(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数枚の環状ディスクブラシを中央穴を以ってシャフトに外挿したブラシロールにおいて、上記複数枚の環状ディスクブラシを上記シャフトにキー結合する手段として第一キーと第二キーから成る二本一対のキーを備え、該第一キーを上記シャフトの外周面に形成された第一キー溝に挿入すると共に上記第二キーを上記各環状ディスクブラシの上記中央穴の内周面に形成された第二キー溝に挿入し、上記第一,第二キーは該挿入状態で径方向において互いに重合しつつ軸線方向に相対摺動可能であり、該相対摺動により上記第一キーの重合面に形成した凸面部に上記第二キーの重合面に形成した凸面部が乗り上げて上記第一,第二キーの上記径方向の重合高さを嵩高にし、上記第一キーの外面を上記第一キー溝の内面に圧接すると共に上記第二キーの外面を上記第二キー溝の内面に圧接し上記キー結合を図る構成を有し、上記第一キーを逆台形状にすると共に上記第一キー溝を逆台形状にし、上記第一キーの外面を構成する外側斜面と上記第一キー溝の内面を構成する内側斜面を圧接し、同第一キーの外面を構成する下面と同第一キー溝の内面を構成する内底面間に遊間を形成して上記キー結合を図ることを特徴とするキー付きブラシロール。
複数枚の環状ディスクブラシを中央穴を以ってシャフトに外挿したブラシロールにおいて、上記複数枚の環状ディスクブラシを上記シャフトにキー結合する手段として第一キーと第二キーから成る二本一対のキーを備え、該第一キーを上記シャフトの外周面に形成された第一キー溝に挿入すると共に上記第二キーを上記各環状ディスクブラシの上記中央穴の内周面に形成された第二キー溝に挿入し、上記第一,第二キーは該挿入状態で径方向において互いに重合しつつ軸線方向に相対摺動可能であり、該相対摺動により上記第一キーの重合面に形成した軸線方向において傾斜する第一傾斜面部に上記第二キーの重合面に形成した上記第一傾斜面部と逆向きに傾斜する第二傾斜面部が乗り上げて上記第一,第二キーの上記径方向における重合高さを嵩高にし、上記第一キーの外面を上記第一キー溝の内面に圧接すると共に上記第二キーの外面を上記第二キー溝の内面に圧接し上記キー結合を図る構成を有し、上記第一キーを逆台形状にすると共に上記第一キー溝を逆台形状にし、上記第一キーの外面を構成する外側斜面と上記第一キー溝の内面を構成する内側斜面を圧接し、同第一キーの外面を構成する下面と同第一キー溝の内面を構成する内底面間に遊間を形成して上記キー結合を図ることを特徴とするキー付きブラシロール。
上記第二キーの外面を構成する上面と上記第二キー溝の内面を構成する内天面を圧接して上記キー結合を図ることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載のキー付きブラシロール。
上記第二キーを台形状にすると共に上記第二キー溝を台形状にし、上記第二キーの外面を構成する外側斜面と上記第二キー溝の内面を構成する内側斜面を圧接し、同第二キーの外面を構成する上面と同第二キー溝の内面を構成する内天面間に遊間を形成して上記キー結合を図ることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載のキー付きブラシロール。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1に係るキー付きブラシロールを概示する分解斜視図。
【
図2】実施例1に係るキー付きブラシロールを正面視する断面図。
【
図3】実施例1に係るキー付きブラシロールを右側面視する一部拡大断面図。
【
図4】Aは実施例1に係る第一キーの右側面図、Bは同第一キーの正面図。
【
図5】Aは実施例1に係る第二キーの右側面図、Bは同第二キーの正面図。
【
図6】Aは第一キーの凸面部に第二キーの凸面部が乗り上げていない重合状態を右側面視する説明図、Bは第一キーの凸面部に第二キーの凸面部が乗り上げた重合状態を右側面視する説明図、Cは第二キーの凸面部が第一キーの凸面部を乗り越え凹面部に当接した重合状態を右側面視する説明図。
