【文献】
Patric Hanusse,A Novel Approach to Anharmonicity for a Wealth of Applications in Nonlinear Science Technologies,Proceedings of International Conference on Applications in Nonlinear Dynamics,米国,The American Institute of Physics,2011年 4月19日,1339,303-308,URL,http://scitation.aip.org/content/aip/proceeding/aipcp/10.1063/1.3574867
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者の心臓活動を解析するシステムであって、
一回の心拍に対応する少なくとも一つの基本信号(1)を含む少なくとも一つの心臓電気信号を獲得する手段(2)と、
前記基本信号(1)から少なくとも一つの要素波(P、Q、R、S、T)を抽出する手段であって、その一般的形状は
【数1】
により表現され得、Φ(t)は前記要素波(P、Q、R、S、T)の位相である、手段と、
前記要素波(P、Q、R、S、T)を解析する手段(9)とを備え、前記要素波(P、Q、R、S、T)を解析する手段(9)は、
前記要素波(P、Q、R、S、T)の位相Φの時間導関数
【数2】
を決定する手段(9)と、
次の数式13に基づいて
【数3】
【数4】
により定義されるpcos
n関数及びpsin
n関数から、前記要素波(P、Q、R、S、T)の非調和性及びその形態を測定するパラメータa
k、b
k、r
k、p
kの関数として、前記要素波(P、Q、R、S、T)の位相Φ(t)の表現を決定する手段(9)とを備える、ことを特徴とするシステム。
【背景技術】
【0004】
心電図は、体表に配置された電極により記録された心臓活動のグラフ表示である。従来の心電図記録法では、心臓の電気的活動(electric activity)は、一連の12本のリード線(lead)から記録することにより検査される。各リード線は、体表の決定された二箇所に配置され、その間の電位差が記録される二つの電極を結合する電圧線に対応する。それにより記録された曲線は、心房筋(atrial muscle)及び心室筋(ventricular muscle)の脱分極(depolarization)及び再分極(repolarization)を示す。脱分極及び再分極は、各心周期(cardiac cycle)で準周期的(quasi-periodically)に繰り返される。
【0005】
リード線の各々は、以後ECG信号と呼ばれる、各リング(ring)が一定時間毎に繰り返される完全な心周期を示す一連の基本信号又はPQRST複合波(complex)を含む信号に対応する。
【0006】
そのような基本信号は、安静時の心臓(resting heart)に対応する所謂「等電位(isoelectric)」線の両側の、一連の正又は負の要素波からなる。これらの正又は負の波は、明確に定義された生理学的過程(physiological process)に起因し、一般に標準ラベルP、Q、R、S、及びTにより識別される。波Pは心房(atrium)の脱分極の間に生成され、QRS複合波は心室(ventricle)の脱分極を示し、T波はこの心室の再分極の間に生成される。
【0007】
基本信号及びその変動を解析することにより、可能性のある心臓異常(heart abnormality)が検出され得る。この解析は、単に信号の紙グラフ(paper plot)を読むことにより長い間行われたが、一般に二つのR波の間隔から決定される心拍数の測定と、大きさ及び期間の測定と、P波、QRS複合波、T波、PR間隔、ST区分(segment)、及びQT間隔の形態(morphology)の検査とを含む。
【0008】
信号処理技術は、ECG信号の自動解析を行う可能性を与え、医者が診断を行い得る統合結果(synthetic result)を提供する。この自動解析は、一般にECG信号を各々がPQRST複合波を含む基本信号に分解し、これらの基本信号の各々を要素波(P波、Q波、R波、S波、及びT波)に分解し、各要素波を解析し、これらの波をいくつかのパラメータにより特性付けることにより行われる。これらのパラメータ及びその経時変化(time-dependent change)の統合(synthesis)が最後に行われ、可能性のある異常を検出する可能性を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ECG信号を解析及び特性付ける多くの方法が提案されている。