特許第5912149号(P5912149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912149偏光ビームスプリッター−偏光回転子構造物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912149
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】偏光ビームスプリッター−偏光回転子構造物
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/126 20060101AFI20160414BHJP
   G02B 5/30 20060101ALN20160414BHJP
【FI】
   G02B6/126
   !G02B5/30
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-113739(P2014-113739)
(22)【出願日】2014年6月2日
(62)【分割の表示】特願2010-518367(P2010-518367)の分割
【原出願日】2008年7月23日
(65)【公開番号】特開2014-157372(P2014-157372A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】11/782,457
(32)【優先日】2007年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506346749
【氏名又は名称】インフィネラ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブレント イー. リトル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ チェン
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−029066(JP,A)
【文献】 特開平11−095054(JP,A)
【文献】 特開2003−270591(JP,A)
【文献】 特開2000−310721(JP,A)
【文献】 特開2008−052188(JP,A)
【文献】 特開平11−202131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12− 6/14
G02B 6/26− 6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/42− 6/43
G02B 27/00−27/64
G02F 1/21− 1/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的構造物であって、該光学的構造物は、
入力端および出力端を有する第一のスプリッター導波管と、出力端を有する第二のスプリッター導波管とを備えている偏光ビームスプリッターと、
入力端および出力端を有する第一の偏光回転子と、入力端および出力端を有する第二の偏光回転子とを備えている偏光回転子システムと、
第一の偏光子および第二の偏光子と、
入力端および出力端を有する第一のコンバイナー導波管と、入力端および出力端を有する第二のコンバイナー導波管とを備えている偏光ビームコンバイナーと、
該第一のスプリッター導波管の出力端と、該第一の偏光子と、該第一の偏光回転子の入力端と、該第一の偏光回転子の出力端と、該第一のコンバイナー導波管の入力端とを含む第一の光路であって、該第一の光路は、第一の光が、該第一の光路に沿って、該第一のスプリッター導波管の出力端から、該第一の偏光子および該第一の偏光回転子を介して該第一のコンバイナー導波管の入力端へと伝搬するように構成され、該第一の偏光子は、該第一の偏光回転子の入力端に結合されており、該第一のコンバイナー導波管の入力端は、該第一の偏光回転子から出力された該第一の光の全てが該第一のコンバイナー導波管に入るように該第一の偏光回転子の出力端に動作可能に接続されている、第一の光路と、
該第二のスプリッター導波管の出力端と、該第二の偏光子と、該第二の偏光回転子の入力端と、該第二の偏光回転子の出力端と、該第二のコンバイナー導波管の入力端とを含む第二の光路であって、該第二の光路は、第二の光が、該第二の光路に沿って、該第二のスプリッター導波管の出力端から、該第二の偏光子および該第二の偏光回転子を介して該第二のコンバイナー導波管の入力端へと伝搬するように構成され、該第二の偏光子は、該第二の偏光回転子の入力端に結合されており、該第二のコンバイナー導波管の入力端は、該第二の偏光回転子から出力された該第二の光の全てが該第二のコンバイナー導波管に入るように該第二の偏光回転子の出力端に動作可能に接続されており、該第一の偏光回転子は、該第二の光路から離れており、該第二の偏光回転子は、該第一の光路から離れている、第二の光路と
を備える、光学的構造物。
【請求項2】
前記第一のスプリッター導波管は、第一のスプリッターコネクター導波管を介して前記第一の偏光回転子に動作可能に接続され、前記第二のスプリッター導波管は、第二のスプリッターコネクター導波管を介して前記第二の偏光回転子に動作可能に接続されている、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項3】
前記第一のコンバイナー導波管は、第一のコンバイナーコネクター導波管を介して前記第一の偏光回転子に動作可能に接続され、前記第二のコンバイナー導波管は、第二のコンバイナーコネクター導波管を介して前記第二の偏光回転子に動作可能に接続されている、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項4】
前記第一の偏光回転子は、TMモードをTEモードに変換し、前記第二の偏光回転子は、TEモードをTMモードに変換する、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項5】
前記第一の偏光回転子は、TEモードをTMモードに変換し、前記第二の偏光回転子は、TMモードをTEモードに変換する、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項6】
TMモードおよびTEモードは、前記第二のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項7】
複数の一次誤差モードは、前記第一のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、請求項6に記載の光学的構造物。
【請求項8】
