(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912189
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20160414BHJP
H01R 13/6585 20110101ALI20160414BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R13/6585
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-549883(P2014-549883)
(86)(22)【出願日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2013081992
(87)【国際公開番号】WO2014084293
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-262271(P2012-262271)
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宣和
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−74014(JP,A)
【文献】
特開2002−151219(JP,A)
【文献】
実開平6−54236(JP,U)
【文献】
特開2004−207165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 13/6585
H01R 12/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器の接続端子が押し付けられることによって該外部機器と電気的に接続される接点を有する接触子と、前記接触子の前記接点の周囲を覆うことにより前記接点を保護する保護部材と、前記接触子及び前記保護部材を収納する絶縁材より成るベース体と、を有するコネクタであって、
前記保護部材は、前記接点を前記外部機器が押し付けられる側の表面よりも前記外部機器側に突出させるための開口部を備えると共に、前記外部機器の移動に伴い移動可能であり、
前記外部機器が前記接点または前記保護部材と接触する前においては、前記接点が前記開口部から前記外部機器側に突出した位置に位置し、前記外部機器との最終結合状態においては、前記接点が前記保護部材の前記外部機器が押し付けられる側の表面と同一面に位置することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記接触子は、前記外部機器が前記接点または前記保護部材と接触する前において、前記保護部材を前記外部機器側に押圧する少なくとも一つの押圧部を備えることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
外部機器の押付け面に形成された接続端子が押し付けられることによって該外部機器と電気的に接続される接点を有する接触子と、前記接触子の前記接点の周囲を覆うことにより前記接点を保護する保護部材と、前記接触子及び前記保護部材を収納するベース体と、を備えるコネクタであって、
前記保護部材は、前記外部機器の前記押付け面が押し付けられる被押付け面の表面よりも前記外部機器側に前記接点を突出させるための開口部を備えると共に、前記外部機器の前記押付け面が押し付けられる押付方向及び前記押付方向とは反対方向に移動可能であり、
前記接触子は、前記反対方向に前記保護部材を押圧する少なくとも一つの押圧部を備え、
前記外部機器が前記接点または前記保護部材と接触する前において前記接点は前記開口部から前記外部機器側に突出し、前記外部機器との最終結合状態において前記押圧部は前記反対方向に前記保護部材を押圧しないことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
前記押圧部は、前記接点の両側に位置することを特徴とする請求項2または3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記接触子は、複数の前記接点を有し、複数の前記接点の間に前記押圧部を有することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ベース体は、前記保護部材を前記ベース体の内部に係止する係止部を有し、
