特許第5912137号(P5912137)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912137
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】内部シール付き圧縮流体分配装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/46 20060101AFI20160414BHJP
   B65D 83/16 20060101ALI20160414BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B65D83/46
   B65D83/16
   B05B9/04
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-555451(P2013-555451)
(86)(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公表番号】特表2014-510680(P2014-510680A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2012025333
(87)【国際公開番号】WO2012115842
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/446,644
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】メアリー エム.ホグランド
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ジェイ.シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ.シラー
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3357604(US,A)
【文献】 米国特許第4418847(US,A)
【文献】 実開昭62−027759(JP,U)
【文献】 特開2000−229255(JP,A)
【文献】 実開昭62−010061(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0103811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00−83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶から該缶の弁棒を介して圧縮流体を分配するための分配装置であって、該分配装置は、
(a)互いに対向する入口末端及び分配末端を有し、前記入口末端から前記分配末端までの全体に亘って延びる流路を規定する中空管と;
(b)接続部材であって、該接続部材はこれを貫通する導管を規定し、該導管の一端は、前記流路との流体連通を提供するために前記中空管の流路と接続し、該導管の他端は、前記缶の弁棒に取り付け可能である、前記接続部材と;
(c)前記中空管の流路内に配置されるプラグであって、該プラグは、該流路内を移動可能であるとともに、前記中空管の分配末端に向けて押圧されると前記流路を流体の流れから密封する密封形成位置に配置されるように、前記中空管と組み合わせられる、前記プラグと;
(d)前記プラグに取り付けられる第1末端及び該第1末端と対向する第2末端を有し、少なくとも前記中空管の流路の一部及び任意に前記接続部材の導管の少なくとも一部まで伸長する、柔軟かつ非弾性の伸長部材と;
(e)前記中空管、前記接続部材、又はそれらの両方にあって、前記流路又は前記導管の内側から分配装置の外側まで延びる前記柔軟かつ非弾性の伸長部材が通る、密封された開口と;
を備え、
前記柔軟かつ非弾性の伸長部材の第2末端は前記缶に取り付け可能であり、前記伸長部材は、缶に取り付けられるときに、前記接続部材が缶の前記弁棒に取り付けられると、前記プラグを密封形成位置に配置できるように長くされるとともに、前記缶に対して前記接続部材及び弁棒が傾斜して前記伸長部材から遠ざかると、前記プラグが密封を形成できなくなるように短くされ、さらに、該分配装置は前記プラグを密封形成位置に押圧するためのバネを備えない、前記分配装置。
【請求項2】
前記接続部材が、前記分配装置の外側に延びる前記伸長部材とは反対側の面から突き出たコネクタートリガーを備えることを更に特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記伸長部材の第2末端は、前記缶の上の弁スカートに取り付けることができる留め金具を備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項4】
前記伸長部材と、前記接続部材の導管の前記缶の弁棒に取り付けられる末端近傍との間に、柔軟な連結を更に含む、請求項1に記載の分配装置。
【請求項5】
前記伸長部材が、長さ方向の圧縮荷重下で歪む材料、すなわち、前記伸長部材のプラグから離れた側の末端に圧縮荷重をその長さ方向に沿って印可した際に、前記圧縮荷重によりプラグが動く前に歪む材料によって形成されていることを更に特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項6】
