(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容器本体の底部にはボルトが固定され、ナットを複数個用いることにより、前記容器本体が前記支持台に支持されており、前記ボルトと複数個の前記ナットとが高さ調整機構として機能する請求項1に記載の固形燃料容器。
前記容器本体の底部にはボルトが固定され、前記ボルトの周囲にコイルばねが配設されるとともに、前記支持台を通過した前記ボルトにナットが螺合され、前記ボルト、前記ナット及び前記コイルばねが高さ調整機構として機能する請求項1に固形燃料容器。
【背景技術】
【0002】
バイキング形式やビュフェ形式等の呼び名で呼ばれる、一定料金で指定された範囲から好きなものを好きなだけ食べる事が可能な食事のシステムが最近人気を集めている。このような食事のシステムでは、調理済み料理等の多数の温かい料理を一定時間、所定の温度に保つ必要があり、そのために「チェーフィング」という料理保温装置がよく使われる。
【0003】
チェーフィングとは、料理をのせる皿やプレートの下に熱源を置き、湯煎又は直火により料理を保温することができるように構成された装置をいうが、直火では、温度のコントロールが難しいため、皿やプレートの下に水(お湯)を介在させ、湯煎により料理を保温している場合が多い。このようなチェーフィングを用いる場合、従来より、燃焼芯を有する液体燃料容器に液体燃料を入れ、燃焼芯を用いて燃やして湯煎をすることにより料理を所定の温度に保つ方法を採用していた。
【0004】
しかしながら、このような液体燃料を用いた場合には、液体燃料用燃焼容器に一定の液体燃料を入れておく必要があるが、その際には、蓋を開け、燃料を補充する必要があるほか、一定回数使用すると、燃料以外に燃焼芯の交換が必要となる。
また、液体燃料を液体燃料用燃焼容器に移す際や、液体燃料を入れた容器を持ち運ぶ際にも、液体燃料がこぼれやすく、液体燃料がこぼれた場合には、火災が発生する危険性がある。また、火炎から発生する煙、ススの量が多く、特に消火の際に煙が多く発生するという問題がある。さらに、燃焼芯に着火する際、着火しにくいと言う問題点もある。
【0005】
一方、固形燃料を用いてチェーフィングを保温することも可能である。固形燃料を用いた場合には、料理等の保温を開始する前に、単に固形燃料を容器内に入れ、ライター等で着火するだけでよい。また、燃焼芯の交換が必要なく、燃料がこぼれるおそれがないため、使用前の準備が極めて簡単である。さらに、液体燃料を使用した場合、液体燃料がこぼれた場合には、こぼれた液体燃料に火が付き、火災となる危険性もあるが、固形燃料の場合には、そのような火災の危険性がないという優れた特徴を有する。
そこで最近では、液体燃料に代わって固形燃料を用いたチェーフィングの保温が検討されている。
【0006】
さて、チェーフィングの仕様は、各メーカーにより異なり、燃料容器を載置する燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部までの距離が各メーカーにより異なる。従って、通常使用される固形燃料容器を用いたのでは、充分に加熱できない場合も考えられ、充分な加熱を行うためには、各チェーフィング毎に、専用の固形燃料容器を準備するか、高さを調整するための様々な高さの台を固形燃料容器の下に敷く必要があるため、取り扱いが煩雑になり、また、不便であるという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するための一つの方法として、特許文献1には、液体燃料の燃料容器の開口に芯立てを設け、燃料容器内に垂下させた芯の上端部を支持し、外部に露出させてなる飲食物保温器において、芯立てを燃料容器の開口に着脱自在に取り付けるとともに、指示した芯を上下方向に送ってその露出部の長さを調整する発明が開示されている。特許文献1の方法では、芯の露出部の長さを調整して火炎の大きさを調整することにより、対象となる料理の保温温度を調節することができる。
【0008】
また、火炎の位置を調節する関連発明として、特許文献2には、固形燃料を燃焼させる際に、固形燃料が燃焼によりその重量が減少しても、その燃焼面が下がらず、こんろに掛けられる調理鍋の底面と燃焼面との間隔がほぼ一定に保たれる燃焼補助具が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の液体燃料を用いた場合には、安全面に対する不安等、上記したような種々の不都合が生じるという問題がある。また、燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部での距離が長い場合には、火炎を大きくしても届かない場合があり、また、火炎を大きくすると燃料が早く燃焼してしまうため、加熱時間が短くなってしまったり、加熱のための費用が高くついてしまうという問題がある。
【0011】
