(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記下側波帯振幅変調器(6)の出力信号をルーティングし、上記上側波帯振幅変調器(7)の出力信号をルーティングするための交差型スイッチ(8)を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
LCD、プラズマ、LCOSとDLPのような、最新のビデオディスプレイ技術は全て、本来プログレッシブ方式のディスプレイであるため、原材料がインターレース方式で与えられる場合、原材料の変換が通常必要とされる。上記変換は、通常、インターレース解除と呼ばれる。例えば、インターレース解除器は、ビデオフィールドを、ビデオフレームへと変換し、ここで、フィールドは、1つのフレームに含まれる情報の半分を含むフレームまたは映像であり、例えば、CRTディスプレイまたはLCDのようなディスプレイ上の映像を形成する走査線の半分である。ビデオにおいて、上記フレームは、連続的に表示されることでスクリーン上で動きの印象を生成する多くの静止画像の1つである。2つのフィールドは1つのビデオフレームを含む。ビデオモニタ上に上記フィールドが表示される時、或るフィールドの内容は、通常、スクリーン上の奇数番目の走査線の全てで用いられ、それ以外のフィールドが、通常、偶数番目の走査線上に表示されるため、上記フィールドはインターレースされる。
【0003】
一般に、フィールドを静止フレーム画像へと変換するには、インターレース解除と呼ばれる過程が必要とされ、当該過程において、欠けている走査線が再現され、または補間され、廃棄されたフィールド内に含まれていたであろう情報を再現する。しかし、各フィールドは完全なフィールドの情報の半分しか含まないため、インターレース解除された画像は完全なフレームの解像度を有さない。言い換えれば、インターレース解除は、インターレースされたフィールドにおいて欠けている走査線を再構築する過程である。これに対処するため、先行技術に基づいて、欠けている走査線の位置に黒線を挿入することが知られている。当然、この方法において、画像コントラストは、2という因子で分割されるが、それでもなお、幾つかの状況において、この方法は、先行技術に基づき知られている、他の動き適応型インターレース技術よりも好ましい。
【0004】
LCDモニタは既定の表示解像度を有し、しばしば、標準解像度のビデオ信号に比べて極めて高い解像度を処理することができるため、同様に、現代のディスプレイ技術において、しばしば、第2のビデオ方式変換が行われる。上記のような現代のディスプレイ上で標準解像度信号を高解像度信号へと変換またはアップサンプルするのに、線形畳み込みまたはキュービックコンボリューションのような画像のサイズ変更または拡大縮小がしばしば用いられる。先行技術によって記載されているように、場合によっては、同期をとった理想的な再構築の、さらにより優れたアプローチが用いられる。これらのサイズ変更アルゴリズムは確実な結果を生み出すが、これら線形畳み込みは全て、上記ビデオ画像に付加される多少のボケを被る。
【0005】
現在、1920×1200ピクセルを有するワイドUXGAモニタが広く普及している。上記モニタはHDビデオ信号を処理することができる。SDビデオ信号を表示する際、両次元においてピクセルの数を2倍にすることは、高品質画像を得るための良い選択である。この特別な場合において、本発明は、できる限り原画像の鮮明度を保つことによって、画像品質を向上するだろう。
【0006】
LCDモニタは高いフレームレートを処理することができるため、同様に、現代のディスプレイ技術において、しばしば、第3のビデオ方式変換が行われる。例えば、約60Hzのフィールドレートを有するビデオ信号について、いったんインターレース解除されると、当該信号は、60Hzの有効フレームレートを有する。120Hzで画像を表示することのできるLCDパネルを有すると、上記原フレームレートは、60Hzから120Hzへと変換され得る。先行技術に基づき知られているLCDパネルは、液晶構造内での電離を回避するため、交流電圧を用いて駆動されねばならないため、当該パネルの各ピクセルは、正電圧と負電圧とによって交互に駆動される。しかし、好ましくない物理的技術上の制約が原因となって、これら2つの電圧状態は、厳密に同じ光出力を常に生成するわけではない。上記ビデオ信号を変換するために用いられる反転方法に応じて、視聴者は上記画像のちらつきの或る形式に気が付くだろう。上記反転方法は、ライン反転、面切替の場合のフレーム反転のドットライン反転であり得る。
【0007】
先行技術に基づき知られている他のディスプレイ技術は、LCDモニタにおいてLEDベースの黒線を走査し、ランプを脈動させ、または内部プロジェクタの光強度を回転させるような、脈動型照明技術を用いる。他の実施形態は、LCOS上で、LCDディスプレイのパネルが、通常、直流電圧を受けないように注意しながら、上記表示フレームの半分の間に上記ビデオデータを非表示にすることを含む。ブラックフレームの挿入は、LCD、DLPまたはプラズマといったホールド型ディスプレイ上のモーションブラーを減少させる。
【0008】
しかし、先行技術に基づき知られているこれらの実施形態は全て、光出力を犠牲にして動き動作を良くするようなCRTへと近づく傾向がある。これまでに記載したブラックフレーム挿入の場合、上記光出力は、表示コントラストと同様に、2という因子で分割される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、インターレース方式の信号のプログレッシブ方式の信号への変換のための、さらに特に、インターレース方式のビデオ信号をプログレッシブ方式のビデオ信号へと変換するための、表示方法および表示装置を与える。本発明はさらに、フレームレートの倍増、または画像のサイズ変更を必要とする、表示方法および表示装置に関する。
【0010】
本発明は特に、インターレース走査をプログレッシブ走査へと変換し、標準解像度信号を高解像度信号に変換し、および/または、標準フレームレート(例、50または60Hz)を、一般的に2倍、または逓倍したフレームレート(例、100または120Hz)へと変換することによって動作性能を向上させることに、適合する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、独立請求項および従属請求項に記載されている。本発明は、一般的な技術的特徴を有する、全ての多様な方法および装置を与える。
【0012】
従って、本発明は、画像フレームを表示するビデオ信号を処理するためのビデオ処理装置を与え、当該装置は、下側波帯振幅変調器と、側波帯振幅変調器とを含み、当該下側波帯振幅変調器および当該上側波帯振幅変調器は、それぞれ、入力信号を出力信号へと変換し、ここで、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第1関数であり、または、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第2関数であり、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第2関数であり、または、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第3関数である。
【0013】
本発明はまた、I/P(Interlaced to Progressive)変換をするための、または画像を拡大縮小するための、または画像におけるモーションブラーを減少させるための装置を与え、当該画像は少なくとも1つの走査線を含む。
【0014】
例えば、本発明はI/P変換装置を与え、当該I/P変換装置は、下側波帯振幅変調器と、側波帯振幅変調器とを含み、当該下側波帯振幅変調器および当該上側波帯振幅変調器は、それぞれ、入力信号を出力信号へと変換し、ここで、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第1関数であり、または、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第2関数であり、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第2関数であり、または、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第3関数である。