前記中空管を貫通する前記流路が、前記分配末端近傍における断面積が前記中空管全体の平均断面積よりも小さくなるように、先細りに形成されていることを更に特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項7】
前記プラグ及び前記中空管の少なくとも一つの少なくとも一部分は、弾性変形可能であり、この前記プラグ及び前記中空管の少なくとも一つの弾性変形可能な部分は、前記プラグが密封形成位置に押圧されたときに、前記プラグと前記中空管との間の密封の形成に関与するものであることを更に特徴とする請求項1に記載の分配装置。
【請求項8】
伸長部材が延在する分配装置の外側表面にガイドを更に備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項9】
フォーム分配システムであって、該システムは、圧縮された発泡性配合物の缶及び請求項1に記載の分配装置を備え、前記缶は前記分配装置の前記接続部材が取り付けられる弁棒を備える、前記フォーム分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶(can)から圧縮流体を分配するための分配装置、並びに前記分配装置及び缶を含む分配システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮缶からの流体、特に発泡性流体を分配することは、多くの日曜大工製作にとって有用である。一つの例として、特に密封及び断熱用のスプレーフォームが挙げられる。スプレーフォームは、缶内の圧力下で発泡性液体として利用される。発泡性液体は、缶のバルブに取り付けられた塗布管(又はストロー)を介して分配されるのが一般的である。この発泡性液体は、缶から解放されると発泡体(foam)へと膨張して隙間を充填し、及び/又は断熱密封をもたらす。前記発泡性液体は、発泡性ラテックスや発泡性ポリウレタン配合物を含むものである。
【0003】
スプレーフォームにおける一つの課題は、所定の場所にスプレーフォーム配合物を塗布した後に、ディスペンサーの塗布管内に残留する発泡性配合物が、自由に膨張し続けることである。その結果、発泡性液体の塗布が完了した後でも、残留した発泡性液体が塗布管から排出し続けることとなる。この膨張する残留した発泡性液体は、塗布管から垂れ落ちて、意図せぬ汚れをもたらすことがある。或いは、使用者が、前記管内に残留した発泡性液体の膨張によって塗布管末端に付着する前記配合物を、継続的に拭き取る必要がある。このような垂れ落ちや塗布管末端の継続的な拭き取りを回避するためには、発泡性液体の塗布が完了した後に前記塗布管から排出される残留発泡性液体の継続的な膨張を防ぐことができる圧縮膨張性液体を使用した分配装置を備えることが望ましい。
【0004】
米国特許第5549226号明細書(以下、「'226特許」という。)は、上記問題に対処するのに有用となり得る高圧ガス缶操作用の装置を開示している。'226特許の装置は、折り曲げ自在であり、かつ、細い管の開口端を継手に被せてそれを密封する屈曲性塗布管を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5549226号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記'226特許において継手を塗布管の端部に挿入すると、前記継手周辺の塗布管から流体が押しやられて、継手の周辺部分に、及び場合によっては、前記塗布管を継手に被せる際の使用者の指に、望ましくない発泡体の付着をもたらすこととなる。この'226特許の装置とは対照的に、前記端部を密封するために塗布管の端部に何かを挿入することは避けた方がよい。すなわち、管の内側から塗布管の端部を密封できるようにすることが望ましい。
【0007】
ザダウケミカル社は、GREAT STUFF PROTMというブランドのスプレーフォーム用のフォーム分配ガンを提供している。このスプレーガンには、PRO 13、PRO 14及びPRO 15の3種類のグレードがある。それぞれのガンは、GREAT STUFF PROTMというブランドのスプレーフォームの缶上に開口を備えており、それによって、圧縮されたフォーム配合物を銃身内に解放するものである。前記銃身にはロッドが延在しており、該ロッドには、内側から前記銃身の出口又は分配末端を密封するためのバネが装填されている。更にこのバネが装填されたロッドには、トリガーが取り付けられており、このトリガーを引くと、前記ロッドが前記銃身の分配末端から引っ込み、フォーム配合物が、缶からこの引っ込んだロッドの周囲の銃身内へと自由に流れることができ、そして、前記分配末端から流出される。このトリガーを解放すると、前記バネの復元により前記ロッドが銃身の分配末端における密封構造の形成位置に戻る。この分配ガンの設計は、分配装置の内部密封を達成するためにバネ装填ロッドを必要としている。しかしながらバネを含むと、製造時のコストと複雑さが増大する。