(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は本発明の風力発電装置の全体を示す図である。
図1において、1は風力発電装置、2は風車、3はプロペラ、4はブレード、5はナセル、6はタワー、7は発電機、8は静止機器である。
一般に、風力発電装置1は、タワー6と風車2と変電開閉設備で構成される。風車2やタワー6などが強風や地震などで倒壊しないように地盤に固定する。タワー6は、ほぼ円筒形状で、先端にいくほど直径が徐々に小さくなっている構造のものが多く、基礎に鉛直に固定されている。
タワー6の先端には、風車2が取り付けられている。風車2は、ナセル5とロータ軸(不図示)とプロペラ3と増速機(不図示)と発電機7より構成される。
ナセル5は、タワー6の先端を軸にして回転可能になっていて、常に風の向きに対して正面に向くように構成されている。
プロペラ3は、3枚のブレード4を等間隔に配置して各ブレード4は正面から風を受けて回転するようにロータ軸に取り付けられている。
ローラ軸には、増速機が接続され、ロータ軸の回転数を所定の回転数に増えるようにギアなどを用いて構成されている。
そして増速機は発電機7に接続され、ロータ軸の回転を増速し、発電機7により回転エネルギーを電気エネルギーに変換している。
また、タワー6内の下側に変電開閉設備を設置しているが、
図1にはその代表である変圧器などの静止機器8を記載している。
静止機器8は、発電機7の直流電源(電圧)をインバータ(不図示)を介して交流電源(電圧)に変換して昇降圧して交流電源として外部へ供給する。
【0015】
ここで、この風力発電装置の大きさについて説明する。
タワー6の高さは60〜70m、一つのブレード4の長さは40mで、全体としては100〜110mくらいの高さとなる。また、タワー6の下側の直径はおよそ4mくらいである。
【0016】
次に、タワー内の内部を
図2により説明する。
図2(a)、(b)はタワー6内の空気の流れを示すタワーの模式図である。
この図においては、筒状部材22を示し、タワー6内の空気の流れを示す。
図2(a)はタワー6内の内部の下部分を示す正面図で、
図2(b)はその側面図を示す。
図2において、6はタワー、8は静止機器で、22は静止機器8の冷却用の波形フィンを通過する温かい空気を導き、上昇させる円形の筒状部材である。
この筒状部材22は、タワー内壁に設け、細長い管形状をしており、タワー6の高さよりやや短くする。例えば、タワーの高さが70mくらいであれば、筒状部材は60mくらいにする。また、筒状部材は
図4に示しているが、それぞれ3個ずつ2か所に設置しており、その直径はおよそ30cmくらいとしている。
円形の筒状部材内を上昇する温かい空気は、次第に冷却され、筒状部材から出た空気は、タワー内を壁面や中央部を下降し、再度、静止機器の下側より取り込まれ、循環する。
【0017】
次に、本発明の静止機器について説明する。
図3は、本発明の静止機器をタワー6内に設置した部分図を示す。
図3(a)は、上面図で、
図3(b)はその側面図を示す。
図3において、静止機器8は、鉄心、コイル及び絶縁油を収納した本体部と、本体部に接続され絶縁油を冷却する冷却部より構成される。また、静止機器本体8には、一次側端子30と二次側端子31を設置している。一次側端子30は風力発電した直流電源を交流電源に変換するインバータに接続する端子で、二次側端子31は電源を供給する負荷側に接続する端子である。
絶縁油の冷却部は、
図3(a)に示すように、静止機器本体8に接続して絶縁油が循環するようにパイプ9,10,11(絶縁油の通路でパイプということにする))を設け、このパイプ9,10,11に波形フィン12〜17をパイプの両側に形成し、絶縁油を波形フィンの中を通過させ、またパイプから変圧器本体8に戻し、絶縁油を循環させる構成で、この波形フィン12〜17に空気を流し冷却するものである。
【0018】
この構造について、
図9を用いて説明する。
図9は、静止機器の冷却部の一つを示す概略図である。