TMモードおよびTEモードは、前記第一のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、請求項1に記載の光学的構造物。
【請求項9】
複数の一次誤差モードは、前記第二のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、請求項8に記載の光学的構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年9月8日に出願された米国シリアル番号第11/222,358号の一部継続出願である。本出願はまた、2006年7月28日に出願された米国シリアル番号第11/495,201号の一部継続出願であり、両者の各々は、ここに本明細書で参照によりその全体が明示的に援用される。
【0002】
(連邦政府援助の研究または開発に関する陳述)
該当なし。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、概して、入力光学信号の偏光モードを分離し、偏光モードを回転させ、次いで回転された偏光モードを再び組み合わせる方法および装置に関係する。
【0004】
光は、二つの主要な直交する偏光状態またはベクトル方向を有するベクトル場である。概して、偏光状態は、自由空間光学におけるS偏光およびP偏光、または光学導波管のTE(Transverse Electric)モードおよびTM(Transverse Magnetic)モードと呼ばれる。光学導波管および光学デバイスの性能は、しばしば偏光状態に対して高感度である。すなわち、デバイスの応答は、偏光状態が変化するにつれて変化する。このことは、誘電体基板上で製作された一体型光学導波管において特に顕著である。
【0005】
多くの光学成分は、偏光の入力状態に対して低感度である。光ファイバー電気通信において、任意の長さのファイバーを伝わった光学信号の偏光状態は、未知であり、ランダムであり、(環境中の摂動に起因して)時間変化する。しかしながら、多くのデバイスは、ある程度、偏光に対して高感度のままであり、このことは、性能、収量およびコストに影響を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの用途があり、それらの用途において入力光学信号のTE偏光状態およびTM偏光状態は、各々が独立に操作され得るように空間的に分割される必要がある(例えば、PMD(偏光モード分散)補償器では、二つの状態に関する信号の分散は、均等化される必要がある)。しかしながら、入力光信号が分割されるとき、または信号が回転されるとき、偏光ビームスプリッターにおけるまたは偏光回転子における非効率に起因して、通例、信号の中に誤差がもたらされ、存在する。誤差は、非効率に分割されたTEモードおよび/またはTMモード、あるいは非効率に回転されたTEモードまたはTMモードを含む。
【0007】
主要な直交成分から光学信号の誤差成分を実質的に除去する装置および方法が、所望される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
光学的構造物であって、該光学的構造物は、
入力端と、第一の出力および第二の出力を有する出力端とを備えている偏光ビームスプリッターと、
入力端および出力端を有する第一の偏光回転子と、入力端および出力端を有する第二の偏光回転子とを備えている偏光回転子システムと、
第一の入力および第二の入力を有する入力端と、出力端とを備えている偏光ビームコンバイナーと
を備え、
該偏光ビームスプリッターの該第一の出力は、該第一の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第一の偏光回転子の該出力端は、該偏光ビームコンバイナーの該第一の入力に動作可能に接続され、
該偏光ビームスプリッターの該第二の出力は、該第二の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第二の偏光回転子の該出力端は、該偏光ビームコンバイナーの該第二の入力に動作可能に接続されている、光学的構造物。
(項目2)
少なくとも一つの付加的な光学要素を備えている、項目1に記載の光学的構造物。
(項目3)
前記少なくとも一つの付加的な光学要素は、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、共振器または光検出器である、項目2に記載の光学的構造物。
(項目4)
光学的構造物であって、該光学的構造物は、
入力端および出力端を有する第一のスプリッター導波管と、出力端を有する第二のスプリッター導波管とを備えている偏光ビームスプリッターと、
入力端および出力端を有する第一の第一の偏光回転子と、入力端および出力端を有する第二の偏光回転子とを備えている偏光回転子システムと、
入力端および出力端を有する第一のコンバイナー導波管と、入力端および出力端を有する第二のコンバイナー導波管とを備えている偏光ビームコンバイナーと
を備え、
該第一のスプリッター導波管の出力端は、該第一の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第一の偏光回転子の該出力端は、該第一のコンバイナー導波管の該入力端に動作可能に接続され、該第二のスプリッター導波管の該出力端は、該第二の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第二の偏光回転子の該出力端は、該第二のコンバイナー導波管の該入力端に動作可能に接続されている、光学的構造物。
(項目5)
前記第一のスプリッター導波管は、第一のスプリッターコネクター導波管を介して前記第一の偏光回転子に動作可能に接続され、前記第二のスプリッター導波管は、第二のスプリッターコネクター導波管を介して前記第二の偏光回転子に動作可能に接続されている、項目4に記載の光学的構造物。
(項目6)
前記第一のコンバイナー導波管は、第一のコンバイナーコネクター導波管を介して前記第一の偏光回転子に動作可能に接続され、前記第二のコンバイナー導波管は、第二のコンバイナーコネクター導波管を介して前記第二の偏光回転子に動作可能に接続されている、項目4に記載の光学的構造物。
(項目7)
前記第一のスプリッター導波管は、TMモードをサポートし、前記第二のスプリッター導波管は、TEモードをサポートする、項目4に記載の光学的構造物。
(項目8)
前記第一のスプリッター導波管は、TEモードをサポートし、前記第二のスプリッター導波管は、TMモードをサポートする、項目4に記載の光学的構造物。
(項目9)
前記第一の偏光回転子は、TMモードをTEモードに変換し、前記第二の偏光回転子は、TEモードをTMモードに変換する、項目4に記載の光学的構造物。
