(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912641
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】流体計測用センサーの取付構造
(51)【国際特許分類】
G01F 1/00 20060101AFI20160414BHJP
G01F 15/18 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
G01F1/00 G
G01F15/18
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-34078(P2012-34078)
(22)【出願日】2012年2月20日
(65)【公開番号】特開2013-170884(P2013-170884A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163647
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】大宮 潤治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 睦
(72)【発明者】
【氏名】小池 智幸
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−042631(JP,U)
【文献】
実開昭57−012864(JP,U)
【文献】
特開平09−113375(JP,A)
【文献】
実開平02−002643(JP,U)
【文献】
特開平11−064048(JP,A)
【文献】
特開2004−125473(JP,A)
【文献】
実開昭55−006891(JP,U)
【文献】
特開平08−152374(JP,A)
【文献】
米国特許第05115676(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00 −15/18
G01L 19/00
G01L 19/14
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三方以上に分岐した配管における枝管に流体計測用センサーを取り付けて、残りの枝管に形成された流路を流れる流体の性質を計測するための流体計測用センサーの取付構造であって、
該流体計測用センサーを収容するスリーブを有し、
該スリーブは略円筒状の周壁と該周壁の一端側に設けられ該センサーの機能を妨げない保護壁からなるコップ状の部材であって、周壁の保護壁付近にはシールリップが設けられ、
該スリーブは該保護壁が枝管の基端付近に配置されるように該枝管に挿入されており、
該スリーブの周壁に該スリーブの保護壁方向に向かって拡開する逆テーパ状傾斜部が周設され、該枝管内に該逆テーパ状傾斜部と係合する逆テーパ受け部を有し、該逆テーパ状傾斜部を該逆テーパ受け部に押圧することにより逆テーパ状シール部が形成され、そして
該逆テーパ状傾斜部の遠心方向側に円筒状凸部を有し、該枝管内に該円筒状凸部と係合する円筒受け部を有し、該円筒状凸部を該円筒受け部に挿入することにより円筒状シール部が形成される、流体計測用センサーの取付構造。
【請求項2】
さらに、前記スリーブが挿入された枝管の外端に嵌着または螺着されるキャップ部材を有し、
該キャップ部材と該スリーブ内に配置されたセンサーとの間にスペーサが介設される、請求項1に記載の流体計測用センサーの取付構造。
【請求項3】
前記キャップ部材が、ユニオンナットと、前記スリーブ内に挿入され前記スペーサを押圧する押圧具からなる、請求項2に記載の流体計測用センサーの取付構造。
【請求項4】
前記スリーブの周壁に該スリーブの保護壁方向に向かって縮径するテーパ状傾斜部が周設され、前記枝管内に該テーパ状傾斜部と係合するテーパ受け部を有し、該テーパ状傾斜部を該テーパ状受け部に押圧することによりテーパ状シール部が形成される、請求項1から3のいずれかの項に記載の流体計測用センサーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体計測用センサーの取付構造に関する。さらに詳しくは、流体の輸送能力を低下させず且つ測定精度が高い流体計測用センサーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
