特許第5912685号(P5912685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5912685IABP用バルーンカテーテルのバルーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5912685
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年4月27日
(54)【発明の名称】IABP用バルーンカテーテルのバルーン
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20160414BHJP
   A61M 1/10 20060101ALI20160414BHJP
【FI】
   A61M25/10 510
   A61M25/10 502
   A61M1/10 500
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-51664(P2012-51664)
(22)【出願日】2012年3月8日
(65)【公開番号】特開2013-183916(P2013-183916A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591245624
【氏名又は名称】株式会社東海メディカルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】筒井 宣政
(72)【発明者】
【氏名】筒井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】村木 康宏
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−501598(JP,A)
【文献】 特開2008−049160(JP,A)
【文献】 特開2010−233883(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0131741(US,A1)
【文献】 特表平09−511155(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0261549(US,A1)
【文献】 特開平11−262527(JP,A)
【文献】 特表2004−504111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00−25/10
A61M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用カテーテルに設けられるIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、
前記バルーンがラッピングされた状態のとき内側に折り畳まれた前記バルーンの外表面は、前記外表面全体の10%以上80%以下の領域の粗面と、90%以下20%以上の領域の平滑面とを備えており、
前記粗面は、少なくとも前記バルーンの遠位側又は近位側の略円錐部以外の位置全体に分散されていることを特徴とするIABP用バルーンカテーテルのバルーン。
【請求項2】
前記粗面は、IABP用バルーンカテーテルのバルーンの遠位側又は近位側に形成される両側の略円錐部以外の位置にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のIABP用バルーンカテーテルのバルーン。
【請求項3】
前記粗面は、梨地又はシボであることを特徴とする請求項1又は2に記載のIABP用バルーンカテーテルのバルーン。
【請求項4】
前記粗面は、ストライプ、チェック、ドット及びスパイラルのいずれか1つ又はこれらの組み合わせからなる模様状に形成されてなることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のIABP用バルーンカテーテルのバルーン。
【請求項5】
前記粗面がIABP用バルーンカテーテルのバルーンの内表面の少なくとも1部に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のIABP用バルーンカテーテルのバルーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大動脈内バルーンポンピング(IntraAortic Ballon Pumping)に使用されるIABP用バルーンカテーテルのバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
IABPは、心不全等の心機能低下時に、大動脈内にIABP用バルーンカテーテルを挿入し、IABP用バルーンカテーテル先端のIABP用バルーンカテーテルのバルーン(以下、単に「バルーン」ともいう。)を心臓の拍動に同期させて、拡張収縮を繰り返すことにより、冠動脈及び全身の血流を増加させることで、心機能補助を図る治療法である。このIABP用バルーンカテーテルは、治療の際に駆動機に接続し、駆動機によってバルーン内を陽圧、陰圧にすることで、バルーンを拡張収縮させている。
