(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912631
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】扇風機ユニット
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
F04D25/08 306C
F04D25/08 306F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-32027(P2012-32027)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-167228(P2013-167228A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】302007219
【氏名又は名称】株式会社イングス
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091409
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100096792
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 八郎
(74)【代理人】
【識別番号】100091395
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 博由
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】川合 一郎
【審査官】
松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−004895(JP,U)
【文献】
実開平01−115893(JP,U)
【文献】
実開平01−127995(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3102227(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3102508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根および前記羽根を回転駆動するモータを含む共通の本体部と、
前記共通の本体部に選択的に連結されてこの本体部を支持するように構成された異なった形態の複数の支持部材とを備え、
前記共通の本体部は、前記各支持部材との連結に供される共通の係合部を含み、
前記複数の支持部材は、それぞれ、前記共通の係合部に嵌り合う形状の被係合部を含み、
前記本体部の係合部は、少なくとも下方に開口した受入空間を形成する管状部材であり、
前記各支持部材の被係合部は、前記管状部材の受入空間内に下方から差込まれる挿入部材であり、
前記本体部の管状部材は、間隔を空けてほぼ平行に延びる第1管状部材および第2管状部材を含み、
前記各支持部材の挿入部材は、前記第1および第2管状部材に下方から差込まれる第1および第2挿入部材を含む、扇風機ユニット。
【請求項2】
前記羽根の動きを制御するスイッチを含む操作部は、前記第1および第2管状部材の間に装着される、請求項1に記載の扇風機ユニット。
【請求項3】
前記複数の支持部材は、床面上に立つ支持脚を有するスタンド型支持部材と、床面上を転動する車輪を有する移動型支持部材と、壁に固定される壁掛け型支持部材とを含む、請求項1または2に記載の扇風機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、扇風機に関し、特に種々の支持形態に対応可能な扇風機ユニットおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扇風機は、羽根およびモータ含む本体部と、この本体部を支持する支持部材とを備える。床置き式扇風機の場合、支持部材は、床上に置かれる支持スタンドの形態を有する。壁掛け式扇風機の場合、支持部材は、壁面に固定されるのに適した形態を有する。
【0003】
床置き式扇風機および壁掛け式扇風機を比較すると、支持部材の形態は相違するが、羽根およびモータを含む本体部の形態が同じ場合がある。そのような場合であれば、本体部を共通にして支持部材だけを取り換えるようにすれば、コスト的に有利である。
【0004】
実用新案登録第3136859号公報(特許文献1)は、羽根およびモータを含む本体部を共通にし、支持部材だけを取り換えることによって、スタンド型扇風機、壁掛け型扇風機および天井吊下げ型扇風機として使用できる構造を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3136859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に開示された扇風機では、各支持部材の構成要素である棒状部材を本体部の側面にねじ止めすることによって、本体部と各支持部材との連結を実現している。この従来技術では、ねじ止めのみによって各支持部材と本体部との連結を行うものであるので、本体部がねじ軸回りに動くおそれがあり、本体部の支持構造が不安定である。
【0007】
この発明の目的は、種々の支持形態に対応可能であり、どの支持形態においても本体部を支持部材上で安定して支持することのできる扇風機ユニットおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従った扇風機ユニットは、羽根およびこの羽根を回転駆動するモータを含む共通の本体部と、共通の本体部に選択的に連結されてこの本体部を支持するように構成された異なった形態の複数の支持部材とを備える。共通の本体部は、各支持部材との連結に供される共通の係合部を含み、複数の支持部材は、それぞれ、共通の本体部の係合部に嵌り合う形状の被係合部を含む。