【0015】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、上記下側波帯振幅変調器の上記出力信号の値は、常に、上記上側波帯振幅変調器の上記出力信号の値よりも低い。上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0016】
従って、本発明は、出力信号が上記入力信号の関数に従って変調されるという中心概念に基礎を置く。この方法において、本発明は、視聴者がCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイで体験する視覚体験を、LCDディスプレイのようなプログレッシブ方式のディスプレイ上で、再現することを用意する。特に、本発明は、例えばLCDスクリーン上のサッカーのように、プログレッシブ方式のディスプレイ上で動く対象の画像を表示する間の、モーションブラーおよび/またはピンボケを減少させる。本発明はさらに、鮮明度の酷いロスをより少なくしてビデオデータの拡大縮小を行うための、インターレース方式のビデオデータの容易なインターレース解除を用意する。
【0017】
本発明の上記入力信号および/または上記出力信号は、8ビットコード化データまたは黒白データに限られない。当業者に知られた他のコード化方式が可能である。個々の実施形態において、出力信号は、入力信号に基礎を置く参照表によって与えられる。或る実施形態において、最大出力信号は、最大入力信号の因子であり、例えば、最大出力信号は最大入力信号の2倍であり得る。好ましくは、入力信号は、例えばモノクロ信号(黒と白)、YuVデータ(カラーサンプリングを有する、または有しない)、またはRGBデータといった、元々、CRTスクリーンで表示されることを意図された、インターレース方式のビデオデータである。
【0018】
本発明の別の好ましい実施形態において、上記装置は、上記下側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための、または、上記上側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための遅延選別要素を含む。さらに別の具体的な実施形態において、上記遅延選別要素は、例えば、上記入力信号として受信する第1フィールドを格納するための、メモリを有する。従って、上記遅延選別要素は、受信するインターレース方式のビデオデータストリームを、少なくとも1フィールド期間遅延させることを用意する。第2の、またはより多くの遅延選別要素が、画像処理の質を高めるよう、備えられていることがより好ましい。この方法において、上記遅延選別要素は、現在のフィールドに、その次のフィールドおよびその前のフィールドから発生するデータを挿入することを用意する。上記遅延選別要素は、フィールド内補間方法を用いることによって、フィールドに含まれ、欠けている走査線を再構築するために、高水準なFIRフィルターを含んでもよい。欠けている走査線の位置での上記フィールド内再構築は、次のフィールドと前のフィールドとの間の挿入、または、次のフィールドと前のフィールドとの間の空間的補間を選択するための参考として必要とされるかもしれない。上記遅延選別要素は、さらに、3つの連続するフィールドの中央値を選ぶための中央値を含んでもよい。上記中央値を選択することによって、上記欠けている走査線のために挿入される検出値を確保する。
【0019】
一般的に、上記入力信号は、任意の種類のビデオ信号を含んでもよい。しかし、本発明の別の好ましい実施形態に従えば、上記入力信号は入力フレームを含み、当該入力フレームは、それぞれ、偶数番目の走査線または奇数番目の走査線に対応する第1入力フィールドと奇数番目の走査線または偶数番目の走査線に対応する第2入力フィールドとを含む。本発明のまた別の好ましい実施形態に従えば、上記出力信号は出力フレームを含み、当該出力フレームは、それぞれ、上記上側波帯振幅変調器または上記下側波帯振幅変調器によって変調される上記第1入力フィールドに対応する第1出力フィールドと、上記下側波帯振幅変調器または上記上側波帯振幅変調器によって変調される上記第2入力フィールドに対応する第2出力フィールドとを含む。この方法において、上記下側波帯振幅変調器によって処理される入力信号は、偶数番目の走査線に対応してもよく、上記上側波帯振幅変調器によって評価される入力信号は、奇数番目の走査線に対応してもよい。いったん振幅変調されれば、各走査線は、プログレッシブ方式のディスプレイ上に表示されるよう送信されることができる。
【0020】
本発明の別の好ましい実施形態において、上記入力信号は第1入力フレームと第2入力フレームとを含み、上記出力信号は第1出力フレームと第2出力フレームとを含み、当該第1出力フレームは、それぞれ、上記上側波帯振幅変調器または上記下側波帯振幅変調器によって変調される当該第1入力フレームの第1入力フィールドに対応する第1出力フィールドと、上記下側波帯振幅変調器または上記上側波帯振幅変調器によって変調される当該第1入力フレームの第2出力フィールドに対応する第2出力フィールドとを含み、当該第2出力フレームは、それぞれ、上記上側波帯振幅変調器または上記下側波帯振幅変調器によって変調される当該第2入力フレームの第1入力フィールドに対応する第1出力フィールドと、上記下側波帯振幅変調器または上記上側波帯振幅変調器によって変調される当該第1入力フレームの第2出力フィールドに対応する第2出力フィールドとを含む。
【0021】
本発明の他の好ましい実施形態に従えば、上記出力信号は第1出力フレームと第2出力フレームとを含み、それぞれ、当該第1出力フレームは、上記上側波帯振幅変調器または上記下側波帯振幅変調器によって変調され、当該第2出力フレームは、上記下側波帯振幅変調器または上記上側波帯振幅変調器によって変調される。上記実施形態において、例えば受信するビデオデータである、上記入力信号は、インターレース方式である必要が無い。従って、上記出力信号を表示するプログレッシブ方式のディスプレイ上で、モーションブラーを減少させることができ、一方で、コントラストおよび/または輝度を減少させない。さらに、本発明はまた、先行技術に基づき知られている拡大縮小バックライトの実装の場合におけるような、専用の、または特別なハードウェアを何ら必要とせずに、映像の質を向上させる。
【0022】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、上記入力信号は、入力線を含み、上記出力信号は、下記の要素を含む。すなわち、それぞれ、上記上側波帯振幅変調器または上記下側波帯振幅変調器によって変調される上記入力線に対応する第1出力線と、上記下側波帯振幅変調器または上記上側波帯振幅変調器によって変調される上記入力線に対応する第2出力線とである。
【0023】
従って、本発明は入力信号の拡大縮小を用意し、当該入力信号は、例えば2n本の、従って各線を2倍したに過ぎない本数の走査線を含むディスプレイ上で、当該入力信号を表示するための、n本の走査線を含む。この方法において、好ましい実施形態は、一方で鮮明度を維持し、拡大縮小することを用意し、従って、映像品質を顕著に低下させることがない。
【0024】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、上記装置は、上記下側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングし、上記上側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングするための交差型スイッチを含む。従って、上記交差型スイッチは、現在のフィールドが偶数フィールドであるか奇数フィールドであるかに応じて、奇数番目または偶数番目の出力線に対応する入力信号の一部として入力信号をルーティングし、一方で、再構築された出力線を、対応する偶数番目または奇数番目の出力線へとルーティングすることを用意する。