前記保護部材は、前記保護部材が前記ベース体から所定量突出した場合に前記係止部と係合する係合部を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記接触子は、略S字形状を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記最終結合状態は、前記外部機器と前記ベース体の双方に取り付けられた磁性体、ロック構造、ネジ止め構造の何れかによって保たれることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタは前記外部機器との接触面にシールド部材を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記保護部材に取り付けられた前記シールド部材は、基板の金属部分と接触し撓む弾性体を有することを特徴とする請求項9記載のコネクタ。
【請求項11】
前記保護部材に取り付けられた前記シールド部材は、前記ベース体に設けられた金属部材と接触し撓む弾性体を有することを特徴とする請求項9記載のコネクタ。
【請求項12】
前記保護部材に取り付けられた前記シールド部材は、ケーブルと接触する金具と接触し撓む弾性体を有することを特徴とする請求項9記載のコネクタ。
【請求項13】
前記シールド部材が有する前記弾性体は金属で形成されていることを特徴とする請求項10〜12の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記保護部材が有する前記シールド部材は、長手方向に延びる側壁面と、短手方向に延びる側壁面及び前記外部機器側の対向面を覆うことを特徴とする請求項9〜13の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記保護部材が有する前記シールド部材は、前記接触子が複数配置されている場合、少なくとも1箇所の隣接する前記接触子の間に介在する金属プレートを有することを特徴とする請求項9〜14の何れか一項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記隣接する前記接触子の間に介在する前記金属プレートは、前記外部機器側の前記対向面から垂直に折り曲げられた構造を特徴とする請求項15記載のコネクタ。
【請求項17】
前記隣接する前記接触子の間に介在する前記金属プレートは、少なくとも一つの差動ペアーと他の信号ラインの間に位置することを特徴とする請求項15または16記載のコネクタ。
【請求項18】
前記差動ペアーがUSBのピンアサインに含まれることを特徴とする請求項17記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の接続端子に接続されるコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バネ状の端子を有するコネクタを備えた携帯情報端末用クレードルが知られている(例えば、特許文献1参照)。この携帯情報端末用クレードルによれば、携帯情報端末をクレードルに装着した場合、携帯情報端末の接続端子がバネ状の端子に押し付けられることにより、携帯情報端末とコネクタとが電気的に接続される。
【0003】
また、バネで伸縮する可動性のピン(ポゴピン)を複数備えたポゴピンコネクタや、USB端子を直接コネクタに挿入するUSBコネクタが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−173473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の携帯情報端末用クレードルにおいては、バネ状の端子がコネクタの表面から大きく突出しているため、指やペン先等が端子に接触する場合があり、端子が変形するおそれがあった。
【0006】
また、ポゴピンコネクタは、製造コストが高く、USBコネクタは、USB端子の着脱時に破損し易いという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、安価で故障しにくいコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタは、外部機器の接続端子が押し付けられることによって該外部機器と電気的に接続される接点を有する接触子と、前記接触子の前記接点の周囲を覆うことにより前記接点を保護する保護部材と、前記接触子及び前記保護部材を収納する絶縁材より成るベース体と、を有するコネクタであって、前記保護部材は、前記接点を前記外部機器が押し付けられる側の表面よりも前記外部機器側に突出させるための開口部を備えると共に、
前記外部機器の移動に伴い移動可能であり、前記外部機器が前記接点または前記保護部材と接触する前においては、前記接点が前記開口部から前記外部機器側に突出した位置に位置し、
前記外部機器との最終結合状態においては、前記接点が前記保護部材の前記外部機器が押し付けられる側の表面と同一面に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価で故障しにくいコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態に係るコネクタの外観を示す側面図である。
