(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、粉体混合物であるベントナイト混合土の製造においては、母材(例えば、砂又は礫)に対するベントナイトの添加率及び含水比の管理が重要であり、これらを正確に管理するためには、以下の問題を解決する必要がある。
【0007】
第1に、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比を正確に計測し、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水状態の変動に合わせて、母材(砂又は礫)及びベントナイトを所要の乾燥重量比で正確に供給する必要がある。母材(砂又は礫)及びベントナイトを定量的に供給するためには、一般に市販されている定量供給装置(例えば、ロスインウェイト式の定量供給装置)を使用する。この定量供給装置は、ロードセルを用いてリアルタイムに湿潤重量を測定し、あらかじめ測定された母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比に基づいて乾燥重量をそれぞれ計算し、両者が一定比率となるように(若しくは、所定の単位時間当たりの乾燥重量となるように)、コンベアの速度をPI制御により自動調整して、母材(砂又は礫)及びベントナイトを供給する。しかし、一般的に市販されている多くの定量供給装置は、その機構や制御方法並びに方式の違いにより、計測誤差を有するものが多いのも事実である。
【0008】
母材(砂又は礫)の含水状態は、1日の施工の中でも時間的に変動することが一般的であるため、本来は供給される母材(砂又は礫)の含水比をリアルタイムに計測して、これをリアルタイムに乾燥重量の計算値に反映することが望ましい。しかし、含水比の計測には、地盤工学会基準の炉乾燥法で1日、電子レンジ法でも15分程度の時間を要し、かつ計測に手間もかかるため、通常の施工では、1日に2〜4回程度含水比を測定して、これを用いて湿潤重量から乾燥重量を算出する場合が多い。
【0009】
そして、母材(砂又は礫)の含水比の変動が大きい場合には、ロードセルを用いて正確に湿潤重量を測定したとしても、肝心の乾燥重量の計算値の誤差が大きくなってしまう。一般的に、低透水層の構築材料として使用されるベントナイト混合土の場合、ベントナイトの添加率が所要以上に確保されないと低透水性を満足しない恐れがある。したがって、母材(砂又は礫)とベントナイトの配合比(乾燥重量比)は、重要な品質管理指標となるが、含水比の変動により乾燥重量の排出量誤差が大きいと予想される場合には、ベントナイトの添加量が設計値を割り込まないよう、ベントナイトの添加量を割り増しする方法が採られている。このように、ベントナイトの添加量を割り増しする方法では、材料コストが嵩むという問題があった。
【0010】
第2に、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比を正確に計測して、目標含水比に達する加水量を、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水状態の変動に合わせて正確に供給する必要がある。ベントナイト混合土の場合、所要の加水を行うに当たっては、混合前の母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比の計測値に基づいて、目標含水比に達するために必要な加水量を求め、これをベントナイト混合土に加水する。したがって、目標含水比となるように正確に加水するためには、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比を正確に計測する必要がある。
【0011】
しかし、現在市販されている、母材(砂又は礫)の定量供給装置や、ベントナイトの定量供給装置は、その機構並びに制御上、計量誤差を有している。ただし、その計量誤差は所定の任意幅に収まっている(所定の任意幅で制御・管理することができる)。また、市販の定量供給装置は、起動後に、任意の制御幅で管理・安定運転が可能となるまでに、ある程度の時間を要し、その間に供給される材料は所望の品質(例えば、混合比率)を満足できず、廃棄物が増加するだけではなく、製造コストも増加してしまう。したがって、定量供給装置を停止させることなく、連続的に運転することが効率化・コスト抑制につながる。
【0012】
上述した特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比を正確に計測し、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水状態の変動に合わせて、母材(砂又は礫)及びベントナイトを所要の乾燥重量比で正確に供給すること、また、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水比を正確に計測して、目標含水比に達する加水量を、母材(砂又は礫)及びベントナイトの含水状態の変動に合わせて正確に供給することについては、何ら考慮されていない。
