特許第5912286号(P5912286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912286
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】蓋部材、飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 17/50 20060101AFI20160414BHJP
   B65D 53/00 20060101ALI20160414BHJP
   B65D 53/04 20060101ALI20160414BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20160414BHJP
   B65D 85/72 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   B65D17/50
   B65D53/00 A
   B65D53/04 Z
   B65D77/20 E
   B65D85/72 F
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-105182(P2011-105182)
(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公開番号】特開2012-236609(P2012-236609A)
(43)【公開日】2012年12月6日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186854
【氏名又は名称】昭和アルミニウム缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】村岡 健裕
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明日美
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−184731(JP,A)
【文献】 特開2000−053126(JP,A)
【文献】 特開平10−120003(JP,A)
【文献】 特開2002−046759(JP,A)
【文献】 実開昭63−175027(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 17/50
B65D 53/00
B65D 53/04
B65D 77/20
B65D 85/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が収容される容器に取り付けられる蓋部材であって、
飲料が飲まれる際の飲み口となる開口部が径方向における中央部に形成された円盤状の基板であり一方の面側に向かって突出する突出部が外周縁に沿って設けられ、前記容器に取り付けられる基板と、
前記基板の前記一方の面側に取り付けられ、前記開口部を塞ぐ円形の塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
一端を有するとともに当該一端から一方向に向かって延びるように設けられ当該一方向における下流側に他端を有し、前記基板に形成された前記開口部を塞ぐとともに、当該他端が位置する側に向かって当該一端が移動するようにユーザにより操作されることで、当該基板から剥がされる塞ぎ片と、
前記塞ぎ片の前記他端に接続され、前記一方向とは反対方向に延びるように設けられるとともに、前記基板のうちの、前記開口部と前記突出部との間に位置する円環状の領域に接着された接着片と、
を備える蓋部材。
【請求項2】
前記基板から前記塞ぎ片が剥がされた状態において、当該塞ぎ片の前記一端が当該基板の前記外周縁を超える部分まで達することができるように構成されるとともに、当該基板から剥がされた当該塞ぎ片を当該外周縁に位置する前記突出部に押し当てることで、当該塞ぎ片を折り曲げることができるように構成された請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記塞ぎ部材の前記塞ぎ片には、ユーザの指が挿入可能な貫通穴が形成された片が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記接着片は、前記塞ぎ片の外側に位置するとともに当該塞ぎ片を囲むように形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓋部材。
【請求項5】
前記接着片の外縁部は、円弧を描くように形成され且つ外側に向かって膨らむように形成されていることを特徴とする請求項記載の蓋部材。
【請求項6】
前記塞ぎ片の前記一端が、前記接着片の前記外縁部よりも外側に位置するように、当該塞ぎ片および当該接着片が形成されていることを特徴とする請求項記載の蓋部材。
【請求項7】
