(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子と受光素子の前面に投受光窓を有し、前記発光素子からパルス光を投光し、物体から反射した前記パルス光の反射光を前記受光素子によって検出することにより物体を検知する物体検知装置において、
前記発光素子から高強度パルス光を投光し、前記受光素子による前記高強度パルス光の反射光の検出信号が予め設定されている閾値以上の場合、前記発光素子から低強度パルス光を投光し、前記受光素子による前記低強度パルス光の反射光の検出信号が予め設定されている閾値よりも小さい場合、前記発光素子から再度高強度パルス光を投光し、
前記高強度パルス光の反射光が検出された後、前記低強度パルス光の反射光が検出されず、且つ、再度の高強度パルス光の反射光が検出されない場合に限り、物体が検知されたと判断することを特徴とする物体検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のバックドア用足部検出センサ104としては、安価な反射型赤外線センサ等の反射型光センサが好適である。
しかしながら、反射型光センサは、発光部と受光部の前面にガラス等から形成される投受光窓が配されて構成されるため、特に車両等に取り付けられて屋外環境に曝される場合、投受光窓に付着したゴミや霜・雪等によって正常な動作が阻害され、ユーザの意思とは関係なく不用意にバックドア101が開いてしまう危険性があり、防犯上や雨天時等において問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、反射型光センサの投受光窓に付着したゴミや霜・雪等による物体検知装置の誤動作の問題を解決し、かかる物体検知装置を用いた車両用開閉体制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成すべく成された本発明は、以下の構成を有する。
すなわち、請求項1の発明は、発光素子と受光素子の前面に投受光窓を有し、前記発光素子からパルス光を投光し、物体から反射した前記パルス光の反射光を前記受光素子によって検出することにより物体を検知する物体検知装置において、
前記発光素子から高強度パルス光を投光し、前記受光素子による前記高強度パルス光の反射光の検出
信号が予め設定されている閾値以上の場合、前記発光素子から低強度パルス光を投光し、
前記受光素子による前記低強度パルス光の反射光の検出信号が予め設定されている閾値よりも小さい場合、前記発光素子から再度高強度パルス光を投光し、
前記高強度パルス光の反射光が検出され
た後、前記低強度パルス光の反射光が検出されず、且つ、再度の高強度パルス光の反射光が検出されない場合に限り、物体が検知されたと判断することを特徴としているものである。
【0011】
また、請求項
2の発明は、前記投受光窓は、検出すべき物体が直接触れないように配置されることを特徴としているものである。
【0012】
また、請求項
3の発明は、携帯機から送出される信号の受信結果に基づき、車両の車載機がドアロック機構のロック若しくはアンロック動作を制御するキーレスエントリシステムと、請求項1
又は2に記載の物体検知装置と、を備えた車両用開閉体制御装置であって、
前記信号の受信により前記ドアロック機構をアンロック状態にしている間に、前記物体検知装置によって物体が検知されると、当該車両の所定開閉体を開動作させる開動作手段を有することを特徴としているものである。
【0013】
また、請求項
4の発明は、携帯機から送出される認証信号の受信結果に基づき、車両の近傍に正規のユーザが存在していると認識するユーザ認識システムと、請求項1
又は2に記載の物体検知装置と、を備えた車両用開閉体制御装置であって、
前記認証信号の受信により前記車両の近傍に正規のユーザが存在していることを認識している間に、前記物体検知装置によって物体が検知されると、当該車両の所定開閉体を開動作させる開動作手段を有することを特徴としているものである。
【0014】
また、請求項
5の発明は、前記所定開閉体は車両のトランクであり、前記物体検知装置は車両の後部に装備されていることを特徴としているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物体検知装置によれば、最初に発光素子から高強度パルス光を投光し、受光素子によって高強度パルス光の反射光が検出されると、次に発光素子から低強度パルス光を投光する。そして、少なくとも高強度パルス光の反射光が検出された後、低強度パルス光の反射光が検出されない場合に限り、物体が検知されたと判断することにより、投受光窓に付着したゴミや霜・雪等による誤動作の問題を解決することができる。