配管内を流れる流体の流量や液圧、透明度等を測定するために、様々な流体計測用センサーの取付構造が提供されている。これらの取付構造の一つとして、T字継ぎ手に設けられた三つの枝管の一つにセンサーを設置し、残る二つの中を流れる流体の流量等を測定するものがあるが、そのためのセンサーとして、継ぎ手基端部内壁に嵌着され、底部にダイヤフラムが形成された筒状のセンサーケースを備えた流体圧力センサー(特許文献1)が提案されている。また、センサーケースと継ぎ手本体の間のシール性能を高める技術としては、継ぎ手本体と、筒状シール部材と、流体計測用センサーを内蔵するセンサーケースと、押輪を具備し、押輪で筒状シール部材を継ぎ手本体に押し付けることにより筒状シール部材と継ぎ手の間を密封する流体計測用センサーの取付構造(特許文献2)が提案されている。
【0003】
図7に示すように、特許文献1のセンサーおよび特許文献2の取付構造はいずれも既存のT字継ぎ手にセンサーを取り付けるものであるが、この取付構造は、T字継ぎ手と他の配管を接続するための構造を利用しているため、センサー3の位置が接続部Cの近傍になり、センサー3の位置と流路Pが離れてしまうので、正確な流量や液圧等を測定できないことがある。また分岐の部分で乱流が生じてしまい、液溜まりが生じたり、圧力損失が生じたりして、流体の輸送能力が低下する恐れがある。
【0004】
センサー3を流路P付近まで突出させることにより測定値は正確なものに近づくと考えられるが、単純にセンサーを流路に近づけただけではセンサー3と枝管2aの間に液が入り込み、乱流が生じるので、輸送能力が低下する問題は解消できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−166512号公報
【特許文献2】特開平11−64048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、配管を流れる流体の計測を正確に行うことができるばかりでなく、流体の輸送能力も低下させない流体計測用センサーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、三方以上に分岐した配管における枝管に流体計測用センサーを取り付けて、残りの枝管に形成された流路を流れる流体の性質を計測するための流体計測用センサーの取付構造であって、該流体計測用センサーを収容するスリーブを有し、該スリーブは略円筒状の周壁と該周壁の一端側に設けられ該センサーの機能を妨げない保護壁からなるコップ状の部材であって、周壁の保護壁付近にはシールリップが設けられ、該スリーブは該保護壁が枝管の基端付近に配置されるように該枝管に挿入される、流体計測用センサーの取付構造を提供する。
【0008】
1つの実施態様では、さらに、上記スリーブが挿入された枝管の外端に嵌着または螺着されるキャップ部材を有し、キャップ部材とスリーブ内に配置されたセンサーとの間にスペーサが介設される。
【0009】
別の実施態様では、上記キャップ部材が、ユニオンナットと、スリーブ内に挿入されスペーサを押圧する押圧具からなる。
【0010】
さらなる実施態様では、上記スリーブの周壁に該スリーブの保護壁方向に向かって拡開する逆テーパ状傾斜部が周設され、枝管内に該逆テーパ状傾斜部と係合する逆テーパ受け部を有し、該逆テーパ状傾斜部を逆テーパ受け部に押圧することにより逆テーパ状シール部が形成される。
【0011】
さらなる実施態様では、上記スリーブの周壁に該スリーブの保護壁方向に向かって縮径するテーパ状傾斜部が周設され、枝管内に該テーパ状傾斜部と係合するテーパ受け部を有し、該テーパ状傾斜部をテーパ状受け部に押圧することによりテーパ状シール部が形成される。
【0012】
さらなる実施態様では、上記逆テーパ状傾斜部または上記テーパ状傾斜部の遠心方向側に円筒状凸部を有し、枝管内に該円筒状凸部と係合する円筒受け部を有し、該円筒状凸部を円筒受け部に挿入することにより円筒状シール部が形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、三方以上に分岐した配管の枝管に、流体計測用センサーが収容されたスリーブを挿入する流体計測用センサーの取付構造であって、スリーブの保護壁を枝管の基端付近に配置されるように構成されているので、センサーの感度が上昇し、正確な流量や液圧等を測定することができる。また、周壁の保護壁付近にはシールリップが設けられているので、センサーが設置された枝管には流体が流れ込まず、従って液溜まりが生じず、圧力損失も生じないので、流体の輸送能力が低下しない。
【0014】
また、枝管に嵌着または螺着可能なキャップ部材を用い、キャップ部材とセンサーの間にスペーサを介設すれば、スリーブの抜け落ちを防ぐことができるだけでなく、スペーサにより適度の圧力でセンサーを押圧できるので、センサーの揺動を防ぐことができ、測定精度が上昇する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の流体計測用センサーの取付構造を示す概略説明図である。