前記基板に接着された前記塞ぎ片のうちの前記一端は、当該基板に接着されていないことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の蓋部材。
【請求項8】
前記塞ぎ片が前記基板に接着されている状態において、当該塞ぎ片の前記一端と前記他端との間に前記開口部が位置し、
前記一方向と反対方向に延びるように設けられた前記接着片は、二股に分かれるように形成されるとともに、二股に分かれた後の一方の部位が前記開口部の一方の脇を通過するように当該接着片は形成され、二股に分かれた後の他方の部位が当該開口部の他方の脇を通過するように当該接着片は形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓋部材。
【請求項9】
部に飲料が収容される容器本体と、
前記容器本体に取り付けられる蓋部材と、
備え、
前記蓋部材は、
飲料が飲まれる際の飲み口となる開口部が径方向における中央部に形成された円盤状の基板であり、一方の面側に向かって突出する突出部が外周縁に沿って設けられ、前記容器本体に取り付けられる基板と、
前記基板の前記一方の面側に取り付けられ、前記開口部を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
一端を有するとともに当該一端から一方向に向かって延びるように設けられ当該一方向における下流側に他端を有し、前記基板に形成された前記開口部を塞ぐとともに、当該他端が位置する側に向かって当該一端が移動するようにユーザにより操作されることで、当該基板から剥がされる塞ぎ片と、
前記塞ぎ片の前記他端に接続され、前記一方向とは反対方向に延びるように設けられるとともに、前記基板のうちの、前記開口部と前記突出部との間に位置する円環状の領域に接着された接着片と、
を備える飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材、飲料容器、および塞ぎ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
小孔に粘着シールが貼付されて密封されるとともに、容器の内容物が取り出される際に粘着シールが剥がされる容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3018674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料容器等においては、飲み口となる開口部を塞ぐ塞ぎ部材が缶蓋などに接着されてこの開口部が塞がれることがある。ここで、内部の飲料が飲まれる際にはユーザがこの塞ぎ部材を剥がすこととなるが、塞ぎ部材が缶蓋などから離脱してしまうとこの塞ぎ部材がごみとなって散乱し周辺の環境を汚すおそれがある。
本発明の目的は、開口部を塞ぐ塞ぎ部材の離脱が起きにくい蓋部材等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される蓋部材は、飲料が収容される容器に取り付けられる蓋部材であって、開口部が形成され、前記容器に取り付けられる基板と、前記基板の前記開口部を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、一端を有するとともに当該一端から一方向に向かって延びるように設けられ当該一方向における下流側に他端を有し、前記基板に形成された前記開口部を塞ぐとともに、当該他端が位置する側に向かって当該一端が移動するようにユーザにより操作されることで、当該基板から剥がされる塞ぎ片と、前記塞ぎ片の前記他端に接続されるとともに、前記一方向とは反対方向に延びるように設けられ、前記基板に接着された接着片と、を備える蓋部材である。
【0006】
ここで、前記接着片は、前記塞ぎ片の外側に位置するとともに当該塞ぎ片を囲むように形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記接着片の外縁部は、円弧を描くように形成され且つ外側に向かって膨らむように形成されていることを特徴とすることができる。
さらに、前記塞ぎ片の前記一端が、前記接着片の前記外縁部よりも外側に位置するように、当該塞ぎ片および当該接着片が形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記基板に接着された前記塞ぎ片のうちの前記一端は、当該基板に接着されていないことを特徴とすることができる。
さらに、前記塞ぎ片が前記基板に接着されている状態において、当該塞ぎ片の前記一端と前記他端との間に前記開口部が位置し、前記一方向と反対方向に延びるように設けられた前記接着片は、二股に分かれるように形成されるとともに、二股に分かれた後の一方の部位が前記開口部の一方の脇を通過するように当該接着片は形成され、二股に分かれた後の他方の部位が当該開口部の他方の脇を通過するように当該接着片は形成されていることを特徴とすることができる。