【
図4】第1の実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係るコネクタを使用する場合における保護部材、及び接点の変位を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係るコネクタを使用する場合における保護部材、及び接点の変位を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態に係るコネクタを使用する場合における保護部材、及び接点の変位を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図である。
【
図10】第2の実施の形態に係るコネクタを上方から視た図である。
【
図11】第2の実施の形態に係る保護部材にシールド部材が被せられた状態を示す斜視図である。
【
図12】第2の実施の形態に係るシールド部材の外観を示す斜視図である。
【
図13】第2の実施の形態に係るシールド部材を切断した状態を示す図である。
【
図14】第2の実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図15】第2の実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図16】第2の実施の形態に係るUSBのピンアサインをイメージで表した図である。
【
図17】第2の実施の形態に係るシールド部材を上方から視た図である。
【
図18】実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図19】実施の形態に係るコネクタを示す図である。
【
図20】実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図21】実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【
図22】実施の形態に係るコネクタの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して第1の実施の形態に係るコネクタについて、携帯情報端末等の接続端子を押し付けることによって携帯情報端末等と電気的に接続される押し付け型のコネクタを例に説明する。
図1、2は、第1の実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図であり、
図3は、これを側面から視た図である。なお、以下の説明においてはXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照して説明する。XYZ直交座標系は、
図1に示すように、XY平面がコネクタ2の底面と平行な面に設定され、Z軸がXY平面の鉛直方向に設定される。
【0012】
図1〜
図3に示すように、コネクタ2は、絶縁性を有する部材から成る直方体状のベース体3を備えており、ベース体3の上側(+Z方向側)の面には、矩形状の第1開口部3aが形成されている。また、第1開口部3aには、ベース体3の内部に配置された複数の金属製の接触子4を上側から覆うことにより接触子4の接点4aを保護する保護部材8がベース体3の上側の面から突出した状態で配置されている。
【0013】
保護部材8の上側表面8aには、複数の接触子4のそれぞれの接点4aを保護部材8から露出させるための矩形状の開口部8bがY軸方向に沿って複数形成されている。なお、接点4aは、山形の形状を有しており、携帯情報端末20(
図6参照)が上側から押し付けられた場合に携帯情報端末20の接続端子20a(
図6参照)と接触する。
【0014】
また、ベース体3の+X方向側の面の下部には、接触子4の下側の端部4bを露出させるスリット状の第2開口部3bが形成されている。この第2開口部3bから露出した端部4bは、コネクタ2が取付けられている電子機器の電源制御部に接続される。
【0015】
図4は、第1の実施の形態に係るコネクタ2のXZ断面を−Y方向側から視た図であり、
図5は、コネクタ2を
図4に示すA−A断面で切断した状態を示す図である。
図4に示すように、ベース体3の内部には、直方体状の空洞部9が形成されている。ここで、空洞部9の上側には保護部材8が配置され、空洞部9の下側には接触子4を所定の位置に固定する固定部材10が配置されている。また、保護部材8と固定部材10との間には、保護部材8を下側に移動させるための移動空間9aが設けられている。
【0016】
接触子4は略S字形状を有しており、略S字形状の上端に位置する接点4aが保護部材8の開口部8bから突出している。また、接触子4の一方の端部である下側の端部4bが第2開口部3bから露出している。また、接触子4は、他方の端部である上側の端部に保護部材8を上方向に押圧する押圧部4cを有し、接点4aから下側の端部4bに向かって順に下方向に傾斜する傾斜部4d、第1折返し部4e、第2折返し部4f、及び第3折返し部4gを有している。また、第1折返し部4eには、
