(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912134
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】光コヒーレンストモグラフィ、照明又は光凝固について組み合わされた手術エンドプローブ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20160414BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
A61F9/008 120F
A61B17/36 350
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-550608(P2013-550608)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-509885(P2014-509885A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012021990
(87)【国際公開番号】WO2012100138
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】61/435,031
(32)【優先日】2011年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ.ヤドロウスキー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイムズ パパック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クリストファー ハキュラック
【審査官】
宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−515382(JP,A)
【文献】
特表2000−500043(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0228119(US,A1)
【文献】
米国特許第06485413(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術レーザビームを発するように作動可能な手術レーザ源と、
OCTビームを発するように作動可能なOCTエンジンと、
前記手術レーザ源及びOCTエンジンに光学的に結合されたエンドプローブであって、
前記OCTビームを伝達するためのOCTファイバと、
前記手術レーザビームから複数のスポットを生成する少なくとも一つの光学要素を通過する前記手術レーザビームを伝達するための手術レーザファイバと、
第1スキャン光学素子を有する第1カニューレと、第2スキャン光学素子を有し且つ逆回転する第2カニューレとを具備するカニューレ組立体であって、前記OCTファイバ及び手術レーザファイバは、前記OCTビーム及び手術レーザビームがそれぞれ前記第1スキャン光学素子及び第2スキャン光学素子を通過するように、前記第1スキャン光学素子及び第2スキャン光学素子に光学的に結合され、前記第1スキャン光学素子及び第2スキャン光学素子の逆回転によって前記OCTビーム及び手術レーザビームの両方が同時にスキャンされる、カニューレ組立体と
を具備するエンドプローブと、
前記OCTビーム及び手術レーザビームを標的組織範囲に亘ってスキャンし且つ該標的組織範囲からのOCT信号を検出すべく、前記スキャン光学素子を制御するようにプログラムされたプロセッサと
を具備する手術システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、さらに、前記標的組織範囲が前記手術レーザビームによって成功裏に修飾されたことを判別し且つそれに応じて前記手術レーザビーム及びOCTビームを別の組織にスキャンするように作動可能である、請求項1に記載の手術システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、さらに、前記標的組織範囲が損傷したことを判別し且つそれに応じて救済措置を開始するように作動可能である、請求項1に記載の手術システム。
【請求項4】
前記救済措置が前記手術レーザ源を切ることである、請求項3に記載の手術システム。
【請求項5】
当該手術システムが、さらに、前記エンドプローブに光学的に結合された照明源を具備し、前記エンドプローブがさらに照明ファイバを具備する、請求項1に記載の手術システム。
【請求項6】
前記照明ファイバが前記スキャン光学素子に光学的に結合される、請求項5に記載の手術システム。
