(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
機械加工により部品等を製造する際には、加工時に使用した油分が部品に付着する。そのため、他の加工を行う場合や、加工が完了した際には、加工された部品に付着した油分を洗浄する必要がある。使用した洗浄液は回収して再利用することが望ましいが、回収した洗浄液中には油分が含まれるため、再利用の際には、洗浄液に含まれる油分を分離して取り除く必要がある。ここで、回収した洗浄液は、油分が懸濁してエマルションを形成している。
【0003】
洗浄液などの処理液から油分を取り除く方法の一つとして、オイルスキマーが知られている(特許文献1)。オイルスキマーは、処理液の表面の油分を無端ベルトに吸着させて油を除去する装置である。フェルトなどの多孔質材でできた無端ベルトの一部を処理液内に潜らせながら、モータにより無端ベルトを回転させることにより、表面の油分を無端ベルトに付着させて、処理液から引き出す。そして、絞りローラやスクレーパーなどによって無端ベルトに付着した油分を取り除くことにより、処理液から油分を分離して処理液を再生する。
【0004】
また、処理液から油分を取り除く他の方法として、微細気泡によって油分を分離することも知られている(特許文献2)。この方法は、油分を含む処理液中に微細気泡を供給し、浮上する微細気泡に油分が付着することによって、処理液と油分とを分離する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の分離手段は、主に処理液の表面の油分をオイルスキマーのベルトに付着させて回収するものである。しかしながら、オイルスキマーは、表面の油分を取り除く装置であるため、処理液中に懸濁した油分が多くなると、回収効率が低下するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載の分離手段は、処理液タンク内の処理液中に微細気泡を供給することにより、処理液中の油分を気泡に付着させ、気泡の浮上により油分を分離するものである。この際に、処理液タンク内の処理液の上部には、分離された油分の層が形成される。そのため、再利用するために処理液を回収する際には、油分の層より下部であって、できるだけ上部近くの処理液を回収することが好ましい。しかしながら、処理液タンクの上部近くの処理液には、浮上中の微細気泡が含まれる。そのため、回収した処理液を再利用する際には、処理液に含まれる気泡の影響(キャビテーション)により、ポンプの効率が低下するという問題がある。また、微細気泡には油分が付着しているため、回収した処理液には油分が残存しており、十分に油分を除去できないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明においては、上記の問題に鑑みて、処理液と油分との分離効率を向上させ、回収した処理液を問題なく再利用できる油分分離システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の油分分離システムは、油分を含む処理液を貯留し、貯留される処理液の表面に浮上した油分を回収する油分回収タンクと、油分回収タンクから排出される処理液に微細気泡を混入する微細気泡混入装置と、微細気泡が混入した処理液を貯留し、貯留される処理液中の油分を微細気泡に付着させることで処理液から分離する油分分離タンクとを備え、油分回収タンク内の処理液を油分分離タンクに送る第一移送路と、油分分離タンク内の処理液を油分回収タンクに戻す第二移送路とを設けることで、処理液を油分回収タンクと油分分離タンクとの間で循環可能に構成し
、油分分離タンクに貯留される処理液の下部に、第一移送路とつながる処理液の供給口が設けられると共に、油分分離タンクに貯留される処理液の上部に、第二移送路とつながる前記処理液の回収口が設けられ、かつ供給口は、油分分離タンクの側壁に向けて配置されることを特徴とする。
【0010】
