特許第5912124号(P5912124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912124ブローボックスを有するセルロースパルプ乾燥機およびセルロースパルプウェブを乾燥させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912124
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ブローボックスを有するセルロースパルプ乾燥機およびセルロースパルプウェブを乾燥させる方法
(51)【国際特許分類】
   D21F 5/00 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   D21F5/00
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-538688(P2013-538688)
(86)(22)【出願日】2011年11月15日
(65)【公表番号】特表2013-542344(P2013-542344A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】SE2011051370
(87)【国際公開番号】WO2012067573
(87)【国際公開日】20120524
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】1051202-8
(32)【優先日】2010年11月16日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】513118421
【氏名又は名称】アンリツ テクノロジー アンド アセット マネージメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ANDRITZ TECHNOLOGY AND ASSET MANAGEMENT GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ラーション,オーラ
(72)【発明者】
【氏名】カンプリス,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】フェークヴィスト,ティン
【審査官】 中尾 奈穂子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−248593(JP,A)
【文献】 特開平08−271145(JP,A)
【文献】 特表2001−500580(JP,A)
【文献】 特表2013−543935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00−11/14
D21D 1/00−99/00
D21F 1/00−13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H 11/00−27/42
D21J 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースパルプのウェブ(18)を乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックスであって、前記パルプを乾燥させるようにセルロースパルプの前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるように動作可能であるブローボックス(26、32、126)を備えるセルロースパルプ乾燥ボックスにおいて、
前記ウェブ(18)が前記ブローボックス(26、32、126)から所定の距離Hをおいて保持されており、当該距離Hが、0mm<H<30mmであり、
前記乾燥ボックス(1、201)のブローボックス(26、32、126)の総数の少なくとも10%に対し、それらのそれぞれの面(44、54、144)に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記それぞれのブローボックス(26、32、126)の前記面(44、54、144)の総穿孔度の少なくとも20%を構成する、開口部(48、60、148)が設けられていることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥ボックスにおいて、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する前記開口部(48、60、148)が、非傾斜型開口部であることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の乾燥ボックスにおいて、非傾斜型開口部(60)を備えた少なくとも1つのブローボックス(32)をさらに具備し、前記非傾斜型開口部(60)が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記ブローボックス(32)の総穿孔度の少なくとも75%を構成することを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、前記乾燥ボックスのブローボックスの総数の少なくとも10%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記それぞれのブローボックス(32)の総穿孔度の少なくとも75%を構成する、非傾斜型開口部(60)を備えていることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、前記乾燥ボックス(1)が、前記ウェブ(18)を支持しかつ空気浮遊ウェブの原理に従ってパルプを乾燥させるように構成された下部ブローボックス(26、32、126)を備え、前記乾燥ボックス(1)の下部ブローボックス(26、32、126)の総数の少なくとも20%に対し、それらのそれぞれの上面(44、54、144)に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記それぞれのブローボックス(26、32、126)の前記上面(44、54、144)の総穿孔度の少なくとも20%を構成する、開口部(48、60、148)が設けられていることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項6】
請求項のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、非傾斜型開口部(48、148)および傾斜型開口部(46、146)を備える少なくとも1つの下部ブローボックス(26、126)をさらに具備し、前記非傾斜型開口部(48、148)が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記下部ブローボックス(26、126)の総穿孔度の少なくとも20%を構成し、前記傾斜型開口部(46、146)が、前記下部ブローボックス(26、126)の総穿孔度の少なくとも30%を構成していることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項7】
請求項5または6のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、前記乾燥ボックス(1)の下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、非傾斜型開口部(48、148)および傾斜型開口部(46、146)を備え、前記非傾斜型開口部(48、148)が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記それぞれの下部ブローボックス(26、126)の総穿孔度の少なくとも20%を構成し、前記傾斜型開口部(46、146)が、前記それぞれの下部ブローボックス(26、126)の総穿孔度の少なくとも30%を構成していることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、
前記乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記それぞれのブローボックス(32)の総穿孔度の少なくとも75%を構成する、非傾斜型開口部(60)を備え、