【請求項7】
当該手術システムがさらにユーザインタフェースを具備し、前記プロセッサが、さらに、前記ユーザインタフェースからの入力に応じて照明スキャンパターンを変更するようにプログラムされる、請求項6に記載の手術システム。
【請求項8】
前記プロセッサが、さらに、前記手術レーザビームについて選択されたスポットパターンを作り出すべく、前記手術レーザ源のデューティサイクルを制御するようにプログラムされる、請求項1に記載の手術システム。
【請求項9】
当該手術システムがさらにユーザインタフェースを具備し、前記プロセッサが、さらに、前記ユーザインタフェースからの入力に応じて前記選択されたスポットパターンを変更するようにプログラムされる、請求項8に記載の手術システム。
【請求項10】
前記手術レーザ源が複数の手術レーザビームを発し、前記エンドプローブが複数の手術レーザファイバを具備する、請求項1に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年1月21日に出願された米国仮特許出願シリアル番号61/435031に基づく優先権を主張する。
【0002】
本明細書に記載される実施形態は顕微手術プローブの分野に関する。特に、本明細書に記載された実施形態は、光コヒーレンストモグラフィを照明又は光凝固に組み合わせる手術エンドプローブの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
顕微手術処置の分野は急速に発達している。典型的には、これら処置は、治療され又は診断される組織に到達することができるプローブの使用を含む。斯かる処置は、遠隔のコンソール内のコントローラ装置に結合されたプローブを有する内視鏡手術器具を使用する。現行の技術のプローブは、操作が極めて複雑であり、複雑な機械システムを使用して操作される動作部品を必要とすることが多い。多くの場合、電気モータがプローブの設計に含まれる。従来技術の装置のほとんどは高価であり、このことは、単回又は数回のみの手術処置後に装置を廃棄することを困難にする。さらに、従来技術の装置の複雑さは、概して、数ミリメートルの断面を有するプローブをもたらす。これらプローブは、眼科顕微手術技術ための実際の使用に適さない。眼科手術では、無関係な組織を損傷することなく、典型的には入り組んだ範囲にアクセスすべく、1mm以下の寸法が好ましい。
【0004】
診断目的又は治療目的のための時間依存性の光の指向を可能とするスキャン機構が内視鏡手術器具において使用されてきた。これら器具は、周囲に対する内視鏡の動作を必要とすることなく、組織の広範な範囲に亘って、イメージング、治療又は両方を提供するプローブを典型的には使用する。しかしながら、典型的には各機能について複数のプローブが存在し、種々の用途について種々の光源が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、相乗的な態様で種々の機能を組み合わせる手術エンドプローブについての要求が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特定の実施形態によれば、手術システムが、手術レーザビームを発するように作動可能な手術レーザ源と、OCTビームを発するように作動可能なOCTエンジンとを含む。手術システムは、手術レーザ源及びOCTエンジンに光学的に結合されたエンドプローブも含む。エンドプローブは、OCTビームを伝達するためのOCTファイバと、手術レーザビームを伝達するための手術レーザファイバと、OCTファイバ及び手術レーザファイバに光学的に結合されたスキャン光学素子であって、OCTビーム及び手術レーザビームの両方を同時にスキャンするように構成されたスキャン光学素子とを含む。手術システムは、さらに、OCTビーム及び手術レーザビームを標的組織範囲に亘ってスキャンし且つ標的組織範囲からのOCT信号を検出すべく、スキャン光学素子を制御するようにプログラムされたプロセッサを含む。
【0007】
また、本発明の様々な実施形態が、提供される説明と一致した操作の方法と、手術システムの様々な要素によって行われるステップとにまで及ぶであろう。同様に、本発明の実施形態は、説明される態様で手術システムを制御するのに使用されるコンピュータ可読媒体に統合されたソフトウェアにまで及ぶ。これは、同様の修飾(modification)を行う当業者にとって明らかな任意の適切な変形、方法及びソフトウェアにまで及ぶ。
【0008】
本発明のこれら及び他の実施形態が以下の図面を参照して下記に更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の特定の実施形態に係る手術システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の特定の実施形態に係るエンドプローブを示す。