上記のシステムにおいては、油分を含む処理液に対して、油分回収タンクにおいては、処理液表面の油分を回収して取り除くことができ、油分回収タンクから排出される処理液に微細気泡を混入することにより、油分分離タンクにおいては、処理液中に懸濁した油分を微細気泡に付着させて浮上させることで、油分と処理液とを分離することができる。また、油分回収タンクと油分分離タンクとの間で処理液を循環させることにより、油分分離タンクから油分回収タンクに戻した処理液に、油分が付着した微細気泡が含まれていても、油分分離タンクと同様に、油分回収タンクにおいても微細気泡が浮上することにより、油分も表面に浮上するため、回収して取り除くことができる。なお、浮上した処理液中の微細気泡は、油分回収タンクの処理液表面で消滅する。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明にかかる油分分離システムによれば、油分回収タンクと油分分離タンクとのそれぞれにおいて、油分と処理液とを確実に分離することができる。また、油分回収タンクと油分分離タンクとの間で処理液を循環させることにより、油分回収タンクに戻した処理液に含まれる、微細気泡に付着した油分は、油分回収タンクにおいても表面に浮上させて取り除くことができるため、油分と処理液との分離効率をより向上させることができる。これにより、微細気泡および油分を取り除いた処理液を再利用することができる。さらに、再利用する処理液は、微細気泡が十分取り除かれているため、気泡の影響によるポンプ効率の低下などの問題も発生しない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面に基づき、本発明の油分分離システムについて説明する。
【0014】
本発明の一実施形態にかかる油分分離システム1は、
図1に示すように、油分を含む処理液としての洗浄液を貯留する貯留タンク10と、貯留タンク10から排出される洗浄液を貯留する油分回収タンク20と、洗浄液と油分とを分離する油分分離タンク30と、油分回収タンク20内の洗浄液を油分分離タンク30に送る第一移送路40と、油分分離タンク30内の洗浄液を油分回収タンク20に戻す第二移送路50とからなる。
【0015】
貯留タンク10は、図示しない洗浄機に設けられており、洗浄液を貯留する。洗浄液は、洗浄機に供給されて、洗浄機にセットされた加工済みの部品に噴射され、表面に付着した油分を洗浄する。また、図示しない回収機構によって、使用済みの洗浄液は、貯留タンク10に回収される。回収された洗浄液は、洗浄液と油分とが混在しており、洗浄液に油分が懸濁してエマルションを形成している。
【0016】
油分回収タンク20は、貯留タンク10から排出される洗浄液が移送される移送路と、貯留タンク10に洗浄液を供給する移送路とがそれぞれ配置される。また、油分回収タンク20に貯留される洗浄液の表面付近には、浮上した油分を回収するオイルスキマー21が配置される。オイルスキマー21は、従来のものと同様であり、回転する無端ベルトに油分を付着させて回収する。回収されて取り除かれた油分は廃棄される。
【0017】
第一移送路40は、油分回収タンク20内の洗浄液を移送して油分分離タンク30に供給する、例えば配管のような移送路であり、油分分離タンク30に洗浄液を供給する供給口40aを有する。供給口40aは、油分分離タンク30の底面と平行に配置され、油分分離タンク30の側壁に向けて洗浄液を噴射して供給する。
【0018】
また、第一移送路40の経路途中には、洗浄液を移送するポンプ41と、矢印Aに示すように空気を取り込むことにより洗浄液に微細気泡を混入させる微細気泡混入装置としてのアスピレータ42とが配置される。ここで、ポンプ41は、アスピレータ42の上流側に配置されているため、アスピレータ42によって混入される気泡の影響を受けることなく洗浄液を移送できる。
【0019】
ここで、
図2に基づいて、アスピレータ42について説明する。
図2は、アスピレータ42の内部構成の断面図を示す。微細気泡を混入させるアスピレータ42は、流入口421と排出口422と空気吸入口423とを有するT字型の管である。管の内部には、細径部424を内装している。矢印Bに示すように流入口421から洗浄液を流すと、細径部424において流速が増すため、ベンチュリ効果により周辺の圧力が低下する。圧力の低下により、空気吸入口423から矢印Aに示すように空気が流れ込み、空気を微細気泡として混入した洗浄液を排出する。