【
図2】
図1における流体計測用センサーの周辺部分を示す拡大図である。
【
図3】本発明の流体計測用センサーの取付構造の別例を示す概略説明図である。
【
図4A】
図3における流体計測用センサーの周辺部分を示す拡大図である。
【
図4B】流体計測用センサーの周辺部分の別例を示す拡大図である。
【
図5】流体計測用センサーの取付構造の更なる別例を示す概略説明図である。
【
図6】流体計測用センサーの取付構造の更なる別例を示す概略説明図である。
【
図7】従来の流体計測用センサーの取付構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の流体計測用センサーの取付構造1は、
図1に示すように、三方以上に分岐した配管2における枝管2aに流体計測用センサー3(以後、単にセンサー3と称することがある)を取り付けて、残りの枝管2aに形成された流路Pを流れる流体の性質を計測するための流体計測用センサーの取付構造1である。
【0017】
本発明において、三方以上に分岐した配管2とは、一箇所から三方以上に枝管2aが突出している配管をいい、典型的にはT字継ぎ手のように、それぞれの枝管2aに別の配管を接続できるように構成されているものが使用されるがこれに限定されず、
図1に示したような、枝管2aのうち一つ以上がセンサー3を取り付けるのに適した形状に成形されているものでもよい。また図示しないが、クロス継ぎ手のように一箇所から四方に分岐した配管2を用いて、そのうち二つにセンサー3を設け、例えば流量と透明度など2種以上の性質を計測できるように構成してもよい。
【0018】
本発明においては、センサー3を取り付けない残りの枝管2aには別途の管が接続されて、流路Pが形成される。なお、流路Pが形成されるには分岐された枝管2aのうちの少なくとも2本に別途の管が接続される必要がある。
【0019】
別途の管を接続するための構造としては、従来の継ぎ手等に用いられている接続構造が全て好適に使用でき、具体的には実開平2−117494号公報、実開平4−132290号公報、特開平10−54489号公報、特開平10−267176号公報、特開平11−141791号公報、特開平11−257571号公報、特開平11−257572号公報等に記載されている接続方法が例示できる。
【0020】
配管2の材質は、通常の配管に用いられるような樹脂である限りどのような物質でも用いることができ、具体的にはPTFE、PFA、CTFF等のフッ素樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS等が例示できる。また、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属製、好ましくはステンレス製とすることもできる。
【0021】
本発明の取付構造1は、例えば
図2に示すような、流体計測用センサー3を収容するためのスリーブ4を有する。このスリーブ4の形状は略円筒状の周壁4aと該周壁4aの一端側に設けられた保護壁4bからなるコップ状である。
【0022】
前記周壁4aは、該スリーブ4が枝管2a内に収容される際に、枝管2aの内壁と相対する部分であり、該枝管2aの内壁と前記周壁4aの間に液体が入らないようにするためのシール構造が周壁4aに設けられる。
【0023】
本発明においては、シール構造として少なくともシールリップ5aがスリーブ4側に設けられている。シールリップ5aは周壁4aの保護壁4b付近に周設される凸状であり、その断面形状は
図1、
図2に示した例では半円状とされているがこれに限定されず、その他二等辺三角形状等のように遠心方向に突出している形状であればよく、あるいは傾斜した方向に突出していてもよく、さらには均一な径で突出している形状でもよい。
【0024】
なお近年では、例えば集積回路の表面を洗浄するための洗浄液など、極めて粘度の低い液体を高圧で輸送する必要が生じる場合があり、そのような場合には上述のシールリップ5aだけでは液漏れを生じる可能性がある。このような場合には、その他のシール構造を設ければよい。
【0025】
例えば、
図3、
図4Aに示すように、スリーブ4の周壁4aに該スリーブ4の保護壁4b方向に向かって拡開する逆テーパ状傾斜部5b1を周設すると共に、枝管2a内に前記逆テーパ状傾斜部5b1と係合する逆テーパ受け部5b2を設ければ、スリーブ4を枝管2a内に押し込んで、前記逆テーパ状傾斜部5b1を逆テーパ受け部5b2に押圧することにより逆テーパ状シール部5bが形成される。このような逆テーパ状シール部5bによれば、押圧によりスリーブ4と枝管2aの間の隙間が極めて狭くなり流体が入り込み難くなるばかりでなく、逆テーパ状シール部5bの作用と相まって、流体が流れ込んだ場合でも外端2cから漏れ出すまでの経路が長くなるので、シール性が著しく向上する。