図5に示すように、接触子4の±Y方向側に張り出す張出部分4hが形成されている。
【0017】
また、保護部材8の内部には、台形状の空間部8cが形成されている。空間部8cには、接触子4に保護部材8が覆い被せられた場合に接触子4の押圧部4cと係合する第1係合部8d、接触子4の張出部分4hと係合する第2係合部8e、及び接触子4の傾斜部4dに対応する位置に位置する傾斜部分8fが形成されている。このため、接触子に保護部材8を被せると、第1係合部8d、第2係合部8eによって保護部材8が支持され、保護部材8がベース体3の上側に突出した状態が維持される。
【0018】
また、保護部材8の下側には、保護部材8の外側に向かって突出する外側突出部8gが形成され、ベース体3の上側には、ベース体3の内側に向かって突出する内側突出部3dが形成されている。これにより、保護部材8が+Z方向に移動した場合、内側突出部3dによって外側突出部8gが係止され、保護部材8がベース体3から外れないようにすることができる。
【0019】
また、固定部材10には、矩形状の溝部10aがY軸方向に沿って複数形成されており、第3折返し部4gを含む接触子4の下部が溝部10a内に配置されている。これにより、接触子4がコネクタ2内部の所定の位置に的確に固定される。
【0020】
また、移動空間9aには、接触子4の第2折返し部4fが位置している。この第2折返し部4fは、保護部材8が下側に移動した場合、接触子4がZ軸方向に圧縮されることに伴って固定部材10の溝部10a内に移動する(
図7、8参照)。
【0021】
次に、
図6〜
図8を参照して、第1の実施の形態に係るコネクタ2に携帯情報端末を装着する過程における保護部材8及び接点4aの変位について、携帯情報端末の充電を行う場合を例に説明する。まず、操作者は、コネクタ2、及び充電を行う携帯情報端末20を用意する。
【0022】
ここで、
図6に示すように、コネクタ2は、保護部材8の上側表面8aがベース体3の上側表面3cから1.0mm突出した状態(以下、初期状態という。)に維持されている。また、初期状態において保護部材8は、上側表面8aがベース体3の上側表面3cから突出し、かつ接点4aが上側表面8aから所定量突出した第1の位置に位置している。なお、第1の位置における接点4aの突出量は、コネクタ2に携帯情報端末20を装着する際に接続端子20aを接点4aに接触させるために必要な最低限度の突出量である。
【0023】
次に、携帯情報端末20の接続端子20aが初期状態のコネクタ2の接点4aに押し当てられ、接点4aに下向き(−Z方向側)の押圧力が加えられると、
図7に示すように、接点4aが下側に移動し、接触子4がZ軸方向に圧縮される。また、これに伴って、接触子4に被せられた保護部材8が下側に移動する(結合過程)。
【0024】
なお、
図7は、接点4a及び保護部材8が初期状態の位置から0.5mm下側に移動した状態を示している。また、結合過程においては、接点4aと保護部材8との位置関係に変化はなく、接点4aは上側表面8aから所定量突出した位置に位置し続ける。
【0025】
更に接点4a及び保護部材8が0.5mm下側(即ち初期状態の位置から1.0mm下側)に移動すると、保護部材8が固定部材10と接触して保護部材8の移動が停止し、保護部材8の上側表面8aがベース体3の上側表面3cと同一平面上に移動する。
【0026】
そして、更に接点4aが下側に移動すると、
図8に示すように、接触子4の押圧部4cが第1係合部8dから外れると共に、張出部分4hが第2係合部8e(
図5参照)から外れる。ここで、保護部材8は、上側表面8aがベース体3の上側表面3cと同一平面上に位置し、かつ接点4aが上側表面8aの位置と同一平面上に位置する第2の位置に位置している(最終結合状態)。この最終結合状態においては、圧縮された接触子4のバネ力によって接点4aが常時上向きに付勢され、接点4aが十分な接触力で接続端子20aと接触するため、コネクタ2を介した携帯情報端末20への充電を確実に行うことができる。
【0027】
この第1の実施の形態に係るコネクタ2によれば、接点4aの周囲に簡単な構造の保護部材8を覆い被せて接点4aを保護するため、安価で故障しにくいコネクタを提供することができる。例えば、接点4aが保護部材8で保護されているため、初期状態や結合過程において誤って指やペン先等がコネクタ2に触れた場合でも、指やペン先等との接触による接触子4の変形を防止することができる。
【0028】
また、最終結合状態において接点4aを第1の位置から第2の位置に移動させることにより、十分な押圧力で接続端子20aに接点4aを接触させることができる。また、接点4aの周囲が保護部材8によって覆われるため、接触子4の上部がコネクタ2から大きく露出することがなく、良好な外観を備えることができる。