【0025】
本発明はまた、下記のI/P変換装置を与える。すなわち、nは2以上の整数であるとして、入力信号を出力信号に変換するn個の振幅変調器を含み、mは1以上でn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数である、I/P変換装置である。
【0026】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、(m−1)番目の振幅増幅器の出力信号の値は、常に、m番目の振幅増幅器の出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、当該入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0027】
従って、本発明は、フレームレート倍増の質を高めることを用意し、ここでフレームレート倍増倍率であるnは、2、3、4、または任意の他の数字に等しくともよい。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態に従えば、上記入力信号の第1関数は、上記入力信号=最大入力信号×(m−1)/nである場合、上記入力信号の第2関数に等しく、上記入力信号の上記第2関数は、上記入力信号=最大入力信号×m/nである場合、上記入力信号の第3関数に等しい。
【0030】
であり、fとgとkとはそれぞれ整数であるとして、上記入力信号と上記出力信号とがそれぞれ、f個のフレームを含み、g番目の振幅増幅器が、g+k×n番目のフレームを変換することが、さらに好ましい。mとgとが等しいことが、さらにより好ましい。
【0031】
本発明の別の好ましい実施形態に従えば、上記装置は、ビデオ入力を格納し、当該入力信号を上記振幅増幅器へと出力するためのビデオデータフレームメモリ、および/または上記振幅増幅器の出力信号を切り替えるマルチプレクサを含む。従って、上記ビデオフレームメモリは、例えばビデオフレームのような入力信号を、メモリへと書き込むことを用意し、例えば、当該書込み速度の2倍または3倍の速度で、2回または3回読み込むことを用意する。好ましくは、上記ビデオフレームの格納は、待ち時間が最小になるように、上記フレームの半分が上記メモリに書き込まれた直後に第1読込過程を開始する間に、実行される。上記ビデオデータフレームメモリは、保存されたDRAMメモリデバイスを含んでもよい。上記マルチプレクサは、上記振幅増幅器の出力を切り替えることを用意し、従って、例えば、繰り返しフレームが第2振幅増幅器へとアドレス指定される間に、第1振幅増幅器を用いて表示される画像の第1フレームを切り替えることを用意する。
【0032】
一般的に、第1関数、第2関数、および/または第3関数は、任意の数学的関数であり得る。しかし、本発明の別の好ましい実施形態に従えば、上記入力信号の第1関数はゼロであり、および/または、上記第2関数は、上記入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、および/または、上記入力信号の第3関数は上記最大入力信号である。平均線光出力が正確なままであるように、第2関数は曲げられていることが好ましい。これは、本発明が平均線形ピクセル値に影響を与えないということを意味する。従って、本発明を用いる静止画について、色彩は影響を受けない。通常、ディスプレイのピクセルの大部分は、例えば輝度またはRGBといった、ピーク値の50%をはるかに下回る色差を有し、これらの値は、先行技術で行われているのが知られているように、黒線挿入と同じ方法で、表示される。
【0033】
本発明はまた、インターレース方式の入力信号をプログレッシブ方式の出力信号へと変換する方法であって、第1出力信号を生成し、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第1出力信号はゼロであり、または、入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合は、当該第1出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であるステップと、第2出力信号を生成し、入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第2出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、または、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合は、当該第2出力信号は当該最大入力信号であるステップとを含む、方法を与える。
【0034】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、上記第1出力信号の値は、常に、上記第2出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の値について、上記第1出力信号と上記第2出力信号との平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、当該入力信号の当該所与の値に対応する、上記第1出力信号と上記第2出力信号との平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0035】
本発明はまた、少なくとも1つの走査線を有する画像を拡大縮小する装置であって、下側波帯振幅変調器と上側波帯振幅変調器とを含み、当該下側波帯振幅変調器と当該上側波帯振幅変調器とは、それぞれ、入力信号を出力信号へと変換し、ここで、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第1関数であり、または、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第2関数であり、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第2関数であり、または、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第3関数であり、当該入力信号は入力線を含み、当該出力信号は、それぞれ、当該上側波帯振幅変調器または当該下側波帯振幅変調器によって変調される当該入力線に対応する第1出力線と、当該下側波帯振幅変調器または当該上側波帯振幅変調器によって変調される当該入力線に対応する第2出力線とを含む、画像を拡大縮小する装置を与える。
【0036】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、上記下側波帯振幅変調器の上記出力信号の値は、常に、上記上側波帯振幅変調器の上記出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0037】
好ましくは、上記装置はさらに、上記下側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための、または、上記上側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための遅延選別要素を含む。
【0038】
上記装置はまた、上記下側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングし、上記上側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングするための交差型スイッチを含んでもよい。
【0039】
本発明はまた、少なくとも1つの走査線を有する画像を拡大縮小する装置であって、nは2以上の整数であるとして、入力信号を出力信号へと変換するn個の振幅変調器を含み、mは1より大きくn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数であり、当該出力信号はm個の出力線を含み、m番目の出力線は、m番目の振幅変調器によって変調された入力信号に対応する、画像を拡大縮小する装置を与える。