【
図7】Aは
図6A,
図6Cの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図、Bは
図6Bの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図。
【
図8】A,Bは上記第二キーの外面形状及び上記第二キー溝の内面形状の他例を示す径方向断面図。
【
図9】A乃至Cは上記
図6,
図7よりも第一キー溝,第二キー溝を深く形成し第一キーの下面と第一キー溝の内底面間及び第二キーの上面と第二キー溝の内天面間に遊間を介してキー結合する例を示しており、Aは第一キーの凸面部に第二キーの凸面部が乗り上げていない重合状態を右側面視する説明図、Bは第一キーの凸面部に第二キーの凸面部が乗り上げた重合状態を右側面視する説明図、Cは第二キーの凸面部が第一キーの凸面部を乗り越え凹面部に当接した重合状態を右側面視する説明図。
【
図10】Aは
図9A,
図9Cの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図、Bは
図9Bの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図。
【
図11】本発明の実施例2に係るキー付きブラシロールを概示する分解斜視図。
【
図12】実施例2に係るキー付きブラシロールを正面視する断面図。
【
図13】実施例2に係るキー付きブラシロールを右側面視する一部拡大断面図。
【
図14】Aは実施例2に係る第一キーの右側面図、Bは同第一キーの背面図。
【
図15】Aは実施例2に係る第二キーの右側面図、Bは同第二キーの正面図。
【
図16】Aは第一キーの第一傾斜面部に第二キーの第二傾斜面部が完全に乗り上げていない重合状態を右側面視する説明図、Bは第一キーの第一傾斜面部に第二キーの第二傾斜面部が完全に乗り上げた重合状態を右側面視する説明図。
【
図17】Aは
図16Aの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図、Bは
図16Bの重合状態における第一,第二キー及び第一,第二キー溝との関係を正面視する断面図。
【
図18】A,Bは実施例1,実施例2における第一キーの重合面に軸線方向に延びる摩擦低減溝を形成した各例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るキー付きブラシロールの好適な実施例を
図1乃至
図18に基づき説明する。
【0019】
≪各実施例に共通の構成≫
本発明に係るキー付きブラシロールは
図1,
図11に示すように、金属製又は合成樹脂製若しくは金属と合成樹脂の複合材から成る環状ディスク1の外周縁に放射状にブラシ束2を植装した環状ディスクブラシ3を複数枚積層して成る筒状ブラシ体4を形成し、該筒状ブラシ体4を上記環状ディスク1の中央穴1aによって形成される中央穴4aを以って金属製のシャフト5に外挿する構成を基本構成とする。
【0020】
複数枚の上記環状ディスクブラシ3を積層状態にし接着剤を介して各環状ディスクブラシ3を結合し上記筒状ブラシ体4を形成する。又は複数枚の上記環状ディスクブラシ3を軸線方向に加圧しつつ加熱し、隣接するブラシ材同士を基部において軟化又は溶融して各環状ディスクブラシ3を母材接着し上記筒状ブラシ体4を形成する。
【0021】
本発明は複数枚の環状ディスクブラシ3をカセット(上記筒状ブラシ体4)にして、その複数カセットをシャフト5に外挿し後述のキー結合を行う場合、又は複数枚の環状ディスクブラシ3をシャフト5に外挿して積層状態にし後述のキー結合を行う場合を包含する。以下の説明は複数の筒状ブラシ体4をシャフト5に外挿しディスク形ブラシロールを形成する場合について説明する。
【0022】
図2,
図12に示すように、上記筒状ブラシ体4を上記シャフト5にキー結合する手段として第一キー6と第二キー7から成る二本一対のキーを備え、該第一キー6を上記シャフト5の外周面に形成された第一キー溝8に挿入すると共に上記第二キー7を上記筒状ブラシ体4の上記中央穴4aの内周面に形成された第二キー溝9に挿入し、上記第一,第二キー6,7は該挿入状態で径方向において互いに重合しつつ軸線方向に相対摺動可能である構成を有している。
