(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後方向に沿う複数本の縦桟と左右方向に沿う複数本の横桟とが格子状に連結されて前方に低く傾斜した架台フレーム上に、太陽光発電パネルが取り付けられ、該架台フレームの前部側及び後部側の下方に、架台設置面より上方突出したコンクリート基礎が左右方向に沿って所定間隔置きに配置し、これらコンクリート基礎上に、前記架台フレームが各コンクリート基礎の頂部に固着された取付金具を介して上下及び左右方向に位置調整可能に支持固定されてなる太陽光発電パネル架台において、
架台フレームは、前部側において前記縦桟又は横桟を前記取付金具に、後部側において上端部が前記縦桟又は横桟に連結した支柱の下端部を前記取付金具に、それぞれ上下位置調整可能に固定され、且つ
前記架台フレームの横桟が隣接する前記支柱間に対応する長さに設定され、各横桟の端部が支柱の上端左右半部に連結されると共に、該架台フレームの左右両端に位置する支柱における横桟非連結の上端左右半部に横桟と略同様の縦断面形状を有する桁端部材が固着されてなる太陽光発電パネル架台。
前記取付金具は、左右方向の長孔を有する水平板部と、上下方向の長孔を有する垂直壁部とを有し、水平板部においてコンクリート基礎の頂面から突出したアンカーボルトを長孔に通してナットで締付固定すると共に、垂直壁部において長孔を通して架台フレーム側の支持部に貫通させた取付ボルトにナットを締付固定するように構成されてなる請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル架台。
前記架台フレームが隣接する前記支柱間を1スパンとして3スパン以上の左右長さを有し、左右両端のスパンを含む一つ置き又は二つ置きの各スパンに、それぞれX字状に交叉した一対のブレースが設けられてなる請求項1〜6のいずれかに記載の太陽光発電パネル架台。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護、省資源、CO
2 削減等の観点から、平地及び傾斜地を含む地上やビル屋上の如き陸屋根に、多数基の太陽電池アレイを並設したメガソーラーやギガソーラーと称される大規模太陽光発電施設が普及しつつある。しかるに、一般的に太陽電池アレイは、複数枚の太陽光発電パネル(太陽電池モジュール)を平面的に並べた短辺数m、長辺数m〜数十mといった大型で且つ重い上、受光効率面より所定の傾斜角度で配置することで風圧を受け易く、また地震による揺れの影響も受け易いため、大きな構造的強度が要求され、また地上設置における地面の凹凸変化や設置後の地盤の不等沈下等にも対応する必要があり、加えて据付施工の容易化、コスト削減等も要求される。
【0003】
従来、このような太陽電池アレイを地上や陸屋根に据付けする手段として、コンクリート製の杭や土台をベースとして型鋼材等による架台を構築し、この架台上に太陽光発電パネルを設置する方式が多用されている。そして、該架台としては、太陽電池アレイの長手方向(左右方向)に沿って複数の支柱を間隔をあけて突設し、太陽光発電パネルを支承する架台フレームの前後傾斜方向に沿う縦桟の中間位置に各支柱の上端部を接続すると共に、各支柱の胴部と各縦桟の前部側又は前後両側部との間に傾斜アームを連結した構造(特許文献1)や、太陽光発電パネルを支承する架台フレームを前後及び左右に配列した支柱で支承すると共に、前後及び左右に隣接する支柱間に斜めや水平の補強桟を連結した構造(特許文献2)が代表的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記前者のように各支柱の上端部を架台フレームの縦桟の中間位置に接続する構造では、太陽電池アレイの短辺方向について一本の支柱で支える形になるため、耐荷重面より支柱を非常に太くする必要がある上、形態的に地震の揺れに弱く、また地形等から強風に晒され易い場所では充分な耐風圧強度を確保することが困難であり、据付場所の制約が大きいという難点があった。