【0007】
また本発明を飲料容器として捉えた場合、本発明が適用される飲料容器は、飲み口となる開口部が形成され、内部に飲料が収容される容器本体と、前記容器本体に形成された前記開口部を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、前記容器本体に接着され、当該容器本体に形成された前記開口部を塞ぐとともに、ユーザにより操作されることで、当該開口部を挟んだ一方側および他方側のうちの当該一方側から次第に剥がされる塞ぎ片と、前記他方側にて前記塞ぎ片に接続されるとともに、当該塞ぎ片がユーザによって前記容器本体から剥がされる際の当該ユーザの操作方向とは反対方向に向かって延びる部位を備え、当該容器本体に接着された接着片と、を備える飲料容器である。
【0008】
また本発明を塞ぎ部材として捉えた場合、本発明が適用される塞ぎ部材は、飲料が飲まれる際に飲み口となる開口部を塞ぐ塞ぎ部材であって、前記開口部の周囲に位置する部位に接着され、当該開口部を塞ぐとともに、ユーザにより操作されることで、当該開口部を挟んだ一方側および他方側のうちの当該一方側から次第に剥がされる塞ぎ片と、前記他方側にて前記塞ぎ片に接続されるとともに、当該塞ぎ片がユーザによって前記周囲に位置する部位から剥がされる際の当該ユーザの操作方向とは反対方向に向かって延びる部位を備え、当該周囲に位置する部位に接着される接着片と、を備える塞ぎ部材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開口部を塞ぐ塞ぎ部材の離脱が起きにくい蓋部材等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
図2】シール部材を説明するための図である。
図3】シール部材が缶蓋から剥がされる際のシール部材の動きを示した図である。
図4】シール部材が缶蓋から剥がされる際のシール部材の動きを示した図である。
図5】内側部位がパネルから剥がされた際のシール部材の断面図である。
図6】飲料缶の他の構成例を示した図である。
図7】シール部材を接着する際に用いる加熱体を示した図である。
図8】缶蓋の他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は飲料缶100の上面図である。また同図(B)は、飲料缶100を正面から見た場合の断面図である。
同図(A)、(B)に示すように、本実施形態における飲料缶100は、上部に開口を有するとともに下部に底部(不図示)を有し且つ筒状に形成された容器本体(缶胴)200と、容器本体200の上部に取り付けられ容器本体200の開口を塞ぐ缶蓋300とを有している。ここで、飲料缶100の内部には、清涼飲料などの飲料が充填(収容)されている。
【0012】
なお本実施形態では、容器本体200、缶蓋300の2つの部材で構成されたいわゆる2ピース缶を例示しているが、以下に説明する各構成は、筒状の容器本体、缶蓋、および底部材の3つの部材で構成されたいわゆる3ピース缶にも適用することができる。また、以下に説明する各構成は、紙パックなど缶体以外にも適用することができる。
【0013】
蓋部材の一例としての缶蓋300は、同図(A)、(B)に示すように、円盤状に形成され基板として機能するパネル400を有している。ここでパネル400は、いわゆる巻き締めによってその外周縁が容器本体200に固定されている。また缶蓋300には、同図(A)、(B)に示すように、パネル400の中央部に、ユーザが内部の飲料を飲む際に飲み口となる円形の開口部310が形成されている。
【0014】
なお本実施形態では、開口部310が缶蓋300の中央部に形成されているが、開口部310は缶蓋300の外周方向に偏った位置にあってもよい。また本実施形態では、同図(A)、(B)に示すように、缶蓋300に形成された開口部310を塞ぐ塞ぎ部材の一例としてのシール部材500が缶蓋300の表面に貼付されている。なおシール部材500の素材は、特に限定されないが、一般的に、アルミニウム箔とプラスチック製のフィルムとを積層した素材、もしくは、アルミニウム箔に樹脂を塗布した素材などが使用される。
【0015】
図2は、シール部材500を説明するための図である。なお同図(A)はシール部材500の正面図であり、同図(B)はシール部材500の背面図である。
同図(A)に示すように、本実施形態におけるシール部材500は、略円形に形成されている。また、このシール部材500には、第1スリット51および第2スリット52が形成されている。なお、第1スリット51および第2スリット52は、ミシン目状に形成することもできる。付言すると、長さが短いスリットが予め定められた間隔をおいて複数設けられた状態で形成することもできる。
【0016】
