特許第5912497号(P5912497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912497
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】取っ手
(51)【国際特許分類】
   A47B 95/02 20060101AFI20160414BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20160414BHJP
   A47K 10/10 20060101ALI20160414BHJP
   A47K 10/04 20060101ALI20160414BHJP
   E03C 1/18 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A47B95/02 504E
   A47K1/00 S
   A47K10/10 Z
   A47K10/04 N
   E03C1/18
   A47B95/02 501C
   A47B95/02 503C
   A47B95/02 504A
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-276346(P2011-276346)
(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公開番号】特開2013-126452(P2013-126452A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 新一朗
(72)【発明者】
【氏名】神野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 義史
【審査官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−289967(JP,A)
【文献】 実開昭57−025994(JP,U)
【文献】 特開2008−000299(JP,A)
【文献】 実開平06−044446(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 95/02
A47K 1/00
A47K 10/04
A47K 10/10
E03C 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端側に取り付け部位を有し、これらの取り付け部位によって引出し又は扉に固定される取っ手であって、
前記取り付け部位のうちの一方は、他方よりも横幅が広く形成されるとともに、幅広に形成された側の取り付け部位は手掛け用の段部が形成された持ち手部とされる一方、
前記持ち手部と一体化されたタオル掛け部は、前記持ち手部よりも横幅が広く形成され、かつ前記タオル掛け部には、前記引き出し又は扉との間にタオルを通すための開口が形成されていることを特徴とする取っ手。
【請求項2】
ヒンジを有し前記ヒンジと反対側が開放側となる前記扉に対し、前記持ち手部が前記扉の開放側に配置されるようにして取り付けがなされることを特徴とする請求項1に記載の取っ手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出し又は扉に取り付けられる取っ手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、洗面カウンターにタオルハンガーが設けられたものが存在する。
また、タオル掛け兼用家具用取っ手として、特許文献2に開示されているような構造のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−151973号公報
【特許文献2】意匠登録第1367012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているタオルハンガーは、あくまでタオルを掛けるためのものであり、引出しや扉に取り付けられるものではなく、また、仮に引出しや扉に取り付けたとしても、手が引っ掛かりにくく、取っ手としては使用困難なものであった。
また、特許文献2に開示されているタオル掛け兼用家具用取っ手の構造では、取っ手として用いた場合の強度に問題があり、また、タオルを掛けた状態では、扉の開閉時等にタオルに手が触れてしまい、取っ手として使いにくいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、十分な強度を有し、タオルに触れずに引出しや扉の開閉ができる取っ手の提供を目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明は、両端側に取り付け部位を有し、これらの取り付け部位によって引出し又は扉に固定される取っ手であって、
