(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部への光の照射方向と交差する方向に光を導光するシート状の導光部と、光源からの光を取り入れ導光部へ導く光案内部と、導光された光を放射して照光対象を照らす照射部とを備える導光シートであって、
光案内部が、透明樹脂であり、光源からの光を取り入れる受光面を、光が導光部内を進む光軸からずれた位置に有するとともに、受光面から取り込んだ光を導光部側へ反射する第1反射面と、第1反射面で反射した光を光案内部内に再反射する第2反射面を有し、導光部の表面に一体化されている導光シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、こうした光案内部を用いても、上記反射面で反射した光のうち、導光シートのシート面に対して急な角度で入射する光は導光シートの上面から漏出してしまい、光源が照射する光を効率よく十分にキートップの照光に利用することができなかった。
【0006】
即ち本発明は、光源からの光を効率よく導光シートに取り込んで導光することを課題としてなされたものであり、導光シート内を進む光の光軸と光源から発せられる光の光軸とが一致せず、ずれた位置にある場合でも、光源からの光を効率良く取り入れて、導光シート内を導光し、キートップや外装パネルなどの外装部品を照光できる導光シートを提供することを目的とする。また、この導光シートと一体化した照光式キーシートを含む加飾成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。
即ち、外部への光の照射方向と交差する方向に光を導光するシート状の導光部と、光源からの光を取り入れ導光部へ導く光案内部と、導光された光を放射して照光対象を照らす照射部とを備える導光シートであって、光案内部が、光源からの光を取り入れる受光面を、光が導光部内を進む光軸からずれた位置に有するとともに、受光面から取り込んだ光を導光部側へ反射する第1反射面と、第1反射面で反射した光を光案内部内に再反射する第2反射面を有する導光シートである。
【0008】
外部への光の照射方向と交差する方向に光を導光するシート状の導光部と、光源からの光を取り入れ導光部へ導く光案内部と、導光された光を放射して照光対象を照らす照射部とを備える導光シートについて、光案内部が、光源からの光を取り入れる受光面を、光が導光部内を進む光軸からずれた位置に有するため、光源の高さと導光シートの高さが異なっても導光シート内に光を取り入れることができる。
【0009】
そして、受光面から取り込んだ光を導光部側へ反射する第1反射面を有するため、導光部内を導光する光の光軸と光源から照射される光の光軸とが一致しなくても、光源からの光を導光部側へ向けることができる。
さらに、第1反射面で反射した光を光案内部内に再反射する第2反射面を有するため、第1反射面で反射され導光部に対しては透過するような角度で進行する光も導光部のシート面に沿うような方向に再反射することができる。そのため、光源からの光を有効に導光部に導くことができる。また、導光部への光の入射も導光部のシート面に沿った方向に近づけ入射させることができ、導光部内を効果的に導光させることができる。
【0010】
一般に導光シートは、光源としてのサイドビュータイプのLEDとともに回路基板に平行に配置して用いられる。そのため、光源からの光を効率よく取り入れるためには、回路基板上に密接して配置することが好ましい。しかし、電子機器の外装部品は回路基板から離間して配置されることもあり、外装部品と導光シートが離れることで、光のロスが生じていた。一方、導光シートを回路基板から離間して設ける場合には、第1反射面を設けただけでは、回路基板から離間して且つ回路基板に平行な方向に光の光軸を合わせて入射させることが困難である。ところが、第2反射面を有しているため、第1反射面で反射した回路基板から離間する上面側に向かう光を導光部のシート面に沿う方向に反射することができるので、サイドビュータイプのLEDを好適に利用することができる。
【0011】
また、第2反射面の前記光軸に対する傾斜角R2が第1反射面の前記光軸に対する傾斜角R1に対して、次式(1)の範囲内にあるものとすることができる
【0012】
【数1】
【0013】
上記式(1)で第2反射面の傾斜角R2を第1反射面の傾斜角R1に基づいて決定しているため、第1反射面と第2反射面とが協働して導光部へ光を導くことができる。