ここで、第1スリット51および第2スリット52をミシン目状に形成した場合、シール部材500のうちの、第1スリット51および第2スリット52よりも内側に位置する部位(以下、「内側部位53」と称する)が垂れ下がることが抑制される。付言すると、シール部材500の製造時などに、この内側部位53が製造ラインなどに触れるなどの不具合が生じにくくなる。なお本明細書では、以下、第1スリット51および第2スリット52よりも外側に位置する部位を外側部位56と称し、図中右端に位置し内側部位53と外側部位56とを接続する部位を接続部位57と称する。
【0017】
ここで、本実施形態における内側部位53は、図中左側に一端を有するとともにこの一端から一方向(図中右方向)に向かって延びるように設けられ、さらに、この一方向における下流側に他端を有している。なおこの他端は接続部位57に接続されている。またこの内側部位53は、パネル400に形成された開口部310(図1(A)参照)を塞ぐ。また本実施形態では、内側部位53の上記一端と上記他端との間に開口部310が位置するように、内側部位53は缶蓋300に対して接着されている(図1(A)も参照)。
【0018】
また本実施形態では、内側部位53の上記他端に向かって内側部位53の上記一端が移動するようにこの一端がユーザにより操作されることで、内側部位53が缶蓋300から剥がされる。また本実施形態では、接着片の一例としての、外側部位56および接続部位57が、内側部位53に接続された箇所を始点として、内側部位53が延びる方向である上記一方向(図中右方向)とは反対方向(図中左方向)に延びるように設けられている。
【0019】
また本実施形態では、開口部310の図中上方に一つの外側部位56が設けられ、開口部310の図中下方にもう一つの外側部位56が設けられている。付言すると、本実施形態では、図中左方向に延びるように設けられた外側部位56は、二股に分かれるように形成されている。また、二股に分かれた後の一方の部位が開口部310の一方の脇を通過するように設けられ、二股に分かれた後の他方の部位が開口部310の他方の脇を通過するように設けられている。
【0020】
また外側部位56は、円盤状に形成されたシール部材500の径方向において、内側部位53の外側に位置するとともに、内側部位53を囲むように形成されている。また本実施形態では、外側部位56の外縁部は、円弧を描くように形成され且つ外側に向かって膨らむように形成されている。
【0021】
ここで本実施形態では、缶蓋300(図1参照)が円盤状に形成されている。このため、外側部位56の外縁部を、円弧を描くように且つ外側に向かって膨らむように形成すると、この外縁部を缶蓋300の外周縁に沿わせることができるようになる。そしてこの場合、外側部位56と缶蓋300との接着面積を増加させることが可能となり、外側部位56と缶蓋300との付着強度を高めることができる。例えば外側部位56の外縁部が矩形状となっていると、外側部位56の外縁部と缶蓋300の外周縁との間に間隙が形成され、外側部位56と缶蓋300との接着面積が小さくなってしまう。
【0022】
ここで、第1スリット51は、図2(A)に示すように、シール部材500の一方の端部(図中左側の端部)側から他方の端部(図中右側の端部)側にかけて設けられている。詳細に説明すると、第1スリット51は、シール部材500の上記一方の端部において、シール部材500の外縁部(外側部位56の外縁部)に接続されている。また、第1スリット51は、シール部材500の外縁部に接続された箇所を始点として、上記他方の端部に向かうように形成されている。また、シール部材500の他方の端部に向かうように設けられたこの第1スリット51は、シール部材500の他方の端部側に位置する外縁部まで達せず、第1スリット51の終点(端部)は、シール部材500の内部に位置している。
【0023】
さらに、第1スリット51は、第1部位511および第2部位512を有している。
ここで第1部位511は、シール部材500の上記一方の端部側(シール部材500の左端部側)にて、シール部材500の外縁部に接続されている。また、この第1部位511は、直線状に形成されるとともにシール部材500の内部方向に向かうように形成されている。
また第2部位512は、その左端部が第1部位511に接続されるとともに、シール部材500の上記他方の端部(右端部)に向かうように設けられている。また、第2部位512は、缶蓋300に形成された開口部310(図1(A)参照)の図中上方を通るように設けられている。さらに第2部位512は、開口部310の縁部に沿うように円弧を描いて形成されるとともにこの縁部との間に間隙を有した状態で配置されている。
【0024】
一方、第2スリット52は、図2(A)に示すように、第1スリット51よりも図中下方に配置されている。そしてこの第2スリット52は、第1スリット51と同様に、シール部材500の一方の端部(図中左側の端部)側から他方の端部(図中右側の端部)側にかけて設けられている。詳細には、第2スリット52は、シール部材500の上記一方の端部において、シール部材500の外縁部に接続されている。また、第2スリット52は、シール部材500の外縁部に接続された箇所を始点として、上記他方の端部に向かうように形成されている。また、シール部材500の他方の端部に向かうように設けられたこの第2スリット52は、シール部材500の他方の端部側に位置する外縁部まで達せず、第2スリット52の終点(端部)は、シール部材500の内部に位置している。