バネ装填ロッドを必要とすることなく、内側から密封することができる分配装置を備えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塗布管を内側から密封することができる圧縮流体用の分配装置を提供するものであり、それよって、分配管の末端に何かを挿入したり、又は前記分配装置の銃身にバネ装填ロッドが延在したりすることを回避しつつ、前記塗布管から継続的に追い出される膨張可能な発泡性混合物の問題を解決するものである。さらに、本発明のある実施形態では、圧縮された発泡性液体を塗布する間は、前記分配管の密封を自動的に解除することができ、前記発泡性液体の塗布をやめるときは、前記分配管の塗布末端を自動的に密封することができるものである。このような実施形態では、使用者は、前記分配管の密封又は密封の解除のために、自らの手を前記分配管の近くにもってくることを回避することができ、それにより、フォームが手に付着することを回避することができる。
【0009】
本発明の第1の態様は、缶から該缶の弁棒(valve stem)を介して圧縮流体を分配するための分配装置であって、該分配装置は、
(a)互いに対向する入口末端及び分配末端を有し、前記入口末端から前記分配末端までの全体に亘って延びる流路を規定する中空管と;
(b)接続部材(connector)であって、該接続部材はこれを貫通する導管を規定し、該導管の一端は、前記流路との流体連通を提供するために前記中空管の流路と接続し、該導管の他端は、前記缶の弁棒に取り付け可能である、前記接続部材と;
(c)前記中空管の流路内に配置されるプラグであって、該プラグは、該流路内を移動可能であるとともに、前記中空管の分配末端に向けて押圧されると前記流路を流体の流れから密封する密封形成位置に配置されるように、前記中空管と組み合わせられる、前記プラグと;
(d)前記プラグに取り付けられる第1末端及び該第1末端と対向する第2末端を有し、少なくとも前記中空管の流路の一部及び任意に前記接続部材の導管の少なくとも一部まで伸長する、柔軟かつ非弾性の伸長部材と;
(e)前記中空管、前記接続部材、又はそれらの両方にあって、前記流路又は前記導管の内側から分配装置の外側まで延びる前記柔軟かつ非弾性の伸長部材が通る、密封された開口と;
を備え、
前記柔軟かつ非弾性の伸長部材の第2末端は前記缶に取り付けられ、前記伸長部材は、前記接続部材が缶の前記弁棒に取り付けられるときに、前記プラグを密封形成位置に配置できるように長くされるとともに、前記伸長部材が缶に取り付けられるときに、前記缶に対して前記接続部材及び弁棒が傾斜して前記伸長部材から遠ざかると、前記プラグが密封形成位置から退避するように短くされ、さらに、この分配装置は、前記プラグを密封形成位置に押圧するためのバネを備えない分配装置である。
【0010】
本発明の第2の態様は、圧縮された発泡性配合物の缶及び前記第1の態様の分配装置を備えるフォーム分配システムであり、前記缶は、分配装置の接続部材が取り付けられる弁棒を備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分配装置は、圧縮液体、特に圧縮された発泡性液体を缶から分配するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、缶に取り付けられた本発明の分配装置の断面図を示す。
図2図2は、本発明の分配装置における分配末端の一例の断面図を示す。
図3図3図3(a)及び図3(b)は、本発明の分配装置における分配末端の一例の断面図を示す。図3(a)は側方断面図であり、図3(b)は傾斜断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「及び/又は」は、「及び」或いは「又は」を意味し、「複数」は、「2つ以上」を意味する。また、特に断らない限り、すべての範囲はその両方の端点を含む。
【0014】
本出願人は、そのような組み合わせが物理的に不可能でない限り、任意の実施形態の態様は、他の実施形態のいずれかの態様と無制限の様式で組み合わせが可能であると予想している。
【0015】
本発明は、缶の弁棒を介して缶からの圧縮流体を分配するための分配装置である。本発明の最も広い範囲においては、圧縮流体の種類は無制限であり、液体と気体の両方を含み得るが、本発明は、圧縮された発泡性配合物を分配するのに、特に有用である。
【0016】
発泡性配合物は、通常、マトリックス材料と、発泡させたい時まで膨張が起こらない圧力下で保持される発泡剤との混合物を含む。圧力が解放されると、前記発泡剤はフォームを形成するためのマトリックス材料内で膨張することができる。一般的な発泡性ポリマー組成物としては、膨張及び硬化することのできるポリウレタンポリマーを形成する、マトリックスを有するもの(すなわち、ポリウレタン発泡性ポリマー組成物)が挙げられる。その他の種類の発泡性ポリマー組成物としては、ポリマーフォームを形成するための膨張や結合をしている間に発泡する、ラテックスマトリックス材料が挙げられる。
【0017】
本発明に使用するのに適した圧縮流体の缶は、分配される缶内の内容物が通過するバルブ及び弁棒を備える。缶のバルブは、缶からの流体を分配するために缶を開閉して可逆的に密封及びその解除をする、缶の一部分である。弁棒は、前記バルブの密封部から延びるバルブの一部分であって、通常は管状であり、これを介して缶の内容物を排出することができるものである。
