(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
希釈された紙料スラリを溜める希釈撹拌槽は、紙料スラリを供給するスラリポートと、希釈水を供給する希釈水ポートと、異物を排出する排出ポートと、その排出ポートの手前に堰となるゲートとを有し、底部には、異物を排除した紙料スラリのみを通過させるディスクスクリーンと、そのディスクスクリーン上を回転する撹拌ローターとが設けられたディスク式濾過装置において、
前記希釈撹拌槽へ紙料スラリを供給する紙料スラリ供給手段と、前記希釈撹拌槽へ希釈水を供給する希釈水供給手段と、前記希釈撹拌槽内の状態を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を駆動制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物の粗大化を判断し、所定のタイミングで前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を制御するようにしたものであること、
前記希釈撹拌槽には前記ディスクスクリーンを通過した紙料スラリが送られる排出管が接続され、前記排出管には液面制御弁が設けられ、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物が粗大化したと判断した場合に前記液面制御弁を閉じ、前記粗大化した異物が排除されたと判断した場合には前記液面制御弁を開くようにしたものであることを特徴とするディスク式濾過装置。
希釈された紙料スラリを溜める希釈撹拌槽は、紙料スラリを供給するスラリポートと、希釈水を供給する希釈水ポートと、異物を排出する排出ポートと、その排出ポートの手前に堰となるゲートとを有し、底部には、異物を排除した紙料スラリのみを通過させるディスクスクリーンと、そのディスクスクリーン上を回転する撹拌ローターとが設けられたディスク式濾過装置において、
前記希釈撹拌槽へ紙料スラリを供給する紙料スラリ供給手段と、前記希釈撹拌槽へ希釈水を供給する希釈水供給手段と、前記希釈撹拌槽内の状態を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を駆動制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物の粗大化を判断し、所定のタイミングで前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を制御するようにしたものであること、
前記検出手段は、前記撹拌ローターを回転させる駆動モータにかかる負荷を検出するものであること、
前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物が粗大化したと判断した場合と、前記粗大化した異物が排除されたと判断した場合との各々の場合に、判断した各々の状態が所定時間維持されるか否かの確認が行われるものであることを特徴とするディスク式濾過装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、禁忌品古紙には紙の原料とならないラミネートフィルムの他にもビニール紐やプラスチック品などの異物が多く含まれていることがある。そうした異物の多く含まれているものを原料とした場合、排出される前に異物同士が絡み合って粗大化し、希釈撹拌槽内で滞留してしまうことがある。粗大化異物が滞留した状態の希釈撹拌槽内では、ディスクスクリーンと撹拌ローターとの間に異物が噛み込むなどして、ディスク式濾過装置の処理能力を低下させてしまう。また、異物が滞留してしまうと希釈撹拌槽内の液面レベルが下がらなくなる。すると、液面レベルに従って送り込まれる新たな紙料スラリの投入が止められるため、処理量が低下してしまう。
【0006】