【0023】
上記第一キー6,第二キー7は金属製又は合成樹脂製若しくは金属と合成樹脂の複合材から成る。
【0024】
≪実施例1≫
本発明の実施例1に係るキー付きブラシロールにあっては、
図4A,
図4Bに示すように、第一キー6は互いに平行な上面6aと下面6b1を有する逆台形状とし、その上面6a、即ち第二キー7との重合面6aに幅方向に延びる凸面部10を形成する。該凸面部10は下面6b1と平行な平滑面に形成し且つ後記する第一キー溝8の内底面8a1と平行に形成する。
【0025】
一例として上記凸面部10を上記重合面6aの全幅に亘って形成する。又該凸面部10を上記重合面6aに軸線方向に等間隔に複数形成し、該各凸面部10に軸線方向で隣接して幅方向に延びる凹面部11を等間隔に複数形成する。即ち凸面部10と凹面部11は交互となるように形成する。
【0026】
又第一キー6の下面6b1及び外側斜面6b2、即ち後記する第一キー溝8の内面8a(内底面8a1,内側斜面8a2)に圧接する外面6bには上記第一キー溝8内への挿抜を容易にするため特に凹凸面は形成しない。
【0027】
更に第一キー6は、その後端部(
図4Aにおける左端部)に後記する第二キー7の収容部14の内端面に当接し当該第一キー6の軸線方向移動(
図4Aにおける右側への移動)を規制するストッパ15を形成する。
【0028】
又
図5A,
図5Bに示すように、本実施例に係る第二キー7は互いに平行な上面7b1と下面7aを有する台形状にし、その下面7a、即ち上記第一キー6との重合面7aに幅方向に延びる凸面部12を形成する。該凸面部12は上面7b1と平行な平滑面に形成し且つ後記する第二キー溝9の内天面9a1と平行に形成する。
【0029】
一例として上記凸面部12を上記重合面7aの全幅に亘って形成する。又該凸面部12を上記重合面7aに軸線方向に等間隔に複数形成し、該各凸面部12に軸線方向で隣接して幅方向に延びる凹面部13を等間隔に複数形成する。即ち凸面部12と凹面部13は交互となるように形成する。
【0030】
又第二キー7の上面7b1及び外側斜面7b2、即ち後記する第二キー溝9の内面9a(内天面9b1,内側斜面9b2)に圧接する外面7bには特に凹凸面を形成せず、且つ該外面7bを例えば鉄板等の金属板19で形成し当該外面7bの摩耗を抑止し耐久性を向上する。
【0031】
更に第二キー7の先端部(
図5Aにおける右端部)に上記筒状ブラシ体4の中央穴4aの開口縁に係止し当該第二キー7の軸線方向移動(
図5Aにおける左側への移動)を規制するストッパ16を形成し、後端部(
図5Aにおける左端部)に上記第一キー6のストッパ15を受け入れる収容部14を形成する。
【0032】
尚
図4A,
図5A中の17,18は後記する上記第二キー7の凸面部12の上記第一キー6の凸面部10への乗り上げをスムーズにする案内面部である。
【0033】
本実施例に係る第一キー溝8は、
図1乃至
図3に示すように、上記シャフト5の外周面に軸線方向に延在する断面視逆台形に形成し、該シャフト5の外周面に周方向に等間隔を置いて複数(本実施例では等角度に3本)形成し、上記第一キー6の外面6bと相似する形状の内面8aを形成する。該内面8aは上記第一キー6の下面6b1に対応する内底面8a1と同第一キー6の外側斜面6b2に対応する内側斜面8a2で構成する。
【0034】
又本実施例に係る第二キー溝9は、
図1乃至
図3に示すように、上記環状ディスク1の切り欠き部1bにて上記筒状ブラシ体4の中央穴4aにおける内周面に軸線方向に延在する断面視台形に形成し、該中央穴4の内周面に周方向に等間隔を置いて複数(本実施例では等角度に3本)形成する。
【0035】
又第二キー溝9は上記第二キー7の外面7bと相似する形状の内面9aを形成し、該内面9aは上記第二キー7の上面7b1に対応する内天面9a1と同第二キー7の外側斜面7b2に対応する内側斜面9a2で構成する。
