特許第5912543号(P5912543)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912543コモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912543
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】コモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造
(51)【国際特許分類】
   F02M 39/02 20060101AFI20160414BHJP
   F16F 15/10 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   F02M39/02 A
   F16F15/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-2463(P2012-2463)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-142317(P2013-142317A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100111143
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 枝里
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭一
【審査官】 赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−002895(JP,A)
【文献】 実開平05−047420(JP,U)
【文献】 特開平06−288319(JP,A)
【文献】 特開平11−230266(JP,A)
【文献】 特開平09−310663(JP,A)
【文献】 特許第2888105(JP,B2)
【文献】 特開平09−287634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00〜71/04
F16F 15/00〜15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造であって、
前記コモンレール式燃料噴射装置の蓄圧室に高圧燃料を供給するサプライポンプと、
前記ディーゼルエンジンのクランクシャフトと連結した歯車列を介して、前記サプライポンプを駆動するサプライポンプカム軸に締結部材によって固定されたサプライポンプギヤと、
前記締結部材から見て前記サプライポンプギヤとは反対側から、前記サプライポンプギヤに対してダンパー用アダプターを介して固定され、前記サプライポンプギヤの回転変動を抑制するビスカスダンパと、
を備えることを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【請求項2】
前記サプライポンプギヤの前記ダンパー用アダプター側に、内周面が前記締結部材外周部に隙間を有して設けられた環状突起部と、前記ダンパー用アダプターの前記サプライポンプギヤ側に前記環状突起部の内周面と略同等の内周径を有する凹部とで、前記締結部材を収容できるようにしたことを特徴とする請求項1記載のコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【請求項3】
前記ダンパー用アダプターの前記ビスカスダンパ側に前記ダンパー用アダプターの軸線に沿い且つ、該軸線と同軸線を有する円板状突出部と、前記ビスカスダンパの中央部に前記軸線と同軸線で且つ、前記円板状突出部が嵌入可能な形状の凹部を有し、前記突出部に前記凹部を嵌合させて締結したことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【請求項4】
前記ダンパー用アダプターはサプライポンプギヤに締結部材を介して直接取付けられていることを特徴とする請求項1記載のコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【請求項5】
前記ダンパー用アダプターは、前記サプライポンプギヤの回転軸線を中心として回転する回転バランス調整が行われていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【請求項6】
ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造であって、
該コモンレール式燃料噴射装置の蓄圧室に高圧燃料を供給するサプライポンプと、
前記ディーゼルエンジンのクランクシャフトと連結した歯車列を介して、前記サプライポンプを駆動するサプライポンプカム軸に締結部材によて固定されたサプライポンプギヤと、
該サプライポンプギヤの回転変動を抑制するビスカスダンパと、
該ビスカスダンパと前記サプライポンプギヤとの間にダンパー用アダプターを介装し、