このような問題を解決するには、予め異物を除去することも考えられるが、処理対象の原料には機密扱いのものなどもあり、また作業負担が大きくなることもあり、中身を処理前に確認することは行われていない。そのため、作業者は、運転中に希釈撹拌槽内を監視し、粗大化異物を定期的に排除することが行われる。しかし、含まれる異物によって滞留物の成長が異なるため、作業者の監視回数は増えてしまい、その負担を減らすために監視の頻度を下げてしまうと、異物が大きくなり過ぎてしまった場合に、運転を一旦停止して取り出し作業を行うことになってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、自動的に粗大化異物を排除するようにしたディスク式濾過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク式濾過装置は、希釈された紙料スラリを溜める希釈撹拌槽が、紙料スラリを供給するスラリポートと、希釈水を供給する希釈水ポートと、異物を排出する排出ポートと、その排出ポートの手前に堰となるゲートとを有し、底部には、異物を排除した紙料スラリのみを通過させるディスクスクリーンと、そのディスクスクリーン上を回転する撹拌ローターとが設けられたものであり、前記希釈撹拌槽へ紙料スラリを供給する紙料スラリ供給手段と、前記希釈撹拌槽へ希釈水を供給する希釈水供給手段と、前記希釈撹拌槽内の状態を検出する検出手段と、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を駆動制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物の粗大化を判断し、所定のタイミングで前記紙料スラリ供給手段および希釈水供給手段を制御するようにしたものであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るディスク式濾過装置は、前記制御手段が、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物が粗大化したと判断した場合には、前記紙料スラリ供給手段を停止し、前記希釈水供給手段から希釈水を供給し、前記粗大化した異物が排除されたと判断した場合には、前記紙料スラリ供給手段の駆動を再開するようにしたものであることが好ましい。
また、本発明に係るディスク式濾過装置は、前記希釈撹拌槽には前記ディスクスクリーンを通過した紙料スラリが送られる排出管が接続され、前記排出管には液面制御弁が設けられ、前記制御手段は、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物が粗大化したと判断した場合に前記液面制御弁を閉じ、前記粗大化した異物が排除されたと判断した場合には前記液面制御弁を開くようにしたものであることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るディスク式濾過装置は、前記検出手段が、前記撹拌ローターを回転させる駆動モータにかかる負荷を検出するものであることが好ましい。
また、本発明に係るディスク式濾過装置は、前記制御手段が、前記検出手段の検出信号に基づいて前記希釈撹拌槽内の異物が粗大化したと判断した場合と、前記粗大化した異物が排除されたと判断した場合との各々の場合に、判断した各々の状態が所定時間維持されるか否かの確認が行われるものであることが好ましい。
また、本発明に係るディスク式濾過装置は、前記希釈撹拌槽内の液面を検出するレベルセンサを有し、前記制御装置は、前記レベルセンサからの検出信号に基づいて液面を算出し、所定の閾値を超えている場合に前記希釈水供給手段からの希釈水の供給を停止させるようにしたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、希釈撹拌槽内の異物の粗大化を検出手段からの検出信号に基づいて判断し、紙料スラリ供給手段を停止させ、希釈水供給手段から希釈水を供給させることによって液面を上昇させることにより、粗大化した異物をゲートを越えさせて自動排出を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係るディスク式濾過装置の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。本実施形態のディスク式濾過装置は、連続式パルパーの下流側にあり、その上流から送り込まれる紙料スラリを受けて濾過処理を行うものである。連続式パルパーは、縦型円筒容器に水や薬品を注入して溶液が満たされ、そこに前述したように禁忌品古紙を含めた紙料が投入される。紙料は撹拌ローターによって離解が徐々に進み、溶液に溶け込んでいき、紙料スラリとなって取出管を通って取り出される。そして、紙料スラリは、連続式パルパーの下流側に配置されている本実施形態のディスク式濾過装置へと送り込まれる。
【0014】