【0018】
前記分配装置は、そこを通る流路として規定される中空管を備える。この管は互いに対向する入口末端と分配末端を有し、前記流路は、中空管の前記入口末端から前記分配末端までを通る全経路に延びる。流体は、前記入口末端を介して中空管の前記流路に入ることができ、該管の流路内を流れ、前記分配末端を介して前記流路から出ることができる。中空管及び流路は、同じ又は異なる断面形状を有することができ、それぞれ考え得る任意の断面形状とすることができる。また、この断面は、前記入口末端から分配末端までの前記流路の中心を通る直線に垂直な平面内に存在するものである。通常は、前記中空管及び流路は、両方とも円形の断面形状を有するものである。前記流路の断面積は、前記分配末端に近づくにつれて、サイズが先細りしていてもよく、望ましくは、先細りしている。或いは、前記流路の断面積は、段階的に又は分配末端に近づくにつれて、急に縮小するようにしてもよい。前記分配末端に近づくにつれて小さい断面積を有することは、後述するように、プラグによる前記流路の密封を促進し易くするために望ましい。前記中空管は、直線状(すなわち、入口末端から分配末端まで直線状に延びる態様)が一般的ではあるものの、直線状又は曲線状を含む、考え得る任意の形状とすることができる。また、前記中空管は、単一の部材又は複数の部材により構成することができる。例えば、前記中空管は、該中空管に取り付けられて該中空管の前記分配末端をなす、着脱可能な先端部を備えることができる。この着脱可能な先端部は、前記中空管の流路から分配末端を通過する流体の流れの方向や形状を、圧縮及び/又は再規定するように設計することができる。例えば、前記先端部は、広い表面領域に対する流体の塗布を容易にするために、流体の流れを扇状(fan pattern)に分配することができる。また、前記先端部は、前記流路の分配末端の断面積を減少させることによって流体の流れを圧縮することもでき、そしてそれは、前記プラグ(後述する)が、前記着脱可能な先端部に押しつけられたときに密封を形成するように前記着脱可能な先端部と組み合わせられる場合でも、有用となり得る。
【0019】
前記中空管は、使用中に中空管が劣化又は分解しないように、これを介して分配される圧縮流体に対して相対的に不活性である材料で形成されることが望ましい。前記中空管は、プラスチック製が望ましいものの、例えば、金属又はプラスチックと金属成分との組み合わせで製造することもできる。好適なプラスチック材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンが挙げられる。また、好適な金属としては、アルミニウムやステンレス鋼が挙げられる。
【0020】
前記中空管は、該中空管と前記圧縮流体の缶の弁棒との間のインターフェース又は連携装置となる、接続部材と接続する。この接続部材は、これを通る導管(又は、流路)として規定される。前記導管は、後述する密封された開口以外の開口や末端を、前記接続部材の外側に少なくとも2つ、好ましくは2つのみ備えるものである。このような開口の一つは、前記中空管の流路と前記接続部材の導管とを接続するものである。前記導管の他の開口は、缶の弁棒に取り付けられて、接続されるものである。ここで、前記中空管が前記接続部材と「接続する」又は「接続された」とは、前記中空管を通る流路が、前記導管の一末端を介して前記接続部材を通る導管と流体連通するように、中空管の前記入口末端を前記接続部材に接続することを意味する。前記中空管の流路は、基本的に接続部材を通る導管の延長となる。
【0021】
前記中空管及び接続部材は、単一の部材又は複数の部材により構成することができる。単一の部材の場合は、前記中空管及び接続部材が、単一の部材として永久に接続され又は一体形成され(例えば、一体成形され)る。複数の部材の場合は、前記中空管は、前記接続部材から分離することができる。例えば、前記中空管は、継手に適合される入口末端を備えたストローによって構成することができ、ここで、前記継手は、一旦その上に前記ストローが配置されると、前記ストローの流路と前記接続部材の導管とを流体連通させる接続部材として規定されるものである。
【0022】
前記接続部材は、中空管と同じ材料又は異なる材料で製造することができるが、通常は、前記中空管に適した材料と同じ種類のものから製造する。
【0023】
缶の弁棒に取り付けられる前記導管の開口は、分配装置が缶に取り付けられるときに、前記弁棒に接続され、そして、その接続は、前記弁棒と前記接続部材の導管とが流体連通するように、前記接続部材の導管が缶の弁棒と密封状態で接続することを意味する。したがって、分配装置を缶に取り付けると、前記弁棒と前記接続部材の導管と前記中空管の流路とが流体連通する。例えば、前記弁棒の外側の(露出した)壁及び前記接続部材の導管の内側の壁が、前記接続部材を前記弁棒の上にネジ止めすることによって、前記弁棒を介して分配装置を缶に取り付けることができるように、ネジ接合することができる。また、前記接続部材は、前記弁棒を介して接続部材の導管と流体連通させることが可能な任意の手段によって、前記弁棒に取り付けることができる。接続部材を弁棒に取り付けることができる他の手段としては、摩擦接続(その位置の摩擦力を保持しつつ、接続部材を弁棒上に摺動させる手段)、それぞれ可逆的又は非可逆的に一緒にロックするように形成された前記弁棒と前記接続部材とのスナッピング(snapping)が挙げられる。また、ロック手段としては、一方の部材の隆起部が他方の部材の溝部に嵌ってロックされるような、隆起部及び溝部による接合手段が挙げられる。或いは(又は、加えて)、前記ロック手段として、他方の部材上の溝内に摺動する一方の部材上の突起を含むことができ、ここで、前記溝は、二つの部材のねじれを許容する側方部であって、前記突起がここに位置すると各部材が互いにロックされるように機能する、前記側方部を備える。
