特許第5912672号(P5912672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912672
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】処理容器
(51)【国際特許分類】
   B24C 9/00 20060101AFI20160414BHJP
【FI】
   B24C9/00 M
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-46515(P2012-46515)
(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公開番号】特開2013-180378(P2013-180378A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】昭和電工ガスプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正之
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−108357(JP,A)
【文献】 特開平08−121948(JP,A)
【文献】 実開昭61−104188(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0190046(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 9/00
F25D 23/02
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の充填、あるいは投射材が投射される開口部が形成されたケース体と、このケース体の開口部を開閉する開閉扉とを備える処理容器において、前記ケース体の開口部の周縁に固定された周縁板と、前記開閉扉の内側面に前記ケース体の開口部を覆うように、外周部が前記周縁板と面接触状態で密着するように弾性支持状態で取付けられた内扉と、この内扉の外周部の前記周縁板と前記開閉扉の内側面との間に位置して密封することができるパッキンとからなり、前記周縁板はケース体の開口部よりも少し内側へ突出し、かつフェノール樹脂や硬質樹脂で形成されていることを特徴とする処理容器。
【請求項2】
開閉扉の内側面には内扉の外周部よりも大きな外周部となる内扉取付け凹部が形成されるとともに、該内扉取付け凹部の周縁部にパッキンが取付けられていることを特徴とする請求項1記載の処理容器。
【請求項3】
前記内扉は、開閉扉に複数個の弾性体を介して弾性支持状態で取付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の処理容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内部に冷媒を充填したり、冷媒を充填しながら投射材の投射や、投射材だけの投射を行なうショットブラスト装置等に使用される処理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の処理容器はケース体の開口部を開閉扉で開閉可能に構成され、かつケース体の開口部と開閉扉とを密封するために、シリコンゴム等の軟質樹脂パッキンを設置している。
【0003】
しかしながら、内部に冷媒が充填されたり、投射材が投射される処理容器として使用すると、充填された冷媒によって軟質樹脂パッキンが低温となり、硬化して損傷しやすくなるという欠点があるとともに、軟質樹脂パッキンの位置まで投射材が位置し、清掃作業をこまめに行なわなければ軟質樹脂パッキンの損傷や、密封もれが生じるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−71596号公報
【特許文献2】特許第3442439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ケース体の開口部と開閉扉との間を密封状態に覆うパッキンが低温となり、硬化して損傷したり、パッキンに投射材が投射されて損傷するのを効率よく阻止することができるとともに、投射材がパッキンに付着するのを効率よく阻止して密封状態を保つことができる、パッキンの耐久性を向上させ、パッキンの交換作業を低減し、作業効率の向上を図ることができる処理容器を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は冷媒の充填、あるいは投射材が投射される開口部が形成されたケース体と、このケース体の開口部を開閉する開閉扉とを備える処理容器において、前記ケース体の開口部の周縁に固定された周縁板と、前記開閉扉の内側面に前記ケース体の開口部を覆うように、外周部が前記周縁板と面接触状態で密着するように弾性支持状態で取付けられた内扉と、この内扉の外周部の前記周縁板と前記開閉扉の内側面との間に位置して密封することができるパッキンとからなり、前記周縁板はケース体の開口部よりも少し内側へ突出し、かつフェノール樹脂や硬質樹脂で形成されている処理容器を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、ケース体の開口部を内扉がケース体の周縁板に弾性支持状態で密着する内扉で覆うことができる。