【0026】
また、
図3、
図4Aに示すように、スリーブ4の周壁4aに該スリーブ4の保護壁4b方向に向かって縮径するテーパ状傾斜部5c1を周設すると共に、枝管2a内に前記テーパ状傾斜部5c1と係合するテーパ受け部5c2を設ければ、スリーブ4を枝管2a内に押し込んで、前記テーパ状傾斜部5c1をテーパ受け部5c2に押圧することによりテーパ状シール部が形成される。このようなテーパ状シール部5cは、逆テーパ状シール部5bと異なり、流体が漏れ出すまでの経路は若干短くなる。また、ナット6aの螺進と共に大きな圧接力が発揮され、優れたシール性を提供できる。
【0027】
さらに、
図3、
図4Aに示すように、前記逆テーパ状傾斜部5b1または前記テーパ状傾斜部5c1(図示した例では逆テーパ状傾斜部5b1)の遠心方向側であってスリーブ4の軸方向側に円筒状凸部5d1を設けると共に、枝管2a内に前記円筒状凸部5d1と嵌合する円筒受け部5d2を設ければ、スリーブ4を枝管2a内に押し込んで、円筒状凸部5d1を円筒受け部5d2に挿入することにより円筒状シール部5dが形成される。このような円筒状シール部5dは、逆テーパ状シール部5bやテーパ状シール部5cと異なり、ナット6aを螺進させてもスリーブ4側の構造と枝管2a側の構造が押圧されにくいため、スリーブ4と枝管2aの間の隙間を狭くする効果は小さいが、嵌合係合により大きな圧接力が得られるとともに漏れ経路が複雑になることにより、シール性を著しく向上させることができる。
【0028】
なお、
図3、
図4Aに示した例ではシールリップ5aの他、逆テーパ状シール部5b、テーパ状シール部5c、円筒状シール部5dが設けられているが、本発明においてはこの全てが同時に設けられている必要はなく、輸送する流体の粘度や輸送圧に応じて適当なシール構造を選択して設ければよい。例えば、
図4Bに示すように、使用条件にあわせて円筒状シール部5dを形成せず、逆テーパ状シール部5bおよびテーパ状シール部5cだけの構造も可能である。また、同種のシール構造を2箇所以上に設けることも可能であり、例えば、
図3、
図4Aにおける逆テーパ状シール部5bをテーパ状シール部5cに変更し、テーパ状シール部5cを2重に設けてもよい。
【0029】
本発明では、スリーブ4の一端に前記センサー3の機能を妨げない構造の保護壁4bが設けられる。この保護壁4bはスリーブ4内に流体が流れ込んでセンサー3が故障するのを防ぐ役割を果たす。
【0030】
機能を妨げない構造としては、用いるセンサー3の種類によって異なるが、例えばセンサー3が圧力計である場合は保護壁4bをゴム膜や薄肉の樹脂壁とすればよく、センサー3が透明度計である場合は透明樹脂からなる窓を設ければよい。
【0031】
なお、保護壁4bはセンサー3の感度を向上させるため、一般的には薄手の方が好ましい。ただし、被測定流体に腐食性がない場合には、保護壁4bをポリプロピレンにより構成し、
図5に示したような厚手のものにすることができる。この場合、測定可能な圧力変動の上限を小さくでき、測定範囲を拡大できる効果が得られる。
【0032】
本発明においてスリーブ4の材質は、配管2の材質と同じく、PTFE、PFA、CTFF等のフッ素樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS等の樹脂が例示できる。
【0033】
なお、スリーブは炭素鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属製、好ましくはステンレス製とすることもできるが、スリーブを金属製にすればシールリップを一体的に製造できないという難点が生じる。この場合、例えば別途作成したシールリップをスリーブに貼り付ける、またはスリーブに断面半円形の溝を周設してOリングを嵌め込む等の方法により、後付けでシールリップを設けることができる。
【0034】
本発明において、上記スリーブ4は前記保護壁4bが枝管2aの基端2b付近に配置されるように該枝管2aに挿入される。この際、シールリップ5aを有効に機能させ、かつセンサーの感度を向上させるために、好ましくはスリーブの周壁が配管内部に露出しないようにし、より好ましくは保護壁4bと流体の流路Pを構成する枝管2aの内壁が面一になるようにする。これにより該部分における乱流の発生が最小限に抑えられるとともに圧力損失が小さくなるので、流体の輸液能力の低下を防ぐ効果も得られる。また、上述の通り、保護壁4bの付近にはシールリップ5aが設けられているため、センサー3が設けられた枝管2aに流体が入り込まず、液溜まりが生じにくくなるので、流体の利用効率が上昇する。
【0035】