【0036】
更に第二キー溝9の溝縁部に互いに接近する方向に迫り出して上記第一キー6及び上記第二キー7を重合状態のまま保持し径方向への抜け止めを図る一対の抜け止め部9bを設ける。
【0037】
次に前記した第一キー6及び第二キー7と第一キー溝8及び第二キー溝9によるキー結合構造を
図6A乃至
図6C,
図7A,
図7Bに基づき説明する。
【0038】
尚
図6A乃至
図6Cは上記第一キー溝8と上記第二キー溝9にそれぞれ上記第一キー6と上記第二キー7を重合状態で挿入した状態を示している。又
図7Aは
図6A,
図6Cの重合状態における各キーと各キー溝との関係を示し、
図7Bは
図6Bの重合状態における各キーと各キー溝との関係を示す断面図である。
【0039】
前記した
図1に示すように、まず、上記筒状ブラシ体4を中央穴4aを以って上記シャフト5に外挿し、該シャフト5外周面の上記第一キー溝8と上記筒状ブラシ体4の中央穴4a内周面の上記第二キー溝9を一致させて両者を位置決めする。
【0040】
この際には、
図6A,
図7Aに示すように、上記第二キー7の凸面部12が上記第一キー6の凸面部10に乗り上げていない重合状態で、該第一,第二キー6,7を上記第二キー溝9内に挿入し該第二キー溝9の抜け止め部9bにより保持し、斯かる状態のまま上記第一キー6の外面6bの露出部分を上記第一キー溝8内に挿入する。
【0041】
換言すると、上記第一キー6の凹面部11と上記第二キー7の凸面部12、上記第一キー6の凸面部10と上記第二キー7の凹面部13が重合している状態で、該第一キー6の重合面6a及び外側斜面6b2の一部と上記第二キー7全体を上記第二キー溝9に挿入し、該挿入は上記第二キー7先端のストッパ16が上記筒状ブラシ体4の中央穴4a、具体的には該中央穴4a内周面の上記第二キー溝8を貫通するまで行う。
【0042】
この重合状態では前記のように上記第二キー7の凸面部12は上記第一キー6の凸面部10に乗り上げておらず、該第一,第二キー6,7の重合高さh1は上記第一,第二キー溝8,9の径方向における高さよりも僅かに低くなっている。
【0043】
このため上記第一キー6の外面6bは上記第一キー溝8の内面8aに圧接しておらず、同様に上記第二キー7の外面7bは上記第二キー溝9の内面9aに圧接しておらず、両キー6,7を重合状態のまま上記第一,第二キー溝8,9に自由に挿抜可能な状態である。 又上記第二キー溝9の抜け止め部9bにより確実に両キー6,7の重合状態を保持しつつ挿抜できる。
【0044】
次いで、
図6B,
図7Bに示すように、上記第一キー6と上記第二キー7を軸線方向に相対摺動、即ち本実施例においては上記第一キー6を前進(
図6における右側への移動)させることにより、該第一キー6の凸面部10に上記第二キー7の凸面部12が乗り上げて両キー6,7が径方向において重合する。この乗り上げ時には上記第一,第二キー6,7にそれぞれ形成した案内面部17,18によりスムーズな乗り上げを保障する。
【0045】
この重合状態では前記のように上記第一キー6の凸面部10に上記第二キー7の凸面部12が乗り上げて互いに並行に面接触しているため、該第一,第二キー6,7の重合高さh2は上記重合高さh1よりも嵩高となり、これにより、上記第一キー6の外面6bが上記第一キー溝8の内面8aに圧接すると共に、上記第二キー7の外面7bが上記第二キー溝9の内面9aに圧接する。
【0046】
詳述すると、上記第一キー6の外面6bを構成する下面6b1と上記第一キー溝8の内面8aを構成する内底面8a1が強く圧接し、上記第二キー7の外面7bを構成する上面7b1と上記第二キー溝9の内面9aを構成する内天面9a1が強く圧接する。
【0047】
このため、上記筒状ブラシ体4と上記シャフト5の適切なキー結合を実現すると同時に上記筒状ブラシ体4を緊締して上記シャフト5に外装することができ、上記筒状ブラシ体4をガタつきなく回転し使用に供することができる。
【0048】
