特許第5912114号(P5912114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912114
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】新規オリゴエステル
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/42 20060101AFI20160414BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20160414BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20160414BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20160414BHJP
   C07C 69/40 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 67/08 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 69/44 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 69/708 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 69/50 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 69/34 20060101ALN20160414BHJP
   C07C 69/48 20060101ALN20160414BHJP
【FI】
   B01F17/42
   B01F1/00 G
   A61K8/37
   A61Q19/10
   !C07C69/40CSP
   !C07C67/08
   !C07C69/44
   !C07C69/708 Z
   !C07C69/50
   !C07C69/34
   !C07C69/48
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-519158(P2013-519158)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-537520(P2013-537520A)
(43)【公表日】2013年10月3日
(86)【国際出願番号】GB2011051316
(87)【国際公開番号】WO2012007754
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年2月5日
(31)【優先権主張番号】1011852.9
(32)【優先日】2010年7月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100111903
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 友康
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ショーン フィリップ ナイジェル ラウズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ リチャード ハンフリー
(72)【発明者】
【氏名】ベン カール
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド フリーマン
(72)【発明者】
【氏名】アラン バーンズ
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−114707(JP,A)
【文献】 特開2009−126791(JP,A)
【文献】 特開平07−126603(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080390(WO,A1)
【文献】 特開2008−239550(JP,A)
【文献】 特表2009−533406(JP,A)
【文献】 特開2006−199697(JP,A)
【文献】 特開平05−078279(JP,A)
【文献】 特開昭57−102999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 17/00
A61K 8/00
A61Q 19/00
B01F 1/00
C07C 67/00
C07C 69/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4〜10個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを下式
HOOC−R−COOH
(上式中、Rは基-(CH2)n-であり、nは2〜20である)
で表されるジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び下式
1COOH
(上式中、R1はC5〜C21アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニル基である)
で表されるモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.5〜2.5:1:1.2のモル比で反応させた反応生成物である乳化剤。
【請求項2】
7〜18のHLBを有する、請求項1記載の乳化剤。
【請求項3】
ポリグリセロールオリゴエステルをさらに含み、乳化剤:このポリグリセロールオリゴエステルの比が9:1〜1:9である、請求項1又は2に記載の乳化剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の乳化剤の製造方法であって、3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.5〜2.5:1.0:1.2のモル比で、エステル化条件において1回で反応させることを含む方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の乳化剤の製造方法であって、
a)3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物と、1.5:1.0〜2.5:1.0のモル比でエステル化条件において反応させてポリグリセロールオリゴマー前駆体を形成すること、
b)反応混合物が0〜5mgKOH/gの酸価に達するまでエステル化を監視すること、次いで
c)ジカルボン酸反応体に対して、0.5〜1.2モルの、4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸を加えること
を含む方法。
【請求項6】
パーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤における乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤としての請求項1〜のいずれか1項に記載の乳化剤の使用。
【請求項7】
乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として請求項1〜のいずれか1項に記載の乳化剤を含むパーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤。
【請求項8】
a)請求項1〜のいずれか1項に記載の乳化剤、及び
b)ポリオールモノエステル
を含み、a):b)の比が5.0:1.0〜1.0:5.0である乳化剤。
【請求項9】
a):b)の比が3.0:1.0〜1.0:3.0である、請求項記載の乳化剤。
【請求項10】
