特許第5912561号(P5912561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912561
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20160414BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20160414BHJP
   G06Q 50/22 20120101ALI20160414BHJP
【FI】
   H04M9/00 B
   A61G12/00 E
   H04M9/00 J
   G06Q50/22 100
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-8631(P2012-8631)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-150133(P2013-150133A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用 平成23年11月9日〜11日 「HOSPEX Japan 2011」に出品
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 諭
【審査官】 中木 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−349020(JP,A)
【文献】 特開2011−048204(JP,A)
【文献】 特開2007−268019(JP,A)
【文献】 特開2011−172848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 9/00−15/12、
99/00
G06Q 50/22−50/24
G08B 23/00−31/00
H04M 1/00、
1/24− 3/00、
3/16− 3/20、
3/38− 3/58、
7/00−11/10、
99/00
H04Q 3/58− 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が使用するナースコール子機からの呼び出しに対して看護師がナースコール親機で応答することによって、患者と看護師とが離れた場所から通話を行うことができるように成されたナースコールシステムであって、
上記ナースコール親機は、複数のディスプレイを備えまたは接続可能に構成され、
上記複数のディスプレイにそれぞれ表示させる情報を設定する表示情報設定部と、
上記表示情報設定部により設定された情報を上記複数のディスプレイにそれぞれ表示させるように制御する表示制御部と、
上記複数のディスプレイのうち、一部のディスプレイについてのみ、上記表示制御部により表示される情報を通じてユーザからの所望の操作を受け付ける操作受付部とを備え、
上記表示制御部は、病院内における各病室およびナースセンタの配置位置を模式的に表したレイアウト上において、各患者に関する簡易情報を上記各患者が入室している病室の概略位置に配置して表したレイアウト画面を、上記表示情報設定部により設定された情報として表示可能に構成され、
上記表示制御部は、上記ナースコール子機からの呼び出しが上記ナースコール親機にて検知されたときに、呼び出しを行った患者に関する患者情報をポップアップ画面として表示させるように成され、
上記表示制御部は、上記複数のディスプレイのうち、上記レイアウト画面が表示されているディスプレイに対しては上記ポップアップ画面を表示させないように制御することを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムに関し、特に、患者からの呼び出しに看護師が応答することによって、患者と看護師とが離れた場所から通話を行うことができるように成されたナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、患者や被介護者(以下、単に「患者」と言う)と医師や看護師、介護師(以下、単に「看護師」と言う)との連絡に、ナースコールシステムが用いられている。この種のナースコールシステムにおいて、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことがナースコール親機にて報知される。
【0003】
例えば、ナースコール親機では、ナースコール子機からの呼び出しがないときには所定の待機画面が表示されていて、ナースコール子機からの呼び出しが行われると、呼び出しを行った患者の情報(氏名、部屋番号、ベッド番号など)がポップアップ画面として表示される。このようなナースコール子機からの呼び出しに応じて、看護師がナースコール親機のハンドセット等によって応答すると、患者と看護師との間で通話が可能な状態となる。
【0004】