加えて製造誤差又は上記筒状ブラシ体4の繰り返し使用により上記第一,第二キー溝8,9が正常位置から周方向に位置ズレしていても、上記第一キー6の重合面6a(凸面部10)と、上記第二キー7の重合面7a(凸面部12)の周方向の相対調動により吸収することができ、確実なキー結合を保障する。
【0049】
又上記
図6B,
図7Bに示す重合状態においては、上記第一キー6のストッパ15が上記第二キー7の収容部14の内端面に当接し、該第二キー7のストッパ16と共に上記第一,第二キー6,7の軸線方向移動を確実に規制し、両キー6,7の凸面部10,12同士の重合状態を保つ。
【0050】
又
図6Cは上記筒状ブラシ体4を上記シャフト5から取り外す際の上記第一,第二キー6,7の重合状態を示している。
【0051】
この状態は前記した
図6B,
図7Bに示すキー結合している重合状態から上記第一キー6を強制的に押し込んで前進(
図6における右方向への移動)させ該第一キー6のストッパ15を強制的に折断した状態を示している。
【0052】
これにより、上記第二キー7の凸面部12が上記第一キー6の凸面部10を乗り越え、再び上記第一キー6の凹面部11と上記第二キー7の凸面部12、上記第一キー6の凸面部10と上記第二キー7の凹面部13が重合し、該第一,第二キー6,7の重合高さh1とし同第一,第二キー6,7を上記第一,第二キー溝8,9から抜き出し可能として上記筒状ブラシ体4を上記シャフト5から取り外すことができる。
【0053】
尚
図8は本実施例における上記第二キー7と上記第二キー溝9の他例を示している。
【0054】
図8Aの例にあっては、上記第二キー7の外面7bの出隅角部及び上記第二キー溝9の内面の入隅角部が曲面形状に面取りされた例を示しており、
図8Bの例にあっては、上記第二キー7の外面7bの出隅角部及び上記第二キー溝9の内面の入隅角部が平面形状に面取りされた例を示している。
【0055】
上記
図8A,
図8Bに示す各例は、基本的な重合構成及び嵩高構成において変わりはないことは言うまでもないが、上記面取りにより上記第一,第二キー6,7の上記第一,第二キー溝8,9に対する挿抜を容易にすると共に上記第二キー7の外面7bを上記第二キー溝9の内面9aに隙間なく確実に圧接することができる。
【0056】
又
図9A乃至
図9C,
図10A,
図10Bは第一キー6の下面6b1と第一キー溝8の内底面8a1間に遊間24Aを画成し、第二キー7の上面7b1と第二キー溝9の内天面9a1間に遊間24Bを画成してキー結合する例を示している。
【0058】
図6A乃至
図6C,
図7A,
図7Bと異なるところは、
図9A,
図10Aに示すように、第一キー溝8に逃げ部8bを形成すると共に第二キー溝9に逃げ部9cを形成し、
図9B,
図10Bに示すように、キー結合時に上記逃げ部8bにて第一キー6の下面6b1と第一キー溝8の内底面8a1間に遊間24Aを形成すると共に、上記逃げ部9cにて第二キー7の上面7b1と第二キー溝9の内天面9a1間に遊間24Bを形成する点にある。
【0059】
即ち、
図9B,
図10Bに示す第一,第二キー6,7の重合状態では前記のように上記第一キー6の凸面部10に上記第二キー7の凸面部12が乗り上げているため、該第一,第二キー6,7の重合高さh2は上記重合高さh1よりも嵩高となり、これにより、上記第一キー6の外面6bが上記第一キー溝8の内面8aに圧接すると共に、上記第二キー7の外面7bが上記第二キー溝9の内面9aに圧接する。
【0060】
詳述すると、上記遊間24Aにより上記第一キー6の外面6bを構成する外側斜面6b2と上記第一キー溝8の内面8aを構成する内側斜面8a2が最適位置で強く圧接し、上記遊間24Bにより上記第二キー7の外面7bを構成する外側斜面7b2と上記第二キー溝9の内面9aを構成する内側斜面9a2が最適位置で強く圧接する。
【0061】
このため、上記筒状ブラシ体4と上記シャフト5の適切なキー結合を実現すると同時に上記筒状ブラシ体4を緊締して上記シャフト5に外装することができ、上記筒状ブラシ体4をガタなく健全に回転し使用に供することができる。
【0062】