特許文献2に記載の燃焼補助具は、燃焼初めから燃焼終わりまでの燃焼面の高さを一定にすることはできるものの、燃焼面の絶対的な高さを調整するものではないため、燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部での距離が燃焼面よりはるかに高い場合には、加熱器具として役立たないという問題がある。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためにされたものであり、火炎の燃焼面の高さを自由に変えることが可能で、燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングに対応することが可能な固形燃料容器、及び、該固形燃料容器を用いたチェーフィングの保温方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明の固形燃料容器は、開口を有する蓋部と、上部が開口し、内部に固形燃料を収容する容器本体と、上記容器本体を支持する支持台とを備えた固形燃料容器であって、さらに容器本体の高さを調整するための高さ調整機構を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の固形燃料容器は、容器本体の高さを調整するための高さ調整機構を備えているので、容器本体に収容した固形燃料の燃焼により生じる火炎の燃焼面の高さを自由に変えることが可能で、燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部(チェーフィングディッシュの底部)までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングに対応することができ、上記チェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0015】
本発明の固形燃料容器において、上記高さ調整機構として、容器本体の底部に固定されたボルト又はナットを備えていることが望ましい。
容器本体の底部に固定されたボルト又はナットを用いることにより、容器本体を上下させることができる。このように、ボルト又はナットという簡単な部材を用いることにより、火炎の高さを自在に調整することが可能である。
【0016】
本発明の固形燃料容器において、上記容器本体の底部にはボルトが固定されるとともに、支持台にはナットが固定され、上記ボルトと上記ナットとが高さ調整機構として機能することが望ましい。
【0017】
この固形燃料容器では、容器本体の底部に固定されたボルトを支持台に固定されたナットに螺合させ、いずれかを回転させることにより、容器本体の高さを簡単に調整することができ、火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。この場合、支持台の上面に開口を形成し、上記開口とナットの孔とが一致するように、上記ナットを支持台に固定することが望ましい。
【0018】
本発明の固形燃料容器において、上記容器本体の底部にはボルトが固定され、ナットを複数個用いることにより、上記容器本体が上記支持台に支持されており、上記ボルトと複数個の上記ナットとが高さ調整機構として機能することが望ましい。
なお、チェーフィングディッシュ底部と載置台の距離にもよるが、本発明の固形燃料容器では、ナットは1〜2個用いることが望ましい。
【0019】
この固形燃料容器では、容器本体の底部に固定されたボルトに1個目のナットを螺合させて所定の位置に止めた後、支持台に設けられた開口に挿通し、他のナットを螺合させて複数のナットで支持台を挟み、締め付けることにより、支持台に容器本体を固定することができる。そして、ナットの位置を変えることにより、容器本体の位置を簡単に調節することができ、火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0020】
本発明の固形燃料容器において、上記容器本体の底部にはボルトが固定され、上記ボルトの周囲にコイルばねが配設されるとともに、上記支持台を通過した上記ボルトにナットが螺合され、上記ボルト、上記ナット及び上記コイルばねが高さ調整機構として機能することが望ましい。
【0021】
この固形燃料容器では、容器本体の底部に固定されたボルトにコイルばねを通し、支持台に設けられた開口に挿通した後、例えば、蝶ナットを螺合させ、蝶ナットを回転させることにより、容器本体の位置を簡単に調整することができ、火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0022】
本発明の固形燃料容器において、上記支持台は、おねじ又はめねじが螺刻された内側支持台と上記内側支持台と螺合するようにねじが螺刻された外側支持台とからなり、上記内側支持台と上記外側支持台とが高さ調節機構として機能することが望ましい。
【0023】