前記ポリオールモノエステルがネオペンチルポリオール及びポリグリセロールより選ばれる、請求項又は記載の乳化剤。
【請求項11】
パーソナルケアー、ヘルスケアー及び/又はホームケアー配合剤における可溶化剤としての、請求項8〜10のいずれか1項に記載の乳化剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリグリセロールと一及び二酸の混合物との反応により得られる新規ポリグリセロールオリゴエステル、及びこの新規ポリグリセロールオリゴエステルと公知のポリオールモノエステル、好ましくは公知のポリグリセロールモノエステルとの組み合わせに関する。本発明はまた、特にパーソナルケアー配合剤、ヘルスケアー配合剤及びホームケアー配合剤における乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤としての前記エステルおよびエステルの組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水をベースとする系、例えば水中油形エマルジョンに効果的に乳化及び/又は溶解するため、比較的親水性であり、典型的には水溶性である乳化剤及び/又は可溶化剤を用いることが通常望ましい。そのような界面活性剤は通常高い、典型的には7を超える、一般には8〜18の親水性/親油性バランス(HLB)を有する。従来そのような乳化及び溶解は、エチレンオキシド含有化合物、例えばポリオキシエチレン脂肪エーテルを単独で、又はポリオキシプロピレン脂肪エーテル、エトキシル化ポリオールモノエステル、脂肪酸のエトキシル化モノエステル、トリグリセリドのエトキシル化エステル、エトキシル化リン酸エステル、エトキシル化脂肪酸及びエトキシル化グリセリルエステルとの組み合わせを用いることにより達成された。増粘剤として用いられる典型的な材料はPEG−150ジステアレートである。パーソナルケア産業において、再生可能な資源から得られるグリーン製品を提供することが要求されている。従って、典型的には石油化学原料から得られるエチレンオキシドの使用を避ける要求がある。また、ヒトの発がん物質となると考えられるジオキサンが、ある種の消費者製品の製造の間のエチレンオキシドの縮合をベースとする反応の副生成物として形成されることがある。ある環境圧力団体は、この成分を製品から除去することをパーソナルケアー事業に働きかけている。
【0003】
このEO含有材料に代わる、水溶性である非エチレンオキシド含有界面活性剤が開発された。2つの重要な化学的群、すなわち水溶性が材料上のイオン電荷より得られるイオン性、典型的にはアニオン性環境界面活性剤と水溶性がエーテル、エステル及び/又はヒドロキシル官能基の存在より得られる非イオン性グリーン界面活性剤がある。
【0004】
安定なエマルジョンのためには、これらの界面活性剤は、水相に対して大きな親和性を有する傾向を有しかつ最適な乳化安定化を達成するために十分長くオイル/水界面において留まらないように、あまり水溶性が高すぎないことが重要である。イオン性の電荷の存在、すなわちアニオングリーン界面活性剤は、EO含有材料と同じほど良好なエマルジョン安定性を達成するために、これらの材料の水溶性を高すぎるものとすることが見出された。あるパーソナルケアー用途において、パーソナルケアー配合剤は塩である活性又は副生成物として十分な量の塩を含む活性を含む。アニオン界面活性剤は電解質としての許容性が低く、従ってエマルジョン安定性が低いことが見出された。
【0005】
市販入手可能な非イオン性グリーン界面活性剤の2つのタイプの例はスクロースモノエステル及びポリグリセロールモノエステルである。スクロースのエステル化は典型的にはモノ、ジ及びトリエステルの混合物を与える。ジ及びトリエステルの存在は水溶性及びHLB値を低下させ、エマルジョンに存在する電解質に影響されやすくする。従って、ジ及びトリエステルを除去して高価な乳化剤とすることが必要な方法が必要である。典型的には3より多くのグリセロールユニットを有するポリグリセロールモノエステルは、水中油形乳化剤として適したものとなるに十分高いHLBを有する。しかしながら、そのような製品は電解質許容性が低いことを見出した。
【0006】
パーソナルケアー配合剤及びホームケアー配合剤に可溶化するため、様々な溶解すべきことが必要な不溶性物質、例えばエッセンシャルオイル、香料、親油性活性物質、油性ビタミン及び皮膚軟化オイルがある。可溶化はできるだけ透明な溶液を形成し、次いで透明なパーソナルケアーもしくはホームケアー配合剤に加えられることが重要である。従って、可溶化剤自身が水中で透明な溶液を形成できることが重要である。
【0007】
可溶化に利用できるイオン性グリーン界面活性剤は乳化に利用できるものと同様の化学的性質を有する。1つの可溶化剤として現在市販入手可能なものは、数種の香料への限られた用途を有しており、可溶化が必要な様々な不溶性物質への溶解性を提供しない。
【0008】
市販入手可能な非イオン性グリーン界面活性剤の2種の例は、スクロースモノエステル及びポリグリセロールモノエステルである。スクロースモノエステルが分析され、透明な溶液を形成するほど十分水溶性ではなく、ほとんどのポリグリセロールモノエステルについても同様であることが見出された。
【0009】
非イオン性及びイオン性グリーン界面活性剤の混合物がいまや市場に提供されており、例えばポリグリセロールモノエステル、アニオン性アルキルグルコシド及びアルキルグルタメートである。再び、これらは限られた範囲の不溶性物質、特にエッセンシャルオイルの溶解性を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
増粘剤が、典型的には1〜5重量%のレベルで水をベースとする系に混入され、そのようなレベルにおいて、あらゆるEOを含まない増粘剤が適当な増粘性を与えるが、そのような濃度で溶液中で透明なままであることが重要である。
【0011】
我々は、新規ポリグリセロールオリゴエステルがそれ自身で又は公知のポリグリセロールモノエステルと組み合わせて、所定のエマルジョン系において公知のエチレンオキシド含有市販製品と同様の乳化及び溶解特性を有し、現在のグリーンイオン性及び非イオン性乳化剤及び可溶化剤の上記のような欠点を解消することを見出した。我々はまた、この新規ポリグリセロールオリゴエステルが、溶液中で透明なままで優れた増粘特性を与えることも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明は、3〜20個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のモル比で反応させることにより得られるポリグリセロールオリゴエステルを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0014】
このポリグリセロールオリゴエステルのポリグリセロールは3〜20個、好ましくは4〜10個、特に4〜6個のグリセロールユニットを有する。グリセロールの重縮合によるポリグリセロールの製造は、直鎖及び環式、直鎖及び分枝のオリゴマーの混合物を与える。次いでこの生成物は精製され、望ましくない物質が除去され、例えば乳化のためのポリグリセロールモノエステルの製造用のポリグリセロールは精製されて存在する環式オリゴマーのレベルが低下される。これは、環式ポリグリセロールから誘導されるモノエステルがほとんど乳化活性を有さないことが見出されたためである。好ましくは、本発明のポリグリセロールは2〜20、より好ましくは2〜15のオリゴマー長さ分布を有する。
【0015】
好適なポリグリセロールの例は、ポリグリセロール−4、−6及び−10を含む。本発明の好ましいポリグリセロールはポリグリセロール−4である。
【0016】