【0003】
IABP法に使用するバルーンは、その補助効果を大きくするために、大動脈の内径よりも若干細い程度の円筒状のバルーンが取り付けられている。最近のIABP用バルーンカテーテルは、低侵襲化させるため細径化が進んでおり、一般的なIABP用バルーンカテーテルの外径は2〜3mm程度になっている、そのため、挿入前のバルーンは、非常にタイトにラッピングされている。また、IABP法による使用は、1ヶ月以上にわたる場合があることから、IABP用バルーンカテーテルには、血液適合性の高いポリウレタンが一般的に使用されているが、このポリウレタンは、表面が鏡面になっている場合、素材同士が固着しやすい性質がある。
【0004】
こうした要因から、バルーンの挿入後に、駆動機のみによる拡張ではラッピングされた状態のバルーンを形成する樹脂同士の固着を解くことができず、不完全拡張にいたる可能性がある。この不完全拡張を防止するため、バルーンの容量よりも2、3割程度多い空気量をバルーン内にシリンジ等で別途注入することによって、バルーン拡張用の駆動機の拡張圧より高い状態にしてバルーンの樹脂同士の固着を解消させ、一度完全に拡張させるプリロードを行ってから使用していた。しかしながら、こうした作業は、緊急時に手間がかかり面倒であるという課題があった。
【0005】
一方で、バルーンはラッピングを保持するために装着されているラッピングシースを除去して挿入するが、体内に挿入する前に、IABP用バルーンカテーテルのバルーンのラッピングがほどけてしまうとバルーンの挿入が困難になるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−263193号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンは、前記IABP用バルーンカテーテルのバルーンの外表面が、外表面全体の10%以上80%以下の領域の粗面と、90%以下20%以上の領域の平滑面とを備えていることを特徴とする。かかる構成を採用することによって、IABP用バルーンカテーテルのバルーンの外表面の20%以上の領域は平滑面を有しているので、ラッピングシースを取り外した状態で血管内に挿入したとしてもラッピングがほどかれることない程度の固着力を有する。そのため、目的位置(留置位置)までほどけることなくバルーンを挿入することができる。一方で、10%以上80%以下の領域の粗面を有することで樹脂同士の接触面を減少させることができるため、固着する面積及び強さを軽減させることができる。そのためプリロードをする必要がなく、駆動機による規定圧力による拡張のみでラッピングがほどけるバルーンとすることができる。
【0009】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、前記粗面は、少なくともIABP用バルーンカテーテルのバルーンの遠位側又は近位側の円錐部以外の外表面全体に分散されていてもよい。かかる構成を採用することによって、バルーンの遠位側又は近位側の円錐部以外の外表面の遠位側から近位側に渡って、ほぼ同一の固着強さ及びはがれやすさを有するバルーンを提供することができる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「遠位側」とは、IABP用バルーンカテーテルを差し込む側をいい「近位側」とは、IABP用バルーンカテーテルのバルーンを操作時に術者の手元側に配置される側をいう。
【0010】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、前記粗面は、IABP用バルーンカテーテルのバルーンの遠位側又は近位側に形成される両側の円錐部以外の位置にのみ形成されていてもよい。すなわち、遠位側又は近位側の円錐部以外の円柱部のみが粗面に形成されているものである。円柱部に粗面が形成されていれば、円柱部領域のバルーンは確実にはがれてほどける。一方で、円錐部は、ラッピングされている状態において接触面積が小さいので、容易にほどくことができるので、プリロードをする必要がなく、駆動機による規定圧力による拡張のみでラッピングがほどけるバルーンとすることができる。
【0011】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、粗面は、梨地又はシボであってもよい。かかる構成を採用することにより、梨地やシボの粗さを調整することで好適な固着強度及びはがれやすさを有するIABP用バルーンカテーテルのバルーンを提供することができる。