【0020】
油分分離タンク30は、上面が開放された円筒形の側壁を有するタンクであり、第一移送路40の供給口40aが油分分離タンク30の底面付近に配設される。なお、油分分離タンク30の詳細な構成は後述する。
【0021】
第二移送路50は、油分分離タンク30と油分回収タンク20とを接続する移送路であり、油分分離タンク30に貯留された洗浄液の上層部より下方の洗浄液を、油分回収タンク20に貯留される洗浄液中に戻すように配設される。第二移送路50は、配管でもよく、上部が開放された溝形状の移送路でもよい。本実施形態においては、第二移送路50は、油分分離タンク30と油分回収タンク20とに貯留される洗浄液の液面の高低差を利用して排出されるように構成されている。なお、第二移送路の経路途中にポンプを設けてもよい。
【0022】
続いて、
図1に基づいて、本発明の油分分離システム1の動作について説明する。
【0023】
図示しない洗浄機において、貯留タンク10から供給された洗浄液を、加工済みの部品に噴射して洗浄し、油分を含んだ洗浄液を貯留タンク10に回収する。回収された洗浄液は、洗浄液中に油分が懸濁してエマルションを形成した状態である。
【0024】
貯留タンク10中の洗浄液を排出して、油分回収タンク20に移送して貯留する。洗浄液の移送は図示しないポンプにより行ってもよい。油分回収タンク20のオイルスキマー21を稼動して、貯留された洗浄液の表面に浮上した油分を回収して取り除く。なお、
図1において、油分の経路を一点鎖線で示す。
【0025】
油分回収タンク20内の洗浄液の一部を、ポンプ41の駆動により、第一移送路40を移送して油分分離タンク30に供給する。その際に、第一移送路40の経路途中に配置されたアスピレータ42により、空気が微細気泡として洗浄液中に混入される。
【0026】
微細気泡が混入された洗浄液は、第一移送路40の供給口40aにより、油分分離タンク30の底面近くに供給される。油分分離タンク30において、洗浄液中の微細気泡が浮力により上昇する。この際に、洗浄液中に懸濁した油分が浮上する微細気泡に付着する。油分が付着した微細気泡が浮上して液面に達すると、微細気泡は消滅し、当該気泡に付着していた油分が油分分離タンク30に貯留された洗浄液の上層部に残存して積層する。このようにして、油分分離タンク30内で洗浄液と油分とを分離することができる。
【0027】
油分分離タンク30に貯留された洗浄液の上層部の油分は、
図1に一点鎖線で示すように、オーバーフローにより排出されて廃棄される。また、油分と分離した洗浄液は、第二移送路50によって油分回収タンク20に戻される。戻された洗浄液には、油分を付着した浮上途中の微細気泡が含まれる。しかし、この微細気泡は、油分回収タンク20において、貯留された洗浄液中を浮上して液面に達すると、油分分離タンク30内と同様に、微細気泡が消滅して、洗浄液の表面に油分が積層される。油分回収タンク20内の洗浄液の表面に積層した油分はオイルスキマー21によって回収されて廃棄される。このとき、油分回収タンク20内の洗浄液は、微細気泡の浮上にともなって油分が表面に積層されるため、洗浄液に懸濁した状態の油分の回収に比べて、オイルスキマー21による油分の回収効率を向上させることができる。
【0028】
油分回収タンク20内の洗浄液は、さらに、第一移送路40により油分分離タンク30に供給されて、第二移送路50により油分回収タンク20に戻されて循環することにより、油分回収タンク20内の洗浄液中の油分が順次分離して除去される。また、油分が除去された油分回収タンク20内の洗浄液は、貯留タンク10に戻されて加工された部品の洗浄に再利用される。このように、油分回収タンク20内の洗浄液は、一部が油分分離タンク30との間で循環し、一部が貯留タンク10に戻されて再利用される。
【0029】
本実施形態における油分分離システム1は、油分回収タンク20と油分分離タンク30との間で洗浄液が循環しており、また、貯留タンク10と油分回収タンク20との間でも洗浄液が循環している。これらの循環はそれぞれ連続して行われるため、洗浄液と油分との分離動作は連続して行われる。それにより、貯留タンク10内には、油分が分離された洗浄液が連続的に供給されるため、加工された部品が洗浄機に連続的に供給されても、順次洗浄を行うことができる。そのため、本発明の油分分離システム1は、洗浄液再利用システムとしても機能する。
