【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る水洗式の簡易トイレシステムは、便器と汚染処理槽とを備え、汚水処理槽は散気による破砕処理槽と嫌気性処理槽と曝気処理槽とを有し、使用開始時に、嫌気性処理槽は空又は空に近い状態にあり、曝気処理槽は便器の水洗水に使用するための水を所定量貯水してあり、便器使用後の水洗水に前記曝気処理槽に貯水してある水をポンプアップして使用することで便器から発生する汚水及び水洗水を破砕処理槽に受水し、エアー散気による汚物の破砕処理を行うステップと、前記破砕処理された汚水を嫌気性処理槽に受水するステップとを有し、前記曝気処理槽に貯水してあった水洗水が少なくなった後に嫌気性処理槽にて処理された汚水処理水が曝気処理槽に流入するステップとを有することを特徴とする。
【0006】
ここで、破砕処理槽は槽の底部からエアーを散気することで汚物を破砕するものであるのが好ましい。
また、曝気処理槽は当該処理槽の底部から槽深さの1/5〜2/3の高さに散気手段を設置した沈殿処理曝気槽であるのが好ましい。
このようなトイレシステムを使用する際に、請求項1〜3のいずれかのシステムを用いたトイレであって、トイレは外から開放自在のドアと、トイレ室内側にドアのロック装置と、コイン投入口を備え、外からドアを開けトイレ室内に入室し、コインを前記コイン投入口に投入するとロック装置がドアを施錠するものであるようにすることもできる。
この場合にコインを持ち合せていない等のケースを考慮すると、ドアを施錠しないで使用した場合にトイレ室内に人がいるのが外から分かるように閉じたドアの下から足元が見えるようにしてもよい。
【0007】
これまでに提案されている汚水処理装置は、まず汚水を嫌気性処理槽に受水し、嫌気性下で微生物処理した後に好気性処理するものが一般的である。
しかし、汚水原水を直接的に嫌気性処理すると、メタンガス,硫化ガス等の異臭性の非常に強いガスが多量に発生する問題もあった。
これに対して本発明は、便器から発生した汚水原水に含まれる汚物やトイレットペーパーなどをエアーの散気により破砕した。
このようにエアー散気(曝気)により汚物等を細かく破砕すると、その後の微生物処理が容易になるとともに、尿中アンモニアの硝化作用を促進し、異臭の発生が低減される。
【0008】
本発明に係る水洗式簡易トイレシステムの特徴は、本システムの開始に当たり、曝気処理槽に便器の使用後の水洗に用いるための綺麗な水を貯水しておき、嫌気性処理槽を空か空に近い状態にした点にある。
ここで曝気処理槽に予め貯水した水は綺麗なので曝気する必要はないが、酸素を水洗水に充分に溶存しておく観点から曝気してもよい。
曝気処理槽に予め貯水してあった水は、トイレ使用回数が増すにつれて減水し、この水洗水と汚物との混合汚水が破砕処理槽を経由して嫌気性処理槽に送り込まれる。
本システムでは初めにエアー散気で破砕処理するので、嫌気性処理槽は嫌気性微生物の充分な働きを確保すべく2段処理方式にするのが好ましい。
【0009】
予め貯水してあった曝気処理槽の水が少なくなり所定量以下になると、その前に設けた嫌気性処理槽が所定量以上、例えば、嫌気性処理槽を2段に設けた場合に少なくとも第1段の嫌気性処理槽が満水に近い状態になり、その後に曝気処理槽に移送されてくることになるのがよい。
嫌気性処理槽にて分解されなかった有機物は、曝気処理槽で好気性微生物により有機物が分解する。
この曝気処理槽にて固形分が下に沈殿処理された上部の浄水が便器の貯水部にポンプアップされる。
【0010】
さらにトイレの使用回数が増し、曝気処理槽が満水になった時点で一旦本システムの使用を終了とし、バキュームカー等を用いて上記初めの状態に戻す。
従って、本発明に係るシステムにおいてトイレの使用可能な回数を増やすには、水の減量手段を設けてもよい。
例えば曝気処理槽の水面に向けて風を吹き付けることで蒸発を促す方法、加温して蒸発を促す方法、斜面等に流水し蒸発を促す方法等がある。
また、曝気と超音波を組み合せることで蒸発を促す方法も考えられる。