【0012】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、前記粗面は、ストライプ、チェック、ドット及びスパイラルのいずれか1つ又はこれらの組み合わせからなる模様状に形成されていてもよい。こうした様々な模様状の粗面を形成することで、バルーンの作製方法に応じて最適な粗面模様を選択することができる。また、バルーンの表面に平均的に分散した粗面を形成することができるので、外表面全体が同一の固着強さ及びはがれやすさを有するバルーンを提供することができる。
【0013】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、前記粗面がIABP用バルーンカテーテルのバルーンの内表面の少なくとも1部に形成されていてもよい。かかる構成を採用することによって、バルーンの内表面が固着する可能性を低減することができ、内表面の固着によってバルーンがほどけない可能性を減らすことができる。
【0014】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルのバルーンにおいて、前記IABP用バルーンカテーテルのバルーンは、ポリウレタン製であってもよい。ポリウレタンは、カテーテルバルーンの素材としては最適であるが、ポリウレタン同士は、平滑な面同士が固着しやすいので、粗面にした際に効果的である。
【0015】
また、本発明のIABP用バルーンカテーテルは、上述したIABP用バルーンカテーテルのバルーンを採用したものであり、上述した効果を有するIABP用バルーンカテーテルを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーンによれば、プリロードを行う必要がなく、駆動機による規定バルーン圧力で確実にラッピングがほどけ、かつラッピングシースを外した状態でもカテーテル挿入前及び挿入時にラッピングがほどけることのないIABP用バルーンカテーテルのバルーン及びこうした効果を有するバルーンを備えたバルーンカテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテル100及びIABP用バルーンカテーテルのバルーン10の構成の概略を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーン10の粗面の変形例を示す図である。
図3図3は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーン10の粗面の変形例を示す図である。
図4図4は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーン10の粗面の変形例を示す図である。
図5図5は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテル100及びIABP用バルーンカテーテルのバルーン10の構成の概略を示す図である。
図6図6は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテル100の使用方法を示す概略図である。
図7図7は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテル100の使用方法を示す概略図である。
図8図8は、バルーン10のラッピングがほどけてしまった状態を示す図である。
図9図9は、従来のバルーンカテーテル1の不具合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
以下、図面を用いて、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーン10及びこのバルーン10を備えたIABP用バルーンカテーテル100について詳細に説明する。
【0019】
図1は、実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテルのバルーン10が取り付けられたIABP用バルーンカテーテル100の遠位側を示す概略図である。実施形態にかかるIABP用バルーンカテーテル100は、IABP用バルーンカテーテル100の遠位側先端に取り付けられる先端部20と、この先端部20と連設するガイドワイヤルーメン31を有するインナーチューブ30と、このガイドワイヤルーメン31の周囲に設けられるバルーン10と、このバルーン10のバルーンルーメン11と連通したエア注入用ルーメン51を有するアウターチューブ50とを備えている。バルーン10は、このエア注入用ルーメン51を通ってきたエアによって膨らまされることになる。
【0020】
本実施形態のIABP用バルーンカテーテルのバルーン10は、厚さ40μm〜150μmの薄膜のポリウレタンで作製されてなり、遠位側端部及び近位側端部には、略円錐形に形成されている円錐部12aを備えており、これら円錐部12aの間の中央領域は円柱形12bをなるバルーン状に形成される。なお、ここでいう円柱形12bとは、必ずしも完全な円柱のみを指すのではなく、多少中央が膨らんでいてもよい。バルーン10の遠位側端部及び近位側端部は、略円錐形に形成されている円錐部12a以外の部分は、梨地で形成された粗面13と、平滑に形成された平滑面14と、を備えている。粗面を作成する方法としては、表面を梨地処理したシートを貼り付けたり、梨地表面を有する型で転写したりする方法が考えられるが、特に作製方法は限定するものではない。