(項目10)
前記第一の偏光回転子は、TEモードをTMモードに変換し、前記第二の偏光回転子は、TMモードをTEモードに変換する、項目4に記載の光学的構造物。
(項目11)
TMモードおよびTEモードは、前記第二のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、項目4に記載の光学的構造物。
(項目12)
複数の一次誤差モードは、前記第一のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、項目11に記載の光学的構造物。
(項目13)
TMモードおよびTEモードは、前記第一のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、項目4に記載の光学的構造物。
(項目14)
複数の一次誤差モードは、前記第二のコンバイナー導波管の中に組み合わされる、項目
13に記載の光学的構造物。
(項目15)
少なくとも一つの付加的な光学要素を備えている、項目4に記載の光学的構造物。
(項目16)
前記少なくとも一つの付加的な光学要素は、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、共振器または光検出器である、項目15に記載の光学的構造物。
(項目17)
光学的構造物であって、該光学的構造物は、
入力端、出力端、および該入力端と該出力端との間に延びる長さを有する中央部分を備えている第一の偏光回転子であって、該中央部分は、該中央部分の該長さに沿った可変の断面の幾何学的形態を有し、該幾何学的形態は、電磁信号の偏光モードの回転を該電磁信号が該中央部分の該長さに沿って伝搬するときに引き起こす、第一の偏光回転子と、
入力端、出力端、および該入力端と該出力端との間に延びる長さを有する中央部分を備えている第二の偏光回転子であって、該中央部分は、該中央部分の該長さに沿って変化する断面の幾何学的形態を有し、該幾何学的形態は、電磁信号の偏光モードの回転を該電磁信号が該中央部分の該長さに沿って伝搬するときに引き起こす、第二の偏光回転子と、
偏光ビームスプリッターであって、該偏光ビームスプリッターは、
入力端および出力端を有する第一のスプリッター導波管であって、該第一のスプリッター導波管は、少なくとも一つの導波TE偏光モードと、少なくとも一つの導波TM偏光モードとをサポートする、第一のスプリッター導波管と、
入力端および出力端を有する第二のスプリッター導波管であって、該第二のスプリッター導波管は、導波TE偏光モードと導波TM偏光モードとのうちの少なくとも一方をサポートし、該第一のスプリッター導波管と該第二のスプリッター導波管とは一体となって断熱領域を形成し、該断熱領域の中で該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちの一方を有する光は、該第一のスプリッター導波管の中に残り、該第一のスプリッター導波管から出て該第一のスプリッター導波管の該出力端を経由して該第一の偏光回転子の中に入り、該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちのもう一方を有する光は、わずかに結合して該第二のスプリッター導波管の中に入り、該第二のスプリッター導波管から出て該第二のスプリッター導波管の該出力端を経由して該第二の偏光回転子の中に入る、第二のスプリッター導波管と
を備えている、偏光ビームスプリッターと、
偏光ビームコンバイナーであって、該偏光ビームコンバイナーは、
入力端および出力端を有する第一のコンバイナー導波管であって、該第一のコンバイナー導波管は、該第一の偏光回転子または該第二の偏光回転子のうちの一方からの該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちの少なくとも一方をサポートする、第一のコンバイナー導波管と、
入力端および出力端を有する第二のコンバイナー導波管であって、該第二のコンバイナー導波管は、該第一の偏光回転子または該第二の偏光回転子のうちのもう一方からの該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちの少なくとも一方をサポートし、該第一のコンバイナー導波管と該第二のコンバイナー導波管とは一体となって断熱領域を形成し、該断熱領域の中で該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちの一方を有する光は、実質的に該第一のコンバイナー導波管の中に残り、該第二のコンバイナー導波管内の該TE偏光モードと該TM偏光モードとのうちのもう一方を有する実質的にすべての光は、該第一のコンバイナー導波管の中にわずかに結合し、それによって該第一のコンバイナー導波管と該第二のコンバイナー導波管とのうちの一方の中に該TEモードと該TMモードとを実質的に組み合わせる、第二のコンバイナー導波管と
を備えている、偏光ビームコンバイナーと
を備えている、光学的構造物。
(項目18)
少なくとも一つの付加的な光学要素を備えている、項目17に記載の光学的構造物。
(項目19)
前記少なくとも一つの付加的な光学要素は、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、共振器または光検出器である、項目18に記載の光学的構造物。
(項目20)
光学信号を純化する方法であって、該方法は、
光学的構造物を提供することであって、該光学的構造物は、
入力端および出力端を有する第一のスプリッター導波管と、入力端を有する第二のスプリッター導波管とを備えている偏光ビームスプリッターと、
入力端および出力端を有する第一の偏光回転子と、入力端および出力端を有する第二の偏光回転子とを備えている偏光回転子システムと、
入力端および出力端を有する第一のコンバイナー導波管と、入力端および出力端を有する第二のコンバイナー導波管とを備えている偏光ビームコンバイナーと
を備え、
該第一のスプリッター導波管の該出力端は、該第一の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第一の偏光回転子の該出力端は、該第一のコンバイナー導波管の該入力端に動作可能に接続され、該第二のスプリッター導波管の該出力端は、該第二の偏光回転子の該入力端に動作可能に接続され、該第二の偏光回転子の該出力端は、該第二のコンバイナー導波管の該入力端に動作可能に接続されている、ことと、