この固形燃料容器では、支持台が2個の部材から構成され、両者が螺合するようにねじが螺刻されているので、上記内側支持台と上記外側支持台とを螺合させた後、いずれかを回転させることにより容器本体の位置を簡単に調整することができ、火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0024】
本発明のチェーフィングの保温方法は、上記の固形燃料容器を用いたチェーフィングの保温方法であって、
上記チェーフィングの被加熱部と火炎との間の距離を調節するため、上記の高さ調整機構を用いて容器本体の高さを調節する工程と、上記固形燃料容器を構成する容器本体内に固形燃料を収納し、上記蓋部を用いて上記容器本体に蓋をする工程と、上記チェーフィングを構成する燃料容器載置部に上記固形燃料容器を載置する工程と、上記固形燃料に着火し、上記固形燃料より発生する火炎によりチェーフィングを所定時間保温する工程とを含むことを特徴とする。
【0025】
本発明のチェーフィングの保温方法では、上記構成の固形燃料容器を用い、上記固形燃料容器を構成する高さ調整機構を用いることにより、チェーフィングと火炎との間の距離を簡単に調整することができるので、燃料容器載置部からチェーフィングの被加熱部(チェーフィングディッシュの底部)までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
容器本体の高さを調節する工程と、容器本体内に固形燃料を収納し、上記蓋部を用いて上記容器本体に蓋をする工程とは、どちらの工程が先であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の固形燃料容器は、容器本体の高さを調整するための高さ調整機構を備えているので、容器本体に収容した固形燃料の燃焼により生じる火炎の燃焼面の高さを自由に変えることが可能で、燃料容器載置部から被加熱部であるチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングに対応することができ、上記チェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0027】
また、本発明のチェーフィングの保温方法では、チェーフィングの被加熱部と火炎との間の距離を簡単に調整することができるので、燃料容器載置部から被加熱部であるチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の固形燃料容器及びこれを用いたチェーフィングの保温方法について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0030】
本発明の固形燃料容器の保温対象となるチェーフィングは、料理をのせる皿やプレートの下に熱源を置き、湯煎又は直火により料理を保温することができるように構成された装置であれば、特に限定されるものではないが、以下の実施の形態においては、内部にお湯を満たすことができるチェーフィングディッシュ及び上記チェーフィングディッシュにはめ込むチェーフィングパンを備えたものをチェーフィングとして説明する。
(第一実施形態)
【0031】
図1(a)は、本実施形態で用いる固形燃料容器の一例を模式的に示した斜視図であり、
図1(b)は、上記固形燃料容器を模式的に示した断面図である。
【0032】
図1(a)、(b)に示す固形燃料容器10は、中央部に開口12aを有する蓋部12と、上部が開口し、内部に固形燃料14を収容する有底円筒形状の容器本体11と、容器本体11を支持する支持台13とを備えており、固形燃料14を容器本体11の内部に収容することができるようになっている。
【0033】
支持台13は、おねじ130aが螺刻された内側支持台13aと内側支持台13aと螺合するようにめねじ130bが螺刻された外側支持台13bとからなり、内側支持台13aと外側支持台13bとが高さ調節機構として機能する。
【0034】
すなわち、この固形燃料容器10では、支持台13が内側支持台13aと外側支持台13bの2個の部材からなり、両者が螺合するようにねじが螺刻されているので、内側支持台13aと外側支持台13bとを螺合させた後、いずれかを回転させることにより容器本体11の高さを簡単に調整することができ、火炎の高さを調整することができる。従って、この固形燃料容器10を使用すれば、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部(チェーフィングの被加熱部分)までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
【0035】
固形燃料14は、アルコール等を主成分とし、石鹸成分等にアルコール等を溶解させることより固形としている。固形燃料14は、通常、樹脂フィルムにより密封されているが、これは、アルコール分等が揮発することにより、固形燃料13中の可燃材料が消失するのを防止するためである。しかし、固形燃料中の成分によっては、必ずしも樹脂フィルムで密封しなくてもよい。なお、固形燃料14の密度は、0.75〜0.85である。