【0025】
さらに、第2スリット52は、第1スリット51と同様に、第1部位521および第2部位522を有している。
ここで第1部位521は、シール部材500の上記一方の端部側にて、シール部材500の外縁部に接続されている。また、この第1部位521は、直線状に形成されるとともにシール部材500の内部方向に向かうように形成されている。
また第2部位522は、その左端部が第1部位521に接続されるとともに、シール部材500の上記他方の端部に向かうように設けられている。また、第2部位522は、缶蓋300に形成された開口部310(図1(A)参照)の下方を通るように設けられている。さらに第2部位522は、開口部310の縁部に沿うように円弧を描いて形成されるとともにこの縁部との間に間隙を有した状態で配置されている。
【0026】
さらに説明すると、本実施形態では、図2(A)に示すように、シール部材500の中心部を通る直線であって図中左側から右側に向かう直線L1を対称軸として、第1スリット51と第2スリット52とが線対称となるように形成されている。また本実施形態では、第1スリット51と第2スリット52は交わっておらず、図2(A)に示すように、第1スリット51の図中右端部と第2スリット52の図中右端部との間には、スリットが形成されていない不連続部が設けられている。また本実施形態では、図2(A)に示すように、第1スリット51の図中右端部に対して、円形の打ち抜き加工(ノッチ加工)が施されている。また、第2スリット52の右端部に対しても円形の打ち抜き加工が施されている。
【0027】
また本実施形態では、シール部材500の上記一方の端部側(図中左端部側)に、シール部材500の外周縁(外側部位56の外縁部)から突出する突出部54が設けられている。ここで、この突出部54は、シール部材500のうちの上記第1部位511と第1部位521との間に位置する部位に接続されている。付言すると、シール部材500のうち、第1スリット51における第1部位511と第2スリット52における第1部位521との間に位置する部位(以下、「スリット間部位55」と称する)に対して、突出部54が接続されている。
【0028】
ここで本実施形態では、図2(B)に示すように、シール部材500の一方の面に対して接着剤(ヒートシール剤)が塗布された後に、この接着剤が乾燥される。なお本実施形態では、スリット間部位55および突出部54に対しては、接着材が塗布されないようになっている。その後、このシール部材500は、上記缶蓋300のうちの開口部310が設けられている箇所に熱接着される。付言すると、シール部材500の一部に熱が加えられることで接着剤の一部が溶融し、この溶融した接着剤によって、シール部材500が缶蓋300に貼り付けられる。より具体的には、缶蓋300のうち開口部310の周囲に位置する部位に対して、シール部材500が貼り付けられる。なお本実施形態では、接着剤を用いる場合を説明したが、シール部材500をナイロンなどの樹脂により形成しこの樹脂を溶融させることで接着を行うこともできる。
【0029】
さらに説明すると、本実施形態では、缶蓋300に対してシール部材500が押し当てられた状態にてシール部材500に熱が加えられ、この熱によって接着剤が溶融し、シール部材500が缶蓋300に接着される。そしてシール部材500の接着が終了すると、シール部材500により開口部310が塞がれた状態の缶蓋300が完成する。そして、本実施形態では、この缶蓋300は、内部に飲料が充填された容器本体200の開口に対して所謂巻き締めにより固定される。これにより、飲料が充填された飲料缶100(図1参照)が完成する。
【0030】
なお上記では、容器本体200に飲料が充填される前に缶蓋300に対してシール部材500を予め貼付しておき、容器本体200に飲料が充填された後に、シール部材500が貼り付けられた缶蓋300を取り付ける場合を説明した。ところでこのような手順に限らず、例えば、缶蓋300が取り付けられた状態の容器本体200の内部に、開口部310を通じて飲料を充填し、その後、缶蓋300に対してシール部材500を貼付することもできる。
【0031】
図3および図4は、シール部材500が缶蓋300から剥がされる際のシール部材500の動きを示した図である。
本実施形態では、まず、図3(A)に示すように、突出部54およびスリット間部位55がユーザによって把持され、突出部54およびスリット間部位55が上方に持ち上げられる。ここで本実施形態では、上記のとおり、突出部54およびスリット間部位55に対して接着剤が塗布されておらず、突出部54およびスリット間部位55を上方へ持ち上げることができるようになっている。