前記サプライポンプギヤの前記ダンパー用アダプター側に、内周面が前記締結部材外周部に隙間を有して設けられた環状突起部と、前記ダンパー用アダプターの前記サプライポンプギヤ側に前記環状突起部の内周面と略同等の内周径を有する凹部とで、前記締結部材を収容できるようにしたことを特徴とするコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプに取付けられるダンパー装置の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるディーゼルエンジン(以後「エンジン」と称す)の排気系には、エンジンから排出される排ガスに含まれ、有害物質とされるディーゼル排気微粒子〔以後「PM(Particulate Matter)」と称す〕及びNOx(窒素酸化物)が含まれている。
これらの、有害物質の発生を抑えるために、高い燃料噴射圧力により、燃料を微細化させて、燃料を燃焼させる方法として、コモンレール式燃料噴射装置(以後「CRS装置」と称す)が広く使用されている。
CRS装置のサプライポンプにおいては、従来の列型噴射ポンプに比較して駆動トルクが小さいので、サプライポンプのギヤ駆動騒音は小さいとされていた。
【0003】
ところが、CRS装置のサプライポンプ構造は、2筒―4カム構造(1筒にカムが2個装着されている構造)となっている。サプライポンプの吐出量によるが、クランクシャフトに連結した歯車列によって、4サイクルエンジンの場合エンジンの2回転に対し、サプライポンプは3回転するようになっている。
従って、サプライポンプの吐出回数はエンジン2回転に対し12回となる。このとき、燃料を突出した直後はサプライポンプに作用していた負荷が急激に減少するため、瞬間的にサプライポンプ軸を増速方向にトルクが発生(ネガティブトルク)し、騒音が大きくなっている。
【0004】
このように、燃料噴射ポンプの駆動軸の回転変動を抑制する技術が、実開平5-47420号公報(特許文献1)に開示されている。
特許文献1によると、エンジンの回転は適宜な歯車列を介して噴射ポンプギヤに伝達されて、入力部からダンパーカップリングを介して、燃料噴射ポンプの駆動部に伝達され、駆動部が回転する。
そして、ダンパーカップリングの慣性系とバネ系、ダンパー系と特性値を適宜な大きさに設定することにより、燃料噴射ポンプの駆動軸の捩り振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5-47420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示される技術は、燃料噴射ポンプ本体の駆動軸と歯車列に連結(噛合い)した駆動ギヤを軸支した軸との間にダンパーカップリングを介装しており、両方の軸間には相対変位が生起される。
また、現在使用されているコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプの駆動軸にダンパー装置を介装するには、エンジン側の形状変更および、サプライポンプの形状等の変更を余儀なくされ、部品の専用化等も重なり、ダンパーおよび、該ダンパー以外のコストが高くなる不具合を有している。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明においては、エンジン側の形状変更および、サプライポンプの形状等の変更を最小限に抑制して、サプライポンプの駆動軸にダンパー装置を装着できるようにして、サプライポンプの駆動騒音を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明においては、ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプ用ビスカスダンパ取付構造であって、該コモンレール式燃料噴射装置の蓄圧室に高圧燃料を供給するサプライポンプと、前記ディーゼルエンジンのクランクシャフトと連結した歯車列を介して、前記サプライポンプを駆動するサプライポンプカム軸に締結部材にて固定されたサプライポンプギヤと、前記締結部材から見て前記サプライポンプギヤとは反対側から、前記サプライポンプギヤに対してダンパー用アダプターを介して固定され、前記サプライポンプギヤの回転変動を抑制するビスカスダンパと、を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる発明によれば、ビスカスダンパをサプライポンプギヤに設けることで、クランク軸からの歯車列とサプライポンプギヤとの回転変動を抑制すると共に、ポンプ駆動に伴う発生するネガティブトルク(ポンプ軸を増速させる)をキャンセルさせて、サプライポンプギヤの歯が、歯車列の歯(アイドラギヤ)から離れないようにして、当該部の駆動騒音の低減が図れる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、前記サプライポンプギヤの前記ダンパー用アダプター側に、内周面が前記締結部材外周部に隙間を有して設けられた環状突起部と、前記ダンパー用アダプターの前記サプライポンプギヤ側に前記環状突起部の内周面と略同等の内周径を有する凹部とで、前記締結部材を収納できるようにするとよい。
【0011】
