【実施例】
【0015】
図1〜8は、本発明に係る引出しキャビネットの実施例を説明する図である。この実施例の引出しキャビネット1は、
図1(a)に示すように、少なくとも、主引出し3及び内引出し4を備えている。主引出し3及び内引出し4は、それぞれキャビネット本体2に対して前後方向にスライド移動可能に設けられている。
【0016】
主引出し3は、前面扉6と、物品を収納するための主引出し本体5とを有する。前面扉6は、
図1(b)、(c)に示すように、主引出し3の底部7の前端に、例えばヒンジ8で前方に回動可能に取付けられている。前面扉6の前方への回動を、
図1(c)に示すように、所定の角度β(第2所定角度)に制限するために、前面扉6の内面(後側の面)と主引出し本体5の外側面との間に、回動制限用のリンク機構9が設けられている。
【0017】
このリンク機構9は、
図1(b)、(c)に示すように、前面扉6の内面に一端が取付けられたリンク片10と、一端がリンク片10の他端に回転可能に取付けられ他端が主引出し本体5の外側面に回転可能に取付けられた回転リンク片10’とから成る。
【0018】
主引出し3の前面扉6には、
図1(a)、(d)に示すように、その前面に、主引出し3を引出すために手を掛けることのできる、前方に突出した平面視で凹状の取手11が設けられている。
【0019】
また、
図1(a)、(d)に示すように、前面扉6の内面において、内引出し4に近接した下方の位置に、矢印F方向に弾力を有する板バネから成る係合片12が固定されている。係合片12は、その基端が前面扉6の内面に固定されており、その先端が後方に延びるように設けられている。係合片12の先端には断面凹状の係合部12’が形成されている。
【0020】
内引出し4は、物品を収納するために主引出し本体5の上方に配置される内引出し本体15を有し、内引出し本体15の前端には前面壁17が設けられている。内引出し本体15の前端に近い部分における底部には、下方に向けて係合突起18が固定されている。
【0021】
係合片12と係合突起18は、互いに係脱可能である。
図1(a)、(d)に示すように、主引出し3及び内引出し4がキャビネット内に引込まれて完全に収納され閉止されている状態では、係合片12の係合部12’は、係合突起18の下方の離れた位置にあり、係合していない。
【0022】
作用の項で詳記するが、係合片12と係合突起18は、互いに係合して、主引出し3と内引出し4を連結状態で共に前方へ引出すための連結具13を構成する。係合片12と係合突起18の係合を、係合片12の弾力に抗して解除し、主引出し3のみ又は内引出し4のみをスライド移動させることも可能である。
【0023】
キャビネット本体2の左右の側壁14の内側面には、それぞれ
図2(c)、
図3(a)に示すように、主引出し3をキャビネット本体2にスライド移動可能な状態で固定する第1レール19と、内引出し4をキャビネット本体2にスライド移動可能な状態で固定する第2レール20を備えている。後記するが、主引出し3及び内引出し4は、それぞれ第1レール19及び第2レール20においてスライド移動する行程の途中の所定位置及び第1所定角度に対応する位置に到達するまで、閉止方向に引込み力が作用する。
【0024】
一方、主引出し3の左右の外側面には、それぞれ
図1(a)、
図2(a)〜(c)、
図3(a)に示すように、キャビネット本体2の第1レール19をスライド移動する主引出し用の第1インナーレール21が設けられている。また、内引出し4の左右の外側面には、それぞれ
図1(a)、
図2(a)〜(c)、
図3(a)に示すように、キャビネット本体2の第2レール20をスライド移動する内引出し用の第2インナーレール22が設けられている。
【0025】
使用者が取手11に手を掛けて主引出し3を前方に引くと、前面扉6が前方に回動するために、主引出し3は前方に移動しない。そして、
図2(a)に示すように、前面扉6が前方に角度α’だけ回動すると、係合片12も回動してその係合部12’が係合突起18に係合する。そのために、前面扉6が前方にさらに回動すると、連結具13を構成する係合片12及び係合突起18を介して、内引出し4に前方への力が付与されるので、内引出し4は前方へのスライド移動を開始する。
【0026】
さらに、
図1(c)、