【0032】
なお本実施形態では、突出部54およびスリット間部位55に対して接着剤を塗布しない構成としたが、これらの部分に接着剤を塗布する構成とすることもできる。付言すると、シール部材500の裏面の全体に接着剤を塗布する構成とすることもできる。このような場合は、突出部54およびスリット間部位55に対する加熱を省略することで、パネル400に対する突出部54およびスリット間部位55の接着を防止できる。
ここで、パネル400に対する突出部54およびスリット間部位55の接着の防止は、次のように行うことができる。
例えば、図7(シール部材500を接着する際に用いる加熱体を示した図)の(A)に示すように、切欠910を設けた加熱体920を、接着剤(ヒートシール剤)が全面に塗布されたシール部材500に押しつけると、切欠910のある箇所は加熱および押圧されないため、切欠910に対面するシール部材500の箇所は、缶蓋300に接着しない。そのため、シール部材500の突出部54(図7(B)参照)およびスリット間部位55に、加熱体920の切欠910を対向させれば、突出部54およびスリット間部55を除いた、シール部材500が、缶蓋300に接着される。
また、例えば、缶蓋300に図8(缶蓋300の他の構成例を示した図)のようなエンボス930を設けることにより、この部分が他の面に比べ凹むようになり、当該箇所のシール部材500は缶蓋300に接しない。このためこの場合、シール部材500の全面に接着剤(ヒートシール剤)が塗布されていても、シール部材500の突出部54およびスリット間部位55が缶蓋300に接着されないようになり、上記加熱体920に形成された切欠910を省略できる。つまり、加熱体920でシール部材500の全面を加熱および押圧しても、シール部材500の突出部54およびスリット間部位55は、エンボス930による凹みのため、缶蓋300に接着されない。また、エンボス930を設けることにより、シール部材500を引き剥がす時、エンボス930により形成される溝に指先を入れることができるため、突出部54に指掛けがしやすくなる。
【0033】
また本実施形態では、突出部54およびスリット間部位55がパネル400に沿うように設けられた場合を例示したが(突出部54およびスリット間部位55がパネル400と平行に設けられた場合を例示したが)、例えば、突出部54の根元やスリット間部位55の根元にてシール部材500に対して曲げ加工を施し、突出部54をパネル400から浮かしておくこともできる。この場合、突出部54の把持をユーザは行いやすくなる。
【0034】
突出部54およびスリット間部位55がユーザにより上方に持ち上げられた後、本実施形態では、突出部54およびスリット間部位55が図中右方向に引っ張られる。これにより、塞ぎ片として機能する内側部位53がパネル400から次第に剥がれ、図3(B)に示すように、パネル400に形成された開口部310が現れるようになる。なお本実施形態では、内側部位53が略円形となっているが、楕円形や多角形など円形以外の形状とすることもできる。その後、本実施形態では、突出部54およびスリット間部位55が図中右方向に向けて更に引っ張られる。これにより、図4(A)に示すように、内側部位53の剥離が予め定められた箇所までなされた状態となり、内側部位53の全てがパネル400から剥がれた状態となる。
【0035】
なお本実施形態では、上記のとおり、第1スリット51の右端部、および、第2スリット52の右端部に対して、円形の打ち抜き加工が施されている。このため本実施形態では、第1スリット51の右端部を超えてシール部材500にスリットが形成されることが抑制される。また、同様に、第2スリット52の右端部を超えてシール部材500にスリットが形成されることが抑制される。付言すると、図2(A)にて示した不連続部にてシール部材500に破断が発生することが抑制される。そしてこの場合、シール部材500の一部である内側部位53が缶蓋300から離脱することが抑制される。
【0036】
次いで、本実施形態では、図4(B)に示すように、内側部位53がユーザによって折り曲げられる。より詳細には、突出部54およびスリット間部位55がユーザによって下方に引っ張られることで、内側部位53が缶蓋300の外周縁(巻き締め部)に対して押し付けられ、内側部位53が折り曲げられる。これにより、内側部位53が、缶蓋300の外周縁の内側に戻りにくくなり、内側部位53によって開口部310が再度覆われることが抑制される。またこのように内側部位53が折り曲げられる場合、ユーザの鼻先にシール部材500が触れにくくなる。
【0037】
図5は、内側部位53がパネル400から剥がされた際のシール部材500の断面図である。詳細には、図5(A)は、図4(A)におけるVA−VA線における断面図である。また図5(B)は、図4(A)におけるVB−VB線における断面図である。なお図5(B)では、VB−VB線における断面よりも奥側に位置する部位も表示している。