なお、ナースコール子機からの呼び出しを受けて関連する患者情報をナースコール親機のモニタにポップアップ表示させる場合に、同時に表示している病棟レイアウト内の呼出操作した患者の位置が隠れないようにポップアップ表示するようにした技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ナースコール親機では、ナースコール子機からの呼び出しが発生したときに患者情報をポップアップ表示するだけでなく、ナースコール親機においてユーザにより行われる操作に応じて、種々の情報をディスプレイに表示させることも可能である(例えば、特許文献2,3参照)。ナースコール親機のディスプレイにタッチパネルを設け、タッチパネルに対する操作によって種々の情報を表示させることができるようにしたものも提供されている。
【0006】
特許文献2に記載のナースコール親機では、患者選択ボタンをディスプレイ上に表示し、何れかの患者選択ボタンがタッチ操作されたら、患者選択ボタンのタッチ位置に応じた画面上の部位に、当該タッチ操作により選択された患者の患者情報をポップアップ表示させる。これにより、患者選択ボタンの操作により表示される患者情報が、患者からの呼出情報の表示により隠れることがないようにしている。
【0007】
特許文献3に記載のナースコール親機では、子機から親機への呼び出しについては、呼び出しの内容を示す呼出項目を上方に配置した呼出報知画面を表示させる。一方、親機から子機への呼び出しについては、呼び出しの内容を示す患者呼出項目を下方に配置した患者呼出報知画面を表示させる。これにより、子機から親機への呼び出し、または、親機から子機への呼び出しの何れに関する表示であるかをユーザが直感的に判断できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−51545号公報
【特許文献2】特開2011−114804号公報
【特許文献3】特開2010−194270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のナースコール親機では、ユーザが所定の操作をすることにより、所望の情報をディスプレイに表示させることが可能である。例えば、各患者の氏名、部屋番号、ベッド番号等を一覧として含む待機画面の他に、特定の患者に関する詳細な患者情報を表した患者情報画面、各患者からの呼び出しや看護師による応答の履歴を表した呼出履歴画面などを表示させることが可能である。
【0010】
しかしながら、これら種々の情報は、ユーザがナースコール親機において画面の切り替え操作をしなければ、表示させることができない。このため、知りたい情報を瞬時に確認することができないという問題があった。また、ナースコール親機は通常、ナースセンタに設置されるが、ナースコール親機に備えられたディスプレイに情報が表示されるだけなので、ナースセンタにいる複数の看護師が同時に必要な情報を確認することが難しいという問題もあった。
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ユーザ操作により画面の切り替えをすることなく、複数の看護師が同時に必要な情報を瞬時に確認することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、ナースコール親機が複数のディスプレイを備えまたは接続可能に構成され、当該複数のディスプレイに対してそれぞれ設定された情報を表示させるようにしている。また、本発明では、複数のディスプレイのうち、一部のディスプレイについてのみ、当該ディスプレイに表示される情報を通じてユーザからの所望の操作を受け付けるようにしている。さらに、本発明では、ナースコール子機からの呼び出しがナースコール親機にて検知されたときに表示させる患者情報のポップアップ画面を、複数のディスプレイのうちレイアウト画面が表示されているディスプレイに対しては表示させないようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、複数の情報を複数のディスプレイに同時に表示することが可能となるので、ユーザ操作により画面の切り替えをすることなく、看護師が必要な情報を瞬時に確認することができるようになる。また、本発明によれば、一部のディスプレイについてのみユーザからの操作を受け付けるので、他のディスプレイについては情報の表示のみで閲覧専用とすることができる。これにより、一部のディスプレイの前でユーザが操作を実行中であっても、他のディスプレイにおいて複数の看護師が同時に必要な情報を常に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態によるナースコール親機の機能構成例を示すブロック図である。
図3】本実施形態の連絡先記憶部に記憶される連絡先情報の一例を示す図である。
図4】本実施形態によるボード型のベッド画面の一例を示す図である。
図5】本実施形態によるレイアウト型のベッド画面の一例を示す図である。
図6】本実施形態による呼出履歴画面の一例を示す図である。