ジカルボン酸は式HOOC-R-COOHで表される。Rは飽和もしくは不飽和、直鎖もしくは分枝であってよく、芳香族、例えばフェニル環であってよく(フタル、テレフタルもしくはイソフタルジカルボン酸を与える)、又は脂肪族、典型的にはアルキレンもしくはアルケニレン基であってよく、またジグリコール酸におけるようなアルコキシ基であってもよく、直鎖もしくは分枝、環式(望ましくは開環)であってもよい。通常Rは-(CH2)n-の基であり、ここでnは2〜20、通常は2〜14、特に2〜8である。異なるジカルボン酸(もしくは反応性誘導体)の混合物を用いてもよく、nは整数でなくてもよい(これは平均であるからである)。基Rは通常未置換であるが、置換されていてもよく、例えばリンゴ酸(これはヒドロキシ基を有する)もしくはクエン酸(これはヒドロキシ基とカルボキシ基を有する)のようにヒドロキシ及び/又はカルボキシ基で置換されていてもよい。好ましいジカルボン酸は、琥珀酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びジグリコール酸を含む。特に好ましいジカルボン酸は琥珀酸及びセバシン酸である。
【0017】
モノカルボン酸は式R1COOHで表され、R1は通常C3−C23脂肪族ヒドロカルビル基である。望ましくは、R1はC5−C21、好ましくはC7−C19、より好ましくはC7−C13アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニル基である。R1は直鎖もしくは分枝及び飽和もしくは不飽和であってよい。モノカルボン酸の例は、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ベヘリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミトール酸及びこれらの混合物を含む。好ましくは、モノカルボン酸はカプリン酸、カプリル酸、ミリスチル酸及びこれらの混合物を含み、ラウリン酸が特に好ましい。
【0018】
好ましくは、ポリグリセロール:ジカルボン酸:モノカルボン酸の比は1.5:1.0:0.5〜2.5:1.0:1.2である。乳化剤としての特に好ましい用途において、ポリグリセロール:ジカルボン酸:モノカルボン酸の比は2.0:1.0:0.7である。可溶化剤としての特に好ましい用途において、ポリグリセロール:ジカルボン酸:モノカルボン酸の比は2.4:1.0:1.1である。
【0019】
ポリグリセロール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸は一段階反応で、触媒を用いてもしくは用いずに反応される。好適な触媒の例は、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、オルガノチタネート、オルガノスズ化合物、無機酸、例えば硫酸、オルトリン酸及び次亜リン酸、ゼオライト、及び塩基、例えば水酸化カリウム、炭酸カリウム及び水酸化ナトリウム、生物剤、例えば酵素及び微生物を含む。この反応は典型的には、110〜250℃、好ましくは160〜200℃の温度において行われる。又は、この反応は、まず触媒(好適な例は一段階反応において記載した)を用いて110〜250℃、好ましくは160〜200℃の温度においてポリグリセロールとジカルボン酸を反応させて前駆体ポリグリセロールオリゴエステルを形成する二段階反応で反応される。この反応混合物の酸価が監視され、0〜5mgKOH/gになったならば、モノカルボン酸を加える。モノカルボン酸を加える前に前駆体ポリグリセロールオリゴエステルを単離する必要はない。両方のケースにおいて、反応は大気圧もしくはやや減圧において1つの容器内で行われる。好ましくは、この反応は窒素雰囲気において行われる。好ましくは、触媒が除去され、中和、後反応により不活性化される。二段階反応が好ましい。
【0020】
従って、本発明は、3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のモル比で、エステル化条件において一段階で反応させることによる、上記のポリグリセロールオリゴエステルの製造方法を含む。
【0021】
従って、本発明は、上記のポリグリセロールオリゴエステルの製造方法であって、
a)3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物と、1.5:1.0〜3.0:1.0のモル比でエステル化条件において反応させてポリグリセロールオリゴマー前駆体を形成すること、
b)反応混合物が0〜5mgKOH/gの酸価に達するまでエステル化を監視すること、次いで
c)ジカルボン酸反応体に対して、0.1〜3.0モルの、4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸を加えること
を含む方法を含む。
【0022】
反応混合物中のカルボン酸基及びヒドロキシル基の数のため、一段階もしくは二段階反応工程のいずれかの間にある範囲のエステル化生成物が形成されると予想される。これらは、ヒドロキシル基が完全もしくは部分エステル化された、架橋したもしくは未架橋のポリマーポリグリセロールエステル、直鎖及び/又は分枝及び/又は環式であってよい。
【0023】
この反応生成物のポリグリセロールオリゴエステルは、主要な(50wt%超)成分として、少なくとも1つの、好ましくは直鎖、ポリグリセロール−ジカルボン酸−ポリグリセロールポリマーサブユニットを含むと考えられる。
【0024】
好ましくは、二段階反応工程で形成される前駆体ポリグリセロールオリゴエステルは、主要な成分として直鎖ポリグリセロール−ジカルボン酸−ポリグリセロールを含む。
【0025】
このポリグリセロールオリゴエステルのHLBは、典型的には7〜18、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜16である。乳化剤として用いるに特に好ましい範囲は、12〜15である。可溶化剤として用いるに特に好ましい範囲は13〜16である。
【0026】
好ましくは、このポリグリセロールオリゴエステルは非イオン性である。
【0027】
本発明のポリグリセロールオリゴエステルは、好ましくはパーソナルケアーもしくはホームケアー配合剤、特に水中油形エマルジョンにおける乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として用いることが適している。
【0028】
ポリグリセロールオリゴエステルの混合物も乳化剤及び/又は可溶化剤として用いることができる。
【0029】
従って、本発明は、第2のポリグリセロールオリゴエステルをさらに含む上記のポリグリセロールオリゴエステルであって、第1のポリグリセロールオリゴエステル:第2のポリグリセロールオリゴエステルの比が9:1〜1:9、好ましくは3:1〜1:3、より好ましくは1.5:1〜1:1.5であるものに関する。
【0030】
従って、本発明は、パーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤における乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤としての上記ポリグリセロールオリゴエステルの使用に関する。
【0031】
従って、本発明は、乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤としての上記ポリグリセロールオリゴエステルを含むパーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤に関する。
【0032】
このポリグリセロールオリゴエステルは、特に水中油形エマルジョン、例えばパーソナルケアー及び/又はホームケアー用途における乳化剤として用いることが適している。パーソナルケアー及び/又はホームケアーエマルジョン製品はクリーム、液体及びミルクの形態をとっており、典型的には乳化剤の安定性及び形成を助けるために乳化剤を含んでいる。典型的には、パーソナルケアー及び/又はホームケアーエマルジョン製品は、このエマルジョンの約1〜約20重量%、最も好ましくは3〜6重量%の量の乳化剤(エマルジョン安定剤を含む)を用いる。