そして、第2反射面の傾斜角R2の上限を第1反射面の傾斜角R1と同等以下としたため、傾斜面が占める部分の高さを低くでき、光案内部全体の厚みを薄くすることができる。
また、第2反射面の傾斜角R2の下限として、第1反射面の傾斜角R1の半分の角度としたため、効率的に光案内部内で導光し、導光部へ光を導くことができる。
【0014】
導光部については平板状の樹脂フィルムで形成することができる。樹脂フィルムを用いることによって、この樹脂フィルムに液状樹脂を硬化、一体化することが容易で、簡単に光案内部を形成することができる。
また、平面視における第1反射面の投影領域内に第2反射面の少なくとも一部を備える導光シートとすることができる。
平面視における第1反射面の投影領域内に第2反射面の少なくとも一部を備えるため、光案内部から導光部への光路を短くでき効率的に導光部へ光を入射させることができる。
【0015】
第2反射面を、第1反射面よりも照射部側に設けることができる。第2反射面を、平面視で第1反射面と同じ位置に配置するのではなく、照射部側にずらして設けることで、第1反射面の傾斜角や第1反射面を有する部分の高さなどの種々の変化に応じて、光を効率的に受けることができる第2反射面とすることができる。すなわち、第1反射面で反射した光を効果的に第2反射面に入射させることができるため、導光部へ効率よく光を導くことができる。
なお、第2反射面を第1反射面よりも照射部側に設ける態様としては、平面視における第1反射面の投影領域内に第2反射面の少なくとも一部を備える場合と、平面視における第1反射面の投影領域内に第2反射面が無い場合の両方を含むことができる。
【0016】
光案内部を導光部の一方面側のみに設けることができる。光案内部を導光部の一方面側のみに設けることで、導光シート全体の厚さを薄くすることができる。また、他方面側を平坦にできるので、他方面側の利用の自由度が拡大する。
また、導光部の屈折率と光案内部の屈折率との差の絶対値Dが次式(2)の範囲内にある導光シートとすることができる。
【0017】
【数2】
【0018】
光案内部と導光部との屈折率差を小さくすることで、両者の境界面での反射を少なくして、導光部に入射できない光を減少させ、光案内部から導光部へ効率よく光を導くことができる。
【0019】
導光部に貫通孔または切欠きを設け、この貫通孔または切欠きの開口端に光案内部を固着して、光案内部からの光を導光部の開口端に入射可能とすることができる。導光部に貫通孔または切欠きを設け、この貫通孔または切欠きの開口端に光案内部を固着して、導光部の開口端に光を入射可能としたため、導光部のシート形状に沿った方向に光を入射でき、効率的に導光部内で導光させることができる。
また、第2反射面を前記貫通孔または切欠きの位置に配置することできるため、第2反射面を厚み方向で導光部と重なる位置に設けることができる。よって第2反射面を導光シートの表面に設けた構成と比較して、導光シートを薄くすることができる。
【0020】
第1反射面を導光部の一方面に設け、第2反射部を導光部の他方面に設けることができる。第1反射面を導光部の一方面に設け、第2反射部を導光部の他方面に設けることで、導光部に貫通孔や切欠きを設けずに効率的に受光面から入射した光を導光部に伝えることができる。
【0021】
光案内部を導光部を中心にして光源側の一方面に設ける第1案内部と、光が照射される側の他方面に設ける第2案内部とからなるものとし、第2案内部の屈折率を導光部の屈折率よりも0.06以上低くすることができる。
光案内部を導光部を中心にして光源側の一方面に設ける第1案内部と、光が照射される側の他方面に設ける第2案内部とからなるものとしたため、第1反射面を構成する部位と第2反射面を構成する部位とを別材料で形成することができる。そのため、それぞれの反射面の傾斜角に加えて屈折率差を利用して好適に導光部へ光を導くことができる。
【0022】
上記導光シートにキートップを備えることで照光式キーシートとすることができる。
この照光式キーシートは上記導光シートを含むため、光源からの光軸の高さと一致させずに配置する場合であっても内部に効率的に光を導入し且つ導光部を導光して高輝度での照光が可能となる。