【0013】
このような問題はベントナイト混合土に限られるものではなく、他の種類の母材と粉体とを混合して粉体混合物を製造する際に、広く考慮されるべき問題である。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、母材(例えば、砂又は礫)及び粉体(ベントナイト)の流体含有比(含水比)を継続的かつ正確に計測し、母材(例えば、砂又は礫)及び粉体(例えば、ベントナイト)の流体含有状態(含水状態)の変動に合わせて、母材(例えば、砂又は礫)と粉体(例えば、ベントナイト)とを所要の乾燥重量比で正確に供給し続けることが可能な粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)の製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は母材(例えば、砂又は礫)及び粉体(例えば、ベントナイト)の流体含有比(含水比)を継続的かつ正確に計測して、目標流体含有比(目標含水比)に達する流体混入量(加水量)を、母材(例えば、砂又は礫)及び粉体(例えば、ベントナイト)の流体含有状態(含水状態)の変動に合わせて正確に供給することが可能な粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の粉体混合物の製造装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の粉体混合物の製造装置は、
砂又は礫の少なくとも一方からなる母材に対して
ベントナイト又はセメントからなる粉体を混合すると共に
液状の流体を加えて、所望の流体含有比である粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)を製造するための粉体混合物製造装置に関するものである。
そして、この粉体混合物の製造装置は、母材流体含有比計測手段と、粉体流体含有比計測手段と、母材供給量調整手段と、母材供給手段と、粉体供給量調整手段と、粉体供給手段と、混合手段と、流体供給量調整手段と、流体混入手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
母材流体含有比計測手段は、砂又は礫の少なくとも一方からなる母材の流体含有比を継続的に自動測定するための手段である。粉体流体含有比計測手段は、ベントナイト又はセメントからなる粉体の流体含有比を継続的に自動測定するための手段である。母材供給量調整手段は、砂又は礫の少なくとも一方からなる母材の流体含有比計測値に基づいて、予め設定した目標流体含有比の粉体混合物となるように砂又は礫の少なくとも一方からなる母材の供給量を調整するための手段である。母材供給手段は、調整された母材供給量となるように砂又は礫の少なくとも一方からなる母材を供給するための手段である。粉体供給量調整手段は、ベントナイト又はセメントからなる粉体の流体含有比計測値に基づいて、予め設定した目標流体含有比の粉体混合物となるようにベントナイト又はセメントからなる粉体の供給量を調整するための手段である。粉体供給手段は、調整された粉体供給量となるようにベントナイト又はセメントからなる粉体を供給するための手段である。
【0017】
混合手段は、砂又は礫の少なくとも一方からなる母材とベントナイト又はセメントからなる粉体とを均一に混合して粉体混合物を生成するための手段である。流体供給量調整手段は、予め設定した目標流体含有比の粉体混合物となるように液状の流体の供給量を調整するための手段である。流体混入手段は、粉体混合物を定量的に供給しつつ自由落下させて、調整された流体供給量の液状の流体を噴射することにより粉体混合物に液状の流体を加えるための装置である。
【0018】
そして、流体混入手段は、粉体混合物を定量的に供給する混合物供給部と、粉体混合物を自由落下させる落下部と、供給部の直下に設けられた円筒状の拡散部内に収容され、下向きに拡径したコーン状の部材の下部に円筒状の緩衝部を一体に有し、供給部から供給される粉体混合物を同心円状に拡散させる拡散装置と、落下部の周方向及び高さ方向に沿って、それぞれ設置する高さ方向の位置及び液状の流体の噴射方向が異なる複数の噴射ノズルを有し、同心円状に拡散して自由落下する粉体混合物に対して多方向から微粒子状の液状の流体を噴射する噴射部とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の粉体混合物の製造装置によれば、母材(例えば、砂又は礫)の流体含有比(含水比)及び流体を加えた後(加水後)の粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)の流体含有比(含水比)を継続的に自動計測して、母材(例えば、砂又は礫)及び粉体(例えば、ベントナイト)の供給量及び流体混入量(加水量)を調整することにより、所望の流体含有比(含水比)に合致した粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)を製造することができる。