図7】本実施形態によるホワイトボード画面の一例を示す図である。
図8】本実施形態による患者情報画面の一例を示す図である。
図9】本実施形態による表示画面の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。なお、ここでは病院に設置される看護支援用のナースコールシステムを例にとって説明するが、本実施形態のナースコールシステムは、病院に設置されるものに限定されない。例えば、介護施設等に設置される場合にも適用可能である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4、ハンド形子機5、ハンディナースコール主装置6、無線基地局7および携帯端末(例えば、PHS端末)8を備えて構成されている。
【0017】
ナースコール親機1は、患者(ナースコール子機)からの呼び出しに対する応答の操作または患者の呼び出しの操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。ナースコール親機1は、この応答や呼び出しを行うためのハンドセット1aを備えている。
【0018】
また、ナースコール親機1は、複数(例えば2つ)のディスプレイ1b,1cを備えまたは接続可能に構成されている。第1のディスプレイ1bは、ナースコール親機1に一体として備えられ、タッチパネルが付設されている。第2のディスプレイ1cは、ナースコール親機1に対して有線または無線にて接続され、タッチパネルは付設されていない。第1のディスプレイ1bは特許請求の範囲の「一部のディスプレイ」に相当し、第2のディスプレイ1cは「その他のディスプレイ」に相当する。
【0019】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。廊下灯3は、病室内の患者名が表示されるとともに、病室内の患者が看護師の呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが表示されるようになっている。この廊下灯3は、病室内の患者が看護師を呼び出したときに、廊下を歩いている看護師が応答するための復旧ボタンを備えている。
【0020】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、廊下灯3に接続されている。ハンド形子機5は、壁埋込形子機4に接続される。壁埋込形子機4およびハンド形子機5は、特許請求の範囲におけるナースコール子機に相当する。以下では、壁埋込形子機4およびハンド形子機5をまとめてナースコール子機4,5と記す。
【0021】
壁埋込形子機4は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が呼び出されたときに応答するための復旧ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカ、ハンド形子機5を接続するための接続端子を備えている。ハンド形子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。
【0022】
ハンディナースコール主装置6は、看護師が所持する携帯端末8を用いた通話やデータの送受信に関する制御を行う。このハンディナースコール主装置6は、例えば病院内の通信センタに設置され、ナースコール親機1と接続されている。無線基地局7は、携帯端末8との間で通話やデータの無線通信をするためのものであり、ハンディナースコール主装置6と接続されている。
【0023】
以上のように構成されたナースコールシステムは、患者が使用するナースコール子機4,5からの呼び出しに対し、ナースセンタに設置されたナースコール親機1、病室の外壁などに設置された廊下灯3、病室内のベッドサイドに設置された壁埋込形子機4、看護師が所持する携帯端末8で応答可能に成されている。
【0024】
図2は、本実施形態によるナースコール親機1の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態によるナースコール親機1は、患者情報記憶部11、連絡先記憶部12、レイアウト情報記憶部13、呼出履歴記憶部14、第1通信インタフェース部21、第2通信インタフェース部22、呼出受付部23、応答受付部24、呼出実行部25、操作受付部26、情報記録部27、表示情報設定部28、画像生成部29および表示制御部30を備えている。
【0025】
なお、上記各機能ブロック21〜30は、ハードウェア構成、DSP、ソフトウェアの何れによっても実現することが可能である。例えばソフトウェアによって実現する場合、上記各機能ブロック21〜30は、実際にはコンピュータのCPUあるいはMPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROMに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。