また、こうした導光シートや照光式キーシートに加飾層を備えた加飾成形体とすることができる。この加飾成形体は上記導光シートを含むため、高輝度の加飾成形体が得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の導光シートやこれを用いた照光式キーシート、加飾成形体によれば、導光シートのシート面(導光部)内を導光する光の光軸と光源から発せられる光の光軸との間にずれがあっても、効果的に光を取り込み且つ導光させることができ、照光輝度を高くすることができる。また、より遠方に導光することが可能で、導光シート内で輝度のばらつきが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明について図面を参照しつつ以下に示す実施形態に基づいてさらに詳しく説明する。
各実施形態で共通する構成については同一の符号を付して重複説明を省略し、また、材質、作用、効果、製造方法などの共通事項についての重複説明は省略する。
【0026】
第1実施形態〔図1,図2〕:
第1実施形態として説明する導光シート11を
図1,
図2に示す。
図1は導光シート11の平面図であり、
図2は導光シート11のSA−SA線断面図であり、回路基板Pに載置した状態で示す。
この導光シート11は、
図2において、光の照射方向である図面上方向と交差する図面横方向に光を導光するシート状の導光部12と、LEDなどの光源Lからの光を取り入れ導光部12へ導く光案内部13と、導光された光を放射して照光対象を照らす照射部15とを備えている。
なお、本明細書、特許請求の範囲等の記載において、位置関係を示す場合には便宜上、導光シート11に対して光源Lを有する回路基板P側を“下”とし、外部に光が照射される側を“上”として説明する。
【0027】
導光部12は、樹脂フィルムや透明樹脂からなりシート状に形成された部位であり、シート内をその面方向に光を伝える機能を有し、導光部12の少なくとも一方の表面に光を反射させる照射部15を有している。
また、本実施形態での導光部12には、後述する光案内部13と連結する箇所に、四角形の開口をもたらす貫通孔12cが設けられており、照射部15側の開口端12eを通じて光案内部13からの光が取り込まれるようになっている。
【0028】
導光部12の表面は、平坦で透明な平滑面としている。こうした平滑面はシボ加工などが何ら施されておらず見た目には透明に見える。平滑面ではあれば、導光部12の表面で光を全反射させることができ、光源Lから離れた位置まで光を導くことができる。
導光部12の厚みは、30μm〜500μmが好ましい。30μm未満では光路が狭くなって導光部12の内部を伝わる光量が少なくなり、照光輝度が低くなる。一方、500μmを超えると、厚みを厚くしたほどには光源Lから取り込む光量を増やすことができず不経済である。また厚みが増して大型化するため小型電子機器へは用い難い。さらに、キーシートとして利用する場合には、導光部12の剛性が増すことで押圧荷重が高くなり操作性が悪くなる。
【0029】
横方向に光を発する光源Lの上に導光部12が位置しても、この導光部12に光を取り込めるように光案内部13を設けている。本実施形態での光案内部13は、導光部12の下面12bから貫通孔12cを塞ぐように貫通孔12cの孔縁12dに固着するとともに、導光部12の照射部15側の端部(開口端12e)にも固着している。
この光案内部13は、光源Lからの光を取り入れる受光面13aと、受光面13aから取り込んだ光を導光部12側へ反射する第1反射面13bと、第1反射面13bで反射した光を光案内部13内に再反射する第2反射面13cを有している。
受光面13aが導光部12内を進む光の光軸から下方にずれて位置しているだけでなく、第1反射面13bや第2反射面13cもまた導光部12の下面12bに位置している。
【0030】
第1反射面13bは、平面視で貫通孔12cに重なる投影領域にあり、受光面13aから照射部15に向かって上方に傾斜した傾斜面を形成している。但し、第1反射面13bは、貫通孔12cと完全に重なる必要はなく、第2反射面13cの位置との関係を考慮して、貫通孔12cと一部が重なるように形成することができる。第1反射面13bでは、こうした傾斜面として形成されるため、受光面13aから入射した光を導光部12側であり回路基板Pから離間する上側に反射することができる。
【0031】
第1反射面13bと第2反射面13cは、平面視における投影領域内で完全に重なる位置に設けることもできるが、第1反射面13bに対して第2反射面13cを照射部15側にずらして設けることもできる。第1反射面13bは、受光面13aから入射した光を照射部15側に向けて反射するため、第2反射面13cの位置を照射部側にずらすことで、第1反射面13bが反射した光を第2反射面で効率よく受けることができるからである。