TMモードとTEモードとを含む光信号を該偏光ビームスプリッターの中に入力することであって、該光信号は、別個のTMモードとTEモードとに分割され、該TMモードと該TEモードとのうちの一方は、該第一の偏光回転子を介して回転され、該TMモードと該TEモードとのうちのもう一方は、該第二の偏光回転子を介して回転されて、該回転されたTMモードと該回転されたTEモードとを該第一のコンバイナー導波管と該第二のコンバイナー導波管とのうちの一方の中に組み合わせ、その間、一次TM誤差成分と一次TE誤差成分とは、該第一のコンバイナー導波管と該第二のコンバイナー導波管とのうちのもう一方の中に組み合わされ、それによって一次的なTMモードと一次的なTEモードとを該一次TM誤差成分と該一次TE誤差成分とから分離する、ことと
を包含する、方法。
(項目21)
前記光学的構造物は、少なくとも一つの付加的な光学要素を備えている、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記少なくとも一つの付加的な光学要素は、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、共振器または光検出器である、項目21に記載の方法。
(項目23)
組み合わされた偏光ビームスプリッター、偏光回転子および偏光ビームコンバイナーを構成する方法であって、該方法は、
第一の導波管と、該第一の導波管に隣接して位置決めされた第二の導波管とを備えている光学的構造物を提供することであって、該導波管構造物は、クラッディング材料の中に配置されたコア材料を備えている、ことと、
該導波管構造物上にレジスト層を配置することであって、該レジスト層は、該第一の導波管の露出された領域と、該第二の導波管の露出された領域とを露出したままにする、ことと、
該第一の導波管の該露出された領域と、該第二の導波管の該露出された領域とをエッチングすることであって、その結果、第一の偏光回転子は、該第一の導波管の中間部分に形成され、第二の偏光回転子は、該第二の導波管の中間部分に形成され、偏光ビームスプリッターは、該導波管構造物の第一の端末部分に形成され、偏光ビームコンバイナーは、該導波管構造物の第二の端末部分に形成される、ことと
を包含する、方法。
(項目24)
前記組み合わされた偏光ビームスプリッター、偏光回転子および偏光ビームコンバイナーは、付加的な光学要素を備えている、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記少なくとも一つの付加的な光学要素は、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、共振器または光検出器である、項目24に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の偏光ビームスプリッター利用の偏光回転子の一実施形態の概略図である。
図2図2は、本発明に従って構成された、偏光ビームスプリッター利用の偏光回転子の一実施形態の上面図である。
図3図3は、偏光モードおよびその中の誤差成分の経路を示す図1の装置の上面図である。
図4図4は、TMモード+TEモードおよびその中の誤差成分が導波管構造物を通って結合するときの、それらの経路を示す概略図である。
図5図5は、本発明の偏光ビームスプリッター利用の偏光回転子の代替の実施形態の概略図である。
図6図6は、本発明の別の代替の実施形態の概略図である。
図7図7は、図2の装置を製造するためのレジストマスク配列の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、二つの偏光回転子の入力端に動作可能に接続されている偏光ビームスプリッターを有する一対の偏光回転子を含む偏光ビームスプリッター−偏光回転子−偏光ビームコンバイナー構造物と、二つの偏光回転子の出力端に動作可能に接続されている偏光ビームコンバイナーと、TEモードおよびTMモードを含む光信号を純化する方法とを意図する。
【0010】
本発明のシステムおよび方法において、TEモードおよびTMモードの両方を含む偏光は、別個のTEモードおよびTMモード(および誤差成分)に分割され、TEモードおよびTMモードの均質性を高めるように回転されて、再び組み合わされ、それによって望ましくない偏光誤差モードおよび漏洩モードが一次的なTEモードおよびTMモードから分離されて、一次的な光出力を提供し、一次的な光出力は、二次誤差モードのみが一次的な出力信号の中に残るように、TEモードおよびTMモードにおいて高度に純化される。
【0011】
図1に本発明の概略図が示され、その概略図は、一対の出力を有する偏光ビームスプリッターを備えている光学的構造物であり、一対の出力の各々は、偏光回転子に動作可能に接続され、各回転子は、偏光ビームコンバイナーに動作可能に接続された出力を有する。好適な実施形態における図1の光学的構造物は、チップ上に一体的に形成されたモノリシックな構造物である。
【0012】
本発明の一実施形態が図2において示され、その中で全体的な参照数字10によって指定される(本明細書で「システム10」とも呼ばれる)。
【0013】
システム10は、偏光ビームスプリッター12(本明細書で偏光ソーター12またはビームスプリッター12とも呼ばれる)、偏光回転子システム14、および偏光ビームコンバイナー16(本明細書で偏光コンバイナー16またはビームコンバイナー16とも呼ばれる)で構成されている。ビームスプリッター12は、入力端20および出力端22を有する第一のスプリッター導波管18と、第一のスプリッター導波管18とにわずかに結合され、入力端26および出力端28を有する第二のスプリッター導波管24で構成されている。第一のスプリッター導波管18は、モードランキングの少なくとも一つの導波TE偏光モードmode−I−TEと、モードランキングの少なくとも一つの導波TM偏光モードmode−j−MTとをサポートする。第二のスプリッター導波管24は、モードランキングの導波TE偏光モードmode−I−TEと、モードランキングの導波TM偏光モードmode−j−TMのとのうちの少なくとも一つをサポートする。ギャップ30は、オプションで、第一のスプリッター導波管18と第二のスプリッター導波管24とを分離する。
【0014】
偏光回転子14システムは、本明細書の別の個所で第一の回転子32と呼ばれる第一の偏光回転子32と、本明細書の別の個所で第二の回転子34と呼ばれる第二の偏光回転子とで構成されている。第一の回転子32は、入力端36および出力端38を有し、第二の回転子34は、入力端40および出力端42を有する。
【0015】
ビームコンバイナー16は、入力端46および出力端48を有する第一のコンバイナー導波管44と、入力端52および出力端54を有する第二のコンバイナー導波管50とで構成されている。ギャップ56は、オプションで、第一のコンバイナー導波管44と第二のコンバイナー導波管50とを分離する。
【0016】
