特許第5912258号(P5912258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912258
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   A47G9/10 M
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-21531(P2011-21531)
(22)【出願日】2011年2月3日
(65)【公開番号】特開2012-161347(P2012-161347A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】菊地 政行
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−137372(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3074240(JP,U)
【文献】 特開2002−078572(JP,A)
【文献】 実開昭54−034525(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0102757(US,A1)
【文献】 特開2004−358137(JP,A)
【文献】 特開2005−304612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、
前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、
前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、
前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであることを特徴とする枕。
【請求項2】
前記中身部材と前記袋部材とが縫い目で固定されていることを特徴とする請求項1記載の枕。
【請求項3】
帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、
前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、
前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、
前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであり、
前記中身部材と前記袋部材とが、折り曲げ部にて縫い目で固定されており、また、前記縫い目は、前記枕の幅方向両端部を除く中央部に有することを特徴とする枕。
【請求項4】
前記中身部材を、セル膜を有さない骨格のみの低反発ポリウレタンフォームで構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枕に関し、軟質ウレタンフォームを中身部材としたものであっても洗濯乾燥性に優れるとともに、使用者の好みにあわせて外形状(高さなど)を選択して使用できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
睡眠に用いられる枕の中身部材としては、種々の素材のものがその触感や硬さなどの好みに応じて用いられており、その1つに軟質ウレタンフォームを中身部材とする枕が用いられることも多く、比較的やわらかい感触でクッション性に優れている。
一方、軟質ウレタンフォームを中身部材とした枕では、通気性が低いため蒸れやすく、汚れた場合に中身部材を洗濯すると、乾きにくいという問題がある。
そこで、例えば特許文献1の枕では、軟質ウレタンフォームを無膜化して通気性を向上させるとともに、洗濯できるようにしたものが提案されている。
【0003】
また、特許文献2の枕では、図5に示すように、側生地1および中身材2を水洗い可能な素材で形成するとともに、上下の側生地1,1を展開状態で帯状体3とし、この帯状体3に長手方向に沿って複数(4つ)の袋状区分4,4,4,4を形成して区画し、各袋状区分4に扁平状の中身材2を収納し、帯状体3を袋状区分の境で折って回転方向へ順次折り畳んで層状に重ねることで、枕として使用するようになっている。これにより、扁平状の帯状体3として洗濯機での水洗いを可能とし、展開状態のままの帯状体3で乾燥を早くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−139653号公報
【特許文献2】特開2005−304612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1の枕では、無膜化した軟質ウレタンフォームを使用するものの、洗濯した場合に、内部は乾き難くいという問題がある。
また、特許文献2の枕では、帯状体3を展開状態で洗濯し乾燥させることで、乾燥を早くすることができるものの、枕として使用する場合に、帯状体3の袋状区分4,4,4,4の境目から折り曲げるため折り曲げ部5が枕の前後端で重なるように集中し、折り曲げ部5,5が使用者の首に接触することになり、寝心地が悪くなってしまうという問題がある。
また、枕の高さを調整しようとすると、中身材2の高さを異なるものに変えたり、中身材2の充填量を変える必要があり、特に高くしようとする場合には、別に用意した補充用の中身材が必要で、簡単に調整することができないというい問題がある。
【0006】