また、本発明の車両用開閉体制御装置によれば、車両の正規ユーザによるドアのアンロック及び物体検知装置に対する行為をトリガとしてセキュリティ性を確保しつつ、簡単な操作でドアやトランク等の開閉体を開放できると共に、物体検知装置の投受光窓にゴミや霜・雪等が付着している場合には開閉体が開放されず、ユーザの意思とは関係なく不用意に開閉体が開いてしまうのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の物体検知装置及び車両用開閉体制御装置の実施形態例を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態例は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態例を適宜に変形可能である。
【0018】
(第1の実施形態例)
図1は本発明の第1の実施形態例に係る物体検知装置のブロック図である。
図1において、10は、発光素子1、受光素子2、ケース3及び投受光窓4を備える反射型光センサである。
発光素子1と受光素子2は、一面が開口した樹脂製のケース3に所定間隔をもって収容されている。
ケース3には、発光素子1と受光素子2の間に隔壁3aが形成されており、発光素子1から出た光が受光素子2に直接入射しないようになっている。
発光素子1と受光素子2の前面には、ケース3の開口を塞ぐように光学レンズや光学フィルタからなる投受光窓4が嵌め込まれている。
【0019】
反射型光センサ10は、発光素子1から投受光窓4を通して前方に光を投射し、前方に位置する物体からの反射光を再び投受光窓4を通して受光素子2で受け、この反射光の受光による受光素子2からの出力によって物体の存在を検知できるように構成されている。
なお、本例の発光素子1は発光ダイオード(LED)からなり、受光素子2はフォトダイオードまたはフォトトランジスタからなる。
【0020】
電源11は、電圧安定化回路12や電源電圧監視回路13に電源を供給する。
電圧安定化回路12は、電源11から供給される電圧を5Vに降圧する回路であり、電源電圧監視回路13は、電圧が6V以下になると電圧低下信号VLをマイコン14に送る回路である。
【0021】
マイコン14は、中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、検知結果を一時記憶するメモリ(RAM)、入出力インターフェイス、等から構成される。
そして、マイコン14は、所定周波数の発光指令信号S1を発光素子駆動回路15に出力する。この発光指令信号S1は、マイコン14のROMに書き込まれた異なる発振モードの複数のプログラムと、これらのプログラムを切り換える切換手段によって制御され、発振モードプログラムを切り換えることにより、高強度パルス光あるいは低強度パルス光の発光指令信号S1が出力される。この発光指令信号S1の切換えについては、後で詳述する。
【0022】
発光素子駆動回路15は、発光指令信号S1が1パルス入力される度に発光素子1を1回発光させる回路である。したがって、マイコン14から一定時間の間、発光指令信号S1が出力され続けると、発光素子駆動回路15は発光素子1を一定回数発光させる。
【0023】
発光素子1から投光されたパルス光が物体から反射し、この反射光を受光素子2が受光すると、受光素子2は受光信号を出力する。受光回路16は、受光素子2の受光信号を増幅した検出信号S2を出力する。
【0024】
次に、本例の物体検知装置の動作を
図2のフローチャートに従って説明する。
(ステップS11)
まず、マイコン14は、ROMに書き込まれた複数の発振モードプログラムの中から高強度パルス光の発振モードのプログラムを選択し、高強度パルス光の発光指令信号S1を出力する。これにより、発光素子1から高強度パルス光(本例では、4Hz周期で100μs間発光)が投光される。
【0025】
(ステップS12)
高強度パルス光の反射光を受光素子2が受光し、受光回路16から検出信号S2が出力されると、予め設定されている閾値と検出信号S2が比較される。検出信号S2が閾値以上の時は反射光が検出されたものとしてステップS13に進み、検出信号S2が閾値よりも小さい時は反射光が検出されていないものとしてステップS11に戻る。
【0026】
(ステップS13)
マイコン14は、ROMに書き込まれた複数段のプログラムの中から低強度パルス光の発振モードのプログラムを選択し、低強度パルス光の発光指令信号S1を出力する。これにより、発光素子1から低強度パルス光(本例では、20Hz周期で10μs間発光)が投光される。
【0027】
(ステップS14)
低強度パルス光の反射光を受光素子2が受光し、受光回路16から検出信号S2が出力されると、予め設定されている閾値と検出信号S2が比較される。検出信号S2が閾値以上の時は反射光が検出されたものとしてステップS11に戻り、検出信号S2が閾値よりも小さい時は反射光が検出されていないものとしてステップS15に進む。
【0028】
(ステップS15)