【0033】
本発明の乳化剤は、他の乳化剤及び水中油形エマルジョンのエマルジョン安定剤を含んでよい。そのような乳化剤の例は、非イオン性乳化ワックス、例えば脂肪アルコール及びポリオールエステルを含む。
【0034】
これらの乳化剤を含む水中油形エマルジョンは、様々なパーソナルケアー及び/又はホームケアー成分を含んでもよい。例えば、好適な他の成分は、1種以上の成分、例えば洗浄剤、髪コンディショニング剤、皮膚コンディショニング剤、髪スタイリング剤、頭垢取り剤、髪成長促進剤、香料、日焼け止め化合物、顔料、保湿剤、フィルム形成剤、湿潤剤、αヒドロキシ酸、ヘアカラー、仕上げ剤、洗剤、増粘剤、防腐剤、防臭剤、界面活性剤、洗浄剤、例えばガラス、窓、浴室、台所及び硬質表面洗浄剤、並びに脱脂剤を含む。
【0035】
そのようなエマルジョンの油相は典型的には、パーソナルケアーもしくは化粧品製品もしくはホームケアー製品に用いられるタイプの軟化剤オイルであり、これは周囲温度において液体であるか固体である油状の固体であり、その塊は通常はワックス状の固体であり、ただし高温、通常は100℃まで、さらには約80℃までの温度において液体であり、そのような固体軟化剤は望ましくは100℃未満、通常は70℃未満の融点を有し、そのような温度において組成物中に含まれかつ乳化される。
【0036】
この油相の濃度は広範囲にわたってよく、オイルの量は、エマルジョンの総重量の通常1〜90%、さらには3〜60%、さらには5〜40%、特に8〜20%、とりわけ10〜15%である。エマルジョンに存在する水の量は、組成物全体の重量の5%超、通常30〜90%、さらには50〜90%、特に70〜85%、特に75〜80%である。そのようなエマルジョンに用いられる乳化剤の両は、エマルジョンの重量の、0.1〜10%、通常0.5〜8%、さらに望ましくは1〜7%、特に1.5〜6%、とりわけ2〜5.5%である。
【0037】
そのようなエマルジョンの最終用途は、パーソナルケアー製品、例えば保湿剤、日焼け止め剤、日焼け後製品、ボディーバター、ゲルクリーム、高香料含有製品、香料クリーム、ベビーケアー製品、ヘアーコンディショナー、毛髪剤、皮膚調色及び皮膚白化製品、非含水製品、防腐剤、防臭剤、日焼け剤、クレンザー、2イン1発泡エマルジョン、マルチプルエマルジョン、非防腐剤含有製品、非乳化剤含有製品、マイルド組成物及びスクラブ組成物、例えば固体ビーズ含有製品、水中シリコーン形配合剤、顔料含有製品、噴霧可能なエマルジョン、着色化粧品、コンディショナー、シャワー製品、発泡製品、メークアップ除去剤、目元化粧品除去剤、及びワイプを含む。
【0038】
そのようなエマルジョンの最終用途は、ホームケアー製品、例えば家庭用洗浄製品及び洗剤、工業用及び家庭用窓洗浄製品、ガラス洗浄製品、浴室及び/又はシャワー洗浄製品、台所洗浄製品、表面洗浄製品、脱脂製品、エアーフレッシャー、硬質表面改質製品、布帛洗浄製品、カーペット洗浄製品、硬質床洗浄製品、抗菌性製品、スプレー及びワイプ、滅菌製品等を含む。
【0039】
そのような製品はグリーン製品、天然製品及び天然認証製品を含む。
【0040】
そのような乳化剤の他の用途は、例えばベビーケアー配合剤もしくは幼児に用いられる物品用の洗浄製品における、アルキルエーテルスルフェート及びアルキルスルフェートのような主要な界面活性剤の刺激を低下させることである。そのようなエマルジョンの最終用途は、スルフェートフリー洗剤、ミクロエマルジョン、にきび洗浄剤、シャンプー、2イン1コンディショナー、ベビーシャンプー、顔及びボディー洗剤、シャワーゲル、シャワークリーム、クリームハンドソープを含むハンドソープを含む。
【0041】
このポリグリセロールオリゴエステルはまた、ヘルスケアー用途における水中油形エマルジョンとして用いることも適している。その例は、液体エマルジョン口腔処理剤、医用シャンプー、局所処理クリーム、ローション及び軟膏、にきび予防処理クリーム、ローション、トニック、座薬を含む。
【0042】
このポリグリセロールオリゴエステルは、特にパーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤において可溶化剤として用いるに適している。可溶化剤は、香料、エッセンシャルオイル、親油性成分、油性ビタミン及び軟化剤オイルのような油状成分を含有する水ベース系の重要な成分である。パーソナルケアー及びホームケアー配合剤へのこれらの油状成分の予備可溶化は、許容される透明な製品を確実にする。この可溶化剤の使用により利益となる典型的な製品は、透明なシャンプー、透明なフェイシャルウォッシュ、透明なシャワーゲル及びバスフォーム、透明なヘア及びスキンゲル、水性/アルコール性ヘアースプリッツ、水性/アルコール性ボディースプレー、アフターシェーブ、コロン、スキンクリーナー及びトナー、化粧品除去剤、抗菌性ワイプ、ローション、軟膏及びゲル、汎用ウェットワイプ、ホームクリーニング製品及び洗剤、工業用及び家庭用窓洗浄製品、ガラス洗浄製品、浴室及び/又はシャワー洗浄製品、台所洗浄製品、表面洗浄製品、脱脂製品等を含む。そのような製品は、グリーン配合物、天然配合物及び天然保証配合物を含む。
【0043】
典型的には、この可溶化剤は水ベース系において、0.5:1〜50:1、より好ましくは1:1〜20:1、さらには1:1〜10:1の可溶化剤:オイルの比で用いられる。
【0044】
そのような可溶化剤の他の用途は、例えばベビーケアー配合剤における、アルキルエーテルスルフェート及びアルキルスルフェートのような主要な界面活性剤の刺激を低減することである。
【0045】
ポリグリセロールオリゴエステルは、ヘルスケア用途における水中油形エマルジョン中の可溶化剤として用いるにも適している。その例は、液体エマルジョン口腔処理剤、医用シャンプー、局所処理クリーム、ローション、軟膏及び洗浄ワイプ、にきび予防クリーム、ローション及びトニックを含む。
【0046】
本発明のポリグリセロールオリゴエステルは洗剤における増粘剤として用いるにも適している。その例は、マイルド洗剤、スルフェートフリー洗剤、ミクロエマルジョン、にきびクレンザーを含むクレンザー、シャンプー、ベビーシャンプー及び2イン1シャンプー及びコンディショナー、洗顔料、ボディウォッシュ、シャワークリーム及びゲル、ハンドソープを含む。典型的には、この増粘剤は洗剤中に1〜3重量%のレベルで存在する。可溶化として用いるのと同様に、グリセロールオリゴエステルは適切な濃度レベルにおいて溶液中で透明なままである。
【0047】
ポリグリセロールオリゴエステルが乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として機能する能力は、ポリオールモノエステルの添加によりさらに高められる。最も好ましくは、ポリグリセロールオリゴエステルが可溶化剤として機能する能力はポリオールモノエステルの添加によりさらに高められる。
【0048】
従って、本発明は、
a)3〜20個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のモル比で反応させることにより得られるポリグリセロールオリゴエステルと
b)ポリオールモノエステル
を含み、a):b)の比が5.0:1.0〜1.0:5.0である混合物
に関する。
【0049】
さらに、本発明は、パーソナルケアー、ヘルスケアー及び/又はホームケアー配合剤における乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として、好ましくは可溶化剤としての上記混合物の使用を含む。
【0050】
従って、本発明は、乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として、好ましくは可溶化剤として上記混合物を含むパーソナルケアー、ヘルスケアー及び/又はホームケアー配合剤に関する。