前記取り付け部位のうちの一方は、他方よりも横幅が広く形成されるとともに、幅広に形成された側の取り付け部位は手掛け用の段部が形成された持ち手部とされる一方、
前記持ち手部と一体化されたタオル掛け部は、前記持ち手部よりも横幅が広く形成され、かつ前記タオル掛け部には、前記引き出し又は扉との間にタオルを通すための開口が形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の取っ手では、横幅の狭い持ち手部と、タオルを掛止できる横幅の広いタオル掛け部が一体化されて、タオル掛け部の開口に上方側からタオルを通して良好にタオルを掛止することができる。
また、持ち手部は引出し又は扉を開閉する際の取っ手としての強度を有し、持ち手部には手掛け用の段部が形成されているため、引出しや扉を開閉する際の操作性が向上するものとなり、タオル掛け部に掛止されているタオルに触れることなく良好に持ち手部の段部に手を掛けて引出し又は扉の開閉を行うことができる。
【0007】
また、本発明の取っ手は、ヒンジを有し前記ヒンジと反対側が開放側となる前記扉に対し、前記持ち手部が前記扉の開放側に配置されるようにして取り付けがなされるようにしてもよい。
このような構成によれば、持ち手部が扉の開放側に配置されているため、扉を開閉する際に力を加えやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】取っ手の拡大斜視構成図である。
図2】取っ手の拡大平面構成図である。
図3】取っ手の拡大正面構成図である。
図4】取っ手の拡大側面構成図である。
図5】キャビネットの観音扉に取っ手を取り付けた状態の斜視構成図である。
図6図5の平面構成図である。
図7図5の正面構成図である。
図8図5の側面構成図である。
図9】タオルを掛止した状態の使用状態の斜視構成図である。
図10】キャビネットの扉に取っ手を取り付けた状態の斜視構成図である。
図11図10の平面構成図である。
図12図10の正面構成図である。
図13図10の側面構成図である。
図14】タオルを掛止した使用状態のキャビネットの斜視構成図である。
図15】キャビネットの引出しに取っ手を取り付けた状態の斜視構成図である。
図16図15の平面構成図である。
図17図15の正面構成図である。
図18図15の側面構成図である。
図19】タオルを掛止した使用状態のキャビネットの斜視構成図である。
図20第1参考例の取っ手の拡大斜視構成図である。
図21図20の取っ手をキャビネットの観音扉に取り付けた状態の斜視構成図である。
図22】タオルを取っ手に掛止した使用状態のキャビネットの斜視構成図である。
図23第2参考例の取っ手の拡大斜視構成図である。
図24図23の取っ手をキャビネットの観音扉に取り付けた状態の斜視構成図である。
図25】タオルを掛止した使用状態のキャビネットの斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、第1実施例の取っ手の斜視構成図であり、図2は、取っ手の平面図であり、図3は、取っ手の正面図であり、図4は、取っ手の側面図である。
この取っ手1は、持ち手部2とタオル掛け部3が一体化されたものである。
【0011】
図2に示すように、持ち手部2の横幅寸法aは、例えば横幅の狭い45mm程度に設定されており、また、タオル掛け部3の横幅寸法bは、例えば160mm程度のタオルを掛止できる広い横幅に設定されている。
この取っ手1は、横方向に延びる一体化片4の図示左端側に、後方へ突出して持ち手片5が一体形成され、また、一体化片4の図示右端側に、後方へ突出して取付片6が一体形成されたものである。
【0012】
一体化片4は、図4の側面図に示すように、その前面が僅かに湾曲した前面4aとなっており、裏面は、縦方向中央部が大きく後方側へ湾曲した裏曲面4bとなっている。
また、持ち手片5は、一体化片4の縦方向寸法よりも縦方向寸法の短い薄肉状のものであり、上下面を指で挟むことができるものである。
この持ち手片5の前端と一体化片4の裏曲面4bの交わる部分には、上側の段部7aと下側の段部7bが形成されており、この段部7a,7bは手掛け用に有効に機能することができ、持ち手片5を前方側へ引っ張った時に、段部7a或いは上下の段部7a,7bに指が引っ掛かり、滑ることなく良好に前方側へ力を掛けることができる。
【0013】
持ち手片5の後端側は取付面5aとなっており、この取付面5aが引出し又は扉の前面に当接されて、引出し又は扉側からビス等をこの取付面5aに締め付けて、ビス等で持ち手片5が引出し又は扉に取り付け固定されるものである。
また、右端側の取付片6も一体化片4よりも薄肉状に形成されて、取付片6の後端は取付面6aとなっており、この取付面6aが引出し又は扉の前面に当接されて、ビス等を締め付けて取付面6aが引出し又は扉の前面に固定されるものである。
