【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様では、水分散性ポリマーであるバインダーと、
水分散性であり、かつ前記水分散性ポリマーと混和性のある又は水分散性該ポリマーに結合するエチレン性不飽和化合物であって、インクと共有結合を形成することができるエチレン性不飽和化合物と、
塗料を支持体に結合するのに適した架橋剤と、
を含む支持体用プライマレス塗料を提供する。
【0014】
本発明で支持体として使用することができる適切な基板は、ポリマーフィルム、特にポリオレフィンフィルム、紙、合成紙、織布、不織布、セラミックシート、金属板、及びこれらの材料の組合せによって形成される多層複合シートである。ラベルとして使用される印刷可能なフィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、配向ポリプロピレンフィルムが特に好ましく、欧州特許公開第0202812号明細書による配向ポリプロピレンフィルムがさらにより好ましい。
【0015】
本明細書でいう印刷可能なフィルムは、直接インクを付着することができるフィルム、すなわち、表面層が粘着性インクの引張り力に十分耐えるくらい強く、該表面層の他の部分は、表面から引き離され、剥けとして知られる欠点を有してもよいフィルムである。
【0016】
塗料配合物、得られる塗料、及び塗布製品は、プライマを含まない。これにより、コストの点ばかりでなく、製造装置及び簡潔性の点でも利点がある。さらに、プライマレス系は、印刷性の改良を可能にする。プライマを開示する大量の従来技術は、本発明のプライマレス系から離れたものを教示する。
【0017】
いくつかの従来技術系では、開放された印刷可能表面が、ポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)と、エチレン性不飽和化合物(例えば、Cytec Industries
Inc.のEbecryl(登録商標))との間の相互反応により得られる。フィルムを印刷し、湿ったインクが塗布表面に密着し、次いで印刷されたフィルムを放射線硬化させた時、UV開始剤(インクに含まれている)により、Ebecrylがインクと架橋するラジカル硬化反応が開始し、こうしてインクをフィルムの表面に結合する。当業者は、概して、硬く、印刷できないフィルムが形成される恐れがあるため、被膜をフィルムに結合させる目的のために、架橋剤の使用を避け、代わりに、従来技術系では、塗料をフィルムに結合させる目的で、普通、フィルムと塗料との間に別のプライマ層を使用している。
【0018】
驚くべきことに、本発明者らは、良好な印刷性のような他の品質を落とすことなく結合を行うために、架橋剤を塗料配合物中に使用できることを発見した。本発明者らは、架橋剤を使用して、フィルム表面上の官能基を塗料組成物の成分中の官能基と結合できることを発見した。
また、架橋剤は、耐水性のあるフィルムも過度に硬くすることなく提供し、これは、表面はまだ容易に印刷することができることを意味する。事実、印刷性の改善が見られる。
【0019】
架橋剤は、効果的な印刷性が得られるとともに、効果的な密着(及び場合によっては、耐水性も)を付与できるように使用される。
発明者らは、イソシアネートは自己架橋し、硬い、不粘着性ポリ尿素成分を得る可能性があることを発見しているので、非イソシアネート系架橋剤が好ましい。発明者らは、カルボジイミド、特にアジリジン架橋剤で良好な結果を得ているので、これらの架橋剤が好ましい。当業者は、結合作用を提供し、効果的な印刷性をもたらす他の架橋剤も本発明の範囲内であることを理解するであろう。
【0020】
再び、本発明の系は、プライマベースの従来の系と対比すると、フィルムとトップコートとの間の界面にのみ存在し、トップコートそれ自身の中には存在しない別のプライマ層によって、結合が形成されるものである。
【0021】
本発明では、架橋剤は、概して、エチレン性不飽和化合物と反応することができ、これは、水分散性ポリマーの骨格の一部及び/又は側鎖を形成してもよいし、しなくてもよい。場合によっては、化学相互作用は、これらの2種の材料とポリマーも含む3方向相互作用であり、これにより、インクの受容及び後続の放射線硬化による硬化のために、フィルム表面上にプレポリマーが効果的に形成される。