一方、上記後者の架台フレームを前後及び左右に配列した支柱で支承する構造では、太陽電池アレイの矩形単位の重量負荷が前後左右の四本の支柱に分散され、また支柱間が補強桟で繋がれることで架台構体としての強度も大きくなるが、メガソーラーやギガソーラーとして広い敷地に多数基の太陽電池アレイを平面的に並べて大型化する場合に、置き基礎における設置面の凹凸変化や杭基礎における埋入深さのバラツキ等により、前部側及び後部側の各々多数の支柱の高さを均等にするのに多大な労力と時間を要し、それだけ施工コストが嵩むと共に、高い施工精度を達成できても、施工後の地盤の不等沈下や雨水による地表浸食等で一部の支柱が浮いた状態になることも多々あり、地震動や風圧を受けた際の応力集中で太陽光発電パネルが損傷する懸念もあった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて、太陽光発電パネル架台として、前部側及び後部側のコンクリート基礎に対し、太陽光発電パネルを載せる架台フレームの支持部の高さと左右方向位置を調整可能であり、メガソーラーやギガソーラーとして太陽電池アレイが大型化しても多数の該支持部の高さと位置を容易に均等に揃えることができ、もって高い施工精度が得られ、また耐震強度及び耐風圧強度に優れて施工容易なものを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る太陽光発電パネル架台は、前後方向に沿う複数本の縦桟11と左右方向に沿う複数本の横桟12とが格子状に連結されて前方に低く傾斜した架台フレーム1上に、太陽光発電パネルPが取り付けられ、該架台フレーム1の前部側及び後部側の下方に、架台設置面(地面G)より上方突出したコンクリート基礎4A,4Bが左右方向に沿って所定間隔置きに配置し、これらコンクリート基礎4A,4B上に、架台フレーム1が各コンクリート基礎4A,4Bの頂部に固着された取付金具5A,5Bを介して上下及び左右方向に位置調整可能に支持固定されてなる
太陽光発電パネル架台において、架台フレーム1は、前部側において縦桟11又は横桟12を取付金具5Aに、後部側において上端部が縦桟11又は横桟12に連結した支柱2の下端部を取付金具5Bに、それぞれ上下位置調整可能に固定され、且つ 架台フレーム1の横桟12が隣接する支柱2,2間に対応する長さに設定され、各横桟12の端部が支柱2の上端左右半部に連結されると共に、該架台フレーム1の左右両端に位置する支柱2における横桟非連結の上端左右半部に、横桟12と略同様の縦断面形状を有する桁端部材13が固着されてなる構成としている。
【0008】
請求項2の発明は、上記請求項1の太陽光発電パネル架台において、コンクリート基礎4A,4Bは、置き基礎又は杭基礎からなる構成としている。
【0009】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2の太陽光発電パネル架台において、取付金具55A,5Bは、左右方向の長孔51を有する水平板部5aと、上下方向の長孔52を有する垂直壁部5b,5cとを有し、水平板部5aにおいてコンクリート基礎4A,4Bの頂面から突出したアンカーボルト41を長孔51に通してナットNで締付固定すると共に、垂直壁部5b,5cにおいて長孔52を通して架台フレーム1側の支持部(横桟12,支柱2)に貫通させた取付ボルトBにナットNを締付固定するように構成されている。
【0011】
請求項
4の発明は、上記請求項
1〜3のいずれかに記載の太陽光発電パネル架台において、後部側の支柱2,2間にブレース3が設けられてなる構成としている。
【0012】
請求項
5の発明は、上記請求項
4に記載の太陽光発電パネル架台において、ブレース3は、内部が複数の補強片3aで区切られた補強中空部3bを有する角材からなる構成としている。
【0013】
請求項
6の発明は、上記請求項
1〜5のいずれかに記載の太陽光発電パネル架台において、前部側のコンクリート基礎4Aが後部側のコンクリート基礎4Bよりも高く設定されてなる構成としている。
【0014】
請求項
7の発明は、上記請求項
1〜6のいずれかに記載の太陽光発電パネル架台において、架台フレーム1が隣接する支柱2,2間を1スパンとして3スパン以上の左右長さを有し、左右両端のスパンを含む一つ置き又は二つ置きの各スパンに、それぞれX字状に交叉した一対のブレース3,3が設けられてなる構成としている。
【発明の効果】
【0016】