本発明は、かかる従来技術における課題を解決するためなされたものであり、洗濯乾燥が簡単にでき、寝心地に優れるとともに、高さの調整が簡単にできる枕を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1記載の枕は、帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の枕は、請求項1記載の構成に加え、前記中身部材と前記袋部材とが縫い目で固定されていることを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明の請求項3記載の枕は、帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであり、前記中身部材と前記袋部材とが、折り曲げ部にて縫い目で固定されており、また、前記縫い目は、前記枕の幅方向両端部を除く中央部に有することを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の請求項4記載の枕は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記中身部材を、セル膜を有さない骨格のみの低反発ポリウレタンフォームで構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載の枕によれば、帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであるので、洗濯する際に帯状態に展開することができ、洗いやすく短時間に乾燥することができる。
また、中身部材の千鳥状の凹凸(プロファイル加工による凹凸を利用して折り曲げて形状保持部材で外形状の異なる2つ折り状態、又は3つ折り状態、又は丸め状態の枕を構成することができるとともに、折り曲げ部が鋭角になったり、薄く突き出すことがなく、千鳥状の凹凸(プロファイル加工された)の折り曲げ部により首が接触しても違和感がなく寝心地の良い枕にすることができる。
さらに、複数の形状保持部材によって異なる2つ折り状態、又は3つ折り状態、又は丸め状態の外形状に簡単に保持することができ、別に中身部材を用意したり、中身部材の一部を取り除くなどの必要もなく高さの調整を簡単に行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の枕によれば、前記中身部材と前記袋部材とが縫い目で固定されているので、枕を異なる形状に折り曲げる場合に、中身部材と袋部材がずれることがなく、より折り曲げ易くなるとともに、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができる。
【0013】
さらに、本発明の請求項3記載の枕によれば、帯板状の中身部材と、前記中身部材を覆う袋状の袋部材とからなり、前記中身部材は、セル膜を有さない骨格のみのポリウレタンフォームからなり、表裏面の少なくとも一方の面の少なくとも折り曲げ部に相当する箇所に千鳥状に凹凸を有し、前記凹凸は、前記中身部材の厚みの20%以上を有しており、前記袋部材は、長手方向両端部及び幅方向両端部に複数の形状保持部材を備えてなり、前記形状保持部材は、前記袋部材で覆われた前記中身部材ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態、又は2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態、又は一端部から巻き付けた丸め状態に保持するものであり、前記中身部材と前記袋部材とが、折り曲げ部にて縫い目で固定されており、また、前記縫い目は、前記枕の幅方向両端部を除く中央部に有するので、枕の形状を、2つ折り状態、3つ折り状態、丸め状態の3つの状態に保持することができ、これにより、簡単に高さを調整することができる。
特に、折り曲げ部を縫い目で固定するようにすれば、折り曲げ易くなり、枕としての外形状を保つことができるので好ましい。幅方向中央部にある程度の長さの縫い目を入れて互いを固定するようにする。このような縫い目で中身部材と袋部材とを固定することで、袋状区分などに比べ縫い目で固定する幅がごくわずかなため折り曲げる場合に鋭く突き出すことがなく、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができる。
【0014】
また、本発明の請求項4記載の枕によれば、前記中身部材を、セル膜を有さない骨格のみの低反発ポリウレタンフォームで構成したので、頭部を均一に支えることができ、一層寝心地の良い枕とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の枕の一実施の形態にかかる2つ折り状態の概略斜視図および展開状態の概略斜視図である。
図2】本発明の枕の一実施の形態にかかる3つ折り状態の概略斜視図および展開状態の概略斜視図である。
図3】本発明の枕の一実施の形態にかかる丸め状態の概略斜視図および展開状態の概略斜視図である。
図4】本発明の枕の一実施の形態にかかる中身部材の概略斜視図および端面図である。
図5】従来の枕の展開状態の概略斜視図および使用状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明における枕10は、帯板状で表裏面の少なくとも一方にプロファイル加工が施された無膜化した軟質ポリウレタンフォームの中身部材11と、この中身部材11を覆う袋状の袋部材12と、この袋部材12の長手方向両端部および幅方向両側端部に複数設けられ枕10の形状を保持する形状保持部材13とを備えて構成され、枕10としての使用に際しては、形状保持部材13により異なる外形状の枕10,10A,10Bとすることができ、洗濯やその後の乾燥の際には、袋部材12で覆った中身部材11ごと展開状態とすることができるように構成してある。
【0017】