【0022】
さらに、架橋剤は、概して、塗料組成物中に、水分散性ポリマーの架橋に必要な化学量論的な量を超える量で存在する。これにより、エチレン性不飽和化合物との反応に利用できる架橋剤がいくらか残ることを可能にする。
【0023】
本発明のプライマレス系では、架橋剤は、塗料全体に存在するのが好ましい。架橋剤は、該架橋剤がその上の官能基(例えば、フィルム上の酸基、水酸基及びアミノ基)に結合するフィルム(基板)から、架橋剤がポリマーを架橋し、エチレン性不飽和化合物と化学的に相互作用するトップコート全体を通り抜け、架橋剤がエチレン性不飽和化合物を固定し、まだエチレン性不飽和化合物上にインクとの結合に利用される官能基を残している表面まで達するのが好ましい。
系中に存在するエチレン性不飽和化合物は、インクが系に被覆される時点で、その不飽和基の少なくともいくらかを保持していることが、本発明の重要な特徴である。言い換えれば、塗料は、エチレン性不飽和基が化合物から完全に除かれるまでは硬化せず、塗面に被覆されたインクに対する結合を防止するエチレン性不飽和化合物を含む。
本発明の塗料配合物に使用されるエチレン性不飽和化合物は、(その1個以上のエチレン性不飽和基を介して)塗膜に被覆されたインクに結合する性能を持っていなければならない。
最初はエチレン性不飽和化合物が配合されるが、次いでインクを付着させる前に、インクの密着のために、不十分なエチレン性不飽和基が塗膜に残るように硬化させる塗料配合物は、本発明によるものではない。
【0024】
成分の組合せは、架橋しすぎて、硬い印刷できないフィルムをもたらすことなく、必要量を超える架橋剤を使用することができるようなものである。
好ましい架橋剤の中には、代わりに、加水分解によって過剰な架橋の問題を避けることができるものもある。
エチレン性不飽和化合物との反応;ポリマーを考慮する3方向相互作用;例えば、ポリマー製造において酸官能性のレベルを制限することなどの材料の特定の官能性;架橋剤の量;及び最初の重合時のモノマーの選択は、ある役割を果たすことができ、それにしたがって当業者は、変更することができる。
【0025】
架橋剤とエチレン性不飽和化合物との間の化学的相互作用のメカニズムは、場合によっては、例えば、マイケル付加又はそれに代えて/それに加えてベイリス−ヒルマン反応のような不飽和(エチレン性)結合による塩基誘発求核付加反応であってもよい。
【0026】
塗料組成物は、水性組成物が好ましく、あるいは溶剤(例えば、MEK-メチルエチルケトン−又は酢酸イソプロピル)系も使用することができる。有機溶剤系は、場合によっては、ポリエステルバインダー及び/又は芳香族架橋剤と組合わせて使用してもよい。
【0027】
エチレン性不飽和化合物は、(溶解と対立するものとして)水に対し分散性がある又は混和性があるのが好ましい。
【0028】
本発明の塗料は、先に述べた基板の少なくとも一表面を被覆する層を形成してもよい。水分散性ポリマーは、水分散性アクリレート類、ウレタン類、ウレタンアクリレート類、スチレンブタジエン/無水マレイン酸共重合体及びこれらの混合物から選択されてもよいが、これらは、限定ではなく例示である。水分散性ポリマーは、平滑なフィルムが形成されたインク受容面を形成する。
【0029】
水分散性ポリマーとして使用されるアクリルポリマーとして、少なくとも1種の(メタ)アクリル型モノマーと場合によっては他のビニル系又はアリル系化合物のフリーラジカル付加重合によって得られる(共)重合体が挙げられる。該アクリルポリマーは、平滑なフィルムが形成されたインク受容面を提供する。
【0030】
様々なアクリルポリマーが、この要求を満たすことができる。適切なアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸又はアルキル(メタ)アクリレート(ここで、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有する)のホモポリマー、又は2種以上の該(メタ)アクリル型モノマー及び場合によっては他のビニル系又はアリル系化合物の共重合体である。
【0031】