次に、本発明の効果について図面の参照符号を付して説明する。まず、請求項1の発明に係る太陽光発電パネル架台では、太陽光発電パネルPを載せる架台フレーム1は、前部側及び後部側において、下方に左右方向に沿って所定間隔置きに配置したコンクリート基礎4A,4Bに取付金具5A,5Bを介して支持固定されるが、その支持部が該取付金具5A,5Bによって上下及び左右方向に位置調整可能であるため、メガソーラーやギガソーラーとして太陽電池アレイが大型化しても多数の該支持部の高さと位置を容易に均等に揃えることができ、もって高い施工精度が得られる。また、施工後の地盤の不等沈下や雨水による地表浸食等で一部のコンクリート基礎4A,4Bが浮いた状態になっても、その支持部の上下位置を再調整して本来の荷重負荷が加わる状態に戻すことで、地震動や風圧を受けた際の応力集中による太陽光発電パネルの損傷を未然に回避できる。
又、本発明によれば、架台フレーム1は、低い前部側では縦桟11又は横桟12を直接に取付金具5Aに固定し、高い後部側では支柱2を介して取付金具5Bに固定する構成であり、前部側がコンクリート基礎4Aに対して剛体的に強固に支持固定されているため、地震による大きな揺れや風圧を受けても倒壊が防止されると共に破損や歪みも生じにくく、また前部側に支柱を用いないことから、部材点数が少なくなり、それだけ組立施工が容易になって部材コストも低減される。
更に又、本発明によれば、架台フレーム1の横桟12を隣接する支柱2,2間に対応する長さとして、各横桟12の端部を支柱2の上端左右半部に連結する構成とすることで、架台フレーム1が長大になっても該横桟12として同じ長さのものを継ぎ足す形で使用でき、もって部材及び作業の共通化による利点を享受できる一方、該架台フレーム1の左右両端位置では支柱2の上端左右半部が横桟非連結になるが、その非連結部分に横桟12と略同様の縦断面形状を有する桁端部材13を固着することで外観低下が防止される。また、該桁端部材13にその端面を隠すカバー材14を装着すれば、端部の見栄えを向上できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、コンクリート基礎4A,4Bが置き基礎又は杭基礎からなり、前者では設置面の凹凸変化により、後者では埋入深さのバラツキにより、それぞれ頂部高さが不揃いになり易く、また両者共に重量物であるため、順次機械力で吊り上げて左右方向に沿って所定間隔で設置してゆく際に位置ずれを生じ易いが、取付金具5A,5Bを介した上下及び左右方向の位置調整により、コンクリート基礎4A,4B自体の労力を要する位置修正作業を行うことなく、架台フレーム1側の支持部の位置を容易に揃えることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、取付金具5A,5Bは、コンクリート基礎4A,4Bに対し、その頂面から突出したアンカーボルト41を水平板部5aの長孔51に通してナットNで締付固定して取り付けると共に、架台フレーム1側の支持部(横桟12,支柱2)に対し、垂直壁部5b,5cの長孔52を通して取付ボルトBを貫通させてナットNで締付固定するものであるから、極めて簡素な構造によって確実に該支持部の上下及び左右方向の位置調整を行える。
【0020】
請求項
4の発明によれば、上記のように架台フレーム1の低い前部側が取付金具5Aに直接に固定される構成において、高い後部側の支柱2,2間にブレース3が設けられているから、耐震強度及び体風圧強度がより向上する。
【0021】
請求項
5の発明によれば、ブレース3は、内部が複数の補強片3bで区切られた補強中空部3aを有する角材からなるため、高剛性で且つ非常に強度が大きく、取付状態で曲がりや撓みを生じにくく、ブレースとしての高い補強作用を発揮すると共に、支柱2に対して両端部を強固にボルト止めしても、そのボルト止め部分がへしゃげる懸念もない。
【0022】
請求項
6の発明によれば、上記のように架台フレーム1の前部側が取付金具5Aに直接に固定され、後部側の支柱2,2間にブレース3が設けられた構成において、前部側のコンクリート基礎4Aが後部側のコンクリート基礎4Bよりも高く設定されているから、架台フレーム1の前部側の支承位置をフレーム前端よりも後方へ奥まった位置にしても、低いフレーム前端を高いコンクリート基礎4Aによって設置面から確実に上方へ離すことができる。一方、該架台フレーム1の後部側の支承位置をフレーム後縁よりも前方へ奥まった位置にしても、低いコンクリート基礎4Bによって支柱2が長くなり、それだけブレース3の傾斜角度が大きくなって筋交いとしての補強効果を高めることができる。そして、このように架台フレーム1の前部側と後部側を奥まった位置で支承することで、前後の支承位置の距離が短くなるから、架台フレーム1が前後方向で撓みにくくなり、架台構体としての全体強度が向上する。
