、1本以上のペン型針、あるいはペン型針アセンブリを容器10の区画22から離脱可能とする引き出し13を使用する出力開口14を示す。ドア15の例と同様に、引き出し13により、図1Aおよび1B、あるいは図2Aおよび2Bの上下方向に延びる配向および水平方向に延びる配向の両者における区画22のより低い部分へのアクセスが得られる。引き出し13の操作は、図1Bに示す傾斜面30により改良され、ドアの近傍に未使用のペン型針アセンブリを搬送する。引き出し13は、低い側面を有するか、側面が取り払われ、これにより、引き出し13が閉じられるときに、さらに確実に残る未使用のペン型針アセンブリの少なくとも1つを引き出し内に位置させる。様々な内側バッフルが、作用される重力あるいは他の圧力の影響下にて引き出し内に未使用のペン型針アセンブリを配向すべく案内されてもよい。
【0032】
入力開口構造体の例と同様に、これらの、およびその他の出口開口構造体は、多機能容器の第1の配向および多機能容器の第2の配向のうちいずれかにて機能する必要がある。これに代えて、第1および第2の開口14は、少なくとも1つの開口14が多機能容器の第1の配向および第2の配向の各々にて機能するように設けられてもよい。さらに、入力開口構造体12の例と同様に、他の形態の出力開口構造体、即ち出力開口構造体の組み合わせが使用され、所定のタイプの鋭利物および容器構造体と組み合わせて使用される所定の構造体の選択は当業者において周知であるものといえる。
【0033】
液体不浸透性を備えた隔壁により、容器内において第1の区画は第2の区画から分離される。液体浸透性を備えた隔壁は剛性を備えるか可撓性を備える。周囲は区画の壁部に固定されシールされる。あるいは、第1の区画と第2の区画との間における液体の移動を防止するその他の構造体が容器内に設けられてもよい。いくつかの実施例において、容器は、未使用のペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバーおよびこれらの組み合わせのための収容空間から内部収容空間を分離する隔壁を含み、この隔壁は、剛性を備えるよりむしろ第1の位置から第2の位置へ屈曲または変形可能である。本実施例において、未使用のペン型針や注射針の容量に対する使用済みのペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバーおよびこれらの組み合わせの容量の比率に応じて、内部収容空間と未使用のペン型針や注射針収容空間との間の容積比は調節可能である。容器内の容積比の変化は連続的であっても不連続であってもよい。この変化は自動的に生じてもよいし、あるいは手作業により調整されてもよい。
【0034】
液体不浸透性を備えた隔壁は隔壁の周囲全体に沿って容器に固定されるが、隔壁が可撓性を備えるときに、隔壁は第1の区画が第2の区画より大きな容量を有する第1の位置、および第2の区画が第1の区画より大きな容量を有する第2の位置を切換配置可能である。本実施例において、可撓性を備え、且つ液体不浸透性を備えた隔壁は、第1の区画から第2の区画へ移動し、また鋭利物の第1の位置から第2の位置への移動に応じて移動可能である。この後者の配置により、使用年数にわたって容器内の未使用の空間を最小限にすることによって、容器の配置および使用時に空間をより効率よく利用する多機能容器が得られる。未使用の鋭利物が全て第1の区画内に位置される場合に、未使用の空間は第2の区画内に比較的ほとんど存在しない。反対に、未使用の鋭利物の大部分あるいは全てが第1の区画から離脱され、第2の区画へ搬送された場合に、未使用の空間は比較的ほとんど第1の区画に残らない。
【0035】
別例において、容器は、使用済みおよび未使用のペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバーおよびこれらの組み合わせによって占有される利用可能な内部収容空間の断片を表示する手段を備える。表示手段は、任意の好適な方法により得られる。例えば、半透明の筐体により、内部収容空間内の使用済みの鋭利物を視覚的に反映する水準が、十分な程度視認可能となる。他の選択肢はカウンタおよび移動するストリップの指標を含む。
【0036】