図2(c)に示すように、前面扉6が角度βまで回動すると、リンク機構9によって回動が拘束されるが、そのままさらに取手11を前方へ引くと、内引出し4に加えて主引出し3も前方にスライド移動可能となる。要するに、主引出し3と内引出し4は、前面扉6、係合片12及び係合突起18を介して連結状態となり、共に前方にスライド移動を開始することとなる。
【0027】
図3(a)は、主引出し3と内引出し4を前方に引出した状態を示すが、この状態で、内引出し4の前面壁17を後方に押すと、内引出し4が後方に移動し係合突起18は、係合片12をその弾力に抗して時計針回転方向に反らせ(
図2(a)の矢印F’方向参照)、係合部12’から離脱する。要するに、係合片12の係合部12’と係合突起18の係合を解除し、内引出し4のみが後方にスライド移動可能となる。
【0028】
このように係合片12の係合部12’と係合突起18の係合が解除された状態で、取手11を持って主引出し3を後方に移動し、キャビネット本体2内に押込み、主引出し3と内引出し4をキャビネット本体13’内に引込ませると、主引出し3と内引出し4は、
図1(a)、(d)に示すような閉止状態となる。
【0029】
ところで、本発明の引出しキャビネット1は、主引出し3及び内引出し4について、それぞれソフトクローズ機構によって、引出しを閉める際に、引出しがキャビネット本体2内に閉止される前に、引込み力が作用し、しかも減速されて、使用者が最後まで手で押込まなくても、引出しは、ゆっくりと後方に移動して閉まるように構成されている。
【0030】
ソフトクローズ機構は、引出しをキャビネット本体2内に引込む引込み力を生じる「引込み機構」と、使用者が引出しを後方に押込む押込み力及び引込み力によって引出し4がキャビネット本体2に衝撃を与えないように緩衝する「ダンパー」とを有する。
【0031】
本発明の引出しキャビネット1は、主引出し3及び内引出し4を開く際に、それぞれのソフトクローズ機構によって生じる引込み力の和に対して引出すための力を軽減する構成を特徴とするものである。従って、本発明の引出しキャビネット1は、ソフトクローズ機構を備えていることを前提としている。ソフトクローズ機構自体は、本出願前に公知であるが、本発明は、ソフトクローズ機構によって生じる引込み力の和に対して引出すための力を軽減する構成を特徴とし、ソフトクローズ機構と密接に関連するために、ソフトクローズ機構の一例を説明する。
【0032】
本発明の引出しキャビネット1の前提であるソフトクローズ機構は、主引出し3においては第1レール19及び第1インナーレール21とともにソフトクローズ機構付きレール装置の構成しており、内引出し4においては第2レール20及び第2インナーレール22とともにソフトクローズ機構付きレール装置の構成している。
【0033】
主引出し3におけるソフトクローズ機構付きレール装置と、内引出し4におけるソフトクローズ機構付きレール装置は、同じ構成であるので、ここでは、内引出し4のソフトクローズ機構付きレール装置について
図4〜8を参照して説明する。
【0034】
ソフトクローズ機構付きレール装置の全体構成:
内引出し用の第2レール20は、
図4に示すように、長尺状の底部26と、底部26の外縁から上方垂直に起立した外側壁27と、底部26の内縁から上方垂直に起立しさらに外側に水平に曲げて形成された支持レール部28とを備えている。外側壁27がキャビネット本体2の左右の側壁14のそれぞれ内側面にねじ等で固定されることで、第2レール20は、キャビネット本体2に取付けられる。
【0035】
内引出し用の第2インナーレール22は、
図5に示すように、長尺状の頂壁32と、頂壁32の外縁から下方垂直に曲げられた外側壁33と、外側壁33の下縁から内側に水平に曲げて形成された底部34と、頂壁32の内縁から下方垂直に曲げられた内側壁35とを備えている。底部34の下面には、後記するロック部材と係合する係合突起36が下方に向けて突設されている。
【0036】
図5(c)、(f)に示すように、外側壁33の外面に、取付け壁31が上方に伸びるよう固定されており、取付け壁31が内引出し4の外側面に固定されることで、第2インナーレール22が内引出し4に取付けられる。
【0037】
第2インナーレール22が、
図5(f)に示すように、第2レール20の支持レール部28上に転動輪38を介して又は直接載置され、前後方向に移動することで、内引出し4は、キャビネット本体2に対して前後方向にスライド移動可能となる。
【0038】