【0023】
請求項
7の発明によれば、架台フレーム1が隣接する支柱2,2間を1スパンとして3スパン以上の左右長さを有し、左右両端のスパンを含む一つ置き又は二つ置きの各スパンに、それぞれX字状に交叉した一対のブレース3,3を設けるから、全体のブレース3の取付本数を少なくして部材コストを低減しても、架台構体としての大きな強度を確保できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル架台の側面図である。
【
図2】同太陽光発電パネル架台における太陽光発電パネルを外した状態での要部の背面図である。
【
図3】同太陽光発電パネル架台における太陽光発電パネルを外した状態での要部の平面図である。
【
図4】同太陽光発電パネル架台の前部側の支持部を示し、(a)は縦断側面図、(b)は縦断正面図である。
【
図5】同太陽光発電パネル架台の後部側の支持部を示す背面図である。
【
図7】同太陽光発電パネル架台の左端部における横桟と支柱との連結部を示し、(a)は背面図、(b)は右側面図である。
【
図8】同連結部に固着する桁端部材の斜視図である。
【
図9】本発明の傾斜角度が異なる太陽光発電パネル架台を例示し、(a)は傾斜角20°の該パネル架台の側面図、(b)は傾斜角30°の該パネル架台の側面図である。
【
図10】本発明の太陽光発電パネル架台におけるブレースの配設構成を例示し、(a)は支柱スパンが奇数である該パネル架台の背面図、(b)は支柱スパンが偶数である該パネル架台の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る太陽光発電パネル架台の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1〜
図3に示す太陽光発電パネル架台は、左右方向に沿って所定間隔置きに配置した前部側及び後部側の角柱状のコンクリート基礎4A,4B上に、前方に低く傾斜した架台フレーム1が構築され、この架台フレーム1上に、左右方向に長い矩形の太陽光発電パネルPが前後方向の各列4枚ずつで左右方向4列以上に平面的に配列して取り付けられ、これら太陽光発電パネルPの全体で太陽電池アレイを構成している。なお、図示の架台フレーム1の傾斜角度は10°に設定している。
【0028】
架台フレーム1は、傾斜した前後方向に沿う複数本の縦桟11と、左右方向に沿う前後2本の横桟12とが、縦桟11を上位として各交叉位置で連結金具6を介して格子状に連結されており、後側の横桟12には各コンクリート基礎4Bに対応して角筒状のアルミ押出型材からなる支柱2が取り付けられている。そして、架台フレーム1の前部側は前側の横桟12において取付金具5Aを介してコンクリート基礎4Aに支持固定され、後部側は支柱2の下端部において取付金具5Bを介してコンクリート基礎4Bに支持固定されている。
【0029】
また、
図2に示すように、架台フレーム1の後部側の要所における隣接する支柱2,2間には、目の字形の断面を有する中空アルミ型材からなる一対のブレース3,3がX字状に交叉配置して設けられている。
【0030】
なお、
図3に示すように、架台フレーム1の縦桟11は太陽光発電パネルPの1枚当り2本の割合で配置し、コンクリート基礎4A,4Bは架台フレーム1の左右両端を含めて太陽光発電パネルPの左右配列の3列置きに配置している。また、
図1及び
図3に示すように、縦桟11には、前後に隣接する太陽光発電パネルP,Pの両周縁部を押さえて固定するための中間固定金具7と、該縦桟11の前後両端部で太陽光発電パネルPの周縁部を押さえて固定するための端部固定金具8とが設けられている。
【0031】
コンクリート基礎4A,4Bは、地面Gに載置した置き基礎もしくは下部を地中に埋設した杭基礎からなり、