【0024】
前記接続部材は、トリガーを含むことができる。望ましくは、前記トリガーは、前記接続部材が缶の弁棒に取り付けられているときに、トリガーを引いて前記接続部材を傾けると、前記バルブの弁棒が、圧縮流体を、バルブ及び弁棒を介して前記接続部材の導管内へと放出させるように、前記接続部材の一端から突き出ている。別のトリガーの設計としては、圧力をかけることで、トリガー構造体が前記弁棒を傾けることなくバルブ内に押し込まれ、それによってバルブが開いて缶内の圧縮流体を解放し、前記圧縮流体が前記バルブ及び弁棒を介して前記接合部材の導管内へと流れ込むように、前記接続部材と対照的に規定されるトリガー構造体が挙げられる。
【0025】
プラグは、前記中空管の流路内に設置する。プラグは、前記中空管内に該プラグに対して圧力を加える流体がないときは、前記中空管の流路内を動くことができる。プラグは、これが前記中空管の分配末端に向って押圧されたときに、前記中空管と密封状態で嵌合するように設計されている。前記プラグと前記中空管とが密封状態で嵌合しているときは、プラグは、例えば、前記中空管壁(前記流路周囲の前記中空管の部分)、前記中空管内の一構造部分又複数の構造部分(例えば、前記中空管の壁内の凹部に設置され、前記流路内に露出するO-リングやガスケット)と接触することができる。そのようなプラグ及び中空管を設計するための多くの選択肢があり、また、そのような設計は、当業者であれば容易に想到し得るものである。例えば、プラグが前記分配末端に向けて押圧され、該プラグが前記流路の壁を押圧すると、プラグ越しの流体連通を密封するために、前記中空管の流路を、前記中空管の分配末端に近づくにつれて先細りさせることができる。加えて又は代わりに、手前の断面積よりも小さい断面積を有する前記流路を通る開口として規定される、前記分配末端又は該分配末端の最も近いところで、単調な段階的圧縮により圧縮してもよく、そして、前記プラグは、前記分配末端に向けて押圧されたときに前記開口を密封するように、前記開口内に嵌まり込むことができる。前述のように、前記分配末端は、着脱可能な先端部を含むことができ、この着脱可能な先端部は、前記プラグが該着脱可能な先端部内に押圧されたときに前記プラグと嵌合して密封構造を形成するように設計される。前記中空管は、押圧された前記プラグと接触して前記密封構造を形成するように、前記流路内、望ましくは、前記流路を画定する前記中空管壁の凹部内に差し込まれたO−リングを含むことができる。
【0026】
前記プラグは、前記中空管の分配末端に向けて押圧されたときに密封構造を形成し得る大きさの寸法であるが、同時に、該寸法は、密封構造を形成しないときは、前記流路及び前記プラグの周囲を介して流体を流通させることができる程度の寸法でもある。例えば、前記流路は、前記分配末端で減少した径となるように縮径する主直径を有する円形断面とする一方、前記プラグは、前記主直径よりも小さく、かつ、前記中空管流路の前記減少した直径よりも大きい直径を有する円形断面とすることができる。このような例では、前記プラグは、前記分配末端における流路よりも大きい直径を有するため、前記分配末端に向けて押圧されたときに前記流路と密封構造を形成する。しかし、前記プラグが、前記分配末端から退避して前記主直径を有する流路部分に入ると、前記流路内における前記プラグの周囲が流体連通する。そして、この例を、例えば、前記プラグと前記中空管流路の所定部分との断面形状の寸法関係に関する、同様の構想を採用することによって、円形以外の他の断面形状にも拡張することは容易である。
【0027】
最も広い範囲においては、前記プラグは、球状形状とすることができ、また、その断面寸法を超える長さを有するものとすることもできる。望ましくは、前記プラグは、該プラグ自体の断面寸法を超える長さを有するものである。更に好ましくは、前記プラグは、前記流路の断面寸法を超える長さを有するものである。ここで、疑義を避けるために、前記プラグの長さは、前記プラグ及び中空管の断面に垂直な方向であり、かつ、前記入口末端から前記分配末端まで流れるときの前記中空管内における流体の流れ方向と平行な方向に延びるものである。
【0028】
前記プラグが、非密封構造において保持されていないときに、前記中空管内で膨張する流体が最も効率よく前記プラグに対して圧力を加えて、前記プラグを密封形成位置へと押し込むようにするために、前記中空管の分配末端から最も離れた側のプラグの末端は、できるだけ大きい断面積を有することが望ましい。
【0029】