したがって、高品質の粉体混合物(例えば、ベントナイト混合土)を製造できるだけではなく、材料の供給量を適切に管理して無駄な材料を使用する必要がないので、製造コストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係る粉体混合物の製造装置の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係る粉体混合物の製造装置の機能ブロック図、
図2は粉体混合物の製造装置を適用可能なベントナイト混合土製造装置の模式図、
図3は粉体混合物の製造装置を適用可能な加水装置の模式図である。
【0022】
また、以下の説明では、母材の代表例として砂について説明するが、本発明を適用する母材はこれに限られるものではなく、礫等の他の母材についても適用することができる。この場合、母材として、砂又は礫を単体で使用してもよいし、砂及び礫の混合物を使用してもよい。また、粉体の代表例としてベントナイトについて説明するが、本発明を適用する粉体はこれに限られるものではなく、セメントのように、他の粉体にも適用することができる。なお、本実施形態で対象とする粉体とは、粒径がおよそ1mm未満程度の固体粒子のことである。また、この粉体と母材とを混合して生成される粉体混合物は、粒径がおよそ1mm〜20mm程度の固体粒子である。
【0023】
また、流体は水に限られず、流動性を有する物質であればどのような流体であってもよく、例えば、コンクリート混和剤(空気連行剤、減水剤、凝結・硬化調節剤、増粘剤、発泡剤・起泡剤等の溶液)等、種々の流体に適用することができる。したがって、以下の説明において、水以外の流体を用いる場合に、含水比とは流体含有比のことを言うものとする。すなわち、母材の具体例として砂を挙げ、粉体の具体例としてベントナイトを挙げ、流体の具体例として水を挙げているが、本発明の適用対象である母材、粉体、流体は、これらに限られるものではない。
【0024】
<粉体混合物製造装置の概要>
本発明の実施形態に係る粉体混合物製造装置10は、砂又は礫に対してベントナイトを混合すると共に水を加えて、所望の含水比であるベントナイト混合土を製造するための装置であり、
図1に示すように、母材流体含有比計測手段1と、母材供給量調整手段2と、母材供給手段3と、粉体供給量調整手段5と、粉体供給手段6と、混合手段7と、流体供給量調整手段8と、流体混入装置90とを備えている。また、これらの手段に加えて、粉体流体含有比計測手段4を備えた構成とすることが可能である。
【0025】
具体的な装置構成は、
図2に示すように、母材供給手段3である母材供給装置30と、粉体供給手段6である粉体供給装置60と、混合手段7である混合装置70と、流体混入手段9である流体混入装置(加水装置)90とを備えると共に、これらの装置を制御するための手段として、母材流体含有比計測手段1と、母材供給量調整手段2と、粉体流体含有比計測手段4と、粉体供給量調整手段5と、流体供給量調整手段8とを備えている。なお、粉体流体含有比計測手段4は、粉体の流体含有比が安定していない場合に必要となる手段である。以下、各装置及び手段について説明する。
【0026】
なお、母材流体含有比計測手段1、母材供給量調整手段2、粉体流体含有比計測手段4、粉体供給量調整手段5、流体供給量調整手段8は、電子機器及びその付属装置と、計測値や供給量を演算するための演算手段とを備えており、各演算手段は、パーソナルコンピュータ等からなり、CPU等が所定のプログラムに従って動作することにより、その機能を発揮するようになっている。また、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウエアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0027】
<母材供給装置>
母材供給装置30は、含水比を継続的に自動測定した砂又は礫を、予め設定した目標含水比のベントナイト混合土となるように計量して、定量的に供給するための装置である。この母材供給装置30は、
図2に示すように、砂又は礫を受け入れる母材ホッパー31と、砂又は礫を定量的に供給するための母材定量供給装置32を備えている。母材ホッパー31は砂又は礫を一時的に貯留するための装置で、母材ホッパー31に貯留された砂又は礫は、母材定量供給装置32により定量的に供給される。この母材ホッパー31には、上部に設けた開口部から砂又は礫が供給される。具体的には、パワーショベル等の重機を用いて、砂又は礫を開口部から母材ホッパー31内に投入する。また、母材ホッパー31の下部にはベルトコンベア110が設置されており、定量的に供給される砂又は礫は、ベルトコンベア110により粉体供給装置60に向かって搬送される。