【0051】
ポリオールモノエステルは、典型的にはモノカルボン酸によるポリオールのエステル化により誘導される。好適なポリオールの例は、ネオペンチルポリオール、糖誘導ポリオール、グリセロール及びポリグリセロールを含む。ネオペンチルグリコールは、ペンタエリトリトール、ポリペンタエリトリトール、例えばジ及びトリペンタエリトリトール、トリメチロールアルカン、例えばトリメチロールプロパン、及びネオペンチルグリコールを含む。糖誘導ポリオールは、C4ポリオール、例えばトレイトール及びエリトリトール、C5ポリオール、例えばイノシトール、アラビトール及びキシリトール、及びC6ポリオール、例えばソルビトールを含む。
【0052】
好ましくは、このポリオールはネオペンチルポリオール及びポリグリセロール、より好ましくはポリペンタエリトリトール及びポリグリセロール、特にポリグリセロールより選ばれる。
【0053】
ポリグリセロールモノエステルのポリグリセロールは、3〜20個、好ましくは4〜10個、特に4〜6個のグリセロールユニットを有する。グリセロールの重縮合によるポリグリセロールの製造は、直鎖及び環式、直鎖及び分枝の両方を含むオリゴマーの混合物を与える。この生成物を精製し、望ましくない物質を除去する。
【0054】
好適なポリグリセロールの例は、ポリグリセロール−4、−6及び−10を含む。本発明のポリグリセロールモノエステルの製造用の特に好ましいポリグリセロールはポリグリセロール−6である。
【0055】
ポリオールモノエステルの製造用のモノカルボン酸は、式R2COOH(式中、R2はC3〜C23脂肪族ヒドロカルビル基である)で表わされる。望ましくは、R2はC5〜C21、好ましくはC7〜C19、より好ましくはC7〜C13アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニル基である。R2は直鎖、分枝、飽和もしくは不飽和であってよい。このモノカルボン酸の例は、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミトール酸、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、このモノカルボン酸は飽和である。好ましくは、このモノカルボン酸は直鎖である。好ましいモノカルボン酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸及びこれらの混合物を含む。
【0056】
好ましくは、a):b)の比は3.0:1.0〜1.0:3.0であり、皿により好ましくは、a):b)の比は1.5:1.0〜1.0:1.5である。
【0057】
本発明の新規ポリグリセロールオリゴエステルは、溶解させることがとても困難である香料オイルを溶解させるための可溶化剤として用いることができる。従って、本発明の態様によれば、
a)本発明のポリグリセリルオリゴエステル、
b)ポリグリセリルモノエステル、及び
c)ポリオール共界面活性剤及び/又は親油性共溶媒
を含む、香料及び他の物質を溶解するための、効率の高いEOを含まない可溶化剤が提供される。
【0058】
好ましくは、この可溶化剤は以下のものを含む。
1)前記の新規ポリグリセリルオリゴエステル、より好ましくは一酸がC7〜C14の直鎖アルキル鎖を有し、水への溶解度が高いポリグリセロールオリゴエステル。
2)ポリグリセロールオリゴマーがC2〜C20、より好ましくはC4〜C10の鎖長を有するポリグリセロールモノエステル。このモノエステルのアルキル鎖は好ましくは、C6〜C22直鎖脂肪酸の残基を含み、より好ましくはC8〜C14のアルキル鎖長を有する。
3)ポリオール共溶媒。これはどのようなポリオールであってもよく、好ましくは200 Da以下の分子量を有するポリオールであり、より好ましくはグリセリン、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ソルビトール又はブチレングリコールである。
4)共溶媒。これは好ましくは、可溶化剤(第1の2もしくは3成分を含む)がとても高い親和性を有する親油性物質である。この共溶媒は好ましくは、「グリーン」(例えば非アルコキシル化)液体化粧品オイルである。好ましくは、この共溶媒は液体脂肪酸、液体脂肪アルコール、イソプロパノールの脂肪酸エステル、液体脂肪アルコールのエステル、及び液体エステル化オイルを与える液体脂肪酸、液体脂肪酸のグリセリルエステル、及び/又は天然無極性オイルである。より好ましくは、この共溶媒は脂肪酸であり、好ましくはカプリン酸、カプリル酸、オレイン酸、イソステアリン酸、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、イソプロピルイソステアレート、イソステアリルイソステアレート、グリセリルイソステアレート及び/又はスクアラン(オリーブオイル由来)である。
【0059】
上記の成分1、2、3及び4は以下の組み合わせで可溶化剤に存在する。
1+2、1+2+3、1+2+4、又は1+2+3+4
【0060】
好ましくは、この組み合わせ中に存在する成分の比は以下のとおりである。
組み合わせ1+2:0.1:0.9〜0.9:0.1、より好ましくは0.3:0.7〜0.7:0.3。
組み合わせ1+2+3:1+2は上記の比、そして(1+2):3は0.6:0.4〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1。
組み合わせ1+2+4:1+2は上記の比、そして(1+2):4は0.6:0.4〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1。
組み合わせ1+2+3+4:1+2は上記の比、そして(1+2):(3+4)は0.6:0.4〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1。(3+4)における3:4の比は好ましくは0.9:0.1〜0.1:0.9、より好ましくは0.7:0.3〜0.3:0.7。
【0061】
あるいは、ポリグリセロールオリゴエステルが乳化剤及び/又は増粘剤として機能する能力は、界面活性ワックスの添加によりさらに高められる。好ましくは、新規ポリグリセロールオリゴエステルと界面活性ワックスの組み合わせは乳化ワックスを与える。好ましくは、この乳化ワックスは、パーソナルケアー、ヘルスケアー及び/又はホームケアー用途における従来の乳化ワックスの代わりになることができる。
【0062】
上記新規オリゴエステルと界面活性ワックスを用いて乳化ワックスを製造可能であることが見出された。好ましくは、この乳化ワックスは、ポリグリセロール−2〜ポリグリセロール−10:C2-10二酸:C7-36一酸、より好ましくはポリグリセロール−4〜ポリグリセロール−10:C2-6二酸:C12-22一酸、より好ましくはポリグリセロール−4〜ポリグリセロール−10:C4二酸:C16-22一酸であるポリグリセロールオリゴエステルを含む。このオリゴエステルは好ましくは、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のポリグリセロール:二酸:一酸の比を有する。
【0063】
界面活性ワックスは好ましくは脂肪酸のグリセリルエステルである。好適な脂肪酸のグリセリルエステルは、限定するものではないが、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸、脂肪アルコール、エトキシル化レベルが5モル以下であるエトキシル化脂肪酸もしくはアルコールを含む。より好ましくは、このワックスは、アルキル鎖長がC14-36、より好ましくはC16-22である脂肪アルコールもしくは脂肪酸のグリセリルエステルである。脂肪酸のグリセリルエステルは、好ましくは脂肪酸鎖長がC14-36、より好ましくはC16-22であり、モノアルキル含量が40〜90%であるものである。所望の粘度増加及びエマルジョン液滴低下特性を与えるために、上記のあらゆる新規ポリグリセリルオリゴエステルを界面活性ワックスと共に用いることができる。この新規オリゴエステルと界面活性ワックスの比は好ましくは0.6:0.4〜0.1:0.9、より好ましくは0.5:0.5〜0.25:0.75である。