この枕10を構成する中身部材11は、帯板状の軟質ポリウレタンフォームを無膜化したものが用いられ、表裏面の少なくとも一方にプロファイル加工11aが施されている。なお、プロファイル加工は、折り曲げ部に相当する箇所に施されていれば良く、表裏面の一方の全面、あるいは表裏両面の全面に施されても良い。
例えば、図4に示すように、表面の全面に凹凸が千鳥状に成型されたものであれば、プロファイル加工11aが施された面に頭部が位置するように使用されるので好ましい。これにより、枕の底付き感を緩和することができる。
【0018】
前記軟質ポリウレタンフォームの中身部材11は、使用者の好みに応じて密度や硬さが選択され、枕として使用できる範囲とされるが、例えば密度を20kg/m3以上、硬さが40%圧縮時で60N以上の無膜化した軟質ポリウレタンフォームが用いられる。
ここで、無膜化した軟質ポリウレタンフォームとは、セル(気泡)から薄い膜を除去して骨格のみにしたものである。セル膜を除去する方法として、例えばアルカリ処理や爆発処理、その他の熱処理などが採用される。
また、帯板状の中身部材11の寸法としては、後述する枕として使用する主たる外形状によっても異なるが、幅が400〜600mm、長さが500〜1200mm、厚みが20〜50mmの範囲になるようにすればよい。そうすれば、折り曲げて枕として使用する際の外形状は、幅が400〜600mm、長さが250〜400mm、厚みが40〜200mmの範囲となり、通常使用されている枕の外形にすることができる。
さらに、中身部材11の厚みの20%以上がプロファイル加工されていることにより、折り曲げ易くなるとともに、折り曲げ部の違和感をなくすことができ好ましい。例えば、中身部材11としては、厚み35mmで帯板状のプロファイル加工高さが10/35mm(最小厚み10mm、最大厚み35mm)、幅が540mm、長さが760mmとしたものが用いられる。
【0019】
なお、中身部材11として用いられる無膜化した軟質ポリウレタンフォームには、無膜化した低反発ポリウレタンフォームも含まれ、頭部を均一に支えることができ、一層寝心地の良い枕とすることができる。この低反発ポリウレタンフォームの反発弾性は、JIS K 6400−3に準拠する方法で測定されたもので、1〜20%のものが好ましい。
【0020】
このような中身部材11を覆うように設けられる袋部材12は、例えば図1図3の各図(b)に示すように、枕を構成する中身部材11の直接の汚れ防止や頭部接触時のソフト感を出すとともに、形状保持部材13と協働して枕の外形状を定めるものである。
【0021】
この袋部材12は、枕全体の洗濯後の乾きやすさや枕としての使用時のソフト感を出すためメッシュ生地、綿布などの乾き易い素材を用いることが好ましく、例えばポリエステル100%のメッシュ生地が用いられる。
【0022】
この袋部材12は、中身部材11を収納できる大きさとされ、上記した帯状体の寸法のもの(プロファイル加工高さが10/35mm、幅が540mm、長さが760mmとしたもの)に対し、例えば長さが800mm、幅が580mmのポリエステルメッシュ生地を袋状に縫製し、長手方向一端部である幅の辺の一方を開口として中身部材11を挿入できるようにし、中身部材11を挿入後、開口部を縫って閉じるようにする。なお、開口部にファスナーを設けて閉じるようにしても良く、中身部材11と袋部材12を簡単に分離して洗濯したり、乾燥することが可能となる。
【0023】
このような袋部材12で帯板状の中身部材11を覆って開口部を縫って閉じた後、中身部材11と袋部材12とを縫い止めても良い。縫い止める箇所としては、折り曲げる際に、中身部材11と袋部材12がずれたりしない箇所であれば良く、特に、折り曲げ部を縫い止めるようにすれば、折り曲げ易くなり、枕としての外形状を保つことができるので好ましい。例えば、枕としての外形状を保つことができるようにするため、長手方向両端部から長さの1/4の2箇所に、幅方向中央部にある程度の長さの縫い目14,14を入れて互いを固定するようにし、例えば350mm程度の長さ(中身部材の全幅は540mm)の縫い目14,14を入れて互いを固定する。
このような縫い目14,14で中身部材11と袋部材12とを固定することで、袋状区分などに比べ縫い止めの幅がごくわずかなため折り曲げる場合に鋭く突き出すことがなく、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができる。
【0024】
このような袋部材12には、枕としても外形状を保持するための形状保持部材13が複数設けられる。
この枕では、外形状を変えることで図1図3に示す3つの異なる枕10,10A、10Bにできるようにしており、袋部材12で覆われた中身部材11ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態(図1参照)の枕10と、2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態(図2参照)の枕10Aと、一端部から巻き付けた丸め状態(図3参照)の枕10Bとに保持可能な位置に形状保持部材13を配置してある。
ここでは、3つの外形状をそれぞれ保持するために必要な場合に分けて形状保持部材13,13A,13Bの配置を説明するが、実際の袋部材12には、全ての場合に対応できる形状保持部材13,13A,13Bが1つの袋部材12に設けられたり、必要に応じて、1〜複数の外形状を保持するための形状保持部材を設けるようにしても良い。
【0025】