【0009】
上記構成の本発明によれば、異なった形態の各支持部材が、それぞれ、共通の本体部の係合部に嵌り合う形状の被係合部を有しているので、係合部と被係合部とを嵌め合わせることにより、本体部を支持部材上に安定して支持することが可能となる。
【0010】
この発明の一実施形態では、本体部の係合部は、少なくとも下方に開口した受入空間を形成する管状部材であり、各支持部材の被係合部は、上記管状部材の受入空間内に下方から差込まれる挿入部材である。
【0011】
管状部材および挿入部材の数に制約は無いが、一つの例示的な実施形態では、本体部の管状部材は、間隔を空けてほぼ平行に延びる第1管状部材および第2管状部材を含み、各支持部材の挿入部材は、第1および第2管状部材に下方から差込まれる第1および第2挿入部材を含む。この実施形態の場合、好ましくは、羽根の動きを制御するスイッチを含む操作部は、第1および第2管状部材の間に装着される。
【0012】
好ましくは、複数の支持部材は、床面上に立つ支持脚を有するスタンド型支持部材と、床面上を転動する車輪を有する移動型支持部材と、壁に固定される壁掛け型支持部材とを含む。
【0013】
この発明に従った扇風機ユニットの製造方法は、以下の工程を含む。
(a)羽根、この羽根を回転駆動するモータ、および相手側部材との連結に供される係合部を含む本体部を用意すること。
(b)本体部の係合部に嵌り合う被係合部を含み、本体部を支持するための異なった形態の複数の支持部材を用意すること。
(c)複数の支持部材の中から一つの支持部材を選び、この選んだ支持部材の被係合部を本体部の係合部に嵌め合せて、共通の本体部と選択した支持部材とを連結すること。
【0014】
好ましくは、複数の支持部材として、床面上に立つ支持脚を有するスタンド型支持部材と、床面上を転動する車輪を有する移動型支持部材と、壁に固定される壁掛け型支持部材とを用意する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、種々の支持形態に対応可能であり、どの支持形態においても本体部を支持部材上で安定して支持することのできる扇風機ユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の扇風機ユニットの概要を示す図である。
【
図2】扇風機ユニットの本体部を前方から見た斜視図である。
【
図3】扇風機ユニットの本体部を後方から見た斜視図である。
【
図4】電源コードおよび操作部を取り外した状態の本体部を前方から見た斜視図である。
【
図5】電源コードおよび操作部を取り外した状態の本体部を後方から見た斜視図である。
【
図6】壁掛け型支持部材を本体部に取り付ける前の状態を後方から見た斜視図である。
【
図7】壁掛け型支持部材を本体部に取り付けた後の状態を後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態の扇風機ユニットの概要を示している。扇風機ユニットは、羽根およびモータを含む共通の本体部10と、第1のスタンド型支持部材20と、第2のスタンド型支持部材30と、第1の移動型支持部材40と、第2の移動型支持部材50と、第3の移動型支持部材60と、壁掛け型支持部材70とを備える。
【0018】
共通の本体部10と、第1スタンド型部材20または第2のスタンド型支持部材とを組わせた構造にすれば、床面に設置されるスタンド型扇風機となる。共通の本体部10と、第1移動型支持部材40、第2移動型支持部材50または第3移動型支持部材60とを組み合わせた構造とすれば、床面上を移動できる移動型扇風機となる。共通の本体部10と、壁掛け型支持部材70とを組み合わせた構造とすれば、壁に固定される壁掛け型扇風機となる。
【0019】
図2〜
図5は、本体部10を示している。本体部10は、羽根11と、この羽根11を回転駆動するモータ部12と、電源コード13と、電源コードに接続されるとともに、羽根11の動きおよびモータの動きを制御するスイッチを含む操作部14とを備える。
【0020】
図3、
図4および
図5から明らかなように、本体部10は、各支持部材20,30,40,50,60,70との連結に供される共通の係合部を含む。図示した実施形態では、本体部10の係合部は、モータ部12の下方に位置し、少なくとも下方に開口した受入空間を形成する管状部材15,16である。管状部材は、間隔を空けてほぼ平行な関係で上下方向に延びるように設けられた第1管状部材15および第2管状部材16を含む。
【0021】
図示した実施形態では、羽根11等の動きを制御するスイッチを含む操作部14は、第1管状部材15と第2管状部材16との間に形成される空間内に脱着可能に収容されている。
【0022】
図1に示すように、各支持部材20,30,40,50,60,70は、それぞれ、本体部10の係合部に嵌り合う形状の被係合部を含む。図示した実施形態では、各支持部材20,30,40,50,60,70の被係合部は、本体部10の管状部材15,16の受入空間内に下方から差込まれる挿入部材を含む。
【0023】
以下に、各支持部材の形態および構造を簡単に記載する。
【0024】
まず、最初に壁掛け型支持部材70の構造を説明する。壁掛け型支持部材70は、固定穴76,77を有する固定プレート71と、この固定プレートに固定された2本の棒状部材72,73とを備える。2本の棒状部材は、間隔を空けてほほ平行に上方に向かって突出して延びている。一方の棒状部材72は第1の挿入部材を形成し、他方の棒状部材73は第2の挿入部材を形成する。
図6に示すように、支持部材70の第1挿入部材72は本体部の第1管状部材15の内部空間内に下方から差込まれ、第2挿入部材73は本体部の第2管状部材16の内部空間内に下方から差込まれる。第1および第2挿入部材72,73を第1および第2管状部材15,16内に差込んだ後に、止めねじ74,75を用いてそれらの位置関係を固定する。