本発明では、スリーブ4が挿入された枝管2aの外端にキャップ部材6を取り付けることにより、スリーブ4の脱落を防ぐことができる。キャップ部材6の形状、構造はスリーブ4の一端を押圧できる形状である他は特に限定されず、
図1に示すような、枝管2aの内部に挿入するものでもよいし、
図3に示すような、枝管2aの外側に取り付けるものでもよい。また、
図1および
図3に示した例はいずれもキャップ部材6を螺着するように構成されているが、これに限定されず、嵌着するように構成されていてもよい。
【0036】
キャップ部材6とスリーブ4内に配置されたセンサー3との間にスペーサ7を介設してもよい。これにより、センサー3を適度な圧力でスリーブ4の内側に押圧することができ、センサー3の揺動を防いで、測定精度を向上させることができる。さらにシール機能も発揮できる。スペーサ7の材質としては、発泡PTFE、発泡ポリウレタン等の発泡樹脂、NBR、シリコンゴム等の低反発ゴムなどの低反発性材料が好ましい。
【0037】
スペーサ7の形状、大きさも、スリーブ4の中に収まり、キャップ部材6の押圧をセンサー3に伝えることができる形状であれば特に限定されないが、最も単純な形状として円柱状が例示できる。また、センサー3が外部電源により作動する場合や有線で外部の機器と通信する場合は、スペーサ7に電源コードやデータ通信線を通すための貫通孔や溝を設けてもよい。
【0038】
通常のT字継ぎ手を用いる場合のように、枝管2aの外端2cからセンサー3までの距離が比較的長くなるような場合には、
図3、
図4Aに示すように、キャップ部材6として、ユニオンナット6aと押圧具6bからなるものを用いてもよい。
【0039】
ユニオンナット6aはT字継ぎ手に他の配管を接続するために通常使用されているものが使用できるがこれに限定されず、例えば袋ナット状のものも使用できる。
【0040】
押圧具6bは前記スリーブ4内に挿入され前記スペーサ7を押圧する部材であり、枝管2aの外端2cまたはスリーブ4の外端とユニオンナット6aに挟持されるフランジ状の部分6bfと、スリーブ4内に挿入される棒状の部分6bbからなる(
図4A)。
【0041】
本発明においてキャップ部材6の材質は、配管の材質と同じく、PTFE、PFA、CTFF等のフッ素樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS等の樹脂が例示できる。また、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属製、好ましくはステンレス製とすることもできる。
【0042】
以下、本発明の取付構造を用いて、流路がU字状の配管に流体計測用センサー3を取り付けてなる流量計Mについて、
図6に基づいて説明する。
【0043】
図6の流量計Mでは三方に分岐した部分が2箇所ある配管が用いられている。流体計測用センサー3はぞれぞれの分岐部分において枝管2aの一つに設けられているが、流路Pは該分岐部分、即ちセンサー3が設けられている部分で直角に曲がっている。この場合、それぞれのセンサー3を圧力計とし、センサー3間における流体の流れ方向に対して平行(保護壁4bの向きが流れ方向に対して垂直)になるように設置して、該流体の前側および後側の圧力を計測するようにしてもよいし、センサー3を超音波発信機および受信機とし、超音波の伝播時間を計測するようにしてもよい。そして、この流量計Mは前記センサー3により得られた計測値から流量を計算するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の流体計測用センサーの取付構造は、流体計測用センサーをコップ状のスリーブ内に設置し、該スリーブを三方向以上に分岐した配管の枝管の一つに挿入して、該スリーブの保護壁(コップ状の底部)が測定対象の流路外壁とほぼ面一になるように設置するとともに、シールリップを設けてスリーブを設置した枝管に流体が入り込まないように構成されているので、配管による流体輸送の分野で利用される。特に、輸送する流体の流量等を測定する必要がある分野に有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 流体計測用センサーの取付構造
2 三方以上に分岐した配管(T字継ぎ手)
2a 枝管
2b 基端
2c 外端
3 流体計測用センサー
4 スリーブ
4a 周壁
4b 保護壁
5a シールリップ
5b 逆テーパ状シール部
5b1 逆テーパ状傾斜部
5b2 逆テーパ受け部
5c テーパ状シール部
5c1 テーパ状傾斜部
5c2 テーパ受け部
5d 円筒状シール部
5d1 円筒状凸部
5d2 円筒受け部
6 キャップ部材
6a ユニオンナット
6b 押圧具
7 スペーサ
P 流路
M 流量計
C 接続部