ステップS14で反射光が検出されていない場合には、物体を検出したものとして物体検出信号を出力する。
【0029】
以上のように、本例の物体検知装置では、最初に発光素子1から高強度パルス光を投光し、受光素子2によって高強度パルス光の反射光が検出されると、次に発光素子1から低強度パルス光を投光している。そして、高強度パルス光の反射光が検出され、低強度パルス光の反射光が検出されない場合に限り、物体検出信号を出力している。
これにより、投受光窓4に付着したゴミや霜・雪等による誤動作の問題を解決することができる。この点について以下に説明する。
【0030】
反射型光センサ10は、発光素子1と受光素子2の前面に投受光窓4を有しており、この投受光窓4の前面にゴミや霜・雪等が付着すると、これらの付着物による反射光を受光素子2が検出し、正常に動作しない場合がある。
そこで、先ず発光素子1から高強度パルス光を投光し、受光素子2によって高強度パルス光の反射光が検出されているか否かを判断する(上記ステップS12)。
この高強度パルス光の強度は、投受光窓4に付着物がない状態において、投受光窓4から所定の距離内(例えば数十cm以内)に物体が存在する場合、受光素子2が物体からの反射光を検出できる強度に設定されている。
したがって、上記ステップS12では、投受光窓4から所定の距離内(数十cm以内)に物体が存在する場合だけではなく、投受光窓4の前面に付着物がある場合にも、反射光を検出することになる。
上記ステップS12で反射光を検出すると、次に発光素子1から低強度パルス光を投光し、受光素子2によって低強度パルス光の反射光が検出されているか否かを判断する(上記ステップS14)。
この低強度パルス光の強度は、投受光窓4に付着物がない状態において、投受光窓4からかなり近い距離内(例えば数cm以内)に物体が存在する場合、受光素子2が物体からの反射光を検出できる程度の強度に設定されている。
したがって、上記ステップS14では、投受光窓4からかなり近い距離内(数cm以内)に物体が存在する場合だけではなく、投受光窓4の前面に付着物がある場合にも、反射光を検出することになる。
そして、本例の物体検知装置では、受光素子2によって高強度パルス光の反射光が検出され、低強度パルス光の反射光が検出されない場合に、物体が検知されたものと判断して物体検出信号を出力している(ステップ15)。
【0031】
このように、本例の物体検知装置では、高強度パルス光の反射光が検出され、低強度パルス光の反射光が検出されない場合に物体検出信号を出力しているため、投受光窓4に付着物がない状態で、且つ、投受光窓4から数cm以上数十cm以内に物体が存在している時だけ、物体が検知されたものとされる。よって、投受光窓4に付着したゴミや霜・雪等による誤動作の問題を解決することができる。
【0032】
本例の物体検知装置においては、高強度パルス光と低強度パルス光の強度を変更することにより、物体の検出範囲(距離の上限及び下限)を自由に変更することができる。
このパルス光の強度を変更する方法は特に限定されるものではなく、発光素子に流れる電流を変化させたり、複数の発光素子を用いて発光させる発光素子の数を変化させたりしてもよい。
【0033】
また、上記の説明では投受光窓から数cm以上数十cm以内に物体が存在している時だけ物体が検知されたものとしているため、投受光窓が清浄であっても投受光窓に検出すべき物体(例えば人の手等)が直接触れていても、物体検知とはならない。
このため、検出範囲の距離以内(上記の例では数cm以内)には物体が投受光窓に接近できないように、あるいは検出すべき物体が投受光窓に直接触れることができないように、投受光窓を配置すれば、例えば人が手を翳したことをより確実に検知できるようになる。
【0034】
なお、本例の物体検知装置を、例えば車両のドアやトランクなどの開閉体を開放する際のセンサとして従来のキーレスエントリーシステムやスマートエントリーシステムに組み込む場合、物体検出信号によってアクチュエータ(開閉体制御装置)が作動するように構成すればよい。
【0035】
(第2の実施形態例)
図3は、本発明の第2の実施形態例に係る物体検知装置の動作を説明するためのフローチャートである。なお、本例の物体検知装置の基本的な構成は、
図1のブロック図に示したものと同じであり、再度の説明は省略する。
【0036】
本例の物体検知装置の動作を
図3のフローチャートに従って説明する。
(ステップS21〜S24)
ステップS21〜S24は、第1の実施形態例のステップS11〜S14と同じである。
【0037】
(ステップS25)
ステップS24で反射光が検出されていない場合には、マイコン14は、ROMに書き込まれた複数の発振モードプログラムの中から再度、高強度パルス光の発振モードのプログラムを選択し、高強度パルス光の発光指令信号S1を出力する。これにより、発光素子1から高強度パルス光(4Hz周期で100μs間発光)が投光される。