【0036】
容器本体11及び蓋部12は、金属製又はセラミック製であるが、金属製であることが望ましい。耐久性に優れ、軽量とすることができるからである。蓋部12の形状は、特に限定されるものではないが、
図1(a)に示すように、外縁に容器本体11の上部を覆う垂下部が形成されていることが望ましい。蓋部12がずれるのを防止するためである。容器本体11及び蓋部12の材質としては、例えば、SUS430、SUS304、SUS316、アルミニウム合金、ブリキ等が挙げられる。これらのなかでは、SUS430、SUS304、アルミニウム合金が好ましい。
【0037】
容器本体11の内部に載置した固形燃料14に着火した際、容器本体11は温度が上昇するが、支持台13は、余り温度が上昇しないことが望ましく、そのためには、
図1(b)に示したように、容器本体11と支持台13とは、断面積(水平に切断した際の断面積)の小さい結合部15により結合されていることが望ましい。支持台13の温度を、手で持てる程度まで低下させるため、結合部15の長さや上記断面積をより長く、細いものとすることが望ましい。
支持台13の材料も容器本体11及び蓋部12の材料とほぼ同じ材料を用いることができるが、支持台13の温度が余り上昇しない場合には、樹脂製のものも用いることができる。
【0038】
容器本体11の直径Rは、特に限定されるものではないが、40〜120mm程度であることが好ましく、容器本体11の直径Rに対する蓋部12の開口12aの直径rの比(r/R)は、0.2〜0.8程度であることが好ましい。
【0039】
この固形燃料容器10では、その高さを1〜150mm程度調節できることが望ましく、1〜80mm程度調節できることがより望ましい。
【0040】
この固形燃料容器10では、おねじ130aが螺刻された内側支持台13aと内側支持台13aと螺合するようにめねじ130bが螺刻された外側支持台13bとから構成されているが、めねじが螺刻された内側支持台とおねじが螺刻された外側支持台13bとから構成されていてもよい。また、厚さの薄い金属等を用い、プレス成形等により、ねじとなる部分を形成してもよい。
【0041】
この固形燃料容器10では、内側支持台13aが容器本体11と結合されているが、外側支持台が容器本体11と結合されていてもよい。この場合には、容器本体11と固定された外側支持台が蓋となるような態様で形成される。
【0042】
次に、本実施形態の固形燃料容器10を用いたチェーフィングの保温方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本保温方法は代表例であり、上述の固形燃料容器10を用いて、チェーフィングを保温することができれば、他の保温方法を用いてもよい。
【0043】
本発明のチェーフィングの保温方法は、上記の固形燃料容器を用いたチェーフィングの保温方法であって、
上記チェーフィングの被加熱部と火炎との間の距離を調節するため、上記の高さ調整機構を用いて容器本体の高さを調節する工程と、上記固形燃料容器を構成する容器本体内に固形燃料を収納し、上記蓋部を用いて上記容器本体に蓋をする工程と、上記チェーフィングを構成する燃料容器載置部に上記固形燃料容器を載置する工程と、上記固形燃料に着火し、上記固形燃料より発生する火炎によりチェーフィングを所定時間保温する工程とを含むことを特徴とする。
【0044】
図2(a)は、本実施形態の固形燃料容器を用いたチェーフィングの保温方法の一例を模式的に示した斜視図であり、
図2(b)は、上記チェーフィングの一例を模式的に示した、一部分解斜視図である。
【0045】
図2に示すように、本実施形態で用いるチェーフィング20は、お湯を満たすことができるように構成された略直方体形状のチェーフィングディッシュ21の四隅に脚部22が設けられるとともに、チェーフィングディッシュ21にはめ込み、料理等を内部に収容するチェーフィングパン23を備えている。さらに、客に料理を提供する前等においては、料理に蓋をするための略半円筒ドーム形状の蓋部24を備えている。蓋部24は、容器の両側に回転自在に支持されており、取っ手を持って回転させることにより料理に蓋をした状態としたり、蓋を開けた状態とすることができる。
【0046】
さらに、容器の底部に上記実施形態に係る固形燃料容器10を載置するための燃料容器載置部25が取り付けられている。
【0047】
従って、まず、チェーフィング20を構成するチェーフィングディッシュ21にお湯を満たした後、チェーフィングディッシュ21にチェーフィングパン23をはめ込み、準備した料理をチェーフィングパン23の内部に入れる。
【0048】