【
図3】
図3は、本発明の特定の実施形態に係るエンドプローブの遠位端部を示す。
【
図4】
図4は、本発明の別の特定の実施形態に係るエンドプローブの遠位端部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図では、同一の参照番号を有する要素は同一の又は同様の機能を有する。
本発明の様々な実施形態では、OCTスキャンが手術レーザ用途及び/又は照明と組み合わされたエンドプローブが提供される。プローブは専門人員による直接的な操作のためにハンドヘルドのプローブでありうる。いくつかの実施形態では、プローブは、ロボットアーム又はコンピュータ制御される装置によって制御されるように設計されうる。プローブは、(専門家又は装置である)操作コントローラに近い近位端部と、組織に近い又は組織と接触する遠位端部とを有する。本明細書に開示された実施形態に係るプローブは、小さな寸法を有し、近位端部から操作しやすく、且つ周囲の組織に対する侵襲が最小限である。遠位端部では、プローブは、チップを有するプローブ端部から、チップ付近に配設された標的組織に所定の作用を行う。例えば、プローブは、そのチップから光を送達し、チップを介して結合された組織から反射され又は散乱された光を受容することができる。プローブのチップは可動要素を含むことができ、可動要素はその作用を行うべくチップを有効にする。
【0011】
図1は、本発明の特定の実施形態に係る手術システム10のブロック図である。描かれた実施形態では、手術システム10は、手術野の可視化のために適切な可視光を生成するための照明源20と、OCTエンジン30とを含む。手術レーザ源40が、網膜組織の光凝固のような標的組織の修飾をもたらすべく、適切な特性を有するレーザエネルギーを提供する。これら要素が以下に詳細に説明されるが、手術システム10が、光凝固、線維柱帯切除術又は他の手術用途のためのレーザ源のような他の手術光源を含んでもよいことが理解されるだろう。以下の説明は、当該技術分野において公知の様々な光送達用途を適切に含むようになっている。照明源20、OCTエンジン30及び手術レーザ源40は、適切な結合光学素子を使用して手術プローブ100に結合され、適切な結合光学素子は、特定の用途のために送達される光の所望の特性、例えばエネルギー、波長又は開口数を有する出力ビームに基づいて選択されうる。手術システム10は更にユーザインタフェース50を含み、ユーザインタフェース50は、ユーザが手術システム10の操作を制御することを可能とし、且つ、任意の適切な入力装置又は出力装置を含んでもよく、任意の適切な入力装置又は出力装置は、限定されるものではないが、キーボード、ハンドヘルドの制御、マウス、タッチスクリーン、フットスイッチ、音声命令のためのマイクロホン、又は従来の手術システムにおいて公知な多数の装置のいずれかを含む。
【0012】
照明源20は、多数の手術照明源、例えばキセノンランプ、発光ダイオードの集合体、レーザ、又は可視光スペクトルの範囲の光を生成するその他の適切な光源のいずれかであってもよい。OCTエンジン30は、手術光を使用して生成された参照ビームと、手術光によって照明された組織から戻る光との間の干渉を測定するための干渉分光計である。特定の実施形態では、OCTエンジン30は「スペクトル領域OCT」としても公知な分光計ベースの干渉計を含んでもよい。これは、標的組織についての情報を再現すべく、光の比較的広いスペクトル範囲を使用してスペクトル帯内の離散的な波長の干渉を測定するOCTシステムを意味する。
【0013】
OCTエンジンはプロセッサ32も含み、プロセッサ32は情報を処理するための一つ以上の適切な電子部品であってもよく、一つ以上の適切な電子部品は、限定されるものではないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他のプログラム可能な装置を含む。プロセッサ32は、スキャンされた組織の数学的な描写を生成すべく組織から反射された光によって作り出された干渉についての情報を処理し、次いで、スキャンされた組織の数学的な描写は組織の電子画像を作り出すのに使用されうる。OCTエンジン30はメモリ34も含み、メモリ34は、揮発性又は不揮発性の電子ストレージ、磁気ストレージ又は光学ストレージを含む任意の適切な形態の情報ストレージであってもよい。最後に、OCTエンジン30はスキャンコントローラ36を含む。スキャンコントローラ36は、OCTエンジン30によって使用された手術光の向きを変えるべく光学部品の動作を制御するのに適切なハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア、並びに機械部品の任意の適切な組合せであってよく、これらはプロセッサ32及びメモリ34を含んでもよい。例えば、プローブ100がOCTビームのためのスキャン光学素子を含む実施形態では、スキャンコントローラ66はスキャン機構を制御すべくスキャン光学素子に接続されうる。