【0021】
本実施形態における粗面13は、矩形の梨地が円周方向及び長手方向に規則正しく並ぶように、分散されて形成されており、粗面13が全表面積に対して占める面積率は、43.3%である。なお、粗面の形態及び配置方法は、これに限定するものではなく、粗面が全表面積に対して占める面積率が10%以上80%以下であれば、どのような形状の粗面でもよいし、その配置方法も特に限定するものではない。好ましくは、10%以上50%以下であり、より好ましくは、20%以上40%以下である。以下に、様々な粗面を有するバルーンの実施例を示す。図2Aは、バルーン10aの長手方向に沿って複数並行に形成されたストライプ状の粗面13aを有しているバルーン10を示している。この粗面13aが全表面積に対して占める面積率は、19.6%である。図2Bは、バルーン10bの表面に格子状に形成された粗面13bを有しているバルーン10bを示している。この粗面13bが全表面積に対して占める面積率は、37.1%である。図3Aには、円形の粗面13cが複数設けられているバルーン10cを示している。図3Aの粗面13cが全表面積に対して占める面積率は、14.4%である。図3Bには、円形の粗面13dが複数設けられているバルーン10dを示している。図3Bの粗面13dが全表面積に対して占める面積率は、29.0%である。図4Aは、スパイラル状に粗面13eが設けられているバルーン10eを示している。図4Aの粗面13eが全表面積に対して占める面積率は、7.4%である。図4Bは、スパイラル状に粗面13fが設けられているバルーン10fを示している。図4Bの粗面13fが全表面積に対して占める面積率は、12.3%である。
【0022】
先端部20は、図1に示すように、IABP用バルーンカテーテル100の先端に取り付けられ、バルーン10の先端側を閉じてバルーン10の先端側から流体が流れ出ないようにしている。また、先端部20の中央には、ガイドワイヤルーメン31と連通する貫通孔22が設けられている。この貫通孔22は、ガイドワイヤ(図示しない。)を用いてバルーン10を留置位置まで誘導する際に、ガイドワイヤを通すための孔である。なお、この貫通孔は、生理食塩水で満たし、駆動機の圧力センサと接続することにより、動脈内圧をモニタリングするためにも使用される。
【0023】
インナーチューブ30は、長手方向に沿って中央にガイドワイヤルーメン31が形成されている。インナーチューブ30の近位側は手元まで延びており、インナーチューブ30の近位側端部からガイドワイヤを挿入することができる。
【0024】
アウターチューブ50は、長手方向に沿って中央にエア注入用ルーメン51を有し、このエア注入用ルーメン51内には、インナーチューブ30も通っている。このエア注入用ルーメン51とインナーチューブ30との隙間と、バルーンルーメン11とは連通している。
【0025】
そして、IABP用バルーンカテーテル100は、インナーチューブ30に巻き付けられ、この巻き付けられた状態で、ラッピングシース60によりラッピングされてバルーンカテーテルとされる。
【0026】
こうして作製されたバルーン10及びIABP用バルーンカテーテル100の使用方法について、大腿動脈から挿入し、下行大動脈にバルーンを留置する状態を例として説明する。IABP用バルーンカテーテル100は、使用前の状態においては、図5Aに示すように、バルーン10がインナーチューブ30に巻き付けられた状態で、ラッピングシース60にラッピングされている。この状態から、図5Bに示すように、第1ラッピングシース60aを外して、バルーン10の約半分程度を露出させる。この状態で、別途大腿動脈に挿入されたシース70に、バルーン10を半分挿入する(図6A)。その後、図6Bに示すように第2ラッピングシース60bを引き裂いて完全にバルーン10を露出した状態でゆっくり挿入していく。
【0027】
その後、図7に示すように、バルーン10の先端部20よりガイドワイヤ80を下行大動脈の留置位置まで挿入し、ガイドワイヤ80を用いて、バルーン10を留置位置で誘導し、留置位置に留置する。この際に、バルーン10のラッピング状態の固着性が弱いと、図8に示したように、バルーン10のラッピングがほどけてしまうことがある。ラッピングがほどけてしまうと、IABP用バルーンカテーテル100を挿入すること自体が困難になったり、挿入中に血管内を移動させることが困難になったりといった問題が発生する可能性がある。しかし、実施形態にかかるバルーン10は、適度に表面に平滑面14を有するので平滑面14同士が固着されており、バルーン10が操作時にほどけることを防止することができる。
【0028】