特に、信号の周波数解析は、この信号がフーリエ空間(Fourier space)で説明されることを可能とする。フーリエ分解(Fourier decomposition)は、実際は、周波数fの周期信号を、Fの倍数であり、フーリエ係数(Fourier coefficient)で重み付けされた周波数を有するシヌソイド関数(sinusoidal function)の無限和(infinite sum)に分解することにある。これらのフーリエ係数は、解析された信号の符号化(coding)を形成するものであり、この信号の特性(characteristic)パラメータである。特に、保持されるフーリエ係数の数は限られており、フーリエ分解の最初の項(term)のみが保持される。しかしながら、これらの項は、符号化から統合された信号が元の信号にできる限り近似するように、十分な数であるべきである。
【0010】
ここで、ECG信号は、強非調和信号(strongly anharmonic signal)、即ち非線形信号であり、この信号のフーリエ分解は、物理的意味を与えるのが難しい多数の係数が保持されることを必要とする。さらに、この分解は、信号の周波数成分の分布(distribution)の説明を可能とする場合に、後者が起こる時点の情報を決して与えず、信号の異なる波(P波、QRS複合波、T波、…)及びその形状の特性付けを可能としない。
【0011】
この欠点は、得られたECG信号をウェーブレット(wavelet)又はガウス波(Gaussian wave)の和に分解してモデル化することにより克服され得る。しかしながら、この方法も、モデル化が十分な質であるためには、非常に多数のパラメータの決定を必要とする。さらに、P波及びT波は、ガウス波に吸収され難く、一般に不十分にモデル化される。
【0012】
さらに、文献「心電図信号を生成する動的モデル」(McSharry et al.,IEEE Transactions on Biomedical Engineering,50(3):289−294,March 2003)から、ECG信号をモデル化する方法が知られている。その方法は、心拍数の平均及び標準偏差等の統計パラメータと、特にPQRST複合波の形態に関する形態パラメータとからECG信号が生成されることを可能とする。
【0013】
しかしながら、この方法は、ECG信号の直接解析を可能としない。さらに、この方法は、複雑な計算に基づくものであり、各固定のパラメータ一組に対して、完全な数値積分法(numerical integration)が行われることを必要とする。
【0014】
したがって、本発明の目的は、フーリエ級数(Fourier series)による解析又はウェーブレット若しくはガウス波への分解に必要とされるパラメータの数に比べて少数であり、物理的意味を有すると共に、信号の形状の単純かつ明示的な特徴(signature)を形成するパラメータを用いて、心臓活動信号の波形の解析を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明の目的は、上述の型の解析方法であって、要素波の解析が、
要素波の位相方程式(phase equation)
【数2】
の表現を決定するステップと、
【数3】
及び
【数4】
により定義されるpcos
n関数及びpsin
n関数から、要素波の非調和性(anharmonicity)及びその形態を測定するパラメータによる要素波の位相Φ(t)の表現を決定するステップとを含む、ことを特徴とする方法である。
【0016】
本発明による方法は、別々に又は組み合わせて取り込まれる次の特徴も有する。
−位相方程式は、
【数5】
として表現される。ここで、[0,1]で変化するrは、要素波の非調和性を測定するパラメータである。
−要素波は、二つのパラメータr及びΦ
0を用いて、
【数6】
として表現される。ここで、
【数7】
及び
【数8】
であり、hsin関数及びhcos関数は、
【数9】
及び
【数10】
により定義される。
−位相方程式は、
【数11】
として表現される。ここで、P(Φ)及びQ(Φ)は、三角多項式である。
−位相Φ(t)の表現は、
【数12】
として決定される。ここで、psin
1関数及びpcos
1関数は、
【数13】
及び
【数14】
により定義される。
【0017】
これにより達成される本発明による方法は、最新技術による分解方法と比べて、ECG信号の解析及び少数のパラメータを用いた信号の特性付けを可能とする。さらに、これらのパラメータは、物理的意味を有するものであり、PQRST複合波の波形の特性である。
【0018】
別の態様によれば、本発明の目的は、患者の心臓活動を解析するシステムであって、一回の心拍に対応する少なくとも一つの基本信号を含む少なくとも一つの電気心臓信号を獲得する手段と、基本信号から少なくとも一つの要素波を抽出する手段であって、その一般的形状は