【0014】
OCTイメージング技術の一つの例では、コヒーレンス長を有する光ビームが、プローブを使用することによって標的組織における所定のスポットに向けられる。コヒーレンス長は、プローブの遠位端部において変化されると組織の照明された部分の深さ方向の画像(Aスキャン)を提供すべくデコンボリューションされうる解像度深さ(resolution depth)を提供する。Bスキャンを通して2次元組織画像を得ることができる。いくつかの実施形態では、Bスキャンは組織の断面に沿った直線である。さらに、組織における種々の線に沿ってBスキャンを繰り返し行うことによって、組織の3次元レンディションを提供することができる。いくつかの実施形態では、Bスキャンは、同じ長さを有し且つ共通の交点から所定の半径内に構成された一組の線であってもよい。このため、複数のBスキャンは、所定の深さを有する、組織内の円形範囲の画像を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、OCT技術は、順方向に向けられたスキャン処置を使用する。この場合、光照明がプローブの長手方向の軸線の順方向に起こる。順方向に向けられたスキャンでは、標的組織は、プローブの長手方向の軸線に垂直な平面においてプローブの前方にあってもよい。このため、プローブのチップから組織に進み且つ組織からプローブ内に戻る光はプローブの長手方向の軸線にほぼ平行な方向に進むことができる。順方向に向けられたスキャンを使用するいくつかの実施形態では、標的組織はプローブの長手方向の軸線にほぼ垂直であるが正確に垂直ではない。さらに、いくつかの実施形態では、プローブから標的組織に進み且つ標的組織からプローブ内に進む光は、プローブの長手方向の軸線に平行ではないが、プローブの長手方向の軸線回りに対称なパターンを形成してもよい。例えば、順方向に向けられたスキャンにおいて標的組織を照明する光はプローブの長手方向の軸線回りに中実円錐又はその一部を形成してもよい。同様に、順方向に向けられたスキャンにおいてエンドプローブによって収集される光は、プローブの長手方向の軸線の周りの円錐区域の一部を含む3次元領域における標的組織から来てもよい。
【0016】
図2は顕微手術エンドプローブ100を示し、顕微手術エンドプローブ100はカニューレ組立体110及びハンドピースハウジング150を含む。カニューレ組立体110は、プローブの長手方向の軸線に沿って細長く且つ僅かな断面を有するエンドプローブ100の遠位端部を含む。例えば、いくつかの実施形態では、カニューレ組立体110は直径(D
2)が約0.5mmであり、一方、ハンドピース150は、直径(D
1)が数mm、例えば12〜18mmのほぼ円筒形状を有する。結合ケーブル195が、広帯域光源20の結合光学素子50から光を運ぶ光ガイドを含む。代替的な実施形態では、別個のプローブ100が共通の光源に結合されてもよく、又は手術光及び照明光の両方が共通の光ガイド内に結合されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、組立体110は、顕微手術処置のために、標的組織を含む組織に接触しうる。このため、組立体110は、組織の感染又は汚染を防止する材料で被覆されてもよい。さらに、手術処置及び手術計画によって組立体110についての衛生基準が定められ、衛生基準の全ては全体を参照することによって本明細書の一部を構成する。例えば、組立体110は単回使用の後に廃棄されることが望ましい。いくつかの状況では、組立体110は、少なくとも処置が異なる患者に行われる度に又は処置が体の異なる部分において行われる度に廃棄される。
【0018】
ハンドピースハウジング150は、プローブの近位端部により近くてもよく、且つ、要素110と比較してより大きな断面を有してもよい。要素150は、いくつかの実施形態によれば、エンドプローブ100の手動操作に適合されうる。要素150は、ロボット操作のために、又は自動装置若しくは遠隔操作される装置による保持のために適合されうる。組立体110は生体組織と接触してもよく、一方、要素150は生体組織と直に接触しなくてもよい。このため、要素150が衛生基準に準拠してもよいが、これら衛生基準は、組立体110について使用される衛生基準に比べて幾分緩和されうる。例えば、要素150は、廃棄前に繰り返し使用されるエンドプローブ100の一部及び部品を含んでもよい。