加えて製造誤差又は上記筒状ブラシ体4の繰り返し使用により上記第一,第二キー溝8,9が正常位置から周方向に位置ズレしていても、上記第一キー6の重合面6a(凸面部10)と、上記第二キー7の重合面7a(凸面部12)の周方向の相対調動により吸収することができ、確実なキー結合を保障する。
【0063】
尚本発明は上記遊間24A及び上記遊間24Bの双方を形成してキー結合する場合に限らず、上記遊間24Aのみ又は上記遊間24Bのみを形成してキー結合する場合を排除しない。
【0064】
≪実施例2≫
本発明の実施例2に係るキー付きブラシロールにあっては、
図14A,
図14Bに示すように、第一キー6は断面矩形状を呈し、その上面、即ち第二キー7との重合面6aに先端(
図14Aにおける右端)に向かって上り傾斜する第一傾斜面部20を形成し、適例として該第一傾斜面部20を上記重合面6aの軸線方向の全長に亘って形成する。即ち第一キー6は先端に向かって漸次高背となるように形成し上記第一傾斜面部20を形成する。
【0065】
他方第一キー6の下面6b1及び外側面6b2、即ち後記する第一キー溝8の内面8aに圧接する外面6bは平面形状に形成する。
【0066】
更に第一キー6の先端部(
図14Aにおける右端部)に軸線方向に隣接する他の第一キー6の後端部を押圧可能な突起部22を形成する。
【0067】
又
図15A,
図15Bに示すように、本実施例に係る第二キー7は断面矩形状を呈し、その下面、即ち上記第一キー6との重合面7aに上記第一傾斜面部20と逆向きに傾斜する第二傾斜面部21を形成し、適例として該第二傾斜面部21を上記重合面7aの軸線方向の全長に亘って形成する。即ち第二キー7は先端に向かって漸次低背となるように形成し、先端に向かって下り傾斜する第二傾斜面部21を形成する。
【0068】
他方第二キー7の上面7b1及び外側面7b2、即ち後記する第二キー溝9の内面9aに圧接する外面7bは平面形状に形成する。
【0069】
更に
図15A,
図15Bに示すように、第二キー7の先端部(
図15Aにおける右端部)及び後端部(
図15Aにおける左端部)に上記筒状ブラシ体4の中央穴4aの軸線方向の両端縁部に係止し当該第二キー7の後記する第二キー溝9からの脱落を防止する手段たる係止部23を設ける構成を有している。
【0070】
上記係止部23は第二キー7の軸線方向移動(
図15Aにおける左右側への移動)を規制するストッパ手段としても機能する。
【0071】
本実施例に係る第一キー溝8は、
図11乃至
図13に示すように、上記シャフト5の外周面に軸線方向に延在して形成し、該シャフト5の外周面に周方向に等間隔を置いて複数(本実施例では等角度に3本)形成し、上記第一キー6の外面6bと対応する内面8aを形成する。
【0072】
又本実施例に係る第二キー溝9は、
図11乃至
図13に示すように、上記環状ディスク1の切り欠き部1bにて上記筒状ブラシ体4の中央穴4aにおける内周面に軸線方向に延在して形成し、該中央穴4の内周面に周方向に等間隔を置いて複数(本実施例では等角度に3本)形成し、上記第二キー7の外面7bと対応する内面9aを形成する。
【0073】
次に前記した本実施例に係る第一キー6及び第二キー7と第一キー溝8及び第二キー溝9によるキー結合構造を
図16A及び
図16B,
図17A及び
図17Bに基づき説明する。
【0074】
尚
図16A及び
図16Bは上記第一キー溝8と上記第二キー溝9にそれぞれ上記第一キー6と上記第二キー7を挿入した状態における該第一キー6と第二キー7の重合状態を示している。又
図17A,
図17Bはそれぞれ
図16A,
図16Bの重合状態における各キーと各キー溝との関係を示す断面図である。
【0075】
まず、上記筒状ブラシ体4の上記第二キー溝9に上記第二キー7を挿入し、該第二キー7の両係止部23により同第二キー7を上記筒状ブラシ体4に取り付ける状態とする。
【0076】
斯かる状態で上記筒状ブラシ体4を中央穴4aを以って上記シャフト5に外挿する。
予め上記シャフト5の上記第一キー溝8内に上記第一キー6を待機させ、
図16A,
図17Aに示すように、上記第二キー7の第二傾斜面部21が上記第一キー6の第一傾斜面部20に完全に乗り上げていない重合状態にする。