プラグの少なくとも一部分は、前記中空管と接触して密封構造を形成するものであり、前記一部分は、密封構造のときに前記中空管に押し付けられるため、前記流路断面の形状に適合できるように弾性変形可能であることが望ましい。プラグ全体を弾性変形可能とすることもできる。ここで、弾性変形可能とは、荷重下で変形することができるが、荷重を取り除くと元の形状に復元できることを意味する。このような弾性変形可能なプラグ又は該プラグの少なくとも一部分に適した弾性変形可能な材料としては、ゴム、シリコーン及びプラスチックが挙げられる。前記中空管におけるプラグと密封構造を形成する部分(例えば、密封構造を形成する際に前記プラグの押圧に対抗する、前記中空管の流路内壁、O−リング又はガスケット材)も、又は当該部分が、弾性変形可能に構成することができる。例えば、前記中空管は、該中空管の壁内に嵌め込まれ、前記流路に部分的に延びる弾性のO−リングを備えることができる。剛体又は弾性変形可能な前記プラグは、密封構造を形成して前記流路を密封するために、前記O−リングを押圧することができる。このO−リングは、剛性又は弾性変形可能な(前記プラグについて記載したものと同様の弾性変形可能な材料によって製造される)ものとすることができる。O−リング及びプラグの少なくとも一つは、弾性変形可能であることが望ましい。
【0030】
分配装置は、対向する第1末端及び第2末端を有する、柔軟(すなわち、屈曲可能)、かつ、非弾性(すなわち、最大寸法の110%以上に伸長した後、10秒以内に元の形に復元できない)の伸長部材を更に含む。この伸長部材の第1末端は、前記中空管の流路内の前記プラグに取り付けられる。前記伸長部材は、前記プラグが密封構造を形成する際に前記流路の内壁と協働して密封を形成するプラグの一部分から離れた側の部分に取り付けられることが望ましい。前記伸長部材は、前記プラグから、該プラグ後方の(すなわち、前記プラグから、前記中空管の分配末端から離れる方向の)前記中空管の流路を通って、望ましくは前記接続部材の導管内にまで延在する。前記伸長部材が前記接続部材の導管内まで延在しない場合は、前記伸長部材は、前記流路の壁における密封された開口を通って、前記流路及び中空管の外に延びる。前記伸長部材が、前記流路から前記接続部材の導管内にまで延在する場合は、前記導管における缶の弁棒に取り付けられた場所以外の密封された開口を通って、前記導管及び接続部材から外に延びる。或いは、例えば、前記中空管の入口末端が前記接続部材の継手に接続され、前記密封された開口が前記中空管及び前記接続部材の継手の両方を通って延在する場合は、前記伸長部材は、前記中空管の流路及び前記接続部材の導管の両方から外に延在することができる。
【0031】
密封された開口は、前記中空管、接続部材又はこれら両方への開口部であり、分配装置の内側から(すなわち、前記中空管の流路及び/又は前記接続部材の導管から)分配装置の外側への通路を担うものである。この密封された開口は、前記伸長部材がこれを通って延びる場合において、缶から分配装置を介して圧縮流体を塗布している間に、分配装置の内側と外側との間の流体連通を防止するための密封が形成されるように、前記伸長部材を収容する。例えば、好適な密封された開口は、これを通って延在する伸長部材に適合し、該開口を密封するガスケット材料を備えることができる。好適なガスケット材料としては、ゴム、プラスチック及びシリコーン材料が挙げられる。前記密封された開口は、例えば、シート、フィルム、O−リング、プラグ又はその他の形態のガスケット材料を備えることができる。前記ガスケット材料は、分配装置の内側(例えば、前記流路及び/又は前記導管)、分配装置の外側、分配装置の内側と外側との間(すなわち、前記中空管及び/又は前記導管の壁内)、又は、それらの任意の組み合わせに適用することができる。
【0032】
前記ガスケット材料は、分配装置から流体が漏洩するのを防ぐために、前記伸長部材の周囲を密封するが、前記伸長部材が前記密封された開口を介して前後にスライドできなくならないように、過度に密封しないことが望ましい。特に、前記伸長部材は、プラグを密封形成位置から退避させて前記流体を分配装置から分配させられるように、前記密封された開口を介して引っ張ることができるようにした方がよい。また、分配装置内の前記流体の圧力は、特に、該圧力が分配装置の前記流路内における発泡性流体の膨張によって生じる圧力である場合は、前記プラグを密封形成位置に押し戻すことができるとともに、前記プラグを移動させて前記缶のバルブを閉じられるように、前記伸長部材を、前記密封された開口を介して引っ張ることのできる圧力であることが望ましい。
【0033】
また、前記伸長部材は、プラグが密封形成位置にある間に分配装置を缶の弁棒に取り付ける場合においても、当該缶に取り付けられるように、前記密封された開口を介して十分な長さで延在する。前記伸長部材の第2末端は、前記分配装置を缶の弁棒に取り付けるときに、缶に取り付ける。この第2末端としては、例えば、缶の弁スカートに取り付けられる留め金具(clip)などを備えることができる。前記伸長部材は、分配装置を缶の弁棒に取り付けるときに、缶に取り付けられ、それから、分配装置を曲げて弁棒が缶に取り付けられた前記伸長部材から遠ざかると(それにより、缶のバルブが開き)、前記伸長部材が密封を形成しているプラグを密封形成位置から退避させるように、前記プラグが密封を形成するのを防ぐために必要な短さで形成されている。
【0034】