いくつかの実施例において、1つの区画、あるいは区画の両者は、容器内に存在する液体を吸収および収容可能な材料を含む。材料は有機的または無機的な吸収材料から選択可能である。収容される鋭利物と共に、容器内に偶発的に案内される液体を保持する十分な容量を有する限り、任意の公知の流体吸収材料および形態が使用可能である。以下に吸収材料の群を例示するが、これらに限定されるものではない。シリカゲル、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、モンモリロナイト粘土および分子ふるいのような乾燥剤や、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドおよびポリアルキルエンオキシドのような有機物質の粉末が、単独にて、あるいは液体浸透性を備えたシートと組み合わされた層状構造体にて設けられる。ポリマは、不織布のパッド、あるいは粉末として好適に設けられる。上に列記したようなホモポリマに付加的に、流体吸収材料は、共重合体であってもよく、且つ/または任意により架橋されてもよい。
【0037】
吸収材料は、内部収容スペースの床および壁部のうち少なくともいずれか一方の1つ以上に設けられる。所定の実施例において、容器内の流体吸収材料は、収容される各ペン型針や、注射針のために少なくとも0.002グラムの流体収容能力を有する。別例において、容器内の流体吸収材料は、収容される各ペン型針や注射針のために少なくとも0.005グラム、あるいはさらに0.01グラムの流体収容能力を有する。さらなる別例において、ペン型針や注射針1つ当たりに利用可能な流体収容能力は、容器からの流体の蒸発速度、および付加的なペン型針や注射針が容器に付加される速度に関する仮定に基づき、新しく載置される各ペン型針や注射針に対して流体を吸収するための能力が十分である限り、縮小されてもよい。容器が液体吸収材料を含む実施例において、隔壁は、液体吸収材料が十分な収容能力を有し、任意の液体が大量にて隔壁を横断可能となるに先立って案内される液体を遮断すべく位置される場合には、必ずしも厳密に液体不浸透性を備えるものではない。
【0038】
多機能容器の第1の区画には、第1の区画から1つ以上の未使用の鋭利物を離脱させる開口が設けられる。開口は、この目的のために通常使用される任意の形態を取る。例えば、開口は、ドアを備えた簡易な開口部を含む。これに代えて、開口は、鋭利物を第1の区画から多機能容器の外部に搬送する摺動式または回転式引き出し状構造体を備えてもよい。いくつかの実施例において、鋭利物は、鋭利物への重力の作用により、第1の区画内の、開口に隣接した位置に搬送される。重力フィードシステムを使用する多機能容器は、好適に2つ以上の機能の配向を有し、第1の分配開口および第2の受容開口の両者は各機能の配向において機能し、第1の分配開口は第2の受容開口より低い。
【0039】
重力フィードを開示する本実施例は、さらに各機能の配向において液体不浸透性を備えた隔壁を第2の開口の近傍にてより高く、第1の開口の近傍にてより低く位置させることにより容易に実施される。重力フィードを開示する本実施例において、多機能容器の少なくとも1つの機能の配向にて開口の方へ続く下方に傾斜した部分を形成するより低い内側表面が好適に設けられる。内側表面は、容器の外側壁部であっても、個別の内部構造体であってもよい。別例において、正の圧力が1つ以上の配向にて第1の区画の開口へ鋭利物を押圧して移動させるべく作用されてもよい。さらなる別例において、多機能容器の第1の区画は、鋭利物を開口に連続して搬送するロール、リール、スタック、曲がりくねったリボン等に関連する未使用の鋭利物を含む。
【0040】
第1の容器に設けられる開口は、1つの未使用の鋭利物を容易に離脱させるか、複数の鋭利物を容易に離脱させる。例えば、ペン型針アセンブリ、カバーされた皮下注射針、カバーされた単体の注射器等の鋭利物は個別の容器にて離脱される。これに代えて、鋭利物は、予め包装された複数の鋭利物、例えば2つのペン型針アセンブリのパッケージとして離脱されてもよい。いくつかの実施例において、鋭利物は、包装された鋭利物の連続したストリップの形態にて開口に設けられてもよく、使用者は要求に応じてそこから1つ以上の鋭利物を選択可能に離脱させることができる。上述したように、開口およびドアや引き出し等の関連する任意の機構は、多機能容器の任意の機能の配向にて操作される必要がある。これに代えて、多機能容器に、多機能容器の機能の配向の各々においてアクセス可能にして、機能可能な、第1の区画から鋭利物を離脱させる少なくとも1つの開口を設けてもよい。
【0041】