【0026】
したがって、コンピュータが上記本実施形態の機能を果たすように動作させるプログラムを例えばCD−ROMのような記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませることによって実現できるものである。上記プログラムを記録する記録媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光ディスク、光磁気ディスク、DVD、不揮発性メモリカード等を用いることができる。また、上記プログラムをインターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードすることによっても実現できる。
【0027】
患者情報記憶部11は、患者に関する情報(以下、患者情報という)を記憶する。本実施形態において患者情報は、患者の氏名、年齢、性別、症状、病室の部屋番号、患者が使用しているベッドを識別するベッド番号、患者を識別するための患者ID、使用するナースコール子機を識別するための子機ID、入退院日、外出日、外泊日、救護区分などの各種情報を含む。
【0028】
なお、救護区分とは、緊急時に看護師が患者を救護する際に、患者をどのように救護するかを表す情報であり、担送、護送、独歩のように大別されている。担送とは、看護師が患者を担架に乗せて救護する必要があることを意味する。護送とは、看護師が患者に付き添い守りながら救護する必要があることを意味する。例えば、患者に看護師の肩を貸したり、車椅子を用意したりする場合などが護送に該当する。独歩とは、基本的にその患者は一人で歩くことができるため、救護が不要であることを意味する。
【0029】
連絡先記憶部12は、看護師と当該看護師が所持する携帯端末8の連絡先に関する情報(内線番号など)とを関連付けて記憶する。例えば、連絡先記憶部12は、図3に示すように、看護師を識別するための看護師ID、看護師の氏名、看護師が使用する携帯端末8の内線番号をテーブル情報として記憶する。
【0030】
レイアウト情報記憶部13は、病院内における各病室およびナースセンタの配置位置を模式的に表したレイアウト情報を記憶する。なお、本実施形態のレイアウト情報憶は、各病室とナースセンタとの相対位置関係を概略的に表したものであり、建築図面のような厳密な配置位置のレイアウトであることまでは必要でない。
【0031】
呼出履歴記憶部14は、ナースコール子機4,5から呼び出しを行った患者の情報を呼出履歴として記憶する。ここで、呼び出しを行った患者は、呼出受付部23によって特定される(詳しくは後述する)。
【0032】
第1通信インタフェース部21は、制御機2との間で通信を行うものである。第2通信インタフェース部22は、ハンディナースコール主装置6との間で通信を行うものである。
【0033】
呼出受付部23は、ナースコール子機4,5からの呼び出しを受け付けて、所定の報知処理を行う。また、呼出受付部23は、呼び出しを行った患者の患者情報を患者情報記憶部11から読み出して情報記録部27に供給し、呼出履歴情報として呼出履歴記憶部14に記憶させる。
【0034】
すなわち、呼出受付部23は、ナースコール子機4,5から廊下灯3および制御機2を介して送られてくる呼出信号を、第1通信インタフェース部21を介して受信する。そして、受信した呼出信号によって伝えられる子機情報(呼び出しを行ったナースコール子機4,5を特定するための子機IDなど)に基づいて、患者情報記憶部11を参照することにより、呼び出しを行った患者を特定する。
【0035】
そして、呼出受付部23は、特定した患者の患者情報の一部(例えば、氏名、部屋番号、ベッド番号など)を患者情報記憶部11から読み出して画像生成部29に供給する。画像生成部29は、患者情報のポップアップ画面を生成して表示制御部30に供給し、当該表示制御部30の制御によりポップアップ画面を各ディスプレイ1b,1cに表示させる。また、呼出受付部23は、特定した患者の患者情報の一部または全部を患者情報記憶部11から読み出して情報記録部27に供給し、呼出履歴記憶部14に記憶させる。
【0036】
また、呼出受付部23は、受信した呼出信号を呼出実行部25に供給し、携帯端末8への呼び出しを指示する。この指示を受けて、呼出実行部25は、呼出信号を第2通信インタフェース部22を介してハンディナースコール主装置6に送信する。これにより、ハンディナースコール主装置6によって無線基地局7を介して複数の携帯端末8に対する呼び出しが行われる。
【0037】
応答受付部24は、ナースコール親機1、廊下灯3、壁埋込形子機4または携帯端末8からの応答を受け付けて、所定の応答処理を行う。例えば、看護師が患者からの呼び出しに応答するためにハンドセット1aをオフフックすると、その操作を操作受付部26が受け付ける。応答受付部24は、ハンドセット1aがオフフックされたことを示す信号を操作受付部26から受けて、上述した呼出受付部23および呼出実行部25による呼出動作を停止させるとともに、ナースコール親機1とナースコール子機4,5との間に通話状態を確立させる。