図4(a)(b)に示すように、その頂面から垂直に穿設した下孔40に、アンカーボルト41が樹脂系バインダー42を介して一部を上方突出した状態で埋入固着されている。そして、前部側のコンクリート基礎4Aは、後部側のコンクリート基礎4Bよりも高く設定されている。
【0032】
取付金具5A,5Bは、アルミ押出型材の切断短材からなり、一側半部に左右方向の長孔51を有する水平板部5aの他側半部に、上下方向の2本の長孔52を有して前後方向に沿う一対の垂直壁部5b,5cが一体に立設されている。そして、これら取付金具5A,5Bは、コンクリート基礎4A,4Bの頂面に水平板部5aを載置して、その長孔51に通したアンカーボルト41に平座金W1及びばね座金W2を介してナットNを螺合緊締することにより、これらコンクリート基礎4A,4Bに該長孔51の範囲で左右方向に位置調整可能に固定されている。なお、前部側のコンクリート基礎4Aに対応する取付金具5Aは両垂直壁部5b,5cの左右両側上部に各々上下2個のねじ挿通孔53を有するのに対し、
図5に示すように、後部側のコンクリート基礎4Bに対応する取付金具5Bは両垂直壁部5b,5cの中央上部に各々上下2個のねじ挿通孔53を有している。
【0033】
架台フレーム1の横桟12は、内部空間が水平な仕切壁部12cによって上下に区切られた縦断面縦長の中空アルミ型材からなり、太陽光発電パネルPの左右配列の3列分に対応する長さを有しており、同じく縦断面縦長の中空アルミ型材からなる縦桟11の傾斜に対応して傾斜した上壁部12aに、長手方向に連続する奥広の摺動ガイド溝121を備えている。その前側の横桟12は、
図4(a)(b)に示すように、その両端部において各々下部を取付金具5Aの垂直壁部5b,5c間に嵌合した状態で、両垂直壁部5b,5cの一方の長孔52を通して該横桟12に貫通させた取付ボルトBにナットNを締着することにより、該長孔52の範囲で上下方向に位置調整可能に固定されると共に、その調整位置において取付金具5Aの両垂直壁部5b,5cの上下一方(図では上側)のねじ挿通孔53を通して外側からドリリングタッピングねじSをねじ込むことにより、所定高さに固着されている。そして、各取付金具5Aには、
図4(b)に示すように、隣接する横桟12,12同士が同様にして各々の端部同士を近接して突き合わせた状態で固着されている。
【0034】
後側の横桟12は、両端部において底壁部12bが支柱2の左右幅の略1/2幅で切除されており、
図5及び
図6に示すように、その切除部分に該支柱2が上端を仕切壁部12cに当接して略片側半幅で嵌合させ、その嵌合部分の上下二か所に貫通させた各取付ボルトBにナットNを締着することにより、該支柱2の上端部に支持されている。そして、架台フレーム1の左右方向における中間に配置する支柱2の上端部では、
図5に示すように、隣接する横桟12,12同士が同様にして各々の端部同士を近接して突き合わせた状態で固着されている。また、各支柱16の下端部は、取付金具5Bの垂直壁部5b,5c間に嵌合した状態で、両垂直壁部5b,5cの両方の長孔52,52を通して該横桟12に貫通させた各取付ボルトBにナットNを締着することにより、該長孔52の範囲で上下方向に位置調整可能に固定されると共に、その調整位置において取付金具5Bの両垂直壁部5b,5cのねじ挿通孔53を通して外側からドリリングタッピングねじSをねじ込むことにより、所定高さに固着されている。
【0035】
一方、架台フレーム1の左右両端位置に配置する支柱2の上端部では、その左右幅の片側半部のみに横桟12の端部が嵌合し、そのままでは横桟非連結の片側半部が露呈することになって外観体裁的に好ましくないため、
図7(a)(b)に示すように、該支柱2の横桟非連結の上端左右半部に桁端部材13を取り付けている。
【0036】
この桁端部材13は、
図8でも示すように、奥広の溝部131を有して傾斜した上壁部13aと、該上壁部13aの両端より垂下する側壁部13b,13cと、両側壁部13b,13c間に水平に橋架する仕切壁部13dとで構成され、両側壁部13b,13cの下半部の上下二か所にねじ挿通孔132を設けている。そして、該桁端部材13の全体幅は支柱2の左右幅の略1/2に設定されているが、その端面形状及び寸法は横桟12の底壁部12aを除いたものに相当する。従って、支柱2の上端部に対し、該桁端部材13を仕切壁部13dの下面側に該支柱2の頂端が当接するように外嵌させ、各ねじ挿通孔132を通して側方からドリリングタッピングねじSをねじ込んで固着することで、横桟12の延長部の如く該支柱2の横桟非連結の上端左右半部をカバーして外観体裁が向上する。更に、この桁端部材13における仕切壁部13dの上位側の開口部を利用して、