【0028】
母材ホッパー31には、その重量(貯留されている砂又は礫の重量)を計量するための母材計量装置33(例えば、ロードセル)が取り付けられている。この母材計量装置33により、砂又は礫の重量の変化を継続的に計測し、母材供給量調整手段2により母材定量供給装置32の駆動を制御することにより、砂又は礫を定量的に供給することができる。
【0029】
母材定量供給装置32は、例えば、スクリューコンベアと、スクリューコンベアの回転軸を回転駆動するためのモータとからなる。なお、母材定量供給装置32はどのような構造であってもよく、スクリューコンベアを用いた装置の他に、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等の装置を用いることができる。
【0030】
また、本実施形態では、砂又は礫の含水比を継続的に自動測定するための母材流体含有比計測手段1を備えている。この母材流体含有比計測手段1は、例えば、連続RI(Radio Isotope)水分計を用いることができる。RI水分計は、中性子線源と検出部(例えば、
3He比例計数管)との間にある測定対象物(砂又は礫)を通過してきた中性子を検出し、速中性子が熱中性子に変換される割合(あるいは、熱中性子に変換されない速中性子の割合)に基づいて、測定対象部中の水素原子核密度が推定できる原理を用いて、測定対象物の水分量を測定する装置である。すなわち、図示しないが、RI水分計は、中性子線を出射する中性子線源(例えば
252C)と、測定対象物を通過した中性子線を検出する検出部(例えば、
3He比例計数管)と、検出部で検出した中性子線量に基づいて測定対象物の含水量(含水比)を算出する算出部とを備えている。
【0031】
なお、母材流体含有比計測手段1は、RI水分計に限られるものではなく、母材に含まれる流体含有比を継続的に自動測定できればどのような装置であってもよい。
【0032】
上述した構成からなる母材供給装置30では、母材流体含有比計測手段1により母材の含水比を継続的に自動測定しながら、母材計量装置33により母材重量を計測し、母材供給量調整手段2により母材定量供給装置32の駆動制御を行って、母材の供給量を調整する。
【0033】
<粉体供給装置>
粉体供給装置60は、含水比を継続的に自動測定したベントナイトを、予め設定した目標含水比のベントナイト混合土となるように計量して、定量的に供給するための装置である。この粉体供給装置60は、ベントナイトを貯留するためのサイロ61と、サイロ61内に貯留したベントナイトを受け入れる粉体ホッパー62と、ベントナイトを定量的に供給するための粉体定量供給装置63を備えている。サイロ61は、ベントナイトに対する外気湿度の影響を極力防止するための装置で、サイロ61内には適宜重量のベントナイトが貯留されている。サイロ61内に貯留されたベントナイトは、粉体ポンプ等の輸送装置により、粉体ホッパー62へ供給される。粉体ホッパー62は、ベントナイトを一時的に貯留するための装置で、粉体ホッパー62に貯留されたベントナイトは、粉体定量供給装置63により定量的に供給される。また、粉体ホッパー62の下部にはベルトコンベア120が設置されており、定量的に供給されるベントナイトは、ベルトコンベア120上で砂又は礫と一緒になり、混合装置70に向かって搬送される。
【0034】
粉体ホッパー62には、その重量(貯留されているベントナイトの重量)を計量するための粉体計量装置64(例えば、ロードセル)が取り付けられている。この粉体計量装置64によりベントナイトの重量変化を継続的に計測して、粉体供給量調整手段5により粉体定量供給装置63の駆動を制御することにより、ベントナイトを定量的に供給することができる。
【0035】
粉体定量供給装置63は、例えば、スクリューコンベアと、スクリューコンベアの回転軸を回転駆動するためのモータとからなる。なお、母材定量供給装置32はどのような構造であってもよく、スクリューコンベアを用いた装置の他に、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等の装置を用いることができる。
【0036】
ベントナイトの含水比を継続的に自動測定するための粉体流体含有比計測手段4は、例えば、上述したRI水分計を用いることができる。なお、粉体流体含有比計測手段4は、RI水分計に限られるものではなく、母材に含まれる流体の含有比を継続的に自動測定できればどのような装置であってもよい。
【0037】
上述した構成からなる粉体供給装置60では、粉体流体含有比計測手段4によりベントナイトの含水比を継続的に自動測定しながら、粉体計量装置64によりベントナイト重量を計測し、粉体供給量調整手段5により粉体定量供給装置63の駆動制御を行って、粉体の供給量を調整する。