【0038】
(ステップS26)
高強度パルス光の反射光を受光素子2が受光して、受光回路16から検出信号S2が出力されると、予め設定されている閾値と検出信号S2が比較される。検出信号S2が閾値以上の時は反射光が検出されたものとしてステップS21に戻り、検出信号S2が閾値よりも小さい時は反射光が検出されていないものとしてステップS27に進む。
【0039】
(ステップS27)
ステップS26で反射光が検出されていない場合には、物体を検出したものとして物体検出信号を出力する。
【0040】
以上のように、本例の物体検知装置では、最初に発光素子1から高強度パルス光を投光し、受光素子2によって高強度パルス光の反射光が検出されると、次に発光素子1から低強度パルス光を投光し、受光素子2によって低強度パルス光の反射光が検出されないと、再度発光素子1から高強度パルス光を投光している。そして、最初の高強度パルス光の反射光が検出され、次の低強度パルス光の反射光が検出されず、再度の高強度パルス光の反射光が検出されない場合に、物体検出信号を出力している。
【0041】
本例の物体検知装置では、投受光窓4に付着したゴミや霜・雪等による誤動作の問題を解決することができると共に、次のような効果がある。
【0042】
例えば、第1の実施形態例の物体検知装置をキーレスエントリーシステムやスマートエントリーシステムに組み込んだ場合において、検出範囲内に物体(例えば、縁石や樹木の枝葉等)が入り込むと、ユーザの意思とは関係なくドアやトランク等が開いてしまう可能性がある。
一方、本例の物体検知装置では、検出範囲内に物体が一時的に存在している時だけ、物体検出信号を出力しているため、縁石や樹木の枝葉のように殆んど動かない物は検出されない。よって、ユーザの意思とは関係なくトランク等が開いてしまうことがない。
【0043】
本例の物体検知装置においては、検出範囲内に物体が一時的に存在している時だけ物体が検知されたものとしているが、この一時的な期間は例えばステップS21(もしくはステップ22)とステップS25(もしくはステップ26)の時間間隔を適宜設定することにより簡単に設定することができる。
【0044】
(第3の実施形態例)
本発明の第3の実施形態例は、
図1の物体検知装置を用いた車両用開閉体制御装置に関する実施形態例である。
本例の車両用開閉体制御装置は、車のユーザが携帯する携帯機から送出される信号の受信結果に基づき、車両側の車載機がドアロック機構のロック若しくはアンロック動作を制御するキーレスエントリシステムに、
図1の物体検知装置を装備したものである。
本例の車両用開閉体制御装置における開閉体はトランクであり、物体検知装置は車両の後部に装備される。
【0045】
図4は携帯機20の装置構成を示すブロック図である。
図4において、21は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を備え、予め記憶された制御プログラムを実行することによって各部を制御するマイコンである。22は自動車のドアやトランクの施錠(ロック)を実行させることが可能なドアロックスイッチである。23は、当該自動車のドアやトランクの解錠(アンロック)を実行させることが可能なドアアンロックスイッチである。24は、これらの操作スイッチの操作に応じた所定の無線信号を送出すると共に、当該自動車に搭載された車載機(後述の車載機30)からの無線信号を復調可能な送受信機である。25は、液晶表示器等のディスプレイである。26は、携帯機20の電源をオン・オフする電源スイッチである。
【0046】
図5は車に搭載される車載機30の装置構成を示すブロック図である。
図5において、31は、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を備え、予め記憶された制御プログラムを実行することによって各部を制御するマイコンである。32は所定の無線信号を送出すると共に、予め登録された所定の携帯機20からの無線信号を復調可能な送受信機である。33は、当該自動車のドアロックのロック・アンロック状態を検出するドアロック検出センサである。34は、当該自動車のドアに設けられたキーシリンダの操作状態を検出するキーシリンダ接点スイッチである。35はイグニッションスイッチである。36は、
図1の物体検知装置である。37は、当該自動車のドアロックを動作させるドアロックアクチュエータである。38は、当該自動車のトランクを開放するトランクアクチュエータである。
【0047】
次に、携帯機20と車載機30との間で送受信される各種信号について簡単に説明する。
【0048】
図6は、本実施形態に係るキーレスエントリシステムにおける送受信信号を示す図であり、ドアロックアクチュエータ37にアンロック動作とロック動作を行わせる通信手順を有する。
【0049】