ソフトクローズ機構の構成:
次に、ソフトクローズ機構23について、まずその引込み機構24について説明する。第2レール20の底部26の長手方向中央部に、
図4(a)に示すように、長手方向に伸びるロック案内部材40が設けられている。
【0039】
ロック案内部材40は
図7(a)に示すように、頂壁41と、頂壁41の外縁から下方に第2レール20の底部26まで垂下した外側壁42と、頂壁41の内縁から下方に垂下した内側壁43と、
図6(a)に示すように、前端及び側部に設けられた取付け部44(側部については図示せず)とから構成されている。内側壁43と第2レール20の底部26との間には、
図6(b)に示すように、長手方向に沿って隙間46が形成されている。
【0040】
ロック案内部材40の内側壁43の後端部では、
図6(b)に示すように、内側壁43は第2レール20の底部26まで垂下して形成されている。ロック案内部材40の前端部に近い部分は、
図6(a)、(b)、
図7(b)に示すように、内側壁43は形成されておらず、頂壁40と第2レール20の底部26との間には、隙間46より上下方向に広い開口部45が形成されている。
【0041】
ロック案内部材40で案内するロック部材50は、
図6(c)、(d)に示すように、略台形状の平板部51を有する。平板部上に、前方内側には第1案内隆起部52が形成されており、後方方外側には第2案内隆起部53が形成されている。
【0042】
第1案内隆起部52及び第2案内隆起部53の間に、
図6(a)、
図7(a)、(c)、(d)に示すように、ロック案内部材40の内側壁43が嵌合し、ロック部材50は、ロック案内部材40で案内されて第2レール20の底部26上を前後方向に移動可能である。
【0043】
平板部51の内側部上において、前方には第1係合隆起部54が形成されており、後方には第2係合隆起部55が形成されている。第1係合隆起部54と第2係合隆起部55は、
図6(c)に示すように、平面視で二股状に形成されている。
【0044】
平板部51の外側部上には、バネ59の先端を装着する装着部57が設けられている。バネ59の基端部は、
図4(a)、(c)に示すように、第2レール20の底部26の後端のバネ装着部61に装着されている。バネ59は、引っ張りバネを使用し、その弾力(付勢力)によって、ロック部材50及び係合突起36を介して第2レール20に対して第2インナーレール22を後方へ引込む力(本明細書では「引込み力」という)を生じる。
【0045】
内引出し4がキャビネット本体2内に完全に引込まれて閉止されている状態から開くために、前面扉6を前方に第1所定角度(
図2(b)の角度α参照)まで回動して内引出し4を引込み力に抗して前方に第1所定角度に対応する位置(前面壁17が閉止状態から前方に距離R1だけ移動した位置)まで引出すと、作用の項でも詳記するが、
図8(b)に示す位置でロック部材50及び係合突起36の係合は解除され、バネ59による引込み力の作用は解除される。
【0046】
このように、内引出し4を前方に引出す移動行程において、バネ59による引込み力の作用が解除される前面扉6の前方への所定角度を「第1所定角度」と称し、そのときの内引出し4の位置を「第1所定角度に対応する位置」という。
【0047】
本発明では、第1所定角度は、前面扉6を前方に回動して内引出し4がキャビネット本体2内で単独で前方にスライドされて、前面扉6の回動がリンク機構9によって拘束され、主引出し3と内引出し4が連結状態となって共に前方に移動開始可能となる角度βとなるまでの間の角度又は角度βと同じ角度になるように構成した。
【0048】
この第1所定角度を角度α(
図2(b)参照)とすると、角度α≦角度βである。この点が、本発明の引出しキャビネット1のきわめて特徴的な構成である。なお、内引出し4がキャビネット本体2内に完全に押込まれて閉止されている状態における前面壁17の前面から、第1所定角度に対応する内引出し4の位置における内引出し4の前面壁17の前面までの距離をR1(
図2(b)参照)とする。
【0049】
即ち、内引出し4の前面壁17の回動が拘束され、主引出し3と内引出し4が連結状態となるとともに前方に引出される前又は同時に、バネ59による引込み力の作用を解除する構成とした。これにより、内引出し4の前面壁17の回動が拘束され、主引出し3と内引出し4が連結状態となって共に前方にスライド移動する間は、内引出し4に対してはバネ59による引込み力を作用させないようにした。