【0032】
第2反射面13cは、第1反射面13bの上側にあって、
図2では第1反射面13bに対して略平行面となるような傾斜面に形成している。第2反射面13cが第1反射面13bに対し平行であれば、光源Lから水平方向に照射された光を、導光部12の開口端12eを通じて導光部12の面内方向に導くことができる。一方、完全に平行でなくても、第2反射面13cを設けない場合と比較して、導光部12への光の入射角度を導光部12内の導光方向に近づけることができる。
【0033】
本実施形態では、第1反射面13bと第2反射面13cとを略平行とする以外にも、次に説明する関係におくことができる。まず
図3を参照して、第1反射面13bの傾斜の程度を、導光部12内を面方向に進む光の光軸Aに対する傾斜角R1で規定する。同様に、第2反射面13cの傾斜の程度を、導光部12内を面方向に進む光の光軸Aに対する傾斜角R2で規定する。この傾斜角R1と傾斜角R2との関係を式で表すと、次式(1)となる。
【0035】
式(1)からわかるように、第2反射面13cの傾斜角R2を第1反射面13bの傾斜角R1に基づいて決定している。そして、第2反射面13cの傾斜角R2の上限を第1反射面13bの傾斜角R1と同等以下とした。第2反射面13cの傾斜角の方を小さくすれば第1反射面13bよりも傾斜面を施す部分の高さを低くすることができるからである。傾斜面が占める部分の高さを低くすれば、光案内部13の厚みを薄くすることができる。反対に第2反射面13cの傾斜角R2が第1反射面13bの傾斜角R1よりも大きいと、第1反射面13bが反射した光を効率よく導光部12に向けて反射することができない。また、導光部12の下方に位置する第1反射面13bの面積が増加することになり、第2反射面13cを経由せずに第1反射面13bから導光部12の下面12bに直接的に入射する光が生じるおそれがある。
一方、傾斜角R2の下限としては、第1反射面13bの傾斜角R1の半分の角度とすることが好ましい。傾斜角R1の半分の角度より傾斜角R2が小さいと、第2反射面13cが反射した光の光軸を導光部12のシート面に沿った方向に充分に近づけることができず、実質的に第2反射面13cを設けない場合と同様となってしまうため、導光部12を透過して上面12aから漏れる光が多くなってしまい導光効率が悪くなるからである。
【0036】
第1反射面13bの傾斜角R1は、2°〜45°とすることができ、10°〜30°とすることが好ましい。2°未満では、比較的厚みの薄い光源Lを用いても、第1反射面13bが不必要に広面積が必要となってしまい無駄である。一方、45°を超えると材質によっては光が全反射する角度を越えてしまい、反射の効率が極端に低下してしまうおそれがある。また、10°以上であれば、第1反射面13bの面積を小さくすることができ場所をとらないことから好ましく。30°以下であれば、光の照射方向に広がりを持つ光源Lを利用しても、光の多くを全反射できるため、第1反射面13bでの反射効率を高めることができる点で好ましい。
第2反射面13cの傾斜角R2については、上述の式(1)に基づいて第1反射面13bとの関係で決定することが好ましい。
なお、第1反射面13bおよび第2反射面13cについて、
図2では平面の反射面としたが、反射機能を損なわない範囲で曲面としてもよい。
【0037】
こうした第1反射面13bと第2反射面13cを有すれば、受光面13aから入射した光を第1反射面13bで回路基板Pから離間する上側に反射し、さらに第2反射面13cで第1反射面13bが反射した光を導光部12の開口端12eに向けて反射することができる。
【0038】
照射部15は、高屈折率の充填材、光反射率の高い充填材などが添加された樹脂塗膜でなる拡散層、または導光部12の表面に設けられた凹凸形状でなる反射面で構成される。
図1や
図2では、ドット状に分散配置された拡散層としている。
照射部15を凹凸形状でなる反射面とする場合には、例えばプリズム形状や半球状の凹部または凸部として形成したり、ランダムな凹凸形状を形成することができる。プリズム形状や半球状の規則的な凹凸形状とする場合には、光の反射方向に指向性を持たせることができる。例えば照射部15が表示要素として直接視認される構成において、導光部12をシート面に対して垂直方向から見た場合に明るく見え、斜めからでは暗く見えるようにすることで、表示要素の視野角を制限することができる。一方、ランダムな凹凸形状としたり前述の拡散層を形成した場合には、光を乱反射させることができるため、視野角を広くすることができる。