【0064】
乳化ワックスを製造するために、上記の界面活性ワックスを1種以上用いることが好ましい。この場合、例えば、ポリグリセリルオリゴエステル:総ワックスの比は好ましくは0.6:0.4〜0.1:0.9、より好ましくは0.5:0.5〜0.25:0.75であり、ここで総ワックスは上記界面活性ワックスの組み合わせであってよい。乳化ワックスに前記ワックスが2種存在する場合、好ましくは0.1:0.9〜0.9:0.1の比で存在する。より好ましくは、ワックスの組み合わせは、直鎖脂肪C16-22アルコールと鎖長がC16-22であり、モノアルキル含量が40〜90%である直鎖脂肪酸のグリセリルエステルを含む。
【0065】
上記特徴はどのような組合せであってもよい。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[1]
3〜20個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のモル比で反応させることにより得られるポリグリセロールオリゴエステル。
[2]
前記ポリグリセロールが4〜10個、好ましくは4〜6個のグリセロールユニットを有する、項目1記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[3]
前記ジカルボン酸が下式
HOOC−R−COOH
(上式中、Rは基-(CH2)n-であり、nは2〜20、好ましくは2〜14、特に2〜8である)
で表される、項目1又は2記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[4]
前記モノカルボン酸が下式
1COOH
(上式中、R1はC5〜C21、好ましくはC7〜C19、より好ましくはC7〜C13アルキル、アルケニルもしくはアルカジエニル基である)
で表される、項目1〜3のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[5]
ポリグリセロール:ジカルボン酸:モノカルボン酸の比が1.5:1.0:0.5〜2.5:1:1.2である、項目1〜4のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[6]
7〜18、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜16のHLBを有する、項目1〜5のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[7]
第2のポリグリセロールオリゴエステルをさらに含み、第1のポリグリセロールオリゴエステル:第2のポリグリセロールオリゴエステルの比が9:1〜1:9、好ましくは3:1〜1:3、より好ましくは1.5:1〜1:1.5である、項目1〜6のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステル。
[8]
項目1〜7のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステルの製造方法であって、3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物及び4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸と、1.5:1.0:0.1〜3.0:1.0:3.0のモル比で、エステル化条件において1回で反応させることを含む方法。
[9]
項目1〜7のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステルの製造方法であって、
a)3〜12個のグリセロールユニットを有するポリグリセロールを4〜22個の炭素原子を有するジカルボン酸もしくはこのジカルボン酸の環式無水物と、1.5:1.0〜3.0:1.0のモル比でエステル化条件において反応させてポリグリセロールオリゴマー前駆体を形成すること、
b)反応混合物が0〜5mgKOH/gの酸価に達するまでエステル化を監視すること、次いで
c)ジカルボン酸反応体に対して、0.1〜3.0モルの、4〜24個の炭素原子を有するモノカルボン酸を加えること
を含む方法。
[10]
パーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤における乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤としての項目1〜7のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステルの使用。
[11]
乳化剤、可溶化剤及び/又は増粘剤として項目1〜7のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステルを含むパーソナルケアー及び/又はホームケアー配合剤。
[12]
a)項目1〜7のいずれかに記載のポリグリセロールオリゴエステル、及び
b)ポリオールモノエステル
を含み、a):b)の比が5.0:1.0〜1.0:5.0である混合物。
[13]
a):b)の比が3.0:1.0〜1.0:3.0、好ましくは1.5:1.0〜1.0:1.5である、項目12記載の混合物。
[14]
前記ポリオールがネオペンチルポリオール及びポリグリセロールより選ばれる、項目12又は13記載の混合物。
[15]
パーソナルケアー、ヘルスケアー及び/又はホームケアー配合剤における可溶化剤としての、項目12〜14のいずれかに記載の混合物の使用。
【実施例】
【0066】
本発明を以下の実施例により説明する。ここで、部及びパーセントは、特に示さない限り重量基準である。
【0067】
例1
A:新規ポリグリセロールオリゴマーの2段階製造(例E1−11及びS1−3)
琥珀酸(52.67g、0.4460モル)、ポリグリセロール−4、Solvay(280.39g、0.8920モル)及び50%水性ヒドロ亜リン酸触媒(2.00g、0.0152モル)を窒素下、撹拌しながら200℃まで加熱した。この反応混合物を200℃に4時間保ち、酸価が5mgKOH/g未満になるまで監視した。次いでラウリン酸を加えた(66.94g、0.3345モル)。この反応混合物を200℃にさらに4時間保ち、次いで酸価が3mgKOH/g未満になるまで監視した。次いで水酸化カリウムを加え(1.0g85%、0.0152モル)、触媒を中和した。酸価が1mgKOH/g未満になるまで反応混合物を監視した。次いで生成物を80℃に冷却し、取り出した。さらに、出発材料、比および反応温度を変えて、上記方法により他のポリグリセロールオリゴエステルを製造した。中和は常には行わなかった。詳細は表1に示す。この表において、Eは乳化剤としての使用をテストしたことを意味し、Sは可溶化剤としての使用をテストし他ことを意味する。
【0068】
ポリグリセロールオリゴエステルをEとしたことは、可溶化剤及び/又は増粘剤として使用できないことを意味するものではない。
【0069】
B:新規ポリグリセロールオリゴマーの1段階製造(例E12−17)
琥珀酸(30.36g、0.2571モル)、ポリグリセロール−6、Spiga Nord(237.80g、0.5142モル)、パルミチン酸(131.84g、0.5142モル)及び触媒、85%水酸化カリウムペレット(1.00g、0.0152モル)を窒素下において撹拌しながら250℃に加熱した。この反応混合物を250℃に4時間保ち、次いで酸価が1mgKOH/g未満になるまで監視した。次いで生成物を80℃に冷却し、取り出した。さらに、出発材料、比および反応温度を変えて、上記方法により他のポリグリセロールオリゴエステルを製造した。詳細は表1に示す。