かかる発明によれば、サプライポンプギヤの環状突起部と、ダンパー用アダプターの凹部とで、締結部材を収納できるようにしたので、サプライポンプカム軸に装着するダンパー用アダプターの軸線方向の寸法を小さくでき、制限されたスペース内において、ダンパー用アダプターに取付けるビスカスダンパを大きくすることができる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記ダンパー用アダプターの前記ビスカスダンパ側に前記ダンパー用アダプターの軸線に沿い且つ、該軸線と同軸線を有する円板状突出部と、前記ビスカスダンパの中央部に前記軸線と同軸線で且つ、前記円板状突出部に嵌入可能な形状の凹部を有し、前記突出部に前記凹部を嵌合させて締結するとよい。
【0013】
かかる発明によれば、ダンパー用アダプターの円板状突出部と、ビスカスダンパの中央部の凹部とを嵌合させて締結した構造としたので、サプライポンプカム軸に装着するダンパー用アダプターの軸線方向の寸法を小さくでき、制限されたスペース内において、ダンパー用アダプターに取付けるビスカスダンパを大きくすることができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記ダンパー用アダプターはサプライポンプギヤに締結部材を介して直接取付けられるとよい。
【0015】
かかる発明によれば、ダンパー用アダプターをサプライポンプギヤに取付けて、ダンパー用アダプターを介してビスカスダンパを取付ける構造としたので、スペースの狭い部分にビスカスダンパの取付が可能となった。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記ダンパー用アダプターは、前記サプライポンプギヤの回転軸線を中心として回転する回転バランス調整が行われているとよい。
【0017】
かかる発明によれば、ダンパー用アダプターの回転バランスを調整することで、ダンパー用アダプターの安定した回転慣性力が期待でき、ビスカスダンパの回転変動抑制効果が向上する。
【発明の効果】
【0018】
ビスカスダンパをサプライポンプギヤに設けることで、クランク軸からの歯車列とサプライポンプギヤとの回転変動を抑制すると共に、ポンプ駆動に伴う発生するネガティブトルク(ポンプ軸を増速させる)をキャンセルさせて、サプライポンプギヤの歯が、歯車列の歯(アイドラギヤ)から離れないようにして、当該部の歯打ち騒音並びに噛合い騒音双方の低減が図れる。
また、サプライポンプギヤの環状突起部とダンパー用アダプターの凹部とで締結部材を収納できるようにし、さらに、ダンパー用アダプターの円板状突出部と、ビスカスダンパの中央部の凹部とを嵌合させて締結した構造としたので、サプライポンプカム軸に装着するダンパー用アダプターの軸線方向の寸法を小さくでき、ダンパー用アダプターに取付けるビスカスダンパを大きくすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明が実施されるコモンレール燃料噴射装置の概略システム図を示す。
図2】本発明が実施されるサプライポンプがエンジンに装着されている側面図を示す。
図3図2のZ矢視を示す。
図4図3のA−A断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は本発明が実施されるコモンレール燃料噴射装置の概略システム図を示し、1はエンジンを示し、該エンジン1の燃焼室(図示省略)に先端部(噴射ノズル部)が臨設した燃料噴射電磁弁1bが配設されている。
燃料噴射電磁弁1bは蓄圧室3と燃料噴射配管3cによって連結され、高圧燃料が供給される。
2は本発明が実施されるサプライポンプで、エンジン1のクランクシャフト(図示省略)に連結した歯車列1f(図4参照)によって駆動され、燃料タンク4から燃料管4aによって燃料を導入する。導入した燃料は高圧化されて、燃料供給配管3bを介して蓄圧室3に蓄圧される。
【0022】
蓄圧室3には、該蓄圧室3の燃料圧力をチェックする燃料圧力センサ3aと、該燃料圧力が所定値を超えた場合に、燃料を燃料タンク4に戻す圧力リミッタ3dが配設されている。
燃料噴射電磁弁1bはエンジンECU1aからの信号により、該燃料噴射電磁弁1b内に収納されている電磁弁を駆動して、エンジン1の燃焼室にエンジン稼働状況に応じて、燃料を噴射するようになっている。3eは燃料戻し管で、燃料噴射電磁弁1b、圧力リミッタ3dおよび、サプライポンプ2からの余分な燃料を燃料タンク4に戻す配管である。
【0023】
図2は本発明が実施されるサプライポンプがエンジンに装着されている側面図を示す。
サプライポンプ2はエンジン1の後端部に装着され、歯車列1fが収納されているギヤケース1gの前側に位置している。
ギヤケース1gの後方にはエンジン1のフライホイールが収納されているフライホイールハウジング8が締結部材であるボルト(図示省略)等によって締結されている。
さらに、エンジン1の動力を断・接するクラッチ装置を収納したクラッチハウジング81が接続されている。
図3図2のZ矢視を示し、フライホイールハウジング8の81a凹部にビスカスダンパ5が収納されている。
【0024】