【0038】
本実施形態では、内側部位53がパネル400から剥がされる際の最終段階において、図5(A)に示すように、内側部位53が、図中右方向且つ上方に引っ張られる。そしてこの場合、同図に示すように、接続部位57も図中右方向且つ上方に引っ張られるようになる。付言すると、接続部位57をパネル400から剥がそうとする力が内側部位53から接続部位57に対して作用するようになる。さらに説明すると、接続部位57の一端部571を接続部位57の他端部572に向けて移動させようとする力がこの接続部位57に対して作用するようになり、接続部位57がパネル400から剥がれようとする。
【0039】
その一方で、本実施形態では、図5(B)に示すように、外側部位56に対しても、この外側部位56を剥がそうとする力が作用するようになるが、この力は、外側部位56の一端部561を外側部位56の他端部562に向けて移動させる力ではなく、一端部561を他端部562から遠ざけようとする力となる。さらに説明すると、本実施形態では、内側部位53が引っ張れる方向(ユーザによる操作方向)とは反対方向に向かって延びるように外側部位56が設けられている。このため外側部位56についてはパネル400から剥がれにくくなっている。さらに本実施形態では、外側部位56とパネル400との接着面積の方が、接続部位57とパネル400との接着面積よりも大きくなっている。
【0040】
このため本実施形態では、シール部材500の一部(接続部位57)がパネル400から剥がれようとするももの、全体としては、シール部材500がパネル400から剥がれにくい状態となる。そしてこの場合、シール部材500が飲料缶100から離脱しにくくなり、シール部材500がごみとなって散乱することが抑制される。なお本実施形態では、外側部位56が、図2(A)に示したように、第1スリット51の上方および第2スリット52の下方の2箇所に設けられた構成となっているが、2つ設けられた外側部位56の一方は省略することもできる。なお当然ながら外側部位56が2つ設けられていた方が、シール部材500は剥がれにくくなる。
【0041】
また、本実施形態では、図1(A)に示すように、外側部位56がパネル400の一方の端部(図中左端部)から他方の縁部(図中右端部)にかけて設けられているが、外側部位56が、例えば、パネル400の上記他方の端部(図中右端部)からパネル400の中央部にかけて設けられた構成とすることもできる。付言すると外側部位56の長さを、図1(A)で示した長さよりも短くすることができる。
【0042】
なお上記では説明を省略したが、容器本体200および缶蓋300が例えばアルミニウムにより形成されている場合、シール部材500の一部にもアルミニウムを使用することが好ましくなる。付言すると、容器本体200および缶蓋300に用いられている材料と同じ材料を、シール部材500にも用いることが好ましくなる。この場合、容器本体200および缶蓋300と、シール部材500とを分離することなく、飲料缶100を廃棄することができるようになる。付言すると、再利用のための分別を行うことなく飲料缶100を廃棄することができるようになる。
【0043】
また上記では、突出部54がユーザにより把持されることで内側部位53が缶蓋300から剥がされる場合を説明したが、図6(飲料缶の他の構成例を示した図)の(A)、(B)に示すように、内側部位53の上方にリング片59を設けることもできる。なお、図6の(C)はシール部材500の展開図である。リング片59は図中左端部が内側部位53の図中左端部に接続されている。またこのリング片59には、ユーザの指が挿入される貫通穴591が形成されている。さらにリング片59の図中右端部には、リング片59の外周縁から突出する突出部592が形成されている。
【0044】
この実施形態では、突出部592がユーザより把持されこの突出部592が上方へ持ち上げられる。これにより、同図(B)の破線で示すように、リング片59が内側部位53から剥離される。その後、リング片59に形成された貫通穴591にユーザの指が挿入されるとともに、リング片59が図中右方向に引っ張られる。これにより、内側部位53がパネル400から剥離される。
【0045】
本図で説明した構成の場合、図1等で示した構成に比べ、ユーザからの操作力が内側部位53に対してより効率的に伝わるようになる。そしてこの場合、図1等で示した構成に比べ、内側部位53とパネル400との接着強度を高めることが可能となる。付言すると、内側部位53とパネル400との接着強度を高めたとしても、内側部位53をパネル400から剥がすことが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
53…内側部位、56…外側部位、100…飲料缶、200…容器本体、300…缶蓋、310…開口部、400…パネル、500…シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8