【0070】
ポリグリセロールオリゴエステルをEとしたことは、可溶化剤及び/又は増粘剤として使用できないことを意味するものではない。
【0071】
C:新規ポリグリセロールオリゴエステルと混合するための、ポリオールモノエステルの製造
カプリン酸/カプリル酸(100.68g、0.6472モル)、ポリグリセロール−6(299.32g、0.6472モル)及び50%水性ヒドロ亜リン酸触媒(2.00g、0.0152モル)を窒素下において撹拌しながら200℃に加熱した。この反応混合物を200℃に保ち、酸価が1mgKOH/g未満になるまで監視した。次いで生成物を80℃に冷却し、取り出した。
【0072】
さらに、出発材料、比および反応温度を変えて、上記方法により他のポリグリセロールモノエステルを製造した。詳細は表1に示す。略語PMEはポリオールモノエステルを示す。
【0073】
表1中の材料
ポリグリセロール
PG4SN ポリグリセロール−4、ex-Spiga Nord Spa(オリゴマー長4〜13)
PG4SOL ポリグリセロール−4、ex-Solvay(オリゴマー長3〜10)
PG6 ポリグリセロール−6、ex-Spiga Nord Spa
PG10 ポリグリセロール−10、ex-Lonza
【0074】
二酸
DAC4 琥珀酸
DAC2OC2 ジグリコール酸
DAC6 アジピン酸
DAC8 スベリン酸
DAC9 アゼライン酸
DAC10 セバシン酸
【0075】
一酸
MAC8/10 カプリン/カプリン酸
MAC12 ラウリン酸
MAC16 パルミチン酸
MAC18 ステアリン酸
【0076】
触媒
Cat1 H3PO2
Cat2 KOH
【0077】
触媒中和剤
Neut1 85%KOHペレット
Neut2 0.85M水性KOH
【0078】
【表1】
【0079】
例2
表1の各E生成物を、以下のテストを用いて様々なオイル中でのその乳化特性についてテストした。50gの容器に、オイル(20wt%)、キサンタンガム(2%水溶液、5.0wt%)、脱イオン水(73.0wt%)及び乳化剤(2.0wt%)を加えた。各配合物を80℃に加熱し、20分間保持し、次いで10,000rpmで均質化し、室温まで冷却した。このエマルジョンを10gづつ4つに分け、2つには0.5gのNaClを加えた。次いでこのサンプルを室温において所定の時間、安定性について調べた。
【0080】
表2中の材料
オイル
GTCC Crodamol GTCC ex Croda
IPM Crodamol IPM ex Croda
【0081】
比較乳化剤
Crillet 3 EO含有ex Croda
Brij S20EO含有ex Croda
Polyaldo 10-1-O KFG ポリグリセロールモノエステル ex Lonza(グリーン乳化剤)
Natpure SOL 天然スクロース及び植物由来脂肪酸モノエステル(グリーン乳化剤/可溶化剤)を含む
【0082】
【表2】
【0083】
Stは安定
Cはクリーム化
CCは凝集及びクリーム化
CSはエマルジョンが完全に分離
【0084】
この結果は、本発明のポリグリセロールオリゴエステル及び比較乳化剤が共に、ほんのわずかな量の水相増粘剤を用い、共乳化剤が存在せず、粒度がクリーム化させるには十分小さくないことを示している。しかしながら、この結果は、本発明のポリグリセロールオリゴエステルが市販のEO含有乳化剤及び市販のグリーン乳化剤と同等の安定性を有することを示している。あるケースにおいて、本発明のポリグリセロールオリゴエステルは、塩が存在しないパーソナルケアー用途において用いるためにのみ適している。
【0085】
例3
表1に規定の各Sを、以下のようにして様々なオイル中での可溶化についてテストした。新規ポリグリセロールオリゴエステルの50%水溶液4.0gに0.1gのオイルを加え、これを混合し、5.0gの水をゆっくり加えた。この結果を表3に示す。
【0086】
表3及び表4(例4)中の材料
乳化剤エステル及びエーテルはすべてCroda製
HD Arlamol HD
PS15E Arlamol PS15E
AB Crodamol AB
IPM Crodamol IPM
【0087】
エッセンシャルオイル
LG レモングラスエッセンシャルオイル ex R.C.Treatt
Gin 生姜エッセンシャルオイル Chinese ex R.C.Treatt
SP スペアミントオイル ex Fragrance oil (Int) Ltd
Tea ティーツリーオイル ex R.C.Treatt
【0088】
香料
AF アロエフレッシュ香料 ex Bell Fragrances
CP カウチポテト香料 ex Ungerer Ltd
FF ファームフルーツ香料 ex Fragrance oils (Int) Ltd
GF グレーズフレッシュ香料 ex Fragrance oils (Int) Ltd
PO パッションフラワー&オーキッド香料 ex Ungerer Ltd
Si Sinodor ex Givaudon
WC ホワイトコーヒー香料 ex Fragrance oils (Int) Ltd
【0089】
活性物質
MS サリチル酸メチル ex S Black
TA 酢酸トコフェニル ex BASF
【0090】
比較可溶化剤
Crillet 1 EO含有 ex Croda
Crodasol AC EO含有 ex Croda
【0091】
【表3】
【0092】
この結果は、本発明の新規ポリグリセロールオリゴエステルが所定のオイルに対して可溶化剤として機能できることを示している。
【0093】
例4
新規ポリグリセロールオリゴエステルとポリオールモノエステルのブレンドを、以下のようにして様々なオイル中での可溶化についてテストした。0.2gのテストオイルを15gのバイアル中の2gのブレンドに加え、均質になるまで混合し、次いで10gの脱イオン水を加えた。溶液が透明となったら、曇るまでオイルに対して可溶化剤の低い比で溶解テストを繰り返した。溶液が曇ったら、オイルに対して可溶化剤の高い比で溶解テストを繰り返した。溶液を室温に放置し、24時間後にチェックし、安定性を調べた。この結果を表4に示す。
【0094】
表4中の材料
本発明の可溶化剤ブレンド
ブレンドA:40%S1、40%PME1及び20%脱イオン水
ブレンドB:32%S1、48%PME2及び20%脱イオン水
【0095】
【表4】
【0096】
表4より、大部分においてこのブレンドは公知のEO含有可溶化剤と同等なもしくは優れたものであることがわかった。
【0097】
例5
ヒトの皮膚にパッチテストした際のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の刺激活性に対して、ブレンドA及びBのカウンター刺激効果をテストした。
【0098】
ブレンドA
この研究のために合計12人のボランティアを募集し、前腕でテストを行った。全ての実験は、21±1℃の温度及び50±5%の湿度の湿度制御した研究室で行った。
・水
・水中1%SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)(w/w)
・水中1%ブレンドA+1%SLS
・水中5%ブレンドA+1%SLS
・水中10%ブレンドA+1%SLS
【0099】
すべてのサイトをランダム化し、約1cm2の領域を覆ったろ紙上に50μlのテスト生成物を適用した。Basal TEWL及び炎症(レーザードップラー)表示を読み取り、次いで24時間生成物を適用した。テスト1時間前に、パッチをはがし、TEWL及び炎症表示を再び読み取った。
【0100】
Grubbsテストを用いて異常値を除き、ANOVAを用いて統計を行った。
【0101】
結果及び考察
図1のTEWLデータは、24時間皮膚をふさぐと、水のみがテスト生成物である場合に皮膚を通して水損失が増加することを示している。1%SLSを適用すると、皮膚を通した水損失が大きく増加した(p<0.001)。