前記乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、非傾斜型開口部(48、148)および傾斜型開口部(46、146)を備え、前記非傾斜型開口部(48、148)が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ前記下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも20%を構成し、前記傾斜型開口部(46、146)が、前記それぞれの下部ブローボックス(26、126)の総穿孔度の少なくとも30%を構成していることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、垂直セルロースパルプ乾燥原理に従ってセルロースパルプの垂直に移動するウェブ(18)の両側からガスを吹き付けるように構成されたブローボックス(32)を備える、少なくとも1つの乾燥巻き部(224)をさらに具備することを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、前記開口部(48、60、148)の前記特徴的な寸法が2.0mm〜2.8mmであることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の乾燥ボックスにおいて、前記開口部(48、60、148)の前記特徴的な寸法が2.2mm〜2.7mmであることを特徴とする乾燥ボックス。
【請求項12】
セルロースパルプのウェブ(18)を、前記パルプを乾燥させるようにセルロースパルプの前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるように動作可能なブローボックス(26、32、126)によって乾燥させる方法において、ブローボックス(26、32、126)から前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるステップであって、ブローボックス(26、32、126)の総数の少なくとも10%で、前記ウェブ(18)に向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部(48、60、148)から吹き付けられるステップを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるブローボックス(26、32)の総数の少なくとも10%で、前記ウェブ(18)に向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも75%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部(60)から吹き付けられることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の方法において、前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるブローボックス(26、32)の総数の少なくとも10%で、前記ウェブ(18)に向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部(48、148)から吹き付けられ、前記ウェブ(18)に向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも30%が、傾斜型開口部(46、146)から吹き付けられることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法において、浮揚ウェブの原理に従って前記パルプを乾燥させるために前記ウェブ(18)を支持するように構成された下部ブローボックス(26、32、126)から、前記ウェブ(18)に向かってガスを吹き付けるステップをさらに含み、下部ブローボックス(26、32、126)の総数の少なくとも20%において、前記ウェブ(18)に向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部(48、60、148)から吹き付けられることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースパルプのウェブを乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックスであって、パルプを乾燥させるようにセルロースパルプのウェブに向かってガスを吹き付けるように動作可能であるブローボックスを備えている、セルロース乾燥ボックスに関する。
【0002】
本発明は、さらに、セルロースパルプのウェブを乾燥させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セルロースパルプは、浮揚(airborne)ウェブの原理に従って動作する対流タイプの乾燥機で乾燥させることが多い。こうした乾燥機の例は、国際公開第2009/154549号パンフレットに記載されている。上部ブローボックスおよび下部ブローボックスにより、セルロースパルプのウェブ上に熱風が付き付けられる。ブローボックスによって吹き出される空気は、ウェブを乾燥させるためにウェブに熱を伝達し、かつまたウェブを下部ブローボックスの上方で浮遊させ続ける。熱風は、ファンと乾燥空気を加熱する蒸気放熱器とを備えている循環空気システムによって、ブローボックスに供給される。完全なセルロースパルプ乾燥機は、国際公開第99/36615号パンフレットに例示されている。
【0004】
パルプミルにおけるパルプ製造の増大に対する需要が高まるに従い、パルプ乾燥機のサイズを増大させることなく、またはそのサイズをわずかに増大させるのみで、パルプ乾燥機の乾燥容量を増大させることが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、セルロースパルプウェブを乾燥させる装置であって、従来技術による装置より空間効率が高い装置を提供することである。
【0006】
この目的は、セルロースパルプのウェブを乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックスによって達成され、そのセルロースパルプ乾燥ボックスは、パルプを乾燥させるようにセルロースパルプのウェブに向かってガスを吹き付けるように動作可能であるブローボックスを備え、乾燥ボックスのブローボックスの総数の少なくとも10%に対し、それらのそれぞれの面に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれのブローボックスの面の総穿孔度の少なくとも20%を構成する、開口部が設けられている。
【0007】
この発明の利点は、ブローボックスとセルロースパルプのウェブとの間の伝熱が向上するということである。従って、所定サイズのセルロースパルプ乾燥機に対して、従来技術に比較してより大量のセルロースパルプを乾燥させることができる。
【0008】
一実施形態によれば、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部は、非傾斜型開口部である。この実施形態の利点は、非傾斜開口部が、伝熱において傾斜型開口部より効率的である傾向があるということである。
【0009】
一実施形態によれば、乾燥ボックスの少なくとも1つのブローボックスが、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつブローボックスの総穿孔度の少なくとも75%を構成する、非傾斜型開口部を備えている。この実施形態の利点は、非傾斜開口部がブローボックスの総穿孔度の少なくとも75%程度を構成する場合に、伝熱が非常に効率的になる、ということである。
【0010】
一実施形態によれば、乾燥ボックスのブローボックスの総数の少なくとも10%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれのブローボックスの総穿孔度の少なくとも75%を構成する、非傾斜型開口部を備えている。この実施形態はさらに伝熱を向上させ、それは、実質的な量の乾燥ガスの総量が、最も効率的なタイプの開口部、すなわち1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜開口部から吹き出されるためである。さらなる実施形態によれば、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部は、それぞれのブローボックスの総穿孔度の少なくとも85%を構成する。
【0011】
一実施形態によれば、乾燥ボックスは、ウェブを支持しかつ浮揚ウェブの原理に従ってパルプを乾燥させるように構成された下部ブローボックスを備え、乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも20%に対し、それらのそれぞれの上面に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれのブローボックスの上面の総穿孔度の少なくとも20%を構成する、開口部が設けられている。この実施形態の利点は、ウェブの優れた支持により、乾燥が非常に効率的になるということである。