【数15】
として表現され得、Φ(t)は要素波の位相である、手段と、要素波を解析する手段とを備え、要素波を解析する手段は、
要素波の位相方程式
【数16】
の表現を決定する手段と、
【数17】
及び
【数18】
により定義されるpcos
n関数及びpsin
n関数から、要素波の非調和性及びその形態を測定するパラメータによる要素波の位相Φ(t)の表現を決定する手段とを備える、ことを特徴とするシステムである。
【0019】
本発明によるシステムは、別々に又は組み合わせて取り込まれる次の特徴も有する。
−解析システムは、位相方程式を
【数19】
として表現する手段を備える。ここで、[0,1]で変化するrは、要素波の非調和性を測定するパラメータである。
−解析システムは、要素波を、二つのパラメータr及びΦ
0を用いて
【数20】
として表現する手段を備える。ここで、
【数21】
及び
【数22】
であり、hsin関数及びhcos関数は、
【数23】
及び
【数24】
により定義される。
−解析システムは、位相方程式を
【数25】
として表現する手段を備える。ここで、P(Φ)及びQ(Φ)は、三角多項式である。
−解析システムは、位相Φ(t)を
【数26】
として表現する手段を備える。ここで、psin
1関数及びpcos
1関数は、
【数27】
及び
【数28】
により定義される。
【0020】
他の態様によれば、本発明の目的は、本発明による心臓活動を解析するシステムを備える心臓刺激装置、及び本発明による心臓活動を解析するシステムを備える心臓除細動器である。
【0021】
本発明は、添付の図面を参照して説明される本発明の例示の実施形態を参照してより理解される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、グラフが示される。そのグラフは、PQRST複合波を含むECG信号の基本信号1の形状を示す。このグラフでは、時間が横軸に、電圧が縦軸に示される。一回の心拍の間に生成されたP波、QRS複合波、及びT波が、このグラフで認識される。
【0024】
心臓信号を獲得及び解析するシステムが
図2に示される。
【0025】
このシステムは、患者の体の異なる場所に配置される複数の測定電極2を備え、(ECGモニタとも呼ばれる)心電計(electrocardiographic monitor)3に接続される、ECG信号を獲得する手段を備える。
【0026】
このシステムは、アナログ/デジタル変換器7と、デジタル信号を解析する手段9、例えばプロセッサとを含む、ECG信号を処理及び解析する手段5も備える。変換器7の入力は、ECGモニタ3の出力に接続され、プロセッサ9の入力は、変換器7の出力に接続される。
【0027】
さらに、システムは、プロセッサ9の出力に接続されるモニタ11を備える。
【0028】
測定電極2は、患者の体に配置される場合に、心臓で生成された電気信号を受信できる。その大きさは、1ミリボルトのオーダである。一組の電極を用いて、複数の、一般に6本又は12本のリード線から信号を受信することが可能である。
【0029】
ECGモニタ3は、電極1による段階的獲得の間、横軸に例えば25mm/sのスケールでの時間を、縦軸に例えば1cm/mVのスケールでの電圧を表示する曲線として、ECG信号を表示できる。これらの曲線は準周期的であり、各周期は一回の心拍に対応し、その形状は関連するリード線により変動する。このように、
図1は、一回の心拍に対応する期間の、これらのリード線の一つからの信号の形状を示す。
【0030】
モニタ3は、出力で、電極により検知されたECG信号に対応するアナログ信号も提供できる。
【0031】
アナログ/デジタル変換器7は、アナログECG信号を、所定の標本化周波数、例えば256Hzで標本化することによりデジタル化できる。
【0032】
プロセッサ9は、デジタルECG信号を選別し、この信号の形状及び心拍数の特性パラメータを抽出し、これらのパラメータの統合を生成するために、この信号を解析できる。
【0033】
図3は、本発明の実施形態による、
図2を参照して説明されたシステムを用いた、心臓活動信号の獲得及び解析を示すブロック図である。
【0034】
最初の獲得ステップ20では、心臓活動により生成された電気信号が、電極2により検知され、アナログ信号として、ECGモニタ3に送信される。ECGモニタ3は、その受信の間、段階的に、これらの信号を示すいくつかの曲線を表示する。この表示を用いて、施術者(practitioner)は、信号が適切に獲得されていることを確認することが特に可能である。
【0035】