【0029】
なお、上述の第1の実施の形態においては、一つの接触子4が一つの接点4aを有する場合を例に説明しているが、一つの接触子が複数の接点を有していてもよい。例えば、開口部8bから2つの接点が突出するようにしてもよい。そして、接触子4に保護部材8を覆い被せた場合において、接触子4の2つの接点の間に形成された谷間の部分と係合する係合部が空間部8cに形成されるようにしてもよい。
【0030】
次に第2の実施の形態に係るコネクタについて説明する。この第2の実施の形態に係るコネクタは、第1の実施の形態において、更に保護部材をシールド部材で覆うと共に、ベース体の内部に磁性体を配置したものである。従って、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略する。なお、第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態に係るコネクタの構成と同一の構成には、第1の実施の形態の説明で用いたのと同一の符号を用いて説明を行なう。
【0031】
図9は、第2の実施の形態に係るコネクタの外観を示す斜視図であり、
図10は、これを上方から視た図である。
図9、10に示すように、コネクタ52は、絶縁性を有する直方体状のベース体3を備えている。ベース体3の上面には第1開口部3aが形成されており、第1開口部3aを挟んだベース体3の両端部には、ベース体3内に収容された磁石60の上面が露出している。また、第1開口部3aには、接触子4の接点4aを保護する保護部材8がベース体3の上面から突出した状態で配置されており、保護部材8には、金属板をプレス加工して形成されたシールド部材64が被せられている。
【0032】
図11は、第2の実施の形態に係る保護部材8にシールド部材64が被せられた状態を示す斜視図であり、
図12は、第2の実施の形態に係るシールド部材64の外観を示す斜視図である。また、
図13は、シールド部材64をY軸方向に切断した状態を示す図である。
図11に示すように、保護部材8の上面、短手方向(X軸方向)に延びる両側壁面、及び長手方向(Y軸方向)に延びる両側壁面は、それぞれシールド部材64によって覆われている。なお、シールド部材64の上面には複数の矩形状の開口部64aが形成され、保護部材8の開口部8bを含む所定の領域がシールド部材64から露出している。
【0033】
また、シールド部材64は、隣接する接触子4が位置する開口部8b同士の間に介在する金属プレート65を複数備えている。ここで、金属プレート65は、保護部材8の上面から下方(−Z方向)に向けて略垂直に折り曲げられた第1金属プレート65a、及びシールド部材64の側壁面の下部においてY軸方向に向けて略垂直に折り曲げられた第2金属プレート65bを有している。また、シールド部材64の側壁面64bの下方には、U字形状の弾性体66が形成されている。
【0034】
図14は、第2の実施の形態に係るコネクタ52に携帯情報端末22を装着した状態を、
図10に示すE−E断面で切断した状態を示す図である。まず、保護部材8は、初期状態において第1の位置に位置している(
図6参照)。ここで、初期状態において弾性体66の下端部は、基板68と接触していてもよく基板68と接触していなくてもよい。
【0035】
次に、結合過程において、携帯情報端末22の接続端子20aが初期状態のコネクタ52の接点4aに押し当てられ、接点4aに下向き(−Z方向側)の押圧力が加えられると、接点4aが下側に移動し、接触子4がZ軸方向に圧縮され、接触子4に被せられた保護部材8が下側に移動する。なお、初期状態において弾性体66が基板68と接触していない場合には、この時点で弾性体66の下端部が基板68の金属部分と接触する。
【0036】
更に接点4aが下側に移動すると、
図14に示すように、コネクタ52の保護部材8が第2の位置に位置する最終結合状態となり、圧縮された接触子4のバネ力によって接点4aが常時上向きに付勢され、接点4aが十分な接触力で接続端子20aと接触する。一方、弾性体66は、下向き(−Z方向側)の押圧力によりZ軸方向に圧縮されて撓む。このため、弾性体66が存在することによって保護部材8の第2の位置への移動が妨げられることはない。
【0037】
ここで、
図15は、最終結合状態におけるコネクタ52、及び携帯情報端末22のYZ断面を示す図である。
図15に示すように、携帯情報端末22はY軸方向の両端部に磁性体70を備えている。このため、コネクタ52に携帯情報端末22が装着され、最終結合状態となった場合、磁石60と磁性体70との間に生じた磁力によって磁石60と磁性体70とが互いに引き合い、コネクタ52と携帯情報端末22との結合状態が維持される。
【0038】