【0038】
また、看護師が患者からの呼び出しに応答するために廊下灯3または壁埋込形子機4の復旧ボタンを押下すると、復旧信号が制御機2を介してナースコール親機1に送信され、第1通信インタフェース部21を介して応答受付部24に供給される。応答受付部24は、この復旧信号を第1通信インタフェース部21から受けて、上述した呼出受付部23および呼出実行部25による呼出動作を停止させる。
【0039】
また、看護師が患者からの呼び出しに応答するために携帯端末8をオフフックすると、応答信号がハンディナースコール主装置6を介してナースコール親機1に送信され、第2通信インタフェース部22を介して応答受付部24に供給される。応答受付部24は、この応答信号を第2通信インタフェース部22から受けて、上述の呼出受付部23および呼出実行部25による呼出動作を停止させるとともに、携帯端末8とナースコール子機4,5との間に通話状態を確立させる。
【0040】
呼出実行部25は、携帯端末8に対する呼び出しを実行する。上述のように、呼出実行部25は、ナースコール子機4,5から送られてくる呼出信号を呼出受付部23から受けて、携帯端末8に対する呼び出しを実行する。この場合の呼び出しは、複数の携帯端末8に対して行う。
【0041】
ここで呼び出しの対象とする複数の携帯端末8は、連絡先記憶部12に記憶されている全ての携帯端末8でも良いし、チームナーシングのためにグルーピングされた特定の複数の携帯端末8でも良い。後者の場合は、グループに属する複数の看護師と、そのグループが担当する患者とを関連付けて記憶しておく必要がある。そして、呼出信号によって特定される患者が属するグループに登録されている複数の看護師が所持する携帯端末8に対して呼び出しを実行する。
【0042】
操作受付部26は、ナースコール親機1に対するユーザの操作を受け付ける。例えば、操作受付部26は、看護師がハンドセット1aをオフフックして患者からの呼び出しに応答する操作を受け付け、当該応答操作が行われたことを応答受付部24に通知する。この通知を受けて応答受付部24は、上述したように、呼出受付部23および呼出実行部25による呼出動作を停止させる。
【0043】
また、操作受付部26は、表示制御部30により第1のディスプレイ1bに表示される情報を通じて、ユーザからの所望の操作(タッチパネルに対するタッチ操作)を受け付ける。上述したように、第1のディスプレイ1bにはタッチパネルが備えられ、第2のディスプレイ1cにはタッチパネルが備えられていない。そのため、ユーザは専ら、第1のディスプレイ1bのタッチパネルに対して所望の操作を行い、その操作を操作受付部26が受け付けるようになっている。
【0044】
例えば、操作受付部26は、第1のディスプレイ1bに表示される表示情報設定画面を通じて、2つディスプレイ1b,1cにそれぞれ表示させる情報のタイプを設定するための操作を受け付ける。そして、その操作により設定された内容を表示情報設定部28に通知する。本実施形態において表示可能な情報のタイプは、ベッド画面、呼出履歴画面、ホワイトボード画面、患者情報画面の4つである。ベッド画面については、ボード型およびレイアウト型の2つがある。
【0045】
ボード型のベッド画面は、図4に示すように、各患者に関する簡易情報(患者の氏名、年齢、症状など)を、当該各患者が入室している病室毎にグルーピングしてボード状に一覧表示したものである。また、レイアウト型のベッド画面は、図5に示すように、病院内における各病室およびナースセンタの配置位置を模式的に表したレイアウト上において、各患者に関する簡易情報を当該各患者が入室している病室の概略位置に配置して表示したものである。
【0046】
呼出履歴画面は、図6に示すように、呼び出しを行った患者の氏名、病室の部屋番号、ベッド番号、呼出日時、通話終了時刻などを含む呼出履歴を表示したものである。ホワイトボード画面は、図7に示すように、患者の入退院者数、外出者数、外泊者数などの集計値を表示したものである。患者情報画面は、図8に示すように、各患者の患者情報(患者の氏名、年齢、性別、症状、病室の部屋番号、ベッド番号、患者ID、救護区分などの各種情報)を表示したものである。
【0047】
また、操作受付部26は、第1のディスプレイ1bに表示される上記複数のタイプの画面を通じて、ユーザからの所望の操作(タッチパネルに対するタッチ操作)を受け付ける。例えば、操作受付部26は、第1のディスプレイ1bにおいて上記複数のタイプの画面を切り替えて表示させるための操作(例えば、図4図8において複数のタイプを表したタブ41の選択操作)を受け付ける。そして、その操作内容を表示制御部30に通知する。
【0048】
なお、表示制御部30は、初期状態では、上述した表示情報設定画面における操作を通じて設定されたタイプの画面を第1のディスプレイ1bに表示させる。ただし、画面の切り替え操作を操作受付部26が受け付けた場合、表示制御部30は、その切り替え操作により指定された画面を第1のディスプレイ1bに表示させる。