【0012】
一実施形態によれば、乾燥ボックスの少なくとも1つの下部ブローボックスは、非傾斜型開口部および傾斜型開口部を備え、非傾斜型開口部は、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも20%を構成し、傾斜型開口部は、下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも30%を構成している。この実施形態の利点は、傾斜型開口部から吹き出されるガスによるウェブの固定と、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部による高い伝熱とが、同一のブローボックス内で組み合わされる、ということである。
【0013】
一実施形態によれば、乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、非傾斜型開口部および傾斜型開口部を備え、非傾斜型開口部は、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれの下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも20%を構成し、傾斜型開口部は、それぞれの下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも30%を構成している。この実施形態の利点は、ウェブの優れた固定および高い伝熱を、たとえば、ウェブがあらゆる伸縮を受けやすい乾燥ボックスの第1乾燥ゾーンにおいて組み合わせることができる、ということである。さらなる実施形態によれば、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部は、それぞれの下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも30%を構成し、傾斜型開口部は、それぞれの下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも35%を構成している。
【0014】
一実施形態によれば、乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれのブローボックスの総穿孔度の少なくとも75%を構成する、非傾斜型開口部を備え、
乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも10%が、非傾斜型開口部および傾斜型開口部を備え、非傾斜型開口部は、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつ下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも20%を構成し、傾斜型開口部は、それぞれの下部ブローボックスの総穿孔度の少なくとも30%を構成している。この実施形態の利点は、ウェブの固定および高い伝熱の組合せを、ウェブが比較的弱い乾燥ボックスの部分で利用することができ、相対的にさらに高い伝熱(ただしウェブの固定は低い)を、ウェブが比較的強い乾燥ボックスの部分で利用することができる、ということである。
【0015】
一実施形態によれば、乾燥ボックスは垂直セルロースパルプ乾燥原理に従ってセルロースパルプの垂直に移動するウェブの両側からガスを吹き付けるように構成されたブローボックスを備える、少なくとも1つの乾燥巻き部(winding)をさらに備えている。
【0016】
一実施形態によれば、開口部の前記特徴的な寸法は2.0mm〜2.8mmである。さらなる実施形態によれば、開口部の前記特徴的な寸法は2.2mm〜2.7mmである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、セルロースパルプウェブを従来技術の方法より効率よく乾燥させる方法を提供することである。
【0018】
この目的は、セルロースパルプのウェブを、パルプを乾燥させるようにセルロースパルプのウェブに向かってガスを吹き付けるように動作可能なブローボックスによって乾燥させる方法によって達成され、その方法は、ブローボックスからウェブに向かってガスを吹き付けるステップを含み、ブローボックスの総数の少なくとも10%において、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部から吹き付けられる。
【0019】
この方法の利点は、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部から吹き出されるガスが、ウェブを乾燥させるのに非常に効率的であり、それにより乾燥プロセスの効率が向上する、ということである。
【0020】
一実施形態によれば、ウェブに向かってガスを吹き付けるブローボックスの総数の少なくとも10%において、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも75%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部から吹き付けられる。この実施形態の利点は、実質的な量のガスが、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部から吹き出されることにより、乾燥が非常に効率的になる、ということである。
【0021】
一実施形態によれば、ウェブに向かってガスを吹き付けるブローボックスの総数の少なくとも10%において、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する非傾斜型開口部から吹き付けられ、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも30%が、傾斜型開口部から吹き付けられる。この実施形態の利点は、高い伝熱およびウェブの固定を組み合わせることにより、効率的な乾燥およびウェブにおける低い伸縮力がもたらされる、ということである。
【0022】
一実施形態によれば、本方法は、浮揚ウェブの原理に従ってパルプを乾燥させるためにウェブを支持するように構成された下部ブローボックスから、ウェブに向かってガスを吹き付けるステップをさらに含み、下部ブローボックスの総数の少なくとも20%において、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部から吹き付けられる。
【0023】
さらなる態様によれば、セルロースパルプのウェブを乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックスであって、浮揚ウェブの原理に従ってパルプを乾燥させるようにセルロースパルプのウェブに向かってガスを吹き付けるように動作可能であるブローボックスを備え、ウェブを支持するように構成された下部ブローボックスを備え、乾燥ボックスの下部ブローボックスの総数の少なくとも20%に対し、それらのそれぞれの上面に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有し、かつそれぞれの下部ブローボックスの上面の総穿孔度の少なくとも20%を構成する、開口部が設けられている、セルロースパルプ乾燥ボックスが提供される。
【0024】
なおさらなる態様によれば、セルロースパルプのウェブを、浮揚ウェブの原理に従ってパルプを乾燥させるようにセルロースパルプのウェブに向かってガスを吹き付けるように動作可能なブローボックスによって乾燥させる方法であって、ウェブを支持するように構成された下部ブローボックスからウェブに向かってガスを吹き付けるステップを含み、下部ブローボックスの総数の少なくとも20%において、ウェブに向かって吹き付けられるガスの総量の少なくとも20%が、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部から吹き付けられる、方法が提供される。
【0025】
本発明のさらなる目的および特徴は、本明細書および特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、添付図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。
【0027】
図1図1は、概略側面図であり、セルロースパルプのウェブを乾燥させる乾燥ボックスを示す。