【0077】
この重合状態では前記のように上記第二キー7の第二傾斜面部21は上記第一キー6の第一傾斜面部20に完全に乗り上げておらず、該第一,第二キー6,7の重合高さh1は上記第一,第二キー溝8,9の径方向における高さよりも僅かに低くなっている。
【0078】
このため上記第一キー6の外面6bは上記第一キー溝8の内面8aに圧接していないと共に、同様に上記第二キー7の外面7bは上記第二キー溝9の内面9aに圧接しておらず、上記第一キー6を取り付けた筒状ブラシ体4は軸線方向に自由に移動できる状態となっている。
【0079】
次いで、
図16B,
図17Bに示すように、上記第一キー6と上記第二キー7を軸線方向に相対摺動、即ち本実施例においては上記第二キー7を前進(
図16における右側への移動)させることにより、該第二キー7の第二傾斜面部21が上記第一キー6の第一傾斜面部20に完全に乗り上げて両キー6,7が径方向において重合する。
【0080】
この重合状態では前記のように上記第一キー6の第一傾斜面部20に上記第二キー7の第二傾斜面部21が完全に乗り上げているため、該第一,第二キー6,7の重合高さh2は上記重合高さh1よりも嵩高となり、これにより、上記第一キー6の外面6bが上記第一キー溝8の内面8aに圧接すると共に、上記第二キー7の外面7bが上記第二キー溝9の内面9aに圧接する。
【0081】
詳述すると、上記第一キー6の外面6bを構成する下面6b1と上記第一キー溝8の内面8aを構成する内底面8a1が強く圧接し、上記第二キー7の外面7bを構成する上面7b1と上記第二キー溝9の内面9aを構成する内天面9a1が強く圧接する。
【0082】
このため、上記筒状ブラシ体4と上記シャフト5の適切なキー結合を実現すると同時に上記筒状ブラシ体4を緊締して上記シャフト5に外装することができ、上記筒状ブラシ体4をガタつきなく回転し使用に供することができる。
【0083】
加えて製造誤差又は上記筒状ブラシ体4の繰り返し使用により上記第一,第二キー溝8,9が正常位置から周方向に位置ズレしていても、上記第一キー6の重合面6a(第一傾斜面部20)と、上記第二キー7の重合面7a(第二傾斜面部21)の周方向の相対調動により吸収することができ、確実なキー結合を保障する。
【0084】
又上記筒状ブラシ体4を上記シャフト5から取り外す際には上記第一キー6の後端部を強制的に押圧し前進(
図16における右側への移動)させれば、上記第一,第二キー6,7は再び上記
図16Aの重合状態となり、上記筒状ブラシ体4を上記シャフト5から容易に取り外すことができる。
【0085】
この際に上記筒状ブラシ体4の先端側に隣接して他の筒状ブラシ体4がシャフト5とキー結合されている場合には、上記第一キー6先端の突起部22が上記他の筒状ブラシ体4をキー結合している第一キー6の後端部を押圧するため、同時に複数の筒状ブラシ体4のシャフト5とのキー結合を解除することができる。
【0086】
尚本実施例に係る第一キー6及び第二キー7の外面形状をそれぞれ上記実施例1に係る第一キー6及び第二キー7と同様の外面形状(逆台形,台形)に形成することも実施に応じ任意である。又本実施例に係る第一キー溝8及び第二キー溝9の内面形状を上記実施例1に係る第一キー溝8及び第二キー溝9と同様の内面形状(断面視逆台形,断面視台形)に形成することも実施に応じ任意である
【0087】
又本実施例に係る第二キー7の外面7bを上記実施例1に係る第二キー7の外面7bと同様に金属板19で形成することを排除しない。
【0088】
最後に
図18A,
図18Bは上記実施例1,実施例2における第一キー6の重合面6aに軸線方向に延びる摩擦低減溝25を形成した各例を示している。
【0089】
上記摩擦低減溝25により第一キー6の重合面6aと第二キー7の重合面7aの接触面積を減殺し、該第一,第二キー6,7の軸線方向への相対摺動における摩擦を低減してスムーズな上記相対摺動を実現することができる。尚本発明においては、図示する上記各例の場合に限らず、第二キー7の重合面7aに上記摩擦低減溝25を形成する場合を排除しない。