図1は、本実施形態のディスク式濾過装置の構成を示した断面図である。ディスク式濾過装置1は、紙料スラリを希釈した処理液Wを溜める希釈撹拌槽10を有し、そこにはスラリポート101と希釈水ポート102が形成されている。連続式パルパーには、容器底部にスクリューフィーダーを備えた取出管が形成され、スラリポート101に接続されている。従って、スクリューフィーダーによって所定量の紙料スラリSがスラリポート101から供給され、一方で希釈水ポート102からは希釈水Kが供給され、希釈撹拌槽10内で紙料スラリSの紙料濃度が薄められる。
【0015】
希釈撹拌槽10には、中央部分に深い濾過部110が形成され、処理液Wが溜まるようになっている。濾過部110の底には紙料スラリSを濾過させるディスクスクリーン12が配置され、その上を僅かな隙間をあけて撹拌ローター11が回転するよう構成されている。ディスクスクリーン12は、処理液W内の異物の通過を遮断するパンチングメタルのフィルタであり、濾過部110の下に設けられたチャンバ21を塞いでいる。チャンバ21には濾過された紙料スラリSを次工程へと送る排出管22が連結されている。
【0016】
撹拌ローター11は、四枚の撹拌羽根が放射状に広がり、ディスクスクリーン12上を回転するものである。そのため、撹拌ローター11は回転可能なシャフト13の上端に固定されている。シャフト13は、希釈撹拌槽10から下方に突き出し、駆動モータ15の回転が伝達される。希釈撹拌槽10には軸受台16が吊設され、駆動モータ15やカバー18が取り付けられている。軸受台16は、上下に2個の軸受17が固定され、その軸受17によってシャフト13が回転自在に支持されている。シャフト13と駆動モータ15は、カバー18内に収められたプーリとVベルトとによって回転が伝達される。なお、シャフト13が希釈撹拌槽10を突き抜ける箇所には、漏れ防止のためのランタンリングやグランドパッキンを備えたパッキンボックス23によってシール処理が施されている。
【0017】
希釈撹拌槽10は、スラリポート101および希釈水ポート102とは反対側にゲート25が形成され、処理液Wが溜められるようになっている。ゲート25は堰になっており、そこを越えた位置に排出ポート103が形成されている。排出ポート103は、下流側に設置された振動スクリーンなどの濾過装置に接続されている。ゲート25は、排出ポート103側に傾斜し、その下側には給水ポート26が形成されている。給水ポート26の位置には案内板27が取り付けられ、給水ポート26から送り込まれた水がゲート25の傾斜面に沿って勢い良く流れ、液面を浮遊する異物がゲート25を越えるための押水Pとなるように構成されている。
【0018】
従って、処理液Wに含まれる異物のうち、液面に浮く軽量異物Nは、押水Pによってゲート25を乗り越えて排出ポート103へ流れることとなる。一方、処理液Wの中には沈んでしまう重量異物Mも含まれており、希釈撹拌槽10の底部には重量異物Mを回収する回収管28が形成されている。回収管28は、ゲート25の下に口が形成され、下方に延びた先に不図示の回収タンクが接続されている。希釈撹拌槽10の底に沈む重量異物Mが回収管28内に落ちて回収タンクに集められるようになっている。
【0019】
従って、ディスク式濾過装置1の運転中は、軽量異物Nが排出ポート103へと送られ、重量異物Mが回収管28から回収タンクで回収されることが好ましい。しかし、処理対象となった紙料によっては異物が多く含まれ、それらが処理液W内で絡み合うなどして粗大化異物Hとなり、押水Pだけではゲート25を乗り越えられずに希釈撹拌槽10内に滞留してしまうことがある。本実施形態では、そうした粗大化異物Hを排出ポート103から自動的に排除するようにしたものである。
【0020】
本実施形態の自動排除は、希釈撹拌槽10内に希釈水Kを追加して処理液Wの液面高さを上げることにより、粗大化異物Hがゲート25を乗り越え易くなるようにしたものである。
図2は、粗大化異物の自動排除を実行するための構成を示したブロック図である。まず、希釈撹拌槽10へは連続式パルパーからスクリューフィーダーを介して紙料スラリSが送り込まれる。従って、紙料スラリSの供給調整は、スクリューフィーダーの送り用モータ31によって行われる。
【0021】
一方、希釈撹拌槽10には、希釈水ポート102からの希釈水Kの供給量を調整する希釈水注入弁32や、希釈撹拌槽10内の希釈水Kの量を調整するための液面制御弁33が設けられている。濾過された紙料スラリSは、