したがって、ケース体の周縁板と開閉扉との間に位置し、密封するパッキンにケース体内に充填される冷媒や投射材が直接触れるのを防止し、パッキンが低温となり、硬化して損傷したり、パッキンに投射材が投射されて損傷するのを防止して、耐久性の向上を図ることができるとともに、パッキンに投射材が付着するのを防止して、パッキンの交換を遅らせることができ、かつパッキンの清掃作業をあまり行わなくても密封状態を保つことができ、効率よく作業を行なうことができる。
(2)前記(1)によって、ケース体の開口部を弾性支持状態の内扉で覆うことができるので、ケース体内を密封することができる。
(3)前記(1)によって、開閉扉の内側面に内扉を取付けているので、開閉扉の開閉操作は従来と同様に行なうことができ、従来の開閉扉の操作性を損なうことがない。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、フェノール樹脂(ベークライト)や硬質樹脂を周縁板に用いているので、内扉との接触が良くなり、密封や耐久性の向上を図ることができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、開閉扉が厚くなることなく、容易にパッキンを取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の横断面図。
図2】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の縦断面図。
図3】本発明を実施するための第1の形態のブラスト処理ケース体の説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の開閉扉の内側面の説明図。
図5図4の5−5線に沿う断面図。
図6図1の要部拡大断面図。
図7】本発明を実施するための第1の形態の開閉扉を閉じた状態の説明図。
図8】本発明を実施するための第1の形態の開閉扉を開放した状態の説明図。
図9】本発明を実施するための第2の形態の使用状態の横断面図。
図10】本発明を実施するための第2の形態の内扉の説明図。
図11】本発明を実施するための第2の形態の開閉扉を閉じた状態の説明図。
図12】本発明を実施するための第3の形態の説明図。
図13図12の13−13線に沿う断面図。
図14】本発明を実施するための第3の形態の開閉扉の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明を用いたショットブラスト装置で、このショットブラスト装置1は機枠2と、この機枠2の上部に取付けられた底面がホッパ状のブラスト処理室3を形成するヒンジ部材4で取付けられた開閉扉5を有するケース体としてのブラスト処理ケース体6と、このブラスト処理ケース体6内に備えられた、バリを除去する成形品7を支持するバケット8を着脱可能に支持するモータ9で駆動するバケット支持具10と、前記ブラスト処理ケース体6の上部に取付けられた前記バケット支持具10に支持された、バリを除去する成形品7に投射材11を投射する投射機12と、前記ブラスト処理ケース体6内に冷媒を供給する冷媒供給装置13と、前記ブラスト処理ケース体6の下部位置の前記機枠2に外部に開口しないように取付けられた、該ブラスト処理ケース体6より落下してくるバリ等のダストを含む投射材を、少なくともダストと投射材とに選別する前記投射機12と連動して作動する選別装置14と、この選別装置14で選別された投射材が供給される密封状の投射材チャンバー15と、この投射材チャンバー15にほぼ垂直となるように取付けられた該投射材チャンバー15内の投射材11を吸引する吸引ノズル16と、この吸引ノズル16に一端が接続され、他端が前記投射機12の吸引口12aに接続された、該投射機12の駆動によって前記投射材チャンバー15内の投射材11を吸引供給する投射材輸送管17と、前記選別装置14で選別されたバリ等が供給される密封状のバリ等の収納容器18と、前記吸引ノズル16の開口端部より該吸引ノズル16内に前記選別装置14からの空気を供給する空気供給具19と、前記吸引ノズル16の上部寄りの部位に吸引ノズル16の詰まりを防止できるように、前記選別装置14からの空気を供給する詰まり防止用空気供給具20と、前記ブラスト処理ケース体6の開口部6aを覆う開閉扉5を閉状態に固定するロック装置21とで構成されている。
【0012】
前記ブラスト処理ケース体6は図3に示すように、ウレタン注入発泡材22が充填された材質を用いて形成されたケース体本体23と、このケース体本体23の開口部6aの周縁に固定された、該開口部6aよりも少し内側へ突出してフランジ部24となり、かつフェノール樹脂(ベークライト)や硬質樹脂で形成された周縁板25とで構成されている。
【0013】
前記開閉扉5は図4ないし図6に示すように、ウレタン注入発泡材で形成された開閉扉本体26と、この開閉扉本体26の内側面に形成された、前記ケース体本体23の開口部6aよりも大きい内扉取付け凹部27と、この内扉取付け凹部27内に位置するように複数個、本発明の実施の形態では6個の台形状の板バネ28を介してビス29で取付けられた外周部が、前記周縁板25の開口部25a内へ入り込み、外周部のフランジ部30が周縁板25のフランジ部24に面接触する内扉31と、この内扉31を取付ける複数本のビス29の頭部29aの位置する部分をそれぞれ気密にできるように取付けられたビス頭部気密ケース32と、前記内扉取付け凹部27の端部に前記内扉31からの熱を遮断するベークライト板33、パッキン支持枠34、パッキン固定プレート35を固定する複数個の皿ビス36および、前記パッキン固定プレート35に背面が接着固定されたシリコンゴムパッキン37とで構成されている。