電極2により検知された信号は、例えば12あり、これらの信号の各々は、特定のリード線に対応する。本発明による方法を用いて、これらのリード線の各々を解析することが可能であるが、これらのリード線の一つの解析のみが以降の説明で詳述される。このように、以降の説明では、「ECG信号」は、これらのリード線の一つに関連付けられた信号を示す。
【0036】
デジタル化ステップ22では、ECGモニタ3は、アナログECG信号をアナログ/デジタル変換器7に送信する。アナログ/デジタル変換器7は、この信号を標本化及び量子化によりデジタル化する。
【0037】
ステップ22の最後に得られたデジタルECG信号は、プロセッサ9に送信される。プロセッサ9は、この信号を、それから特性パラメータを抽出するために解析する。
【0038】
この信号は、一連の基本信号1からなり、その各々は、一回の心拍に対応し、PQRST複合波を形成する。しかしながら、この信号は、特に心拍数及びQRS複合波の形状の変動により、厳密には周期的でない。さらに、この信号は、心臓の唯一の電気的活動によるものではない。実際に、心筋(heart muscle)、特に呼吸筋(respiratory muscle)以外の筋肉の活動と、電気装置、例えばモニタ3及び11の干渉とは、電極2により受信される高周波数及び低周波数の寄生信号(parasitic signal)を生成する。
【0039】
このように、ステップ25では、これらの寄生信号を抑制するために、デジタル選別がデジタルECG信号に適用される。
【0040】
ステップ27では、選別されたECG信号が、公知の方法を用いて、例えば一般にPQRST複合波の最も詳細(finest)かつ広範(extensive)な波であるR波を検出することにより、その各々がPQRST複合波を含む基本信号Y(t)に分解される。この分解の間に、心拍数及びその変動は、信号の一連のP波を分離する異なる時間間隔を計算することにより決定される。
【0041】
プロセッサ9は、基本信号Y(t)の各々、特にPQRST複合波の形態を解析する。
【0042】
このために、各基本信号は、ステップ29で解析され、その各々が基本信号Y(t)のP波、Q波、R波、S波、又はT波に対応する要素波の和に分解される。
【0043】
このように、各基本信号Y(t)は、
【数29】
により説明される。ここで、x
P、x
Q、x
R、x
S、及びx
Tは、それぞれP波、Q波、R波、S波、及びT波を示し、t
P、t
Q、t
R、t
S、及びt
Tは、これらの波の時刻の起点、即ちこれらの波が基本信号内に現れる時点を示す。
【0044】
要素波の各々は、ステップ30で解析され、少数のパラメータにより特性付けられる。これらの波の各々の解析は、同じステップにより行われる。このように、以降の説明では、要素波は、その型にかかわらず、x(t)により示され、その時刻の起点は、t=0の時点が仮定される。
【0045】
各要素波x(t)は、次の形式で説明され得る非調和信号である。
【数30】
ここで、すべての時間依存性は、位相関数(phase function)Φに含まれる。
【0046】
この要素波x(t)は、局所的に測定された心拍数の周期である周期Tの周期信号と見なされる。以降の説明では、2πの正規化周期が考慮される。
【0047】
非調和信号では、非調和性への主な寄与は、位相力学(phase dynamics)の対称性の破れ(breaking of symmetry)からもたらされる。このように、すべての関連する動的情報は、位相力学により表現される。したがって、波x(t)の解析の早期に、この位相Φ(t)、特に関数Φの時間導関数(time derivative)である関数F
【数31】
により表現された位相力学は、検査されるべきである。
【0048】
このように、波x(t)の形態は、Fを知ることにより完全に決定される。
【0049】
したがって、本発明による方法の解析ステップ30の間に、この関数Fは、非常に少数のパラメータを用いて説明されるはずである。少数のパラメータにより、同等の精度レベル(accuracy level)を有する、フーリエ級数を用いて同じ関数を分解するのに必要とされるパラメータの数に比べて減らされた数のパラメータが意味される。
【0050】
このように、この解析ステップ30は、位相Φ、特にΦの時間導関数である関数Fを表現することからなる最初のステップを含む。
【0051】
最も単純な場合に、周期2πの波に対して、位相力学は、位相方程式と呼ばれる
【数32】
と書かれ得る。
【0052】
この場合の関数Fは、軸Φ=0に対して、鏡映対称(reflection symmetry)を有する。位相力学のこの表現は、区間[0,1]で変化する一つのパラメータrのみを含む。下限r=0は調和波(harmonic wave)に対応し、上限r=1は無限非調和波(infinitely anharmonic wave)に対応する。