図1に示すように、希釈撹拌槽10の下にあるチャンバ21から排出管22へと流れるが、液面制御弁33は、排出管22の先に配置されている。すなわち、ディスクスクリーン12で濾過された紙料スラリSは、その下流側にあるタンクへバキューム装置によって引抜きされるが、液面制御弁33は、希釈撹拌槽10と不図示のタンクとの間に設けられている。
【0022】
そして、ディスク式濾過装置1には、こうした送り用モータ31、希釈水注入弁32および液面制御弁33のほか、撹拌ローター11を回転させる駆動モータ15の駆動制御を行う制御装置30が設けられている。そして、その制御装置30には、撹拌ローター11の負荷を検出する負荷検出センサ35と、処理液Wの液面高さを検出するレベルセンサ36が接続されている。
【0023】
負荷検出センサ35は、駆動モータ15が直流モータである場合には電流値の変化量を検出し、交流モータである場合にはその回転速度の変化量を検出することで、駆動モータ15の負荷、すなわち処理液W内で回転する撹拌ローター11にかかる抵抗を検出するものである。また、レベルセンサ36には例えば差圧伝送器が使用され、希釈撹拌槽10内の処理液Wの液面を連続的且つリアルタイムに検出するものである。レベルセンサ36は、その他にも、撹拌槽底面に設置され、槽内の処理液Wよってかかる圧力から液面を計測する圧力式のものなどであってもよい。
【0024】
次に、ディスク式濾過装置1の作用について説明する。先ず、ディスク式濾過装置1の上流にある連続式パルパーでは、水や薬品を注入した溶液中に紙料が投入され、その紙料が溶け込んで紙料スラリSが作られる。紙料スラリSはスクリューフィーダーの回転によってスラリポート101からディスク式濾過装置1に送り込まれる。そのディスク式濾過装置1は、希釈撹拌槽10内に紙料スラリSが送り込まれる他、希釈水ポート102からは希釈水Kが供給される。従って、ディスク式濾過装置1では、紙料スラリSを低濃度に薄めた処理液Wの濾過処理が行われる。
【0025】
希釈撹拌槽10内の液面がレベルセンサ36により検出され、その検出信号に基づいて算出される液面高さに従い、連続式パルパーから送り込まれる紙料スラリSの供給量が調整される。例えば、処理液Wの液面高さは、
図1に示すようにゲート25よりも低く設定され、設定値を超えることによりスクリューフィーダーの回転が停止、あるいは回転速度が抑えられ、紙料スラリSの供給量が調整される。一方、希釈水Kは希釈水注入弁32の開閉によって希釈撹拌槽10への供給量が調整されるが、これはスクリューフィーダーによる紙料スラリSの供給量に連動している。例えば、連続式パルパーからは濃度が15〜20パーセントで送り込まれた紙料スラリSは、ディスク式濾過装置1内では希釈水Kと混ざり合って2〜4パーセントの濃度に薄められる。
【0026】
希釈撹拌槽10内の処理液Wは、撹拌ローター11が回転することにより、ディスクスクリーン12上で撹拌される。そして、ディスクスクリーン12を越えたチャンバ21側が不図示のバキューム装置によって負圧になっている。そのため、処理液Wは、ディスクスクリーン12を通ることによって異物が除かれた紙料スラリSが不図示のタンクへと回収される。一方、希釈撹拌槽10の底に沈んだ重量異物Mは、回転する撹拌ローター11によってディスクスクリーン12上には留まらずに回収管28へと落ちて回収される。
【0027】
また、希釈撹拌槽10内に溜まっている処理液Wの液面には、軽量異物Nが浮遊している。希釈撹拌槽10内には、スラリポート101や希釈水ポート102から紙料スラリSや希釈水Kが送り込まれ、反対側のゲート25では給水ポート26からの押水Pが傾斜面に沿って上方へ吹き出している。そのため、軽量異物Nはゲート25側へ流れて押水Pによってゲート25を乗り越えて押し出され、排出ポート103から次工程へと流れる。その際、軽量異物Nが小さい状態であればよいが、絡み合って粗大化してしまうと容易にゲート25を乗り越えることができずに滞留してしまう。
【0028】
通常運転時の処理液Wの液面はゲート25の高さよりも低い位置にあるため、粗大化した異物は重くなり、押水Pの勢いだけではゲート25を乗り越えられなくなってしまう。そこで、ディスク式濾過装置1では、制御装置30による粗大化した異物の自動排除が行われる。
図3は、粗大化異物の自動排除フローを示した図である。制御装置30は、この自動排除フローを実行するための自動排除プログラムを有している。
【0029】