図9において、静止機器本体8には、絶縁油を送る孔56と受ける孔57を設ける。この2つの孔56,57に接続する絶縁油の通路であるパイプ9は、中空の四角柱の胴体50の上下にL字形状の板材を空間51及び52が形成されるように構成する。そして、パイプ9の両側の網掛け部53に波形フィン12を溶接などにより固定する。波形フィン12は、矩形の板材を波形形状に折り曲げて形成するもので、その端面54,55は溶接等で塞いでパイプ9に両側より固定する。
このような冷却構造において、絶縁油は、静止機器本体の上部の孔56より流れ、パイプ9の空間51より複数の波形フィンの中を上方より下方に流れ、パイプ9の下側の空間52より本体8の下側の孔57より本体に戻り、循環する。
図3(a)には、
図9の構成を3ヶ所設置している。
【0019】
また、
図3(a)において、18は冷却フィン9の周囲を覆ったフードである。フード18の下側は、波形フィン12〜17の下側とほぼ同じ高さとし、空気を下方より取り込めるように空間を持たせた構造としている。
フード18の上側は、波形フィン12の高さを超えた所で絞って四角錐形状とし、ダクト19に接続する。
そして、ダクト19にはファン20を設け、ファンの回転により下方(冷却部側)より上方へ空気が流れるように構成する。
ダクト19は、タワー6内の壁面に設置した筒状部材22に接続するために、ダクト21に接続する。
【0020】
図3(a)において、22〜27は筒状部材で、筒状部材22〜27は、タワー6内の内壁に沿って垂直方向に配置された細長い管状の部材で、冷却フィンである波形フィンで温められた空気はこの筒状部材の中を上昇する。筒状部材の中の空気は、筒状部材の周囲の空気の温度より高いため煙突効果によりより上昇し易い。従って、波形フィンを通過する空気は流れがスムーズになり、冷却効率は向上する。
また、32の8角形は、前記しているPCSを載置するベースを示し、PCSは一般に静止機器等の上側に載置され、筒状部材はこのベースを避けなければならない。
【0021】
図3(b)は、
図3(a)の側面図を示す。
図3(b)において、変圧器8に接続された冷却器の波形フィン12の全体を覆ったフード18を波形フィンの上部まで伸ばし、さらにフード18はダクト19に接続する。ダクト19の中にはファン20を設置する。また、ダクト19は筒状部材22に接続するためにダクト21に接続している。
【0022】
次に、
図4及び
図5を用いて筒状部材の構成を説明する。
図4及び
図5において、筒状部材22〜27は、ダクト21に接続され、ダクト21は三角柱形状で、ダクト21の上部の2面の各々3ヶ所より空気を上昇し易いように筒状部材を形成している。筒状部材は、タワー6内の内壁に沿うように折り曲げている。ここで、筒状部材22〜27は、円形形状としているが四角形状でも三角形形状でも構わない。
また、実施例では、フード18よりダクト19に接続し、三角形状のダクト21を介して2か所3本の筒状部材に接続しているが、ファン20を設けたダクト19から直接、1本の略円形や略楕円形、四角形状の筒状部材に接続する構成でも良い。これらの筒状部材は細長くして煙突効果を持たせる。
【0023】
次に、フード18について
図6を用いて説明する。
図6は、静止機器本体からのパイプ9,10,11及び波形フィン12〜17の全体をフード18で覆った構成を示している。
そして、フード18の下側は空気40が取り込まれ易いように開放する構成とする。このような構成でダクト19内を空気41は上方へ流れる。
フード18の上部は、波形フィンと同じ高さのところからテーパを持たせ、絞る構造としてダクト19に接続する。すなわち、冷却する空気が上昇するにつれて、ダクトの断面積を狭くしていく構造にする。
【0024】
また、静止機器の配置すなわち作業者や管理者のための空間が必要であるため、静止機器は中央ではなく、
図3(a)のように端に置くケースが多い。そのため静止機器の波形フィンの長さをタワーの円弧の形状に合わせる必要があり、この構成について説明する。
図6(a)において、静止機器の冷却部の中央に配置しているパイプ10及び波形フィン14,15はタワーの内壁の影響を受けないが、両側のパイプ9,11及び波形フィン12,13、16,17は影響を受ける。従って、中央のパイプ10よりパイプ9,11はタワーの半径方向に短くし、同じように波形フィン12,13、16,17もタワーの半径方向に短くする。さらに、両側の12及び17の波形フィンは、波形フィン13、16より短くして、タワーの円弧形状に倣った構成にする。