ビームスプリッター12と回転子システム14とは、第一のコネクター導波管システム58を介して動作可能に接続され、第一のコネクター導波管システム58は、第一のスプリッターコネクター導波管60と第二のスプリッターコネクター導波管62とで構成されている。第一のスプリッターコネクター導波管60は、第一のスプリッター導波管18の出力端22を第一の回転子32の入力端36に接続し、第二のスプリッターコネクター導波管62は、第二のスプリッター導波管24の出力端28を第二の回転子34の入力端40に接続する。
【0017】
ビームコンバイナー16と回転子14システムとは、第二のコネクター導波管システム64を介して動作可能に接続され、第二のコネクター導波管システム64は、第一のコンバイナーコネクター導波管66と第二のコンバイナーコネクター導波管68とで構成されている。第一のコンバイナーコネクター導波管66は、第一の回転子32の出力端38を第一のコンバイナーコネクター導波管44の入力端46に接続し、第二のコンバイナーコネクター導波管68は、第二の回転子34の出力端42を第二のコンバイナー導波管50の入力端52に接続する。
【0018】
第一のスプリッター導波管18と第二のスプリッター導波管24とは、一体となって断熱領域を形成し、その中でTE偏光モードとTM偏光モードとのうちの一方を有する光は、第一のスプリッター導波管18の中に実質的に残り、TE偏光モードとTM偏光モードとのうちのもう一方を有する光は、第二のスプリッター導波管24の中に実質的にわずかに結合するが、TEモードとTMモードとの各々の小部分は、適当に分割されず、それゆえ図3および図4について以下で論じられる誤差成分を含んでいる。図2に示される実施形態において、TMモードを有する光は、第一のスプリッター導波管18の中に実質的に残る。概して、光波(または光信号)は、第一のスプリッター導波管18を介してビームスプリッター12に入射するかまたは入り、断熱領域を通じて伝搬し、光波は、ビームスプリッター12を出て、コネクター導波管システム58の中に入る。光波がビームスプリッター12の断熱領域を通じて伝搬するとき、偏光の状態は、図3および図4に関して以下でより詳細に説明されるように、実質的に分離されている。
【0019】
好適な実施形態において、ビームスプリッター12は、米国シリアル番号第11/495,201号において説明されているように、受動性矩形光学チップとして実装される。しかしながら、ビームスプリッター12は、他の形状および構成で実装され得、その結果、ビームスプリッター12の入力平面および出力平面は、光学チップの平坦なまたは平らな表面あるいは対向する表面でなくともよいことが、理解されるべきである。加えて、ビームスプリッター12は、米国特許第7,035,491号に示されているように、能動性ビームスプリッターとして実装され得、同特許は、本明細書で参照によりその全体が明示的に援用される。
【0020】
第一のスプリッター導波管18の入力端20は、TE偏光モードとTM偏光モードとの両方を有する光を受け取るように構成され、第一のスプリッター導波管18の出力端22は、TE偏光モードとTM偏光モードとのうちの実質的に一方のみの光を提供するように構成されている(図2の実施形態におけるTMモード)。第二のスプリッター導波管24の出力端28は、TE偏光モードとTM偏光モードとのうちの実質的にもう一方のみの光を提供するように構成されている(図2の実施形態でTEモード)。第一のコネクター導波管システム58は、出力導波管60および出力導波管62を備え、出力導波管60および出力導波管62は、出力端22および出力端28と接続されている。
【0021】
第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24は、幅31を有するギャップ30によって分離されている。ギャップ30の幅31は、第一のスプリッター導波管18と第二のスプリッター導波管24との光学モードがわずかに相互作用することを可能にするように十分に小さい。第一のスプリッター導波管18と第二のスプリッター導波管24とが、わずかに接続されている限り、ギャップ30の幅31は、一様であり得たり、あり得なかったりする。一実施形態において幅31は、200nm−1000nmであり、好適には約500nmである。さらには、ギャップ31は、異なる屈折率を有する材料で、第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24を構成することによって排除され得る。ギャップ30はまた、第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24が異なる高さを有する場合には、排除され得る。
【0022】
第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24の幾何学的形態、例えば、高さ、幅およびギャップ30は、すべてビームスプリッターの長さに沿って変化し得る。
【0023】
第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24の各々は、クラッディングの中に配置されたコアを有する。コアは、高屈折率材料で構成され、ビームスプリッター12に入る光学光の大部分は、閉じ込められる。コアが構成されている高屈折率材料は、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、シリコンオキシニトリドカーバイド(silicon oxynitride carbide)、ゲルマニウムドーピングされたシリカ、リン化インジウム合金、ガリウムヒ素合金、ポリマー、およびそれらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。クラッディングは、より低い指数の材料で構成され、より低い指数の材料は、例えば、シリカ、より低い指数の酸窒化ケイ素、より低い指数の酸炭化ケイ素、より低い指数のシリコンオキシニトリドカーバイド、より低い指数のドーピングされたシリカ(ゲルマニウムドーピングされたシリカ、および/またはリンドーピングされたシリカを含む)、より低い指数のポリマー、およびリン化インジウムまたはガリウムヒ素のより低い指数の合金、ならびにそれらの組み合わせを含むが、それらに制限されない。屈折率は、ビームスプリッター12の長さ70に沿って(z方向に)変化し得る。適切なクラッディングとそのようなクラッディングを作る方法との例は、米国特許第6,614,977号において開示され、その内容の全体は、ここに本明細書で参照により明示的に援用される。