また、図4に示すように、サプライポンプ2は、燃料を高圧にして送出するポンプ部(図示省略)を駆動するサプライポンプカム軸21が後方(フライホイールハウジング8側)に延出している。該サプライポンプカム軸21の後端部は後端に向け縮径したテーパ部21aと、該テーパ部21aの更に端部に位置する部分に螺子部21cが形成されている。
テーパ部21aにはサプライポンプギヤ22がキー21bを介して外嵌している。サプライポンプギヤ22は、螺子部21cに螺合したナット24によってサプライポンプカム軸21の軸線CL方向に締付けられ、サプライポンプギヤ22とサプライポンプカム軸21の相対変位が生じないように固定される。
【0025】
ギヤケース1gの内部にはエンジンのクランクシャフト(図示省略)に連結した歯車列1fが収納されている。
そして、サプライポンプギヤ22は、歯車列1fに噛合して、エンジン1の駆動力によって駆動されるようになっている。
サプライポンプギヤ22のフライホイールハウジング8側面には、内周面22cが締結部材であるナット24の外周と隙間を有する環状突起部22aが形成され、該環状突起部22aに後述するダンパー用アダプター6を取付けるための雌ネジ22bがサプライポンプギヤ22の軸線方向に沿って複数形成されている。
【0026】
ビスカスダンパ5をサプライポンプギヤ22に取付けるために、ビスカスダンパ5とサプライポンプギヤ22との間にダンパー用アダプター6が介装される。
ダンパー用アダプター6は、一端側であるサプライポンプギヤ22側に、環状突起部22aの内周面22cと略同径で、ナット24および、サプライポンプカム軸21の螺子部21が嵌入可能な凹部61を有している。
凹部61の中心軸線CLはサプライポンプカム軸21の軸線と一致するように形成されている。
一方、ダンパー用アダプター6の他端側であるサプライポンプギヤ22と反対側の面には、円板状突出部63が形成されている。
該突出部63には凹部61の中心軸線CL方向に沿って、ビスカスダンパ5を取付けるための雌ネジ65が形成されている。
尚、ダンパー用アダプター6は中心軸線CLを中心にして回転させた時の回転バランス調整をおこなってある。
これにより、ダンパー用アダプター6の慣性力により、サプライポンプギヤ22の回転変動抑制効果が期待できる。
【0027】
ダンパー用アダプター6の他端側にはビスカスダンパ5がボルト26にて締結されている。
ビスカスダンパ5は、全体形状が円筒状を成し、該円筒状の軸線CL(サプライポンプカム軸の軸線CLと同じになっている)に沿って、両端部から軸線CL方向中央部に向かってA凹部51,B凹部52が形成されている。
そして、A凹部51とB凹部52との仕切壁54が形成される。
そのA凹部51および、B凹部52の外周部に形成されている環状の筒部に慣性マス55と粘性オイル57が密閉した状態で封入されている。
そして、B凹部52にダンパー用アダプター6の円板状突出部63が嵌入し、該円板突起部63と仕切壁54とを締結ボルト26にて雌ネジ65に螺合することにより、ビスカスダンパ6を締結する。
【0028】
このような構造にすることにより、サプライポンプギヤ22の環状突起部22aとダンパー用アダプター6の凹部61によって、サプライポンプカム軸21の端部を収納するようにして、ダンパー用アダプター6の軸線CL方向の寸法を小さくした。
さらに、ダンパー用アダプター6の他端側の円盤状突出部63をビスカスダンパ6のB凹部52に嵌入して取付けるようにすることで、円板状突出部63における雌ネジ深さ(当該部の強度確保)を確保するとともに、ダンパー用アダプター6の軸線CL方向の寸法を更に小さくすることが可能になる。
【0029】
また、ビスカスダンパ6のダンパー用アダプター6への取付面を円板状突出部63の頂面と仕切壁54とすることで、筒状部の軸線CL方向長さを大きくすることができ、その分(円板状突出部63の突出量相当分)慣性マス55を大きくできる。
これらを、総合すると、サプライポンプカム軸21の軸線CL方向の長さを凹部、突出部を利用して短くして且つ、慣性マスのビスカスダンパ軸線CL方向の長さを確保することにより、外形を小さくしても必要量のダンパー機能を得ることが可能となった。
その結果、フライホイールハウジング8を変更しないで、ビスカスダンパを装着することが可能となった。
また、本実施形態では、サプライポンプカム軸21にビスカスダンパ5を装着したので、ポンプ負荷が減少した際に、サプライポンプカム軸21に増速のトルクが発生するが、ビスカスダンパ5の粘性抵抗により増速を抑制し、サプライポンプギヤ22の歯面が歯車列1fの歯面から放れないようにして、サプライポンプギヤ22の歯打ち騒音並びに噛合い騒音双方を減少させる効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、コモンレール式燃料噴射装置のサプライポンプに取付けられるダンパー装置の騒音低減に利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 エンジン
2 サプライポンプ
3 蓄圧室
5 ビスカスダンパ
6 ダンパー用アダプター
8 フライホールハウジング
21 サプライポンプカム軸
22 サプライポンプギヤ
22a 環状突起
24 ナット(締結部材)
52 B凹部
61 凹部
63 円盤状突出部63
図1
図2
図3
図4