【0050】
以上がソフトクローズ機構23の特に引込み機構24の構成であるが、引込み機構24を設けると、引出しを閉じる際に、バネ59による引込み力で、内引出し4がキャビネット本体2に対して衝突するので、ソフトクローズ機構23においては、ダンパーを設ける必要がある。
【0051】
図4(a)〜(c)に示すように、このソフトクローズ機構23は、第2レール20にダンパー62が内蔵(併設)されている。ダンパー62は、油圧シリンダー緩衝器(空圧緩衝器でもよい)が使用されており、その可動ピストン軸63から側方に突出した受け部64に第2インナーレール22の後端が衝接するように構成されている。
【0052】
作用の項で詳記するが、内引出し4を閉じるために後方に押込むと、
図8(c)に示すように、係合突起36が第2係合隆起部55に係合し、ロック部材50が案内部材に沿うようになり、しかもバネ59の弾力(付勢力)によって、第2レール20に対して第2インナーレール22を後方へ引込む引込み力が生じる。
【0053】
このように、バネ59の弾力がロック部材50に作用するタイミングと同時に、第2インナーレール22の後端がダンパー62の受け部64に衝接するように構成されており、これにより、バネ59による弾力で第2インナーレール22に引込み力を作用させ、かつ緩衝させながら、第2インナーレール22を後方へ引込むように作用させる。
【0054】
ソフトクローズ機構の動作:
内引出し4が閉止された状態(
図1(a)、(b)参照)から、前面扉6を前方に回動して前方に引出すと、
図8(a)に示すように、第2インナーレール22の係合突起36がロック部材50の第1係合隆起部54と係合し、ロック部材50は、その第1案内隆起部52と第2案内隆起部53がロック案内部材40の内側壁43に沿うようにして、前方に移動する。ロック部材50が前方に移動する際に、バネ59をその弾力に抗して伸ばし付勢力を蓄える。
【0055】
前面扉6をさらに前方に回動し、前面扉6が第1所定角度αに達し(
図2(b)参照)、内引出し4が、その前面壁17が閉止状態から前方に距離R1だけ離れた位置(第1所定角度αに対応する位置)まで前方に引出されて移動すると、ロック部材50が前方に移動して、第1案内隆起部52が内側壁43の開口部45に達する。すると、
図8(b)に示すように、第1案内隆起部52が案内部材の内側壁43から外れて開口部45に入り込み、ロック部材50は、バネ59の弾力によってその外側面56を中心にして矢印に示すように、反時計方向に回転して、開口部45からロック案内部材40内に一部入りこみ、そこで停止する。
【0056】
同時に、第2インナーレール22の係合突起36は、第1係合隆起部54との係合から脱してさらに前方に移動する。従って、それ以降は、内引出し4の前方への移動によって、バネ59を付勢することもなく、また、内引出し4はバネ59の引込み力を受けることがない。
【0057】
内引出し4を閉じる場合は、内引出し4を後方に押込む。そして、内引出し4が、その前面壁17が閉止状態から前方に距離R1だけ離れた位置(第1所定角度αに対応する位置。
図2(b)参照)まで移動すると、
図8(c)に示すように、第2インナーレール22の係合突起36は第2係合隆起部55に係合し、ロック部材50を時計方向に回転させる。
【0058】
これにより、ロック部材50は、その第1案内隆起部52と第2案内隆起部53が、ロック案内部材40の内側壁43に沿うようになって、前方に移動可能となる。また、同時に、第2インナーレール22の外側壁33の後端がダンパー62の受け部64に衝接する。
【0059】
この状態では、バネ59により、内引出し4に後方に戻る引込み力が作用するが、第2インナーレール22の外側壁33の後端がダンパー62の受け部64に衝接して緩衝されるので、内引出し4はゆっくりした速度で後方に戻る。これにより、内引出し4は、後方への引込み力が作用し自動的、後方に戻って閉じるが、衝突音が発生したり、キャビネット本体2の破損等が生じることがない。
【0060】
以上が内引出し4についてのソフトクローズ機構付きレール装置の構成及び動作であるが、主引出し3についても同じ構成のソフトクローズ機構付きレール装置が採用される。主引出し3についてバネによる引込み力の作用が解除するタイミングは、主引出し3がキャビネット本体2内に完全に収まっている状態から前方に引出されてスライド移動し、前面扉6が前方に距離R2(