第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24の各々のコアは、異なる屈折率を有し得るが、典型的には、コアは、製造の容易さについて同様である。導波管は、いわゆる特性モードまたは単に「モード」をサポートする(例えば、Dietrich Marcuse,“Theory of dielectric optical waveguides”,New York,Academic 1974を参照されたい)。モードは、導波管に沿って伝搬される各偏光に対する、電界プロファイル(TE)および磁界プロファイル(TM)である。一つのモードまたは一組のモードは、導波路においてつねに光出力を伝える。各モードは、それに関して特性「実効屈折率」または単に「実効屈折率」を有する。特定の導波管の特定の実効屈折率は、数値的方法を含めて多様な方法によって計算され得る。市販コンピューターの補助による設計パッケージが、一般的に利用可能である(例えば、モードおよび複雑な光学回路を通じてのモードの伝搬を計算することについては、カナダのオンタリオ州HamiltonのApollo Photonics Inc.(www.apollophoton.com)、またはオランダのEnschedeのC2V
Inc.(www.c2v.nl)を参照されたい)。
【0024】
偏光ビームスプリッター12は、従来の平面光波回路(PLC)製作技術のようなさまざまな技術を用いて製造され得る。従来のPLC製作技術は、計量可能な体積でよく制御された回路を生成するために、集積電子回路(いわゆる「IC」)に対して用いられる設置されたバッチツールの基部に影響を与える。そのような技術は、通例、薄膜堆積ステップおよびエッチングステップを伴う。誘電体材料は、基板上に堆積されるか、または基板上で成長し、光学回路は、続いてそれらの誘電体の中にパターン化され、エッチングされる(例えば、“Integrated Optics,Theory and Technology”,by Robert G. Hunsperger,Spring 4th Edition 1995または“Optical Integrated Circuit”,by Hiroshi Nishihar,Masamitsu Haruna,Toshiaki Suhara,McGraw−Hill 1989を参照されたい)。
【0025】
結合された第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24の実効モード屈折率は、偏光ソーティングをもたらすようなやり方で操作される。第一のスプリッター導波管18および第二のスプリッター導波管24の実効屈折率は、導波管のコアおよびクラッディングの屈折率の関数、ならびに導波管の高さおよび幅(またはより一般的に、導波管が矩形でない場合には、その幾何学的形態)の関数である。従来のPLC製作技術、特に、IC製作ツールを利用するPLC製作技術において、平面層の屈折率は、一様であり、光学回路の長さに沿って平面層の屈折率を変えることは、困難である。導波管18および導波管24の幅を変えることは、回路を「プリントする」ために用いられるフォトマスクの設計において遂行され得る。フォトマスク(または時として呼ばれるようにフォトレジスト)は、導波管の境界のすべての輪郭を描き、光学回路パターンを規定するより一般的な方法の一つである。スプリッター導波管18および/またはスプリッター導波管24の高さは、少なくとも段階的に、光学回路の定められた領域における導波管の本来の厚さの一部分をエッチングして離すか、または導波管の選択された部分に層を伸ばすことによって、変更され得る。概して、導波管の高さまたは幅が増加するとき、導波管によってサポートされる任意のモードの実効屈折率は、増加する。さらには、導波管の高さまたは幅を変更することは、TE偏光およびTM偏光に不均等に影響を与える。
【0026】
ここで、図面に戻ると、図2に示されるように、ビームスプリッター12は、長さ70を有し、第一のコネクター導波管システム58は、長さ72を有し、回転子システム14は、長さ74を有し、第二のコネクター導波管システム64は、長さ76を有し、ビームコンバイナー16は、長さ78を有する。一バージョンにおいて、長さ72と長さ76とは、等しくないことがあり得、500μm−750μmよりも短いかまたは長いことがあり得るが、長さ70と長さ78とは、等しくあり得、好適には500μm−750μmの範囲にある。さらには、長さ72と長さ76とは、等しくないことがあり得、250μm−500μmよりも短いかまたは長いことがあり得るが、長さ70と長さ78とは、等しくあり得、好適には250μm−500μmの範囲にある。長さ74は、好適には1000μm−2000μmの範囲にあるが、1000μm−2000μmよりも短いかまたは長くあり得る。
【0027】
また、図2に示されるように、第一のスプリッター導波管18の入力端20および出力端22は、それぞれ幅80および幅82を有する。第二のスプリッター導波管24の入力端26および出力端28は、それぞれ幅84および幅86を有する。同様に、第一のコンバイナー導波管44の入力端46および出力端48は、それぞれ幅98および幅100を有する。さらには、第二のコンバイナー導波管50の入力端52および出力端54は、それぞれ幅102および幅104を有する。
【0028】
第一の回転子32の入力端36および出力端38は、それぞれ幅90および幅94を有し、第二の回転子34の入力端40および出力端42は、それぞれ幅92および幅96を有する。
【0029】
好適な実施形態において、幅84、86、92、94、98および100は、これらの幅は1μmから2μmよりも小さかったり、大きかったりし得るが、等しいかまたは実質的に等しく、1μmから2μmの範囲にあり、一つの好適な実施形態において、1.4μm−1.75μmであり、より好適には約1.6μmである。幅80および幅104は、1μm−2μmより小さかったり、大きかったりし得るが、幅80および幅104は、好適には等しいかまたは実質的に等しく、好適には1μmから2μmの範囲にあり、より好適には1.2μm−1.4μmの範囲にあり、さらに好適には約1.3μmである。幅82、90、96および102は、0.25μmから1.25μmよりも小さいかまたは大きくあり得るが、幅82、90、96および102は、好適には等しいかまたは実質的に等しく、0.25μmから1.25μmの範囲にあり得、より好適には0.5μmから1μmであり得、より好適には約0.85μmである。さらには、幅82、90、96および102は、幅80および幅104よりも小さい。
【0030】
好適な実施形態において、第一のコネクター導波管システム58および第二のコネクター導波管システム64は、それぞれビームスプリッター12およびビームスプリッター16から独立に構成され得るが、第一のコネクター導波管システム58は、ビームスプリッター12と一体的に構成され、第二のコネクター導波管システム64は、ビームスプリッター16と一体的に構成される。