なお、持ち手片5と取付片6の前後方向の突出長さは同一に設定されており、取っ手1を引出し又は扉に取り付けた状態では、引出し又は扉の前面と一体化片4の裏曲面4b間には開口Kが形成されるものであり、この開口K内に上方側からタオルを通して良好にタオルを一体化片4のタオル掛け部3に掛止できるものである。
【0014】
図5は、前面側に観音開きの左右の扉13,14を有するキャビネット9において、それぞれの扉13,14に取っ手1を取り付けた状態を示すものである。
なお、観音開きの扉13,14は、それぞれ外側のヒンジ13a,14a側を中心として内側が前後方向に開閉されるものであるため、開閉時に力が加わる持ち手部2(持ち手片5)が内側となるようにそれぞれ取っ手1が取り付けられる。
即ち、左側の扉13では、扉13の右端側に持ち手部2(持ち手片5)が配置されるように取っ手1が扉13の上端側に水平に取り付けられる。また、扉14側では、持ち手部2(持ち手片5)が扉14の左端側に配置されるように取っ手1が扉14の上端側に水平に取り付けられる。
なお、観音開き状の扉13,14はキャビネット本体10の前面側に取り付けられており、キャビネット本体10の上面にはボウル部11が設けられており、このボウル部11には水栓12と吐水管12aが設けられている。
【0015】
図6は、図5の平面図であり、図7は、図5の正面図であり、図8は、図5の側面図である。
図9は、取っ手1の開口K内にタオル8を通して、タオル掛け部3にタオル8を掛止した使用状態を示すものであり、このようにタオル8をタオル掛け部3に掛止した状態において、タオル8に手が触れることなく、持ち手部2(持ち手片5)の手掛け用の段部7a,7bに手を掛けて良好に前方側へ引っ張り、扉13或いは扉14を開くことができ、タオルに触れずに扉13,14を開閉でき、操作性が良好なものとなる。
【0016】
次に、図10図14は、開き扉を有するキャビネット9に取っ手1を取り付けた状態を示すものであり、キャビネット9のキャビネット本体10の前面には、ヒンジ14a側を中心として前方側へ開閉可能に扉14が設けられ、扉14の図示左側には上下二段に引出し15,15が設けられている。
この扉14の上部部位に取っ手1が取り付けられ、取っ手1の持ち手部2(持ち手片5)が、ヒンジ14aと反対側の扉14の内側の左端側に配置されて、取っ手1がビス等で取り付け固定される。
【0017】
図14は、タオル掛け部3にタオル8を掛けた使用状態を示すものであり、このタオル8を掛けた状態で、持ち手部2(持ち手片5)に指を載せる等して、段部7a,7bに指を引っ掛けて良好に前方側への力を加えることができ、タオル8に手が触れることなく良好に持ち手部2(持ち手片5)に手を掛けて扉14を開閉操作することができるものである。
【0018】
次に、図15図19は、キャビネット本体10に上引出し16aと下引出し16bが設けられているキャビネット9において、上引出し16aおよび下引出し16bにそれぞれ取っ手1,1を取り付けた状態を示すものである。
この場合、上引出し16aおよび下引出し16bの各前板の、横方向中央部に持ち手部2(持ち手片5)が配置されるように、それぞれ取っ手1,1が取り付けられるものである。
このように、取っ手1の持ち手部2(持ち手片5)の配置位置が、上引出し16a,下引出し16bの横方向中央部となるように、取っ手1,1をそれぞれ取り付けておけば、持ち手部2(持ち手片5)に手を掛けて前方側へ引き出す際に、上引出し16a,下引出し16bをスムーズに前方側へ引き出すことができる。
【0019】
図19は、タオル掛け部3にタオルを掛けた状態の使用状態図である。
引出し16a,16bの前面と一体化片4の裏曲面4b間に形成される開口K内に上方側からタオル8を通して、良好にタオル8をタオル掛け部3に掛止することができ、タオル8を掛止した状態で、タオル8に手が触れることなく持ち手部2(持ち手片5)に手を掛け、引出し16a,16bを引き出し操作することができるものである。
なお、図16は、図15の平面図であり、図17は、図15の正面図であり、図18は、図15の側面図である。
【実施例2】
【0020】
次に、図20において、第1参考例の取っ手21を拡大斜視図で示す。
この取っ手21は、横方向に延びる一体化片24の左端に、後方側へ一体状に延びる持ち手片25aを有し、持ち手片25aの右側に間隔をおいて一体化片24から一体状に後方側へ延びる持ち手片25bが形成されており、また、一体化片24の右端側には後方側へ一体状に延びる取付片26が形成されたものであり、この一体化片24と持ち手片25a,25bと取付片26は同一の高さ寸法に形成されたものである。