【0030】
なお、貯留タンク10と油分回収タンク20との間では、洗浄液を連続的に循環させることなく、所定量単位で洗浄液を供給して油分の分離動作を行うようにしてもよい。その場合は、貯留タンク10から油分回収タンク20に所定量の洗浄液を供給した後に供給を停止して、油分回収タンク20と油分分離タンク30との間で洗浄液を循環させて油分を取り除き、油分を取り除いた洗浄液を油分回収タンク20から貯留タンク10に戻すように構成する。このように、油分を分離した洗浄液を定期的に貯留タンク10に戻すようにしてもよい。
【0031】
また、貯留タンク10は、洗浄機から回収した洗浄液を貯留するタンクと、油分回収タンク20から戻される油分が取り除かれた洗浄液を貯留するタンクとを別々のタンクとしてもよい。さらに、洗浄機から回収した洗浄液は、貯留タンク10を経由せずにそのまま油分回収タンク20に供給して油分の分離・回収を行ってもよい。
【0032】
油分回収タンク20においては、貯留タンク10から回収した洗浄液を供給する移送路と、第一移送路40、および第二移送路50は、それぞれを近接して配置できるが、油分回収タンク20から貯留タンク10に洗浄液を戻すための移送路は、上記の各移送路から離れた場所に設置することが好ましい。それにより、油分が十分に取り除かれた洗浄液を貯留タンク10に戻すことができ、洗浄液を効率的に再利用することができる。
【0033】
次に、
図3に基づいて、油分分離システム1における油分分離タンク30の詳細について説明する。
図3(a)は、油分分離タンク30の上面図であり、
図3(b)は、油分分離タンク30の正面図である。
【0034】
油分分離タンク30は、円筒形のタンクであり、油分が廃液として排出される廃液口31と、洗浄液が回収される回収口32と、仕切板33とを有する。また、上述のように、第一移送路40の供給口40aが油分分離タンク30の底面近くまで延びている。
【0035】
廃液口31は、油分分離タンク30の側面の上端付近に設けられた切欠き部であり、油分分離タンク30内で分離した洗浄液の上層部に積層した油分が、微細気泡とともにオーバーフローによって排出する。また、廃液口31の近傍には、油分を廃液口31に向けてガイドする案内板31aが設けられる。油分分離タンク30内の洗浄液は、後述するように、
図3(a)の矢印C(時計回り)の方向に緩やかに回転しているため、洗浄液の回転にともない、案内板31aが油分を廃液口31に向けてガイドして、効率的に油分を排出する。
【0036】
回収口32は、
図3(b)に示すように、廃液口31よりも下部に設けられており、洗浄液が油分回収タンク20に向けて排出される第二移送路50が接続される。回収口32は、油分分離タンク30の側壁に設けられた孔部でもよいが、回収口32の位置を上下方向に調整可能な位置調整部材32aに設けられることが好ましい。
【0037】
油分分離タンク30の設置場所である工場は、床面が平面でなく傾斜や段差を有することがある。平面でない床面に油分分離タンク30を設置すると、回収口32を廃液口31より下部に設けたとしても、油分分離タンク30が傾くことにより、回収口32での液面が廃液口31より下部にならない場合がある。その場合には、回収口32から排出される洗浄液には、上層の油分が含まれてしまう。そのため、位置調整部材32aに設けた回収口32の位置を下方に調整することにより、確実に廃液口31より下部に回収口32を配置することができる。それによって、油分分離タンク30に貯留される洗浄液の上層の油分を含まずに洗浄液を回収することが可能になる。
【0038】
また、油分分離タンク30から回収する洗浄液には、油分が懸濁した状態でないことが好ましいため、回収口32は、廃液口31よりも下部であって、かつ油分分離タンク30に貯留された洗浄液の上側に設けられる。油分分離タンク30の第一移送路40の供給口40a付近では、微細気泡に付着していない、洗浄液に懸濁した油分が多く存在する。そのため、洗浄液が排出される回収口32は、例えば、中央部より上側のように、供給口40aから離れた位置に設けることが好ましい。それにより、洗浄液に懸濁した油分が浮上する微細気泡に付着されるため、確実に油分を分離した状態の洗浄液を回収することができる。なお、回収口32から排出される洗浄液は、油分が付着した微細気泡を含んでいても、油分回収タンク20において微細気泡を浮上させて分離できるため問題はない。