【0102】
1%ブレンドAと組み合わせた1%SLSの添加は、水対照よりも大きなTEWLの増加を示した(p<0.01)。しかしながら、1%ブレンドAにみられる増加は1%SLS単独でみられる増加よりも小さく、ブレンドAの対向刺激特性を示している(p<0.001)。
【0103】
1%SLSを加えた5%及び10%ブレンドAと水のテストサイトを比較すると、増加は対照サイトとはそれほど異なっていない。これは、SLSによりもたらされる障壁破壊が5%及び10%ブレンドAの使用によって対向されることを示している。5%及び10%ブレンドAの両者で得られたTEWL値はSLSのみをテストしたサイトよりも大きく低下した(p<0.001)。
【0104】
1%ブレンドAは、TEWLの低下において5%及び10%S140ほど作用しない(それぞれp<0.05、p<0.01)。しかしながら、5%及び10%ブレンドAは共にTEWLの低下において互いに効果的に作用する。
【0105】
図2に示す炎症測定は、1%SLSが水と比較して炎症を大きく増加させることを示した(p<0.001)。1%、5%及び10%ブレンドAに1%SLSを添加した場合に、水と比較して炎症の増加はみられなかった。これは、ブレンドAが炎症対向活性を有することを示している。1%、5%及び10%S140の間に炎症対向の差はみられなかった。
【0106】
ブレンドB
ブレンドAについて行った方法をブレンドBにも繰り返した。ブレンドBについての方法では、ブレンドBをブレンドAと直接代える。TEWL及び炎症の結果をそれぞれ図3及4に示す。
【0107】
TEWLデータは、24時間皮膚を閉塞する方法が、水のみがテスト生成物である場合に皮膚を通した水損失が増加することを示している。1%SLSを添加すると、皮膚を通した水損失が大きく増加した(p<0.001)。
【0108】
1%ブレンドBと組み合わせて1%SLSを添加すると、水対照よりも大きなTEWLの増加を示した(p<0.001)。しかしながら、1%ブレンドBにみられる増加は1%SLS単独でみられる増加よりも小さく、ブレンドBの対向刺激特性を示している(p<0.001)。
【0109】
1%SLSを加えた5%及び10%ブレンドBと水のテストサイトを比較すると、増加は対照サイトとはそれほど異なっていない。これは、SLSによりもたらされる障壁破壊が5%及び10%ブレンドBの使用によって対向されることを示している。水対照サイトを「ニート」ブレンドBを適用したサイトと比較すると、TEWLの増加は得られず、これは生成物自身が刺激能を有しないことを示している。
【0110】
1%ブレンドBは、TEWLの低下において5%及び10%ブレンドBほど作用しない(それぞれp<0.05、p<0.01)。しかしながら、5%及び10%は共にTEWLの低下において互いに効果的に作用する。
【0111】
炎症測定は、1%SLSが水と比較して炎症を大きく増加させることを示した(p<0.001)。1%、5%及び10%ブレンドBに1%SLSを添加した場合に、水と比較して炎症の増加はみられなかった。これは、ブレンドBが炎症対向活性を有することを示している。1%、5%及び10%ブレンドBの間に炎症対向の差はみられなかった。
【0112】
結論
1%SLSの刺激及び炎症効果は、ブレンドA又はブレンドBの添加により緩和される。ブレンドA及びBは優れた刺激対向活性を示す。
【0113】
例6
以下の組成HC1、HC2及びHC3に従い、様々なホームケアー製品用の配合剤を製造した。
【0114】
HC1:「グリーン」帯電防止窓及びガラスクリーナー配合剤
以下の表5に示す順で、撹拌しながら主容器成分を混合した。各成分はよく分散させた。トリエタノールアミンによりpHを約9.0に調整した。香料可溶化剤及び香料を別の容器で混合し、主容器に加えた。
使用法:スプレークリーナーとしてそのまま用いる。
【0115】
【表5】
【0116】
この透明な配合剤は、トリガパックで用いるに理想的なものであった。界面活性剤ブレンド及び弱アルカリ性調剤は窓、ガラス及び鏡からの残留物の除去を促進した。バイオマス、例えばサトウキビもしくはトウモロコシから製造されたエタノールは持続可能な原料を提供する。この配合剤は使用後の洗浄を必要としない。
【0117】
通常は水系に不溶である香料は、ブレンドAの添加により効率的に可溶化されることが見出された。
【0118】
HC2:「グリーン」浴室及びシャワークリーナー配合剤
以下の表6に示す順で、撹拌しながら主容器成分を混合した。各成分はよく分散させた。クエン酸によりpHを約6.0に調整した。可溶化剤及び香料を別の容器で混合し、主容器に加えた。
使用法:スプレークリーナーとしてそのまま用いる。
【0119】
【表6】
【0120】
この透明な配合剤は、トリガパックから分配するのに適していた。界面活性剤ブレンドはセラミックタイル及びプラスチックからの石鹸かす及び他の残留物の除去を促進した。弱酸性調剤は、石灰かす付着物の除去を促進し、露出面への残留物の付着を防止した。この配合剤は水による洗浄後に除去された。
【0121】
通常は水系に不溶である香料は、ブレンドAの添加により効率的に可溶化されることが見出された。
【0122】
HC3:「グリーン」汎用脱脂配合剤
【表7】
【0123】
メタ珪酸ナトリウム5水和物を水に加え、次いで炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを加えた。これらを、透明な溶液が形成されるまで20℃で10分間混合した。次いでMultitrope 810を加え、次いでSynperonic NCA850を加え、透明な溶液が形成されるまで20℃で10分間混合した。
【0124】
サイドポットにおいて、香料をブレンドAに加え、均一な溶液が形成されるまで混合した。サイドポットの溶液を主容器に加え、溶液が透明になるまで20℃で10分間混合した。
使用法:スプレーもしくはソーククリーナーとして2〜5%
【0125】
この配合剤は、油状もしくは脂状プロセシングからの汚染がすばやくかつ有効なクリーナーを必要とする環境において使用するために設計された。Synperonic NCA850は脂状汚染を除去するグリーン洗剤であり、一方Multitrope 810は配合剤に湿潤及び安定性を与える。
【0126】
通常は水系に不溶である香料は、ブレンドAの添加により効率的に可溶化されることが見出された。
【0127】
例7
1%の親油性物質を可溶化するのに必要な界面活性剤の量をブレンドAについてテストし、ポリソルベート20(Tween 20 ex Croda)及びPEG-40水素化ヒマシ油(Croduret 40 ex Croda)と比較した。この結果を表8に示す。
【0128】
【表8】
【0129】
例8
イソプロピルミリステート及びカプレート/カプリレートトリグリセリド(各7.5%)の油相、5%乳化剤ワックスブレンド及び80%脱イオン水からなる簡単な配合剤への乳化ワックスの添加について実験を行った。乳化ワックスの高HLB成分としての新規ポリグリセリルオリゴエステルと標準非グリーンエトキシル化高HLB乳化剤であるPEG-100ステアレートを含む系の間で比較を行った。
【0130】
以下の表9は、実験を行ったオリゴエステルと界面ワックスの組み合わせに関するものである。これらの組み合わせはすべて、上記配合剤の乳化剤ワックスブレンド部分として2:1:1の比を用いた。この配合剤の粘度は、5100Pasの最も高い基準(PEG-100ステアレート)よりも高い場合に成功したと考えられる。同様に、96μmの基準以下のエマルジョンのd(0.5)粒度により、エマルジョンの安定性を評価した。テストした乳化ワックスの系を以下の表に示す。この系はすべて、アルコキシレートを必要とせず、多くの場合、アルコキシレートを用いずに達成困難な10%NaClの存在下において、基準と同等若しくはそれ以上であった。
【0131】
【表9】
図1
図2
図3
図4