【0040】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、(m−1)番目の振幅増幅器の出力信号の値は、常に、m番目の振幅増幅器の出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、当該入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0041】
好ましくは、m番目の出力線は、時間間隔Δt
kで、m番目の振幅変調器によって振幅変調される。
【0042】
任意で、上記入力信号の上記第1関数は、上記入力信号=最大入力信号×(m−1)/nである場合、上記入力信号の上記第2関数に等しく、上記入力信号の上記第2関数は、上記入力信号=最大入力信号×m/nである場合、上記入力信号の上記第3関数に等しい。
【0045】
であり、fとgとkとはそれぞれ整数であるとして、上記入力信号と上記出力信号とは、それぞれ、f個のフレームを含み、g番目の振幅増幅器は、g+k×n番目のフレームを変換する。
【0046】
上記装置はまた、ビデオ入力を格納し、当該入力信号を上記振幅増幅器へと出力するためのビデオデータフレームメモリ、および/または上記振幅増幅器の出力信号を切り替えるマルチプレクサを含んでもよい。
【0047】
任意で、上記入力信号の第1関数はゼロであり、および/または、上記第2関数は、上記入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、および/または、上記入力信号の第3関数は上記最大入力信号である。
【0048】
本発明はまた、少なくとも1つの走査線を含む画像を拡大縮小する方法であって、第1出力信号を生成し、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第1出力信号はゼロであり、または、入力信号が最大入力信号よりも大きい場合は、当該第1出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であるステップと、第2出力信号を生成し、入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第2出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、または、当該入力信号が最大入力信号よりも大きい場合は、当該第2出力信号は当該最大入力信号であるステップとを含み、当該入力信号は入力線を含み、当該出力信号は、当該第1出力信号に対応する第1出力線と、当該第2出力信号に対応する第2出力線とを含む、画像を拡大縮小する方法を与える。
【0049】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、上記第1出力信号の値は、常に、上記第2出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の値について、上記第1出力信号と上記第2出力信号との平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、当該入力信号の当該所与の値に対応する、上記第1出力信号と上記第2出力信号との平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0050】
本発明はまた、少なくとも1つの走査線を含む画像におけるモーションブラーを減少させるための装置であって、下側波帯振幅変調器と上側波帯振幅変調器とを含み、当該下側波帯振幅変調器と当該上側波帯振幅変調器とは、それぞれ、当該入力信号を出力信号へと変換し、ここで、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第1関数であり、または、当該下側波帯振幅変調器の当該出力信号は、入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第2関数であり、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合、当該入力信号の第2関数であり、または、当該上側波帯振幅変調器の当該出力信号は、入力信号が最大入力信号の半分よりも大きい場合、当該入力信号の第3関数であり、当該出力信号は、第1出力フレームと第2出力フレームとを含み、それぞれ、当該第1出力フレームは、当該上側波帯振幅変調器または当該下側波帯振幅変調器によって変調され、当該第2出力フレームは、当該下側波帯振幅変調器または当該上側波帯振幅変調器によって変調される、画像におけるモーションブラーを減少させるための装置を与える。
【0051】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、上記下側波帯振幅変調器の上記出力信号の値は、常に、上記上側波帯振幅変調器の上記出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記下側波帯および上記上側波帯の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0052】
好ましくは、上記装置は、上記下側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための、または、上記上側波帯振幅変調器の上記入力信号を、遅延および/または選別するための遅延選別要素を含む。
【0053】
例えば、上記入力信号は入力フレームを含み、当該入力フレームは、それぞれ、偶数番目の走査線または奇数番目の走査線に対応する第1入力フィールドと奇数番目の走査線または偶数番目の走査線に対応する第2入力フィールドとを含む。
【0054】
上記装置は、上記下側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングし、上記上側波帯振幅変調器の出力信号をルーティングするための交差型スイッチを含んでもよい。
【0055】
本発明はまた、画像におけるモーションブラーを減少させるための装置であって、nは2以上の整数であるとして、入力信号を出力信号へと変換するn個の振幅変調器を含み、mは1より大きくn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数であり、当該入力信号は入力線を含み、当該出力信号はm個の後続する出力線を含み、後続するm番目の出力線は、m番目の振幅変調器によって変調された入力信号に対応する、画像におけるモーションブラーを減少させるための装置を与える。
【0056】
極値を除き、上記入力信号の各々の値について、(m−1)番目の振幅増幅器の出力信号の値は、常に、m番目の振幅増幅器の出力信号の値よりも低く、それによって、上記入力信号の任意の所与の値について、上記入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、上記入力信号の値に等しく、もしくは、上記入力信号の任意の所与の値について、非線形のまたはガンマ補正された出力値があり、そして、当該入力信号の当該所与の値に対応する、上記n個の振幅変調器の上記出力信号の平均値は、当該所与の入力信号についての、当該非線形のまたは当該ガンマ補正された出力値に等しい。
【0057】
例えば、上記入力信号の上記第1関数は、上記入力信号=最大入力信号×(m−1)/nである場合、上記入力信号の第2関数に等しく、上記入力信号の上記第2関数は、上記入力信号=最大入力信号×m/nである場合、上記入力信号の第3関数に等しい。
【0060】
であり、fとgとkとはそれぞれ整数であるとして、上記入力信号と上記出力信号とは、それぞれ、f個のフレームを含み、g番目の振幅増幅器は、g+k×n番目のフレームを変換する。
【0061】
上記装置は、ビデオ入力を格納し、当該入力信号を上記振幅増幅器へと出力するためのビデオデータフレームメモリ、および/または上記振幅増幅器の出力信号を切り替えるマルチプレクサを含んでもよい。
【0062】
任意で、上記入力信号の第1関数はゼロであり、および/または、上記第2関数は、上記入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、および/または、上記入力信号の第3関数は上記最大入力信号である。