これらの実施例のうちのいくつかにおいて、未使用のペン型針や針のための収容部は、第1の位置および第2の位置を切換配置可能であるドアを通ってアクセスされてもよい。ドアの構造体は第1位置や第2の位置のいずれかにおいて安定する。好適なドアは、ラインに沿って連結される錨泊区域およびドア区域を設けることにより形成される。ラインは運動するヒンジとして機能し、ドア区域と錨泊区域との間の肉薄な区域である。第1の位置において、ドアおよび錨泊区域は、外側に凸面をなす通常連続したパネルを形成する。一実施例において、接合線は、ドアを二分するラインに対して通常直行し、且つこのラインに対して僅かに湾曲する。ドアおよび錨泊区域が形成される材料の剛性の他、湾曲により、ドアは、ドアおよび錨泊区域が1つの湾曲面を形成する第1の位置に保持される。ドアが開かれると、接合線バックルおよびドアおよび錨泊区域は第2の位置に配置され、ここでドアは接合線の直近にて平坦となり、あるいはさらにいくらか凸状となり、ドアを安定した開放位置に保持する。所定の実施例において、容器は、未使用のペン型針や注射針のための分配手段を備える。
【0042】
いくつかの実施例において、多機能容器はさらに第2の開口に対する1つ以上の一方向の機構を有してもよく、一方向の機構は、多機能容器の外部から第2の区画の内部に、1つ以上のペン型針、皮下注射針、および付属の皮下注射針を備えた注射器を搬送可能である。第2の開口は、機能の配向の少なくとも1つにて多機能容器の上面に少なくとも部分的に位置される。付加的に、あるいは別例において、第2の開口は、機能の配向の少なくとも1つにて多機能容器の外側表面に少なくとも部分的に位置する。いくつかの実施例において、第2の開口に対する一方向の機構は、対応する注射器および注入ペンのうちの1つから皮下注射針を容易に離脱させ受容し、さらに離脱された皮下注射針は第2の区画に直接搬送される。公知のように、第2の開口に対する一方向の機構は、回動機構、枢動機構、あるいは摺動機構である。
【0043】
そのような機構は、色により識別可能とされ、且つ/または使用者による鋭利物の機構内への位置決めを案内すべく漏斗状の形状を有する。そのような機構は、さらにペン型針、皮下注射針あるいは他の鋭利物と協動する1つ以上の構造体を含み、これにより、処分に先立って取り付けられる装置から容易に鋭利物を離脱させることができる。いくつかの実施例において、一方向の機構は好適な1つ以上の開口部を備えた簡易な可撓性を備えた隔膜である。本実施例において、鋭利物が第2の容器から隔壁を貫通することを防止すべくさらなる防護体を設けることが望ましい。さらなる別例において、第2の開口に対する一方向の機構は、多機能の容器の外部から第2の区画の内部に搬送される鋭利物を屈曲し、且つ/または鈍くする装置を含む。所定の実施例において、使用済みの鋭利物を多機能容器の外部から第2の区画の内部に搬送する一方向の機構は、保護シースを備えた鋭利物および保護シースを有さない鋭利物の両者を受容する。
【0044】
いくつかの実施例において、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを受容する手段は、通常容器の外側から視認すると円錐台形状である。本明細書において、「円錐台形」は円以外の基部を有する円錐の円錐台を含むものと広く解釈される。基部は例えば楕円、規則的または不規則な多角形、あるいは他の閉曲線であってもよい。いくつかの実施例において、円錐の外側面は基部に沿って移動する直線区域によって形成される。しかしながら、別例において表面は、適度に湾曲した線によって形成される。円錐は正円錐であっても斜円錐であってもよい。通常、円錐の壁部は挿入されるペン型針や注射器の軸に対して約45°の角度をなし、ペン型針や注射針を器具内に挿入するための幅広の入口開口、およびよい案内角度を形成するものといえる。いくつかの実施例において、処分容器の円錐台形状の受容部分は、この受容部分がペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバーあるいはこれらの組み合わせを受容すべくハウジングに対する円錐台形部分の少なくとも1つの位置に配置されるとき、ハウジングの類似の円錐台形状部分に円滑に連結する。
【0045】
特に、ペン型針アセンブリや注射針カバーが容器の円錐台形状の受容部分に軸方向に挿入される実施例において、円錐台形状の部分は、円錐台形状の部分内のペン型針アセンブリや注射針カバーを含むために十分な高さを有することが通常望ましい。この高さは、通常ペン型針や注射針のみを含むために必要な高さより大きく、周囲のハウジングに対して望ましくない干渉を受けることなく受容部分を容器内の位置へ回転移動させる。