【0039】
導光部12に用いる透明樹脂の材質には、透明性の高い熱可塑性樹脂や硬化型の樹脂を挙げることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などがある。なかでも可視光領域に波長の吸収領域がなく高透明性のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などが好ましい。
光案内部12は、透明性の高い樹脂から形成される。このような樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の中でも、導光部12との密着性の観点からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エステル樹脂などが好ましい。
【0040】
光案内部13と導光部12とを構成する樹脂は、屈折率の差が絶対値で0.06未満であることが好ましい。屈折率差を絶対値で0.06未満とすることで、光案内部13と導光部12との境界で光の反射を少なくして、光案内部13から導光部12へ効率よく光を入射することができる。
【0041】
照射部15としての拡散層に用いる樹脂は、導光部12に印刷可能な材質が好ましく、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩ビ樹脂、エステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。そして、高屈折率の充填材、光反射率の高い充填材には、例えば、酸化チタンが挙げられる。こうした拡散層の厚みは5μm〜30μmとすることができる。
【0042】
導光シート11を製造するには、先ず、導光部12となる樹脂フィルムの所定箇所に穴を開けて貫通孔12cを設けるとともに、照射部15を印刷形成する。
次に、光案内部13を形成する金型に上記樹脂フィルムをセットし、金型内に液状樹脂を注入し、硬化させて、樹脂フィルムと一体化した光案内部13を得る。こうして導光シート11を得る。
【0043】
本実施形態の導光シート11によれば、光案内部13に設けた第1反射面13bが受光面13aから入射した光を回路基板Pから離間する上側に反射するとともに、第2反射面13cがこの光を導光部12の面内方向に反射するため、光源Pが照射した光の光軸Bを導光部12内を導光する光軸Aに効率的に変えることができ、照射部51まで光を導くことができる。したがって、光源が照射する光を、効率よく外装部品の照光に利用できる。
また、光案内部13を導光部12の下側に設けたため、後述する第2実施形態の導光シート21と比較して、その厚みを薄くすることができる。
【0044】
導光シート11について種々の変更を行うことができ以下にいくつかの例を示す。
導光部12の端面から光を取り入れるために、貫通孔12cに変えて切欠きを設けることができる。切欠きは、導光部12となる樹脂フィルムの端からの一部分を切り取った構造である。
なお、貫通孔12cと切欠きとを比較すると、切欠きに比べて貫通孔12cとした場合には、貫通孔12cの孔縁12d全体に光案内部13を固着することができるため、導光部12を形成する樹脂フィルムと光案内部13との固着力を高めることができ、また、樹脂フィルムの強度も高く保つことができる。さらに、樹脂フィルムの中央部分にも貫通孔12cを設けることができ、切欠きに比べて任意の場所に設けやすい。
【0045】
図2では、受光面13aを光案内部13の外側面に形成しているが、光案内部13に光源Lを覆う凹部を形成し、その凹部内に光源Lを入り込ませるようにし、この光源Lとの対向面を受光面13aとすれば、受光面13aを光案内部13の内側面に設けることもできる。
【0046】
図4で示す導光シート11aのように、導光部12の貫通孔12cの孔縁12dから導光部12の下面12bに至る部分に光案内部13と同材質で光案内部13と一体に設けた延長部16を設けることができる。この延長部16は、導光部12に接する透明樹脂層として機能し、導光部12と延長部16の屈折率差の絶対値が0.06未満程度に小さいと実質的に導光部12が厚くなって導光路を広げることになる