【0063】
本発明のこれらの側面および他の側面は、以下に記載される実施形態への参照から明らかになるであろうし、以下に記載される実施形態を参照して説明されるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明を、ある実施形態に関して図を参照しながら説明するが、本発明はこの説明によって限定されるものではなく、請求項によってのみ限定される。描かれている図は単に概略図であり、これに限定するものではない。図において、例示目的で、いくつかの構成要素の大きさは誇張され、実際の大きさに描かれていないことがある。さらに、説明や請求項の中の、第1、第2、第3、などの用語は、類似した構成要素を識別するために用いられており、必ずしも番号順や時系列を説明するためのものではない。そのように用いられている用語は、適切な状況下で置き換えることができ、ここで説明される本発明の実施形態は、ここに説明および図示した以外の番号順によって操作され得る、ということは理解されるべきであろう。
【0066】
さらに、説明や請求項の中の、上部、底部、上に、下に、などの用語は、説明のために用いており、必ずしも相対的な位置を記述したものではない。そのように用いられている用語は、適切な状況下で置き換えることができ、ここで説明される本発明の実施形態は、ここに説明および図示した以外の位置によっても実施可能である、ということは理解されるべきであろう。
【0067】
請求項の中で使用されている「から成る」という用語は、その語の後に列挙された手段に限定されて解釈されるべきではない。すなわち、それ以外の構成要素やステップを除外するわけではない。したがって、「手段Aと手段Bとから成るある装置」という表現を考えた場合、手段Aおよび手段Bのみから成る装置に限定するべきではない。それは、本発明に関して、単に上記装置に関連性のある構成要素は、AとBとであることを意味している。
【0068】
図1は、ビデオ信号のインターレース解除の質を向上させるための、本発明の好ましい実施形態に従った装置を示している。ビデオ入力信号1は、色のサブサンプリングあるいはRGBデータの有無によらず、単色信号、つまり黒と白との、YuVデータを含んでもよい。ビデオ入力信号1は、複数のフレームを含んでいる。各フレームは2つのフィールドを含み、フレームの情報の半分を各フィールドが含む。フィールド遅延部2は、インターレース方式のビデオデータの流れである、ビデオ入力1を、1フィールドの期間遅らせる。必須ではないが、第2フィールド遅延部2は、ビデオ処理の質を向上させるために用いられる。このようにして、データの3つの連続したフィールドが、以降の処理のために利用可能である。したがって、現在のフィールドの中に、次のフィールドおよび1つ前のフィールド由来のデータの挿入を可能にする。明らかに、このタイプの処理は1フィールド分の潜伏を導入し、先行技術に基づき知られているように、幾つかのアルゴリズムが、時間を振り返るのみであり、挿入について前のフィールドのみを利用するのは、これがその理由である。複数ライン遅延部3は、インターレース方式のビデオデータストリームを、いくつかの走査線期間遅らせる。これも必須ではないが、複数ライン遅延部3は画像処理の質を向上させるために用いられる。より本来に近いビデオ走査線を考慮に入れる時、それはより高水準のフィルタリングを可能にするため、一時的フィールド内空間再構築はもっと質の高いものになるだろう。
【0069】
高水準FIRフィルタ部4は、フィールド内補間法を用いて、欠けている走査線を再構築する。欠けている走査線の場所でのフィールド内再構築は、次のフィールドと1つ前のフィールドとの、挿入または空間的補間のいずれかを選択するための参照として用いられる。現在のフィールドの中に、1つ前のフィールドと次のフィールドとが挿入できない場合、空間的に補間された走査線は、現在のフィールドにおいて欠けている走査線を埋めるために用いられる。欠けている走査線の上側および下側の走査線の単純平均は、1走査線の遅延のみを要求する1次近似である。
【0070】
中央値部5は、3つの連続したフィールドの中央値を選び出す。次のフィールドおよび前のフィールドからの原走査線は、中央値部5に供給される。もう一方の入力は、フィールド内再構築キュービックFIRフィルタ部4から来る。このように、中央値を選ぶことは、欠けている走査線に対して挿入されるのに適した値を確保する。
【0071】
下部波帯振幅変調器6および上部波帯振幅変調器7は本発明の最も重要な部材であり、後に説明する。下部波帯振幅変調器6はまた下部波帯部とも呼ばれ、上部波帯振幅変調器7はまた上部波帯部とも呼ばれ、より一般的には「振幅変調器」と呼ばれる。
【0072】
2:2Xスイッチは、奇数走査線と偶数走査線とを、本発明で記載されるように、強化されたインターレース解除部の出力へと送り出すクロス型スイッチ8であり、当該出力は、その後、別のビデオ処理部へと送り出され得る。スイッチ8は、現在のフィールド9が偶数フィールドなのか奇数フィールドなのかに応じて、再構築された走査線を対応する偶数出力または奇数出力へと送り出す間に、原走査線を対応する偶数出力あるいは奇数出力へと送り出す。このように、スイッチ8の出力信号は、ビデオ出力偶数走査線10とビデオ出力奇数走査線11とである。
【0073】
図2は、
図1に比べより低コストな可能な実施形態として、1次「平均化」FIRフィルタ部12の使用を示している。これは、動いている画像の解像度の低下を場合によっては招くが、本発明によりもたらされる利益は同じままである。それぞれ異なる波帯部が、詳しくは後述するように、フィールドデータに適用されるホールド効果を最小化することによって、運動性能を向上させる。1次「平均化」FIRフィルタ部12は、ライン遅延部13からの供給を受ける。
【0074】
図3は、波帯部と組み合わせる「任意のアルゴリズム」14の可能な使用方法を示しており、本発明の具体化として好ましい。このようなアルゴリズムは、3つの数値の、つまり3つのピクセルのビデオ値の、中央値を選び出す標準的な中央値フィルタを含んでいる。上記3つのピクセルとは、現在の欠けている走査線の上側の走査線の中で同列にあるピクセル、下側の走査線の中の同列にあるピクセル、および、現在の走査線が欠けていなかった1つ前のフィールドにおける同じ位置にあるピクセルである。従って、前述の説明において言及されたように、遅延フィルタ部は、フィールド遅延部2と、複数ライン遅延部3と、高水準FIRフィルタ部4と、中央値部5と、平均値フィルタ部12と、ライン遅延部12および「任意のアルゴリズム」の少なくともいずれか一方と、を組み合わせて構成され得る。
【0075】
さらにより単純化する手段は、「上側」波帯を上記データに適用する間に、「下側」波帯を上記データに適用した後の前のフィールドを、現在のフィールドの原走査線の中へと、単に挿入することである。
【0076】
図1から
図3に示すように、原走査線のビデオ振幅は、「上側波帯」部および「下側波帯」部によって再構築された走査線とは別の仕方で、変調される。しかし、完全な黒、および完全な白の水準は影響されない。このことは、黒を背景にした完全に白色の対象は、いかなる色空間の影響も受けないことを意味している。RGB色空間では、以下の完全飽和した色、黒、白、緑、赤、青、黄、紫、青緑(cyan)、は影響を受けない。
【0077】
例えば、黒い背景の上を白い文章がスクロールする動きは、ビデオ振幅変調によって向上されない。「実生活」の環境においては、典型的な画像の平均輝度は、最高の「白のピーク」値の10%から18%の範囲である。このような画像の典型的なヒストグラムを
図4に示す。
図4は、大抵のピクセルは、使用可能な輝度範囲のある1部分だけを使用しているという事実を示している。このことは、
図5に示されたように、「上側波帯」および「下側波帯」によるビデオ振幅変調が大多数のピクセルに重大な影響を与えることを意味している。
【0078】
図5は、原走査線(上側波帯)、および、挿入された再構築走査線(下側波帯)のそれぞれに対して使用された波帯を示している。この図の基調となる絶対値は、
図6の表に載せた。
【0079】