先に記載したように、水分散性ウレタンポリマーも適切に使用される。アクリルポリマーと同様に、このウレタンポリマーは、平滑なフィルムが形成された、インク受容面を提供できるべきであることが必須である。
【0032】
様々なウレタンポリマーがこの要求を満たすことができる。適切なウレタンポリマーは、例えば、少なくとも過剰量の有機ポリイソシアネートと、少なくとも2個のイソシアネートと反応しうる基を含む有機化合物と、アニオン性塩の官能基(又は酸基であって、次いで前記アニオン性塩の基に変換されてもよい酸基)又は非イオン性基を含むイソシアネートと反応しうる化合物と、活性水素含有鎖延長剤とを反応させることにより形成される末端イソシアネート含有ポリウレタンプレポリマーの反応生成物である。
【0033】
水分散性ポリマーは、UV硬化性の水系又は溶剤系である印刷インクを受容する表面を残しながら、最終フィルム特性として十分な耐水性を提供するために、架橋密度を制限するのに十分な低い量の反応性官能基を有する。10重量%未満の反応性官能基が存在するのが好ましい。
【0034】
水分散性ポリマーの量は、塗料組成物の乾燥後の重さの点から、例えば、10〜98%、好ましくは60〜95%、さらに好ましくは74〜92%である。
【0035】
表面層は、エチレン性不飽和化合物も含む。
【0036】
エチレン性不飽和化合物は、水分散性ポリマーと、水相中の湿った段階では混和性があり、乾燥した段階では相溶性があるように選択される。したがって、エチレン性不飽和化合物は、放射線硬化性インクが一度硬くなった表面層に浸透するのを容易にする可塑剤として作用する。あるいは、又はそれ加え、エチレン性不飽和化合物は、水分散性ポリマーの一部、例えば、ポリマーの官能性側鎖として提供されてもよい。
【0037】
また、エチレン性不飽和化合物は、インクを硬化するために印刷フィルムを照射に供する時、表面層に浸透しているインクの不飽和成分と反応できなければならない。
【0038】
表面層のエチレン性不飽和化合物と放射線硬化性インクの不飽和化合物との間のこの反応により、これらの化合物の間に化学結合が形成され、同時に表面層が架橋され、これによって最終の耐性製品が製造される。
【0039】
エチレン性不飽和化合物は、1分子当たり1〜10個の二重結合を含むのが好ましく、1分子当たり(又は化合物が水分散性ポリマーの側鎖、あるいは一部として提供される場合は、1官能基当たり)2〜5個の二重結合を含むのがさらにより好ましい。
【0040】
適切なエチレン性不飽和化合物は、[アルファ],[ベータ]−エチレン性不飽和酸、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸、イタコン酸又はシトラコン酸、マレイン酸又はフマル酸などと、ポリオール類又はアルコキシ化ポリオール類とのエステル誘導体である。
他の適切なエチレン性不飽和化合物として、エチレン性不飽和アルコール類及びそのエトキシル化変性体と反応したイソシアネートプレポリマー又はオリゴマーの誘導体、例えば、ヒドロキシルエチルメタクリレートと反応したDesmodur(Bayer)3官能性イソシアネートが挙げられる。言い換えれば、本発明で使用されるエチレン性不飽和化合物は、1個以上のエステル結合に加え、あるいはその代わりに、1個以上のウレタン結合を含んでもよい。
【0041】
適切なポリオール類は、飽和脂肪族ジオール類を含む。
該飽和脂肪族ジオール類として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールのようなものが挙げられる。
グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ビスフェノールA及びこれの水素化誘導体も使用してよい。
適切なアルコキシル化ポリオール類として、先に列挙したポリオール類のエトキシル化又はプロポキシル化誘導体が挙げられる。
【0042】
本発明により使用することができるエチレン性不飽和化合物の例は、多官能性アクリレート類である。