図2(c)参照)だけ移動し、主引出し3が所定位置に達した時である。
【0061】
(作用)
以上の構成による本発明の作用を、以下説明する。内引出し4を使用する場合は、
図1(a)に示す状態から、使用者が主引出し3の取手11に手をかけて、前方に引くと、その前面扉6は前方に回動し、前面扉6が角度α’まで前方に回動すると、
図2(a)に示すように、係合部12’が係合突起18に係合する。
【0062】
さらに前面扉6が前方に回動すると、係合片12及び係合突起18から成る連結具13を介して内引出し4はキャビネット本体2内で単独で前方にスライド移動する。この移動に際しては、内引出し4のソフトクローズ機構23により生じるバネ59の引込み力に抗して、使用者は取手11に手をかけて前面扉6を前方に引いて回動する。
【0063】
そして、
図2(b)に示すように、前面扉6が前方に第1所定角度αだけ回動し、前面壁17が前方に所定の距離R1だけ移動し、内引出し4が第1所定角度αに対応する位置まで引出されると、内引出し4のソフトクローズ機構23のバネ59により生じる引込み力の作用は解除される。
【0064】
この状態でさらに前面扉6を前方に回動すると、前面扉6の回動がリンク機構9で拘束される。この状態では、すでに連結具13を構成する係合片12及び係合突起18が互いに係合しているから、主引出し3と内引出し4が連結状態となって共に前方にスライド移動し始める。
【0065】
なお、内引出し4のソフトクローズ機構23により生じるバネによる引込み力の作用が解除する位置までの第1所定角度αと、前面扉6の回動が拘束される角度βを同じ大きさに設定した場合は、内引出し4のソフトクローズ機構23により生じるバネによる引込み力の作用の解除と、前面扉6の回動の拘束が、略同時に生じる。
【0066】
主引出し3と内引出し4が連結状態となって共に前方にスライド移動し始める行程では、内引出し4についてはバネによる引込み力を受けないが、主引出し3についてはソフトクローズ機構により生じるバネによる引込み力が作用する。
【0067】
そして、
図2(c)に示すように、前面扉6が前方に距離R2だけ移動して、主引出し3を所定位置まで引出した時に、主引出し3のソフトクローズ機構により生じるバネによる引込み力の作用が解除する。
【0068】
図2(c)に示す状態から、さらに
図3(a)に示す状態に向けて、主引出し3と内引出し4が連結状態で共に前方にスライド移動する際には、主引出し3及び内引出し4のいずれについても、ソフトクローズ機構により生じるバネによる引込み力はすでに解除されているので、いずれの引込み力を受けることなく、使用者は軽い力で前方に引出すことができる。
【0069】
図3(a)の状態において、内引出し4のみをキャビネット本体2内に押込んで閉じる場合は、内引出し4の前面壁17を手で押して、
図3(b)に示すように、内引出し4を後方に押込み移動させる。この移動の際、第1所定角度に対応する位置(
図2(b)参照)まで内引出し4を押込むと、内引出し4のソフトクローズ機構23が動作して、内引出し4にはバネにより引込み力が作用されるとともに、ダンパーにより緩衝されて、キャビネット本体2内にゆっくりと引込まれる。
【0070】
その後、主引出し3をキャビネット本体2内に押込んで閉じる場合も、取手11に手を掛けて後方に押込み移動させると、所定位置(
図2(c)参照)において、内引出し4と同様にソフトクローズ機構23が動作してキャビネット本体2内に引込まれる。
【0071】
主引出し3を単独で使用する場合は、
図2(a)又は(b)に示す状態から、使用者が内引出しの前面壁17を手で抑えた状態で、主引出し3の取手11に手を掛けて前方に引くことで、主引出し3のみを単独で引出すことができる。
【0072】
この場合は、主引出し3が前方に距離R2だけ移動して前面扉6が所定位置に達した時に、主引出し3のソフトクローズ機構により生じるバネによる引込み力の作用が解除される。そして、さらに主引出し3の取手11に手を掛けて前方に引くことで、バネによる引込み力の作用を受けることなく、開くことができる。
【0073】
以上、本発明に係る引出しキャビネットを実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。