図6の値は、8ビット線形処理の場合に示す値である。多くの上位利用例において、より良く認識された色符号化を達成するためにガンマ化が用いられている。そのような場合、信号は様々な色差のビット深度を増す線光領域に変換される。
【0080】
当然、表は実際のビット深度に応じて変わる。場合によっては、入力値をガンマ化解除する必要はない。そのような場合、
図5および
図6に示す波帯は、平均線光出力が正しいままであるように曲げられるであろう。言い換えれば、平均線形ピクセル値に影響はない。静止画像におけるこの変調によって、影響を受ける色はない。
【0081】
正しい値は以下のようにして確保される。入力信号の任意の値に対して、入力信号の任意の値に対応する、下側波帯および上側波帯の振幅変調器の出力信号の平均値が入力信号の値に等しい。もしくは、入力信号の任意の値に対して、非線形またはガンマ補正された出力値があり、入力信号の任意の値に対応する、下側波帯および上側波帯の振幅変調器の出力信号の平均値は、任意の入力信号に対する、非線形またはガンマ補正された出力値に等しい。
【0082】
本発明の目的は、インターレース方式のCRTディスプレイで見られる脈動照明の効果へと近づくことである。ただ1つの場面を表示する走査された各フィールドは、理想的には、そのフィールドの期間内に、インターレースされた原走査線の位置に、ちょうどCRTディスプレイが表示するように、表示されるべきである。原走査線に対して「上側波帯」を適用している間、「下側波帯」を用いて挿入走査線を処理することによって、この効果は良く近似される。画像の大部分は、ちょうどCRTディスプレイのように、インターレース様式で表示されるであろう。ピクセルの大部分は、ピーク値の50%によりもずっと低い、輝度あるいはRGBを含んでいる色差を有しているので、これらの値は、黒線の挿入が行われるのと同じように表される。
【0083】
50%を超える値に対しては、「下側波帯」は挿入される黒線を生じさせることはないが、その代わりに、すべての色差の正確な平均を維持する間は、最大有効脈動効果が用いられる。最も明るいピークだけは両波帯による影響を受けず、従って、任意の2つの極限ピーク値の間を遷移する間、運動性能は向上しない。この制約は、放送に用いる場合といった、任意の実社会の画像シーケンスに、ほとんど影響を与えない。
【0084】
脈動照明を提供することによって、下側波帯振幅変調器の出力信号の値は、極値、すなわち黒もしくは白、を除いて、入力信号の各値に対する、上側波帯振幅変調器の出力信号の値よりも常に低い。
【0085】
ビデオ振幅変調の目的は、上記に示した説明のように、総天然色の正確さを保持したまま運動性能を向上させることである。しかし、変調されたビデオがパネルを別の方法で用いているときの、直視型のLCDパネル上の色認識に積極的な意味で影響する。知覚される色の向上は、視角に依存している。
図7は異なる視角での典型的なLCDパネルの動作を示している。ここに示すように、いわゆるディスプレイガンマは視角に影響される。
【0086】
ビデオデータが
図5に示したように変調されるとき、視角依存性は
図8に示したように変化する。
【0087】
直角視聴状態では、
図7および
図8のディスプレイガンマ波帯は等しい。広視角視聴状態では、視角に依存する、望ましくない色のずれが、本発明に記載のビデオ振幅変調を用いたときには、軽減されることが明らかである。
図9は、本発明を用いることによる視角依存性に関する改善を示している。
【0088】
色のずれの軽減に関する上述の恩恵は、本発明の全ての可能な実施形態に対しても効果的である。拡張インターレース解除法および拡張フレームレート増加法もこれらに含まれる。色のずれの軽減の恩恵は、直視型LCDスクリーンなどのディスプレイでのみ効果的であり、例えばDLP映写では効果的ではない。
【0089】
例えばCRTディスプレイのように、あるk番目の全映像もしくはフレームを表示するためには、空間情報と時間情報とを含むビデオ信号は、
図10に示すように、偶数(E)フィールドと奇数(O)フィールドとに分割される。最初の段階で、偶数フィールドに含まれる情報が表示される。いったん、電子線によりCRTスクリーン上に全ての偶数走査線が「描画」されたら、奇数走査線が表示される。人間の眼の遮断周波数よりも高い周波数によってこれを行うことで、たとえ2つのフィールドが重なりを持たない時間間隔Δt
1とΔt
2の間に表示されたとしても、人間である視聴者は
図11に示すような再構築されたフレームを見ることとなる。
【0090】
本発明では、プログレッシブ方式のディスプレイ上に
図10のフレームを表示させるために、最初のフィールドはメモリもしくは「フィールド遅延部」(
図3参照)により、受信され、格納される。分かり易くするためにのみ、第1のフィールドが
図10に示した偶数フィールドであると仮定する。
【0091】
2番目のフィールドの第1走査線、この例における第1の奇数走査線、が受け取られるか表示可能になったとき、本発明によるプログレッシブ方式のディスプレイ上の表示は以下のように進行する。
【0092】
第1の偶数走査線のデータは、「下側波帯」振幅変調器6によって振幅変調され、プログレッシブ方式のディスプレイ上の表示に送り出される。第1の奇数走査線のデータは、「上側波帯」振幅変調器7によって振幅変調される。第2の偶数走査線のデータは、「下側波帯」振幅変調器6によって振幅変調され、プログレッシブ方式のディスプレイ上の表示に送り出される。偶数走査線と奇数走査線の表示は偶数走査線が次々に受け取られるか表示可能になるたびに進行する。「奇数」走査線のデータは「上側波帯」振幅変調器7によって振幅変調され、「偶数」走査線のデータは「下側波帯」振幅変調器6によって振幅変調される。いったん振幅変調されれば、各走査線または各走査線のデータは、プログレッシブ方式のディスプレイ上で表示するために送り出される。
【0093】
別の方法として、第2番目のフィールドがメモリまたはフィールド遅延部により完全に受信または格納されるまで、振幅変調とディスプレイは遅延されてもよい。
【0094】
「さまざまなフレーム」の偶数フィールドと奇数フィールドとは結合されてもよい。例えば、
図13のk番目および(k+1)番目のフィールドおよびフレームを考える。偶数フィールドE
kのデータもしくは偶数フィールドE
kの走査線は第1振幅変調F
1により振幅変調される。一方、奇数フィールドO
kのデータもしくは偶数フィールドO
kの複数の走査線は第2振幅変調F
2により振幅変調される。結合走査線もしくは(F
1×E
k,F
2×O
k)のセットが、プログレッシブ方式のディスプレイの表示に、次々に送り出される。
【0095】
(k+1)番目の偶数フィールドが受信され、または利用可能になるとき、1つ前のk番目の奇数フィールドと結合することが可能となる。すなわち、奇数フィールドO
kのデータもしくは走査線が今、第1振幅変調F
1により振幅変調され、一方、偶数フィールドE
k+1のデータもしくは走査線が、第1振幅変調F
2により振幅変調されることになる。結合走査線もしくは(F
2×E
k+1,F
1×O
k)のセットが、プログレッシブ方式のディスプレイ上の表示に、次々に送り出される。
【0096】
同様に、いったん(k+1)番目の奇数フィールドが受信され、または表示可能になるとき、(k+1)番目の偶数フィールドと結合することが可能となる。すなわち、奇数フィールドO
kのデータもしくは走査線が今、第1振幅変調F
1により振幅変調され、一方、偶数フィールドE
k+1のデータもしくは走査線が、第1振幅変調F
2により振幅変調されることになる。結合走査線もしくは(F
1×E
k+1,F
2×O
k+1)のセットが、プログレッシブ方式のディスプレイ上の表示に、次々に送り出される。
【0097】
図14は、連続した偶数フィールドと奇数フィールドを結合させることによりプログレッシブ方式のディスプレイに表示させることが可能な、さまざまなフレームを示している。複数のフィールドを任意に結合させたものを表示している間の時間間隔と、当該表示が開始される時間とは、ディスプレイ使用法によっても異なる可能性があり、また、例えばメモリあるいは利用可能なフィールド遅延部のサイズや、メモリのアクセス速度に依存する可能性がある。1つの例を
図15に示す。
図8の時間t
1、t
2、t
3、t