一方、固形燃料容器10の準備に関しては、まず、チェーフィングの被加熱部(チェーフィングディッシュ21)と火炎との間の距離を調節するため、容器本体11の高さを、例えば、外側支持台13bを回転させることにより適切な位置に設定する。
次に、容器本体11に固形燃料14を収容し、蓋部12を用いて容器本体11に蓋をする。容器本体11の高さを調節する工程と、容器本体11内に固形燃料14を収納し、蓋部12を用いて容器本体11に蓋をする工程とは、どちらの工程が先であってもよい。
【0049】
次に、容器本体11の高さの設定が終了した固形燃料容器10を燃料容器載置部25に載置した後、容器本体11の内部に載置された固形燃料14に点火することにより、所定の時間、チェーフィング20内の料理を所定の温度に保温することができる。
【0050】
燃料容器載置部25の内部に載置する固形燃料容器10の数は、特に限定されるものではなく、チェーフィング20の大きさ等により、2個以上載置してもよい。
以下の第二実施形態〜第四実施形態においても、チェーフィングの保温方法は、ほぼ同様であるので、以下の第二実施形態〜第四実施形態では、チェーフィングの保温方法に関する説明を省略することとする。
【実施例】
【0051】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
(実施例1)
【0052】
まず、
図1に示す固形燃料容器10を準備した。固形燃料容器10を構成する容器本体11の寸法は、内径が80mm、高さが30.5mmであり、蓋部12には、直径が35mmの開口12aが形成されている。そして、容器本体11の内部に、直径74mm、高さが27mmの固形燃料14を収容した。支持台13は、内側支持台13aと外側支持台13bとからなり、内側支持台13aの内径は、ほぼ容器本体と同じで、外側に向かっておねじ130aが形成されており、内側支持台13aと螺合するようにめねじ130bが形成された外側支持台13bが内側支持台13aに螺合されており、ねじを締めた状態で支持台13の高さは、32.4mmであった。
この状態で、固形燃料容器10の高さ(支持台13の最下部から容器本体11の最上部までの距離)は、70mmであった。
【0053】
一方、チェーフィング20を構成するチェーフィングディッシュ21の大きさは、横650mm、縦400mm、高さ320mmであり、このチェーフィングディッシュ21に3000mLの湯を入れ、その上に空のチェーフィングパン23をセットし、固形燃料容器10を燃料容器載置部25に載置した後、容器本体11の内部に収容された固形燃料14に着火することにより、チェーフィングディッシュ21を加熱した。
【0054】
そして、チェーフィングパン23の中央部分に熱電対を接触させ、その温度を測定し、チェーフィング温度とし、このチェーフィング温度の最も高い点をチェーフィング最大到達温度とした。
一方、固形燃料容器10については、
図1(a)に示しているように、外側支持台13bの側面の高さの1/2の点を支持台の温度測定点(D)とし、この温度測定点(D)に熱電対を接触させ、その温度を測定した。これを支持台温度とし、支持台温度の最も高い点を支持台最大到達温度とした。その結果を表1に示す。
(実施例2)
【0055】
固形燃料容器10の高さ(支持台13の最下部から容器本体11の最上部までの距離)を、100mmに設定したほかは、実施例1と同様にして、チェーフィング最大到達温度及び支持台最大到達温度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
【0056】
比較例1に係る固形燃料容器として、
図6に示すような固形燃料容器60を使用した。すなわち、
図6に示す固形燃料容器60は、実施例1と同様の容器本体11及び蓋部12を備え、支持台63も実施例1と同様に、内径はほぼ容器本体と同じで、高さは、32.35mmであったが、支持台63の上面全体が容器本体11の底面に接合されている点が、実施例1に係る固形燃料容器10と異なっていた。この固形燃料容器60の高さは、62.8mmであった。
この固形燃料容器60を用い、実施例1と同様に、支持台63の側面の高さの1/2の点を支持台の温度測定点(D)とし、この支持台温度測定点(D)に熱電対を接触させ、その温度を測定した。チェーフィング最大到達温度及び支持台最大到達温度を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、実施例1では、固形燃料容器10の高さが低いので、チェーフィング最大到達温度も、58.7℃と低かったが、固形燃料容器10の高さを100mmに調節した実施例2の場合は、チェーフィング最大到達温度は、63.5℃とほぼ設定どおりの温度となった。一方、比較例1では、固形燃料容器60の高さが低かったため、チェーフィング最大到達温度も、57.1℃と低かった。
支持台の温度に関しては、実施例1、2では、支持台最大到達温度が33.2℃、31.4℃と低く、保温が終わった直後でも、固形燃料容器を簡単に持ち運ぶことができたが、比較例1では、支持台最大到達温度が74.6℃まで上昇し、保温が終わった直後では、固形燃料容器60を持ち運ぶのが困難であった。