【0019】
このため、本明細書に開示されたようないくつかの実施形態のエンドプローブ100では、複雑な部品が要素150に含まれてもよく、高価ではない交換可能な部品が組立体100に含まれてもよい。いくつかの実施形態は使い捨ての取外し可能な要素110を有してもよく、一方、ハンドピース150は一回よりも多く使用されてもよい。ハンドピース150は、ハンドピース150内の内部要素から出る微粒子又はガスによる組織の汚染を回避すべく、密封状にシールされてもよい。いくつかの実施形態では、カニューレ組立体110は接着によってハンドピース150に固定されてもよい。他の実施形態によれば、組立体100は、繰り返される処置のためにエンドプローブ100の容易な交換を可能とすべく、ハンドピース150から取外し可能であってもよい。
図2と一致したいくつかの実施形態は使い捨ての要素150及び使い捨ての組立体110を有してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、OCT技術はサイドイメージングを使用してもよい。例えば、サイドイメージングにおいて、標的組織は、プローブの長手方向の軸線を含む平面に平行である。このような状況では、標的組織の閉ループ画像を創造すべく、プローブの長手方向の軸線の周りに、照明スポットを円形軌跡で動かすことが望ましい。斯かる状況は、血管内処置を含む顕微手術において生じうる。例えば、冠状動脈血管造影において、冠状動脈の内壁は、本明細書に記載された実施形態を使用して、動脈内腔に沿った円筒区域において完全にスキャンされうる。
【0021】
図3は、本発明の特定の実施形態に係る例示的なエンドプローブ100のカニューレ組立体110の特定の特徴を示す概略図である。描かれた実施形態では、カニューレ110は逆回転する二つの内部カニューレ112、114を含み、内部カニューレ112、114は対応するスキャナ要素116、118を有し、スキャナ要素116、118は屈折率分布(グリン)レンズであってもよい。スキャン要素116、118はビームをスキャンすべく互いに対して回転する。これら要素の操作は、2011年1月21日に出願され且つ発明の名称が「逆回転する眼科スキャナ駆動機構」である同時係属中の出願(シリアル番号61/434942)においてより詳細に記載され、この出願は参照によって本明細書の一部を構成する。より一般的には、概して「スキャン光学素子」と称される光ビームをスキャンするのに適切な可動光学要素の任意の集合体が用いられうる。
【0022】
カニューレ110は、カニューレ110の壁内に、OCTファイバ120、手術レーザファイバ122及び照明ファイバ124も包含する。照明ファイバ124は照明源20から可視範囲の光を送達し、一方、OCTファイバ120はOCTエンジン30から適切なスペクトル内の光を送達し且つ干渉分光測定のために組織から反射された光を戻す。手術レーザファイバ122は同様に手術レーザ源40からレーザエネルギーを送達する。描かれた実施形態では、OCTファイバ120及び手術レーザファイバ122は共通のクラッディングを使用することができるが、別個のファイバの堆積構成(stacked arrangement)が使用されてもよい。
【0023】
OCT測定に必要とされる波長の要件のために、シングルモードのファイバがOCTファイバ120に適切であり、一方、手術レーザファイバ122は、比較的高い効率で組織の修飾のために十分なエネルギーを送達すべく、マルチモードであってもよい。コリメートレンズ及び/又は集光レンズ126が、OCTスキャンが手術レーザビームに近接して追随するように、OCTファイバ120及び手術レーザファイバ122から発せられた光が共通の平面に集光されることを保証するのに有用である。示されるように、OCTレーザビーム及び手術レーザビームは、その後、スキャナ要素116、118によって同時にスキャンされうる。このことによって、手術レーザによる組織の修飾をモニタリングできることは有利である。
【0024】
異なる範囲において又は異なる速度でビームがスキャンされることを可能とする別個の光学要素が各ファイバについてのレンズ126及び/又はスキャナ要素116、118の代わりに使用されてもよい。特定の実施形態では、手術レーザファイバ122と関連付けられたレンズ126が、任意の適切な光学形態を使用して手術レーザビームから複数のスポットパターンを作り出し、次いで、複数のスポットパターンはスキャナ要素116、118によってスキャンされうる。他の実施形態では、手術レーザ光源40は、複数の手術レーザスポットを作り出す複数の手術レーザファイバ122内に結合される複数のビームを発するべく、一つ以上の光学要素を使用してもよい。