4、t
5は
図13に記載されているものと同じ時間である。
【0098】
本発明のさらなる実施形態において、本発明を利用する場合、受信するビデオデータはインターレース化される必要はない。しかし、本発明は、CRTディスプレイで体験する視覚体験を、プログレッシブ方式のディスプレイ上で、再現することを目的とするため、個々の時間間隔の間に表示される画像データを指定するフィールドおよびフレームに、依然として関連する。
【0099】
この実施形態では、プログレッシブ方式のディスプレイ上で表示させる画像または映像は、複数の走査線に分割される(
図16のL
0、L
1〜L
5)。フレーム間隔(Δt
1+Δt
2)の最初の時間間隔Δt
1において、データあるいは走査線は、第1振幅変調F
1あるいは「上側波帯」より振幅変調される(
図3)。フレーム間隔(Δt
1+Δt
2)の2番目の時間間隔Δt
2において、データあるいは走査線は、第2振幅変調F
2あるいは「下側波帯」より振幅変調される(
図16)。最初の時間間隔Δt
1と2番目の時間間隔Δt
2とが
図11または
図12に示された偶数フィールドおよび奇数フィールドに割り当てられた時間間隔に相当する間、その両方の時間間隔に置いて、全映像あるいは全走査線(偶数走査線と奇数走査線)が表示される。
【0100】
下側波帯振幅変調器の出力信号の値は、極値を除いて、入力信号の各値に対する、上側波帯振幅変調器の出力信号の値よりも常に低い。
【0101】
フレーム時間間隔(典型的には16ミリ秒もしくは32ミリ秒続く)は、2つ以上の間隔に分割されてもよい。分割された各々の時間間隔Δt
k(
図18)に対して、データあるいは走査線は特定の振幅変調F
kにより振幅変調され得る。
【0102】
この実施形態の中で提案される振幅変調の目的は、プログレッシブ形式のディスプレイに典型的なモーションブラーを低減させることである。通常このモーションブラーは、ブラックフレームを挿入したり、バックライトを走査させたりして解消される。ブラックフレームの挿入によって起こることに反して、提案される発明は、コントラストおよび明度の少なくともいずれか一方を低下させることなく、モーションブラーを低減させる。提案される発明はまた、走査バックライトのような専用のハードウェアおよび特殊なハードウェアの少なくともいずれか一方を要求することなく、映像の質も向上させる。
【0103】
N本の走査線から成る画像を表示したく、例えば2倍多い走査線から成るディスプレイ上に表示する場合、拡大縮小の問題が生じる。この実施形態の中では、本発明はインターレース化されたデータに限定されない。N本の走査線から成る画像を「拡大縮小し」、当該画像を2N本の走査線を備えるディスプレイに合わせる周知技術において、各走査線は単に2倍されるだけである。
【0104】
従来技術体系により知られているこの走査線倍増は、解像度の低下を伴い、明らかに映像の質が低下してしまう。映像の質の低下を防ぐため、もしくは少なくとも映像の質の低下を減少させるために、本発明は
図19に示すように、データあるいは走査線の振幅を変調することを提案する。原走査線(例えばL
0)の振幅は、第1振幅変調あるいは「上側波帯」によって変調されてF
1×L
0を生成し、その「対」の振幅は、第2振幅変調あるいは「下側波帯」によって変調されて、例えばF
2×L
0を生成する。
【0105】
下側波帯振幅変調器の出力信号の値は、極値を除いて、入力信号の各値に対する、上側波帯振幅変調器の出力信号の値よりも常に低い。
【0106】
以下の実施形態は、フレームレート増加を用いた時に、運動性能を向上させるための手段を示す。以下に記載の増加倍率に限定されはしないが、2倍と3倍のフレームレート増加の例のみを説明する。明らかに、他の全ての離散的な整数のフレームレート倍増の倍率について、同様の実施例も認められ、本発明はここに示される例に制限されない。
【0107】
図20に示すように、ビデオ入力は単色信号(黒と白)、YuVデータ(色のサブサンプリングの有無)、もしくはRGBデータであり得る。LCDパネルのような多くのディスプレイはRGBビデオデータを受容するため、これが好ましいビデオフォーマットである。
【0108】
ビデオデータを格納するため、ビデオデータフレームメモリが好ましい。各ビデオフレームはメモリに一度書き込まれ、書込み速度のおよそ2倍の速さで読み出される。好ましくは、フレームのおよそ半分がメモリに書き込まれた直後に最初の読み出し処理を開始することにより得られる、最小の遅延を導入する間に、この処理が実行される。この機能を実行するのに、キャッシュDRAMメモリ装置を用いることもできる。
【0109】
下側波帯部および上側波帯部は、再び、本発明のこの実施形態における本質的な部分である。図は波帯部の一部として直線走査線を示唆するが、これは、ビデオ入力が線光出力を示す場合にのみ正しい。曲がった、ガンマ化された信号の場合、同じように、これら2つの変調関数を曲げる必要がある。
【0110】
この実施形態に記載されたガンマ化された波帯とは異なり、ここで言及される波帯は、LCDパネルにかけられる駆動電圧レベルと、この電圧に対応して得られる光出力との間の関係を説明する。ときどき、LCDパネル非線形を指して、s波帯という言い方が使われる。
【0111】
あとの目的は、「下側波帯」部および「上側波帯」部の出力での正確な平均値を取得することである。明らかに、このタイプの補正はDLP映写機のような線形動作を用いた表示技術には必要ない。
【0112】
正しい値を維持することによって、入力信号の任意の値に対して、入力信号の任意の値に対応する、下側波帯および上側波帯の振幅変調器の出力信号の平均値は、入力信号(線形動作)の値に等しい。もしくは、入力信号の任意の値に対して、非線形またはガンマ補正された出力値があり、入力信号の任意の値に対応する、下側波帯および上側波帯の振幅変調器の出力信号の平均値は、任意の入力信号に対する、非線形またはガンマ補正された出力値に等しい。
【0113】
多重化器2:1部は、上記2つの適用波帯を切り替える。画像の最初のフレームは「上側波帯」によって表示され、その間に「下側波帯」は繰り返されたフレームに適用される。上記多重化器はこの実施形態において物理的に存在する必要はない。「上側波帯」および「下側波帯」が参照表としてメモリに記憶された関数である場合、上記多重化関数は、当該2つの波帯を含む当該参照表の或る読出しアドレスビットを変調することよって、実行されることができる。この場合、上記読出しデータが上記ビデオ出力へと結合される間に、その他の読出しアドレスビットはフレーム格納データ出力へと結合され得る。一次関数の場合、線形ビデオデータを処理するとき、当該関数は基本論理ポートにおいて容易に実行でき、多重化関数は、その論理回路への追加入力によって、実行可能である。
【0114】
ここで示される多重化器は、単に、上記変調を、上記偶数フレーム/奇数フレーム信号の関数として説明する。上記変調は、本明細書において、後により詳しく説明するように、本発明を用いた運動性能の向上にとって重要である。
【0115】
図21は、前述までの方法をフレームレート3倍増へと、如何にして展開するかを示している。フレーム3倍増を用いるとき、最良の可能な運動性能を達成するには、第3の変調波帯が必要である。3つの波帯は、それぞれ「上側波帯」「中間波帯」「下側波帯」として示される。これら3つの波帯の平均値は、繰り返すが、原入力値である。前述の2つの波帯の組み合わせのときと同様、極値は影響されない。ビデオ振幅変調処理は、中間的な色調にとって有益である。
【0116】
例えば20%輝度を伴う対象を表示する場合、ピーク値の60%を「上側波帯」として使用する第1フィールドが、最初の表示期間の間に、適用される。第2フィールドの間に、「中間波帯」が適用され、輝度は0%となる。「下側波帯」が適用される時、第3フィールドの間に同じことが起こる。或るフレームが60%を表示し、一方、それに連続するその他の2つのフレームは黒である時、20%という正しい平均が観察される。上記表示はホールド状態における3分の1時間に過ぎないため、運動性能を向上させる脈動照明の効果について留意されたい。
【0117】