こうしてバルーン10を留置位置に留置させた後、バルーン10を膨らませる。この際に、従来におけるバルーン用カテーテル1においては、図9に示すように、ラッピングがきつくポリウレタン同士が固着していると、ラッピングが一部ほどけないおそれがあった。そのため、シリンジによって人間の手で一旦完全拡張するプリロードを行って、完全拡張を一旦行う必要があり、この完全拡張を行った後に、駆動機を取り付けていた。しかし、本実施形態におけるバルーン10の表面に粗面が形成されているため、エア送付用の駆動機のエア送付圧によって完全拡張できる。そのため、IABP用バルーンカテーテル100の近位側から直ちにエア送付用の駆動機を取り付けてバルーン10にエアを送り、プリロードをする必要がなく、容易に完全拡張することができる
【0029】
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
上述した実施形態では、バルーン10の素材としてポリウレタンを使用しているが、これに限定するものではなく、シリコン、ラテックス等の固着性を有する樹脂であれば異なる樹脂を使用してもよい。
【0031】
また、上述した実施形態では、粗面として、梨地を用いているが、シボであってもよいし、表面に凸状の小さな突起を複数形成してもよい。
【0032】
さらに、上述した実施形態では、粗面として、様々な形態の粗面を例示したが、これに限定するものではなく、粗面の全表面積に対する占める面積率が10%以上80%以下であれば、どのような形状の粗面でもよいし、その配置方法も特に限定するものではない。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、IABP用バルーンカテーテルのバルーン10の外表面に粗面を形成したものとしたが、IABP用バルーンカテーテルのバルーンの内表面に同様の粗面を設けても良い。こうすることによりIABP用バルーンカテーテルのバルーンの内表面が固着する可能性を低減することができ、内表面の固着によってIABP用バルーンカテーテルのバルーンがほどけない可能性を減らすことができる。内表に設ける粗面は、実施形態で示したように模様状に形成してもよい。また、内表面に設ける粗面と外表面に設ける粗面とは異なる粗面であってもよい。
【0034】
(実施例)
IABP用バルーンカテーテルのバルーン10に使用される粗面を有しているバルーン膜(ポリウレタン製)と滑面を有しているバルーン膜(ポリウレタン製)を用意し、それぞれ鏡面同士、鏡面と粗面及び粗面同士をそれぞれ貼り合わせ、加重(0.5Kg/cm
以上)をかけたまま55℃で48時間加熱を行い、膜同士を貼りつけた。貼り付けたものをそれぞれJIS K6251のダンベル試験片(3号)にカットしたものを用意し、引張試験器によって、引張速度20mm/minでT型剥離及び剪断剥離で強度を測定した。なお、粗面と粗面同士を貼り付けたものは、貼り付くことはなかった。T型剥離の試験結果を表1及び剪断剥離の試験結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
上記表1によれば、T型剥離強度において、鏡面同士においては、約0.03Nであったのに対し、鏡面と粗面においては、約0.01Nであった、このように、鏡面同士と比較して、粗面と鏡面との組み合わせは、剥離強度は、鏡面同士と比較して弱いものの、0.01Nの力を与えなければはがれないことがわかった。一方、剪断剥離においても、表2に示すように、鏡面同士では、3.4〜3.7Nの力が必要であったのに対し、粗面と鏡面との組み合わせでは1.5〜2.1N程度の力で剥離することがわかった。このような範囲の剥離強度を有するバルーン面、すなわち、粗面と鏡面を用い、外表面全体の10%以上80%以下の領域の粗面と、90%以下20%以上の領域の平滑面(鏡面)とした場合に駆動機による規定バルーン圧力で確実にラッピングがほどけ、かつラッピングシースを外した状態でもカテーテル挿入前及び挿入時にラッピングがほどけることのないIABP用バルーンカテーテルのバルーン及びこうした効果を有するバルーンを備えたバルーンカテーテルを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上述した実施の形態で示すように、心不全等の心臓機能の低下時の補助循環に使用されるIABP用バルーンカテーテル及びそのバルーンに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10...IABP用バルーンカテーテルのバルーン、11...バルーンルーメン、
12...円錐部、13...粗面、14...平滑面、20...先端部、22...貫通孔、
30...インナーチューブ、31...ガイドワイヤルーメン、50...アウターチューブ、
51...エア注入用ルーメン、60...ラッピングシース、60a...第1ラッピングシース、60b...第2ラッピングシース、70...シース、80...ガイドワイヤ、
100...IABP用バルーンカテーテル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9