【0025】
図7は、フード18で個々のパイプ及び波形フィンを覆う場合を示す側面図である。
図7において、個々のフード18−1,18−2,18−3は、それぞれ波形フィンの高さの位置からテーパ形状とし、上側のダクト19−1,19−2,19−3にそれぞれ接続され、フード下側から吸い込まれた空気40は、波形フィンに沿って流れ、上昇していく。
フード18に接続するダクト19−1,19−2,19−3には、ファン20−1、20―2,20−3を設置し、空気を下方より上方へ強制送風する。
そして、ダクト19−1,19−2,19−3は、筒状部材41〜43に接続するために、ダクト21−1、21−2,21−3に接続する。ダクト21−1、21−2,21−3はテーパ形状とし、断面積を小さくして筒状部材41〜43に接続する。
筒状部材41〜43は、タワー6内の内壁面に長手方向に形成した細長い管状の部材である。
また、
図7において、フードの下側がスカートのように拡大する形状とし、空気を取り込み易くしている。
【0026】
図8は、タワー内に空間的な余裕があるとき、静止機器の波形フィンの長さや形状を変えないで設置し、波形フィンの全体をフード18で覆った場合の図を示している。
フード18の上部には
図6(b)と同じようにダクト19を設け、筒状部材に接続して、波形フィンを通過する空気はフード18で集められ、ダクト19に設けたファン20で強制的に筒状部材に送られ、筒状部材では煙突効果により温められた空気は上昇し、静止機器はより冷却する。
【0027】
次に、
図10において、波形フィン間に板または断熱布を設置した構成について説明する。
【0028】
図10(a)は,変圧器の冷却部を示す上面図で、
図10(b)はその正面図で、
図10(c)は側面図を示す。
【0029】
図10(a)において、12〜17は波形フィンで、9〜11は波形フィンを設置、固定するパイプである。パイプ9の両サイドに取り付けられた波形フィン12と13、及びパイプ10の両サイドに取り付けられた波形フィン14と15との間に板または断熱布61を配置し、設置する。
また、パイプ10の両サイドには波形フィン14と15、及びパイプ11の両サイドに取り付けられた波形フィン16と17との間に板または断熱布60を配置し、設置する。
さらに、板または断熱布を変圧器の冷却器の両側にも配置し、設置する。
図10(c)には変圧器冷却器の一方の側に設置した図を示す。
このように板または断熱布を隣り合う波形フィンの間、及び変圧器の冷却部の両側に配置し設置すると、波形フィンを流れる空気は板または断熱布で仕切られているため、隣の波形フィン側に流れる空気はなく、上昇する空気のみとなるため空気抵抗が小さく温められた空気は上昇し易くなる。
従って、波形フィンの冷却効率が向上する効果がある。
また、この
図10に示した構成のフード18について、
図11に再掲して説明する。
【0030】
図11は、タワー6内の下部に設置した変圧器の冷却器を示す正面図である。
図11において、波形フィン12〜17の上部に設置したフード18は、テーパ形状として、板または断熱布で仕切られた波形フィンを通過した空気を、波形フィンのすぐ上部で一括して収集し、ダクト19に接続する。ダクト19は、フード18の中央付近ではなく、フードの横方向の位置で接続する。
このような構成においては、タワー内での空気の流れはタワー壁面に沿って下降し、変圧器の下側より再度冷却フィンに入り冷却し、循環する。
【0031】
また、
図12には、フード18の変形例を示す変圧器の冷却器を示す正面図である。
図12は、波形フィン12〜17の上部にフード18を設置しているが、
図11の構成と異なり、フード18は四角形状の空間を備えた構成で、
図11と同じように波形フィンからの空気を四角形状の空間で収集し、フードの横方向の位置でダクト19と接続し、空気を筒状部材へ送る構成である。
【0032】
以上、説明したように、本発明のフードは、細長い筒状部材に接続しているため、煙突効果により波形フィンを通過した温かい空気は筒状内を上昇し易く、密閉された空間内においても冷却効果を向上することができる。