【0025】
OCTエンジン30のプロセッサ32は、特定の条件の組織の形態特性(tissue configurations characteristic)、例えば組織の修飾が標的領域において成功裏に達成されたときを検出するようにプログラムされてもよい。また、プロセッサ32は、救済措置を採るべく、過度のエネルギーが送達されたとき、例えば組織が焦がされたときを検出するようにプログラムされてもよい。例えば、手術レーザ源40は、切れるように信号が送られてもよく、又はスキャナ要素116、118は標的組織の新しい範囲により迅速にビームを動かすように制御されてもよい。概して、組織の効果的且つ一様な修飾を促進すべく、OCT信号のモニタリングに基づいて光凝固ビームのスキャンを自動化することができる。
【0026】
光凝固の例が提供されてきたが、組織の修飾のための光エネルギーのその他の用途も同様に制御されうる。さらに、OCTエンジン30のプロセッサ32を有する形態が例として与えられてきたが、手術システム10の様々なサブシステムを制御するための任意の数の別個のプロセッサを含む、手術システムのための制御電子機器の任意の適切な構成も使用されうる。したがって、用語「プロセッサ」は、概して、手術システム10の様々な要素の操作を指示することができる、情報を記憶するための任意の適切な揮発性又は不揮発性メモリを含む任意の部品又は部品の集合体を意味しうる。
【0027】
図4は、プローブ100のカニューレ110の異なる実施形態を示す。
図4の実施形態では、照明ファイバ124からの光もスキャンすることができる。照明ビームをスキャンする利点は、例えば
図4の実施形態では、より大きな範囲をカバーするようにビームを掃引できることであり、このことは照明光の開口数を効率的に増加させ且つ組織の可視化を手術レーザビーム及び/又はOCTビームのスキャンに直接リンクさせる。また、典型的には、OCTのための有用な適度に高いスキャン速度、例えば60Hzが、照明を視野内で一定且つ一様にするのに十分である。
【0028】
様々な実施形態において、所望のスキャンパターンを作り出すべく、照明源20、OCTエンジン30、及び/又は手術レーザ源40のデューティサイクルを調整できることも有利である。例えば、手術レーザ源40は、選択された点で作動され、一方、OCTビーム及び照明ビームは標的組織上に所望のレーザパターンを作り出すようにスキャンされてもよい。同様に、照明野に対する手術レーザについてのスポットパターンの相対的な大きさも選択されうる。
【0029】
特定の実施形態では、スキャンパターンは、ユーザインタフェース50を使用して多数の選択肢の間でプログラム可能又は選択可能である。このため、例えば、照明野に対するスポットパターンの大きさを調節すること又は照明野を広げることを望む手術医はそうするように適切な入力を提供する。斯かる一つの例では、スポットパターン及び照明野がタッチスクリーン上に表示され、手術医はパターンの要素を再形成し又はパターンの要素の大きさを変えるべくタッチスクリーンに亘って指をドラッグする。斯かるスポットが互いに近すぎることで組織の損傷の可能性を増大する状況を防止すべく、可能なパターンに制約を設定することもできる。組織の修飾の期待される速度を決定し、デューティサイクル及び/又はスキャン速度に基づいて特定のスポットの滞留時間を調節するようにプロセッサ32をプログラムすることもでき、レーザ手術をモニタリングしてOCTフィードバックに基づいて制御することもできる。手術要求、適切な照明及び安全性の考慮に基づいて他の多数の可能なカスタマイズが当業者にとって明らかであるだろう。
【0030】
上記の説明が手術システム及びプローブ器具に焦点を当ててきたが、本発明の様々な実施形態が、上で提供された説明と一致した操作の方法と、手術システムの様々要素によって行われたステップとにまで及ぶことが理解されるべきである。同様に、本発明の実施形態は、説明された態様で手術システムを制御するのに使用されるコンピュータ可読媒体に統合されたソフトウェアにまで及ぶ。これは、同様の修飾を行う当業者にとって明らかな任意の適切な変形、方法及びソフトウェアにまで及ぶ。
【0031】
本発明の様々な実施形態では、OCTスキャンが手術レーザ用途及び/又は照明に組み合わされたエンドプローブが提供される。上述された本発明の実施形態は単なる例示である。具体的に開示されたこれら例示から当業者は様々な代替的な実施形態に気付くことができる。これら代替的な実施形態は本開示の範囲内にあることも意図されている。この結果、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。