図2図2は、概略側面図であり、図1の領域IIを示す。
図3図3は、概略上面図および断面図を示し、図2の矢印III−IIIの方向で見た第1下部ブローボックスを示す。
図4図4は、概略側面図であり、図1の領域IVを示す。
図5図5は、概略上面図であり、図4の矢印V−Vの方向で見た第2下部ブローボックスを示す。
図6図6は、略図であり、第1下部ブローボックスおよび第2下部ブローボックスの相対伝熱を示す。
図7図7は、略図であり、第1比較ブローボックスおよび第2比較ブローボックスと比較した第2下部ブローボックスの相対伝熱を示す。
図8図8は、概略上面図であり、代替的な第1下部ブローボックスを示す。
図9図9は、概略側面図であり、別の実施形態によるセルロースパルプのウェブを乾燥させる乾燥ボックスを示す。
図10図10は、概略側面図であり、図9の領域Xを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態によるセルロースパルプを乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックス1を示す。乾燥ボックス1は、ハウジング2を備えている。ハウジング2の内側には、1つの例示的な実施形態では、第1乾燥ゾーン4、第2乾燥ゾーン6および任意選択的な冷却ゾーン8を配置することができ、第1乾燥ゾーン4はハウジング2の上方領域に配置され、冷却ゾーン8はハウジング2の下方領域に配置され、第2乾燥ゾーン6は、第1乾燥ゾーン4と冷却ゾーン8との間に配置されている。
【0029】
ハウジング2の第1端部10には、回転ロール12の第1列が配置されており、ハウジング2の第2端部14には、回転ロール16の第2列が配置されている。湿潤したパルプウェブ18が、ハウジング2に配置された入口20を介して乾燥ボックス1に入る。図1の実施形態では、入口20は、ハウジング2の上方部分に配置されているが、代替実施形態では、入口を、ハウジングの下方部分に配置することができる。ウェブ18は、乾燥ボックス1内を水平方向に、図1に示すように右に向かって、回転ロールに達するまで前進する。図1に示す乾燥ボックス1では、ウェブ18は、まず回転ロールの第2列の回転ロール16に達する。ウェブ18は、回転ロール16の周囲で方向転換し、その後、図1に示すように、乾燥ボックス1内を水平方向に左に向かって、回転ロールの第1列の回転ロール12に達するまで移動し、回転ロール12で再度方向転換する。このように、ウェブ18は、矢印Pによって示すように、乾燥ボックス1の頂部から底部までジグザグに移動する。ウェブ18は、第1乾燥ゾーン4および第2乾燥ゾーン6において乾燥し、冷却ゾーン8において冷却された後、ハウジング2に配置された出口22を介して乾燥ボックス1から出る。図1の実施形態では、出口22は、ハウジング2の下方部分に配置されているが、代替実施形態では、出口をハウジングの上方部分に配置することができる。
【0030】
通常、乾燥プロセスに対して、80℃〜250℃の温度のガスが利用される。図1には示さない上流ウェブ形成ステーションから乾燥ボックス1に入るセルロースパルプのウェブ18は、通常、乾燥固形分含有量が40重量%〜60重量%であり、乾燥ボックス1から出るセルロースパルスのウェブ18は、乾燥固形分含有量が通常85重量%〜95重量%である。乾燥ボックス1から出るセルロースパルプのウェブ18は、通常、乾燥物質1kgにつき0.11kgの水の含水量で測定した場合、坪量が800g/m〜1500g/mであり、厚さが0.8mm〜3mmである。
【0031】
第1乾燥ゾーン4は少なくとも1つの第1乾燥デッキ24、概して3個〜15個の第1乾燥デッキ24を備えている。図1の実施形態では、第1乾燥ゾーン4は、8個の第1乾燥デッキ24を備えている。こうした第1乾燥デッキ24の各々は、後により詳細に説明するように複数のブローボックスを備え、ウェブ18が1つの回転ロール12、16から次の回転ロール16、12まで水平に移動する間に、ウェブ18を乾燥させるように動作可能である。各第1乾燥デッキ24は、セルロースパルプウェブ18に向かって高温乾燥ガスを吹き付けるように配置されている、複数の第1下部ブローボックス26および複数の第1上部フローボックス28を備えている。概して、各第1乾燥デッキ24は、20個〜300個の第1下部ブローボックス26および同じ数の第1上部ブローボックス28を備えているが、図1では、例示の明確さを維持するために、数個のブローボックスしか図示していない。後により詳細に説明するように、第1下部ブローボックス26は、ウェブ18を「浮遊する」かつ「固定」状態で維持するように動作可能であり、それにより、ウェブ18は、乾燥プロセス中に第1下部ブローボックス26から距離をおいて浮揚する。
【0032】
第2乾燥ゾーン6は、少なくとも1つの第2乾燥デッキ30、概して5個〜40個の第2乾燥デッキ30を備えている。図1の実施形態では、第2乾燥ゾーン6は、11個の第2乾燥デッキ30を備えている。こうした第2乾燥デッキ30の各々は、後により詳細に説明するように、複数のブローボックスを備えており、ウェブ18が1つの回転ロール12、16から次の回転ロール16、12まで水平に移動する間にウェブ18を乾燥させるように動作可能である。各第2乾燥デッキ30は、セルロースパルプウェブ18に向かって高温乾燥ガスを突き付けるように配置されている、複数の第2下部ブローボックス32および複数の第2上部ブローボックス34を備えている。概して、各第2乾燥デッキ30は、20個〜300個の第2下部ブローボックス32および同じ数の第2上部ブローボックス34を備えているが、図1では、例示の明確さを維持するために、数個のブローボックスしか図示していない。後により詳細に説明するように、第2下部ブローボックス32は、ウェブ18を「浮遊する」状態で維持するように動作可能であり、それにより、ウェブ18は、乾燥プロセス中に第2下部ブローボックス32から距離をおいて浮揚する。
【0033】
第1乾燥ゾーン4の第1乾燥デッキ24は、後により詳細に説明するように、機械的設計が第2乾燥ゾーン6の第2乾燥デッキ30とは異なっている。多くの場合、後に例を用いて説明するように、第1乾燥デッキ24の第1下部ブローボックス26は、第2乾燥デッキ30の第2下部ブローボックス32とは機械的設計が異なっている。
【0034】
冷却ゾーン8は、少なくとも1つの冷却デッキ36を備えており、図2には2つのこうした冷却デッキ36が図示されており、こうしたデッキ36の各々は、セルロースパルプウェブ18に向かって冷却ガスを吹き付けるように配置されている、複数の第3下部ブローボックス38および第3上部ブローボックス40を備えている。下部ブローボックス38は、ウェブ18を「浮遊する」状態で維持するように動作可能であり、それにより、ウェブ18は、冷却プロセス中に浮揚する。通常、冷却プロセスに対する冷却ガスとして、15℃〜40℃の温度の空気が利用される。隔離壁42が、冷却ゾーン8から第2乾燥ゾーン6を分離する。
【0035】
図2は、図1の領域IIの拡大側面図であり、図1に示す第1乾燥ゾーン4の第1乾燥デッキ24を示す。第1乾燥デッキ24は、ウェブ18の下方に配置された第1下部ブローボックス26と、ウェブ18の上方に配置された第1上部ブローボックス28とを備えている。第1下部ブローボックス26は、ウェブ18に向かって垂直方向上方に(図2に矢印VUによって示す)、かつ図2の矢印IUによって示すように、水平面に対して概して5°〜60°の角度で傾斜して、ウェブ18に向かって高温乾燥空気を吹き付ける。第1下部ブローボックス26によって水平面に対して傾斜角で乾燥空気を吹き付けることにより、ウェブ18をブローボックス26から離れる方向に押し上げる力と、ウェブ18をブローボックス26に向かって押し下げる力とがともにもたらされる。後者の効果は、コアンダ効果と呼ばれることがある。これにより、ブローボックス26がウェブ18に固定力を与えることになり、ウェブがウェブはブローボックス26から同等に明確に定義された距離に保持される。概して、ウェブ18の下側と第1下部ブローボックス26の上面との間の平均距離、すなわち高さH1は、乾燥ボックス1の動作中、3mm〜6mmである。ウェブ18が上方に移動する傾向にある場合、ブローボックス26の固定力は、ウェブ18を下方に引きずり、ウェブ18が下方に移動する傾向にある場合、ブローボックス26によって吹き出される空気により、ウェブ18は押し上げられる。従って、ウェブ18は、第1乾燥デッキ24に沿って水平方向に、比較的固定されて、垂直方向にはほとんど移動なしに搬送され、それは、ウェブ18が受ける伸縮力が限られていることを意味する。第1タイプの上部ブローボックス28は、ウェブ18に向かって垂直方向下方に、ウェブ18に向かって高温乾燥空気を吹き付ける(図2の矢印VDによって示す)。概して、ウェブ18の上側と第1上部ブローボックス28の下面との間の平均距離、すなわち高さH2は、10mm〜80mmである。ブローボックス26、28によって吹き出される高温乾燥空気は、水平に隣接するブローボックス26、28の間に形成された間隙Sを介して排気される。