携帯機20から各動作の要求信号が送信されると、その要求信号に対して、車載機30はチャレンジ信号を送信し、そのチャレンジ信号に対して携帯機20は、レスポンス信号を送信する。レスポンス信号を受信した車載機30は、携帯機20より要求された動作を実行すると共に、その動作の完了を報告する確認信号を送信する。
【0050】
ここで、チャレンジ信号及びレスポンス信号は、セキュリティ機能を確保するために送受信される信号であり、車載機30は、携帯機20のスイッチ操作に応じた要求信号を受信したときに、毎回異なる乱数を含むチャレンジ信号を送出する。そのチャレンジ信号を受信した携帯機20は、当該受信信号に含まれる乱数により所定の演算を行って暗号コードを作成し、その作成した暗号コードを含むレスポンス信号を車載機30に送出する。そして、車載機30は、チャレンジ信号として送出した乱数により携帯機20と同様な所定の演算を行って暗号コードを作成し、その作成した暗号コードを、受信したレスポンス信号に含まれていた暗号コードと比較し、比較した結果が一致するときのみ受信した要求信号は正規の携帯機からの無線信号と判断し、その要求信号に応じた動作を実行する。
【0051】
次に、携帯機20のマイコン21にて行われる制御処理と、車載機30のマイコン31にて行われる制御処理について説明する。
【0052】
図7は、本実施形態における携帯機20の制御処理を示すフローチャートである。
(ステップS31)
まず、マイコン21は電源スイッチ26がONになっているか判断し、YESの時にはステップS32に進み、NOの時にはステップS33に進む。
【0053】
(ステップS32)
マイコン21は所定周期が経過したか否かを判定し、NOの時にはステップS33に進み、YESの時にはステップS34に進む。
【0054】
(ステップS33,ステップS34)
マイコン21はドアアンロックスイッチ23の操作が行われたかを判断し(ステップS33)、YESの時には、ドアアンロック要求信号を送信する(ステップS34)。
【0055】
(ステップS35,ステップS36)
車載機30から送信されたドアアンロックチャレンジ信号を受信したかを判断し(ステップS35)、NOの時にはステップS37に進み、YESの時には、そのドアアンロックチャレンジ信号に対応するドアアンロックレスポンス信号を送信する(ステップS36)。
【0056】
(ステップS37,ステップS38)
車載機30から送信されたドアアンロック確認信号を受信したかを判断し(ステップS37)、NOの時にはステップS39に進み、YESの時には、車載機30にてドアアンロック動作が行われたことをユーザに報知すべく、ディスプレイ25に所定のドアアンロック表示を行う(ステップS38)。
【0057】
(ステップS39,ステップS40)
ドアロックスイッチ22の操作が行われたかを判断し(ステップS39)、NOの時にはステップS41に進み、YESの時には、ドアロック要求信号を送信する(ステップS40)。
【0058】
(ステップS41,ステップS42)
車載機30から送信されたドアロックチャレンジ信号を受信したかを判断し(ステップS41)、NOの時にはステップS43に進み、YESの時には、そのドアロックチャレンジ信号に対応するドアロックレスポンス信号を送信する(ステップS42)。
【0059】
(ステップS43,ステップS44)
車載機30から送信されたドアロック確認信号を受信したかを判断し(ステップS43)、NOの時にはリターンし、YESの時には、車載機30にてドアロック動作が行われたことをユーザに報知すべく、ディスプレイ25に所定のドアロック表示を行う(ステップS44)。
【0060】
以上が携帯機20側の制御処理である。
次に
図8及び
図9のフローチャートを参照して本実施形態における車載機30の制御処理について説明する。
(ステップS51)
まず、イグニッションスイッチ35がOFFか否かを判断し、YESの時(イグニッションスイッチがOFFの時)だけステップ52に進む。
【0061】
(ステップS52,ステップS53)
携帯機20から送信されたドアアンロック要求信号を受信したかを判断し(ステップS52)、NOの時にはステップS54に進み、YESの時には、そのドアアンロック要求信号に対応するドアアンロックチャレンジ信号を送信する(ステップS53)。
【0062】
(ステップS54,ステップS55)
携帯機20から送信されたドアロック要求信号を受信したかを判断し(ステップS54)、NOの時にはステップS56に進み、YESの時には、そのドアロック要求信号に対応するドアロックチャレンジ信号を送信する(ステップS55)。
【0063】
(ステップS56〜S58)
携帯機20から送信されたドアアンロックレスポンス信号を受信したかを判断し(ステップS56)、NOの時にはステップS59に進み、YESの時にはドアロックアクチュエータ37にドアアンロック動作を行わせる(ステップS57)と共に、ドアロック検出センサ33の状態からドアアンロックが完了したことを検出した時には、ドアアンロック確認信号を送信し(ステップS58)、ステップS64に進む。