図7(a)(b)の仮想線で示すように端面を隠すカバー材14を装着すれば、架台フレーム1の後部側における左右両端部の見栄えを向上できる。
【0037】
なお、取付金具5Aと前側の横桟12、取付金具5Bと支柱2の下端部、支柱2の上端部と後側の横桟12の各連結部では、取付ボルトBの頭部側に平座金W1を、ナットN側に平座金W1及びばね座金W2をそれぞれ介在させている。また、支柱2,2間に取り付けるブレース3は、
図5及び
図6に示すように、支柱2の上端部と横桟12との連結部、ならびに支柱2の下端部と取付金具5Bとの連結部に用いる取付ボルトBの一つを利用して止着される。
【0038】
なお、ブレース3は、
図6における仮想線円C内に拡大して示すように、内部に複数の補強片3aで区切られた複数の補強中空部3bを有する目の字形断面の角材からなり、この目の字形断面における中央の補強中空部3bを通して取付ボルトBを貫通させることにより、その各端部を強固に止着することができる。また、ブレース3自体は、軽量であるが、高剛性で大きな強度を備える。
【0039】
架台フレーム1の縦桟11と横桟12とを連結する連結金具6は、
図4(a)及び
図6に示すように、横桟12の摺動ガイド溝121に摺動自在に挿嵌されるスライド部材61と、横桟12上に配置する受け部材62とで構成されており、両部材61,62に下側から貫通させたボルトBにナットNを螺合して締め付けることにより、摺動ガイド溝121の両側縁部を両部材61,62間で挟着して該横桟12の長手方向所定位置に固定される。そして、受け部材62は、縦桟11の下部にスライド嵌合する形状を有しており、その嵌合状態で側方からドリリングタッピングねじSをねじ込むことにより、該縦桟11の長手方向所定位置に固定される。なお、スライド部材61及び受け部材62はアルミ押出型材の切断短材からなる。
【0040】
上記構成の太陽光発電パネル架台では、太陽光発電パネルPを載せる架台フレーム1は、前側の横桟12における所定間隔置きの要所で取付金具5Aを介して各コンクリート基礎4Aに支持固定されると共に、後側の横桟12に所定間隔置きに取り付けた支柱2において取付金具5Bを介して各コンクリート基礎4Bに支持固定されるが、これら支持部が取付金具5A,5Bによって上下及び左右方向に位置調整可能であるため、メガソーラーやギガソーラーとして太陽電池アレイが大型化しても、多数の該支持部の高さと位置を容易に均等に揃えることができ、もって高い施工精度が得られる。
【0041】
すなわち、コンクリート基礎4A,4Bが置き基礎である場合は設置面の凹凸変化により、杭基礎である場合は埋入深さのバラツキにより、それぞれ頂部高さが不揃いになり易く、また両者共に重量物であるため、順次機械力で吊り上げて左右方向に沿って所定間隔で設置してゆく際に位置ずれを生じ易いが、取付金具5A,5Bを介した上下及び左右方向の位置調整により、コンクリート基礎4A,4B自体の労力を要する位置修正作業を行うことなく、架台フレーム1側の支持部の位置を容易に揃えることができる。更に、施工後の地盤の不等沈下や雨水による地表浸食等で一部のコンクリート基礎4A,4Bが浮いた状態になっても、その支持部の上下位置を再調整して本来の荷重負荷が加わる状態に戻すことで、地震動や風圧を受けた際の応力集中による太陽光発電パネルPの損傷を未然に回避できる。
【0042】
本発明の太陽光発電パネル架台としては、傾斜した架台フレーム1の低い前部側についても支柱を設け、該支柱の下端部を後部側と同様に取付金具5Aを介してコンクリート基礎4Aに支持固定する構成も採用できる。しかるに、既述の実施形態のように、傾斜した架台フレーム1の低い前部側では横桟12を直接に取付金具5Aに固定し、高い後部側では支柱2を介して取付金具5Bに固定する構成とすれば、前部側がコンクリート基礎4Aに対して剛体的に強固に支持固定されるから、地震による大きな揺れや風圧を受けても倒壊が防止されると共に破損や歪みも生じにくい上、前部側に支柱を用いないことで部材点数が少なくなり、それだけ組立施工が容易になって部材コストも低減される。