持ち手片25aと持ち手片25b間には、上下に貫通する横幅の狭い貫通部27が形成されており、この貫通部27の部分が持ち手部22を構成している。
また、持ち手片25bと取付片26間には、タオルを掛止できる横幅の広い開口Kが上下に貫通形成されており、この開口Kの部分がタオル掛け部23を構成している。
【0021】
図21は、キャビネット本体10の前面に観音開きの扉13,14を備えたキャビネット9において、扉13,14の上端側にそれぞれ取っ手21,21を取り付けた状態を示すものである。
左側の扉13においては、持ち手部22(貫通部27)をヒンジ13aと反対側の内側(右端側)に配置して取っ手21が取り付けられ、また、扉14側においては、ヒンジ14aと反対側の内側(左端側)に持ち手部22(貫通部27)を配置して取っ手21が取り付けられる。
【0022】
取付状態では扉13,14の前面と一体化片24間に開口Kが形成されるため、この開口K内に上方側からタオルを通して、図22のように、タオル掛け部23にタオル8を良好に掛止することができるものである。このタオル8を掛止した状態においても、タオル8に手を触れずに、持ち手部22(貫通部27)に手を掛けて前方側へ引っ張り、扉13,14を良好に開閉操作することができるものである。
なお、貫通部27内に上方側から指を入れることで、持ち手部22の部分の一体化片24を握ることもでき、良好に開閉操作することができるものである。なお、この貫通部27の部分は横幅寸法が短いために、タオルを掛止することはできないものである。
【実施例3】
【0023】
次に、図23では、第2参考例の取っ手21の拡大斜視図を示す。
この取っ手21は、横方向に延びる一体化片24の右端側に後方側へ一体状に延びる取付片26が形成されており、一体化片24の左側部位に、取付片26と平行状に後方側へ延びる持ち手片25bが一体形成されたものであり、持ち手片25bの部分から更に一体化片24は左側へ延びた状態に形成されている。
この持ち手片25bから更に左側へ延びる一体化片24の部分では、上下に貫通する貫通部27が形成され、この貫通部27の部分が持ち手部22を構成するものである。
また、持ち手片25bと取付片26間には上下に貫通する開口Kが形成され、この開口Kはタオルを通すことのできる横幅寸法を有し、タオル掛け部23を構成している。
なお、貫通部27の部分の一体化片24は横幅寸法が短いためにタオルを掛止することはできないものである。
【0024】
図24は、キャビネット本体10の前面に観音開き状の扉13,14を備えたキャビネット9において、扉13,14のそれぞれの上端側に第3実施例の取っ手21,21を取り付けた状態を示すものである。
図24に示すように、左側の扉13では、ヒンジ13aと反対側の内側(右端側)に持ち手部22(貫通部27)を配置して取っ手21が取り付けられ、右側の扉14では、外側のヒンジ14aと反対側の内側(左端側)に持ち手部22(貫通部27)を配置して取っ手21が取り付けられる。
【0025】
取付状態では扉13,14の前面と一体化片24間に開口Kが形成されるため、この開口K内に上方側からタオルを通して、タオル8を図25のようにタオル掛け部23に掛止しておくことができ、この状態でも、貫通部27内に指を入れて、持ち手部22に手を掛けて良好に前方側へ扉13,14を開けることができるものであり、タオル8に手が触れることなく良好に扉13,14を開閉操作することができる。
なお、持ち手片25bと取付片26の後端がそれぞれ扉13,14に当接されて、扉13,14の裏側からビス等をそれぞれ持ち手片25b,取付片26に締め付けて、強固に扉13,14に取っ手21を取り付け固定することができ、取付状態の強度も十分に確保されるものである。
【0026】
なお、前記図20に示す取っ手21或いは図23に示す取っ手21において、持ち手片25bの後端と取付片26の後端間を、一体化片24と平行な片で連結して取っ手21を構成することもでき、このような構成では、扉13,14との当接面積が増大するため、より強固な取っ手21の取付状態を得ることができるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 取っ手
2 持ち手部
3 タオル掛け部
4 一体化片
4a 前面
4b 裏曲面
5 持ち手片
5a 取付面
6 取付片
6a 取付面
7a,7b 段部
8 タオル
9 キャビネット
11 ボウル部
13,14 扉
16a 上引出し
16b 下引出し
21 取っ手
22 持ち手部
23 タオル掛け部
24 一体化片
25a,25b 持ち手片
26 取付片
27 貫通部
K 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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