また、導光シート11aの製造時に、導光部12の下面12bを覆う延長部16を光案内部13と一体に形成すれば、光案内部13の縁から導光部12の下面12bの表面に樹脂が滲んでしまうのを防止して、且つ導光シート11の下面12bを確実に平滑面とすることができる。
【0047】
第2実施形態〔図5〕:
本実施形態の導光シート21を
図5の拡大断面図で示す。
導光シート21は、光源Lからの光を取り入れて導光部22へ光を導く光案内部を導光部22の表裏両面に分割して設けている。また、導光部22には貫通孔や切欠きを設けず、光案内部から導光部22へは、導光部22の上面22aまたは下面22bを通じて光が入り込むようにしている。そして、照射部15は、導光部22の上面22aに形成している。こうした構成は第1実施形態と異なる。
【0048】
本実施形態の光案内部23,24は、導光部22の下面22bに設ける第1光案内部23と、導光部22の上面22aに設ける第2光案内部24に分割されている。
第1光案内部23は、光源Lからの光を取り入れる受光面23aと、この受光面23aから取り込んだ光を導光部22側へ反射する第1反射面23bを備え、導光部22の下面22bに固着している。第1反射面23bは、受光面13a側から照射部15に向かって上方に傾斜した傾斜面を形成している。
【0049】
また、第2光案内部24は、第1反射面23bで反射し、導光部22を透過して第2光案内部24に入射した光を光案内部24内に再反射して導光部22に入射させる第2反射面24cを備え、導光部22の上面22aに固着している。そして第2反射面24cも、受光面13a側から照射部15側に向かって上方に傾斜した傾斜面を形成しており、
図5で示す例は第1実施形態と同様に、第1反射面23bと第2反射面24cを略平行に構成している。第2案内部24の第2反射面24cの端から照射部15側には、導光部22の上面22aを覆う延長部28となっており、第2反射面24cから連続して一体に形成されている。
【0050】
第1光案内部23と第2光案内部24の位置関係は、平面視における第1反射面23bの投影領域内に第2反射面24cの一部が重なる関係にある。但し、第1反射面23bと第2反射面24cが平面視における投影領域内で全体が重なるように配置することもできる。
こうした第1光案内部23と第2光案内部24とを有するため、第1光案内部23に備わる受光面23aから入射した光は第1反射面23bで上側に反射し、導光部22の下面22bに入射する。そして、導光部22の上面22aから第2光案内部23に入射し、第2反射部24cで再び導光部22側に反射した後、導光部22内を導光される。
【0051】
各部位の屈折率は、第1光案内部23と導光部22の屈折率の差が絶対値で0.06未満であることが好ましい。また、第2光案内部24の屈折率は導光部22の屈折率より0.06以上低くすることが好ましい。
第1光案内部23と導光部22の屈折率差を絶対値で0.06未満とすることで、第1光案内部23と導光部22の境界面、特に導光部22の下面22bでの反射を少なくして、第1光案内部23から導光部22の下面22bに効率よく光を入射することができる。
また、第2光案内部24の屈折率を、導光部22の屈折率より0.06以上低くすることで、導光部22から第2光案内部に向かう光の一部は、その両者の境界面で反射して導光部22内に戻され、残りの光は、第2光案内部24に入射する際に、その光の光軸を導光部22内を導光する光軸に近づけるように屈折させることができる。
【0052】
また、第2光案内部24の延長部28の屈折率が導光部22の屈折率よりも0.06以上低いと、導光部22から延長部28へ入射する光を少なくすることができ、延長部28に暗色の印刷層を設けたり、表示層を設けてもこれらの層へ光が入るのを防ぎ、輝度の低下を少なくすることができる。
【0053】
本実施形態の導光シート21は、光案内部を第1光案内部23と第2光案内部24とに分割形成しているため、第1反射面23bと第2反射面24cの相対位置を容易に変化させることができる。また、両者を異なる材質で形成することができるため、導光シートの特性を変化させたり、付加的な機能を与えることができる。
導光部22に貫通孔や切欠きを形成する必要がないため、貫通孔を形成するときに発生するバリ等の問題が生じ無い。また、貫通孔や切欠きの断面で光が反射してしまうことがないため、光漏れや照光むらを低減することができる。
【0054】
図6で示す導光シート21aのように、導光シート21についても、第1光案内部23における第1反射面23bの裾から導光部22の下面22bを覆う延長部26を設けることができる。