【0046】
いくつかの実施例において、視覚障害のある使用者がペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを好適に配向し、挿入することを補助するために、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを受容する容器の部分は、ハウジングの周囲の部分と、視覚的に異なる。視覚的に識別可能な特徴は、包囲するハウジングに対する色の対比、および/またはパターンの形態により得られる。好ましくは、受容領域やそのパターンが形成された部分の色は、赤とする。いくつかの実施例において、ペン型針を受容する手段は、突出部および凹部の組み合わせを含む。この手段においてペンはペン型針に対して回転してしまうため、この回転を防止すべく突出部および凹部の組み合わせがペン型針に係合する。この係合により、医療用搬送ペンからペン型針を片手で容易に離脱させることができ、これにより、偶然の穿刺の危険性が最小限となる。
【0047】
いくつかの実施例において、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバーおよびこれらの組み合わせを受容する手段は、ハウジングに対して受容手段を回転させる手段を含む。所定の実施例において、回転は、内部の収容スペースへ搬送されるペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、あるいはこれらの組み合わせの軸に通常直行する軸を中心として行われる。別例において、回転は、内部の収容スペースへ搬送されるペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、あるいはこれらの組み合わせの軸に通常平行な軸を中心として行われる。受容手段を回転させる手段はバネ駆動または電動機により手動により、または自動的に作動される。
【0048】
いくつかの実施例において、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを受容する手段は、排出軸を有する排出アセンブリを備える。ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを受容する手段は、ハウジングに対して受容手段を回転させる手段に操作自在に連結される。本実施例において、受容手段の回転は、内部収容スペースにおいて、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを搬送可能であり、これにより、排出アセンブリは、受容手段からペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、あるいはこれらの組み合わせを内部収容スペースに排出することが好ましい。
【0049】
いくつかの実施例において、容器は、内部収容スペース内のペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、あるいはこれらの組み合わせが、ペン型針、ペン型針アセンブリ、注射針、注射針カバー、およびこれらの組み合わせを受容および排出する手段に再び進入することを防止する1つ以上の防護体を備える。この防護体は、特に容器が逆にされるか、鋭利物の分配および処分における通常の使用の指向以外の指向に配向される場合に内部収容スペースから鋭利物が偶然または故意に取り払われることを防止するために望ましい。そのような防護体がない場合に、鋭利物は、搬送時に偶然に解放され得る。所定の実施例において、1つ以上の防護体は、ペン型針、ペン型針アセンブリ、およびこれらの組み合わせを受容または排出する位置以外の位置において、受容手段へのアクセスを防止する内部収容スペース内の構造体である。
【0050】
本発明の様々な変形および変更は、本発明の範囲および原理から逸脱することなく、当業者に明白になるであろう。また、本発明は、上述した実施例に不当に制限されるものではないものといえる。全ての文献および特許は、各個別の文献や特許が具体的にして、かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にてその全体が組み込まれる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7