【0049】
情報記録部27は、ナースコール子機4,5から呼び出しを行った患者の情報を呼出履歴として記憶する。上述のように、呼出履歴は、呼び出しを行った患者の氏名、病室の部屋番号、ベッド番号、呼出日時、通話終了時刻などの情報を含む。患者の氏名、部屋番号、ベッド番号については、呼出受付部23が受け付けた呼出信号および患者情報記憶部11の患者情報から特定される。また、呼出日時については、呼出受付部23が呼出信号を受け付けた日時を取得する。また、通話終了時刻については、応答受付部24が通話状態の切断を検知した時刻を取得する。
【0050】
表示情報設定部28は、上述した表示情報設定画面を通じて操作受付部26が受け付けたユーザの操作に応じて、2つのディスプレイ1b,1cにそれぞれ表示させる情報のタイプを設定する。設定されたタイプを示す情報は、不揮発性のメモリに保存され、表示制御部30により参照される。
【0051】
画像生成部29は、表示制御部30からの指示に応じて、上記複数のタイプの画面を表す画像を生成する。すなわち、画像生成部29は、患者情報記憶部11に記憶されている患者情報を用いて、ボード型のベッド画面の画像を生成する。また、画像生成部29は、患者情報記憶部11に記憶されている患者情報およびレイアウト情報記憶部13に記憶されているレイアウト情報を用いて、レイアウト型のベッド画面の画像を生成する。
【0052】
また、画像生成部29は、呼出履歴記憶部14に記憶されている呼出履歴情報を用いて、呼出履歴画面の画像を生成する。また、画像生成部29は、患者情報記憶部11に記憶されている患者情報を用いて、ホワイトボード画面の画像を生成する。また、画像生成部29は、患者情報記憶部11に記憶されている患者情報を用いて、患者情報画面の画像を生成する。
【0053】
また、画像生成部29は、ナースコール子機4,5からの呼び出しがあったことを呼出受付部23から通知されたときに、患者情報記憶部11に記憶されている患者情報を用いて、呼び出しを行った患者に関する患者情報を表すポップアップ画面の画像を生成する。
【0054】
表示制御部30は、画像生成部29と連携して、表示情報設定部28により設定された情報を2つのディスプレイ1b,1cにそれぞれ表示させるように制御する。ただし、上述したように、第1のディスプレイ1bにおいて画面の切り替え操作が行われた場合、表示制御部30は、その切り替え操作により指定された画面を第1のディスプレイ1bに表示させるように制御する。
【0055】
また、表示制御部30は、上述したように、ナースコール子機4,5からの呼び出しが呼出受付部23にて検知されたときに、呼び出しを行った患者に関する患者情報をポップアップ画面として各ディスプレイ1b,1cに表示させるように制御する。
【0056】
以上詳しく説明したように、本実施形態のナースコールシステムでは、ナースコール親機1が複数のディスプレイ1b,1cを備えまたは接続可能に構成され、当該複数のディスプレイ1b,1cに対してそれぞれ設定された情報を表示させるようにしている。これにより、複数の情報を複数のディスプレイ1b,1cに同時に表示することが可能となる。そのため、ユーザ操作により画面の切り替えをすることなく、看護師が必要な情報を瞬時に確認することができるようになる。
【0057】
また、本実施形態では、第1のディスプレイ1bについてのみタッチパネルを付設し、当該第1のディスプレイ1bに表示される情報を通じて看護師からの所望の操作を受け付けるようにしている。これにより、第2のディスプレイ1cは情報の表示のみに使い、閲覧専用とすることができる。そのため、第1のディスプレイ1bの前で看護師が操作を実行中であっても、第2のディスプレイ1cにおいて複数の看護師が同時に必要な情報を常に確認することができる。
【0058】
例えば、第2のディスプレイ1cとして大画面の表示装置を用い、ナースセンタ内の見やすい場所に設置することにより、複数の看護師が同時に必要な情報を常に容易に確認することができるようになる。
【0059】
なお、上記実施形態では、複数タイプの画面の中から2つを選んで設定し、第1のディスプレイ1bおよび第2のディスプレイ1cにそれぞれ表示させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ナースコール親機1が3つ以上のディスプレイを備えまたは接続可能に構成され、3つ以上のディスプレイに3タイプ以上の画面をそれぞれ表示させるようにしてもよい。このようにすれば、画面の切り替え操作を行うことなく、看護師が3タイプ以上の情報を常に容易に確認することができるようになる。
【0060】
この場合、1つのディスプレイのみをユーザ操作可能なものとしてもよいし、2つ以上のディスプレイをユーザ操作可能なものとしてもよい。ただし、少なくとも1つのディスプレイは情報の閲覧専用とする。
【0061】