【0043】
また、架台フレーム1の低い前部側が取付金具5Aに直接に固定される構成において、高い後部側の支柱2,2間にブレース3を設けることにより、耐震強度及び体風圧強度がより向上する。更に、実施形態の如く前部側のコンクリート基礎4Aを後部側のコンクリート基礎4Bよりも高く設定すれば、架台フレーム1の前部側の支承位置をフレーム前端よりも後方へ奥まった位置にしても、低いフレーム前端を高いコンクリート基礎4Aによって設置面から確実に上方へ離すことができる一方、該架台フレーム1の後部側の支承位置をフレーム後縁よりも前方へ奥まった位置にしても、低いコンクリート基礎4Bによって支柱2が長くなり、それだけブレースの傾斜角度が大きくなって補強効果を高めることができる。そして、このように架台フレーム1の前部側と後部側を奥まった位置で支承することで、前後の支承位置の距離が短くなるから、それだけ架台フレーム1が前後方向で撓みにくくなり、架台構体としての全体強度が向上する。
【0044】
本発明においては、コンクリート基礎4A,4Bと、架台フレーム1の前部側及び後部側の支持部との間に介在させる取付金具として、その上下及び左右の位置調整のための機構及び構造が種々異なるものを採用できる。しかるに、実施形態のように、左右方向の長孔51を有する水平板部5aと、上下方向の長孔52を有する垂直壁部5b,5cとを備えた取付金具5A,5Bでは、コンクリート基礎4A,4Bに対し、その頂面から突出するアンカーボルト41を長孔51に通してナットNで締付固定し、架台フレーム1側の支持部(横桟12,支柱2)に対し、長孔52を通して取付ボルトBを貫通させてナットNで締付固定するだけで、確実に該支持部の上下及び左右方向の位置調整を行えるから、操作的に容易で高い作業効率が得られる上、金具として構造的に極めて簡素であるために低コストで製作できるという利点がある。また、実施形態では上下方向の長孔52を有する垂直壁部5b,5cが平行した板状をなすが、垂直壁部を直立した角筒状、アングル状、チャンネル状等として設けることも可能である。
【0045】
実施形態として例示した架台フレーム1は上位側に傾斜した前後方向に沿う縦桟11、下位側に横桟12を配置しているが、本発明においては該縦桟11と横桟12の上下関係が逆であってもよい。例えば、各太陽光発電パネルPが傾斜した前後方向に長い形態である場合、その傾斜方向の配置枚数が少なくなるから、各パネルPを複数箇所で支承できるように本数を多くした横桟12を上位側として、これら横桟12をコンクリート基礎4A,4Bに対応した配置間隔の縦桟11で受け、各縦桟11の前部側と後部側でコンクリート基礎4A,4Bに支持させるようにすればよい。
【0046】
一方、架台フレーム1の傾斜角度は、前記実施形態で例示した10°に限らず、設置場所の周辺状況や緯度による受光効率等を勘案して適宜設定すればよい。例えば、
図9(a)は該傾斜角度を20°、同図(b)は該傾斜角度を30°、にそれぞれ設定した太陽光発電パネル架台を示している。
【0047】
架台フレーム1の後部側の支柱2,2間に配設するブレース3については、該架台フレーム1の左右方向全長にわたって設けてもよいが、隣接する支柱2,2間を1スパンとして3スパン以上の左右長さを有する架台フレーム1においては、左右両端のスパンを含む一つ置き又は二つ置きの各スパンに、それぞれX字状に交叉した一対のブレース3,3を設けることが推奨される。例えば、架台フレーム1が3スパン以上の奇数スパンである場合は、
図10(a)のように、左右両端のスパンを含む一つ置きの各スパンに、X字状のブレース3,3を設ければよい。また、架台フレーム1が4スパンである場合は、
図10(b)のように、中央側の2スパンをブレースなしとする。これにより、全体のブレース3の取付本数を少なくしても架台構体としての大きな強度を確保できるから、それだけ部材コストが低減されると共に、取付作業の工数削減によって施工能率が大幅に向上するという利点がある。
【0048】
更に、本発明においては、架台フレーム1の縦桟11、横桟12、支柱2、ブレース3の各々の断面形状、コンクリート基礎4A,4Bの形状、縦桟11と横桟12との連結構造、太陽光発電パネルPの形状と傾斜方向に沿う配列枚数等、細部構成については実施形態以外に種々設計変更可能である。