図7は、壁掛け型支持部材70を本体部10に取り付けた後の状態を示している。この状態で、固定プレート71の穴76,77(
図1参照)を通過するねじを介して扇風機を壁面に固定する。
【0025】
固定プレート71を壁面により安定して固定するために、他の取付け例として、固定プレート71と2本の棒部材72,73とを貫通して延びる4個のねじ78,79,80,81によって、固定プレート71を壁面に固定するようにしても良い。
【0026】
第1スタンド型支持部材20は、逆V字状の形態で固定プレート23に固定された2本の前脚21,22と、ねじ25,26を介して固定プレート23に固定された1本の後脚24とを備える。前脚21,22および後脚24は、床面上に立つ支持脚となる。一方の前脚21の上方部分は、固定プレート23を超えた位置から上方に立ち上がり、第1の挿入部材21aを形成する。他方の前脚22の上方部分は、固定プレート23を超えた位置から上方に立ち上がり、第2の挿入部材22aを形成する。第1および第2の挿入部材21a,22aは、本体部10の第1および第2管状部材15,16の受入空間内に下方から差込まれる。挿入部材21a,22aの差し込み後は、止めねじによって管状部材15,16と挿入部材21a,22aとの位置関係を固定する。
【0027】
第2スタンド型支持部材30は、一本のパイプを床面に沿う矩形に折り曲げて成形した支脚31を含む。パイプの一方端部31aおよび他方端部31bは、上方に立ち上がって延び、第1の挿入部材および第2の挿入部材を形成する。第1および第2挿入部材31a,31bは、本体部10の第1および第2管状部材15,16の内部空間内に下方から差込まれる。
【0028】
第1移動型支持部材40は、一本のパイプを床面に沿う矩形に折り曲げて成形した支脚41と、支脚41の4つの角部に取り付けられたキャスタ42,43,44,45とを備える。支脚41の一方端部41aおよび他方端部41bは、上方に立ち上がって延び、第1の挿入部材および第2の挿入部材を形成する。第1および第2挿入部材41a,41bは、本体部10の第1および第2管状部材15,16の内部空間内に下方から差込まれる。
【0029】
第2移動型支持部材50は、一本のパイプを床面に沿う矩形に折り曲げて成形した支脚51と、支脚51の4つの角部に取り付けられたキャスタ52,53,54,55と、支脚51に固定された握り部を有するハンドルバー56とを備える。支脚51の一方端部51aおよび他方端部51bは、上方に立ち上がって延び、第1の挿入部材および第2の挿入部材を形成する。第1および第2の挿入部材51a,51bは、本体部10の第1および第2管状部材15,16の内部空間内に下方から差込まれる。
【0030】
第3移動型支持部材60は、一本のパイプを折り曲げて成形した支脚61と、一本のパイプを折り曲げて成形したコード掛け部材62と、支脚61に取り付けられたキャスタ63,64,65,66とを備える。支脚61の一方端部61aおよび他方端部61bは、上方に立ち上がって延び、第1の挿入部材および第2の挿入部材を形成する。第1および第2挿入部材61a,61bは、本体部10の第1および第2管状部材15,16の内部空間内に下方から差込まれる。支脚61の中央部分は、
図1に示すように、物品収容ケース67を支えるような形状に折り曲げ成形されている。
【0031】
上記に記載した各実施形態において重要な点は、一つの共通の本体部が各支持部材との連結に供される第1および第2管状部材を含み、異なった形態の複数の支持部材が、それぞれ、本体部の第1および第2管状部材の受入空間内に下から差込まれる第1および第2挿入部材を含んでいることである。扇風機が設置される場所が決定したら、複数の支持部材の中から設置場所に適した一つの支持部材を選択し、この選んだ支持部材の第1および第2挿入部材を本体部の第1および第2管状部材内に嵌め入れて、両者を連結固定する。上下方向に延びる挿入部材と管状部材との嵌合構造であるので、支持部材は本体部を安定して支持することができる。
【0032】
本体部の管状部材の受入空間は、図示した実施形態のように円形断面形状であっても良いし、矩形の断面形状であっても良い。それに応じて、支持部材の挿入部材の断面形状が円形または矩形にされる。前述の実施形態のように、管状部材および挿入部材がそれぞれ2個であれば、より安定した本体部の支持構造が得られる。
【0033】
本体部の係合部および支持部材の被係合部は互いに嵌り合う形状のものであれば良いので、図示した実施形態と異なる形状であってもよい。例えば、本体部の係合部を挿入側の部材、例えば挿入部材とし、支持部材の被係合部を、受入空間を有する部材、例えば管状部材としても良い。
【0034】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、種々の支持形態に対応可能な扇風機として有利に利用され得る。
【符号の説明】
【0036】
10 扇風機の本体部、11 羽根、12 モータ部、13 電源コード、14 操作部、15 第1管状部材、16 第2管状部材、20 第1スタンド型支持部材、21,22 前脚、23 固定プレート、24 後脚、25,26 ねじ、30 第2スタンド型支持部材、31a 第1挿入部材、31b 第2挿入部材、40 第1移動型支持部材、41 支脚、41a 第1挿入部材、41b 第2挿入部材、42,43,44,45 キャスタ、50 第2移動型支持部材、51 支脚、51a 第1挿入部材、51b 第2挿入部材、52,53,54,55 キャスタ、56 ハンドルバー、60 第3移動型支持部材、61 支脚、61a 第1挿入部材、61b 第2挿入部材、62 コード掛け部材、63,64,65,66 キャスタ、70 壁掛け型支持部材、71 固定プレート、72 第1挿入部材、73 第2挿入部材、74,75 止めねじ、76,77 穴、78,79,80,81 ねじ。