前記伸長部材は、前記中空管及び接続部材から独立して移動可能である。ここで、「独立して移動可能」とは、一方が、他方とは別に移動することができることを意味する。前記接続部材がトリガーを含む場合は、前記伸長部材は、前記トリガーに対して分配装置の反対側に延在する。このトリガーに圧力を加えると、前記接続部材、中空管及び弁棒が缶に対して傾斜し、前記伸長部材が、前記中空管の流路内の密封形成位置からプラグを引っ張る。
【0035】
前記伸長部材は、金属及びプラスチック材料の内のいずれか一つ又は組み合わせからなる或いは含むことができる。前記流体が、前記中空管の流路内にある伸長部材に接触するため、前記伸長部材は、前記流体と反応しないものが望ましい。一般に、中空管に適した材料は、前記伸長部材にも適している。
【0036】
前記伸長部材は、長さ方向の圧縮荷重下で歪む材料、すなわち、前記伸長部材のプラグから離れた側の末端に圧縮荷重をその長さ方向に沿って印可した際に、前記圧縮荷重によりプラグが動く前に、歪む材料を用いることができる。前記伸長部材として、例えば、紐(string)を用いることができる。そのような紐としては、繊維(天然若しくは合成)、単一繊維(single strand)又は原料(天然若しくは合成)繊維が挙げられる。また、合成繊維は、高分子繊維を含むものである。
【0037】
分配装置は、前記接続部材と伸長部材との間に、更に柔軟な接続部材を備えることができ、望ましくは、柔軟な接続部材を更に備える。この柔軟な接続部材は、前記伸長部材を、接続部材から独立して移動可能にしつつも、該伸長部材を、分配装置の他の部分に対して所望の向き(例えば、接続部材のトリガーとは反対側)に保持する。前記柔軟な接続部材としては、例えば、柔軟なプラスチック又は金属リボンや湾曲、波形又は螺旋形状のストリップ又はワイヤなどを用いることができる。
【0038】
本発明は、缶の弁棒には前記接続部材を、缶には前記伸長部材を取り付け、前記中空管を傾けると該中空管の分配末端の密封が自動的に解除され、前記接続部材及び弁棒が、缶における前記伸長部材の接続された位置から遠ざかる、分配装置を提供する。缶からの流体を分配させるために缶に対して分配装置及び弁棒を傾ける前に、使用者が、前記分配末端から何かを挿入したり、除去したりする必要がない。
【0039】
前記弁棒及び分配装置を、缶に対して非傾斜方向(すなわち、缶のバルブが閉じる方向)に戻すと、前記プラグは、自動的に前記中空管内の密封形成位置に復帰する。或いは、分配装置が傾斜位置から戻されて缶のバルブが閉じられると、前記伸長部材は、プラグを前記中空管流路内の密封形成位置に押し戻すことができる。一方で、前記伸長部材によってプラグを密封形成位置に導く圧力を超える追加の力が加えられなければ、前記伸長部材は、積極的に前記プラグを密封形成位置に押し戻すことができないようにすることもできる。例えば、前記伸長部材は、プラグを中空管内の密封形成位置に押し込むのに必要な剛性を有していないものとすること、及び/又は、前記密封された開口のガスケット材料によって、前記伸長部材がプラグを密封形成位置に押し込むのを防ぐことができるようにすることもできる。前記伸長部材が、積極的にプラグを密封形成位置に押し戻すことができない(すなわち、前記伸長部材から遠ざかる方向の力が付与されない)場合は、前記中空管内で膨張する流体によってプラグに付与される力が、前記プラグを密封形成位置に向けて押しても、前記接続部材及び弁棒が缶に対して傾かない限り、前記プラグは密封形成位置に到達しない。缶のバルブが閉じられ、前記伸長部材がプラグを密封形成位置へ復帰させると、前記中空管内において膨張する発泡性流体は、自動的にプラグを、前記中空管を密封する密封形成位置に向けて押圧する。膨張可能な流体が、分配装置を介して分配されると、缶バルブが閉じた後の分配装置の流路及び導管内に残存する流体の膨張は、前記プラグを流路内の密封形成位置に向けて押圧する。
【0040】
前述のように、本発明の分配装置は、接続部材及び弁棒が缶に対して傾けられて前記伸長部材が缶に接続された位置から遠ざかることによって発泡性流体が缶から分配されると、自動的に開き、前記接続部材及び弁棒が前記傾斜位置から戻されて、缶のバルブが閉じられると、自動的に内側から密封される。そして、前記接続部材及び弁棒を缶に対して傾けると、缶のバルブが開く。前記接続部材及び弁棒が傾けられて前記伸長部材が缶に接続された位置から遠ざかると、前記伸長部材の長さが、前記プラグが密封形成位置に留まるのを許容するほどは延びてないので、前記伸長部材は、プラグを前記中空管内の密封形成位置から退避させる。その結果、前記中空管は、缶から前記中空管の分配末端を介して流体を分配するために、開放状態となる。そして、前記接続部材及び弁棒が傾斜位置から復帰すると、缶バルブが閉じ、前記プラグが前記中空管内の密封形成位置に到達する。前記中空管内における発泡性流体の膨張は、前記プラグの密封形成位置に向けての押圧を促進し、前記中空管の分配末端から出る流体の流れから前記中空管を閉鎖する。
【0041】
従来技術を超える本発明の利点の一つは、中空管を密封するバネ装填ロッドを必要とせずに、自動的かつ可逆的に開閉することができることである。実際に、本発明は、前記プラグを密封形成位置に押し込むバネ(すなわち、金属又はその他の材料からなる弾性コイルであって、伸縮自在に収縮又は伸長できるもの)又はバネ装填機構を不要とすることができ、更には、バネを完全に不要とすることができる。本発明の分配装置は、前記中空管内に流体がないとき、前記プラグを密封形成位置に積極的に押し込む任意の機械的手段を不要とすることができる。