【0036】
図3は、概略上面図であり、図2の矢印III−IIIの方向で見た第1下部ブローボックス26を示す。矢印Pは、図3には示さないウェブが第1下部ブローボックス26の上面44の上を通過する際の意図された経路を示す。上面44は、中心に配置された第1タイプの開口部46を備え、それらは、「溝孔(groove perforation)」と呼ばれることがあるタイプの「傾斜型」開口部である。「傾斜型」開口部とは、図3の断面B−Bにもっともよく示すように、それらの開口部46から吹き出される空気の少なくとも25%が、第1下部ブローボックス26の上面44に対して60°未満の角度αで吹き出されることを意味する。第1下部ブローボックス26では、そこに供給される空気の総流量の少なくとも30%、多くの場合は少なくとも40%が、たとえば溝孔46を介して、「傾斜型」の開口部から吹き出される。図3の底部に含まれる断面B−Bにもっともよく示すように、溝孔46は、第1下部ブローボックス26の上面44の中心に配置されている溝47内に配置された円形穴であり得る。溝があり、かつ溝内に溝孔が配置されているブローボックスの例は、米国特許第4,837,947号明細書に例示されている。溝孔46を介して吹き出される空気の流れの一部を、60°を超える角度で吹き出すことができる。下部ブローボックス26に供給される総空気流量のうち、少なくとも25%を、第1下部ブローボックス26の上面44に対して60°未満の角度αで吹き出すことができる。
【0037】
溝孔46は、そこを通って吹き出される高温乾燥空気に傾斜を与え、それにより、図2および図3に示す傾斜流IUが発生する。本出願の図3から分かるように、孔46は、溝47内に交互に配置されており、それにより、すべての第2流IUが図3に示すように左に向けられ、すべての第2流IUが右に向けられる。
【0038】
本出願の図3の説明を続けると、上面44に、溝47とブローボックス26のそれぞれの側面50、52との間に配置されている第2タイプの開口部48が設けられている。第2タイプの開口部48は、上面44にわたって分散されている「非傾斜型」である。「非傾斜型」とは、それらの開口部48から吹き出される空気の少なくとも80%が、上面44に対して少なくとも70°である角度で吹き出されることを意味する。概して、空気の略流れ全体が、非傾斜型の開口部48から上面44に対して略垂直に、すなわち90°に近い角度で吹き出される。開口部48は、1.8mm〜3.1mmの直径の形態での特徴的な寸法を有する円形の穴であり得る。一実施形態によれば、開口部48は、直径が2.0mm〜2.8mmである。さらなる実施形態によれば、開口部48は直径が2.2mm〜2.7mmである。第2タイプの開口部48は、高温乾燥空気を、図3の断面B−Bにおいてもっともよく示すように、流れVUを形成するように上方に吹き出す。図3の断面B−Bから分かるように、上面44の外側部分はわずかに下方に傾斜している。これは、ウェブ18がブローボックス26の側面50、52に隣接してブローボックス26に接触する危険を低減する目的でなされている。従って、側面50、52に隣接して配置されているそれらの開口部48は、ブローボックス26に供給される空気の大部分を、水平面に対して概して約85°の角度で吹き出すことができる。
【0039】
第1タイプの開口部46の数およびサイズと、第2タイプの開口部48の数およびサイズとを変更することにより、第1タイプの開口部46と第2タイプの開口部48との間の好適な圧力降下関係を達成することができ、それにより、たとえば、第1下部ブローボックス26に吹き付けられる空気の総流量の65%が、第1タイプの開口部46を介して放出され、第1下部ブローボックス26に吹き付けられる空気の総流量の35%が、第2タイプの開口部48を介して放出される。上面44の代表的な部分の開口部46、48の総開口面積を、上面44の代表部分の水平投影面積で割ることにより、ブローボックス26の穿孔度を計算することができる。「代表部分」とは、ウェブに向かう空気の吹付けに関して代表的である、すなわち、たとえばブローボックスの空気入口部分を無視する、上面44の部分を意味する。穿孔度は、たとえば1.5%であり得る。穿孔度を、乾燥させるウェブ18の重量、乾燥度等に適合するように変更することができる。多くの場合、第1下部ブローボックス26の穿孔度は0.5%〜3.0%である。非傾斜型の開口部でありかつ直径が1.8mm〜3.1mmである第2タイプの開口部48は、概して、第1下部ブローボックス26の総穿孔度の少なくとも20%、第1下部ブローボックス26の総穿孔度の概して30%〜70%を構成している。傾斜型の開口部である第1タイプの開口部46は、概して、第1下部ブローボックス26の総穿孔度の少なくとも30%、第1下部ブローボックス26の総穿孔度の概して40%〜80%を構成することができる。
【0040】
たとえば、5000mmである代表部分49の面積と2%である穿孔度とを考慮すると、開口部46、48の総面積は100mmである。第1タイプの開口部46が穿孔度の50%を構成する場合、それは50mmに対応する。これは、第2タイプの開口部48が、残りの50mmに対応する総開口面積を有することを意味し、それは、直径が2.5mmの開口部48である場合に、各々開口面積が約4.9mmである約10個の開口部48に対応する。
【0041】
図4は、図1の領域IVの拡大側面図であり、図1に示す第2乾燥ゾーン6の第2乾燥デッキ30の部分を示す。第2乾燥デッキ30は、ウェブ18の下方に配置された第2下部ブローボックス32と、ウェブ18の上方に配置された第2上部ブローボックス34とを備えている。第2下部ブローボックス32は、ウェブ18に向かって垂直方向上方に、ウェブ18に向かって高温乾燥空気を吹き付ける(図4において矢印VUによって示す)。第2乾燥デッキ30の第2下部ブローボックス32は、ウェブ18に対して、図2および図3に示す第1乾燥デッキ24の第1下部ブローボックス26に比較して低い固定力を与える。第2下部ブローボックス32によってウェブに与えられる固定力は、通常は幾分低く、またはさらには存在しない。図4に戻ると、第2下部ブローボックス32から供給される高温乾燥空気は、ウェブ18の重量が、第2下部ブローボックス32によって供給される高温乾燥空気の揚力と平衡する高さまで、ウェブを持ち上げる。概して、ウェブ18の下側と第2下部ブローボックス32の上面との間の平均距離、すなわち高さH3は4mm〜15mmである。第2下部ブローボックス32によってウェブ18に与えられる固定力が制限されているかまたはさらには存在しないため、ウェブ18の垂直位置は、乾燥ボックス1の動作中、第2乾燥デッキ30を通過している時、第1乾燥デッキ24を通過している時に比較して幾分かより変動する傾向がある。従って、ウェブ18は、第2乾燥デッキ30に沿って水平方向に比較的自由に、垂直方向に幾分か移動して搬送され、それは、ウェブ18が幾分か伸縮力を受けることを意味する。第2タイプの上部ブローボックス34は、ウェブ18に向かって垂直方向下方に、ウェブ18に向かって高温乾燥空気を吹き付ける(図4において矢印VDによって示す)。概して、ウェブ18の上側と第2上部ブローボックス34の下面との間の平均距離、すなわち高さH4は、5mm〜80mmである。ブローボックス32、34によって吹き付けられる高温乾燥空気は、水平方向に隣接するブローボックス32、34の間に形成された間隙Sを介して排気される。
【0042】
図5は、概略上面図であり、図4の矢印V−Vの方向に見た第2下部ブローボックス32を示す。矢印Pは、図5に示さないウェブが、第2下部ブローボックス32の上面54の上を通過する際の意図された経路を示す。上面54は、ブローボックス32の側面56、58の間に延在し、上面54の上に分散されている「非傾斜型」の開口部60を備えている。「非傾斜型」とは、先の定義に従って、それらの開口部60から吹き出される空気の少なくとも80%が、上面54に対して少なくとも70°である角度で吹き出されることを意味する。概して、空気の略全流量が、非傾斜型の開口部60から上面54に対して略垂直に、すなわち90°に近い角度で吹き出される。第2下部ブローボックス32では、そこに供給される空気の総流量の少なくとも75%が、非傾斜型の開口部から吹き出される。図5に示す実施形態では、そこに供給される空気の総流量の100%が、非傾斜型の開口部60から吹き出される。開口部60を、面54にわたって均一に分散させることができるが、不均一に分散させることも可能である。図5から分かるように、開口部60の密度(上面54の1平方センチメートル当たりの開口部)は、側面56、58に隣接するほど幾分か高い。ブローボックス32の開口部60は、1.8mm〜3.1mmの直径の形態で特徴的な寸法を有する円形穴であり得る。一実施形態によれば、開口部60は、直径が2.0mm〜2.8mmである。さらなる実施形態では、開口部60は、直径が2.2mm〜2.7mmである。開口部60は、高温乾燥空気を、流れVUを形成するように垂直方向上方に吹き出す。