【0039】
仕切板33は、油分分離タンク30に貯留される洗浄液の上層部付近であって、中央より回収口32側に設けられる。仕切板33によって、油分分離タンク30内の上層部の洗浄液を、廃棄する領域と回収する領域とに区分けすることができる。このように、油分が付着した上昇中の微細気泡や洗浄液の表面に積層した油分を廃液口31側に集めることによって、回収口32側の洗浄液から隔離することができ、回収口32から排出される洗浄液中に含まれる油分を減少させることができる。
【0040】
続いて、油分分離タンク30内における油分と洗浄液の分離動作について説明する。
【0041】
油分分離タンク30においては、第一移送路40の供給口40aから、アスピレータ42により微細気泡が混入された、油分を含む洗浄液が供給される。油分分離タンク30内の洗浄液中を微細気泡が上昇する間に、洗浄液中に懸濁した油分が微細気泡に付着される。
【0042】
ここで、
図3(a)および(b)の矢印Cに示すように、供給口40aは、油分分離タンク30の底面付近で、側壁に向けて噴射することにより洗浄液を供給する。それにより、供給される洗浄液は、側壁に沿う方向の流れを生じ、油分分離タンク30内の洗浄液全体が緩やかに矢印Cの方向に回転される。そのため、第一移送路40から供給された微細気泡を含む洗浄液は、洗浄液の緩やかな回転にともなって螺旋状に上昇する。それにより、微細気泡と洗浄液との接触時間が長くなるため、洗浄液中の多くの油分を微細気泡に付着させることができる。
【0043】
油分を付着した微細気泡が、油分分離タンク30に貯留された洗浄液の表面に到達すると、微細気泡は消滅し、油分分離タンク30の上層部に油分が積層される。積層した油分は、洗浄液の緩やかな回転にともない、案内板31aにガイドされて、廃液口31からオーバーフローして廃棄される。また、洗浄液は、廃液口31より下方に設けられた回収口32より流れ出して、第二移送路50によって油分回収タンク20に戻される。
【0044】
このように、油分分離タンク30においては、洗浄液中に懸濁した油分を微細気泡に付着させて分離し、分離した油分を廃棄するとともに、油分を分離した洗浄液を油分回収タンク20に戻すことにより、油分分離タンク30との間で洗浄液を循環させる。なお、上述したように、油分回収タンク20に戻す洗浄液中には、油分が付着した微細気泡が含まれているが、油分回収タンク20において、微細気泡を浮上させて液面の油分を回収するため、洗浄液中の油分を十分除去することができ、回収した洗浄液を再利用することができる。
【0045】
本実施形態においては、油分を含む処理液として、加工された部品を洗浄する際に用いる洗浄液についての例を示したが、これに限定されることはない。例えば、切削加工の際に用いられるクーラント液のように、油分を含む処理液全般の油分の分離に対して用いることができる。
【0046】
また、本実施形態においては、微細気泡発生装置としてアスピレータ42を使用したが、洗浄液中に微細気泡を発生させる機構であればこれに限ることはない。例えば、洗浄液に空気を混入させて旋回板の回転により渦流を発生させて、気体をせん断することにより微細気泡を発生させてもよく、超音波振動子により振動を与えることにより、微細気泡を発生させてもよい。また、微細気泡発生装置は、油分分離タンク中に設けてもよい。しかし、費用や設備の簡易さなどを考慮すると、本実施形態のように、第一移送路40の途中にアスピレータを設置することが好ましい。
【0047】
さらに、本発明の油分分離システム1は、従来技術としての、貯留タンク10とオイルスキマー21を備える油分回収タンク20とから構成される油分分離装置に対して、微細気泡混入装置42を有する油分分離タンク30を付加することにより、容易に油分分離システム1を構築することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。