【0042】
次の図は、本発明の分配装置の態様を示す。
【0043】
図1は、弁棒110を介して缶100が取り付けられた分配装置10の断面図を示す。分配装置10は、分配末端24から入口末端28まで延びる流路22を規定する中空管20を備える。中空管20は接続部材40と接続される。この特定の例では、中空管20は、接続部材40の継手48を中空管20の入口末端28に挿入することにより、接続部材40と分離可能、また、接続部材40と接続可能とされる。前記接続部材40は、これを貫通し、前記流路22と流体連通する導管46を規定する。前記接続部材40は、弁棒110と螺合によって接続される。前記接続部材40は、前記弁棒110と螺合できるように、弁棒110上のねじ山112と噛み合う、導管46内に規定されるねじ山42を備える。前記接続部材40は、圧力を加えると接続部材40及び弁棒110が缶100に対して傾斜するように、前記接続部材40の一端から突き出たトリガー44を備える。プラグ30は中空管20の流路22内に存在する。図1は、中空管20の流路22内の密封形成位置におけるプラグ30を示す。このプラグ30は、流路22の分配末端24の開口部よりも大きな断面直径を有し、それにより、前記プラグ30は、分配末端24に向けて押されたときに流路22を密封する。また、柔軟かつ非弾性の伸長部材50が、プラグ30の分配末端28から離れた側の部分に取り付けられており、流路22内及び導管46にまで延在している。
【0044】
前記接続部材40は、伸長部材50がこれを通って導管から出る密封された開口60を更に備える。この密封された開口60は、流体がこれを介して導管46から出るのを防止するガスケット材料62を備える。また、前記伸長部材50は、密封された開口60からバルブスカート120に取り付けられる留め金具52まで存続している。そして、柔軟な連結部材70が、接続部材40に対する留め金具52及び伸長部材50の位置を安定させるために、留め金具52と密封された開口60近傍の接続部材40とを連結している。
【0045】
留め金具52は、缶100に向けてトリガー44を引くと、接続部材40及び弁棒110が留め金具52から遠ざかって缶100に対して傾斜し、その結果、伸長部材50がプラグ30を引っ張って密封形成位置から退避させ、それによって、前記プラグ30周囲を流体連通させ、分配末端22を介して流路22から流出させるように、接続部材40の反対側上に設けられる。トリガー44の圧力を解放すると、接続部材40及び弁棒110が缶100に対して非傾斜方向に戻され、伸長部材50、流路22内の流体圧力、又は、伸長部材50及び流路22内の流体圧力の両方により、前記プラグ30を密封形成位置に向けて押圧する。
【0046】
図2は、分配装置10(図1の分配装置10と同じでも又は異なる分配装置であってもよい)の部分拡大断面図を示す。図2は、中空管20、流路22内のプラグ30及び伸長部材50を示す。プラグ30は、中空管20の分配末端28と密封構造を形成する。この特定の例では、中空管20は、着脱可能な先端部90を備える。着脱可能な先端部90は、分配末端28において先細り(tapered)の断面積を形成するために中空管20の一部分に嵌め込まれる。
【0047】
図3(a)及び(b)は、流路22、プラグ30、伸長部材50及び図2の着脱自在な先端部90とは異なる着脱可能な先端部92を備えた分配装置10の他の例の部分断面図を示す。着脱可能な先端部92は、結合中空管20を形成するために、ストローのような管(straw-like tube)19の外側に嵌め込まれる。着脱可能な先端部92は、流路22内に延び、密封構造を形成する際にプラグ30をこれに対して押圧する、O−リングガスケット94を備える。図3(a)及び(b)は、密封形成位置にあるプラグ30を備えた分配装置10を示す。プラグ30は、O−リングガスケット94が良好な密封状態を確保するためにプラグ30の形状に適合することができるので、このようなタイプの分配装置では、プラグ30は剛性のものであってもよい。着脱可能な先端部92のような着脱可能な先端部を使用することによって、分配装置10の構造を簡易なものにすることが望ましい。着脱可能な先端部92は、それらが使用中に分解しないことを確保するために、数多くのロック手段(例えば、2ピース又はツイストロック機構上の隆起部と溝プロファイルとを合致させること)のいずれかにより、ストローのような管19上にロックすることができる。
【0048】
各図に示された特徴は、互いに組み合わせ可能及び交換可能であるのはもちろん、物理的に可能な範囲内において、本明細書に記載された様々な特徴及び付加機能(option)とも組み合わせ可能及び/又は交換可能である。本発明の別の態様は、圧縮された発泡性配合物の缶及び本明細書に記載の分配装置を備えたフォーム分配システムである。前記缶は、分配装置の接続部材が取り付けられる弁棒を備えることができる。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】