【0038】
なお、粉体の含水比変動が極めて少ない場合には、粉体流体含有比計測手段4を省略することが可能である。この場合には、例えば、赤外線水分計を用いて適宜な時期にベントナイトの含水比測定を行う。すなわち、ベントナイトは、タンクローリー車や防湿性を有する袋に収納して納品され、外部環境の影響を受け難いサイロ等に貯蔵されているため、頻繁に含水比を測定する必要はなく、その測定値は正しいものと仮定することができる。一方、粉体の含水比変動が見込まれる場合には、粉体流体含有比計測手段4を備えることが好ましい。
【0039】
<混合装置>
混合装置70は、
図2に示すように、上下方向に配置された複数の変形通路71を備えている。各変形通路71は、その断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化すると共に、各変形通路71の入口と出口との間に、各変形通路71を通過する砂又は礫及びベントナイトを合流させる合流部と、合流した砂又は礫及びベントナイトを分割して各変形通路71に流下させる分割部とを備えることにより、砂又は礫とベントナイトの合流及び分割を繰り返し、砂又は礫及びベントナイトを均一に混合してベントナイト混合土を生成することができる。変形通路71の最上部にはホッパーが設けられており、ベルトコンベア120上を搬送されてきた砂又は礫及びベントナイトを受け入れて、変形通路71内へ落下させる。
【0040】
この混合装置70は、例えば、特許第2975891号公報に記載された「混練方法及びその装置」に関する技術を用いることができる。このような構成からなる混合装置70を用いて、砂又は礫及びベントナイトを混合するには、各変形通路71の入口から流動性のある砂又は礫及びベントナイトを送り込むことにより、砂又は礫及びベントナイトの混合物であるベントナイト混合土の断面形状を連続的に変化させて混合を促進させる。そして、混合工程の途中で、各変形通路71内を流れる砂又は礫及びベントナイトを合流させる工程と、合流した砂又は礫及びベントナイトを分割して各変形通路71にそれぞれ流す工程と、各変形通路71内を流れる砂又は礫及びベントナイトが互いに合流するタイミングを相互にずらす工程とを実施する。
【0041】
混合装置70の下部にはベルトコンベア130が配設されており、このベルトコンベア130により、ベントナイト混合土200が流体混入装置90の上部へ搬送される。なお、混合装置70においても、供給される粉体混合物(ベントナイト混合土200)の流体含有比(含水比)を測定するための流体含有比計測手段(例えば、RI水分計)を備えていてもよい。
【0042】
<流体混入装置>
流体混入装置90は、
図2及び
図3に示すように、ベントナイト混合土200を定量的に供給する混合物供給部91と、粉体混合物を自由落下させる落下部92と、自由落下するベントナイト混合土200に対して微粒子状の流体(水)を噴射(噴霧)する複数の噴射ノズル93aを有する噴射部93とを備えることにより、ベントナイト混合土200に流体を加える(加水を行う)ための装置であり、本実施形態では加水装置となっている。
【0043】
具体的には、流体混入装置(加水装置)90は、
図3に示すように、略円筒形状の落下部92を備えており、この落下部92の上方に混合物供給部91を配置している。本実施形態の混合物供給部91は、ホッパー91aと、スクリューコンベア91b及び攪拌翼91c等を有する粉体混合物定量供給装置91dとを備えており、混合装置70において空練りされたベントナイト混合土200をホッパー91aに蓄え、このベントナイト混合土200を粉体混合物定量供給装置91dにより、落下部92内に定量的に落下させる。落下部92には、ホッパー91aの直下に位置するように拡散装置94が設けられており、この拡散装置94により、ベントナイト混合土200が同心円状に広がって、落下部92内を鉛直に落下する。
【0044】
落下部92には、同心円状に広がって自由落下するベントナイト混合土200の内側及び外側に位置するように、かつ、落下部92の高さ方向に沿って、複数の噴射ノズル93aを有する噴射部93が設けられており、この噴射部93から、自由落下するベントナイト混合土200に対して微粒子状の水を噴射(噴霧)することにより、ベントナイト混合土200と水とを接触させる。この際、自由落下中のベントナイト混合土200が水の噴射圧によって飛散しないように、噴射ノズル93aは、同心円の内外からベントナイト混合土200を挟み込む位置に配置して加水を行う。これにより、落下部92内を自由落下するベントナイト混合土200が、所望の状態となるまで加水される。
【0045】
<混合物供給部>
混合物供給部91は、