同様に、40%輝度を伴う対象を表示する場合、ピーク値の100%を「上側波帯」として使用する第1フィールドが、最初の表示期間の間に、適用される。第2フィールドの間に、「中間波帯」が適用され、輝度は20%となる。第3フィールドの間に、「下側波帯」が適用されるとき、輝度は0%となる。或るフレームが100%を表示し、次のフレームが20%を表示し、最後のフレームが黒であるとき、40%という正しい平均が観察される。完全な100%に対して上記表示はホールド状態における3分の1時間に過ぎないため、運動性能を向上させる脈動照明の効果について、再度留意されたい。
【0118】
同様な観察は、全てのビデオレベルにおいて可能である。記載された回路は、全ての可能な遷移の間に、ホールド効果を最小化することによって、最高の可能な運動性能を常に保証することは明らかである。
【0119】
例えば、3つまたはそれ以上の、n個の振幅変調器を想定した場合、(m−1)番目の振幅変調器の出力信号の値は、極値を除く上記入力信号の各値について、m番目の振幅変調器の出力信号の値よりも、常に低い。それによって、入力信号の任意の所定の値について、当該入力信号の任意の所定の値に対応する、n個の振幅変調器の出力信号の平均値は、当該入力信号(線形オペレーション)の値に等しい。または、上記入力信号の任意の所定の値について、非線形またはガンマ補正された出力値があり、そして、上記入力信号の所定の値に対応する、n個の振幅変調器の出力信号の平均値は、上記所定の入力信号についての、非線形またはガンマ補正された出力値に等しい。
【0120】
図22の表は、様々なビデオ成分のレベルに対する脈動光効果を示す。
【0121】
ここで再び、
図22の値は、8ビット線形処理の場合の表示値である。当然、この表は実際のビット深度および非線形符号化によっても変化する。
図22の表に挙げられた3つの波帯によって用いられる平均値は、常に入力レベルに対応するため、静止画像において、この変調によって影響を受ける色はない。
【0122】
最も明るいピークだけは両波帯による影響を受けず、従って、任意の2つの極限ピーク値の間を遷移する間、運動性能は向上しない。しかし、前述のように、この制約は任意の実社会の画像シーケンスに、ほとんど影響を及ぼさない。フレームを倍増した実施形態において、本発明の目的は、インターレース方式のCRTディスプレイでみられるような脈動照明効果に近づくことであり続けている。大抵の画像は、脈動照明を用いて表示されることになる。これは、典型的にはLCDのようなホールド型ディスプレイ技術によってもたらされるモーションブラーの大部分を除去する。
【0123】
適用されるフレームの倍増倍率が高くなるほど、ここで提案されている方法と手段とによって、運動性能をより向上させることができる。フレームを3倍に倍増することは、フレームを2倍にするのよりもさらに、運動性能を向上させることができる。なぜならば、フレームを3倍に倍増すると、フレームを2倍にした場合の50%に比べ、ほとんどの遷移の間のホールド時間が、フレーム期間の33%にまで減少するためである。フレームを4倍にすると、最良の可能なホールド時間は、ほとんどの遷移の間のフレーム期間のたった25%にまで減少するだろう。
【0124】
本発明は、詳細に、そして、図およびこれまでの説明の中で、示されてきたが、これらの図と説明とは、実例もしくは典型例と見なされるべきであり、これらに限定されるものではない。つまり、本発明は示される実施形態に制限されない。
【0125】
示される実施形態の他の変形例は、図面、公報、および後述する請求項を研究することにより、本発明に係る技術分野の当業者によって、理解され、実施され得る。請求項の中の「から成る」という単語は、他の要素やステップを除外しないし、不定冠詞「a」あるいは「an」は複数であることを除外しない。或る手段が相互に異なる従属項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段を組み合わせて有意に用いることはできないということを、示すものではない。請求項の中のいかなる引用符号も、特許請求の範囲を限定するものとして、解釈されるべきではない。
なお、本発明の一実施形態(例えば実施形態7)に係る装置は、以下のように表現することができる。すなわち、実施形態7に係る装置は、インターレース方式のビデオ信号をプログレッシブ方式のビデオ信号へと変換する装置であって、入力信号としてのインターレース方式のビデオ信号と出力信号とを有し、当該ビデオ信号と当該出力信号とはそれぞれビット深度を有する、装置であって、nは2よりも大きな整数であるとして、当該入力信号を出力信号に変換するn個の振幅変調器を含み、ここで、mは1以上でn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数であり、上記出力信号はn個の出力フレームを含み、m番目の出力フレームはm番目の振幅変調器の出力信号に対応する装置である。ここで、実施形態7に係る装置は、ビデオ入力を格納し、当該入力信号を上記振幅変調器へと出力するためのビデオデータフレームメモリ、および/または、上記振幅変調器の出力信号を切り替えるマルチプレクサを含んでもよい。本発明の一実施形態(例えば実施形態11)に係る装置は、以下のように表現することができる。すなわち、実施形態11に係る装置は、少なくとも1つの走査線を有する画像を拡大縮小する装置であって、入力信号としての当該画像を表示するビデオ信号と出力信号とを有し、当該ビデオ信号と当該出力信号とはビット深度を有し、nは2よりも大きな整数であるとして、入力信号を出力信号へと変換するn個の振幅変調器を含み、ここで、mは1以上でn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数であり、当該出力信号はm個の出力線を含み、m番目の出力線は、m番目の振幅変調器によって変調された入力信号に対応する、画像を拡大縮小する装置である。本発明の一実施形態(例えば実施形態12)に係る方法は、以下のように表現することができる。すなわち、実施形態12に係る方法は、少なくとも1つの走査線を含む画像を拡大縮小する方法であって、入力信号として当該画像を表示するビデオ信号を与え、当該入力信号はビット深度を有するステップと、第1出力信号を生成し、当該入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第1出力信号はゼロであり、または、入力信号が最大入力信号よりも大きい場合は、当該第1出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であるステップと、第2出力信号を生成し、入力信号が最大入力信号の半分よりも小さい場合は、当該第2出力信号は当該入力信号の直線形関数、または曲線形関数、またはシグモイド関数であり、または、当該入力信号が最大入力信号よりも大きい場合は、当該第2出力信号は当該最大入力信号であるステップとを含み、当該入力信号は入力線を含み、出力信号は、当該第1出力信号に対応する第1出力線と、当該第2出力信号に対応する第2出力線とを含み、当該出力信号はビット深度を有する、画像を拡大縮小する方法である。本発明の一実施形態(例えば実施形態14)に係る装置は、以下のように表現することができる。すなわち、実施形態14に係る方法は、画像におけるモーションブラーを減少させるための装置であって、当該画像を表示する、入力信号としてのビデオ信号と、出力信号とを有し、当該ビデオ信号と当該出力信号とはそれぞれビット深度を有し、nは2よりも大きな整数であるとして、入力信号を出力信号へと変換するn個の振幅変調器を含み、ここで、mは1以上でn以下の整数であるとして、m番目の振幅変調器の出力信号は、入力信号<最大入力信号×(m−1)/nである場合、当該入力信号の第1関数であり、入力信号>最大入力信号×(m−1)/nであり、かつ当該入力信号<最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第2関数であり、入力信号>最大入力信号×m/nである場合、当該入力信号の第3関数であり、当該入力信号は入力線を含み、当該出力信号はm個の後続する出力線を含み、後続するm番目の出力線は、m番目の振幅変調器によって変調された入力信号に対応する、画像におけるモーションブラーを減少させるための装置である。