【0064】
(ステップS59〜S61)
携帯機20から送信されたドアロックレスポンス信号を受信したかを判断し、NOの時にはステップS62に進み、YESの時にはドアロックアクチュエータ37にドアロック動作を行わせる(ステップS60)と共に、ドアロック検出センサ33の状態からドアロックが完了したことを検出した時には、ドアロック確認信号を送信する(ステップS61)。
【0065】
(ステップS62,ステップS63)
キーシリンダ接点スイッチ34の状態を検出することにより、ユーザのキー操作によるドアロック操作またはドアアンロック操作が行われたかを判断し、これらの判断でドアアンロック操作が検出されたときにはステップS57に進み、ドアロック操作が検出されたときにはステップS60に進み、何れの操作も検出されなかったときにはリターンする。
【0066】
(ステップS64)
トランクを含むドアがアンロックの状態で、物体検知装置36の電源がオンされる。
【0067】
ステップS65〜S69は、第1実施形態例の物体検知装置の動作とほぼ同じであり、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
(ステップS65)
ROMに書き込まれた複数の発振モードプログラムの中から高強度パルス光の発振モードのプログラムを選択し、高強度パルス光の発光指令信号S1を出力する。これにより、発光素子1から高強度パルス光(4Hz周期で100μs間発光)が投光される。
【0068】
(ステップS66)
高強度パルス光の反射光を受光素子2が受光し、受光回路16から検出信号S2が出力されると、予め設定されている閾値と検出信号S2が比較される。検出信号S2が閾値以上の時は反射光が検出されたものとしてステップS67に進み、検出信号S2が閾値よりも小さい時は反射光が検出されていないものとしてステップS70に進む。
【0069】
(ステップS67)
ROMに書き込まれた複数段のプログラムの中から低強度パルス光の発振モードのプログラムを選択し、低強度パルス光の発光指令信号S1を出力する。これにより、発光素子1から低強度パルス光(20Hz周期で10μs間発光)が投光される。
【0070】
(ステップS68)
低強度パルス光の反射光を受光素子2が受光し、受光回路16から検出信号S2が出力されると、予め設定されている閾値と検出信号S2が比較される。検出信号S2が閾値以上の時は反射光が検出されたものとしてステップS70に進み、検出信号S2が閾値よりも小さい時は反射光が検出されていないものとしてステップS69に進む。
【0071】
(ステップS69)
ステップS68で反射光が検出されていない場合には、物体を検出したものとして物体検出信号を出力する。
【0072】
(ステップS70)
物体検知装置以外(例えば従来のタッチセンサー等)によってトランク開放要求操作が行われたかを判断し、トランク開放要求操作が検出されたときにはステップS71に進み、検出されなかったときにはリターンする。
【0073】
(ステップS71)
トランクアクチュエータ38を作動し、トランクを開放する。
【0074】
以上のように、本例の車両用開閉体制御装置では、車のユーザが携帯する携帯機20から送出される信号の受信によりドアロックアクチュエータ37によってトランクを含むドアをアンロック状態にしている間に、物体検知装置36によって物体が検知されると、トランクアクチュエータ38によりトランクを開放させることができる。このため、正規ユーザによるドアのアンロック及び物体検知装置に対する行為をトリガとして、セキュリティ性を確保しつつ、簡単な操作でトランクを開放できる。
また、物体検知装置36は、高強度パルス光の反射光が検出され、低強度パルス光の反射光が検出されない場合にかぎり、物体検出信号を出力してトランクを開放させる。このため、先の実施形態例で説明したように、反射型光センサの投受光窓にゴミや霜・雪等が付着している場合にはトランクが開放されず、ユーザの意思とは関係なく不用意にトランクが開いてしまうのを防止することができる。
【0075】
なお、本例の車両用開閉体制御装置はキーレスエントリシステムに本発明の物体検知装置を組み込んだ例であるが、携帯機から送出される認証信号の受信結果に基づき、車両の近傍に正規のユーザが存在していると認識するユーザ認識システムを備える所謂スマートエントリーシステムに本発明の物体検知装置を組み込むこともできる。
スマートエントリーシステムに本発明の物体検知装置を組み込む場合には、車両の近傍に正規のユーザが存在していることを認識している間に、本発明の物体検知装置によって物体が検知されると、当該車両の所定開閉体(ドアやトランク)を開動作させる開動作手段(アクチュエータ等)を備えることができる。