延長部26を設けることで導光部22の下面を確実に平滑面とすることができる。そして、第1光案内部23を導光部22よりも屈折率の低い樹脂で形成すれば、この延長部26の表面に暗色の印刷層を設けたり、表示層を設けても輝度の低下を少なくすることができる。
【0055】
第3実施形態〔図7,図8〕:
本実施形態は、第1実施形態で示した導光シート11にさらに種々の機能層を付加した導光シート31を利用して照光式キーシート30を形成した例である。
この照光式キーシート30は、下面に押し子38aを備える導光シート31の上側に、キートップ39bを備えるキーベース39を有している。
【0056】
導光シート31は、第1実施形態の導光シート11において、照射部15を設けた導光部12の下面12bに、導光部12よりも屈折率が低い透明樹脂層36、遮光層37、裏面被覆層38をこの順に積層した構成をしており、押し子38aは裏面被覆層38と一体に設けてある。
キーベース39は、ベースシート39aにキートップ39bをモールド成形したモールド樹脂層39cが積層してなる。そして、導光シート31の外周に設けた接着層39dを介して、キーベース39が導光シート31の上に固着されている。
ベースシート39aの表面または裏面に文字や記号、図形等を表示する表示層を設けることもできる。
【0057】
導光シート31では遮光層37を設けているため、遮光層37よりも下側に位置する回路基板Pに実装された素子や、押し子38aで散乱する光が、キートップ39b側へ漏れることを防止することができる。
また、導光部12と遮光層37の間には、導光部12よりも低屈折率の透明樹脂層36が積層しているため、導光部22内を伝わる光を、導光部12と透明樹脂層36の境界面で全反射させることができる。そのため、遮光層22に光が吸収されて輝度が低下することを抑制することができる。
【0058】
そして、照光式キーシート30では、導光シート31とキートップ39bとを一体としているため、照光式キーシート30内を導光可能な薄くて照光能の高い照光式キーシートとすることができる。
【0059】
この照光式キーシート30の構成も種々の変更が可能である。
例えば、
図9で示す照光式キーシート30aのように、光案内部13と裏面被覆層38とは、同材質で一体に設けることができる。
こうした構成は、導光部12に、照射部15、透明樹脂層36、遮光層37の順に印刷形成し、その後に液状シリコーンゴムを用いて、光案内部13と裏面被覆層38とを同時に形成することができる。すなわち、1回の工程で、押し子38aと同時に光案内部13を形成することができる。従って、新たに追加する工程が無く安価に製造することができる。
【0060】
図10で示す照光式キーシート30bのように、第1光案内部23と第2光案内部24とを有する第2実施形態で示した導光シート21に種々の機能層を付加した導光シート31aを利用した構成とすることができる。
導光シート31aは、導光部22の上面22aに設けた第2光案内部24と一体の延長部28の表面に、この延長部28よりさらに低屈折率の透明樹脂層28aを形成し、その表面にキートップ39bを含むモールド樹脂層39cを形成している。また、導光部22の下面22bには、透明樹脂層36、遮光層37、それに第2光案内部24と一体に構成された裏面被覆層38が積層している。
この変形例によれば、導光部22の上面22aに空気層を介さずに直接キートップ39bを設けることができるため、照射部15で照射された光が、キーベース39を構成する部分と空気層との境界面で反射されることがない。そのため、照射部15で上面側に反射された光を、効率よくキーシート表面から照射することができるため、照光輝度を向上させることができる。
【0061】
図11で示す照光式キーシート30cのように、裏面被覆層38には押し子38aとは別に、キートップ39bを囲む格子状部分を厚肉とした補強部39eを設けることができる。
補強部39eを設ける場合には、裏面被覆層38を構成する材質にJIS K6253に規定されたタイプDデュロメータ硬さが80以上の比較的剛性のある樹脂材料を用いることが好ましく、紫外線硬化型アクリル樹脂を挙げることができる。
補強部39eを設けることで、特にキートップ39bを仕切る仕切り桟のない筐体に組み付けるような場合に、照光式キーシートの撓みを抑制することができる。また、第2光案内部24や押し子38aと同時に補強部39eを成形することができるため、安価に製造することができる。さらに、補強部39eは遮光層37よりも下面側に形成されるため、補強部39eへ入射した光の反射による光漏れも防ぐことができる。