あるいは、図9に示すように、2つのディスプレイ1b,1cをそれぞれメイン画面とサブ画面とに分割することにより、4タイプの画面を同時に表示できるようにしてもよい。このようにすれば、ディスプレイというハードウェア構成を極力増やすことなく、4タイプの情報を同時に表示させることができる。
【0062】
なお、図9のように1つのディスプレイを領域分割して2タイプの情報を2画面表示する場合、サブ画面の方は表示領域が狭くなるため、表示可能な情報量も少なくなる。そこで、表示領域が広いメイン画面に表示することが設定されたタイプの画面については必要な情報を全て表示させ、表示領域が狭いサブ画面に表示することが設定されたタイプの画面については重要度の高い一部の情報などを表示させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ナースコール子機4,5からの呼び出しが発生したときに、患者情報のポップアップ画面を両方のディスプレイ1b,1cに表示させる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示制御部30の制御により、第1のディスプレイ1bまたは第2のディスプレイ1cの何れかに対してのみポップアップ画面を表示させるようにしてもよい。このようにすれば、ポップアップ画面が表示されない方のディスプレイに関しては、ポップアップ画面に隠されることなく、表示情報設定部28により設定されたタイプの画面の情報が全て常に見える状態にしておくことができる。
【0064】
例えば、第1のディスプレイ1bに対してのみポップアップ画面を表示させるようにすれば、第2のディスプレイ1cの方には、表示情報設定部28により設定されたタイプの画面の情報を、ポップアップ画面に隠されることなく全て表示させることができる。これにより、ハンドセット1aを用いて呼び出しに対する応答をしていない看護師は、第2のディスプレイ1cを見ることにより、ポップアップ画面に邪魔されることなく必要な情報を全て確認することができる。
【0065】
あるいは、表示制御部30は、2つのディスプレイ1b,1cのうち、図5のようなレイアウト型のベッド画面(請求項3のレイアウト画面に相当)が表示されているディスプレイに対してポップアップ画面を表示させないように制御するようにしてもよい。この場合、例えば第2のディスプレイ1cに対してレイアウト型のベッド画面を表示することが設定されていると、第2のディスプレイ1cにはポップアップ画面が表示されず、第1のディスプレイ1bに対してのみポップアップ画面が表示されることになる。
【0066】
レイアウト型のベッド画面は、呼び出しを行った患者の病室にナースセンタから看護師が向かうときに、患者の病室のおおよその位置を把握するために参照される。このレイアウト画面の上にポップアップ画面が重ねて表示されると、呼出を行った患者の情報がポップアップ画面に隠されて見えなくなる可能性がある。その場合は、レイアウト画面を見ても、患者の病室の位置を把握することができない。これに対して、レイアウト画面が表示されているディスプレイに対してポップアップ画面を表示させないようにすれば、このような問題を回避することができる。
【0067】
また、上記実施形態では、第1のディスプレイ1bに表示されている情報を通じて看護師が行う操作の例として、複数タイプの画面の中から各ディスプレイ1b,1cに表示させる画面を選んで設定するための操作と、第1のディスプレイ1bに表示される画面をタブ41の選択によって切り替えるための操作とを挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、第1のディスプレイ1bに表示される情報の中にGUIの操作ボタンを含ませておき、当該操作ボタンを操作できるようにしてもよい。その場合、操作受付部26は、当該操作ボタンの操作を受け付けて、操作ボタンに関連付けられた所定の処理実行コマンドを発行する。
【0068】
また、上記実施形態では、第1のディスプレイ1bに対してのみタッチパネルを付設することにより、第1のディスプレイ1bに表示される情報のみを通じてユーザからの所望の操作を受け付けるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1のディスプレイ1bに表示される情報に対してのみGUIの操作ボタン等を含ませることによって、第1のディスプレイ1bに表示される情報のみを通じてユーザからの所望の操作を受け付けるようにしてもよい。
【0069】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ナースコール親機
4,5 ナースコール子機
11 患者情報記憶部
12 連絡先記憶部
13 レイアウト情報記憶部
14 呼出履歴記憶部
26 操作受付部
28 表示情報設定部
29 画像生成部
30 表示制御部
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9