まず、袋部材12で覆われた中身部材11ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げる2つ折り状態とする枕10では、図1に示すように、袋部材11の長手方向両端部である短辺それぞれの両端および中央の3箇所に蝶結びができる長さの紐13aが取り付けてあり、幅方向両側端部である長辺の中央部に紐13aを通すことができる紐を環状としたループ13bが設けてある。
【0026】
したがって、この枕10では、袋部材12で覆われた中身部材11ごとその長手方向両端部を中央に向けて折り曲げて2つ折り状態とした後、袋部材12の短辺の両端同士の紐13a,13aのいずれかをループ13bに通して結ぶとともに、短辺中央の紐13a,13a同士を蝶結びとする。これにより、2つ折り状態の枕10とすることができる。
また、この枕10では、洗濯する場合には、結んだ紐13a,13a同士を解くことで、展開状態にすることができ、1枚の帯板状とすることで、洗濯を容易とするとともに、乾燥をし易くすることができる。
さらに、枕10とする場合の折り曲げ部分は滑らかな曲線となり、袋状区分などを設ける場合に比べ鋭く突き出すことがなく、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができ、寝心地の良い枕とすることができる。
【0027】
次に、枕10に比べて高さを高くする枕10Aとする場合には、図2に示すように、袋部材12で覆われた中身部材11ごと2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態とするようにしており、形状保持部材13Aとして袋部材11の長手方向両端部である短辺それぞれの両端の2箇所に蝶結びができる長さの紐13Aaが取り付けてあり、幅方向両側端部である長辺の3等分の位置に紐13Abが設けてある。
【0028】
したがって、この枕10Aでは、袋部材12で覆われた中身部材11ごと2箇所で折り曲げて3重に重ねる3つ折り状態とした後、袋部材12の短辺の両端の紐13Aaと側端部の遠い方の紐13Abとをそれぞれ蝶結びとする。これにより、3つ折り状態の枕10Aとすることができる。
また、この枕10Aでは、洗濯する場合には、結んだ紐13Aa,13Ab同士を解くことで、展開状態にすることができ、1枚の帯板状とすることで、洗濯を容易とするとともに、乾燥をし易くすることができる。
さらに、枕10Aとする場合でも折り曲げ部分は滑らかな曲線となり、袋状区分などを設ける場合に比べ鋭く突き出すことがなく、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができ、寝心地の良い枕とすることができる。
【0029】
次に、2つ折りの枕10や3つ折りの枕10Aに比べて高さをさらに高くした枕10Bとする場合には、図3に示すように、袋部材12で覆われた中身部材11ごと一端部から巻き付けた丸め状態とするようにしており、形状保持部材13Bとして袋部材11の長手方向両端部である短辺それぞれの両端の2箇所に蝶結びができる長さの紐13Baが取り付けてある。
【0030】
したがって、この枕10Bでは、袋部材12で覆われた中身部材11ごと一端部から巻き付けた丸め状態とした後、袋部材12の短辺の両端の紐13Baと他方の短辺の両端の紐13Baとをそれぞれ蝶結びとする。これにより、一端部から巻き付けた丸め状態の枕10Bとすることができる。
また、この枕10Bでは、洗濯する場合には、結んだ紐13Ba,13Ba同士を解くことで、展開状態にすることができ、1枚の帯板状とすることで、洗濯を容易とするとともに、乾燥をし易くすることができる。
さらに、枕10Bとする場合でも丸めた部分は滑らかな曲線となり、袋状区分などを設ける場合に比べ鋭く突き出すことがなく、枕として使用する際の首などとの接触による寝心地の悪化を防止することができ、寝心地の良い枕とすることができる。
【0031】
この枕10では、形状保持部材13,13A,13Bを1つの袋部材12に設けておくことで、外形状の異なる枕10,10A,10Bに簡単に形成することができ、高さの調整を、別に高さ調整用の中身部材を用意したり、中身部材を取り出したりすることなく、簡単に行うことができる。
また、この枕10では、中身部材11として表裏面の少なくとも一方にプロファイル加工を施してあるので、中身部材のプロファイル加工による凹凸を利用して折り曲げて形状保持部材で外形状の異なる枕を構成することができ、折り曲げ部が鋭角になったり、薄く突き出すことがなく首が接触しても違和感がなく寝心地の良い枕にすることができる。
さらに、この枕10では、中身部材11として無膜化した軟質ポリウレタンフォームを用いるとともに、表裏面の少なくとも一方にプロファイル加工を施してあるので、中身部材の無膜化及びプロファイル加工による凹凸を利用して通気性を確保することができ、洗濯後の乾燥を短時間にすることができる。
【0032】
上記の実施の形態では、枕10,10A,10Bとして使用する場合に袋部材12を外表面として使用するかのように説明したが、通常の枕と同様に、枕カバーを巻いて使用するようにすれば良く、一般的な430mm×630mmの枕カバーを使用することができる。また、枕カバーによって通常の汚れに対しては枕カバーだけの洗濯で済ませることができる。
【0033】
上記の実施の形態では、形状保持部材として紐やループを例に説明したが、これに限らず、枕10,10A,10Bとして使用する場合の形状を保持できるものであれば良く、プラスチックホックなど別の止め具を用いることもできる。
【符号の説明】
【0034】
10 枕
10A 枕
10B 枕
11 中身部材
11a プロファイル加工
12 袋部材
13 形状保持部材
13a 紐
13b ループ
13A 形状保持部材
13Aa 紐
13Ab 紐
13B 形状保持部材
13Ba 紐
14 縫い目
図1
図2
図3
図4
図5