図3に示すように、落下部92の上部に設けられたホッパー91aと、ホッパー91aの下部に設けられた粉体混合物定量供給装置91dとからなる。ホッパー91aは、ベントナイト混合土200を貯留できればどのような形状であってもよいが、本実施形態では、下向きに縮径した円錐状となっており、下端部に排出口が設けられている。なお、ホッパー91aの形状や容量は、加水処理を行うベントナイト混合土200の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0046】
<粉体混合物定量供給装置>
粉体混合物定量供給装置91dは、
図3に示すように、ホッパー91aの下部に設けられたスクリューコンベア91bと、スクリューコンベア91bの回転軸を回転駆動するためのモータ(図示せず)とを備えており、さらに、ホッパー91a内に貯留したベントナイト混合土200を攪拌するための攪拌翼91cを備えることが好ましい。攪拌翼91cは、攪拌回転軸に取り付けられたレイキからなり、ホッパー91aの排出口付近のベントナイト混合土200を攪拌して、スクリューコンベア91bに対してベントナイト混合土200を安定供給するための部材である。
【0047】
この粉体混合物定量供給装置91dでは、スクリューコンベア91bを等速回転させることにより、ホッパー91a内に貯留されたベントナイト混合土200が、排出口から定量的に排出される。なお、粉体混合物定量供給装置91dは、スクリューコンベア91b及びその付属機器に限定されるものではなく、ベントナイト混合土200を定量供給できる装置であれば、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等、どのような構造であってもよい。
【0048】
ホッパー91aには、その重量(貯留されているベントナイト混合土200の重量)を計量するための粉体混合物計量装置95(例えば、ロードセル)が取り付けられている。この粉体混合物計量装置95により、ベントナイト混合土200の重量の変化を継続的に計測して粉体混合物定量供給装置91dの駆動を制御することにより、ベントナイト混合土200を定量的に供給することができる。
【0049】
<落下部>
落下部92は、
図3に示すように、架台上に載置された円筒状の部材であり、ベントナイト混合土200を自由落下させる間に、所定量の加水を行うことができる高さを有している。落下部92の形状、径及び高さは、加水処理を行うベントナイト混合土200の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0050】
<拡散装置>
拡散装置94は、
図3に示すように、下向きに拡径したコーン状の部材であり、混合物供給部91の直下に設けられた円筒状の拡散部96内に収容されている。混合物供給部91から供給されるベントナイト混合土200は拡散装置94により同心円状に広がり、落下部92内を自由落下する。また、拡散装置94の下部には、拡散装置94と一体となって、ベントナイト混合土200を同心円状に広げるために、円筒状のスカート部94aが設けられている。すなわち、ホッパー91aの排出口から落下するベントナイト混合土200は、コーン状の拡散装置94により同心円状に広げられるが、この際、ベントナイト混合土200が拡散部の内壁に衝突して跳ね返り、拡散装置94の径よりも内側へ広がることを防止するために、緩衝部として機能するスカート部94aが設けられている。
【0051】
なお、拡散装置94は、上述した形状に限定されるものではなく、落下するベントナイト混合土200を拡散できればどのような形状であってもよく、落下部92の形状等に応じて適宜な形状とすることができる。また、スカート部94aは、メンテナンス等を容易にするため、拡散装置94に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0052】
<噴射ノズル>
噴射ノズル93aは、
図3に示すように、同心円状に広がって自由落下するベントナイト混合土200の内側及び外側に位置するようにして、落下部92の周方向及び高さ方向に沿って複数配置されている。各噴射ノズル93aには、給水配管97の一端が接続されており、給水配管97の他端は圧縮ポンプ98に接続されている。そして、水タンクに貯留した水を圧縮ポンプ98により所定圧力に圧縮し、給水配管97を介して噴射ノズル93aに供給することにより、噴射ノズル93aから微粒子状(霧状)の水が噴出する。なお、本実施形態の噴射ノズル93aから噴射する水粒子の径は、約10〜400μmである。また、噴射する水の圧力は、約0.05〜1.0MPaである。
【0053】
この噴射ノズル93aを有する噴射部93は、落下部92の略中心部と外周部の内外2系統に分かれており、落下部92の高さ方向(上下方向)に多段に配置されている。内側系統の噴射部93は、高さ方向に複数段(例えば4〜8段)となっており、各段の噴射部93には、落下部92の中心から外側に向かって同心円状で等間隔に複数箇所(例えば4〜8カ所)の噴射ノズル93aが取り付けられている。
【0054】