【0031】
当該分野において公知の任意の偏光ビームスプリッターは、それが本発明に従って機能する限り、本明細書でビームスプリッター12として用いられ得る。一実施形態において、ビームスプリッター12は、米国シリアル番号第11/495,201号の偏光ソーターであり、米国シリアル番号第11/495,201号は、本明細書で説明される全体が、本明細書での参照により明示的に援用される。米国シリアル番号第11/495,201号の偏光ソーターは、本明細書で以下に簡単に説明される。さらには、当該分野で公知の任意の偏光回転子は、本発明に従って機能する限り、偏光回転子14として用いられ得る。一実施形態において、偏光回転子システム14は、米国シリアル番号第11/222,358号において説明された一対の偏光コンバーターを備え、米国シリアル番号第11/222,358号は、ここにその全体が、本明細書で参照により明示的に援用され、米国シリアル番号第11/222,358号は、本明細書で以下に、より詳細に説明される。別のタイプの偏光回転子は、ポリイミドまたは結晶ケイ素から構成されたもののようなバルクな半波長板である。本発明の偏光ビームコンバイナー16は、当該分野で公知の任意のそのようなビームコンバイナーであり得、好適には、逆に構成されることを除いてビームスプリッター12と同じに構成され、その結果、第一のコンバイナー導波管44は、第二のスプリッター導波管24の逆であり、第二のコンバイナー導波管50は、第一のスプリッター導波管18の逆である。
【0032】
本発明の好適な実施形態において、ビームスプリッター12は、好適な実施形態における図3に図式的に表現されているように、第一のスプリッター導波管18の入力端20に入る光が、TMモードとTEモードとに実質的に分割されるように、例えば、TMモードの光が第一のスプリッター導波管18の中に保存され、同時にTEモードの光がギャップ30を越えて移り第二のスプリッター導波管24の中に結合するように、ある幾何学的形態を有するように構成されている。
【0033】
あるいは、ビームスプリッター12は、第一のスプリッター導波管18に入る光がTEモードに保存され、同時にTMモードの光がギャップ30を越えて移り第二のスプリッター導波管24の中に結合するように、ある幾何学的形態(図示されていない)とともに構成され得る。そのような実施形態において、その中のさまざまなモードの光の経路は、図3および図4に示される経路とは反対である。さらには、システム10は、可逆的で双方向性であり、その結果、出力22、28、38、42、48および54は、入力端として作用し得、入力端20、26、36、40、46および52は、出力端として作用し得る。また、別の実施形態において、入力端26は、入力端20よりも主要な入力端であり得、その中で出力端48は、主要な出力となり得、出力端54は、二次的な出力となる(すなわち、図4に示される主要な出力および二次的な出力を参照)。
【0034】
本発明の機能の主たるものは、図3および図4に図式的に表現され、光がシステム10を通過するとき、分割または回転された偏光モードの一次誤差成分がどのように第二のコンバイナー導波管50の中の一次的な光学信号から分離され、処分のために第一のコンバイナー導波管44の中に隔離されるかが示される。
【0035】
TE偏光モードおよびTM偏光モードを有する光信号は、システム10のビームスプリッター12の入力端20に入る。上記で説明されたように、光信号が第一のスプリッター導波管18を通過するとき、TMモードの光の大部分は、その中に残り、出力端22を通って第一のスプリッターコネクター導波管60(存在する場合)の中に入り、一方、TEモードの光の大部分は、結合してギャップ30を越えて第二のスプリッター導波管24の中に入り、その出力端28を通って第二のスプリッターコネクター導波管62(存在する場合)の中に入る。しかしながら、ΔTEとして指定されたTEモードの一部分は、結合して第二の導波管スプリッター24の中に入ることができず、出力端22を通ってTMモードの光とともに出力され、一方、TMモードの光の一部分ΔTMは、第二のスプリッター導波管24の中に漏洩し、出力端28を通って第二のスプリッター導波管24の中のTEモードの光とともに出力される。
【0036】
TMモードおよびΔTE(スプリッター誤差)モードの光は、第一の回転子32の入力端36に入り、TEモードおよびΔTM(スプリッター誤差)モードの光は、第二の回転子34の入力端40に入る。
【0037】
TMモードおよびΔTEモードの光が第一の回転子32を通って進むとき、一部のTMは十分に回転されず回転子誤差εTMを含むが、TMモードは、実質的にTEモードに対して回転される。ΔTEモードの一部は十分に回転されず回転子誤差εΔTEを含むが、ΔTEモードの光は、実質的にΔTMに対して回転される。TEモード、εTEモード、ΔTMモードおよびεΔTEモードの光は、出力端38を経由して回転子32を出る。
【0038】
TEモードおよびΔTMモードの光が第二の回転子34を通って進むとき、回転子誤差部分εTEは十分に回転されないが、TEモードは、実質的にTMモードに対して回転される。回転子誤差部分εΔTMは十分に回転されないが、ΔTMモードの光は、実質的にΔTEモードに対して回転される。TMモード、εTEモード、ΔTEモードおよびεΔTMモードの光は、出力端42を経由して回転子34を出る。
【0039】
次いでTEモード、εΔTEモード、ΔTMモードおよびεTMモードを含む第一の回転子32からの光が、第一のコンバイナー導波管44の入力端46に入り、TMモード、εΔTMモード、ΔTEモードおよびεTEモードを含む第二の回転子34からの光は、第二のコンバイナー導波管50の入力端52に入る。
【0040】
図3および図4に示されるように、TEモード、εTMモード、ΔTMモード、εΔTEモードの光が第一のコンバイナー導波管44を通過するとき、TEモードの光は、実質的に完全に結合されて第二のコンバイナー導波管50の中に入り、一方、主要でない部分ΔTEは、第一のコンバイナー導波管44の中に残る。同様に、εΔTEモードの光は、実質的に完全に結合されて第二のコンバイナー導波管50の中に入り、一方、主要でない部分εΔ2TEは、第一のコンバイナー導波管44の中に残る。εTMモードおよびΔTMモードの光は、実質的に完全に第一のコンバイナー導波管44の中に残り、一方、主要でない部分εΔTMおよびεΔ2TMは、それぞれ第二のコンバイナー導波管50の中に結合される。
【0041】