該多官能性アクリレート類とは、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ジオノールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートなどのような2官能性アクリレート類;ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのような3官能性アクリレート類;及び4官能性アクリレート類のようなものである。
【0043】
これらのアクリレート誘導体に対応するメタクリレート誘導体も使用することができることは理解されるべきである。
【0044】
さらに、テトラアリルオキシエタンのようなポリアリル誘導体も適切であることが発見された。この点で適切な材料は、Ebecrylという商標でCytecIndustries Inc.から市販されている。
【0045】
エチレン性不飽和化合物の量は、例えば、アクリルポリマーの約2〜約90重量%が可能であり、好ましくは約2〜約15%又は2〜10%である(本明細書では、%は全て乾燥重量基準である)。
【0046】
適切な架橋剤として、カルボジイミド及びアジリジン架橋剤、ならび例えば国際公開02/31016号パンフレットに開示されている架橋剤が挙げられる。
架橋剤は、基材とトップコートとの間の界面で、カルボキシル基、水酸基又はアミノ官能基の間で結合を形成することができる。
【0047】
また、架橋剤は、一度硬化すると、放射線硬化性インクの表面層への容易な浸透を可能にする表面層をもたらしながら、フィルム上に析出する表面層の、最終製品の固さ及び/又は耐水性を改善することもできる。
【0048】
例えば、1〜10%の、より好ましくは1〜5%又は2〜5%の架橋剤が使用される。
【0049】
例えば、ポリマーがアクリルポリマーの場合、架橋剤の量は、アクリルポリマーの10重量%までが可能であり、好ましくはアクリルポリマーの1〜5重量%である。
【0050】
表面層は、必要に応じて、1つのシートの、別のシートへのブロッキングを阻止するために、及びシート走行性、制電性、非透明性、その他を改良するために、他の全ての追加物質を含むことができる。これらの追加物質は、一般的に、全量が、アクリル系ポリマーの約40重量%を超えない量で加えられる。
該追加物質として、例えば、ポリエチレンオキサイド、シリカ、シリカゲル、クレイ、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、合成ゼオライト、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、リトポン、サチン白、などのような顔料、並びに陽イオン、陰イオン及び非イオン静電防止剤などを使用してもよい。
【0051】
例えば、インク密着促進剤及び表面硬化剤として、例えばコロイダルシリカを使用してもよい。インク密着促進剤及び表面硬化剤は、例えば、5〜20%の量で存在してもよい。
【0052】
使用される適切な抗ブロッキング材料として、シリカ、クレイ、フィルムを形成しないポリマー(例えば、PMMA分散液及びビーズ)が挙げられ、例えば、0.1〜3%、好ましくは0.1〜1.0%の添加量で含まれる。
【0053】
水を使用して、約5〜20%の塗料固形物を得てもよい。
【0054】
本発明によれば、表面層は、水性分散液として、基板上に約0.5〜約2.5g/m
2で、ローラー塗布、ブレード塗布、スプレー塗布、エアーナイフ塗布、ロッドバー塗布、反転グラビア印刷などの方法により、基板に被覆され、次いで例えば熱風炉中で乾燥される。
【0055】
したがって、乾燥工程後、表面層は、架橋剤によって平滑に架橋された水分散性ポリマーと、アクリルポリマーマトリックス中に含まれるエチレン性不飽和化合物とを含む。これにより、放射線硬化性インクが容易に表面層に浸透できるとともに、それに続くエチレン性不飽和化合物との反応が可能になる。
【0056】
本発明では、プライマを使用しない。しかし、表面層を被覆する前に、もし十分な官能性が基板の表面にない場合は、場合によっては、湿潤性及び密着性を改良する目的で、従来の方法により前処理を行うことができる。この目的のため、例えば、コロナ作用、コロナ放電、火炎又は酸化剤によって基板を前処理することができるが、組成物の被覆の目的でシート状製品の表面を改良する目的の全ての公知の技術が適していることは理解されるべきである。
【0057】