一方、外側系統の各噴射部93は、内側系統の各噴射部93にそれぞれ対向する位置に配置されている。すなわち、外側系統の噴射ノズル93aを有する噴射部93は、高さ方向に複数段(例えば4〜8段)の給水配管97に取り付けられている。各段の給水配管97には、落下部92の外側から中心に向かって同心円状で等間隔に複数箇所(例えば4〜8カ所)の噴射ノズル93aが取り付けられている。なお、噴射ノズル93aの向きは、自由落下する粉体混合物(ベントナイト混合土200)を拡散させないために略水平方向とすることが好ましいが、粉体混合物(ベントナイト混合土200)に対して満遍なく加水を行うために、下向きあるいは上向きに設置する場合もある。
【0055】
また、本実施形態では、詳細には図示しないが、複数の噴射部93にそれぞれ対応して、各噴射部93と同等の噴射を行う複数のダミー噴射部93bと、噴射部93とダミー噴射部93bとを切り換えるための三方弁93cとを備えている。なお、ダミー噴射部93bは、噴射部93とほぼ同様の構成となっている。
【0056】
そして、各段の噴射部93毎に、噴射部93から水を噴射するか否かを調整することにより、加水量を調整することができる。具体的には、各噴射部93及び各ダミー噴射部93bの給水配管97に設けた三方弁93cを切り換えることにより、使用する噴射部93の段数を調整すればよい。三方弁93cを切り換えることにより、各段の噴射部93及びこれに対応した各段のダミー噴射部93bのいずれか一方から水が噴射される。このように、噴射部93における水の流れをダミー噴射部93bに切り換えることにより、水頭バランスが変化しないので、各噴射部93における圧力変動及び流量変動を抑制することができる。
【0057】
本実施形態の噴射部93は、給水配管97と噴射ノズル93aとの間に、水を貯留して噴射ノズル93aから噴射される水圧及び水量を均一にするために、円筒状の水貯留部(図示せず)を備えている。この水貯留部に貯留している水を、各噴射ノズル93aから直接噴射(噴射)するため、各噴射ノズル93aにかかる流体圧や流量が均等となり、かつ容量の大きな水貯留部を用いることにより、給水配管97の屈曲などによる水流の乱れ(乱流状態)や、水頭損失などが生じにくい。
【0058】
上述した構成からなる流体混入装置90では、流体供給量調整手段8により、三方弁93cの開閉制御を行って噴射部93から水を噴射するか否かを調整したり、水量バルブ(図示せず)の開度調整を行って噴射する水量を調整したりすることにより、水の供給量を調整する。なお、流体混入装置90においても、加水後の粉体混合物(ベントナイト混合土200)の流体含有比(含水比)を測定するための流体含有比計測手段(例えば、RI水分計)を備えていてもよい。
【0059】
<シュート>
流体混入装置90(加水装置)最下部には、加水後のベントナイト混合土200をベルトコンベア140上に落とし込むためのシュートが設けられており、加水後のベントナイト混合土200は、ベルトコンベア140により、適宜な搬送場所へ移送される。
【0060】
この粉体混合物の製造装置は、大別して4つの工程からなる。すなわち、本実施形態の粉体混合物の製造装置は、母材供給工程(砂の計量・供給工程)、粉体供給工程(ベントナイトの計量・供給工程)、混合工程(砂とベントナイトの混合工程)、流体混入工程(ベントナイト混合土に対する加水工程を含んでいる。
【0061】
<母材供給工程>
母材供給工程では、母材流体含有比計測手段1により砂又は礫の含水比を継続的に自動測定し、母材供給量調整手段2により母材定量供給装置32を制御して、予め設定した目標含水比のベントナイト混合土となるように砂又は礫を定量的に供給する。
【0062】
<粉体供給工程>
粉体供給工程では、粉体流体含有比計測手段4によりベントナイトの含水比を継続的に測定し、粉体供給量調整手段5により粉体混合物定量供給装置91dを制御して、予め設定した目標含水比のベントナイト混合土となるようにベントナイトを定量的に供給する。
【0063】
<混合工程>
混合工程では、砂又は礫とベントナイトとを均一に混合してベントナイト混合土を生成する。本実施形態の混合装置70は、上下方向に配置された複数の変形通路71を備えており、各変形通路71の断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化するようになっている。さらに、各変形通路71の入口と出口との間で、砂又は礫とベントナイトを合流させる工程と、合流した砂又は礫とベントナイトを分割させる工程とを繰り返すことにより、砂又は礫とベントナイトとを均一に混合することができる。
【0064】
<流体混入工程>
流体混入工程では、混合工程で混合したベントナイト混合土200を定量的に供給しつつ自由落下させて、微粒子状の水を噴射(噴霧)することによりベントナイト混合土200に加水を行う。この際、流体供給量調整手段8により加水量を調整して、目標となる含水比のベントナイト混合土200を製造することができる。