【0053】
【数33】
と書かれ得る波x(t)(ここで、Φ
0は位相の起点)は、分解され、パラメータr及びΦ
0を含む形式に書き換えられる。
【数34】
ここで、
【数35】
及び
【数36】
であり、次のhcos関数及びhsin関数が定義される。
【数37】
【数38】
【0054】
このように、波x(t)の分解は、二つのパラメータr及びΦ
0のみを含む。
【0055】
非調和性パラメータと呼ばれるrは、波の非調和性度合いを測定する。下限r=0は調和波に対応し、上限r=1は無限非調和波に対応する。さらに、関数hcos及びhsinの両方での波の合成を定義するパラメータΦ
0は、形態パラメータであり、位相力学の鏡映対称の角度に対応する。
【0056】
一般的な場合に、即ち任意の周期波に対して、位相方程式は、
【数39】
と書かれ得る。ここで、P
n及びQ
mは、それぞれ次数n及びmの三角多項式である。次数nの三角多項式の一般的形状は、
【数40】
である。
【0057】
したがって、波x(t)の解析は、少数のパラメータを含むΦの表現の決定を含み、これらのパラメータにより、波x(t)の表現の決定を可能とする。
【0058】
有利には、位相方程式(2)は、
【数41】
と書き換えられ得る。
【0059】
多項式P
n(Φ)を因数分解することにより、
【数42】
を単純な項の和に変換することが可能であり、位相方程式が
【数43】
と書き換えられることを可能とする。ここで、0及び1の間に含まれるパラメータr
kは波x(t)の非調和性を測定し、パラメータp
kはその形態を特性付ける。
【0060】
波の周期Tは、この方程式を、Φについて0及び2πの間で積分することにより決定され得る。
【数44】
【0061】
この結果と、周期が2πに等しく、係数r
kがすべて0である場合に波が調和であるという制約とから、位相方程式は、次の方法で表現され得る。
【数45】
ここで、関数D
kは、
【数46】
により定義され、
【数47】
を検証する。pcos
n及びpsin
nと書かれ、
【数48】
【数49】
により表現され、とりわけ次の特性(property)
【数50】
【数51】
【数52】
【数53】
を有するpolycos関数及びpolysin関数の定義は、位相方程式が
【数54】
と書き換えられることを可能とする。この方程式を解くことにより、
【数55】
により表現されるt(Φ)の解析的表現にアクセスすることが可能である。
【0062】
したがって、明確に定義された独立のパラメータを用いて、時刻tは位相Φの関数として表現され、双対的に、位相Φは時刻tの関数として表現される。そのパラメータは、非調和性(パラメータr又はr
k)及び形態(パラメータΦ
0又はp
k)を測定する。
【0063】
このように、解析ステップ30の間に、プロセッサ9は、少数のパラメータを用いて各要素波x(t)を符号化する。一実施形態によれば、各要素波x(t)は、大きさ、調和性r、及び形態Φ
0により、ほぼ正確に説明される。別の実施形態によれば、各要素波x(t)は、それぞれの重み(weight)で完成する二組のパラメータ(r
1、p
1)及び(r
2、p
2)により、より正確に説明される。
【0064】
したがって、要素波の各々、それ故にECG信号のPQRST複合波の各々は、限られた数のパラメータにより特性付けられ、非線形性及びこれらの複合波の形態を代表するため、物理的意味を有する。
【0065】
ステップ32では、プロセッサ9は、ステップ27及び29の間に決定されたECG信号のパラメータ、即ち心拍数、調和性、及び形態のパラメータを、特にECG信号全体でのこれらのパラメータの各々の平均及び標準偏差を決定することにより統合する。これらの値は、施術者により又は自動的にモニタ11に表示され、これらの値を特定の心臓異常に対応する表形式の値と比較することにより、診断の基礎として用いられ得る。
【0066】
このように、本発明による方法を用いて、心臓活動を解析し、心臓活動により生成された電気信号から、これらの信号の波形の小型かつ関連の表現を可能とする限られた数のパラメータを抽出することが可能である。
【0067】
しかしながら、上記の例示の実施形態には限定されないことを理解すべきである。
【0068】
特に、別の実施形態によれば、心臓活動信号は、腔内プローブ(endocavitary probe)に配置された電極により収集された電気記録図(electrogram)である。
【0069】
このように、本発明によるシステム及び方法は、埋め込み型の刺激装置又は除細動器に適用され得、本発明による心臓活動信号の連続的解析であり、潜在異常の自動検出及び心臓の刺激の誘発を可能とする。