【0043】
穿孔度は、上に定義したように、第2下部ブローボックス32においてたとえば1.5%であり得る。穿孔度を、乾燥させるウェブ18の重量、乾燥度等に適合するように変更することができる。多くの場合、第2下部ブローボックス32の穿孔度は0.5%〜3.0%である。直径が1.8mm〜3.1mmである開口部60は、概して、第2下部ブローボックス32の総穿孔度の少なくとも75%、第2下部ブローボックス32の総穿孔度の概して80%〜100%を構成している。直径が1.8mm〜3.1mmである開口部60は、図5に示す例示的な下部ブローボックス32における総穿孔度のたとえば100%を構成している。
【0044】
図2に示す第1乾燥デッキ24の第1上部ブローボックス28および図4に示す第2乾燥デッキ30の第2上部ブローボックス34は、図5において破線矢印によって示すように、図5に示す第2下部ボックス32と同じ概略設計であり得る。
【0045】
さらに、冷却ゾーン8の第3下部ブローボックス38および第3上部ブローボックス40もまた、破線によって示すように、図5に示す第2下部ブローボックス32と同様の設計であり得る。代替実施形態によれば、第3下部ブローボックス38は、破線矢印によって示すように、図3に示す第1下部ブローボックス26と同様の設計であり得る。
【0046】
上述した平均距離H1、H2、H3、H4はすべて、それぞれのブローボックス26、28、32、34の面44、54とウェブ18との間の最短距離を指す。
【0047】
図6は、略図であり、それぞれ、ウェブ18と第1乾燥デッキ24の第1下部ブローボックス26との間の、かつ第2乾燥デッキ30の第2下部ブローボックス32による、相対伝熱を示す。水平軸すなわちX軸において、ウェブ18の下側とそれぞれのブローボックス26、32の上面44、54との間のそれぞれの平均距離、すなわちH1およびH3が示されている。垂直軸、すなわちY軸において、それぞれのブローボックス26、32からウェブ18までの相対伝熱が示されている。相対伝熱は、第2下部ブローボックス32の5mmの平均距離H3において1.0であり、他のすべての相対伝熱値は、その伝熱に関連して計算される。
【0048】
上述したように、ウェブ18と第1乾燥ゾーン4の第1下部ブローボックス26との間の平衡距離H1は、概して3mm〜6mmであり得る。一例では、距離H1は約4.5mmであり得る。図6の第1下部ブローボックス26に対する曲線「26」を見ると、約0.72の相対伝熱が4.5mmの高さH1に対応することが明らかである。さらに、先の記述から、ウェブ18と第2乾燥ゾーン6の第2下部ブローボックス32との間の平衡距離H3が、概して4mm〜15mmであることを想起することができる。一例では、距離H3は約5mmであり得る。図6の第2下部ブローボックス32に対する曲線「32」を見ると、約1.0の相対伝熱が約5mmの高さH3に対応することが明らかである。
【0049】
図6および上記例から、第2乾燥ゾーン6の伝熱が、第1乾燥ゾーン4の伝熱より著しく高いことが明らかである。いかなる理論によっても束縛されることなく、第2乾燥ゾーン6の伝熱の方が優れていることは、ウェブ18とそれぞれのブローボックス26、32との間の距離が長いほど(少なくとも最大約10mmの距離)伝熱に有利であるという事実と、従って、高温の乾燥空気が主に垂直方向VUにウェブ18に向かって上方に吹き付けられている第2下部ブローボックス32が、高温乾燥空気の幾分かを傾斜して吹き付けている第1下部ブローボックス26より効率的であるように見えるという事実との両方によるかのように見える。一方、第1乾燥ゾーン4は、ウェブ18の前進のより安定した制御を可能にし、それにより、ウェブ18に対して与えられる伸縮力が小さくなる。ウェブ18の引張強さは、含水量が低減するほど増大する傾向がある。従って、ウェブ18は、図1に示す乾燥ボックス1の入口20に隣接して比較的弱く、乾燥ボックス1の出口22に隣接して比較的強い。第1乾燥ゾーン4では、従って、ウェブは、低伸縮状態下で、ウェブの極めて安定した経路で、ウェブがたとえば約55%〜80%の乾燥固形分含有量まで乾燥するまで乾燥する。そして、ウェブ18は、より高い引張強度を得て、第2乾燥ゾーン6において、増大した伸縮状態であるが、また、乾燥を効率的にする非常に高い伝熱により乾燥する。
【0050】
図7は、略図であり、第1比較下部ブローボックスCAおよび第2比較下部ブローボックスCBと比較した、ウェブ18と第2乾燥デッキ30の第2下部ブローボックス32との間の相対伝熱を示す。第2下部ブローボックス32は、図5に示すタイプの設計であり、円形でありかつ直径が2.5mmである開口部60が設けられている。穿孔度は、上で定義したように、この例では1.5%である。第1比較下部ブローボックスCAは、図5に示すものに類似する設計であり、ブローボックスCAには、直径が1.0mmである円形開口部が設けられているという相違がある。第2比較下部ブローボックスCBもまた、図5に示すものに類似する設計であり、ブローボックスCBは、直径が5mmである円形開口部が設けられているという相違がある。第1比較ブローボックスCAおよび第2比較ブローボックスCBの穿孔度もまた1.5%である。
【0051】
図7において、水平軸すなわちX軸は、ウェブ18の下側とそれぞれのブローボックス32、CAおよびCBの上面54との間の平均距離すなわち高さH3を示す。垂直軸すなわちY軸には、それぞれのブローボックス32、CA、CBからウェブ18への相対伝熱が示されている。相対伝熱は、第2下部ブローボックス32の5mmの平均距離H3において1.0であり、他のすべての相対伝熱値は、その伝熱に関して計算される。
【0052】
図6と関連して与えられた例を続けると、図6と関連して与えられた例から、ウェブ18と第2乾燥ゾーン6の第2下部ブローボックス32との間の平衡距離H3が約5mmであったことを想起することができる。図7の第2下部ブローボックス32に対する曲線「32」を見ると、約5mmの高さH3が約1.0の相対伝熱に対応することが明らかである。第1比較下部ブローボックスCAに対する図7の曲線「CA」を見ると、約5mmの高さH3が約0.78の相対伝熱に対応することが明らかである。第2比較下部ブローボックスCBに対する図7の曲線「CB」を見ると、約5mmの高さH3が約0.65の相対伝熱に対応することが明らかである。
【0053】
図7および上記例から、直径が2.5mmである開口部60を有する第2下部ブローボックス32の伝熱が、直径が1.0mmである開口部を有する第1比較下部ブローボックスCA、および直径が5mmである開口部を有する第2比較下部ブローボックスCBの伝熱より著しく高いことが明らかである。
【0054】
同様に、図3を参照して上述した第1下部ブローボックス26の上面44に、円形でありかつ直径が2.5mmである開口部48を設けることも可能である。それらの開口部48は、開口部60と同様に挙動し、図7に示す原理に従って、直径がたとえば5mmである開口部を有する従来技術によるブローボックスに比較して、伝熱を向上させることができる。第1下部ブローボックス26の溝孔46には、幾分か異なる目的、すなわちウェブ18を安定化させるという目的があり、従って、それらの開口部46の直径に対して、他のパラメータによって影響を与えることができ、場合によっては開口部48とは異なる穴径となる可能性がある。
【0055】
図8は、代替的な第1下部ブローボックス126を示す。矢印Pは、ウェブが第1下部ブローボックス126の上面144の上を通過する際の意図された経路を示す。上面144は、中心に配置された第1タイプの開口部146を備え、それらは、「まぶた状孔(eyelid perforation)」と呼ばれることがあるタイプの「傾斜型」開口部である。第1下部ブローボックス126では、そこに供給される空気の総流量の少なくとも30%、多くの場合は少なくとも40%が、まぶた状孔146を介して吹き出される。まぶた状孔146を介して吹き出される空気の流れの一部を、図8の断面C−Cに矢印Uによって示すように、60°より大きい角度で吹き出すことができる。下部ブローボックス126に供給される総空気流量のうち、少なくとも25%を、第1下部ブローボックス126の上面144に対して60°未満の角度αで吹き出すことができる。