【0062】
第4実施形態〔図12,図13〕:
第4実施形態として、導光シートを一体としたパネル(電子機器の筐体)40を示す。
パネル40は、第1光案内部23、第2光案内部24、導光部22、照射部15を備えた第2実施形態の導光シート21の下面側に、導光部22よりも屈折率が低い透明樹脂層36、遮光層37、裏面被覆層48がこの順に積層した導光シート41となっている。本実施形態の裏面被覆層38では、回路基板Pとの間隙に対応したスペーサー突起48bが設けられている。また、導光シート41の第2光案内部24の上面には透明樹脂層28aが設けられている。
【0063】
一方、パネル部材49は下面に加飾層49aが形成されており、この加飾層49aが透明樹脂層28aの上面に対して透明樹脂層28aよりも屈折率の低い接着層49dで固着されている。
本構成によれば、導光部22の上面に空気層を介さずに直接パネル部材49を設けているので、照射部15で上面側に反射された光が、パネル部材49と空気層との境界面で反射されることがない。そのため、前記反射によるロスを無くして、照光輝度を向上させることができる。
【0064】
スペーサー突起48bの部分は、第1光案内部23とは別材質で形成することもできる。JIS K6253に規定されたタイプAデュロメータ硬さが40以上、タイプDデュロメータ硬さが80以下である材質を用いると、緩衝突起48bとして機能させることができる。緩衝突起48bは、パネル40が衝撃を受けた場合に、回路基板Pに伝わる衝撃を小さくする機能を奏する。柔軟な材質で形成する緩衝突起48bとすれば、パネル40が受ける衝撃を緩衝して、回路基板Pの破損を抑制することができる。
【0065】
なお、タイプAデュロメータ硬さが40以上、タイプDデュロメータ硬さが80以下としたのは、タイプAデュロメータ硬さが40未満であると極めて容易に変形してしまうため、筐体に取付けた際にぐらつきの原因となるおそれがあるためである。一方、タイプDデュロメータ硬さが80を超えると、硬くなりすぎて緩衝効果が低くなるためである。材質には比較的軟質の紫外線硬化型アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーンゴムなどが挙げられる。
なお、緩衝突起48bは前記材質で第1光案内部23と一体に形成することも可能である。
【0066】
上記各実施形態において、文字や記号等を表示する表示層は適宜設けることができ、例えば以下の(1)〜(4)で示すように構成することが可能である。
(1)照射部15を表示要素の形状に形成し、その下面に透明樹脂層、背景層を積層する。ここで、背景層は遮光層としてもよいし、遮光層とは別に設けてもよい。本構成では、照射部15を表示要素の形状とするため、照射部15から上面に反射する光がそのまま視認されることになる。そのため照射部15が別に設けた表示要素を照光させる構成と比較して、光のロスがないことから、高輝度な照光が可能となる。
(2)導光部12,22の上面12a,22a側に光を下方に反射する照射部15を形成し、導光部12,22の下面12b、22bに透明樹脂層、表示層を形成する。本構成では、照射部15が下方に向かって光を反射するため、表示層全体を照光することができる。
(3)導光部12または第2光案内部24の上面に透明樹脂層を形成し、その表面に表示層を形成する。
(4)第2光案内部24を、導光部22より低屈折率の樹脂で形成し、その表面に表示層を形成する。本構成では、第2光案内部24を透明樹脂層として機能させることができるので、別途透明樹脂層を設ける必要がない。そのため、透明樹脂層にかかる費用を削減することができる。
【0067】
さらに、上記(1)〜(4)を複合した構成とすることもできる。例えば表示層を文字と背景などに分け、文字を導光シートの上面側、背景を下面側に設けるようにすることもできる。
【0068】
なお、上記実施形態での言及はその一例であり、こうした形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨に反しない任意の変更形態を含むものである。例えば、上記実施形態で示した一部の構成を含まなかったり、別の公知の構成を含んだり、一の実施形態のある構成要素を他の実施形態の別の構成要素に代替したりする場合も本願発明の範囲に含まれる。