この第2の実施の形態に係るコネクタ52によれば、最終結合状態において、磁力を用いることにより、コネクタ52と携帯情報端末22との結合状態を確実に維持することができ、接触子4の接点4aと接続端子20aとを確実に接触させることができる。また、弾性体66の下端部が基板68の金属部分と接触することにより、シールド部材64と基板68の金属部分とが電気的に接続され、コネクタ52と携帯情報端末22との間の電気信号にノイズが発生することを予防することができる。
【0039】
また、第2の実施の形態に係るコネクタ52において、2つの信号ラインから成る
差動ペアーがUSBピンアサインに含まれていてもよい。ここで、
図16は、USB3.0のピンアサインをイメージで表した図であり、USBピンアサインとシールド部材64(図の点線部分)、及び金属プレート65(図の点線部分)の位置関係を示している。また、
図17は、この場合のシールド部材64を上方から視た図である。
【0040】
図16に示すように、金属プレート65は、2つの信号ラインSignalから成る
差動ペアーと、他の信号ライン(GND、Other、Power等)とを区分する位置に配置されている。このような位置に金属プレート65を配置することにより、コネクタ52に携帯情報端末22を装着した場合において、
差動ペアーの電気信号と他の信号ラインの電気信号とが混線することを防止することができる。
【0041】
なお、上述の第2の実施の形態において、弾性体66と接触する部材は必ずしも基板68でなくてもよい。例えば、
図18に示すように、ベース体3の内部のY軸方向の両端部に、XY平面と平行な方向に延びる金属製の保持部82を設けてもよい。そして、ベース体3に、保持部82と接続され、かつ基板68の金属部分と導通する導通部材を設ける。この場合、保護部材8が下側に移動すると、保持部82と接触した弾性体66が下向きの押圧力によりZ軸方向に圧縮されて撓む。そして、弾性体66が保持部82と接触することにより、シールド部材64が導通部材を介して基板68の金属部分と電気的に接続されるため、コネクタ52と携帯情報端末22との間の電気信号にノイズが混入するのを防止することができる。
【0042】
また、上述の第2の実施の形態において、
図19に示すように、コネクタ52代えて、ケーブル84と接続されたケーブルコネクタ53を採用してもよい。ここで、
図20は、ケーブルコネクタ53に携帯情報端末22を装着した状態を、
図19に示すA−A断面で切断した状態を示す図である。
図20に示すように、ベース体3内に配置された接触子4は、アンダーカバー86によって覆われた配線88を介してケーブル84と接続されている。
【0043】
ここで、ケーブル84側の弾性体66の直下には、ケーブル84を保持する保持金具90の先端部90aが延び、また、ケーブル84と反対側の弾性体66の直下には、金属製の金具92が配置されている。この場合、保護部材8が下側に移動すると、保持金具90の先端部90aと接触したケーブル84側の弾性体66がZ軸方向に圧縮されて撓むと共に、金具92と接触したケーブル84と反対側の弾性体66がZ軸方向に圧縮されて撓む。ここで、弾性体66が保持金具90の先端部90aと接触することにより、シールド部材64とケーブル84とが電気的に接続されるため、コネクタ52と携帯情報端末22との間の電気信号にノイズが混入するのを防止することができる。
【0044】
また、上述の第2の実施の形態において、磁力によりコネクタ52と携帯情報端末22との結合状態を維持できれば、必ずしもコネクタ52が磁石60を備え、携帯情報端末22が磁性体70を備える必要はない。例えば、コネクタ52が磁性体70を備え、携帯情報端末22が磁石60を備えるようにしてもよい。また、コネクタ52、及び携帯情報端末22の双方が磁石60を備えてもよい。
【0045】
また、上述の第2の実施の形態において、磁力を用いずにコネクタ52と携帯情報端末22結合させてもよい。例えば、
図21に示すように、ベース体3のY軸方向の両端部に、上側(+Z軸方向)に突出する突出部94を形成し、携帯情報端末22に突出部94と嵌合する嵌合溝96を形成する。この場合、コネクタ52が携帯情報端末22に装着されると、突出部94が嵌合溝96に嵌合され、コネクタ52が携帯情報端末22にロックされる。このため、最終結合状態において確実にコネクタ52と携帯情報端末22との結合状態が維持される。
【0046】
また、コネクタ52、及び携帯情報端末22がネジ止め構造を有するようにしてもよい。例えば、
図22に示すように、コネクタ52にネジ穴103を形成し、最終結合状態において、コネクタ52をネジ104で携帯情報端末22に固定するようにしてもよい。
【0047】
また、上述の各実施の形態において、コネクタ2、及びコネクタ52は、クレードル、パソコン、携帯電話、スマートホン、及びタブレット端末等の電子機器に取付けられる。