【0056】
国際公開第97/16594号パンフレットにおいて「まぶた状孔6」と呼ばれている開口部と同様の設計とすることができ、かつ国際公開第97/16594号パンフレットの図2および図3を参照して記載されているまぶた状孔146は、そこを通って吹き出される高温乾燥空気に傾斜を与える。本出願の図8から分かるように、孔146は、面144の上に交互に配置されており、それにより、すべての第2流IUが図8に示すように左に向けられ、すべての第2流IUが右に向けられる。
【0057】
本出願の図8の説明を続けると、上面144に、ブローボックス126の側面150、152に近接して配置されている第2タイプの開口部148が設けられている。第2タイプの開口部148は、上面144にわたって分散されている「非傾斜型」である。開口部148は、直径が1.8mm〜3.1mmの円形の穴であり得る。第2タイプの開口部148は、断面C−Cからもっともよく分かるように、高温乾燥空気を、流れVUを形成するように上方に吹き出す。
【0058】
第1タイプの開口部146の数およびサイズと、第2タイプの開口部148の数およびサイズとを変更することにより、第1タイプの開口部146と第2タイプの開口部148との間の好適な圧力降下関係を達成することができ、それにより、第1下部ブローボックス126に吹き付けられる空気の総流量のたとえば65%が、第1タイプの開口部146を介して放出され、第1下部ブローボックス126に吹き付けられる空気の総流量の35%が、第2タイプの開口部148を介して放出される。穿孔度は、上に定義したように、たとえば1.5%であり得る。穿孔度を、乾燥させるウェブ18の重量、乾燥度等に適合するように変更することができる。多くの場合、第1下部ブローボックス126の穿孔度は0.5%〜3.0%である。
【0059】
図8に示すタイプの第1下部ブローボックス126は、図3に示すタイプの第1下部ブローボックス26よりウェブ18の安定した経路と、同じかまたはより優れた伝熱とを提供する傾向がある。
【0060】
図9は、垂直セルロースパルプ乾燥ボックス201を示し、そこでは、湿潤したパルプウェブ18が、複数の乾燥セクション224に沿って移動している間に熱風によって乾燥し、乾燥セクション224を、垂直セルロースパルプ乾燥ボックス201では、乾燥巻き部224と呼ぶことができる。セルロースパルプウェブ18は、上部回転ロール212と下部回転ロール216との間を乾燥巻き部224に沿って垂直方向上方にかつ下方に移動する間に、垂直セルロースパルプ乾燥ボックス201内で乾燥する。
【0061】
垂直乾燥ボックス201は、概して、4個〜80個の巻き部224、たとえば40個の巻き部224を備えることができる。明確にする目的で、図9にはより少ない数の巻き部224が示されており、乾燥ボックス201の中間部分は切り取られており、それは図9において垂直点線によって示されている。
【0062】
湿潤したパルプウェブ18が、ハウジング202の第1側壁210に配置されている入口220を介して乾燥ボックス201に入る。図9の実施形態では、入口220は側壁210の中心部分に配置されているが、代替実施形態では、入口220を、側壁210の高さに沿った別の位置に配置することができる。ウェブ18は、入口220を介してハウジング202に入った後、乾燥ボックス201内を、上部回転ロール212に達するまで、図9において矢印Pで示すように、本質的に垂直方向上方に前進する。ウェブ18は、上部回転ロール212の周囲で方向転換し、下部回転ロール216に達するまで、乾燥ボックス201内を本質的に垂直方向下方に移動し、下部回転ロール216において再度方向転換する。このように、ウェブ18は、ハウジング202を通して送られ、ハウジング202の第1側壁210における入口220から、ハウジング202の第2側壁214に配置された出口222まで、垂直方向上方にかつ下方に交互に移動する。乾燥したウェブ18は、図9の実施形態では第2側壁の下方部分に配置されている出口222を介して、乾燥ボックス201から出る。出口222を、代替実施形態では、側壁214の高さに沿った別の位置に配置することができる。
【0063】
図10を参照して後により詳細に説明するように、ウェブ18は、各巻き部224の左右に配置されたブローボックス32から吹き出される空気によって乾燥する。図9に示すように、巻き部224の長さは、乾燥ボックス201全体を通して一定ではない。入口220に隣接して配置されている巻き部224は、乾燥ボックス201の他の部分に配置されている巻き部224より長さが短い。図9に示すように、入口220の直後に配置されている巻き部224が最短であり、それに続いて、後続する4個の巻き部224の長さが段階的に増大する。第6巻き部224およびそれに続く巻き部224は完全な長さである。ウェブの移動方向に見られるように、巻き部224の長さが段階的に増大することにより、ウェブ18が、含水量が大きいために比較的重量がありかつ脆弱である、入口220に最も近い乾燥ボックス201の部分において、ウェブ破損の危険が低減する。従って、入口220に隣接する巻き部224の方が短いことにより、ウェブ破損の危険が低減する。しかしながら、乾燥ボックス201全体においてすべての巻き部224の長さが同じであることが可能である。各巻き部224の垂直長さ、すなわち上部回転ロール212と下部回転ロール216との間の垂直距離は、概して2メートル〜60メートルであり得る。
【0064】
任意選択的に、乾燥ボックス201に、最初の5個の巻き部224を含む第1乾燥ゾーン204と、残りの巻き部224を含む第2乾燥ゾーン206とを設けることができる。2個の乾燥ゾーン204、206に、機械的設計が異なるブローボックスを設け、かつ/または、温度の異なる乾燥空気を供給し、かつ/または相対量の異なる乾燥空気を供給し、かつ/または異なる長さの巻き部224があることにより、ウェブ18が相対的に重量がありかつ含水量が高い、第1乾燥ゾーン204、およびウェブ18が相対的に乾燥しておりかつ軽量である、第2乾燥ゾーン206の両方において、ウェブ破損の危険が低いことおよび最適な乾燥を達成することができる。
【0065】
図10は、図9の領域Xの拡大側面図であり、ウェブ18が垂直方向下方に移動する巻き部224の一部を示す。ブローボックス32は、ウェブ18の左右に配置されており、左から(矢印VLによって示す)かつ右から(矢印VRによって示す)ウェブ18上に熱風を放出する。ウェブ18とブローボックス32との間の距離Dは、概して4mm〜50mmであり、好ましくは5mm〜30mmであり、もっとも好ましくは5mm〜20mmであり得る。ブローボックス32によって吹き出される高温乾燥空気は、垂直に隣接するブローボックス32の間に形成された間隙Sを介して排気される。ブローボックス32は、図5に示すタイプのものであるが、乾燥空気を、乾燥ボックス1のように上方にではなく、水平方向に側方から吹き出すように乾燥ボックス201内に配置され、それぞれのブローボックス32の、ウェブ18に面するように適合されている面54の上に分散されている「非傾斜型」の開口部60を備えている。ブローボックス32の面54の上に分散されている開口部60は、1.8mm〜3.1mmの直径の形態の特徴的な寸法を有する円形穴であり得る。一実施形態によれば、開口部60は直径が2.0mm〜2.8mmである。さらなる実施形態によれば、開口部60は直径が2.2mm〜2.7mmである。
【0066】
上述した実施形態の多数の変形形態が、添付の特許請求の範囲内であり得ることが理解されよう。
【0067】
上で、開口部48、60が、1.8mm〜3.1mmの形態の特徴的な寸法を有する円形穴であると述べた。開口部として使用するために円形穴以外の他の形状もまたあり得ることが理解されよう。たとえば、開口部48、60に対して、正方形、矩形、三角形、楕円形、五角形、六角形等の形状を与えることができる。こうした代替的な形状の特徴的な寸法は、常に、当該開口部と同じ開口面積を有する円形開口部の直径に関連する。従って、たとえば、辺が2.2mmである正方形開口部は、約4.9mmの開口面積を有している。4.9mmというその同じ開口面積である円形穴は、直径が2.5mmである。従って、辺が2.2mmである正方形開口部の特徴的な寸法は、実際には2.5mmであり、それは、2.5mmが、当該正方形開口部と同じ開口面積である円形穴の直径であるためである。
【0068】