(第二実施形態)
【0059】
図3は、第二実施形態に係る固形燃料容器を模式的に示した断面図である。
第二実施形態に係る固形燃料容器30では、第一実施形態と同様の構成の蓋部12、容器本体11が使用されているが、容器本体11の底面に垂直にボルト35が固定され、支持台33の上面の中央部分には、ボルト35を挿通させるための開口が形成されるとともに、開口と一致する孔を有するナット33aが接合されている。
【0060】
このため、容器本体11の底面に固定されたボルト35をナット33aに螺合させることができ、このボルト35とナット33aとが高さ調整機構として機能する。そして、容器本体11の底部に固定されたボルト35を支持台33に固定されたナット33aに螺合させ、いずれかを回転させることにより、容器本体11の高さを簡単に調整することができ、固形燃料の火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
(第三実施形態)
【0061】
図4は、第三実施形態に係る固形燃料容器を模式的に示した断面図である。
第三実施形態に係る固形燃料容器40では、第二実施形態の場合と同様に、第一実施形態と同様の構成の蓋部12及び容器本体11が使用され、容器本体11の底面に垂直にボルト35が固定されている。一方、支持台43の上面の中央部分には、ボルト35を挿通させるための開口が形成されているが、第二実施形態と異なり、ナットは固定されていない。
本実施例では、2個のナット44a、44bを用い、容器本体11の底部に固定されたボルト45に1個目のナット44aを螺合させて所定の位置に止めた後、支持台43に設けられた開口に挿通し、他のナット44bを螺合させて2個のナットで支持台43の上面を挟み、締め付けることにより、容器本体11を支持台43に固定することができる。
そして、2個のナット44a、44bの位置を変えることにより、容器本体11の位置を簡単に調整することができ、固形燃料の火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
(第四実施形態)
【0062】
図5は、第四実施形態に係る固形燃料容器を模式的に示した断面図である。
第四実施形態に係る固形燃料容器50では、第二実施形態の場合と同様に、第一実施形態と同様の構成の蓋部12及び容器本体11が使用され、容器本体11の底面に垂直にボルト55が固定されている。一方、支持台43の上面の中央部分には、ボルト55を挿通させるための開口が形成されているが、ナットは固定されていない。
【0063】
この固形燃料容器50では、ボルト55の周囲にコイルばね57が配設されるとともに、支持台を通過したボルト55に蝶ナット56が螺合され、蝶ナット56を回転させることにより、固形燃料容器50の高さを調節することができるようになっている。すなわち、ボルト55、蝶ナット56及びコイルばね57が高さ調整機構として機能している。このようにして固形燃料容器50の高さを調節することにより、固形燃料の火炎の高さを調整することができ、燃料容器載置部からチェーフィングディッシュの底部までの距離が異なる種々の形式のチェーフィングを適切な温度で保温することができる。
(その他の実施形態)
【0064】
上記した第二実施形態〜第四実施形態では、容器本体の底面に垂直にボルトが固定され、このボルトとナットとを螺合させた状態で容器本体の高さを調節しているが、容器本体の底面にナットを固定し、支持台に固定したボルトと螺合させることにより、容器本体の高さを調節してもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、
図1に示すように、蓋部として、外縁に垂下部が形成されたものを使用したが、蓋部の形状は、上記形状に限られず、容器本体上部の内側にはめ込むことができるように構成された垂下部を有するものであってもよい。また、蓋部は、容器本体に被せた際にずれなければよく、その幅が容器本体の直径よりも大きく、容器本体上部に溝が形成されたものでもよい。
さらに蓋部の開口の形状は、円形に限られず、楕円等であってもよい。
【0066】
容器本体は、収納する固形燃料が移動しないように、底部の固形燃料を載置する部分の周囲に固形燃料固定用の凸部が設けられたものであってもよい。
【0067】
さらに、上記実施形態では、固形燃料容器は、本体容器と蓋部により構成されているが、固形燃料容器は、蓋部と容器本体とが一体化し、上部に所定直径の開口が形成されたものであってもよい。
その場合には、固形燃料を収納するための、開閉可能な扉が本体容器の側面に設けられている必要がある。
【0068】
保温の対象となるチェーフィングの種類は、特に限定されるものではなく、湯煎式のものであってもよく、直接、プレートを加熱する形式のものであってもよい。