負荷検出センサ35は、例えば直流モータである駆動モータ15の電流値を常に検出するものであり、制御装置30では、その検出信号に基づき撹拌ローター11を回転させる駆動モータ15の負荷値が算出される。粗大化異物Hの中には針金片やクリップ、ビニール紐などの様々な物が絡まっており、例えば30kg程度の重量にもなる。そして、希釈撹拌槽10の底部の方で異物が撹拌ローター11に当たったり噛み込むなどして抵抗になる。本実施形態では、駆動モータ15の電流値から求めた撹拌ローター11の回転抵抗により、粗大化異物Hを排出すべきタイミングを求めることとした。
【0030】
制御装置30では、常に駆動モータ15の負荷値が設定値を超えていないか確認が行われている(S101)。負荷値が設定値以下であれば(S101:NO)、異物がさほど粗大化していないと判断して通常運転を継続し、負荷値の確認が繰り返される。一方、負荷値が設定値を超えた場合には(S101:YES)、粗大化異物Hの自動排除が実行される。粗大化異物Hの自動排除は排出ポート103への排出である。そのためには、希釈水Kの追加により希釈撹拌槽10内の処理液Wの液面をゲート25以上に上昇させ、粗大化異物Hがゲート25を越える状態がつくりだされる。
【0031】
それには先ず、送り用モータ31の駆動が停止し、スクリューフィーダーによる紙料スラリSの供給が止められる(S102)。希釈撹拌槽10内へ更に異物が投入されるのを防止し、紙料スラリが排出ポート103から排出されてしまわないようにするためである。また、このとき濾過処理も一旦停止するため、液面制御弁33が閉じられる(S103)。そして、処理液Wが希釈撹拌槽10から溢れ出してしまわないように注意する必要がある。工場によっては希釈水Kの供給流量が安定せず、液面制御弁33の閉弁によって処理液Wが希釈撹拌槽10の容量を超えてしまうことがあり得るからである。
【0032】
制御装置30では、レベルセンサ36からの検出信号に基づいて液面高さが算出される。そして、処理液Wが希釈撹拌槽10から溢れないように所定の高さが閾値として設定されているため、実際に液面高さがその閾値を超えているか否かの確認が行われる(S104)。液面高さが閾値を超えている場合には(S104:YES)、希釈水注入弁32が完全に閉じられる(S105)。一方、液面高さが閾値を超えていない場合には(S104:NO)、希釈水注入弁32の開状態が制御される(S106)。すなわち、閾値を超えない範囲で粗大化異物Hを排出することが可能な液面高さになるように、希釈水注入弁32の開度が調整される。
【0033】
次に、負荷検出センサ35からの検出信号に基づいて、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回ったか否かの確認が行われる(S107)。設定値を超えている場合には(S107:NO)、ステップS104〜S107の制御が繰り返される。このとき希釈水Kの増加によって処理液Wの液面がゲート25を越えており、浮遊する粗大化異物Hが排出ポート103側へ流れ易くする。そして、実際に流れて希釈撹拌槽10の処理液W内から排除されることで、撹拌ローター11の回転抵抗が小さくなる。
【0034】
駆動モータ15の負荷値が設定値を下回った場合には(S107:YES)、通常運転に切り替えられる。閉じられていた液面制御弁33が開けられ、ディスクスクリーン12を介して濾過した紙料スラリSの回収が再開される(S108)。また、送り用モータ31も駆動してスクリューフィーダーが回転し(S109)、処理液Wの液面高さや紙料スラリSの濃度を考慮して希釈水注入弁32の開度が調整される(S110)。こうして通常運転に戻れば、再び駆動モータ15の負荷値が設定値を超えていないか確認が行われ(S101)、以上のような作動が繰り返される。
【0035】
本実施形態のディスク式濾過装置1によれば、希釈撹拌槽10内の異物の粗大化を駆動モータ15の電流値を検出するなどして確認し、希釈水Kの供給によって液面を上昇させることにより、ゲート25を越える粗大化異物Hの排出を自動で行うことができるようになった。そのため、希釈撹拌槽10内に異物が溜まってしまい、排出のために一旦ディスク式濾過装置1を停止させるなどの問題は解消され、安定した運転が可能になり、それにより処理能力が向上することになる。また、粗大化異物Hの自動排除により、撹拌ローター11とディスクスクリーン12との間への異物の噛み込みが減り、部品の摩耗などによる損傷を回避して寿命を延ばすことができる。更に、粗大化異物Hを自動で排除することにより、作業者の監視や取り除き作業を省くことで大幅な負担削減となる。
【0036】
ところで、本実施形態では、