上で、乾燥ボックス1が、第1下部ブローボックス26または126が設けられている第1乾燥ゾーン4と、第2下部ブローボックス32が設けられている第2乾燥ゾーン6とを備えていると述べた。乾燥ボックスは、冷却ゾーンがあってもなくても、いかなる数の乾燥ゾーンを有することも可能であることが理解されよう。さらに、乾燥ボックスは単一の乾燥ゾーンを有することができる。従って、たとえば、乾燥ボックスに、図3および図8に示すタイプの第1下部ブローボックス26、126のみを設けることができる。さらに、乾燥ボックスに、図5に示すタイプの第2下部ブローボックス32のみを設けることができる。
【0069】
上で、図1を参照して、乾燥ボックス1が第1乾燥ゾーン4、第2乾燥ゾーン6および冷却ゾーン8を備えていると述べた。多くの代替実施形態が可能であることが理解されよう。たとえば、冷却が不要である場合、第1乾燥ゾーン4および第2乾燥ゾーン6があるが冷却ゾーンがない乾燥ボックスを設計することも可能である。
【0070】
上述したように、冷却ゾーン8の第3下部ブローボックス38は、図3および図8にそれぞれ示す第1下部ブローボックス26、126と同じ概略設計か、または図5に示す第2下部ブローボックス32と同じ概略設計であり得る。
【0071】
図5に示すような第2下部ブローボックス32と同じ概略設計である第3下部ブローボックス38を利用することには、伝熱が、図7に関連して例示し説明した第2下部ブローボックス32に対して例示した伝熱と同様に高くなるという利点がある。従って、冷却ゾーン8における冷却が非常に効率的になる。
【0072】
図3および図8にそれぞれ示すような第1下部ブローボックス26または126と同じ概略設計である下部ブローボックス38を利用することには、出口22を介して乾燥ボックス1から出るウェブ18が、垂直移動がほとんどなく安定化されるという利点がある。これは、乾燥ボックス1から出る乾燥したウェブ18を取り扱う、ウェブ位置制御ユニット、ウェブカッタ等の下流機器に対して利点であり得る。
【0073】
従って、冷却ゾーン8において伝熱が最も優先される場合、第3下部ブローボックス38として図5に開示した概略タイプの設計を利用することが好適である。一方、冷却ゾーン8においてウェブ安定性が最も優先される場合、第3ブローボックス38として、図3または図8に開示した概略タイプの設計を利用することが好適である。さらなる選択肢は、効率的な冷却を得るように、図5に示す設計の下部ブローボックス38を有する1つまたは複数の冷却デッキ36を有する冷却ゾーン8を配置することであり、こうした冷却ゾーン8は、乾燥ボックス1の出口22のすぐ上流に、ウェブ18が乾燥ボックス1から出る直前に優れたウェブ安定性を得るように図3または図8に開示した概略タイプの設計の第3下部ブローボックス38が設けられている、最後の冷却デッキ36を有している。ウェブ安定性が最も優先されるが、乾燥ボックスに冷却ゾーンがない場合、第2乾燥ゾーンの下流に第3乾燥ゾーンを配置することができる。こうした第3乾燥ゾーンは、概して、第1乾燥ゾーン4の第1乾燥デッキ24に類似する乾燥デッキを有し、高いウェブ安定性をもたらす第1下部ブローボックス26または126を有している。こうした第3乾燥ゾーンには、概して1個〜4個の乾燥デッキしかない。
【0074】
上で、乾燥ボックス1が合計19個の乾燥デッキを有していると述べた。これらの乾燥デッキのうち、合計8個のデッキ(乾燥デッキの総数の42%)が第1乾燥ゾーン4に属し、合計11個のデッキ(乾燥デッキの総数の58%)が第2乾燥ゾーン6に属している。2つの乾燥ゾーン4、6を有する乾燥ボックスでは、乾燥デッキの総数の概して10%〜70%が、第1乾燥ゾーン4に属し、それらに、図3および図8それぞれに示すタイプの第1下部ブローボックス26または126が設けられ、対応して、乾燥デッキの総数の概して30%〜90%が、第2乾燥ゾーン6に属し、それらに、図5に示すタイプの第2下部ブローボックス32が設けられる。通常、第1乾燥ゾーン4は、ウェブ18が第2乾燥ゾーン6に対して十分な引張強さを得るために必要とされる程度の乾燥デッキのみを有している。第3乾燥ゾーン、さらには第4乾燥ゾーンがある場合、それらによって、通常、第2乾燥ゾーンの乾燥デッキの数が減少する。概して、第1乾燥ゾーン4は、少なくとも2個の第1乾燥デッキ24を備えている。
【0075】
上で、第1下部ブローボックス26に、米国特許第4,837,947号明細書に開示されている「溝孔」タイプか、または国際公開第97/16594号パンフレットに開示されている「まぶた状孔」タイプの傾斜型開口部146が設けられていると述べた。傾斜型開口部46はまた別の設計でもあり得ることが理解されよう。こうした別の設計の例は、米国特許第5,471,766号明細書に開示されている。米国特許第5,471,766号明細書の図6において、米国特許第4,837,947号明細書のものに類似するが、わずかに深さが小さい上面に中心V字型溝があるブローボックスが開示されている。
【0076】
上で、ブローボックス26、28、32、34、40、126に供給されるガスが空気であると述べた。場合によっては、ブローボックスに供給されるガスは、別のタイプのガス、たとえば、燃焼ガスと混合した空気であり得ることが理解されよう。
【0077】
乾燥ボックスにおいてブローボックスの種々のタイプの固定タイプを利用することができることが理解されよう。従って、第1乾燥ゾーンに、図3および図8にそれぞれ示すタイプの第1下部ブローボックス26、126を設けることができる。従って、第1乾燥ゾーンでは、比較的大きい固定力がすぐに使用可能である。第2乾燥ゾーンに、図3および図8にそれぞれ示すタイプに類似しているが固定力が相対的に低い第1下部ブローボックスを設けることができる。こうした相対的に低い固定力を、たとえば、第2タイプの開口部48、148の数を増加させて、傾斜型孔46、146を通過する乾燥空気を低減することにより、達成することができる。これにより、依然として許容可能であり得る相対的に低い固定力がもたらされ、それは、第1乾燥ゾーンにおいてウェブがすでに増大した引張強さを得ているためである。そして、第3乾燥ゾーンが開始し、こうした第3乾燥ゾーンは、図4および図5に示すタイプの乾燥デッキおよび第2下部ブローボックスを有している。従って、乾燥ボックス1において乾燥させる特定のウェブ18に対する固定力および伝熱に関して好適な状態を得るように、種々のタイプのブローボックスをさまざまな方法で配置することができる。従って、乾燥ボックスに、2個以上の乾燥ゾーン、概して2個〜10個の乾燥ゾーンを設けることができる。
【0078】
図4に、各上部ブローボックス34がそれぞれの下部ブローボックス32の垂直方向上方に配置されることを示した。上部ブローボックスおよび下部ブローボックスの他の配置も利用することができることが理解されよう。こうした代替配置の一例は、いわゆる千鳥配置であり、そこでは、各上部ブローボックス34は、2つの隣接する下部ブローボックス32の間の間隙Sの上方を中心とする。
【0079】
上で、第1乾燥ゾーン4が第1下部ブローボックス26、126を備えており、第2乾燥ゾーン6が第2下部ブローボックス32を備えていると述べた。それぞれの乾燥ゾーンにおけるブローボックスの混合が可能であることが理解されよう。従って、第1乾燥ゾーン4は、たとえば、最大25%の第2下部ブローボックス32を備えることができ、第2乾燥ゾーン6は、最大25%の第1下部ブローボックス26、126を備えることができる。また、第1乾燥ゾーンおよび第2乾燥ゾーンに、他のタイプの下部ブローボックスを含めることができる。好ましくは、第1乾燥ゾーン4では、下部ブローボックスの少なくとも75%が第1下部ブローボックス26であるべきであり、第2乾燥ゾーン6では、下部ブローボックスの少なくとも75%が第2下部ブローボックス32であるべきである。
【0080】
要約すると、セルロースパルプのウェブ18を乾燥させるセルロースパルプ乾燥ボックス1、201は、パルプを乾燥させるためにセルロースパルプのウェブ18に向かってガスを吹き付けるように動作可能なブローボックス26、32、126を備えている。乾燥ボックス1、201のブローボックスの総数の少なくとも10%の、それらのそれぞれの面44、54、144に、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部48、60、148が設けられる。1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部48、60、148が設けられているこうしたブローボックス26、32、126では、1.8mm〜3.1mmという特徴的な寸法を有する開口部48、60、148は、それぞれのブローボックス26、32、126の面44、54、144の総穿孔度の少なくとも20%を構成している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10