【0014】
上記構成のショットブラスト装置1は処理容器であるブラスト処理ケース体6の開閉扉5を開放して、バリを除去する成形品7を収納したバケット8をブラスト処理ケース体6内へ挿入してバケット支持具10に支持させる。
【0015】
しかる後、開閉扉5を閉じるが、この時、ブラスト処理ケース体6の周縁板25の開口部25a内に内扉31の突出部31aが侵入するとともに、周囲のフランジ部30が周縁板25のフランジ部24と面接触した状態となり、ブラスト処理ケース体6を密封状態で閉じることができる。
【0016】
なお、内扉31は開閉扉5に複数個の板バネ28を介して取付けられているため、開閉扉5をブラスト処理ケース体6にロック装置21でロックされても、ブラスト処理ケース体6の周縁板25には弾性状態で内扉31のフランジ部30が当接して密封状態を保つとともに、周縁板25と開閉扉5のパッキン37が当接し、密封状態を保つことができる。
【0017】
成形品7からバリを除去する作業は、冷媒供給装置13を作動させてブラスト処理ケース体6内を冷却するとともに、モータ9でバケット支持具10を回転させてバケット8を回転させ、投射機12、選別装置14を駆動させて、従来と同様に行なう。
【0018】
このバリ取り作業時にブラスト処理ケース体6内は冷却されるとともに、投射材11が投射された状態となるが、内扉31によって、該内扉31より外側へ冷気は投射材11が位置するのを確実に阻止できる。
【0019】
また、開閉扉5を開放する場合、開閉扉5のパッキン37がブラスト処理ケース体6の周縁板25より離れた後、内扉31のフランジ部30が周縁板25より離れるため、内扉31の内側面に投射材やバリが付着していても、開閉扉5のパッキン37に付着するのを効率よく阻止でき、パッキン37部分の清掃作業が不要あるいは極めて簡単に行なうことができる。
【0020】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図9ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図9ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、外周部がフランジ部30となるベース板38をゴム、合成樹脂材の弾性体39を介してビス29で開閉扉本体26の内扉取付け凹部27に取付けるとともに、該ベース板38に外周部のフランジ部30を残して断熱空間40ができるように固定された浅皿状の内壁板41とからなる内扉31Aを開閉扉5Aに取付けた点で、このようなブラスト処理ケース体6と開閉扉5Aを用いる処理容器を使用したショットブラスト装置1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、冷媒供給装置13内に保冷商品収納棚42が複数個形成されたケース体6Aの開口部6aを開閉する内扉31が設けられた開閉扉5を取付けた保冷庫、保冷コンテナとして使用することができる処理容器44にした点で、このように構成しても開閉扉本体26にケース体6A内の冷気が伝わるのを効率よく阻止することができる。
【0023】
なお、冷媒が供給されるケース体内に処理製品を収納して超低温で処理する超低温機器にも同様に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は内部に冷媒を充填したり、冷媒を充填しながら投射材の投射や、投射材の投射を行なうショットブラスト装置等に使用される処理容器を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0025】
1、1A、1B:ショットブラスト装置、
2:機枠、 3:ブラスト処理室、
4:ヒンジ部材、 5、5A:開閉扉、
6:ケース体としてのブラスト処理ケース体、
6A:ケース体、 7:成形品、
8:バケット、 9:モータ、
10:バケット支持具、 11:投射材、
12:投射機、 13:冷媒供給装置、
14:選別装置、 15:投射材チャンバー、
16:吸引ノズル、 17:投射材輸送管、
18:バリ等の収納容器、 19:空気供給具、
20:詰まり防止用空気供給具、 21:ロック装置、
22:ウレタン注入発泡材、 23:ケース体本体、
24:フランジ部、 25:周縁板、
26:開閉扉本体、 27:内扉取付け凹部、
28:板バネ、 29:ビス、
30:フランジ部、 31、31A:内扉、
32:ビス頭部気密ケース、 33:ベークライト板、
34:パッキン支持枠、 35:パッキン固定プレート、
36:皿ビス、 37:パッキン、
38:ベース板、 39:弾性体、
40:断熱空間、 41:内壁板、
42:保冷商品収納棚、 44:処理容器。
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図3
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