図3のステップS101で駆動モータ15の負荷値が設定値を超えたことを確認して異物の状況を判断している。しかし、一時の確認だけで判断してしまうと、必要のない場合であっても自動排除を実行してしまうおそれがある。そして、自動排除の際には紙料スラリSの濾過処理を停止させることから、処理量の低下を招くことになる。そこで、駆動モータ15の負荷値が設定値を超えた状態が継続していることを確認するようにすることが好ましい。
図4は、同確認ステップを加えた粗大化異物の自動排除フローを示した図であり、
図3に示すフローに付加する形で一部のみを示している。
【0037】
制御装置30では、前述の通り常に駆動モータ15の負荷値が設定値を超えていないか確認が行われている(S101)。そして、負荷値が設定値を超えている場合には(S101:YES)、次にその状態が一定時間(例えば1分)継続されることの確認が行われる(S1010)。そのため、時間が経過するまでは(S1010:NO)、ステップS101に戻り、例えば何らかの原因で一瞬だけ負荷値が設定値を超えたような場合には(S101:NO)、通常運転を継続して負荷値の確認が繰り返される。一方、負荷値が設定値を超えた状態が1分間継続した場合には(S101:YES,S1010:YES)、次のステップS102に移り、スクリューフィーダーによる紙料スラリSの供給が止められる。その後のステップS103からステップS110の制御は前述した通りである。
【0038】
従って、駆動モータ15の負荷値が設定値を超えた状態が一定時間継続していることを確認することにより、確実に粗大化異物Hの自動排除が必要な状況であることを判別することができる。そのため、不必要に紙料スラリSの濾過処理を停止してしまうことなく、処理能力の低下を回避することができる。
【0039】
また、
図3のステップS107では、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回ったことを確認して通常運転に切り替えられる(S108〜S110)。しかし、このときも希釈撹拌槽10内の異物の排出状況を一時の確認だけで判断してしまうと、排出が十分でない段階で通常運転に戻してしまうことがある。そうした場合には、直ぐに自動排出が繰り返され、結果として処理能力を低下させてしまうことになる。そこで、通常運転に戻す場合にも、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回った状態が継続していることを確認することが好ましい。
図5は、同確認ステップを加えた粗大化異物の自動排除フローを示した図であり、
図3に示すフローに付加する形で一部のみを示している。
【0040】
制御装置30では、負荷検出センサ35からの検出信号により、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回ったか否かの確認が行われる(S107)。そして、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回った場合には(S107:YES)、次にその状態が一定時間(例えば1分)継続されることの確認が行われる(S1070)。そのため、時間が経過するまでは(S1070:NO)ステップS107に戻る。このとき、何らかの原因で一瞬だけ負荷値が設定値を下回っただけであれば(S107:NO)、
図3に示すステップS104からS107の制御が繰り返される。一方、負荷値が設定値を下回った状態が1分間継続した場合には(S107:YES,S1070:YES)、通常運転に切り替えられる(S108〜S110)。
【0041】
従って、駆動モータ15の負荷値が設定値を下回った状態が一定時間継続していることを確認することにより、粗大化異物Hの自動排除が完了した状況であることを判別することができる。そのため、不必要に自動排除とその停止を繰り返してしまうことなく、処理能力の低下を回避することができる。
【0042】
以上、本発明に係るディスク式濾過装置の実施形態を示したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では異物の粗大化を駆動モータ15の負荷値を確認することによって判断するようにしたが、その他にもレベルセンサ36から得られる液面高さの変化から異物の粗大化を判断するようにしてもよい。希釈撹拌槽10内の液面高さが一定時間ほぼ変化しないような場合には、粗大化異物Hの存在によって撹拌ローター11の回転が制限され、濾過が進んでいないからである。