基板の裏面、すなわち、表面層に被覆されていない面は、一般的に、感圧性接着剤で構成される感圧型接着剤層で被覆することができる。さらに、必要に応じて、剥離剤で構成される剥離フィルム又はシートで感圧型接着剤層を被覆することができる。本発明による印刷用シートを含むこのラミネートは、殆どの種類の表面に貼付される接着ラベルとして使用することができる。
【0058】
したがって、本発明の他の態様は、一面だけが表面層で被覆され、他の面は剥離フィルム又はシートで被覆されている感圧型接着剤層が被覆されている基板を含むラベルに用いられる印刷可能なフィルムに関する。
【0059】
本発明の他の態様は、印刷可能なフィルムを製造する方法であって、基板の少なくとも一面を、水分散性ポリマーと、エチレン性不飽和化合物と、適切な架橋剤と、場合によっては従来の添加剤とを含む水性分散液で塗布する工程と、さらに、そのようにして得た塗料を乾燥する工程とを含む方法に関する。
【0060】
印刷可能なフィルムを製造する方法は、場合によっては、基板の少なくとも一面を塗布する工程の前に、さらに、基板の前処理工程(例えば、コロナ放電処理)を含んでもよい。
【0061】
ラベルの製造に関する特定の実施形態では、前記基板の一面だけを表面層で塗布し、そのようにして得た一面塗布基板を、感圧性接着剤又は別法で塗布するが、感圧性接着剤を、塗布された基板と組合わせた剥離ライナーから転写してもよい。
【0062】
本発明の他の目的は、少なくとも一面が、水分散性ポリマーと、エチレン性不飽和化合物と、適切な架橋剤とを含む表面層で被覆された基板を含む印刷されたフィルムであって、該基板の塗布面は、放射線硬化性インクを使用して、オフセット印刷、グラヴィア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷及び凸版印刷など従来の方法で印刷され、次いで放射線硬化された、印刷されたフィルムに関する。
【0063】
放射線硬化用のインク配合物は、一般的に、顔料、展色剤、溶剤及び添加剤を含む。これらの系の溶剤は、それ自身反応しうる、低粘度モノマー(すなわち、反応性希釈剤として使用される)である。
展色剤は、普通、表面層のエチレン性不飽和化合物と反応することができるアクリレート誘導体のような、不飽和モノマー、プレポリマー又はオリゴマーから誘導される樹脂で構成される。
UVインクに関して、「添加剤」は、UV光の光子に反応して、系の反応を開始する光重合開始剤を大量に含む。
【0064】
UVインクの配合は以下のように一般化される。
顔料 15〜20%
プレポリマー 20〜35%
展色剤 10〜25%
光重合開始剤 2〜10%
他の添加剤 1〜5%.
【0065】
電子線硬化性インクに関しては、「添加剤」は、一般的に光重合開始剤を含まない。
【0066】
希釈剤と呼ばれることもある低粘度モノマーは、最終のポリマーマトリックスに完全に組み込まれ始めることになる、化学反応を起こすことができる。
【0067】
展色剤は、配合物の「硬質樹脂」部分を提供する。概して、これらは、例えば、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトンと水酸基を有する不飽和化合物との反応生成物などの、エチレン性基を有する化合物との反応によって変性された、ウレタン類、エポキシド類、ポリエステル類のような合成樹脂から誘導される。
【0068】
それぞれの塗布方法に求められる粘度を達成するために、使用されるプレポリマー及びモノマーの選択によって、適正な調整を行うことができる。
【0069】
本発明の他の態様は、印刷フィルムを製造する方法であって、
a)基板に水分散性ポリマーと、エチレン性不飽和化合物と、適切な架橋剤とを含む水性分散液を塗布する工程と、
b)そのようにして得た塗料を乾燥する工程と、
c)乾燥塗膜に放射線硬化性インクを付着させる工程と、
d)インクをUV又はEB照射により硬化する工程と、
を含む方法に関する。
【0070】
なお、この方法のそれぞれの工程は、従来の表面層と同様に、同じ条件(速度、コスト、その他)で行われてもよい。
【0071】
最後に、本発明は、本発明により、印刷可能なフィルムにインクを付着することによって得られた印刷されたフィルム、特にそのようにして得られた印刷されたラベルにも関する。