さらには、TMモード、εTEモード、ΔTEモードおよびεΔTMモードの光が第二のコンバイナー導波管50を通過するとき、TMモードの光は、実質的にその中に残り、一方、主要でない部分ΔTEは、第一のコンバイナー導波管44の中に結合する。同様に、εΔTMモードの光は、実質的に第二のコンバイナー導波管50の中に残り、一方、主要でない部分εTEは、第一のコンバイナー導波管44の中に結合する。εTEモードおよびΔTEモードの光は、実質的に第一のコンバイナー導波管44の中に結合し、一方、主要でない部分εΔTEおよびΔ2TEは、それぞれ第二のコンバイナー導波管50の中に残る。
【0042】
システム10の主要な出力は、第二のコンバイナー導波管50の出力端54を経由して、TMモードおよびTEモード、ならびに主要でない二次誤差成分Δ2TMモード、Δ2TEモード、εΔTMモードおよびεΔTEモードを含む。システム10の二次的な出力は、第一のコンバイナー導波管44の出力端48を経由して、一次誤差成分ΔTM、ΔTE、εTMおよびεTE、ならびに誤差成分εΔ2TMおよび誤差成分εΔ2TEを含む。こうして、主要な出力は、一次的な信号(TMモードおよびTEモード)および主要でない二次誤差成分を含み、一方、二次的な出力は、一次誤差成分のすべてを含み、それによって誤差成分の大部分を一次的なTEモードおよびTMモードから隔離する。
【0043】
本明細書で意図される光学偏光ビームスプリッター利用の構造物のうちの任意のものは、図5および図6で図式的に示されるように、他の光学要素(例えば、偏光子)を組み込むように構成され得る。図5は、偏光ビームスプリッターとその中の二つの偏光回転子との間に位置決めされる偏光子を有することを除いて、図1に示される光学的構造物と同様な光学的構造物を示す。図6は、二つの偏光回転子と偏光ビームコンバイナーとの間に位置決めされる付加的な偏光子を有することを除いて、図5の光学的構造物と同様な光学的構造物を示す。そのような偏光子は、当業者に周知である。例えば図6に示される偏光子は、偏光回転子の前または後に誤差項を阻止するように構成され得、例えば回転子に入るΔTEおよびΔTMは、排除され得る。本発明の光学的構造物の中に組み込まれ得る他の光学要素は、本明細書で意図されるとき、例えば、図5および図6の偏光子とともに、または図5および図6の偏光子の代替で、フィルター、偏光子、導波管、反射器、結合器、連結器、位相変調器、強度変調器、周波数偏移器、トランスデューサー、発振器、電力スプリッター、光検出器を含むが、それらに制限されない。
【0044】
システム10または本明細書で意図される複数のシステムのうちの任意のシステムは、当該分野における任意の適切な技術(例えば、図7に図式的に表現されるエッチング技術)を用いて製作され得る。エッチングプロセスは、典型的には、埋め込まれた導波管を含む開始構造物から始まる。埋め込まれた導波管は、クラッディング材料の中に少なくとも部分的に埋め込まれているか、または配置されたコア材料を有する。導波管のコア材料は、典型的には、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、シリコンオキシニトリドカーバイド、ゲルマニウムドーピングされたシリカ、リン化インジウム合金、ガリウムヒ素合金、ポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で構成されている。
【0045】
エッチング方法の次のステップにおいて、所望のパターンを有するフォトレジスト層110は、埋め込まれた導波管上に配置される(図7)。フォトレジスト層は、所望の形状またはパターンを有する一つ以上の開口部112を含み得る。
【0046】
概して、フォトレジスト層110は、フォトレジスト層110の下の材料がエッチングプロセス中に除去されることを防ぐ材料で構成されている。こうして、エッチングプロセス中に、フォトレジスト層110の中の開口部112から生じる露出領域が適当な深さにまで除去され、開口部112のパターンがコアの中に転写される。エッチングプロセスが完了した後に、クラッディング材料の別の層が構造物全体にわたって堆積され、必要な場合には平面化される。変化する高さおよび変化する幅を有するスプリッター導波管を形成するエッチング方法のより詳細な説明は、“ADIABATIC POLARIZATION CONVERTER”という名称で米国シリアル番号第11/222,358号として特定される、同時係属特許出願において説明され、同特許出願の内容は、ここに本明細書で参照により援用される。さらには、フォトレジスト層110は、負のフォトレジストとして構成され得る。
【0047】
最適偏光変換は、最初のエッチパターンとまたエッチの深さとの両方の結果であることが、留意されるべきである。しかしながら、システム10の分離機構が断熱性であるので、上述のエッチング方法を利用して作製されたシステム10の性能特性は、製作と設計との両方において広い範囲を有することが見込まれる。さらには、本システム10は、動作中に断熱性であると説明されているが、本システム10は、非断熱性システムとして動作し得る。
【0048】
本発明のシステム10を製作する上記の方法は、一つのシステム10を製作することに関して上記で説明されているが、そのような製作方法は、当該分野で現在公知の他の適切な製作技術または後に開発される任意の他の適切な製作技術とともに、一つ以上のシステム10またはその複数の部分を製作するために(例えば、一つ以上のシステム10が一つのチップ上、または複数のチップを有するウェーハ(例えば、シリコンウェーハ)上に含まれるとき)、利用され得ることが、当業者には明白なはずである。
【0049】
すべての導波管が同じ厚さを有する結合された導波管のシステムは、多くの周知の方法によって製作され得る。例えば、“Integrated Optics,Theory
and Technology”(Robert G.Hunsperger,Spring 4th Edition 1995)または“Optical Integrated Circuit”(Hiroshi Nishihar,Masamitsu Haruna,Toshiaki Suhara,McGraw−Hill 1989)を参照されたい。
【0050】
上記の説明から、本発明は、目的を果たすように、そして本明細書で述べられた利点および本発明に固有の利点を達成するように完全に構成されることが明らかである。本発明の現在好適な実施形態がこの開示のために説明されているが、容易に多数の変更自体を当業者に示唆し、開示され主張される本発明の精神の中で遂行される多数の変更が行われ得ることが理解される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7